JP6244564B2 - ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物加工品の瓜臭低減方法及びウリ科果実加工品の製造方法 - Google Patents

ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物加工品の瓜臭低減方法及びウリ科果実加工品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物加工品の瓜臭低減方法及びウリ科果実加工品の製造方法に関する。
すいか、メロン、キュウリ等のウリ科果実は沖縄県から北海道まで日本各地で栽培されている。他方、特定の地域にこれらの生産地が集中する産地形成も進んでいる。例えば、山形県のすいかの生産量は全国で第3位の生産量を誇り(栽培面積911ha、生産量36,200t、平成23年度野菜生産出荷統計、農林水産省)、7月から8月にかけて出荷される夏すいかの生産量は全国で第1位となっている。このため、生食用の基準を満たさない規格外果実が県内で大量に発生する。規格外果実は変形や空洞、糖度不足等の理由で出荷されずに廃棄されるが、食味は生食用果実と殆ど変わらない場合が多い。
規格外果実の加工品の開発は、規格外果実の有効利用、廃棄物量の低減等の観点から有益である。ウリ科果実においても多様な加工品の開発が進んでいる。すいかの場合でいえば、すいか加工品として伝統的に製造されている摘果果実の漬物や果汁を煮詰めた「すいか糖」のほか、近年は「すいかサイダー」や「すいかワイン」等の飲料も製造されている。
しかしながら、ウリ科果実の果汁を利用した加工品は果汁率が低く、生の果実の風味が充分に活かされていない場合が多い。ウリ科果実加工品の果汁率が低い理由のひとつとして、果実を加工する過程で発生する不快な「瓜臭」の存在が挙げられる。従って、瓜臭を低減することはウリ科果実加工品の開発において非常に有益である。
ウリ科果実の瓜臭の主な原因物質としては、スミレ葉アルデヒドが知られている(非特許文献1参照)。ウリ科果実にはスミレ葉アルデヒドのほか、キュウリアルコール等のアルコール類、アルデヒド類が含まれており、これらの成分が複合して香りを形成しているとされている。
ウリ科果実の瓜臭を低減する方法として、特許文献1にはメロンの瓜臭を低減する方法が記載されている。この方法では、メロンを追熟させることによって発生する酢酸エチルが瓜臭のマスキングに有効であることに着目し、メロン果実に酢酸とエタノールを注入して酢酸エチルの発生量を増加させることによって瓜臭を低減している。また、特許文献2にはウリ科果実の果汁に塩化メチレンを加えて瓜臭原因物質等を抽出、除去する方法が記載されている。
特開2012−157339号公報 特許3466191号公報
畑中顯和、「みどりの香り−植物の偉大な知恵」、丸善株式会社(2005)
特許文献1に記載の方法は、瓜臭を香りの強い他の物質でマスキングするものであり、原因物質を除去するものではない。特許文献2に記載の方法は、有機溶媒である塩化メチレンを果汁に添加して瓜臭原因物質等を抽出、除去するというものであり、工程が複雑である。
本発明は上記状況に鑑み、ウリ科果実加工品の新規な瓜臭低減方法、及びウリ科果実加工品の新規な製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1>ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を加熱処理する工程と、を含む、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
<2>前記中性アミノ酸の含有率は前記混合物全体の0.1質量%以上である、<1>に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
<3>前記中性アミノ酸はアラニン、ロイシン、グリシン及びイソロイシンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>又は<2>に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
<4>前記加熱処理は、加熱温度が70℃以上となるように行われる、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
<5>前記加熱処理は、加熱時間が5分以上となるように行われる、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
<6>前記ウリ科果実はすいか、メロン及びキュウリからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
<7>ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を加熱処理する工程と、を含む、ウリ科果実加工品の製造方法。
本発明によれば、ウリ科果実加工品の新規な瓜臭低減方法、及びウリ科果実加工品の新規な製造方法を提供することができる。
すいか果汁に含まれる香気成分のガスクロマトグラムである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても当該工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。「瓜臭低減」には、瓜臭を感じられなくすること、本発明の瓜臭低減方法を実施する前よりも瓜臭を弱くすること、及び本発明の瓜臭低減方法を実施しない場合よりも瓜臭を弱くすることを含む。
<ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法>
本発明のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法は、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る工程(以下、混合物調製工程ともいう)と、前記混合物を加熱処理する工程(以下、加熱処理工程ともいう)と、を含む。前記方法によれば、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭を低減することができる。
本発明の方法により瓜臭が低減される理由について、本発明者らは以下のように考えている。ウリ科果実の瓜臭は、搾汁直後から時間を経るに従って強くなる傾向にある。本発明者らは、ウリ科果実に含まれるキュウリアルコール((2E,6Z)−nonadienol)が化学的酸化又は酵素反応により、下記反応式に示すようにスミレ葉アルデヒド((2E,6Z)−nonadienal)に変化し、スミレ葉アルデヒドが増加することがその原因のひとつであると考えた。従って、スミレ葉アルデヒドを減少させる又は生成を抑制することが瓜臭の低減につながると考えた。
本発明者らは上記仮説に基づき、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物にスミレ葉アルデヒドと反応しうる化合物を添加して反応させ、瓜臭を低減させる方法について検討した。その結果、中性アミノ酸をウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物に添加して加熱すると、瓜臭が低減することを見出した。
中性アミノ酸の添加及び加熱によってウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭が低減される理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、スミレ葉アルデヒドのカルボニル基と中性アミノ酸のアミノ基とが加熱により下記反応式(Rは水素原子又は1価の有機基である)に示すように反応して無臭の物質を生成することで、スミレ葉アルデヒドに由来する瓜臭が低減すると推測している。もっとも、この推測は本発明の範囲を何ら制限するものではない。
(混合物調製工程)
混合物調製工程では、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る。前記混合物を得る方法は特に制限されず、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物を得た後に中性アミノ酸を添加しても、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物を得る工程の中で中性アミノ酸を添加してもよい。
本発明の瓜臭低減方法で使用するウリ科果実の種類は特に制限されず、すいか、メロン、キュウリ、ゴーヤ、カボチャ、マクワウリ、ズッキーニ等の果実を使用することができ、すいか、メロン及びキュウリが一般的に使用される。ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物を得る方法は特に制限されず、一般に行われている方法から選択できる。例えば、果実を洗浄し、皮をむき、カットした果肉を磨砕式搾汁機等で磨砕することで果肉粉砕物を得ることができる。さらに、得られた果肉粉砕物から遠心分離等の方法により果肉を分離することで果汁を得ることができる。
本発明の瓜臭低減方法で使用する果汁又は果肉粉砕物の状態は特に制限されず、生の果実から得られたそのままの状態であっても、冷凍保存後に解凍したものであってもよい。
本発明の瓜臭低減方法で使用する中性アミノ酸は特に制限されず、本発明の効果が得られる範囲で選択することができる。本発明で使用する中性アミノ酸はカルボキシ基とアミノ基を1つずつ有するアミノ酸であり、具体的にはグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン等を挙げることができる。風味の観点からは、アラニン及びロイシンが好ましい。中性アミノ酸は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。後述する実施例に示すように、中性アミノ酸は酸性アミノ酸や塩基性アミノ酸に比べて瓜臭の低減効果が大きく、味に対する影響も小さい。よって本発明の瓜臭低減方法では中性アミノ酸を使用する。
ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物に対する中性アミノ酸の添加量は、本発明の効果が得られる範囲で適宜設定することができる。例えば、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物全体における中性アミノ酸の含有率(添加割合)は0.1質量%〜2.0質量%の範囲内から選択でき、0.1質量%〜1.5質量%の範囲内から選択することが好ましく、0.1質量%〜1.0質量%の範囲内から選択することがより好ましい。より効果的に瓜臭を低減する観点からは、中性アミノ酸の含有率は0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。
ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物へ中性アミノ酸を添加する方法は特に制限されない。例えば、中性アミノ酸粉末を果汁に直接添加し、よく撹拌することによって行うことができる。
(加熱処理工程)
加熱処理工程では、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を加熱する。加熱処理の条件(加熱温度、加熱時間等)は、本発明の効果が得られる範囲で特に制限されず設定することができる。本明細書において加熱温度とは、加熱対象そのものの温度を意味し、加熱時間とは、加熱対象が加熱温度に達している時間を意味する。加熱処理は連続した一工程であっても、複数の工程に分かれていてもよい。
加熱処理の際の加熱温度は特に制限されず、例えば50℃〜100℃の範囲内から選択することができる。より効果的に瓜臭を低減する観点からは、加熱温度は70℃以上とすることが好ましく、75℃以上とすることがより好ましく、80℃以上とすることがさらに好ましい。加熱の程度を強くすると発生する加熱臭を抑制する観点からは、加熱温度は90℃以下とすることが好ましい。
加熱処理の際の加熱時間は特に制限されず、例えば1分〜120分の範囲内とすることができる。より効果的に瓜臭を低減する観点からは、加熱時間は5分以上とすることが好ましく、10分以上とすることがより好ましく、15分以上とすることがさらに好ましい。加熱の程度を強くすると発生する加熱臭を抑制する観点からは、加熱時間は60分以下とすることが好ましく、30分以下とすることがより好ましい。
混合物を加熱処理する方法は特に制限されない。例えば、混合物をふた付きガラス容器へ入れてふたを閉め、一定温度の温浴中で加熱することによって行うことができる。加熱処理後は、水冷等の方法によって混合物を冷却することが好ましい。
<ウリ科果実加工品の製造方法>
本発明のウリ科果実加工品の製造方法は、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を加熱処理する工程と、を含む。本発明の製造方法によれば、瓜臭が低減されたウリ科果実加工品を製造することができる。
本発明のウリ科果実加工品の製造方法におけるウリ科果実の種類、果汁又は果肉粉砕物の状態、中性アミノ酸の種類、含有率及び添加方法、並びに加熱処理の条件及び方法に関する詳細及び好ましい態様は、本発明の瓜臭低減方法について述べたものと同様である。
本発明のウリ科果実加工品の製造方法は、必要に応じて他の工程を含んでもよい。例えば、本発明の瓜臭低減方法により瓜臭が低減された果汁又は果肉粉砕物を冷凍、濃縮、乾燥等する工程、保存料、調味料等を果汁又は果肉粉砕物に添加する工程、清涼飲料水、菓子、酒、氷菓等の2次加工品に加工する工程等を挙げることができる。
<ウリ科果実加工品>
本発明の製造方法によって得られるウリ科果実加工品には、本発明の瓜臭低減方法により瓜臭が低減された果汁、果肉粉砕物等の1次加工品、及び、本発明の瓜臭低減方法により瓜臭が低減された果汁、果肉粉砕物等を原料として用いるジュース類、清涼飲料水類、菓子類、酒類、氷菓等の2次加工品が含まれる。これらのウリ科果実加工品の状態は特に制限されず、冷蔵及び冷凍品、濃縮品、乾燥品、レトルト加工品、ビン又は缶詰め製品等を挙げることができる。
本発明の製造方法によって得られるウリ科果実加工品は、果汁又は果肉粉砕物の瓜臭が低減されているため、これまで実現が困難であった加工品の提供が可能になる。例えば、従来よりも果汁の割合が大きく、果汁本来の風味が活かされた加工品の提供が可能になる。また、本発明で使用する中性アミノ酸は食品衛生法の使用基準が設定されていないため、多様なウリ科果実加工品の提供が可能になる。
ウリ科果実加工品が本発明の製造方法によって得られたものであるか否かは、例えば中性アミノ酸の使用の有無は加工品の原材料表示における中性アミノ酸の記載の有無によって、加熱処理工程の実施の有無は加工品の製法が加熱処理工程を通常伴うものであるか否かによって確認することができる。
<実施例>
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。表中の中性アミノ酸の含有率(添加割合)は質量基準である。
すいか果汁の瓜臭の発生過程及び原因について調べるため、下記の試験を行った。
(試験例1)
みちのく村山農業協同組合から提供された規格外のすいか果実の果肉を粉砕し、得られた果肉粉砕物から果肉を分離して調製した果汁を室温(25℃)で静置し、時間の経過に伴う瓜臭の変化を調べた。具体的には、果汁の調製直後、30分後、60分後及び120分後における果汁の瓜臭を下記に示す基準に従って官能試験により評価した。官能試験は瓜臭の発生程度について3名以上のパネラーによる絶対評価とした。他の試験例及び実施例でも同様の方法で行った。
瓜臭評価基準
−:瓜臭がない
±:判然としない
+:瓜臭がわずかにある
++:瓜臭がかなりある
+++:瓜臭が非常に強い

表1に示すように、果汁の調製後の時間の経過とともに瓜臭が強まる傾向が認められた。この結果は、瓜臭の前駆物質が時間の経過とともに瓜臭原因物質に変化し、瓜臭原因物質が増加した結果、瓜臭が強まっている可能性を示唆している。
(試験例2)
試験例1で使用したものと同じすいか果汁(調製後、−20℃で凍結保存したもので、すでに瓜臭が発生)を80℃で加熱処理した。加熱前、加熱直後、室温まで冷却した後、及び加熱から24時間後にそれぞれ官能試験により瓜臭を評価した。

表2に示すように、果汁を加熱すると加熱前よりも瓜臭が強まるが、その後冷却すると瓜臭は弱まり、加熱前よりも瓜臭が低減する傾向が認められた。これは加熱処理によって増加した瓜臭原因物質が放冷時に空気中に揮散し、瓜臭原因物質が減少するためと考えられる。以上より、すいか果汁の瓜臭は加熱処理によってある程度低減することがわかった。
(試験例3)
すいか(山形市内の小売店で入手)の果肉を粉砕し、得られた果肉粉砕物から果肉を分離して調製した。調製後、ビーカー内で30分間加熱し、瓜臭を発生させた。瓜臭が発生した果汁に含まれる香気成分を、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC17A型、島津製作所)を用いて分析した。その結果、多数のアルコール類やアルデヒド類が検出され、その中にスミレ葉アルデヒド(7番)とキュウリアルコール(12番)が含まれていた。分析結果を図1及び下記表3に示す。この結果は、キュウリアルコールが瓜臭の前駆物質として、スミレ葉アルデヒドが瓜臭原因物質としてそれぞれ作用している可能性を示唆している。

(実施例1)
中性アミノ酸の添加及び加熱処理による瓜臭低減効果について調べるため、下記の試験を行った。
すいか果汁(平成25年8月に調製後、−20℃で凍結保存したもので、すでに瓜臭が発生)を解凍し、中性アミノ酸としてアラニンを含有率が0.5質量%となるように添加したもの(実施例1−1〜1−3及び比較例1−1)と、アラニンを添加しないもの(比較例1−2〜1−5)を準備した。実施例1−1〜1−3及び比較例1−2〜1−4の果汁は70℃、80℃及び90℃でそれぞれ15分間の加熱処理を行い、水冷した。比較例1−1及び比較例1−5の果汁は加熱処理を行わなかった。水冷後の果汁の瓜臭の評価結果を下記表4に示す。

表4に示すように、アラニンを添加し、加熱処理を行った実施例1−1〜1−3は、アラニンを添加して加熱処理を行わなかった比較例1−1よりも瓜臭が低減していた。この結果より、中性アミノ酸を添加し、かつ加熱処理を行うことが瓜臭の低減効果に有効であることがわかった。
また、アラニンを添加し、加熱処理を行った実施例1−1〜1−3は、アラニンを添加せずに同じ条件で加熱処理を行った比較例1−2〜1−4よりも瓜臭が低減していた。この結果より、すいか果汁に中性アミノ酸を添加せずに加熱処理した場合よりも、中性アミノ酸を添加して加熱処理した場合のほうが瓜臭の低減効果が大きいことがわかった。
さらに、アラニンを添加し、80℃及び90℃で加熱処理を行った実施例1−2及び実施例1−3は、70℃で加熱処理を行った実施例1−1よりも瓜臭が低減していた。この結果より、中性アミノ酸を添加して加熱温度を80℃以上とした場合は、加熱温度を70℃とした場合よりも瓜臭の低減効果が大きいことがわかった。
(実施例2)
アミノ酸の種類による瓜臭低減効果と味への影響について調べるため、下記の試験を行った。
すいか果汁(平成24年8月に搾汁後、−20℃で凍結保存したもので、すでに瓜臭が発生)を解凍し、中性アミノ酸としてグリシン(Gly)、アラニン(Ala)、ロイシン(Leu)又はイソロイシン(Ile)を添加した実施例2−1〜2−4と、酸性アミノ酸としてグルタミン酸(Glu)を添加した比較例2−1と、塩基性アミノ酸としてリジン(Lys)を添加した比較例2−2をそれぞれ準備した。グルタミン酸としては、グルタミン酸ナトリウムを使用した。これらのアミノ酸は、それぞれ下記表5に示す含有率となるように添加した。その後、果汁を80℃で15分間加熱処理し、水冷した。水冷後の果汁の瓜臭の評価結果を下記表5に示す。

表5に示すように、酸性アミノ酸であるグルタミン酸を添加した比較例2−1は化学調味料のような独特の旨みと若干の塩味が感じられた。塩基性アミノ酸であるリジンを添加した2−2も独特の不快な風味が感じられた。中性アミノ酸を添加した実施例2−1〜2−4は、味に対する影響が比較的小さかった。
さらに比較例2−1及び比較例2−2の結果より、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸の味に対する影響は添加量がきわめて少ない場合でも発生することがわかった。
(実施例3)
中性アミノ酸の添加量が果汁の味に与える影響について調べるため、下記の試験を行った。
すいか果汁(平成24年8月に搾汁後、−20℃で凍結保存したもので、すでに瓜臭が発生)を解凍し、中性アミノ酸としてアラニン(Ala)又はロイシン(Leu)を下記表6に示す含有率となるように添加した実施例3−1〜3−4をそれぞれ準備した。その後、果汁を80℃で15分間加熱処理し、水冷した。水冷後の果汁の瓜臭の評価結果を下記表6に示す。

表6に示すように、アラニンの含有率が0.5質量%、1.0質量%である実施例3−1及び実施例3−2の間での味の変化は認められなかった。ロイシンの含有率が0.3質量%、0.5質量%である実施例3−3及び3−4の間でも同様に、味の変化は認められなかった。これらの結果より、中性アミノ酸の添加量による果汁の味への影響は小さいことがわかった。
(実施例4)
加熱時間と瓜臭低減効果の関係について調べるため、下記の試験を行った。
すいか果汁(平成25年8月に搾汁後、−20℃で凍結保存したもので、すでに瓜臭が発生)を解凍し、中性アミノ酸としてアラニンを含有率が0.5質量%となるように添加した実施例4−1〜4−5と、アラニンを添加しない比較例4−1〜4−5をそれぞれ準備した。その後、加熱温度を80℃として、表7に示す加熱時間でそれぞれ加熱処理を行い、水冷した。水冷後の果汁の瓜臭の評価結果を表7に示す。

表7に示すように、アラニンを添加した実施例4−1〜4−5では、加熱時間を5分とした場合よりも加熱時間を10分以上とした場合に瓜臭がより低減していた。アラニンを添加しなかった比較例4−1〜4−5では、加熱時間による瓜臭の程度の変化はみられなかった。これらの結果より、中性アミノ酸を添加して加熱処理することにより得られる瓜臭低減効果は、加熱時間を10分以上とした場合により大きいことがわかった。
(実施例5)
すいか以外のウリ科果実又はすいかの果肉粉砕物を使用した場合の瓜臭低減効果について調べるため、下記の試験を行った。
メロン(山形市内の小売店より入手)及びキュウリ(山形市内の小売店より入手)の果肉を粉砕し、果肉を分離してメロン果汁及びキュウリ果汁を調製した。調製後ただちに果汁に中性アミノ酸としてアラニンを添加した実施例5−1〜5−4と、アラニンを添加しない比較例5−1及び比較例5−2をそれぞれ準備した。アラニンは下記表8に示す含有量となるように添加した。その後、80℃で15分間加熱処理し、水冷した。水冷後の果汁の瓜臭の評価結果を下記表8に示す。

表8に示すように、アラニンを添加した実施例5−1〜5−4は、アラニンを添加しない比較例5−1及び比較例5−2よりも瓜臭が低減していた。これらの結果より、中性アミノ酸の添加及び加熱処理による瓜臭低減効果はメロン及びキュウリにおいても得られることがわかった。
すいか(平成25年8月にみちのく村山農業協同組合より入手)の赤色の果肉部分を切り出し、業務用ジューサーで粉砕して果肉粉砕物(果汁、果肉及び種子を含む)を得た。この果肉粉砕物にアラニン又はロイシンをそれぞれ含有率が0.5質量%となるように添加し、撹拌混合した。ただちに80℃で15分間加熱処理し、水冷した。得られた果肉粉砕物を試食したところ、いずれも場合も瓜臭はしなかった。
以上の実施例に示す結果より、本発明の方法はウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減に有効であることがわかった。

Claims (7)

  1. ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を加熱処理する工程と、を含む、ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
  2. 前記中性アミノ酸の含有率は前記混合物全体の0.1質量%以上である、請求項1に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
  3. 前記中性アミノ酸はアラニン、ロイシン、グリシン及びイソロイシンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は請求項2に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
  4. 前記加熱処理は、加熱温度が70℃以上となるように行われる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
  5. 前記加熱処理は、加熱時間が5分以上となるように行われる、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
  6. 前記ウリ科果実はすいか、メロン及びキュウリからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物の瓜臭低減方法。
  7. ウリ科果実の果汁又は果肉粉砕物と、中性アミノ酸とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を加熱処理する工程と、を含む、ウリ科果実加工品の製造方法。
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