JP6246034B2 - ガレート酸化物結晶の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明はガレート酸化物結晶の製造方法に関し、詳しくは結晶の欠陥が少なく、また、高温環境下での抵抗率の低下が少ない高品質の単結晶を作製することができる製造方法及び製造装置に関する。
従来から、半導体装置のチャンバー内や電気炉内などの高温環境下における閉空間での温度を測定し、制御装置にフィードバックする目的として無線通信可能な温度センサが開発、使用されており、特に近年では400℃を超えるような高温環境下の温度を正確に測定するワイヤレス温度センサが求められている。
また、燃料消費の改善などを目的として、圧電素子を圧力検出部に使用した圧力検出装置を内燃機関に装着し、燃焼室内部の燃焼圧を高精度に検出可能な燃焼圧センサが提案されている。
このように、400℃を越えるような高温炉や燃焼室内での使用環境で使用可能な温度センサや圧力センサとして、例えばランガサイトやランガテイトのようなガレート酸化物結晶の圧電材料を用いる提案がされている。しかしながら、一般的にガレート酸化物結晶の製造においては、結晶の欠陥が発生しやすく、また、高温環境下で抵抗率が著しく低下することなどの問題点を有している。
ガレート酸化物結晶のこれらの問題点を解決するために、例えば特許文献1に示す提案では、ガレート酸化物結晶の引き出し中は、チャンバー内を、不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気にしてルツボ内の材料融液からのGa(ガリウム)ガスの蒸発を防止しながら単結晶を育成させ、ガレート酸化物結晶の引き出し後は、チャンバー内の酸素のモル分率を低下させて不活性ガスの雰囲気中で保存することにより、抵抗率の温度依存性が小さなガレート酸化物結晶が得られるとしている。
また、特許文献2に示すガレート酸化物結晶の製造方法は、ルツボの蓋部に設けられた孔部を単結晶が成長するに伴って通過するときに、略密閉空間となるルツボ内の酸素不足を補うために、専用の供給孔から不活性ガスと酸素との混合ガスを供給する方法を採用している。これにより、ルツボ内部とチャンバー内部を同じガスの雰囲気を維持した状態で単結晶を育成し冷却することが可能になり、イリジウム製のルツボ由来のイリジウム介在物などの不純物を含まない結晶が得られるとしている。
また、特許文献3に示すガレート酸化物結晶の製造方法は、チャンバーを引上げ室と結晶室の2つに分割し、仕切り弁を介して2つの室を連結する構造を作り、ガレート酸化物結晶の育成工程と冷却(または熱処理)工程を分離する方法を採用している。これにより、結晶欠陥の少ない単結晶が得られるとしている。
特許第5174456号公報(第2頁) 特開昭55−136200号公報(第3−4頁、図1) 特開平04−108682号公報(第4頁、図1)
前記特許文献1に記載されているように、ガレート酸化物結晶の製造においては、単結晶の材料溶融液の液面近傍は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気に曝すことによりGa(ガリウム)の蒸発を防止できる。
また、引き上げた単結晶は、無酸素の不活性ガスの雰囲気下で冷却することにより結晶欠陥を抑制し、抵抗率の温度依存性の小さい単結晶を得られるが、単結晶を、不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気から無酸素により近いガス雰囲気へできるだけ早く移行させることが極めて重要である。
しかしながら、特許文献1に示す従来例では、ガレート酸化物結晶の育成条件について、チャンバー内で不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気で単結晶を育成し、製造工程の終了後に単結晶全体を冷却する工程において、酸素が少ない不活性ガスの雰囲気で単結晶を保持すると抵抗率の温度依存性が小さなガレート酸化物結晶が得られると記載されているが、これらの雰囲気条件を具現化するための具体的な製造方法及び製造装置については触れられていない。さらには、上述したように、結晶の育成終了後に、無酸素の不活性ガスの雰囲気に置換するため、育成中は順次引き上げられた結晶は、不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気下に曝され続ける。これについての考慮は成されておらず、この期間は結晶欠陥を抑制する効果は得られない。
また、特許文献2に示す従来例では、ルツボ内を含むチャンバー内を所定のガス雰囲気とし、ルツボ内における酸素不足を補うために不活性ガスと酸素との混合ガスをルツボ内に供給する管を設けて単結晶を育成する製造方法が示されているものの、引き上げられた単結晶は、ルツボ内と同様の不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気であるチャンバー内にて保持冷却されるので、無酸素により近いガス雰囲気への移行を具現化するための方法については記載がない。
また、特許文献3に示す従来例では、チャンバーを引上げ室と結晶室の2つに分割することにより、ガレート酸化物結晶の育成工程と、冷却(または熱処理)工程を分離する製造方法が示されているものの、やはり無酸素により近いガス雰囲気への移行を具現化するための方法については記載がない。
(発明の目的)
そこで本発明の目的は、上記問題点を解決しようとするものであり、チャンバー内で、単結晶の引き出し中において、結晶材料の溶融液から単結晶が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気中で材料の溶融液から単結晶を育成し、育成された結晶は、順次、無酸素の不活性ガスを主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行させて保持するというガレート酸化物結晶の製造方法を具現化しようとするものであり、複雑な装置や操作を必要としないでチャンバー内に単結晶の育成条件を満足する雰囲気条件を形成し、これを安定的に維持することにより、結晶の欠陥を抑制し高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造が可能な製造方法及び製造装置を提供することである。
本発明におけるガレート酸化物結晶の製造方法は下記の通りである。
チャンバー内にガレート酸化物結晶の材料が充填されたルツボを配置し、ルツボを加熱して材料を溶融した溶融液からの引き出しによって、ガレート酸化物結晶を育成するガレート酸化物結晶の製造方法において、溶融液の近傍に、不活性ガスと酸素との混合ガスを供給し、溶融液に対して、混合ガスの供給位置より離れた位置から、無酸素の不活性ガスを供給し、引き出しを行うことを特徴とする。
これにより、単結晶の引き出しにおいて、結晶材料の溶融液から単結晶が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気中で材料の溶融液から単結晶を育成し、育成された結晶は順次、無酸素の不活性ガスを主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行させて保持することができるので、結晶の欠陥を抑制し高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造方法を可能にできる。
また、無酸素の不活性ガスの供給圧力は、混合ガスの供給圧力よりも高いことを特徴とする。
これにより、無酸素の不活性ガスは、溶融液に対して、混合ガスの供給位置より離れた位置から供給され、しかも圧力が高く設定されているので、無酸素の不活性ガスの流れを単結晶の上部から溶融液側に向けて維持できるとともに、不活性ガスと酸素との混合ガスの流れを溶融液側に導くことができる。
また、ルツボが配置されている位置に対して、無酸素の不活性ガスを供給する供給位置とは反対となる側から、チャンバー内のガスを排気することを特徴とする。
これにより、無酸素の不活性ガスの供給から排気までの滑らかな流れを形成し、単結晶側から溶融液側に流れるように維持できるとともに、不活性ガスと酸素との混合ガスの流れも溶融液側に導き、また排気することができる。
また、本発明におけるガレート酸化物結晶の製造装置は下記の通りである。
ガレート酸化物結晶の材料が溶融した溶融液からの引き出しにより、ガレート酸化物結晶を製造する結晶製造装置において、チャンバー内に、溶融液が配置された近傍に不活性ガスと酸素との混合ガスを供給する第一のガス供給口と、溶融液が配置された位置に対して、第一のガス供給口より離れた位置に、無酸素の不活性ガスを供給する第二のガス供給口と、を備えることを特徴とする。
これにより、単結晶の引き出しにおいて、結晶材料の溶融液から単結晶が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気中で材料の融液から単結晶を育成し、育成された結晶は順次、無酸素の不活性ガスを主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行させて保持することができるので、結晶の欠陥を抑制し高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造が可能な製造装置を提供できる。
また、溶融液が配置された位置に対して、第二のガス供給口とは反対となる側に、チャンバー内から排気する排気口を備えることを特徴とする。これにより、簡単な構造で二つのガスの流れを安定的に維持できる。
また、チャンバーは、溶融液を配置する結晶育成室と、結晶保持室とに空間を分断するとともに、結晶育成室と結晶保持室との間には、結晶育成室から引き出した結晶が、結晶保持室に通過可能な開口が設けられている仕切り部材を有し、第一のガス供給口は、結晶育成室に設けられ、第二のガス供給口は、結晶保持室に設けられていることを特徴とする。
これにより、仕切り部材は、チャンバーを結晶育成室と結晶保持室とに分断し、第一のガス供給口から供給される混合ガスと、第二のガス供給口から供給される無酸素の不活性ガスとの分離性を向上することができるので、それぞれのガスの流動過程における組成変化を抑制することができる。
また、結晶育成室のチャンバー内壁に、第一のガス供給口が設けられていることを特徴
とする。これにより、仕切り部材によって形成された結晶育成室側の内壁の適切な位置に第一のガス供給口を設けることができる。
結晶育成室は、引き出した結晶が通過可能な開口が設けられたガイド部材を有し、仕切り部材とガイド部材とで囲まれた空間のチャンバー内壁に第一のガス供給口が設けられ、溶融液に混合ガスを導くガス供給路を有することを特徴とする。これにより、不活性ガスと酸素との混合ガスと、排気との分離性を向上することができるので、それぞれのガスの流動過程における組成変化を抑制することができる。
上記のとおり、本発明によれば、溶融液の近傍に不活性ガスと酸素との混合ガスを供給し、溶融液に対して混合ガスの供給位置より離れた位置から無酸素の不活性ガスを供給して結晶の引き出しを行うことにより、結晶材料の溶融液から単結晶が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気中で材料の融液から単結晶を育成し、育成された結晶は順次、無酸素の不活性ガスを主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行させて保持することができる。
この結果、簡単な構造で、結晶の欠陥を抑制し高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造方法及び製造装置を提供することができる。
実施例1を説明するガレート酸化物結晶の製造装置の概略構成図である。 図1の製造装置による酸化物結晶の育成工程及び動作を説明する工程図である。 実施例2による製造装置の概略構成図である。 実施例2の変形例による製造装置の概略構成図である。
以下、図面に基づいて本発明を詳述する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の思想を具体化するためのガレート酸化物結晶の製造が可能な製造方法及び製造装置を例示するものであって、本発明は以下に説明する方法及び構成に特定するものではない。特に実施の形態に記載されている構成部材の材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく説明例に過ぎない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は説明をわかりやすくするために誇張していることがある。
本発明のガレート酸化物結晶の製造方法及び製造装置は、チャンバー内での単結晶の引き出しにおいて、結晶材料の溶融液から単結晶が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気中で単結晶を育成し、育成された結晶は順次、無酸素の不活性ガスを主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行させて保持することにより、結晶の欠陥を抑制し高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造を可能にするものである。
このような、結晶の育成条件を実現するために、チャンバー内に、溶融液が配置された近傍に不活性ガスと酸素との混合ガスを供給する第一のガス供給口と、溶融液が配置された位置に対して、結晶の引き出し方向に向かって第一のガス供給口より離れた位置に、無酸素の不活性ガスを供給する第二のガス供給口とを設け、また、混合ガスの供給圧力よりも無酸素の不活性ガスの供給圧力を高くしている。
また、チャンバー内を、溶融液を配置する結晶育成室と結晶保持室とに空間を分断する仕切り部材を設け、第一のガス供給口は結晶育成室側に、第二のガス供給口は結晶保持室側に配置することにより、さらに結晶の育成及び保持環境のそれぞれのガス雰囲気を好適
にし、ひいては育成後の結晶品質を向上させることができる。
まず、図1〜図2を用いて実施例1を説明し、次に、図3〜図4を用いて実施例2を説明する。実施例1では製造装置の構成例と、その装置を用いたガレート酸化物結晶の育成工程及び動作を説明する。
また、実施例2では結晶の育成及び保持環境のそれぞれのガス雰囲気をさらに好適にするために、チャンバー内を結晶育成室と結晶保持室に分断する仕切り部材を設けた構成例と、この構成例にさらにガイド部材を設けた構成を実施例2の変形例として、それぞれ説明する。
[実施例1の説明:図1〜図2]
図1は、実施例1のガレート酸化物結晶の製造装置100の中心軸CL方向の断面図であり、図2は、図1に示す製造装置100において単結晶の製造工程を4段階に分けて、それぞれの工程における動作を示した中心軸CL方向の断面図である。
[実施例1の構成の説明:図1]
まず、図1は、公知のチョクラルスキー法にもとづく酸化物結晶の製造装置100を示し、その構成要素であるチャンバー40(容器部)の断面図を示している。なお、ここでは、酸化物結晶の製造装置100の他の構成要素である結晶引き出しの制御装置、ルツボの加熱ヒータ、ガス供給装置、ガス供給管、ガス排気管、圧力調整装置などは省略し、本発明に係るチャンバー40、ルツボ8、材料溶融液50、種結晶65、結晶引き出し棒6などの結晶育成に係る要素のみを示している。
図1において、チャンバー40は、筒部材1と、筒部材1の上部に固定される蓋部材2と、筒部材1の下部に固定される台座部材3とから構成され、それぞれ耐火物からなる円筒状の密閉容器である。
次に、チャンバー40を構成する筒部材1は、筒状の形状を有し、内部の空間には、後述する結晶の材料溶融液50を入れたルツボ8を中心部に配置できるようになっていて、ルツボ8の上部近傍に位置する筒部材1の内壁部に、不活性ガスと酸素との混合ガス70を供給する第一のガス供給口11を設け、両側に二箇所配置してある。二つの第一のガス供給口11は、筒部材1の中心軸CL(図1参照)を基準にして点対称となる位置に配設されるのが好ましく、中心軸CLに向けて均一に供給できるようになっている。ここで、第一のガス供給口11の数量をさらに増やして筒部材1の中心軸CLを基準にして円周上に等間隔となる様に配設してもよい。
次に、チャンバー40を構成する蓋部材2は、円板状の形状を有し、中心部には筒状の凸部20を有している。また、筒状の凸部20の上面部には後述する結晶操作棒6の回転中心(中心軸CL)となる軸穴22が設けられている。また、筒状の凸部20の円筒部には、無酸素の不活性ガス80を供給する第二のガス供給口21が円筒部に対して垂直方向に一箇所設けられている。第二のガス供給口21から無酸素の不活性ガス80が筒状の凸部20の内壁側に供給されると、そこから方向を変えて筒部材1の内部下方に向けて、中心軸CLを基準にして均一に供給されるようになっている。ここで、無酸素の不活性ガス80が中心軸CLを基準にしてルツボ8の方向に向かって、より均一に供給できるようにするために、第二のガス供給口21の位置を上面部に変えてもよいし、筒部材1の内壁部であって、第一のガス供給口11よりも蓋部材2に近い側に設けてもよい。また、供給口の数量を増やしてもよい。
次に、チャンバー40を構成する台座部材3は、円板状の形状を有し、上面側はルツボ
8を配設できるように平坦な領域を有している。また、下面側は周囲に足部30を有し、チャンバー40の安定を図れるようになっている。
台座部材3のルツボ8の外周と筒部材1の内周との間には、排気口31が両側に二箇所設けられていて、排気90(不活性ガスと酸素との混合ガス70及び無酸素の不活性ガス80)が排出できるようになっている。排気口31は、ルツボ8が配置されている位置に対して、第二のガス供給口21(無酸素の不活性ガス80の供給口)が配置される側とは反対側の位置、つまり結晶の引上げ方向に対して反対側となるように配置されている。
ここで、前述した第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合ガス70の流れと、第二のガス供給口21から供給される無酸素の不活性ガス80の流れの均一性を向上するために、排気口31の数量を増やしてもよく、また、排気口31の位置を変えてもよい。また、排気口31の位置、数量、穴径は調整可能な構造としてもよい。
次に、単結晶60を引き出すための結晶引き出し棒6及び種結晶65について説明する。結晶引き出し棒6はその先端側(ルツボ8側)に種結晶65を保持する結晶保持部材7を有している。また、結晶引き出し棒6の後端側は、蓋部材2の筒状の凸部20の上部に形成された軸穴22に回転及び上下移動が可能に系合している。また、図示しない回転及び上下移動を行う結晶引き出しの制御装置により、所定条件で回転し、また、所定条件で上下移動ができるようになっている。
種結晶65は、単結晶60と同じ組成のバルク結晶であり、所定の結晶方位に沿って育成するように結晶保持部材7にて保持される。種結晶65の形状は専ら直方体(四角柱)形状であり、所定の面を後述の材料溶融液50に接触させるが、図1に示すように種結晶65を加工し、材料溶融液50に接触する側を先端の尖った形状とすることで、材料溶融液50に接触した時の急激な熱衝撃による転位の発生を抑えることもできる。
次に、ルツボ8及び材料溶融液50について説明する。ルツボ8は、例えばIr(イリジウム)製の円筒状容器であり、内部に材料溶融液50が充填できるようになっている。また、ルツボ8はその円筒部の中心と前述の結晶引き出し棒6の回転中心が略一致するように配置されている。
材料溶融液50は、ルツボ8の内部に、作製しようとするガレート酸化物結晶の各成分の粉末を所定の組成比率で混合したものを収容して、図示しない加熱ヒータでルツボを加熱することにより、所定の温度で粉末の材料が溶融して作製される。
なお、ルツボ8は、例えば作製しようとする単結晶の大きさなどから計算して材料溶融液50の必要量を決めて、その必要量が充填可能な容積となっている。なお、各材料である酸化物粉末の組成比率、加熱温度などの条件は、育成する結晶によって異なるが、ここでは詳細については説明を省略する。
以上のような構成において、図示しない圧力供給装置によりガス供給管を通して不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給圧力及び無酸素の不活性ガス80の供給圧力をそれぞれ所定値に制御して各供給口から供給する。無酸素の不活性ガス80はチャンバー40の上方から下方に向けて供給され、第一のガス供給口11よりも上方では酸素濃度が極端に少ない雰囲気を形成する。また、無酸素の不活性ガス80は不活性ガスと酸素との混合ガス70と比較して圧力が高いため、不活性ガスと酸素との混合ガス70を押し下げて、第一のガス供給口11よりも上方に拡散することを抑制する。特に、中心軸CLの近傍を流れる無酸素の不活性ガス80によって、不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給方向は、中心軸CL付近で、圧力が高い無酸素の不活性ガス80により材料溶融液50の方向へ曲げられる。この結果、不活性ガスと酸素との混合ガス70は材料溶融液50の表面近傍を覆うことができ、Gaの蒸発を防ぎ、ひいては材料融液50の組成比の変動を防止することができる。つまり、チャンバー40内では単結晶の中心軸CLに沿って、酸素濃度差があり、材料溶融液50の近傍では酸素濃度が高く、育成方向に向かって酸素濃度が減少する。
特に、第一のガス供給口11に平行な位置から第二のガス供給口21までの空間は、育成した単結晶を保持するために限りなく無酸素のガス雰囲気であることが好ましく、そうなるように図示しない圧力調整装置を制御するのがよい。
そして、不活性ガスと酸素との混合ガス70及び無酸素の不活性ガス80は、ルツボ8の外側へ流動し排気90として排気口31から排気される。この排気口31からの排気量は、例えば図示しない真空ポンプなどにより制御され、これによって不活性ガスと酸素との混合ガス70が、第一のガス供給口11よりも上方に拡散することを、より抑制することができる。
以上のような二つのガスの流動状態を安定的に維持し、種結晶65を保持した結晶引き出し棒6を降下させ、種結晶65を材料溶融液50に浸す。次に、結晶引き出し棒6を所定の回転条件及び所定の引上げ条件により単結晶60を引き出していく。これにより、単結晶60の育成を開始することができる。
なお、本発明によるガレート酸化物結晶の製造方法及び製造装置を適用して製造しようとしている主なガレート酸化物単結晶は例えば、LGS(La3Ga5.5Si0.514)、LTG(La3Ga5.5Ta0.514)、LTGA(La3Ga5.5-xTa0.5Alx14(0<x<5.5)である。
[実施例1の各製造工程における動作の説明:図2]
次に、図2を用いてガレート酸化物結晶の各製造工程における動作について説明する。図2は、単結晶60の製造工程を四つの段階に示し、単結晶60の成長にともない、それぞれ、(a)成長初期段階、(b)成長途中段階、(c)成長終了段階、(d)保持段階として説明する。なお、チャンバー40内におけるガスの流れ(動作)を説明するために、不活性ガスと酸素との混合ガス70を破線の矢印で示し、無酸素の不活性ガス80を実線の矢印で示す。また、不活性ガスと酸素との混合ガス70及び無酸素の不活性ガス80からなる排気90は点線の矢印で示す。
[成長初期段階:図1及び図2(a)]
まず、図2(a)は単結晶60の引き出しにおける成長初期段階の状態を示し、本実施例の構成を図1で説明したように、種結晶65を保持した結晶引き出し棒6を降下させ、種結晶65を材料溶融液50に浸し、所定の回転条件及び所定の引上げ条件により単結晶60を引き出し、単結晶60が所定の外径になった状態である。このとき、不活性ガスと酸素との混合ガス70は、筒部材1に設けられた第一のガス供給口11(図1)からチャンバーの中心軸CLに向けて均一に供給され単結晶60の上部付近に達する。一方、無酸素の不活性ガス80は蓋部材2に設けられた第二のガス供給口21(図1)から供給され、結晶引き出し棒6(図1)を中心にして下方に向けて均一に供給される。
このとき、不活性ガスと酸素との混合ガス70は、不活性ガスと酸素との混合ガス70に対してガスの圧力が高い無酸素の不活性ガス80によって、第一のガス供給口11よりも上方、すなわち第二のガス供給口21の方向に拡散することを抑えられている。特に、ある第一のガス供給口11から供給された不活性ガスと酸素との混合ガス70は、単結晶60の上部付近(中心軸CLの近傍)において、他の第一のガス供給口11から供給された不活性ガスと酸素との混合ガス70や結晶60と衝突をするが、同付近に存在する無酸素の不活性ガス80によって上方への拡散が抑えられているため、材料溶融液50側に押し下げられ、材料溶融液50の液面に供給される。
一方、無酸素の不活性ガス80は単結晶60の上部表面近傍を覆い、その一部は、不活性ガスと酸素との混合ガス70とともに、台座部材3(図1)に設けられた排気口31(図1)より排気90として排気される。
このように、成長初期段階において、ルツボ8に充填された材料溶融液50の液面は、不活性ガスと酸素との混合ガス70に覆われており、Gaの蒸発を防止している。一方、成長初期段階にある単結晶60の上面付近及びそれよりも上方では、無酸素の不活性ガス80に覆われている。つまり、単結晶60の引き出しにおいて、材料溶融液50から単結晶60が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガス70の雰囲気中にあり、育成された結晶は順次、無酸素の不活性ガス80を主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行できるようになっている。
なお上述したとおり、不活性ガスと酸素との混合ガス70は、材料溶融液50の近傍で無酸素の不活性ガス80と一部混合するので、予め、混合することを見込んでGa成分の蒸発を防止する最適値になるように酸素のモル濃度を設定することが好ましい。所定のガス雰囲気にするための条件を満たすのであれば、第一のガス供給口11からは酸素のみが供給され、第二のガス供給口21から供給された無酸素の不活性ガス80と混合し、材料溶融液50の近傍で所定の酸素モル濃度となるように制御してもよい。
[成長途中段階:図2(b)]
次に、図2(b)は単結晶60の引き出しにおける成長途中段階の状態を示し、単結晶60が所定の外径を維持し、成長が進んだ状態である。このとき、不活性ガスと酸素との混合ガス70は前述した段階(a)の状態を維持し、不活性ガスと酸素との混合ガス70は単結晶60の近傍において、無酸素の不活性ガス80により材料溶融液50側に押し下げられ、材料溶融液50の液面に供給される。一方、単結晶60の近傍の無酸素の不活性ガス80は育成した単結晶60の表面を上部から材料溶融液50の液面近傍に向けて覆い、その後、不活性ガスと酸素との混合ガス70とともに、排気口31より排気90として排気される。
これにより、育成した単結晶60は酸素に曝されることが抑制されるため、酸素を起因とする結晶欠陥が起こることを防止することが出来る。
このように、成長途中段階においても、単結晶60の引き出しにおいて、結晶の材料溶融液50から単結晶60が成長する領域は、不活性ガスと酸素との混合ガス70の雰囲気中にあり、育成された結晶は、順次、無酸素の不活性ガス80を主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行している。
[成長終了段階:図2(c)]
次に、図2(c)は単結晶60の引き出しにおける成長終了段階の状態を示し、単結晶60が所定の外径から円錐状に細くなり結晶化が終了した状態である。このとき、不活性ガスと酸素との混合ガス70は、前述した段階(b)の状態から材料溶融液50と単結晶60との間にできた空間にまわり込み、材料溶融液50の液面に供給され材料溶融液50の全体を覆うことができる。一方、単結晶60の近傍の無酸素の不活性ガス80は、単結晶60の表面を上部から下部まで覆い、その後、不活性ガスと酸素との混合ガス70とともに、排気口31より排気90として排気される。
ここで、無酸素の不活性ガス80の圧力を高めるなど調節することにより、単結晶60が酸素に曝されることの無い雰囲気を形成することができ、より早く無酸素の不活性ガス80を主成分とする酸素の少ない雰囲気中に移行させることができる。
このように、成長終了段階においても、単結晶60の引き出し終了後、材料溶融液50の液面は不活性ガスと酸素との混合ガス70の雰囲気中にあり、作製された単結晶60は、ほぼ全体が無酸素の不活性ガス80を主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行している。
[保持室に保持する保持段階:図2(d)]
次に、図2(d)は単結晶60を保持する保持段階の状態を示し、単結晶60が所定の形状となり結晶育成が終了し、チャンバー40の上部に保持された状態である。このとき、不活性ガスと酸素との混合ガス70は、前述した(c)段階と同様で、材料溶融液50と単結晶60との間にできた空間にまわり込み、材料溶融液50の液面に供給され全体を覆っている。一方、単結晶60の付近の無酸素の無酸素の不活性ガス80は、単結晶60の表面を上部から下部までの全体を覆い、その後、不活性ガスと酸素との混合ガス70とともに、排気口31より排気90として排気される。
ここで、前述の成長終了段階または保持室に保持する保持段階において単結晶60の引き出しが終了した後に、図示しない加熱ヒータによるルツボ8の加熱工程を止め、それによって材料溶融液50からのGaの蒸発量が低下するのに合わせて不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給量を減らしていき、最終的には供給を止めることにより、チャンバー40内の全体がより酸素のないガス雰囲気となるのでなおよい。
このように、保持室に保持する保持段階においては、単結晶60を無酸素の不活性ガス80の雰囲気に全て移行することが完了する。
なお、単結晶60は必要に応じて酸素のない雰囲気下に保持された状態で、冷却または熱処理などの後工程を行っても良い。
[実施例1の効果]
以上説明した本実施例によれば次に示す効果が得られる。
[効果1]
チャンバー40内に、材料溶融液50が配置された近傍に不活性ガスと酸素との混合ガス70を供給する第一のガス供給口11と、材料溶融液50が配置された位置に対して、結晶の引き出し方向に向かって第一のガス供給口11より離れた位置に、無酸素の不活性ガス80を供給する第二のガス供給口21とを設け、また、不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給圧力よりも無酸素の不活性ガス80の供給圧力を高くしたことにより、単結晶60の引き出しにおいて、材料溶融液50から単結晶60が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガス70の雰囲気中で育成し、育成された単結晶60は順次、無酸素の不活性ガス80を主成分とする酸素の少ないガス雰囲気中に移行させることができる。
また、作製された単結晶60は、そのまま無酸素の不活性ガス80の雰囲気中に保持することができるので、結晶の欠陥を抑制し高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造が可能な製造方法及び製造装置を提供できる。
[効果2]
そして、複雑な装置を必要とせず、少なくとも二種類(無酸素の不活性ガスと、酸素を含む不活性ガス)のガスの供給圧力を制御するのみであるので、チャンバー40内に単結晶60の育成条件を満足する雰囲気条件を容易に形成することができ、これを安定的に維持することができる。また、単結晶60に対してガスの置換などの切り替え操作を必要としないので、切り替える前に酸素に曝され続けることで生じる結晶の欠陥を抑制できる。
なお、第一のガス供給口11とルツボ8に収容された材料溶融液50との距離、ルツボ8の直径と深さ、材料溶融液50の体積等はこれに限定されず、作製する単結晶60の直径、長さ、2つのガスの圧力差等に応じて適切に変更してよい。
また、本発明によるガレート酸化物の製造方法及び製造装置を適用して製造し得る他のガレート酸化物結晶は、例えば、酸化ガリウム(Ga23)、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(Gd3Ga512)、リチウムガレート(LiGaO2)、ネオジムガレート(NdGaO3)、イットリウム・ガリウム・ガーネット(Y3Ga512)などがある。
以上のように、実施例1では、不活性ガスと酸素との混合ガスと、無酸素の不活性ガスとの圧力制御のみで結晶育成のための雰囲気と、結晶保持のための雰囲気の二つのガス雰
囲気を制御した。
次に、実施例1の構成をさらに改良したものであり、チャンバー内の一部に仕切り部材を設けて二つのガス雰囲気を部分的に物理的に分けた実施例2と、さらに、第一のガス供給口から供給される不活性ガスと酸素との混合ガスを中心軸方向に効率よく導くためのガイド部材を設けた実施例2の変形例との二つの例について、順に説明する。
[実施例2の説明:図3]
はじめに、図3(a)及び図3(b)を用いて実施例2のガレート酸化物結晶の製造装置200の概略構成について説明する。実施例2のガレート酸化物結晶の製造装置200は、前述した実施例1のガレート酸化物結晶の製造装置100に対して、不活性ガスと酸素との混合ガス70と、無酸素の不活性ガス80との分離性向上を目的として、チャンバー40内に仕切り部材4を設ける構成であり、基本的な構成は実施例1と同様であるので、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。
図3(a)は、ガレート酸化物結晶の製造装置200の中心軸CL方向の断面図を示し、図3(b)は、図3(a)の断面を斜め上方向から見た斜視図である。図3(a)において、ガレート酸化物結晶の製造装置200は、前述したガレート酸化物結晶の製造装置100のチャンバー40の内壁に設けられた不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給口11の上部近傍に仕切り部材4が設けられている。また、図3(b)において、仕切り部材4は、中央部に円形の開口4aを有し、外形が円形の円板状の部材であることを示している。また、仕切り部材4の外周とチャンバー40を構成する筒部材1の筒状部の内壁とは隙間が無い状態で接合されている。
図3(a)において、チャンバー40の内部は、仕切り部材4によって、ルツボ8を配置する結晶育成室45と、引き出された結晶を保持する結晶保持室46とに分断されている。また、不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給口11は結晶育成室45に配置され、無酸素の不活性ガス80の供給口21は結晶保持室46に配置されている。
また、仕切り部材4の中央部に設けられた円形の開口4aは、ルツボ8内の材料溶融液50から引き出される単結晶60が通過することが可能であり、同時に、第二のガス供給口21から供給される無酸素の不活性ガス80が結晶保持室46側から結晶育成室45側へ流動できるように隙間を有している。
以上の構造によって、第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合ガス70は、仕切り部材4により第二のガス供給口21から供給される無酸素の不活性ガス80と分離されるため、第一のガス供給口11から単結晶60の外周近傍までの区間は二つのガスは混合することがなく流れることができる。そして、単結晶60の近傍において、不活性ガスと酸素との混合ガス70は、無酸素の不活性ガス80によって押し下げられ、材料溶融液50の液面に供給される。これにより、第一のガス供給口11から仕切り部材4の開口4aの区間では、酸素のモル濃度の低下(組成変化)が抑制された不活性ガスと酸素との混合ガス70を材料溶融液50に供給することができる。
一方、第二のガス供給口21から供給される無酸素の不活性ガス80は、仕切り部材4により第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合ガス70と分離されるため、また、無酸素の不活性ガス80の圧力が不活性ガスと酸素との混合ガス70よりも高いため、結晶保持室46側では混合することがなく流れることができる。また、無酸素の不活性ガス80は結晶育成室45側に入って不活性ガスと酸素との混合ガス70と混合するまでの区間は単結晶60の外周を覆うことができる。これにより、引き出し中の単結晶60は、結晶保持室46側では、無酸素の不活性ガス80(組成変化がない)で覆うことができ、さらに結晶育成室45側では単結晶60の途中までを無酸素の不活性ガス
80で覆うことができる。
[実施例2の効果]
以上説明した本発明の実施例2によれば次に示す効果が得られる。
単結晶60の引き出しにおいて、不活性ガスと酸素との混合ガス70と無酸素の不活性ガス80との分離性向上を目的として、チャンバー40内に仕切り部材4を設けることにより、2つのガスが混合することを単結晶60の外周近くまで遅らせることができるので、それぞれのガスの流動途中での組成変化を抑制できる。これにより、結晶の欠陥を抑制し、高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶のより安定した製造が可能な製造方法及び製造装置を提供できる。
なお、仕切り部材4と第一のガス供給口11との距離、仕切り部材4の開口4aの大きさ、仕切り部材4と材料溶融液50との距離、ルツボの形状(縁の高さ、直径)等は限定されず、作製する単結晶60の外径、長さ、2つのガスの圧力差と流動状況等に応じて適切に変更してよい。また、2つのガスの流動性と分離性を考慮して、仕切り部材4は、チャンバー40の内壁側から単結晶側に向かって傾斜させてもよく、これにより不活性ガスと酸素との混合ガス70はより材料溶融液50に効率よく供給することができるとともに、育成した単結晶60はさらに早く酸素を含まないガス雰囲気へと移行することができてなお良い。また、仕切り部材4の開口部4aから材料溶融液50に向かって、円筒形の部材を設けても良い。これにより、第一の供給口11から供給された不活性ガスと酸素との混合ガス70は、円筒形の部材によって材料溶融液50に向かって流れるため、無酸素の不活性ガス80とは材料溶融液50の界面近傍で合流するのでより好ましい。
[実施例2の変形例の説明:図4]
次に、図4(a)及び図4(b)を用いて実施例2の変形例であるガレート酸化物結晶の製造装置300の概略構成について説明する。本実施例のガレート酸化物結晶の製造装置300は、前述したガレート酸化物結晶の製造装置200に対して、不活性ガスと酸素との混合ガス70を効率よく材料溶融液50へと導くことができ、また、排気90との分離性向上を目的として、チャンバー40内に設けられた仕切り部材4の下方に第一のガス供給口11を挟んでガイド部材5を設ける構成であり、基本的な構成は実施例2で先に記述した構成と同様であるので、同一要素には同一番号を付し、重複する説明は一部省略する。
図4(a)は、ガレート酸化物結晶の製造装置300の中心軸CL方向の断面図を示し、図4(b)は、図4(a)の断面を斜め上方向から見た斜視図である。
図4(a)において、ガレート酸化物結晶の製造装置300は、前述したガレート酸化物結晶の製造装置200のチャンバー40の内壁に設けられた仕切り部材4に対して、不活性ガスと酸素との混合ガス70の供給口11を挟んで下方側にガイド部材5が設けられている。また、図4(b)において、ガイド部材5は、仕切り部材4の下方に配置され、中央部に円形の開口5aを有し、外形が円形の円板状の部材であることを示している。
仕切り部材4とガイド部材5の間に形成された空間には、第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合ガス70を導くガス供給路が形成されている。また、ガイド部材5は仕切り部材4と同様の形状(外形形状及び開口部)を有し、筒部材1の筒状部の内壁とガイド部材5の外周は隙間が無い状態で接合されている。これにより、第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合ガス70は、第一のガス供給口11から開口部5aまでの区間は第二のガス供給口21から供給される無酸素の不活性ガス80と分離され、さらに、排気90とも分離される。
以上の構造によって、第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合
ガス70は、第一のガス供給口11から開口部5aまでの区間は、無酸素の不活性ガス80との混合を抑制することができる。これにより、さらに酸素のモル濃度の低下を抑制した不活性ガスと酸素との混合ガス70を材料溶融液50の液面に供給することができる。
[実施例2の変形例の効果]
以上説明した本発明の実施例2の変形例によれば次に示す効果が得られる。
チャンバー40内に、仕切り部材4の下方に第一のガス供給口11を挟んでガイド部材5を設ける構造により、第一のガスの供給路が形成され、第一のガス供給口11から供給される不活性ガスと酸素との混合ガス70が、すぐに結晶育成室45内に拡散するのを抑えられるため、安定して材料溶融液50にガスを導くことができる。また、無酸素の不活性ガス80との混合が抑制されるので、さらに酸素のモル濃度の低下(組成変化)を抑制した不活性ガスと酸素との混合ガス70を材料溶融液50の液面に供給することができる。これにより、ルツボ8内の材料溶融液50からのGaガスの蒸発を防止する作用が安定し、結晶の欠陥が少なく高温環境下でも抵抗率の低下が少ない高品質のガレート酸化物結晶の製造が可能な製造方法及び製造装置を提供できる。
なお、図4(a)、(b)においては、仕切り部材4とガイド部材5は略同形状として説明したが、これに限定されず、ガイド部材5の開口5aが仕切り部材4の開口4aよりも大きくてもよい。例えば、ルツボの直径以上、仕切り部材4の開口4a以下のサイズとすれば、不活性ガスと酸素との混合ガス70は開口5aからルツボ方向、つまり材料溶融液50に拡散するためより均一に供給することができ便利である。
また、ガイド部材5と材料溶融液50との距離(供給路の高さ)、開口5aの大きさ等は限定されず、作製する単結晶60の外径、長さ、2つのガスの圧力差と流動状況等に応じて適切に変更してよい。また、2つのガスの流動性と分離性を考慮して、仕切り部材4とガイド部材5により形成されるガス供給路は、チャンバー内壁から単結晶側に向かって傾斜させてもよい。或いは、仕切り部材4とガイド部材5のどちらか一方を傾斜させてもよい。
また、仕切り部材4の開口部4aから材料溶融液50に向かって、円筒形の部材を設けても良い。これにより、第一の供給口11から供給された不活性ガスと酸素との混合ガス70は、円筒形の部材によって材料溶融液50に向かって流れるため、無酸素の不活性ガス80とは材料溶融液50の界面近傍で合流するのでより好ましい。
以上、各実施例で説明したように、ガレート酸化物結晶の作製において、結晶材料の溶融液から単結晶が成長する領域は不活性ガスと酸素との混合ガスの雰囲気中で材料溶融液から単結晶を育成し、育成された単結晶は順次、無酸素の不活性ガスの雰囲気中に移行されて保持するというガレート酸化物結晶の製造方法及び製造装置を提供できる。
1 筒部材
2 蓋部材
3 台座部材
4 仕切り部材
5 ガイド部材
6 結晶引き出し棒
7 結晶保持部材
8 ルツボ
11 第一のガス供給口(不活性ガスと酸素との混合ガスの供給口)
21 第二のガス供給口(無酸素の不活性ガスの供給口)
31 排気口
40 チャンバー
45 結晶育成室
46 結晶保持室
50 材料溶融液(結晶材料の溶融液、溶融液)
60 単結晶(ガレート酸化物結晶、結晶)
65 種結晶
70 不活性ガスと酸素との混合ガス
80 無酸素の不活性ガス
90 排気
100、200、300 ガレート酸化物結晶の結晶製造装置

Claims (7)

  1. チャンバー内にガレート酸化物結晶の材料が充填されたルツボを配置し、
    前記ルツボを加熱して前記材料を溶融した溶融液からの引き出しによって、ガレート酸化物結晶を育成するガレート酸化物結晶の製造方法において、
    前記溶融液の近傍に、不活性ガスと酸素との混合ガスを供給し、
    前記溶融液に対して、前記混合ガスの供給位置より離れた位置から、無酸素の不活性ガスを供給し、
    前記無酸素の不活性ガスの供給圧力を前記混合ガスの供給圧力よりも高い圧力とし、
    前記無酸素の不活性ガスによって前記混合ガスを前記溶融液側に押し下げることにより前記溶融液面を前記混合ガスで覆い、前記引き出しを行うことを特徴とするガレート酸化物結晶の製造方法。
  2. 前記ルツボが配置されている位置に対して、前記無酸素の不活性ガスを供給する供給位置とは反対となる側から、前記チャンバー内のガスを排気することを特徴とする請求項1に記載のガレート酸化物結晶の製造方法。
  3. ガレート酸化物結晶の材料が溶融した溶融液からの引き出しにより、ガレート酸化物結晶を製造する結晶製造装置において、
    チャンバー内に、前記溶融液が配置された近傍に不活性ガスと酸素との混合ガスを供給する第一のガス供給口と、
    前記溶融液が配置された位置に対して、前記第一のガス供給口より離れた位置に、無酸素の不活性ガスを供給する第二のガス供給口とを備え
    前記無酸素の不活性ガスの供給圧力は、前記混合ガスより高い圧力に設定可能であり、
    前記無酸素の不活性ガスによって前記混合ガスを前記溶融液側に押し下げることにより前記溶融液面を前記混合ガスで覆うことを特徴とするガレート酸化物結晶の結晶製造装置。
  4. 前記溶融液が配置された位置に対して、前記第二のガス供給口とは反対となる側に、前記チャンバー内から排気する排気口を備えることを特徴とする請求項に記載のガレート酸化物結晶の結晶製造装置。
  5. 前記チャンバーは、前記溶融液を配置する結晶育成室と、結晶保持室とに空間を分断するとともに、前記結晶育成室と前記結晶保持室との間には、前記結晶育成室から引き出した結晶が、前記結晶保持室に通過可能な開口が設けられている仕切り部材を有し、
    前記第一のガス供給口は、前記結晶育成室に設けられ、前記第二のガス供給口は、前記結晶保持室に設けられていることを特徴とする請求項又はに記載のガレート酸化物結晶の結晶製造装置。
  6. 前記結晶育成室の前記チャンバー内壁に、前記第一のガス供給口が設けられていることを特徴とする請求項に記載のガレート酸化物結晶の結晶製造装置。
  7. 前記結晶育成室は、引き出した前記結晶が通過可能な開口が設けられたガイド部材を有し、
    前記仕切り部材と前記ガイド部材とで囲まれた空間の前記チャンバー内壁に前記第一のガス供給口が設けられ、前記溶融液に前記混合ガスを導くガス供給路を有することを特徴とする請求項に記載のガレート酸化物結晶の結晶製造装置。
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