JP6242291B2 - 相分析装置、相分析方法、および表面分析装置 - Google Patents

相分析装置、相分析方法、および表面分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、相分析装置、相分析方法、および表面分析装置に関する。
電子プローブマイクロアナライザー(Electron Probe MicroAnalyser、EPMA)等の表面分析装置により取得した元素マップデータ(元素ごとの強度または濃度の分布データ)を解析する手法として、相分析がある。相分析は、複数の元素の相関関係から化合物の相を抽出し、相ごとの相関を調べる手法である。例えば、特許文献1には、面分析の測定結果から得られた複数元素の濃度分布データに基づいて散布図を作成することにより化合物などの存在を推定する相分析を行う表面分析装置が開示されている。
元素マップデータから相マップ(化合物の分布を示す図)を作成する手順は、一般的に、マップ分析(面分析)を行う工程と、元素マップデータを読み込む工程と、散布図を作成する工程と、散布図からデータの偏在箇所を探す工程と、相マップを作成する工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
マップ分析を行う工程では、表面分析装置によりマップ分析を行う。マップ分析は、例えば、試料の指定範囲を指定ピクセルに区切り、各ピクセルのX線強度を測定することで行われる。マップ分析により得られた元素マップデータは、X線強度の違いを色(明度や色相等の違い)で表現した画像として表示される。図21は、Alの元素マップデータであり、図22は、Caの元素マップデータである。
元素マップデータを読み込む工程では、コンピューターが相分析ソフトウェアを実行することで元素マップデータを読み込む。各元素の元素マップデータは、1列の強度データとして読み込まれる。例えば、300ピクセル×300ピクセルで分析された元素マップデータは、90000行の配列となる。
散布図を作成する工程では、相分析ソフトウェアが元素マップデータに基づいて散布図を作成する。例えば、ユーザーが読み込まれた複数の元素マップデータから2つの元素マップデータを選択すると、相分析ソフトウェアは選択された2つの元素マップデータのうちの一方を横軸とし、他方を縦軸とした散布図に強度データを全点プロットする。図23は、横軸をAlの元素マップデータとし縦軸をCaの元素マップデータとした散布図である。
散布図からデータの偏在箇所を探す工程では、図24に示すように、散布図の表示色をデータ点数に応じて変更することで偏在箇所を確認する。図24に示す例では、散布図に偏在箇所が5箇所存在することが確認できる。
相マップを作成する工程では、図25に示すように、偏在箇所をそれぞれ囲み、異なる色で塗り分ける。そして、塗った色を元素マップデータの表示形式に反映させることで、図26に示すように、相マップを作成することができる。
特開2006−125952号公報
しかしながら、上述のように、相マップを作成するためには、多くの手順を必要とする。特に、散布図を作成する工程では、ユーザーは多数の元素から適切な元素の組み合わせを選択し、その相関関係を見つけ出す必要がある。この適切な元素の組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出すことは、困難な作業であり、多くの経験を必要とする。例えば、10個の元素マップデータから最も有用な組み合わせを見つけるためには多くの組み合わせを試す必要がある(10個の元素マップデータの場合、最大45通り)。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、容易に相マップを作成することができる相分析装置、および相分析方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記相分析装置を含む表面分析装置を提供することにある。
(1)本発明に係る相分析装置は、
元素ごとの強度または濃度の分布を示すN個の元素マップデータに対して主成分分析を行いN組の主成分の情報を取得し得られた前記主成分の情報から前記元素マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める主成分分析部と、
前記N組の主成分の中から、固有値の大きい方から少なくとも二つの主成分を選択し、選択した複数の前記主成分の前記主成分得点の各々を軸とした座標上に、前記ピクセルに対応する点をプロットして、前記主成分得点の散布図を作成する散布図作成部と、
前記散布図を複数の領域に区分けし、前記領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、前記点密度に基づいてピーク位置を検出するピーク位置検出部と、
前記散布図上の各点と各前記ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて前記散布図上の各点を複数のグループに分類するクラスタリング部と、
前記クラスタリング部で分類された結果に基づいて、相マップを作成する相マップ作成部と、
を含む。
このような相分析装置では、例えば、ユーザーが多数の元素から適切な元素の組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出す必要がなく、容易に相マップを作成することができる。
また、このような相分析装置では、主成分分析を用いることで、例えば多数の元素から少数の元素を選び、選んだ元素の相関関係で相分析を行う場合と比べて、より多くの元素の情報を利用しつつ、容易に相マップを作成することができる。
このような相分析装置では、主成分得点の散布図において、各クラスタの重心となるピーク位置を検出することができる。
)本発明に係る相分析装置において、
前記ピーク位置検出部は、隣接する前記領域のうち前記点密度が大きい前記領域を前記ピーク位置の候補とし、前記ピーク位置の候補から前記点密度が閾値以上である前記ピーク位置の候補を選択して前記ピーク位置としてもよい。
このような相分析装置では、ピーク位置検出部によって、ピーク位置を絞り込むことができる。
)本発明に係る相分析装置において、
前記クラスタリング部は、前記散布図上の各点を、最も距離が小さい前記ピーク位置の前記グループに属するように分類してもよい。
このような相分析装置では、クラスタリング部によって、主成分得点の散布図上の各点を組成に応じて分類することができる。
)本発明に係る相分析装置において、
前記相マップ作成部は、前記散布図上の各点に対して前記グループごとに異なる色を付与し、前記散布図上の各点に対して付与された前記色を、前記散布図上の各点に対応する前記元素マップデータの前記ピクセルの色に反映させて、前記相マップを作成してもよい。
このような相分析装置では、相の分布をわかりやすく表示することができる。
)本発明に係る相分析方法は、
元素ごとの強度または濃度の分布を示すN個の元素マップデータに対して主成分分析を行いN組の主成分の情報を取得し得られた前記主成分の情報から前記元素マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める主成分分析工程と、
前記N組の主成分の中から、固有値の大きい方から少なくとも二つの主成分を選択し、選択した複数の前記主成分の前記主成分得点の各々を軸とした座標上に、前記ピクセルに対応する点をプロットして、前記主成分得点の散布図を作成する散布図作成工程と、
前記散布図を複数の領域に区分けし、前記領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、前記点密度に基づいてピーク位置を検出するピーク位置検出工程と、
前記散布図上の各点と各前記ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて前記散布図上の各点を複数のグループに分類するクラスタリング工程と、
前記クラスタリング工程で分類された結果に基づいて、相マップを作成する相マップ作成工程と、
を含む。
このような相分析方法では、例えば、多数の元素から適切な元素の組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出す必要がなく、容易に相マップを作成することができる。
また、このような相分析方法では、主成分分析を用いることで、例えば多数の元素から少数の元素を選び、選んだ元素の相関関係で相分析を行う場合と比べて、より多くの元素の情報を利用しつつ、容易に相マップを作成することができる。
このような相分析方法では、主成分得点の散布図において、各クラスタの重心となるピーク位置を検出することができる。
)本発明に係る相分析方法において、
前記ピーク位置検出工程では、隣接する前記領域のうち前記点密度が大きい前記領域を前記ピーク位置の候補とし、前記ピーク位置の候補から前記点密度が閾値以上である前記ピーク位置の候補を選択して前記ピーク位置としてもよい。
このような相分析方法では、ピーク位置検出工程において、ピーク位置を絞り込むことができる。
)本発明に係る相分析方法において、
前記クラスタリング工程では、前記散布図上の各点を、最も距離が小さい前記ピーク位置の前記グループに属するように分類してもよい。
このような相分析方法では、クラスタリング工程において、主成分得点の散布図上の各点を組成に応じて分類することができる。
)本発明に係る相分析方法において、
前記相マップ作成工程では、前記散布図上の各点に対して前記グループごとに異なる色を付与し、前記散布図上の各点に対して付与された前記色を、前記散布図上の各点に対応する前記元素マップデータの前記ピクセルの色に反映させて、前記相マップを作成してもよい
このような相分析方法では、相の分布をわかりやすく表示することができる。
)本発明に係る表面分析装置は、
本発明に係る相分析装置を含む。
このような表面分析装置では、本発明に係る相分析装置を含むため、容易に相マップを作成することができる。
本実施形態に係る相分析装置を含む表面分析装置の構成を模式的に示す図。 元素マップデータ取得部が取得した元素マップデータの一例を示す図。 主成分分析の結果を示す表。 第1主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第2主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第3主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第4主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第5主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第6主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第7主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第8主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第9主成分得点についての主成分得点マップデータ。 第10主成分得点についての主成分得点マップデータ。 主成分得点の散布図の一例を示す図。 主成分得点の散布図を点密度表示で表した図。 点密度表示で表された散布図の横軸方向のデータの一部を示す図。 点密度表示で表された散布図のデータの一部を示す図。 主成分得点の散布図をグループごとに色分けして示した図。 相マップ作成部で作成された相マップの一例を示す図。 本実施形態に係る相分析方法の一例を示すフローチャート。 Alの元素マップデータを示す図。 Caの元素マップデータを示す図。 横軸をAlの元素マップデータとし縦軸をCaの元素マップデータとした散布図。 散布図の表示色をデータ点数に応じて変更した図。 偏在箇所を囲み異なる色で塗り分けた散布図を示す図。 相マップの一例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものでは
ない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 相分析装置
まず、本実施形態に係る相分析装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る相分析装置100を含む表面分析装置1000の構成を模式的に示す図である。ここでは、相分析装置100が表面分析装置に含まれている例について説明する。
表面分析装置1000は、図1に示すように、相分析装置100に加えて、さらに、表面分析装置本体部10を含む。
表面分析装置1000は、電子線EBを試料Sに照射して電子線EBの照射に応じて試料Sから発生する特性X線を検出し、試料Sに含まれている元素の定性分析または定量分析を行う。また、表面分析装置1000は、試料Sの面分析(マップ分析)を行うことができる。表面分析装置1000は、例えば、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)である。
表面分析装置本体部10は、電子銃11と、集束レンズ12と、偏向器13と、対物レンズ14と、試料ステージ15と、二次電子検出器17と、エネルギー分散型検出器18と、波長分散型検出器19と、を含んで構成されている。
電子銃11は、電子線EBを発生させる。電子銃11は、所定の加速電圧により加速された電子線EBを試料Sに向けて放出する。
集束レンズ12は、電子銃11の後段(電子線EBの下流側)に配置されている。集束レンズ12は、電子線EBを集束させるためのレンズである。
偏向器13は、集束レンズ12の後段に配置されている。偏向器13は、電子線EBを偏向させることができる。偏向器13に制御回路(図示せず)を介して走査信号が入力されることによって、集束レンズ12および対物レンズ14で集束された電子線EBで試料S上を走査する。
対物レンズ14は、偏向器13の後段に配置されている。対物レンズ14は、電子線EBを試料S上で集束させて、電子線EBを電子プローブとして試料Sに照射するためのレンズである。
試料ステージ15は、試料Sを支持することができる。試料ステージ15上には、試料Sが載置される。図示はしないが、モーター等の駆動源を備えるステージ移動機構によって、試料ステージ15を移動させることができる。試料ステージ15の移動により、電子線EB(電子プローブ)が照射される試料S上での分析位置(分析箇所)を相対的に移動させることができる。
二次電子検出器17は、試料Sから放出された二次電子を検出するための検出器である。二次電子検出器17は、例えば、ET検出器(Everhart−Thornley detector)である。二次電子検出器17の測定結果(出力信号)から、二次電子像(SEM像)を得ることができる。二次電子検出器17の出力信号は、電子線EBの走査信号と同期した画像データとして、例えば、記憶部124に記録される。
エネルギー分散型検出器18は、X線をエネルギーで弁別し、スペクトルを得るための検出器である(エネルギー分散型X線分光器)。エネルギー分散型検出器18は、電子線
EBを試料Sに照射した際に発生する特性X線を検出する。
波長分散型検出器19は、電子線EBを試料Sに照射した際に発生する特性X線を分離して検出する。波長分散型検出器19は、例えば、分光結晶によるX線のブラッグ反射を利用して特定波長のX線を分離する。
表面分析装置本体部10では、試料Sのマップ分析(面分析)を行うことができる。具体的には、表面分析装置本体部10では、試料Sの指定範囲を所定のピクセル(単位領域)に区切り、エネルギー分散型検出器18または波長分散型検出器19によって、各ピクセルのX線強度を測定することで元素マップデータ(元素の分布の情報)を得ることができる。元素マップデータは、元素の2次元的な分布の情報を含むデータであり、2次元的な位置(座標)と、各位置でのX線の強度(または濃度)の情報を含む。元素マップデータは、元素ごとに得られる。表面分析装置本体部10から出力された元素マップデータは、例えば、相分析装置100の記憶部124に記憶される。
相分析装置100は、表面分析装置本体部10におけるマップ分析の結果得られた元素マップデータを取得し、相分析を行う。ここで、相分析とは、複数の元素の相関関係から化合物の相を抽出し、相ごとの相関を調べる手法である。相分析装置100は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)等の汎用のコンピューターを用いて構成されている。相分析装置100は、処理部110と、操作部120と、表示部122と、記憶部124と、情報記憶媒体126と、を含む。
操作部120は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部110に送る処理を行う。操作部120は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
表示部122は、処理部110によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部122は、例えば、処理部110(相マップ作成部116)で作成された相マップを表示することができる。また、表示部122は、例えば、二次電子像や、元素マップ等を表示することができる。
記憶部124は、処理部110のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。記憶部124は、処理部110が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部124は、処理部110の作業領域として用いられ、処理部110が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。
記憶部124には、例えば、後述するピーク位置検出部114において主成分得点の散布図を複数の領域に区分けする際の領域のサイズの情報や、ピーク位置を絞り込む際の条件の情報(閾値の情報)等が記録されている。また、記憶部124には、例えば、相マップ作成部116で相マップを作成する際に用いられる相の色のリスト等が記録されている。また、例えば、記憶部124には、後述する各主成分の固有値および全元素の固有値ベクトルの情報(図3参照)、主成分得点の散布図(図15、図18参照)の情報、相マップの情報(図19参照)等が記録される。
情報記憶媒体126(コンピューターにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部110は、情報記憶媒体126に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。情報記憶媒体126には、処理部11
0の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムを記憶することができる。
処理部110は、記憶部124に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理を行う。処理部110は、記憶部124に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する、元素マップデータ取得部111、主成分分析部112、散布図作成部113、ピーク位置検出部114、クラスタリング部115、相マップ作成部116として機能する。処理部110の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。なお、処理部110の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。処理部110は、元素マップデータ取得部111と、主成分分析部112と、散布図作成部113と、ピーク位置検出部114と、クラスタリング部115と、相マップ作成部116と、を含む。
元素マップデータ取得部111は、複数の元素マップデータを取得する。例えば、表面分析装置本体部10での面分析で得られた複数の元素マップデータから、ユーザーがいくつかの元素マップデータを選択すると、元素マップデータ取得部111は選択された元素マップデータを記憶部124から読み出す。ユーザーは、例えば、表示部122に表示された複数の元素マップのなかから元素マップデータを選択することができる。図2は、元素マップデータ取得部111が取得した元素マップデータの一例を示す図である。図2に示す例では、元素マップデータ取得部111は、Al、Ca,O、Si、Mn、Fe、Ni、Ti、Mg、Crの元素マップデータを取得している。
元素マップデータ取得部111は、例えば、各元素マップデータを、1列の強度データ(または濃度データ)として読み込む。例えば、300ピクセル×300ピクセルで分析された元素マップデータは、90000行の配列となる。
主成分分析部112は、元素マップデータ取得部111で取得された元素マップデータに対して主成分分析を行い、元素マップデータのピクセル(単位領域)ごとに主成分得点を求める。
ここで、主成分分析とは、多変量解析の手法の一つであり、多変量のデータからそのデータ群の特徴を表す少数の特徴的な変量(合成変量)を求める手法である。合成変量(主成分)uは、下記式で表される。
ただし、Nは変量の数、iは自然数、xは各変量のデータ、a,a,・・・,aN−1,aは合成変量の係数である。
合成変量の係数a,a,・・・,aN−1,aは、合成変量uの分散が最大になるように求める。ただし、合成変量の係数は以下の関係を満たす。
合成変量の係数a,a,・・・,aN−1,aを求めるためには、まず、元のデータ群の分散・共分散行列を計算し、その分散・共分散行列の固有値問題を解く。その固有値問題の解である固有値ベクトルが係数a,a,・・・,aN−1,aに対応す
る。また、得られる主成分はN組(もとデータ群の個数と同じ)であり、固有値の大きいものから第1主成分、第2主成分、・・・、第N主成分と呼ばれる。
主成分分析部112は、元素マップデータ取得部111で取得された元素マップデータの全ピクセルのデータ(強度値または濃度値)に対して主成分分析を行う。図3は、主成分分析の結果を示す表である。主成分分析部112において、主成分分析を行った結果、図3に示すように、主成分ごとに、寄与率、累積寄与率、固有値、および固有値ベクトルの情報が得られる。主成分分析部112が図2に示す10個の元素マップデータについて主成分分析を行った場合、図3に示すように、第1主成分から第10主成分の情報が得られる。
主成分分析部112は、図3に示す固有値ベクトルを用いて、各元素マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める。これにより、主成分分析部112は、主成分ごとに主成分得点マップデータを作成する。主成分得点は、下記式を利用して求めることができる。
なお、各ピクセルのデータから各元素マップデータの平均値を引いているのは各ピクセルのデータが平均値になるときに主成分得点が原点0になるようにするためである。
例えば、図3に示す主成分分析の結果を用いると、第1主成分において、主成分得点は、下記式により求めることができる。
主成分分析部112は、上記式を用いてピクセルごとに求めた主成分得点のデータから、第1主成分について主成分得点マップデータを作成する。主成分得点マップデータは、ピクセルごとに求めた主成分得点をマップデータ(位置とその位置での主成分得点のデータ)の形式で表したものである。図4は、第1主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。
主成分分析部112は、第2主成分から第10主成分についても同様に、主成分得点マップデータを作成することができる。図5は、第2主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図6は、第3主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図7は、第4主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図であ
る。図8は、第5主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図9は、第6主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図10は、第7主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図11は、第8主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図12は、第9主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。図13は、第10主成分得点についての主成分得点マップデータを示す図である。
散布図作成部113は、求めた主成分得点をプロットして、主成分得点の散布図を作成する。具体的には、まず、散布図作成部113は、固有値の大きい主成分を選択する。散布図作成部113は、例えば、累積寄与率が所定の値(例えば80%以上)となるように主成分を選択する。図3に示す例では、第2主成分までで累積寄与率が80%を超えているため、第1主成分と第2主成分とを選択する。なお、散布図作成部113は、固有値の値が1以上である主成分を選択してもよいし、寄与率が所定の値以上である主成分を選択してもよい。
次に、散布図作成部113は、選択した主成分を用いて、主成分得点の散布図を作成する。散布図作成部113は、例えば、第1主成分と第2主成分を選択した場合、元素マップデータのピクセルごとの第1主成分得点の値および第2主成分得点の値を、第1主成分得点を横軸とし第2主成分得点を縦軸とした散布図にプロットする。これにより、主成分得点の散布図を作成することができる。図14は、主成分得点の散布図の一例を示す図である。図14に示す散布図は、横軸が第1主成分得点であり、縦軸が第2主成分得点である。
なお、ここでは、散布図作成部113が第1主成分と第2主成分を選択して2次元の散布図を作成する場合について説明したが、散布図作成部113は、第1〜第n主成分(n<N)を選択してn次元の散布図を作成してもよい。
ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図からピーク位置を検出する。ピーク位置は、主成分得点の散布図上において各クラスタ(グループ)の重心となる位置(各クラスタの代表となる位置)である。例えば、ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図を複数の領域に区分けし、当該領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、点密度に基づいてピーク位置を検出する。また、例えば、ピーク位置検出部114は、隣接する領域のうち点密度が大きい領域をピーク位置の候補とし、ピーク位置の候補から点密度が閾値以上であるピーク位置の候補をピーク位置とする。以下、ピーク位置検出部114の処理について具体的に説明する。
ピーク位置検出部114は、まず、散布図作成部113で作成された主成分得点の散布図を、点密度表示で表す処理を行う。図15は、主成分得点の散布図を、点密度表示で表した図である。図15に示す例では、図14に示す主成分得点の散布図を100×100の領域に区切り、各領域内のデータ点数をカウントして各領域内に含まれるデータ点数(点密度)を表したものである。図15では、点密度(データ点数)を、濃淡で表している。
ピーク位置検出部114は、まず、図16に示すように、点密度表示で表された散布図を横軸方向にサーチし、ピーク位置を探す。ピーク位置検出部114は、横軸方向にサーチする際には左右の領域に比べてデータ点数が多い領域をピーク位置とみなす。図17は、点密度表示で表された散布図のデータの一部である。図17に示す数値は、データ点数に対応している。
横軸方向のサーチでピーク位置とみなされた領域が見つかると、ピーク位置検出部11
4は、横軸方向のサーチでピーク位置とみなされた領域を通るように散布図を縦軸方向にサーチしピーク位置を探す。ピーク位置検出部114は、縦軸方向にサーチする際には上下の領域に比べてデータ点数が多い領域をピーク位置とみなす。ピーク位置検出部114は、横軸方向のサーチでピーク位置とみなされた領域と、縦軸方向のサーチでピーク位置とみなされた領域とが重なった場合に、その領域(図17の左下斜線でハッチングされた領域)をピーク位置の候補とする。
ピーク位置検出部114は、上記の処理を、点密度表示で表された散布図の全領域について行い、ピーク位置の候補となる領域を探す。図17に示す例では、5つの領域がピーク位置の候補の領域である。
なお、ピーク位置検出部114は、ピーク位置の候補となる領域を探す処理を行う前に、点密度表示で表された散布図に対してスムージングをかける処理を行ってもよい。これにより、隣接する2つのピークが同じ値(同じデータ点数)となる可能性を低減させることができる。
次に、ピーク位置検出部114は、上記処理において探索されたピーク位置の候補の絞込みを行う。ピーク位置検出部114は、まず、上記処理において探索されたピーク位置候補のうち、データ点数が閾値未満のものをピーク位置の候補からはずす。すなわち、ピーク位置検出部114は、ピーク位置の候補から点密度が閾値以上であるピーク位置の候補を選択してピーク位置とする。閾値は、任意に設定することができ、例えば、データ点数の最大値の1/5の値とする。なお、閾値は、データ点数の最大値に応じて設定されてもよい。
また、ピーク位置検出部114は、ピーク位置の候補の近接した範囲(例えばピーク位置の候補から領域5個分の範囲)に当該ピーク位置の候補のデータ点数よりもデータ点数が多い領域がある場合に、当該ピーク位置の候補を、ピーク位置の候補からはずしてもよい。これにより、近接した範囲に複数のピーク位置がある状況を避けることができる。
上記の処理により、ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図からピーク位置を検出することができる。例えば、図17に示す例では、ピーク位置検出部114が上記の処理を行ってピーク位置の絞り込みを行った結果、左下斜線と右下斜線の両方でハッチングされた領域がピーク位置となる。
ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図から複数のピーク位置を検出する。図15に示す例では、ピーク位置検出部114は、5個のピーク位置を検出する。
クラスタリング部115は、主成分得点の散布図上の各点と各ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて主成分得点の散布図上の各点を複数のグループに分類する。クラスタリング部115は、例えば、主成分得点の散布図上の各点を最も距離が小さいピーク位置のグループ(クラスタ)に属するように分類する。
図18は、主成分得点の散布図を、グループごとに色分けして示した図である。図18に示す例では、各グループを濃淡の違いで表している。また、図18に示す「×」は、ピーク位置を表している。クラスタリング部115は、主成分得点の散布図上の各点について散布図上での各ピーク位置との間のユークリッド距離を計算し、散布図上の各点を最も距離が短いピークのグループに属させる。図18に示す例では、ピーク位置検出部114によって5つのピーク位置が検出されているため、クラスタリング部115によって主成分得点の散布図上の各点は、5つのグループに分類される。
クラスタリング部115は、例えば、主成分得点の散布図上の各点がいずれかのグループに属するように分類する。なお、クラスタリング部115は、主成分得点の散布図上のある点が、いずれのピーク位置に対しても距離が所定の値よりも大きい場合には、当該点をいずれのグループにも属しないものとしてもよい。例えば、クラスタリング部115は、各ピーク位置のシグマ値のα倍(αは任意の数)より距離が離れている場合には、その点をはずれ値としてどのクラスタにも属さないように設定する。また、クラスタリング部115では、散布図上の各点をいずれかのグループに属するように分類するモードと、はずれ値の点をいずれのグループにも属しないものとするモードと、を備えていてもよい。これらのモードは、ユーザーによって切り替え可能となっていてもよい。
相マップ作成部116は、クラスタリング部115で分類された結果に基づいて、相マップを作成する。相マップ作成部116は、グループごとに色分けされた主成分得点の散布図上の各点を、元素マップデータの対応する各ピクセル(単位領域)に戻し、元素マップデータの形式にする。図19は、相マップ作成部116で作成された相マップの一例を示す図である。相マップは、図19に示すように、グループ(クラスタ)の分布を表している。
相マップ作成部116は、さらに、相マップ上において、色分けされた各グループに組成に応じたラベルをつけてもよい。例えば、相マップ作成部116は、グループごとに、相に含まれる元素を、割合の大きい順に表示してもよい。相マップ作成部116が作成した相マップは、例えば、表示部122に表示される。
相分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
相分析装置100では、主成分分析部112が元素ごとの強度または濃度の分布を示す元素マップデータに対して主成分分析を行い、元素マップデータの単位領域ごとに主成分得点を求め、散布図作成部113が、求めた主成分得点をプロットして、主成分得点の散布図を作成し、ピーク位置検出部114が主成分得点の散布図からピーク位置を検出し、クラスタリング部115が、主成分得点の散布図上の各点と各ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて散布図上の各点を複数のグループに分類し、相マップ作成部116がクラスタリング部115で分類された結果に基づいて、相マップを作成する。そのため、相分析装置100では、例えば、ユーザーは多数の元素から適切な元素の組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出す必要がなく、容易に相マップを作成することができる。
また、相分析装置100では、主成分分析を用いることで、例えば多数の元素から少数の元素を選び、選んだ元素の相関関係で相分析を行う場合と比べて、より多くの元素の情報を利用しつつ、容易に相マップを作成することができる。
相分析装置100では、ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図を複数の領域に区分けし、当該領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、点密度に基づいてピーク位置を検出する。これにより、主成分得点の散布図において各クラスタの重心となるピーク位置を検出することができる。
相分析装置100では、ピーク位置検出部114は、隣接する主成分得点の散布図の領域のうち点密度が大きい領域をピーク位置の候補とし、ピーク位置の候補から点密度が閾値以上であるピーク位置の候補を選択してピーク位置とする。これにより、ピーク位置を絞り込むことができる。
相分析装置100では、クラスタリング部115は、主成分得点の散布図上の各点を、
最も距離が小さいピーク位置のグループに属するように分類する。これにより、主成分得点の散布図上の各点を組成に応じて分類することができる。
相分析装置100では、相マップ作成部116は、相マップ上の各点を、グループごとに色分けして表示部122に表示する。そのため、相分析装置100では、相の分布をわかりやすく表示することができる。
表面分析装置1000では、相分析装置100を含むため、容易に相マップを作成することができる。
2. 相分析方法
次に、本実施形態に係る相分析方法について、図面を参照しながら説明する。図20は、本実施形態に係る相分析方法の一例を示すフローチャートである。ここでは、本実施形態に係る相分析方法の一例として、相分析装置100を用いた相分析方法について説明する。
まず、元素マップデータ取得部111は、複数の元素マップデータを取得する(ステップS10)。ここでは、ユーザーが、図2に示す、Al、Ca,O、Si、Mn、Fe、Ni、Ti、Mg、Crの元素マップデータを選択し、元素マップデータ取得部111が、この10個の元素マップデータを取得した例について説明する。
次に、主成分分析部112は、元素マップデータに対して主成分分析を行い、元素マップデータのピクセル(単位領域)ごとに主成分得点を求める(ステップS12)。主成分分析部112で主成分分析を行った結果、図3に示すように、主成分ごとに、寄与率、累積寄与率、固有値、および固有値ベクトルの情報が得られる。
次に、主成分分析部112は、図3に示す固有値ベクトルを用いて、元素マップデータのピクセルごとに主成分得点を求め、主成分ごとに主成分得点マップデータを作成する(図4〜図13参照)。
次に、散布図作成部113は、求めた主成分得点をプロットして、主成分得点の散布図を作成する(ステップS14)。ここでは、散布図作成部113は、累積寄与率が80%以上となる第1主成分と第2主成分とを選択し、選択した第1主成分および第2主成分における主成分得点をプロットして、主成分得点の散布図(図14参照)を作成する。
次に、ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図からピーク位置を検出する(ステップS16)。ピーク位置検出部114は、主成分得点の散布図を複数の領域に区分けし、当該領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め(図15参照)、点密度に基づいてピーク位置を検出する。ピーク位置検出部114は、隣接する領域のうち点密度が大きい領域をピーク位置の候補とし、ピーク位置の候補から点密度が閾値以上であるピーク位置の候補をピーク位置とする。ピーク位置検出部114は、図15に示す点密度表示で表された散布図から5つのピーク位置を検出する。
次に、クラスタリング部115は、主成分得点の散布図上の各点と各ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて主成分得点の散布図上の各点を複数のグループに分類する(ステップS18)。クラスタリング部115は、主成分得点の散布図上の各点を最も距離が小さいピーク位置のグループ(クラスタ)に属するように分類する(図18参照)。クラスタリング部115は、図18に示すように、主成分得点の散布図上の各点を、5つのピーク位置に対応する5つのクラスタ(グループ)に分類し色分けする。
次に、相マップ作成部116は、クラスタリング部115でグループごとに分類された結果に基づいて、相マップを作成する(ステップS20)。相マップ作成部116は、色分けされた主成分得点の散布図上の各データ点を、元素マップデータの対応する各ピクセル(単位領域)に戻し、元素マップデータの形式にする(図19参照)。これにより、相マップを作成することができる。次に、相マップ作成部116は、相マップ上の各点を、グループごとに色分けして表示部122に表示する。
本実施形態に係る相分析方法は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る相分析方法では、元素ごとの強度または濃度の分布を示す元素マップデータに対して主成分分析を行い、元素マップデータの単位領域ごとに主成分得点を求める主成分分析工程(ステップS12)と、求めた主成分得点をプロットして、主成分得点の散布図を作成する散布図作成工程(ステップS14)と、主成分得点の散布図からピーク位置を検出するピーク位置検出工程(ステップS16)と、主成分得点の散布図上の各点と各ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて散布図上の各点を複数のグループに分類するクラスタリング工程(ステップS18)と、クラスタリング工程で分類された結果に基づいて、相マップを作成する相マップ作成工程(ステップS20)と、を含む。そのため、本実施形態に係る相分析方法では、例えば、ユーザーが多数の元素から適切な元素の組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出す必要がなく、容易に相マップを作成することができる。
また、本実施形態に係る相分析方法では、主成分分析を用いることで、例えば多数の元素から少数の元素を選び、選んだ元素の相関関係で相分析を行う場合と比べて、より多くの元素の情報を利用しつつ、容易に相マップを作成することができる。
本実施形態に係る相分析方法では、ピーク位置検出工程では、主成分得点の散布図を複数の領域に区分けし、当該領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、点密度に基づいてピーク位置を検出する。これにより、主成分得点の散布図において各クラスタの重心となるピーク位置を検出することができる。
本実施形態に係る相分析方法では、ピーク位置検出工程では、隣接する主成分得点の領域のうち点密度が大きい領域をピーク位置の候補とし、ピーク位置の候補から点密度が閾値以上であるピーク位置の候補を選択してピーク位置とする。これにより、ピーク位置検出工程において、ピーク位置を絞り込むことができる。
本実施形態に係る相分析方法では、クラスタリング工程では、主成分得点の散布図上の各点を、最も距離が小さいピーク位置のグループに属するように分類する。これにより、クラスタリング工程において、主成分得点の散布図上の各点を組成に応じて分類することができる。
本実施形態に係る相分析方法では、相マップ作成工程では、相マップ上の各点を、グループごとに色分けして表示部122に表示する。これにより、相の分布をわかりやすく表示部122に表示することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施形態では、表面分析装置1000が電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)である例について説明したが、本発明に係る表面分析装置は、元素マップデータを取得できる装置であれば特に限定されない。例えば、本発明に係る表面分析装置は、
オージェ電子分光装置(Auger Electron Spectroscope)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscope;XPS)、エネルギー分散型X線分光器(energy dispersive X−ray spectrometer;EDS)が搭載された走査電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope;SEM)などであってもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、相分析装置100が表面分析装置1000に含まれている例について説明したが、本発明に係る相分析装置は、表面分析装置に含まれていなくてもよい。例えば、本発明に係る相分析装置は、例えば、情報記憶媒体126を介して元素マップデータを取得して、相分析を行ってもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…表面分析装置本体部、11…電子銃、12…集束レンズ、13…偏向器、14…対物レンズ、15…試料ステージ、17…二次電子検出器、18…エネルギー分散型検出器、19…波長分散型検出器、100…相分析装置、110…処理部、111…元素マップデータ取得部、112…主成分分析部、113…散布図作成部、114…ピーク位置検出部、115…クラスタリング部、116…相マップ作成部、120…操作部、122…表示部、124…記憶部、126…情報記憶媒体、1000…表面分析装置

Claims (9)

  1. 元素ごとの強度または濃度の分布を示すN個の元素マップデータに対して主成分分析を行いN組の主成分の情報を取得し得られた前記主成分の情報から前記元素マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める主成分分析部と、
    前記N組の主成分の中から、固有値の大きい方から少なくとも二つの主成分を選択し、選択した複数の前記主成分の前記主成分得点の各々を軸とした座標上に、前記ピクセルに対応する点をプロットして、前記主成分得点の散布図を作成する散布図作成部と、
    前記散布図を複数の領域に区分けし、前記領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、前記点密度に基づいてピーク位置を検出するピーク位置検出部と、
    前記散布図上の各点と各前記ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて前記散布図上の各点を複数のグループに分類するクラスタリング部と、
    前記クラスタリング部で分類された結果に基づいて、相マップを作成する相マップ作成部と、
    を含む、相分析装置。
  2. 請求項において、
    前記ピーク位置検出部は、隣接する前記領域のうち前記点密度が大きい前記領域を前記ピーク位置の候補とし、前記ピーク位置の候補から前記点密度が閾値以上である前記ピーク位置の候補を選択して前記ピーク位置とする、相分析装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記クラスタリング部は、前記散布図上の各点を、最も距離が小さい前記ピーク位置の前記グループに属するように分類する、相分析装置。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記相マップ作成部は、前記散布図上の各点に対して前記グループごとに異なる色を付与し、前記散布図上の各点に対して付与された前記色を、前記散布図上の各点に対応する前記元素マップデータの前記ピクセルの色に反映させて、前記相マップを作成する、相分析装置。
  5. 元素ごとの強度または濃度の分布を示すN個の元素マップデータに対して主成分分析を行いN組の主成分の情報を取得し得られた前記主成分の情報から前記元素マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める主成分分析工程と、
    前記N組の主成分の中から、固有値の大きい方から少なくとも二つの主成分を選択し、選択した複数の前記主成分の前記主成分得点の各々を軸とした座標上に、前記ピクセルに対応する点をプロットして、前記主成分得点の散布図を作成する散布図作成工程と、
    前記散布図を複数の領域に区分けし、前記領域内のデータ点数をカウントして点密度を求め、前記点密度に基づいてピーク位置を検出するピーク位置検出工程と、
    前記散布図上の各点と各前記ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて前記散布図上の各点を複数のグループに分類するクラスタリング工程と、
    前記クラスタリング工程で分類された結果に基づいて、相マップを作成する相マップ作成工程と、
    を含む、相分析方法。
  6. 請求項において、
    前記ピーク位置検出工程では、隣接する前記領域のうち前記点密度が大きい前記領域を前記ピーク位置の候補とし、前記ピーク位置の候補から前記点密度が閾値以上である前記ピーク位置の候補を選択して前記ピーク位置とする、相分析方法。
  7. 請求項5または6において、
    前記クラスタリング工程では、前記散布図上の各点を、最も距離が小さい前記ピーク位置の前記グループに属するように分類する、相分析方法。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1項において、
    前記相マップ作成工程では、前記散布図上の各点に対して前記グループごとに異なる色を付与し、前記散布図上の各点に対して付与された前記色を、前記散布図上の各点に対応する前記元素マップデータの前記ピクセルの色に反映させて、前記相マップを作成する、相分析方法。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の相分析装置を含む、表面分析装置。
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