JP6244934B2 - 緩衝装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可動部材の動作を緩和させる緩衝装置に関する。
従来、可動部材の動作を所定の可動範囲で規制する際に当該可動部材の動作を緩和する機能を有する緩衝装置が利用されている。当該緩衝装置は、動作を緩和する機能の他に種々の機能を備える場合があり、可動部材の動作を検出するためのスイッチとして機能する場合や、可動部材に対して所定の反力(クリック感等)を与える部材として機能する場合がある。
例えば、特許文献1においては、ドーム状の膨出部を有するシート部材をスイッチ基板に配置するスイッチ構造において、シート部材の下面に膨出部から四方に延びる空気流通溝が形成される構造が開示されている。また、特許文献1においては、基板上の位置決め突起とシート部材の位置決め孔でシート部材の位置決めが行われる構造が開示されている。
さらに、特許文献2においては、ドーム状のラバースプリングの鍔部の下面に、ラバースプリングの空洞内部と外部とを結ぶ通気溝が形成される構造が開示されている。また、特許文献2においては、鍔部の周囲で鍔部を支えるホルダー部材によってラバースプリングの位置決めが行われる構造が開示されている。
特開2001−351465号公報 特開2002−190230号公報
従来の技術においては、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度が低かった。すなわち、特許文献1、特許文献2のいずれにおいてもドーム状の部材を基板等の支持部に取り付けるために専用の部位(特許文献1においては突起と孔、特許文献2においてはホルダー部材)が形成されている。従って、ドーム状の部材の他に専用の部材を他の構成部材と干渉しないように配置するための空間を確保する必要がある。従って、緩衝装置を鍵盤装置の内部など、複数の部品が配置される装置に配置する場合に、当該専用の部材を避けて複数の部品を配置する必要があり、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度が低かった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度を高める技術の提供を目的とする。
上述の目的を達成するため、弾性体で形成されたドーム部およびドーム部の底部においてドーム部の外壁の外側に延びるフランジ部を備えるドーム部材と、フランジ部においてドーム部材を支持する支持部材と、を備える緩衝装置であって、フランジ部と支持部材との少なくとも一方に、断面の一部がドーム部の内外の空気を互いに流通させる流通部であるとともに、断面の残部に流通部と異なる機能を有する部材が配置された穴が形成されている、緩衝装置を構成する。
すなわち、ドーム部材が支持部材で支持された緩衝装置において、弾性変形するドーム部の内外の空気を互いに流通させる機能と空気の流通とは異なる機能とを兼用する穴が、フランジ部と支持部材との少なくとも一方に形成される。このため、空気の流通とは異なる機能を実現するために専用の部材を設ける必要はなく、空気の流通部と兼用される穴で当該機能を実現することができる。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を設ける構成と比較して、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
ここで、ドーム部材は、ドーム部およびフランジ部を備えていれば良く、ドーム部は弾性体で形成されることにより、弾性体に可動部材が接触することによって変形し、その反力によって可動部材の動作に対して緩衝作用を与えることができればよい。ドーム部は、中空であれば良く、底部から頂部に向けて内径および外径が徐々にまたは段階的に小さくなるように構成されることが好ましい。また、ドームの形状は半球状であっても良いし、略矩形の形状であっても良い。むろん、ドームの内壁や外壁に種々の形状(例えば椀状の部位や可動部材の接触面となる部位)が形成されていても良い。
さらに、ドーム部は可動部材の接触によって弾性変形できるように弾性体で形成されていれば良い。従って、弾性体の素材は限定されず、ゴム等の各種の樹脂や弾性力を発生させる金属等、各種の素材で構成可能である。ドーム部において緩衝作用を発生させるためにドーム部から可動部材に作用する反力は0より大きければ良く、むろん、他の部材、例えば、ストッパと併用されることによって可動部材の可動範囲を規制する構成であっても良い。
フランジ部は、ドーム部の底部においてドーム部の外壁の外側に延びる部位であれば良い。すなわち、フランジ部がドーム部の底部の周囲に延びることにより、フランジ部からドーム部が突出するようにドーム部材が形成され、フランジ部においてドーム部材を支持することで支持部材からドーム部が突出し、可動部材をドーム部に接触させて緩衝作用を生じさせることができるように構成されていれば良い。また、フランジ部の形状は特に限定されない。例えば、ドーム部の底部が円形である場合に、フランジ部も当該円形の同心円状に円形の外周を有していても良いし、円形以外の形状、例えば、矩形であっても良い。むろん、複数のドーム部のフランジ部同士が連結される構成(シート状のフランジ部の複数の位置にドーム部が形成された構成)であってもよく、種々の構成を採用可能である。
支持部材は、フランジ部においてドーム部材を支持することができればよく、フランジ部を支持部材に取り付けることで支持部材にドーム部材が支持された状態となればよい。支持部材の形状は特に限定されず、薄い板状であっても良いしバルク状であっても良いし、種々の形状を想定可能である。また、支持部材は、複数の部材から構成されていても良く、複数個のドーム部材を複数個の支持部材で支持する構成であっても良いし、1個のドーム部材を複数個の支持部材で支持する構成であっても良い。後者としては、例えば、薄いフランジ部の両面を挟むことによってドーム部材を支持する支持部材を想定可能である。さらに、支持部材においてはドーム部材を支持する機能の他にも種々の機能を備えていて良く、例えば、支持部材が基板である構成等を想定可能である。
穴は、空気の流通と空気の流通以外の機能とが兼用されるように構成されれば良く、穴を構成する部位のいずれかの断面において、一部が流通部を構成し、残部(残部の全てまたは残部の一部)に流通部と異なる機能を有する部材が配置されていれば良い。流通部と異なる機能は、穴の一部に部材を配置することによって達成可能な機能であれば良く、当該機能を有する部材としては、例えば、ドーム部材を支持部材に取り付ける位置を決定する位置決め部材や、フランジ部を支持部材に対して取り付けるための取付部材、フランジ部が支持部材に保持されている力を調整するための調整部材、ドーム部材をスイッチの一部として利用する場合における接点への配線部材等を想定可能である。
なお、ドーム部材をスイッチの一部として利用する場合の構成例としては、例えば、ドーム部が当該ドーム部の内壁に可動接点を備え、支持部材が可動接点との接触が検出される固定接点を備えた基板である構成を想定可能である。この場合、配線部材は固定接点に対する配線部材であることが好ましい。配線部材としては、種々の形態を想定可能であり、基板上に形成された配線パターンであっても良いし、基板上の端子に接続される導電線であってもよい。前者の場合、例えば、スルーホールの内壁に配線部材が存在し、配線部材の内側が流通部となる構成を想定可能である。後者の場合、例えば、可撓性のある導電線を流通部からドーム部の内部に挿入して導電線の一端を固定接点に接続する構成等を採用可能である。むろん、可撓性のある導電線は被覆された銅線等のケーブルであってもよいし、フレキシブル基板のようなフィルム状の線であっても良い。
なお、穴は、位置決め部材や取付部材の位置を規定していても良いし、位置決め部材や取付部材と他の構成部材との間の遊び(隙間)を形成していても良い。また、取付部材においてフランジ部を支持部材に対して取り付けるための手段としては、例えば、ネジ等の締結手段を想定可能である。この場合、ネジ穴を構成するボス等が取付部材となり得る。むろん、ネジ以外にも、例えば、フック等によって取り付け可能に構成されていても良い。調整部材においてフランジ部が支持部材に保持されている力を調整するためには、支持部材に形成された穴に挿入可能な部位をフランジ部に形成し、当該穴に挿入された場合に弾性変形して挿入可能な部位が穴に挿入された状態で維持されるように、当該変形する部位を調整部材とする構成等を採用可能である。
さらに、穴が、フランジ部と支持部材とが接する部位において支持部材に形成される構成であっても良い。すなわち、フランジ部と支持部材とが接する部位は、フランジ部によって支持部が覆われるため、従来、他の構成要素が配置されることはなかった。しかし、フランジ部と支持部材とが接する部位において支持部材に穴を形成し、ドーム部の内側から穴の開口部に至る溝をフランジ部に形成すれば、ドーム部の内外の空気を互いに流通させることが可能になる。この構成によれば、従来においては有効利用されていなかった部位に穴を形成することができ、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることが可能である。
(1A)は本発明の一実施形態にかかる緩衝装置を備える鍵盤装置の説明図、(1B)はドーム部材を上方から眺めた状態を示す図、(1C)はドーム部材を下方から眺めた状態を示す図、(1D)は支持部材を上方から眺めた状態を示す図であり、(1E)は緩衝装置の拡大断面図である。 (2A)は本発明の一実施形態にかかる緩衝装置を備える鍵盤装置の説明図、(2B)はドーム部材を上方から眺めた状態を示す図、(2C)はドーム部材を下方から眺めた状態を示す図、(2D)は、緩衝装置の拡大断面図である。 (3A)は本発明の一実施形態にかかる緩衝装置を備える鍵盤装置の説明図、(3B)はドーム部材を上方から眺めた状態を示す図、(3C)はドーム部材を下方から眺めた状態を示す図、(3D)は支持部材を上方から眺めた状態を示す図であり、(3E)は緩衝装置の拡大断面図である。 (4A)および(4F)は、緩衝装置の拡大断面図、(4B)はドーム部材を上方から眺めた状態を示す図、(4C)はドーム部材を下方から眺めた状態を示す図、(4D)は支持部材を上方から眺めた状態を示す図、(4E)はリブおよびボスを下方から眺めた状態を示す図である。 (5A)(5C)(5E)(5F)は緩衝装置の構成を示す図、(5B)(5D)は挿入部の断面図である。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)鍵盤装置の構成:
(2)緩衝装置の構成:
(3)他の実施形態:
(1)鍵盤装置の構成:
図1Aは本発明の一実施形態にかかる緩衝装置を備える鍵盤装置1の主要部を説明する説明図である。ここでは、鍵盤装置1を演奏可能な状態に配置した状態(図1Aのように配置した状態)における上下を上下と定義し、鍵盤装置1の演奏者から見た左右を右左と定義し、鍵盤装置の演奏者から見た前後を後前とそれぞれ定義する。従って、図1Aの上下が上下に対応し、図1Aの左右が前後に対応し、図1Aの紙面奥側が右、紙面手前側が左に対応する。なお、後述する他の実施形態、および、図2以降も上下左右の定義は図1Aと同様である。
鍵盤装置1は、鍵10を複数個左右方向に並べて支持するための支持部20を備えており、支持部20は、当該支持部20の上部から上方に向けて延びる鍵回動支持部20aを備えている。鍵回動支持部20aは、支持点を中心にして各鍵10を回動可能に支持する。また、支持部20は、支持部20の上部から上方に向けて延びる鍵ガイド部材20bを備えており、鍵10の下部には当該鍵ガイド部材20bを挿入可能な穴が形成され、鍵10が回動する際に、当該穴から鍵ガイド部材20bが脱落しないように構成される。従って、鍵10は、鍵ガイド部材20bによって回動方向が規制される。
さらに、鍵10には、鍵10の下面から下方に延びるとともに支持部20に形成された穴を貫通するハンマー回動支持部10aが取り付けられている。ハンマー回動支持部10aの下方の先端には、左右方向に延びる円柱状の突起が取り付けられている。支持部20の上面は、前後方向の略中央で下方に突出する凹部20cが形成されており、当該凹部20cの下面の前側の端部にはハンマー21の挿入部21cに対して円柱状の突起を挿入することで当該挿入部21cを回動可能に支持する支持部20dが形成される。
また、ハンマー21の後側の端部には錘21aが取り付けられ、前側の端部にはハンマー回動支持部10aの先端の突起を挟むことにより、当該突起を回動中心にして回動可能な挿入部21bが形成される。当該挿入部21bは、2本の部材が一定の幅で延びることによってハンマー回動支持部10aの先端の突起を挟む構成となっているため、当該突起を回動中心にして回動がなされる際に挿入部21bと回動中心である突起との相対位置関係は変動し得る。一方、挿入部21cにおいては、支持部20dに形成された円柱状の突起の外周よりわずかに大きい内径の部位を有しており、当該部位に突起が挿入されるため、挿入部21cと回動中心である突起との相対位置関係は変動しない。
従って、ハンマー21は、通常は、錘21aに作用する重力によって錘21aがストッパ22aに接触する状態で維持されるが、鍵10が下方に押されるとハンマー回動支持部10aが下方に移動することに伴ってハンマー21が支持部20dを中心に回動する。支持部20の上面の後端部においては、錘21aの回動軌跡上にストッパ22bが取り付けられており、錘21aがストッパ22bに接触すると、ハンマー21の動作が規制され、鍵10が停止する。
以上のように、鍵盤装置1においては、押鍵によって鍵10が下方に回動し、押鍵が終了すると、錘21aに作用する重力によって鍵10が通常の位置に復帰するように構成される。本実施形態においては、この構成において押鍵の際にハンマー21の動作を緩和するとともに、押鍵されたことを検出するため、支持部20の凹部20cに緩衝装置30が取り付けられている。
(2)緩衝装置の構成:
緩衝装置30は、ドーム部材31と支持部材32とを備え、凹部20cの上面から上方に突出したフック20c1、突起20c2およびネジ23によって支持部20に対して取り付けられる。
図1Bはドーム部材31を上方から眺めた状態を示す図であり、図1Cはドーム部材31を下方から眺めた状態を示す図であり、図1Dは支持部材32を上方から眺めた状態を示す図である。なお、図1Dにおいては、支持部材32に取り付けられるネジ23も併記してある。また、図1Eは、図1Aに示すように緩衝装置30が支持部20に取り付けられた状態における拡大断面図であり、当該断面図の切断位置は図1Bに示す位置A−Aである。
本実施形態において、ドーム部材31は弾性体によって形成され、ドーム部31aとフランジ部31bとが一体的に形成される。ドーム部31aは中空であるとともに、底部Bから頂部Sに向けて(図1E参照)内径および外径が徐々に小さくなるように構成される。すなわち、ドーム部31aの壁面は底部Bからフランジ部31bに垂直な方向に支持部20の凹部20cの板厚を超える高さまで延び、所定の高さ以上の部位において、ドーム部31aの内径および外径が徐々に小さくなる。その後、さらに、ドーム部31aの壁面がフランジ部31bに垂直な方向に延びることによってドーム部31aを構成する。また、本実施形態において、ドーム部31aは、図1Aに示す前後方向に長く、左右方向に短い外形を有する。
ドーム部31aの頂部Sはハンマー21が接触する部位であり、1個の鍵10に対して1個のドーム部31aが対応するように複数個のドーム部31aが形成されて(図面上は5個、鍵の数に対応して複数個のドーム部材31が左右方向に並べられる)支持部20に取り付けられる。ドーム部材31は弾性体によって形成されるため、ハンマー21がドーム部31aの頂部Sに接触し、さらにドーム部31aを押しつぶすように動作すると、ドーム部31aが一方に長い形状であるとともに弾性体であることにより、所定の反作用がハンマー21に作用する。従って、ドーム部31aは、ハンマー21に対して緩衝作用があり、鍵10に対して所定の反力を付与する。
フランジ部31bは、ドーム部31aの底部においてドーム部31aの外壁の外側に延びる部位であり、本実施形態におけるフランジ部31bは薄いシート状の部位である。本実施形態においては、1個のシートから複数個のドーム部31a(図1Bに示す例では5個)が突出するようにして形成されるため、複数個のドーム部31aによってフランジ部31bが共用される状態となっている。すなわち、複数個のドーム部31aが1枚のシート状のフランジ部31bに支えられる状態となっている。
フランジ部31bにおいては、ドーム部31aの底部から複数方向に延びる溝31cが形成され、前後方向および角方向に延びる溝31cの端部においてフランジ部31bの厚さ方向に貫通する貫通穴31dが形成される。すなわち、溝31cは、フランジ部31bの厚さの約半分の深さの凹部であるとともに、図1B、図1Cにおいて左右方向に並ぶ5個のドーム部31aの中の中央の3個において、溝31cは、左右方向および前後方向の4方向に延びるように形成される。左右方向に延びる溝31cは、隣接するドーム部31aの内部まで貫通し、前後方向に延びる溝31cは、一端側はドーム部31aと連なり、前後方向の他端部に貫通穴31dが形成される。
図1B、図1Cにおいて左右方向に並ぶ5個のドーム部31aの中の端の2個において、溝31eがフランジ部31bの角方向の2方向に延び、溝31cがフランジ部31bの左右方向の1方向に延びるように形成される。左右方向の1方向に延びる溝31cは、一端側で隣接するドーム部31aの内部まで貫通している。フランジ部31bの角方向の2方向に延びる溝31eは、角方向の端部に貫通穴31fが形成される。なお、本実施形態において、貫通穴31dの形状はドーム部31aの配列方向に長く延びた長円形であり、貫通穴31fの形状はフランジ部31bの角方向に長く延びた長円形であり、当該貫通穴31d,31fには凹部20cに形成された突起20c2を挿入可能である。
支持部材32は、薄い板状の基板であり、左右方向の長さはドーム部材31の左右方向の長さと同一であり、前後方向の長さはドーム部材31の前後方向の長さよりも長い。本実施形態において支持部材32は、前後方向の一方(図1Dにおいては前方向)にフランジ部31bを取り付けることが可能である。すなわち、支持部材32においては、前方側においてフランジ部31bの貫通穴31dの位置に対応した位置に複数個の貫通穴32aが形成される。なお、本実施形態において、貫通穴32aの径は貫通穴31dの長手方向の長さとほぼ同一であり、当該貫通穴32aには凹部20cに形成された突起20c2を挿入可能である。
支持部20の凹部20cには、各ドーム部31aを下方に向けて突出させるための貫通穴20c3が形成されており、貫通穴20c3にドーム部31aを挿入した状態で支持部20の凹部20cにドーム部材31を取り付けるように構成される。すなわち、支持部20の凹部20cに形成された突起20c2は、1個のドーム部31aに対して2個対応づけられており、突出方向に垂直な方向の断面が長円形である。突起20c2の断面の長手方向の長さは、貫通穴31dの長手方向の長さとほぼ同一であるため、突起20c2を貫通穴31dに挿入することで、凹部20cとドーム部材31との相対位置関係を規定しながらドーム部材31を凹部20cに取り付けることができる。
また、貫通穴32aの径は貫通穴31dの長手方向の長さとほぼ同一であるため、突起20c2を貫通穴32aに挿入することで、ドーム部材31と支持部材32との相対位置関係を規定しながら支持部材32をドーム部材31に取り付けることができる。従って、突起20c2は、ドーム部材31を支持部材32に取り付ける位置を決定する位置決め部材として機能する。なお、支持部材32をドーム部材31に取り付けた状態において、支持部材32の前方側の端部は上述のフック20c1に取り付けられ、支持部材32の後方側はネジ23によって締結固定される。
一方、凹部20cに対してドーム部材31を取り付け、ドーム部材31に対して支持部材32を取り付けた状態においては、図1Eにおける突起20c2の周囲に示されるように溝31cと貫通穴32aとがつながった状態となり、ドーム部31aの内部と外部(支持部材32の上方側の空間)との空気を互いに流通させる流通部を形成している状態となる。従って、ハンマー21がドーム部31aの頂部Sに接触してドーム部31aを弾性変形させる際に、ドーム部31aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部31aを容易に変形させることが可能である。
さらに、本実施形態においては、溝31cと貫通穴32aとによって形成される流通部に隣接して突起20c2が存在する。そして、突起20c2は、ドーム部材31を支持部材32に取り付ける位置を決定する位置決め部材であるため、溝31c、貫通穴31dおよび貫通穴32aで形成される穴は、ドーム部31aの内外の空気を互いに流通させる機能と、ドーム部材31を支持部材32に取り付ける位置を決定する機能とを兼ね備えた穴である。
具体的には、図1Eに示すような支持部材32に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部が流通部であり、断面Cの残部が位置決め部材である突起20c2である。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である位置決め機能を実現するために専用の位置決め部材を設ける必要はなく、空気の流通部と兼用される穴で当該機能を実現することができる。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を設ける構成と比較して、緩衝装置30の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
なお、ドーム部31aの頂部Sは、ハンマー21のアクチュエータ21dが接触する部位であり、本実施形態においては、頂部Sから底部Bに向けて突出する中空の突起が3個形成される。当該3個の突起のうち中央に位置する突起の先端(ドーム部31aの内部の先端)は、鍵10の動作を検出するためのスイッチの可動接点である。すなわち、支持部材32は基板であり、当該可動接点が接触したことを検出するための固定接点が各ドーム部31aの内部に形成される。また、固定接点に対して可動接点が接触した場合、当該接触を示す信号が支持部材32上の図示しない配線に出力され、当該信号に基づいて各鍵10が押鍵された状態を特定することで、鍵10の演奏操作に応じた音を生成することが可能になる。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、空気を流通させるための機能と他の機能とが兼用される穴が形成される限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ドーム部材および支持部材が鍵に取り付けられる構成を採用しても良い。
(第2実施形態)
図2Aは本発明の一実施形態にかかる緩衝装置を備える鍵盤装置2の主要部を説明する説明図である。鍵盤装置2は、鍵100を複数個左右方向に並べて支持するための支持部200を備えており、支持部200は、当該支持部200の上部から上方に向けて延びる鍵回動支持部200aと、鍵100の左右方向の変位を規制する鍵ガイド200bとを備えている。鍵回動支持部200aは、支持点を中心にして各鍵100を回動可能に支持する。各鍵100の前方端には、下方に延びるとともに支持部200の前方端に形成された穴に挿入される鍵上限ストッパ100aを備えている。
鍵上限ストッパ100aは、下部において後方に屈曲する屈曲部を備え、当該屈曲部と支持部200の上面との間においては、支持部200の上面の裏側にストッパ220aが取り付けられている。また、鍵上限ストッパ100aが挿入される支持部200の穴は下方に延びており、鍵100が回動する際に当該穴から鍵上限ストッパ100aが脱落しないように構成される。従って、鍵100は、鍵上限ストッパ100aによって回動方向が規制される。
さらに、鍵100の下面と支持部200の上面とには、コイルバネ210が連結される。図2Aに示す状態は、鍵100の下面と支持部200の上面とに対してコイルバネ210が延びる方向の力が作用した状態である。従って、通常の状態においては鍵上限ストッパ100aがストッパ220aに接触した状態、すなわち、鍵100が図2Aに示す状態となっており、押鍵されると鍵100は鍵回動支持部200aの支持点を回動中心にして回動する。なお、支持部200の上面にはストッパ220bが取り付けられており、押鍵によって鍵100が回動すると、鍵100の下面がストッパ220bに接触して鍵100の動作が規制され、停止する。なお、上記の説明は白鍵で代表して説明したが、黒鍵110も同様の構造である。
以上のように、鍵盤装置2においては、押鍵によって鍵100が下方に回動し、押鍵が終了すると、コイルバネ210から鍵100に作用する力によって鍵100が通常の位置に復帰するように構成される。本実施形態においては、この構成において鍵100への押鍵の際に鍵100の動作を緩和するとともに、鍵100が押鍵されたことを検出するため、鍵100の下面に形成された凹部100bに緩衝装置300が取り付けられている。
緩衝装置300は、ドーム部材310と支持部材320とを備えており、支持部材320が凹部100bに取り付けられ、ドーム部材310が支持部材320に取り付けられる。図2Bはドーム部材310を上方から眺めた状態を示す図であり、図2Cはドーム部材310を下方から眺めた状態を示す図であり、図2Dは、図2Aに示すように緩衝装置300が支持部200に取り付けられた状態における拡大断面図であり、当該断面図の切断位置は図2Bに示す位置A−Aである。
支持部材320は凹部100bに嵌まる形状の板状の部材として形成されており、四隅のそれぞれに一方の面に略垂直な方向に延びる突起320aが形成される。本実施形態においては、当該突起320aが下方に向けられた状態で支持部材320が凹部100bに取り付けられる。
ドーム部材310は弾性体によって形成され、ドーム部310aとフランジ部310bとが一体的に形成される。ドーム部310aは中空であるとともに、底部Bから頂部Sに向けて(図2D参照)内径および外径が徐々に小さくなるように構成される。すなわち、ドーム部310aの壁面は底部Bからフランジ部310bに垂直な方向に延び、所定の高さ以上の部位において、ドーム部310aの内径および外径が徐々に小さくなる。その後、さらに、ドーム部310aの壁面がフランジ部310bに垂直な方向に延びることによってドーム部310aを構成する。また、本実施形態において、フランジ部310bに対して垂直な方向からドーム部310aを眺めた場合にドーム部31aは円形である。
支持部200の上面の、ドーム部310aの直下に相当する部位には上方に突出する凸部200cが形成されており、鍵100が回動する過程で頂部Sが当該凸部200cに接触する。鍵100がさらに回動してドーム部310aを押しつぶすように動作すると、ドーム部310aが弾性体であることにより、所定の反作用が鍵100に作用する。従って、ドーム部310aは、鍵100に対して緩衝作用がある。
フランジ部310bは、ドーム部310aの底部においてドーム部310aの外壁の外側に延びる部位であり、本実施形態におけるフランジ部310bは薄いシート状の部位である。本実施形態においては、1個のシートから1個のドーム部310aが突出するようにして形成される。
フランジ部310bにおいては、ドーム部310aの底部から4方向(フランジ部310bの角に向けた方向)に延びる溝310cと溝310cの端部においてフランジ部310bの厚さ方向に貫通する貫通穴310dとが形成される。すなわち、溝310cは、フランジ部310bの厚さの約半分の深さの凹部であるとともに、溝310cの端部に貫通穴310dが形成される。本実施形態において、貫通穴310dの形状は長円形であり、当該貫通穴310dには支持部材320に形成された突起320aを挿入可能である。
すなわち、支持部材320においては、フランジ部310bの貫通穴310dの位置に対応した位置に突起320aが形成されており、突起320aを貫通穴310dに挿入することで、支持部材320とドーム部材310との相対位置関係を規定しながらドーム部材310を支持部材320に取り付けることができる。従って、突起320aは、ドーム部材310を支持部材320に取り付ける位置を決定する位置決め部材として機能する。なお、図2Dに示す例において、突起320aは先端が太くなっており、当該太い部位が存在することによってドーム部材310が支持部材320から脱落しにくくなっている。むろん、当該太い部位はドーム部材310を支持部材320に取り付ける前に形成されていても良いし、ドーム部材310を支持部材320に取り付けた後に溶着等によって形成されても良い。
支持部材320に対してドーム部材310を取り付けた状態においては、図2Dに示すように溝310cおよび貫通穴310dで形成される一連の穴でドーム部310aの内外がつながった状態となり、ドーム部310aの内部と外部との空気を互いに流通させる流通部を形成する状態となる。従って、鍵100がドーム部310aの頂部Sに接触してドーム部310aを弾性変形させる際に、ドーム部310aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部310aを容易に変形させることが可能である。
さらに、本実施形態においては、溝310cと貫通穴310dとによって形成される流通部に隣接して決定する位置決め部材として機能する突起320aが存在する。従って、溝310c、貫通穴310dで形成される穴は、ドーム部310aの内外の空気を互いに流通させる機能と、ドーム部材310を支持部材320に取り付ける位置を決定する機能とを兼ね備えた穴である。
具体的には、図2Dに示すような支持部材320に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部が流通部であり、断面Cの残部が位置決め部材である突起320aである。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である位置決め機能を実現するために専用の位置決め部材を設ける必要はなく、空気の流通部と兼用される穴で当該機能を実現することができる。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を設ける構成と比較して、緩衝装置300の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
なお、ドーム部310aの頂部Sは、鍵100の回動によって弾性変形する部位であり、ドーム部310aの内部における頂部Sの裏側には鍵100の動作を検出するためのスイッチの可動接点310eが取り付けられている。すなわち、ドーム部材310は、支持部材320とドーム部材310との間にフレキシブル基板320cが挟まれた状態で支持部材320に取り付けられており、フレキシブル基板320cには可動接点310eが接触したことを検出するための固定接点320bが取り付けられている。固定接点320bに対して可動接点が接触した場合、当該接触を示す信号がフレキシブル基板320c上の図示しない配線に出力され、当該信号に基づいて各鍵100が押鍵された状態を特定することで、鍵100の演奏操作に応じた音を生成することが可能になる。
(第3実施形態)
図3Aは本発明の一実施形態にかかる緩衝装置を備える鍵盤装置3の主要部を説明する説明図である。鍵盤装置3は、鍵上限ストッパの向きと、緩衝装置の構造、取付構造等を除き、図2と同様の構造を有しており、同様の構造については同一の図番を付し、その説明を省略する。本実施形態においては、この構成において鍵100への押鍵の際に鍵100の動作を緩和するとともに、鍵100が押鍵されたことを検出するため、支持部200の上部に緩衝装置301が取り付けられている。
緩衝装置301は、ドーム部材311と支持部材321とを備えており、支持部200の上部から下方に延びる支柱201cに支持部材321が取り付けられ、支持部材321上にドーム部材311が取り付けられることにより、緩衝装置301が支持部200に取り付けられる。
図3Bはドーム部材311を上方から眺めた状態を示す図であり、図3Cはドーム部材311を下方から眺めた状態を示す図であり、図3Dは支持部材321を上方から眺めた状態を示す図である。また、図3Eは、図3Aに示すように緩衝装置301が支持部200に取り付けられた状態における拡大断面図であり、当該断面図の切断位置は図3Cに示す位置A−Aおよび位置D−Dである。
本実施形態において、ドーム部材311は弾性体によって形成され、ドーム部311aとフランジ部311bとが一体的に形成される。ドーム部311aは中空であるとともに、底部Bから頂部Sに向けて(図3E参照)内径および外径が徐々に小さくなるように構成される。すなわち、ドーム部311aの壁面は底部Bからフランジ部311bに垂直な方向に延び、所定の高さ以上の部位において、ドーム部311aの内径および外径が徐々に小さくなる。その後、さらに、ドーム部311aの壁面がフランジ部311bに垂直な方向に延びることによってドーム部311aを構成する。また、本実施形態において、フランジ部311bに対して垂直な方向からドーム部311aを眺めた場合にドーム部31aは円形である。
ドーム部311aの頂部Sは鍵100の下面から突出する突起101bが接触する部位でありドーム部材311は弾性体によって形成される。従って、鍵100の回動によって突起101bがドーム部311aの頂部Sに接触し、さらにドーム部311aを押しつぶすように動作すると、所定の反作用が鍵100に作用する。従って、ドーム部311aは、鍵100に対して緩衝作用がある。
フランジ部311bは、ドーム部311aの底部においてドーム部311aの外壁の外側に延びる部位であり、本実施形態におけるフランジ部311bは薄いシート状の部位である。本実施形態においては、1個のシートから複数個のドーム部311a(図3Bに示す例では5個)が突出するようにして形成されるため、複数個のドーム部311aによってフランジ部311bが共用される状態となっている。すなわち、複数個のドーム部311aが1枚のシート状のフランジ部311bに支えられる状態となっている。
フランジ部311bにおいては、ドーム部311aが並ぶ方向(左右方向)に平行な方向および垂直な方向に複数個の溝311cが形成されており、各溝311cとドーム部311aの内部がつながっている。すなわち、溝311cは、フランジ部311bの厚さの約半分の深さの凹部であるとともに、図3B、図3Cにおいて左右方向に並ぶ5個のドーム部311aの中の中央の3個において、溝311cは、左右方向の2方向に延びるように形成される。左右方向に延びる溝311cは、隣接するドーム部311aの内部まで貫通している。隣接するドーム部311aの間には前後方向に延びる溝311cが形成され、当該前後方向に延びる溝311cはドーム部311aの前方および後方で左右方向に延びる溝311cに連結される。
ドーム部311aの前方および後方で左右方向に延びる溝311cのそれぞれには下方から眺めた場合に円形となる凹部が形成されており、当該凹部の中心には凹部よりも径の小さい円形の貫通穴311dが4カ所に形成される。なお、本実施形態において、貫通穴311dの形状は円形であり、当該貫通穴311dには支持部200の上面から下方に延びる突起231を挿入可能である。すなわち、突起231は、先端部と根元の部位とで径が変わる略柱状の部材であり、先端部の細い径の部分を貫通穴311dに挿入することが可能である。
支持部材321は、薄い板状の基板であり、左右方向の長さは複数の鍵100を左右方向に並べた場合の長さより長く、前後方向の長さはドーム部材311の前後方向の長さよりも長い。本実施形態において支持部材321には、左右方向に複数個、前後方向の2個並ぶように貫通穴321aが形成される。なお、貫通穴321aは貫通穴311dに対応する位置に形成されており、支持部材321とドーム部材311とを重ねた場合に貫通穴311dと貫通穴321aと溝311cの円形の凹部とによって一連の貫通穴を形成することができる。また、本実施形態において、貫通穴321aの径は貫通穴311dの円形の凹部の径とほぼ同一であり、当該貫通穴311dの径よりも小さい。
ドーム部材311は、突起231の先端部の細い径の部分が貫通穴311dに挿入された状態で、支持部材321をドーム部材311の下方に配置して支柱201cに取り付けることによって、支柱201cと支持部材321との間に取り付けられる。一方、突起231の先端の径は支持部材321の貫通穴321aの径より細いため、貫通穴321aは突起231の寸法ずれ等を保証するための遊び(隙間)となっている。ただし、支持部材321の取付位置は支柱201cによって規定され、支柱201cと突起231とは支持部200に取り付けられている。従って、本実施形態においては、突起231によってドーム部材311と支持部材321との相対位置関係を規定しながらドーム部材311を支持部200に取り付けることができる。このため、突起231は、ドーム部材311を支持部材321に取り付ける位置を決定する位置決め部材として機能する。
一方、突起231と支持部材321との間にドーム部材311を取り付けた状態においては、貫通穴321aを除き、ドーム部材311の溝311cが支持部材321で覆われた状態となる。従って、溝311cおよび貫通穴321aを介して、ドーム部311aの内部と外部(支持部材321の下方側の空間)とがつながった状態となる。すなわち、ドーム部311aの内部と外部との空気を互いに流通させる流通部が形成される状態となる。従って、鍵100の突起101bがドーム部311aの頂部Sに接触してドーム部311aを弾性変形させる際に、ドーム部311aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部311aを容易に変形させることが可能である。
さらに、本実施形態においては、突起231が溝311cおよび貫通穴321aによって形成される流通部を貫通している。そして、突起231は、ドーム部材311を支持部材321に取り付ける位置を決定する位置決め部材である。従って、図3Eに示すような支持部材321に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部が流通部であり、断面Cの残部が位置決め部材である突起231である。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である位置決め機能を実現するために専用の位置決め部材を設ける必要はない。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を他の位置に設ける構成と比較して、緩衝装置301の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
なお、ドーム部311aの頂部Sは、鍵100が接触する部位であり、本実施形態においては、頂部Sから底部Bに向けて突出する中空の突起が形成される。当該突起の先端(ドーム部311aの内部の先端)は、鍵100の動作を検出するためのスイッチの可動接点である。すなわち、支持部材321は基板であり、当該可動接点が接触したことを検出するための図示しない固定接点が各ドーム部311aの内部に形成される。また、固定接点に対して可動接点が接触した場合、当該接触を示す信号が支持部材321上の図示しない配線に出力され、当該信号に基づいて各鍵100が押鍵された状態を特定することで、鍵100の演奏操作に応じた音を生成することが可能になる。
(第4実施形態)
さらに、図3Aに示す鍵盤装置3において、突起231の代わりにリブとボスとを利用したネジによる締結によって図3Aに示す緩衝装置301と異なる緩衝装置302を支持部200に取り付ける構成としても良い。図4A〜図4Fは、当該緩衝装置302と周囲のリブおよびボスを詳細に示す図であり、緩衝装置302はこれらの図に示すドーム部311および支持部材321を備えている。図4Bはドーム部材311を上方から眺めた状態を示す図であり、図4Cはドーム部材311を下方から眺めた状態を示す図であり、図4Dは支持部材321を上方から眺めた状態を示す図である。図4Eはリブ202cおよびボス202dを下方から眺めた状態を示す図である。図4Aおよび図4Fは、緩衝装置302が支持部200に取り付けられた状態における拡大断面図である。図4Aに示す断面図の切断位置は図4Bに示す位置A−Aおよび位置D−Dであり、図4Fに示す断面図の切断位置は図4Cに示す位置E−Eである。
緩衝装置302は、ドーム部材311と支持部材321とを備えており、支持部200の上部から下方に延びるボス202dに支持部材321が取り付けられる。すなわち、支持部200の上部から下方および左右方向に延びるリブ202cの間および端に一定間隔でボス202dが形成されており、ボス202dはネジ232を取り付けられるネジ穴となっている。ボス202dの上下方向の長さはリブ202cの上下方向の長さよりもフランジ部311bの厚さに相当する長さだけ長く、ボス202dの下端がリブ202cの下端より突出する。支持部材321およびドーム部材311には、ボス202dに対応する位置に貫通穴が形成されており(詳細は後述)、当該ボス202dの下端をドーム部材311の貫通穴に挿入した状態で、支持部材321の貫通穴にネジを取り付けることによって緩衝装置302が支持部200に取り付けられる。
本実施形態において、ドーム部材311は貫通穴312d、緩衝装置302の取付構造等を除き、図3と同様の構造を有しており、同様の構造については同一の図番を付し、その説明を省略する。
ドーム部311aの前方および後方で左右方向に延びる溝311cのそれぞれには下方から眺めた場合に円形となる貫通穴312dが4カ所に形成される。当該貫通穴312dの内径はボス202dの外形よりわずかに大きいため、上述のようにボス202dに対して貫通穴312dに挿入可能である。
支持部材321は、薄い板状の基板であり、左右方向の長さは複数の鍵100を左右方向に並べた場合の長さより長く、前後方向の長さはドーム部材311の前後方向の長さよりも長い。本実施形態において支持部材321には、左右方向に複数個、前後方向の2個並ぶように貫通穴321aが形成される。なお、貫通穴321aは貫通穴312dに対応する位置に形成されており、支持部材321とドーム部材311とを重ねた場合に貫通穴312dと貫通穴321aとによって一連の貫通穴を形成することができる。また、本実施形態において、貫通穴321aは左右方向に長い長円形であり、幅はネジ232を締結のために挿入可能な幅であるとともに、長さはネジ232のネジ頭の径よりも長い。
ドーム部材311は、ボス202dの下端が貫通穴312dに挿入された状態で支持部材321をドーム部材311の下方に配置し、ネジ232をボス202dに締め付けることによって、リブ202cと支持部材321との間に取り付けられる。従って、本実施形態においては、ボス202dおよびネジ232によってドーム部材311と支持部材321との相対位置関係を規定しながらドーム部材311を支持部200に取り付けることができる。このため、ボス202dおよびネジ232は、ドーム部材311を支持部材321に取り付ける位置を決定する位置決め部材として機能する。
一方、リブ202cと支持部材321との間にドーム部材311を取り付けた状態においては、貫通穴321aを除き、ドーム部材311の溝311cが支持部材321で覆われた状態となる。また、貫通穴321aの左右方向の長さは、ネジ232のネジ頭の径よりも長い。従って、溝311cおよび貫通穴321aを介して、ドーム部311aの内部と外部(支持部材321の下方側の空間)とがつながった状態となる。すなわち、ドーム部311aの内部と外部との空気を互いに流通させる流通部が形成される状態となる。従って、鍵100の突起101bがドーム部311aの頂部Sに接触してドーム部311aを弾性変形させる際に、ドーム部311aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部311aを容易に変形させることが可能である。
さらに、本実施形態においては、ボス202dおよびネジ232が溝311cおよび貫通穴321aによって形成される流通部を貫通している。そして、ボス202dおよびネジ232は、ドーム部材311を支持部材321に取り付ける位置を決定する位置決め部材である。従って、図4Aに示すような支持部材321に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部が流通部であり、断面Cの残部が位置決め部材であるボス202dおよびネジ232である。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である位置決め機能を実現するために専用の位置決め部材を設ける必要はない。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を他の位置に設ける構成と比較して、緩衝装置302の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
なお、ドーム部311aの頂部Sは、鍵100が接触する部位であり、本実施形態においては、頂部Sから底部Bに向けて突出する中空の突起が形成される。当該突起の先端(ドーム部311aの内部の先端)は、鍵100の動作を検出するためのスイッチの可動接点である。すなわち、支持部材321は基板であり、当該可動接点が接触したことを検出するための図示しない固定接点が各ドーム部311aの内部に形成される。また、固定接点に対して可動接点が接触した場合、当該接触を示す信号が支持部材321上の図示しない配線に出力され、当該信号に基づいて各鍵100が押鍵された状態を特定することで、鍵100の演奏操作に応じた音を生成することが可能になる。
(変形例)
本発明の各実施の形態では、種々の変形例が考えられる。例えば、ドーム部材と支持部材との相対位置関係を規定する位置決め部材がドーム部材に形成されていても良い。図5Aは、ドーム部材313および支持部材323によって構成される緩衝装置の構成を示す図であり、ドーム部材313が支持部材323に取り付けられた状態を示す断面図である。同図に示す例において、ドーム部材313は、薄い板状のフランジ部313bと底部Bから頂部Sに向けてフランジ部313bに対して垂直な方向に突出するドーム部313aとを備えている。また、フランジ部313bは、底部Bから頂部Sと逆側に向けてフランジ部313bに対して垂直な方向に延びる挿入部313dを備えている。
挿入部313dは中空であるとともに挿入部313dの外壁の一部が切り欠かれており、挿入部313dの軸に垂直な方向の断面(切断位置Cにおける断面)は図5Bに示す形状となっている。また、挿入部313dの外径は板状の支持部材323に形成された貫通穴323aの径よりもわずかに大きくなっている。従って、挿入部313dの外径を小さくするように弾性変形させながら貫通穴323aに挿入部313dを挿入することができる。このように、挿入部313dは、ドーム部材313と支持部材323との相対位置関係を規定する位置決め部材であるとともに、位置決め部材(挿入部313d)から貫通穴323aに作用する力の調整部材として機能する。
さらに、フランジ部313bにおいては、ドーム部313aの内部と挿入部313dの中空部とを連結する溝313cが形成される。従って、溝313cおよび挿入部313dの中空部を介して、ドーム部313aの内部と外部とがつながった状態となる。すなわち、ドーム部313aの内部と外部との空気を互いに流通させる流通部が形成される状態となる。従って、鍵等の可動部材が頂部Sに接触してドーム部313aを弾性変形させる際に、ドーム部313aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部313aを容易に変形させることが可能である。
さらに、図5Aに示すような支持部材323に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部が流通部であり、断面Cの残部が位置決め部材および位置決め部材から貫通穴323aに作用する弾性力の調整部材である。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である位置決め機能および弾性力調整機能を実現するために専用の位置決め部材を設ける必要はない。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を他の位置に設ける構成と比較して、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
なお、挿入部313dの形状は図5A,図5Bに示す例に限定されない。例えば、図5Cに示すように、断面Cにおける切断面の形状(図5D参照)が十字状になる挿入部314dを備えるドーム部材314を形成しても良い。
さらに、弾性力を調整するための部材以外の部材が空気の流通部に挿入される構成であっても良い。図5Eは、ドーム部材315および支持部材325によって構成される緩衝装置の構成を示す図であり、ドーム部材315が支持部材325に取り付けられた状態を示す断面図である。同図に示す例において、ドーム部材315は、薄い板状のフランジ部315bと底部Bから頂部Sに向けてフランジ部315bに対して垂直な方向に突出するドーム部315aとを備えており、ドーム部材315は接着等によって支持部材325に取り付けられる。
さらに、支持部材325には貫通穴325aが形成されており、ドーム部材315は貫通穴325aの一方の端部がドーム部315aの内部で開口するように支持部材325に対して取り付けられる。従って、鍵等の可動部材が頂部Sに接触してドーム部315aを弾性変形させる際に、ドーム部315aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部315aを容易に変形させることが可能である。
本実施形態においては、ドーム部315aの頂部Sの裏側には、鍵の動作を検出するためのスイッチの可動接点315eが取り付けられている。また、ドーム部315aの内部においては、支持部材325上に固定接点315fが取り付けられている。そして、当該固定接点315fに対しては信号線315gが接続されており、固定接点315fに対して可動接点315eが接触した場合、当該接触を示す信号が信号線315gに出力され、当該信号に基づいて各鍵が押鍵された状態を特定することで、鍵の演奏操作に応じた音を生成することが可能になる。
以上の構成において、図5Eに示すような支持部材325に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部がドーム部315aの内外の空気を流通させる流通部であり、断面Cの残部が信号線315gからなる配線部材である。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である配線機能を実現するために専用の配線スペースを設ける必要はない。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を他の位置に設ける構成と比較して、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
さらに、スイッチの配線のための部材は可撓性のあるケーブルに限定されない。図5Fは、ドーム部材316および支持部材326によって構成される緩衝装置の構成を示す図であり、ドーム部材316が支持部材326に取り付けられた状態を示す断面図である。同図に示す例において、ドーム部材316は、薄い板状のフランジ部316bと底部Bから頂部Sに向けてフランジ部316bに対して垂直な方向に突出するドーム部316aとを備えており、ドーム部材316は接着等によって支持部材326に取り付けられる。
さらに、支持部材326には貫通穴326aが形成されており、ドーム部材316は貫通穴326aの一方の端部がフランジ部316bの直下に配置された状態で支持部材326に対して取り付けられる。また、フランジ部316bにおいては、ドーム部316aの内部と貫通穴326aの開口部とを連結する溝316cが形成される。従って、溝316cおよび貫通穴326aを介して、ドーム部316aの内部と外部とがつながった状態となる。すなわち、ドーム部316aの内部と外部との空気を互いに流通させる流通部が形成される状態となる。従って、鍵等の可動部材が頂部Sに接触してドーム部316aを弾性変形させる際に、ドーム部316aの内部の空気が外部に流通し、ドーム部316aを容易に変形させることが可能である。
本実施形態においては、ドーム部316aの頂部Sの裏側には、鍵の動作を検出するためのスイッチの可動接点316eが取り付けられている。また、支持部材326は基板であり、ドーム部316aの内部の支持部材326上に固定接点316fが形成される。そして、当該固定接点316fに対しては支持部材326上の配線が接続されるとともに当該配線は貫通穴326aの内壁に形成された配線316gに接続される。そして、固定接点316fに対して可動接点316eが接触した場合、当該接触を示す信号が配線316gに出力され、当該信号に基づいて各鍵が押鍵された状態を特定することで、鍵の演奏操作に応じた音を生成することが可能になる。
以上の構成において、図5Eに示すような支持部材326に平行に切断した断面Cを想定すると、当該断面Cの一部がドーム部316aの内外の空気を流通させる流通部であり、断面Cの残部が配線316gからなる配線部材である。以上の構成によれば、空気の流通とは異なる機能である配線機能を実現するために専用の配線スペースを設ける必要はない。従って、空気の流通と異なる機能を実現するために専用の部材を他の位置に設ける構成と比較して、緩衝装置の周囲の空間を利用する際の自由度を高めることができる。
なお、以上の例においては、断面の一部がドーム部の内外の空気を互いに流通させる流通部であるとともに、断面の残部に流通部と異なる機能を有する部材が配置された穴が形成されており、当該流通部と異なる機能を有する部材は断面の残部の全てを占めていた。しかし、当該流通部と異なる機能を有する部材は断面の残部の少なくとも一部を占めていれば良く、他の部材が存在しても良い。例えば、断面を残部が位置決めの部材と配線部材とである構成等を採用可能である。
10…鍵、10a…ハンマー回動支持部、20…支持部、20a…鍵回動支持部、20b…鍵ガイド部材、20c…凹部、20c1…フック、20c2…突起、20c3…貫通穴、20d…支持部、21…ハンマー、21a…錘、21b…挿入部、21c…挿入部、22a,22b…ストッパ、23…ネジ、30…緩衝装置、31…ドーム部材、31a…ドーム部、31b…フランジ部、31c…溝、31d…貫通穴、32…支持部材、32a…貫通穴

Claims (4)

  1. 弾性体で形成されたドーム部および前記ドーム部の底部において前記ドーム部の外壁の外側に延びるフランジ部を備えるドーム部材と、
    前記フランジ部において前記ドーム部材を支持する支持部材と、を備える緩衝装置であって、
    前記フランジ部、または前記フランジ部と前記支持部材との両方に、
    断面の一部が前記ドーム部の内外の空気を互いに流通させる流通部であるとともに、前記断面の残部に前記ドーム部を前記支持部材に取り付ける位置を決定する位置決め部材が配置された穴が形成され、
    前記位置決め部材に連結された支持部と前記支持部材とで前記フランジ部が挟まれて固定される緩衝装置。
  2. 前記穴は、前記フランジ部と前記支持部材とが接する部位において前記支持部材に形成されており、
    前記フランジ部には、前記ドーム部の内側から前記穴の開口部に至る溝が形成されている、
    請求項1に記載の緩衝装置。
  3. 前記ドーム部は当該ドーム部の内壁に可動接点を備え、
    前記支持部材は前記可動接点との接触が検出される固定接点を備えた基板であり、
    前記固定接点に対する配線部材が前記穴に配置される、
    請求項1または請求項2に記載の緩衝装置。
  4. 弾性体で形成されるとともに内壁に可動接点を備えたドーム部および前記ドーム部の底部において前記ドーム部の外壁の外側に延びるフランジ部を備えるドーム部材と、
    前記フランジ部において前記ドーム部材を支持するとともに前記可動接点との接触が検出される固定接点を備えた基板である支持部材と、を備える緩衝装置であって、
    前記フランジ部、または前記フランジ部と前記支持部材との両方に、
    断面の一部が前記ドーム部の内外の空気を互いに流通させる流通部であるとともに、前記断面の残部に前記ドーム部を前記支持部材に取り付ける位置を決定する位置決め部材と、前記固定接点に対する配線部材とが配置された穴が形成され、
    前記位置決め部材に連結された支持部と前記支持部材とで前記フランジ部が挟まれて固定される緩衝装置。
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