JP6588362B2 - 相分析装置、相分析方法、および表面分析装置 - Google Patents

相分析装置、相分析方法、および表面分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、相分析装置、相分析方法、および表面分析装置に関する。
電子プローブマイクロアナライザー(Electron Probe MicroAnalyser、EPMA)等の表面分析装置により取得した元素マップデータを解析する手法として、相分析が知られている。相分析は、複数の元素の相関関係から化合物相を抽出し、相ごとの相関を調べる手法である。
例えば、特許文献1には、複数の元素マップデータに対して主成分分析を行うことで、自動で相マップを作成することができる相分析装置が開示されている。
特開2015−219217号公報
特許文献1に記載の相分析装置において、X線強度の分布を示すX線強度マップデータに対して主成分分析を行って相マップを作成した場合、X線強度の大きい元素が主成分分析の結果に大きな影響を与える。ここで、X線強度は、試料の性質だけでなくX線検出器の感度の影響も受ける。そのため、X線強度マップデータに対して主成分分析を行って相マップを作成した場合、主成分分析の結果に試料の性質だけでなくX線検出器の特性も含まれてしまい、良好な分析結果が得られない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、良好な分析結果を得ることができる相分析装置、および相分析方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記相分析装置を含む表面分析装置を提供することにある。
(1)本発明に係る相分析装置は、
表面分析装置において試料からの信号を検出して得られた複数の信号強度マップデータを取得するマップデータ取得部と、
取得された複数の前記信号強度マップデータの各々に対して前記信号強度マップデータの各ピクセルの信号強度を質量濃度に変換する処理を行い、複数の質量濃度マップデータを作成する質量濃度マップデータ作成部と、
複数の前記質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する相マップ作成部と、
を含む。
このような相分析装置では、質量濃度マップデータ作成部が複数の信号強度マップデータから複数の質量濃度マップデータを作成し、相マップ作成部が複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する。そのため、このような相分析装置では、検出器の特性の影響が低減された良好な相マップを、容易に得ることができる。
(2)本発明に係る相分析装置において、
複数の前記質量濃度マップデータの各々に対して前記質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度を信号強度に再変換する処理を行い、複数の再変換された信号強度マップデータを作成する信号強度マップデータ作成部と、
前記信号強度マップデータ作成部で作成された複数の前記再変換された信号強度マップデータから信号強度の散布図を作成する散布図作成部と、
を含んでいてもよい。
このような相分析装置では、ユーザーが信号強度マップデータを選択した場合に、相分析の結果として得られる散布図も信号強度の散布図となる。したがって、ユーザーは、相マップが質量濃度マップデータに対して主成分分析を行って作成されたことを意識することなく、直感的に相分析の結果を理解することができる。
(3)本発明に係る相分析装置において、
前記相マップ作成部は、
複数の前記質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、各前記質量濃度データのピクセルごとに主成分得点を求める処理と、
求めた前記主成分得点に基づいて、前記主成分得点の散布図を作成する処理と、
前記主成分得点の散布図からピーク位置を検出する処理と、
前記主成分得点の散布図上の各点と各前記ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて前記主成分得点の散布図上の各点を複数のグループに分類し、前記相マップを作成する処理と、
を行ってもよい。
このような相分析装置では、ユーザーが多数の信号強度マップデータから適切な組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出す必要がなく、容易に相マップを作成することができる。
(4)本発明に係る相分析装置において、
前記信号は、前記試料に電子線を照射することにより前記試料から発生したX線であってもよい。
(5)本発明に係る相分析装置において、
複数の前記信号強度マップデータを選択するための操作を受け付ける操作部を含み、
複数の前記信号強度マップデータが選択された場合に、前記マップデータ取得部は、選択された複数の前記信号強度マップデータを取得してもよい。
このような相分析装置では、ユーザーが信号強度マップデータを選択した場合であっても、質量濃度マップデータに対して主成分分析が行われ、相マップが作成される。したがって、このような相分析装置では、良好な相マップを、容易に得ることができる。
(6)本発明に係る相分析方法は、
表面分析装置において試料からの信号を検出して得られた複数の信号強度マップデータを取得するマップデータ取得工程と、
取得された複数の前記信号強度マップデータの各々に対して前記信号強度マップデータの各ピクセルの信号強度を質量濃度に変換する処理を行い、複数の質量濃度マップデータを作成する質量濃度マップデータ作成工程と、
複数の前記質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する相マップ作成工程と、
を含む。
このような相分析方法では、複数の信号強度マップデータから複数の質量濃度マップデータを作成する質量濃度マップデータ作成工程と、複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する相マップ作成工程とを含む。そのため、このような相分析方法では、検出器の特性の影響が低減された良好な相マップを、容易に得ることができる。
(7)本発明に係る相分析方法において、
複数の前記質量濃度マップデータの各々に対して前記質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度を信号強度に再変換する処理を行い、複数の再変換された信号強度マップデータを作成する信号強度マップデータ作成工程と、
前記信号強度マップデータ作成工程で作成された複数の前記再変換された信号強度マップデータから信号強度の散布図を作成する散布図作成工程と、
を含んでいてもよい。
このような相分析方法では、ユーザーが信号強度マップデータを選択した場合に、相分析の結果として得られる散布図も信号強度の散布図となる。したがって、ユーザーは、相マップが質量濃度マップデータに対して主成分分析を行って作成されたことを意識することなく、直感的に相分析の結果を理解することができる。
(8)本発明に係る表面分析装置は、
本発明に係る相分析装置を含む。
このような表面分析装置では、本発明に係る相分析装置を含むため、良好な相マップを得ることができる。
本実施形態に係る相分析装置を模式的に示す図。 ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合の相分析結果を示す結果表示画面の一例を示す図。 ユーザーが質量濃度マップデータを選択した場合の相分析結果を示す結果表示画面の一例を示す図。 本実施形態に係る相分析装置の動作の流れの一例を示すフローチャート。 分析対象となる複数のX線強度マップデータを示す図。 相分析結果を示す結果表示画面の参考例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 相分析装置
まず、本実施形態に係る相分析装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る相分析装置100を模式的に示す図である。なお、図1では、相分析装置100が表面分析装置1000に含まれている場合について説明する。
表面分析装置1000は、図1に示すように、相分析装置100と、表面分析装置本体部10と、を含む。
表面分析装置1000は、電子線EBを試料Sに照射して電子線EBの照射に応じて試
料Sから発生する特性X線を検出して分析を行う。また、表面分析装置1000は、試料Sの面分析(マップ分析)を行うことができる。表面分析装置1000は、例えば、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)である。
1.1. 表面分析装置本体部
表面分析装置本体部10は、電子銃11と、集束レンズ12と、偏向器13と、対物レンズ14と、試料ステージ15と、二次電子検出器17と、エネルギー分散型検出器18と、波長分散型検出器19と、を含んで構成されている。
電子銃11は、電子線EBを発生させる。電子銃11は、所定の加速電圧により加速された電子線EBを試料Sに向けて放出する。
集束レンズ12は、電子銃11の後段(電子線EBの下流側)に配置されている。集束レンズ12は、電子線EBを集束させるためのレンズである。
偏向器13は、集束レンズ12の後段に配置されている。偏向器13は、電子線EBを偏向させることができる。偏向器13に制御回路(図示せず)を介して走査信号を入力することにより、集束レンズ12および対物レンズ14で集束された電子線EBを試料S上で走査することができる。
対物レンズ14は、偏向器13の後段に配置されている。対物レンズ14は、電子線EBを集束させて試料Sに照射する。
試料ステージ15は、試料Sを支持することができる。試料ステージ15上には、試料Sが載置される。図示はしないが、モーター等の駆動源を備えるステージ移動機構によって、試料ステージ15を移動させることができる。
二次電子検出器17は、試料Sから放出された二次電子を検出するための検出器である。二次電子検出器17は、例えば、ET検出器(Everhart−Thornley detector)である。二次電子検出器17の出力信号は、電子線EBの走査信号と同期して記憶部124に記憶される。これにより、二次電子像(SEM像)を得ることができる。
エネルギー分散型検出器18は、X線をエネルギーで弁別し、スペクトルを得るための検出器である。エネルギー分散型検出器18は、電子線EBを試料Sに照射することにより試料Sから発生する特性X線を検出する。
波長分散型検出器19は、試料Sから発生する特性X線を分離して検出する。波長分散型検出器19は、例えば、分光結晶によるX線のブラッグ反射を利用して特定波長のX線を分離して検出する。
表面分析装置本体部10では、試料Sのマップ分析(面分析)を行うことができる。具体的には、表面分析装置本体部10では、試料Sの指定範囲を所定のピクセル(単位領域)に区切り、エネルギー分散型検出器18または波長分散型検出器19によって、各ピクセルのX線強度を測定することでX線強度マップデータ(信号強度マップデータの一例)を得ることができる。
X線強度マップデータは、元素の2次元的な分布の情報を含むデータであり、2次元的な位置(座標)と、各位置でのX線の強度の情報を含む。X線強度マップデータは、元素ごとに得られる。例えば、元素AについてのX線強度マップデータは、元素Aの2次元的
な分布の情報を含むデータであり、位置と、各位置での元素AのX線強度の情報を含む。表面分析装置本体部10から出力されたX線強度マップデータは、例えば、相分析装置100の記憶部124に記憶される。
1.2. 相分析装置
相分析装置100は、表面分析装置本体部10におけるマップ分析の結果として得られた複数のX線強度マップデータを取得し、相分析を行う。相分析とは、複数の元素の相関関係から化合物相を抽出し、相ごとの相関を調べる手法である。相分析装置100は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)等で実現することができる。相分析装置100は、処理部110と、操作部120と、表示部122と、記憶部124と、を含む。
操作部120は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部110に送る処理を行う。操作部120は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
表示部122は、処理部110によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。
記憶部124は、処理部110が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部124は、処理部110の作業領域として用いられ、処理部110が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部124の機能は、ハードディスク、RAMなどにより実現できる。記憶部124には、X線強度を質量濃度に変換するためのデータベース(各元素の標準試料を測定したときのX線強度に関するデータベース)が記憶されている。
処理部110は、相分析を行う処理や、相分析結果を表示部122に表示させる制御などの処理を行う。処理部110の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)でプログラムを実行することにより実現することができる。処理部110は、マップデータ取得部111と、質量濃度マップデータ作成部112と、相マップ作成部113と、信号強度マップデータ作成部114と、散布図作成部115と、表示制御部116と、を含む。
相分析装置100では、相分析の対象として、X線強度マップデータと質量濃度マップデータのどちらを用いるかをユーザーが選択することができる。
ここで、質量濃度マップデータは、元素の2次元的な分布の情報を含むデータであり、2次元的な位置(座標)と、各位置での元素の質量濃度の情報を含む。質量濃度マップデータは、元素ごとに得られる。例えば、元素Aについての質量濃度マップデータは、元素Aの2次元的な分布の情報を含むデータであり、位置と、各位置での元素Aの質量濃度の情報を含む。質量濃度マップデータは、X線強度マップデータの各ピクセルのX線強度を質量濃度に変換することで得られる。
相分析装置100では、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合には、X線強度マップデータを質量濃度マップデータに変換し、質量濃度マップデータに対して主成分分析を行って相マップを作成した後、当該質量濃度マップデータをX線強度マップデータに再変換し、再変換されたX線強度マップデータからX線強度の散布図を作成する。
図2は、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合の相分析結果を示す結果表示画面2の一例を示す図である。
図2に示すように、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合には、結果表示画
面2には、相マップ2aと、X線強度の散布図2bと、が表示される。
相マップ2aは、ユーザーによって選択された複数のX線強度マップデータを複数の質量濃度マップデータに変換し、当該複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行うことにより作成された相マップである。
X線強度の散布図2bは、異なる2元素を組み合わせて作成された2元散布図である。X線強度の散布図2bは、相マップ2aの作成に用いられた質量濃度マップデータを変換(再変換)して作成されたX線強度マップデータから作成される。
結果表示画面2に表示されるX線強度の散布図2bは、例えばX線強度マップデータから作成された複数の散布図のうち、相分析において最も注目すべき2つの元素を組み合わせて作成された散布図である。例えば、X線強度の散布図2bは、後述する主成分分析において、第1主成分の主成分係数の絶対値が最も大きい元素と、第2主成分の主成分係数の絶対値が最も大きい元素と、を組み合わせて作成された散布図である。図示の例では、X線強度の散布図2bは、鉄(Fe)と亜鉛(Zn)とを組み合わせて作成された散布図であり、横軸が鉄(Fe)のX線強度であり、縦軸が亜鉛(Zn)のX線強度である。
なお、結果表示画面2には、X線強度マップデータから作成された複数の散布図の全部が表示されてもよい。また、結果表示画面2には、X線強度マップデータから作成された複数の散布図のうち、ユーザーによって選択された散布図が表示されてもよい。
また、相分析装置100では、ユーザーが質量濃度マップデータを選択した場合には、質量濃度マップデータに対して主成分分析を行って相マップを作成した後、当該質量濃度マップデータから質量濃度の散布図を作成する。
図3は、ユーザーが質量濃度マップデータを選択した場合の相分析結果を示す結果表示画面4の一例を示す図である。
図3に示すように、ユーザーが質量濃度マップデータを選択した場合には、結果表示画面4には、相マップ4aと、質量濃度の散布図4bと、が表示される。
相マップ4aは、選択された複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行うことにより作成された相マップである。
質量濃度の散布図4bは、異なる2元素を組み合わせて作成された2元散布図である。質量濃度の散布図4bは、相マップ4aの作成に用いられた質量濃度マップデータから作成された散布図である。結果表示画面4に表示される質量濃度の散布図4bは、例えば質量濃度マップデータから作成された複数の散布図のうち、相分析において最も注目すべき2つの元素を組み合わせて作成された散布図である。図示の例では、質量濃度の散布図4bは、鉄(Fe)と亜鉛(Zn)とを組み合わせて作成された散布図であり、横軸が鉄(Fe)の質量濃度であり、縦軸が亜鉛(Zn)の質量濃度である。
(1)X線強度マップデータが選択されたときの処理
マップデータ取得部111は、表面分析装置本体部10で得られた複数のX線強度マップデータを取得する。この複数のX線強度マップデータは、試料Sの同一領域で測定されたものであり、互いに異なる元素についてのX線強度マップデータである。
マップデータ取得部111は、例えば、表面分析装置本体部10で得られた複数のX線強度マップデータのうち、ユーザーによって選択された複数のX線強度マップデータを取
得する。例えば、マップデータ取得部111は、操作部120を介してユーザーからの複数のX線強度マップデータの選択を受け付けた場合に、選択された複数のX線強度マップデータを取得する。
質量濃度マップデータ作成部112は、マップデータ取得部111で取得された複数のX線強度マップデータから、複数の質量濃度マップデータを作成する。具体的には、質量濃度マップデータ作成部112は、X線強度マップデータの各ピクセルのX線強度を質量濃度に変換する処理を行い、X線強度マップデータから質量濃度マップデータを作成する。
X線強度を質量濃度に変換する手法について説明する。ここでは、元素AのX線強度を、元素Aの質量濃度に変換する場合について説明する。
元素Aの相対強度(Kレシオ)は、下記式で表される。
ただし、K(A)は、元素Aの相対強度(Kレシオ)である。また、Iunk(A)は、分析試料における元素AのX線強度である。また、Istd(A)は、標準試料における元素AのX線強度である。また、Cstd(A)は、標準試料における元素Aの質量濃度である。
上記式で示すように、分析試料のX線強度Iunk(A)から、標準試料の測定結果(Istd(A)、Cstd(A))を用いて、相対強度K(A)を求めることができる。
分析試料における元素Aの質量濃度は、下記式で表される。
ただし、Cunk(A)は、分析試料における元素Aの質量濃度である。また、GZAFは、補正係数である。
上記式に示すように、相対強度K(A)から、分析試料における質量濃度Cunk(A)を求めることができる。なお、GZAFの値は、GZAF=1であってもよい。相マップでは、化合物の分布を知ることを目的とするため、特性X線の原子番号効果、吸収効果、蛍光励起効果の補正を厳密に適用しなくてもよい場合が多いためである。
以上の処理により、X線強度Iunk(A)を質量濃度Cunk(A)に変換することができる。
相マップ作成部113は、質量濃度マップデータ作成部112で作成された複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する。
以下、相マップを作成する処理について説明する。
まず、相マップ作成部113は、質量濃度マップデータ作成部112で作成された複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、各質量濃度マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める。
ここで、主成分分析とは、多変量解析の手法の一つであり、多変量のデータからそのデータ群の特徴を表す少数の特徴的な変量(合成変量)を求める手法である。合成変量(主成分)uは、下記式で表される。
ただし、Nは変量の数、iは自然数、xは各変量のデータ、a,a,・・・,aN−1,aは合成変量の係数(主成分係数)である。
合成変量の係数a,a,・・・,aN−1,aは、合成変量uの分散が最大になるように求める。ただし、合成変量の係数は以下の関係を満たす。
合成変量の係数a,a,・・・,aN−1,aを求めるためには、まず、元のデータ群の分散・共分散行列を計算し、その分散・共分散行列の固有値問題を解く。その固有値問題の解である固有値ベクトルが係数a,a,・・・,aN−1,aに対応する。また、得られる主成分はN組(もとデータ群の個数と同じ)であり、固有値の大きいものから第1主成分、第2主成分、・・・、第N主成分と呼ばれる。
相マップ作成部113は、複数の質量濃度マップデータの全ピクセルのデータ(質量濃度値)に対して上述した主成分分析を行う。主成分分析を行った結果、主成分ごとに、寄与率、累積寄与率、固有値、および固有値ベクトルの情報が得られる。すなわち、例えば、10個の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行った場合、第1主成分から第10主成分の情報が得られる。
次に、相マップ作成部113は、得られた固有値ベクトルを用いて、各質量濃度マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める。そして、求めた主成分得点の結果に基づいて、主成分ごとに主成分得点マップデータを作成する。主成分得点マップデータは、質量濃度マップデータのピクセルごとに求めた主成分得点をマップデータ(位置とその位置での主成分得点のデータ)の形式で表したものである。主成分得点は、下記式を利用して求めることができる。
なお、各ピクセルのデータから各質量濃度マップデータの平均値を引いているのは各ピクセルのデータが平均値になるときに主成分得点が原点0になるようにするためである。
相マップ作成部113は、求めた主成分得点をプロットして、主成分得点の散布図を作成する。具体的には、まず、相マップ作成部113は、固有値の大きい主成分を選択する。相マップ作成部113は、例えば、累積寄与率が所定の値(例えば80%以上)となるように主成分を選択する。なお、相マップ作成部113は、固有値の値が1以上である主成分を選択してもよいし、寄与率が所定の値以上である主成分を選択してもよい。
次に、相マップ作成部113は、選択した主成分を用いて、主成分得点の散布図を作成する。相マップ作成部113は、例えば、第1主成分と第2主成分を選択した場合、質量濃度マップデータのピクセルごとに求めた第1主成分得点の値および第2主成分得点の値を、第1主成分得点を横軸とし第2主成分得点を縦軸とした散布図にプロットする。これにより、主成分得点の散布図を作成することができる。
なお、ここでは、相マップ作成部113が第1主成分と第2主成分を選択して2次元の散布図を作成する場合について説明したが、相マップ作成部113は、第1〜第n主成分(n<N)を選択してn次元の散布図を作成してもよい。
次に、相マップ作成部113は、主成分得点の散布図からピーク位置を検出する。ピーク位置は、主成分得点の散布図上において各クラスタ(グループ)の重心となる位置(各クラスタの代表となる位置)である。例えば、相マップ作成部113は、主成分得点の散布図を複数の領域に区分けし、当該領域内のデータ点数をカウントして点密度を求める。そして、隣接する領域のうち点密度が大きい領域をピーク位置の候補とし、ピーク位置の候補から点密度が閾値以上であるピーク位置の候補をピーク位置とする。
次に、相マップ作成部113は、主成分得点の散布図上の各点と各ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて主成分得点の散布図上の各点を複数のグループに分類する。相マップ作成部113は、例えば、主成分得点の散布図上の各点を最も距離が小さいピーク位置のグループ(クラスタ)に属するように分類する。
相マップ作成部113は、上記の分類結果に基づいて、相マップを作成する。相マップ作成部113は、グループごとに分類された主成分得点の散布図上の各点を、質量濃度マップデータの対応する各ピクセルに戻し、質量濃度マップデータの形式にする。すなわち、作成された相マップは、グループ(クラスタ)の分布を表す。
以上の処理により、相マップを作成することができる。
信号強度マップデータ作成部114は、質量濃度マップデータ作成部112で作成された複数の質量濃度マップデータから複数の信号強度マップデータを作成する。具体的には、信号強度マップデータ作成部114は、質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度をX線強度に変換(再変換)する処理を行い、質量濃度マップデータからX線強度マップ
データを作成する。
質量濃度をX線強度に変換する手法について説明する。ここでは、元素Aの質量濃度を、元素AのX線強度に変換する場合について説明する。
元素Aの相対強度(Kレシオ)は、下記式で表される。
上記式に示すように、分析試料の質量濃度Cunk(A)から、相対強度K(A)を求めることができる。なお、GZAFの値は、GZAF=1であってもよい。
分析試料における元素AのX線強度は、下記式で表される。
上記式に示すように、相対強度K(A)から標準試料の測定結果(Istd(A)、Cstd(A))を用いて、分析試料のX線強度Iunk(A)を求めることができる。
以上の処理により、質量濃度Cunk(A)をX線強度Iunk(A)に変換することができる。
散布図作成部115は、信号強度マップデータ作成部114で作成された複数のX線強度マップデータから任意の元素の組み合わせによるX線強度の散布図を作成する。
表示制御部116は、相マップ作成部113で作成された相マップ、および散布図作成部115で作成されたX線強度の散布図を、表示部122に表示させる制御を行う。これにより、表示部122に、図2に示す結果表示画面2が表示される。表示制御部116は、相マップ作成部113で作成された相マップを、各グループ(クラスタ)ごとに色分けして、表示部122に表示させる制御を行ってもよい。また、表示制御部116は、散布図作成部115で作成されたX線強度の散布図に相マップの色分けを反映させて表示部122に表示させる制御を行ってもよい。
(2)質量濃度マップデータが選択されたときの処理
マップデータ取得部111は、ユーザーによって選択された複数の質量濃度マップデータを取得する。例えば、マップデータ取得部111は、操作部120を介してユーザーからの複数の質量濃度マップデータの選択を受け付けた場合に、選択された複数の質量濃度マップデータを取得する。質量濃度マップデータは、表面分析装置本体部10で得られたX線強度マップデータから作成されたものである。
相マップ作成部113は、マップデータ取得部111で取得された複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成す
る。相マップを作成する処理は、上述した「(1)X線強度マップデータが選択されたときの処理」と同様であり、その説明を省略する。すなわち、質量濃度マップデータが選択された場合に作成される相マップ4a(図3参照)と、X線強度マップデータが選択された場合に作成される相マップ2a(図2参照)は、同じものとなる。
散布図作成部115は、マップデータ取得部111で取得された質量濃度マップデータから任意の元素の組み合わせによる質量濃度の散布図を作成する。
表示制御部116は、相マップ作成部113で作成された相マップ、および散布図作成部115で作成された質量濃度の散布図を、表示部122に表示させる制御を行う。これにより、表示部122に、図3に示す結果表示画面4が表示される。
2. 相分析装置の動作
次に、相分析装置100の動作について、説明する。図4は、相分析装置100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、マップデータ取得部111は、分析対象として、ユーザーが、X線強度マップデータと質量濃度マップデータのどちらを選択したかを判定する(ステップS100)。
マップデータ取得部111は、操作部120を介してユーザーからの複数のX線強度マップデータの選択を受け付けた場合には、X線強度マップデータが選択されたと判断する。また、マップデータ取得部111は、操作部120を介してユーザーからの複数の質量濃度マップデータの選択を受け付けた場合には、質量濃度マップデータが選択されたと判断する。
X線強度マップデータが選択されたと判断された場合(ステップS100で「X線強度」の場合)、マップデータ取得部111は、ユーザーにより選択された複数のX線強度マップデータを取得する(ステップS102)。
図5は、分析対象となる複数のX線強度マップデータを示す図である。図5では、分析対象となるX線強度マップデータとして、酸素(O)のX線強度マップデータ、亜鉛(Zn)のX線強度マップデータ、鉄(Fe)のX線強度マップデータ、炭素(C)のX線強度マップデータが選択されている。以下、図5に示す4つのX線強度マップデータが選択された場合について説明する。
次に、質量濃度マップデータ作成部112は、マップデータ取得部111で取得された複数のX線強度マップデータの各々に対してX線強度マップデータの各ピクセルの信号強度を質量濃度に変換する処理を行い、複数の質量濃度マップデータを作成する(ステップS104)。
質量濃度マップデータ作成部112は、酸素のX線強度マップデータから酸素の質量濃度マップデータを作成する。質量濃度マップデータ作成部112は、同様に、亜鉛のX線強度マップデータから亜鉛の質量濃度マップデータを作成し、鉄のX線強度マップデータから鉄の質量濃度マップデータを作成し、炭素のX線強度マップデータから炭素の質量濃度マップデータを作成する。
次に、相マップ作成部113は、質量濃度マップデータ作成部112で作成された複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する(ステップS106)。
相マップ作成部113は、酸素の質量濃度マップデータ、亜鉛の質量濃度マップデータ、鉄の質量濃度マップデータ、および炭素の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、相マップ(図2に示す相マップ2a参照)を作成する。
次に、信号強度マップデータ作成部114は、質量濃度マップデータ作成部112で作成された複数の質量濃度マップデータの各々に対して質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度をX線強度に変換(再変換)する処理を行い、複数の質量濃度マップデータから複数のX線強度マップデータを作成する(ステップS108)。
信号強度マップデータ作成部114は、酸素の質量濃度マップデータから酸素のX線強度マップデータを作成する。信号強度マップデータ作成部114は、同様に、亜鉛の質量濃度マップデータから亜鉛のX線強度マップデータを作成し、鉄の質量濃度マップデータから鉄のX線強度マップデータを作成し、炭素の質量濃度マップデータから炭素のX線強度マップデータを作成する。
次に、散布図作成部115は、信号強度マップデータ作成部114で作成された複数のX線強度マップデータから任意の元素の組み合わせによるX線強度の散布図(図2に示すX線強度の散布図2b参照)を作成する(ステップS110)。
次に、表示制御部116は、相マップ作成部113で作成された相マップ、および散布図作成部115で作成されたX線強度の散布図を、表示部122に表示させる制御を行う(ステップS112)。これにより、表示部122に、図2に示す結果表示画面2が表示される。
一方、質量濃度マップデータが選択されたと判断された場合(ステップS100で「質量濃度」の場合)、マップデータ取得部111は、ユーザーにより選択された複数の質量濃度マップデータを取得する(ステップS114)。
以下、質量濃度マップデータとして、酸素の質量濃度マップデータ、亜鉛の質量濃度マップデータ、鉄の質量濃度マップデータ、炭素の質量濃度マップデータが選択された場合について説明する。
次に、相マップ作成部113は、マップデータ取得部111で取得された複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する(ステップS116)。
相マップ作成部113は、酸素の質量濃度マップデータ、亜鉛の質量濃度マップデータ、鉄の質量濃度マップデータ、および炭素の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、相マップ(図3に示す相マップ4a参照)を作成する。
次に、散布図作成部115は、マップデータ取得部111で取得された質量濃度マップデータから質量濃度の散布図(図3に示す質量濃度の散布図4b参照)を作成する(ステップS118)。
次に、表示制御部116は、相マップ作成部113で作成された相マップ、および散布図作成部115で作成された質量濃度の散布図を、表示部122に表示させる制御を行う(ステップS120)。これにより、表示部122に、図3に示す結果表示画面4が表示される。
以上の処理を行うことにより、相分析を行うことができる。
相分析装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
相分析装置100では、質量濃度マップデータ作成部112が複数のX線強度マップデータの各々に対してX線強度マップデータの各ピクセルの信号強度を質量濃度に変換する処理を行って複数の質量濃度マップデータを作成し、相マップ作成部113が複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する。そのため、相分析装置100では、例えば、X線検出器(エネルギー分散型検出器18、波長分散型検出器19)の特性の影響が低減された良好な相マップを、容易に得ることができる。
例えば、仮に、X線強度マップデータに対して主成分分析を行って相マップを作成した場合、X線強度は試料の性質だけでなくX線検出器の感度の影響も受けるため、主成分分析の結果に試料の性質だけでなくX線検出器の特性も含まれてしまい、良好な分析結果が得られない。
また、相分析装置100では、信号強度マップデータ作成部114が複数の質量濃度マップデータの各々に対して質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度を信号強度に再変換する処理を行い、複数の再変換された信号強度マップデータを作成し、散布図作成部115が信号強度マップデータ作成部114で作成された複数の再変換された信号強度マップデータからX線強度の散布図を作成する。そのため、相分析装置100では、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合に、相分析の結果として得られる散布図もX線強度の散布図となる。したがって、ユーザーは、相マップが質量濃度マップデータに対して主成分分析を行って作成されたことを意識することなく、直感的に相分析の結果を理解することができる。
相分析装置100では、相マップ作成部113が、複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、各質量濃度データのピクセルごとに主成分得点を求める処理と、求めた主成分得点に基づいて、主成分得点の散布図を作成する処理と、主成分得点の散布図からピーク位置を検出する処理と、主成分得点の散布図上の各点と各ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて主成分得点の散布図上の各点を複数のグループに分類し、相マップを作成する処理と、を行う。そのため、相分析装置100では、ユーザーが多数のX線強度マップデータから適切な組み合わせを選択してその相関関係を見つけ出す必要がなく、容易に相マップを作成することができる。
相分析装置100では、複数のX線強度マップデータを選択するための操作を受け付ける操作部120を含み、複数のX線強度マップデータが選択された場合に、マップデータ取得部111は、選択された複数のX線強度マップデータを取得する。そのため、相分析装置100では、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合であっても、質量濃度マップデータに対して主成分分析が行われ、相マップが作成される。したがって、相分析装置100では、容易に良好な分析結果を得ることができる。
本実施形態に係る相分析方法では、表面分析装置において試料SからのX線を検出して得られた複数のX線強度マップデータを取得するマップデータ取得工程と、取得された複数のX線強度マップデータの各々に対してX線強度マップデータの各ピクセルのX線強度を質量濃度に変換する処理を行い、複数の質量濃度マップデータを作成する質量濃度マップデータ作成工程と、複数の質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する相マップ作成工程と、を含む。そのため、X線検出器の特性の影響が低減された良好な分析結果を得ることができる。
また、本実施形態に係る相分析方法では、質量濃度マップデータ作成工程で作成された複数の質量濃度マップデータの各々に対して質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度を信号強度に再変換し、複数の再変換されたX線強度マップデータを作成する信号強度マップデータ作成工程と、信号強度マップデータ作成工程で作成された複数の再変換されたX線強度マップデータから信号強度の散布図を作成する散布図作成工程と、を含む。そのため、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合に、相分析の結果として得られる散布図もX線強度の散布図となる。したがって、ユーザーは、相マップが質量濃度マップデータに対して主成分分析を行って作成されたことを意識することなく、直感的に相分析の結果を理解することができる。
本実施形態に係る表面分析装置1000は、相分析装置100を含むため、良好な分析結果を得ることができる。
以下、相分析装置100の特徴について、参考例を挙げて説明する。
図6は、相分析結果を示す結果表示画面の参考例を示す図である。図6では、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合の結果表示画面6を示す図である。
図6に示す結果表示画面6には、X線強度マップデータに対して主成分分析を行って作成された相マップ6aと、X線強度マップデータから作成されたX線強度の散布図6bと、が表示されている。なお、図6に示す相マップ6aは、図5に示すX線強度マップデータに対する相分析の結果である。
図6に示すように相マップ6aでは、X線強度が大きい炭素(C)の影響を強く受けている。これは、X線強度の大きい元素が主成分分析に与える影響も大きいためである。しかしながら、X線強度は、試料の性質だけでなくX線検出器の感度の影響も受ける。そのため、相マップ6aには、試料の性質だけでなくX線検出器の特性も含まれてしまっているといえる。
これに対して、相分析装置100において作成された相マップ2a(図2参照)では、質量濃度マップデータを用いて主成分分析を行っているため、相マップ6aに比べて、X線検出器の感度の影響は小さく試料の性質をより反映しているといえる。
また、分析対象としてX線強度マップデータを選択したにも関わらず、結果表示画面に質量濃度の散布図が表示されると、ユーザーは混乱し、直感的な理解を妨げる。そのため、相分析装置100では、ユーザーがX線強度マップデータを選択した場合には、信号強度マップデータ作成部114で作成された複数のX線強度マップデータからX線強度の散布図2bを作成し表示する。これにより、ユーザーは直感的に相分析の結果を理解することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、表面分析装置1000が電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)である例について説明したが、本発明に係る表面分析装置は、試料からの信号を検出して信号強度マップデータを取得できる装置であれば特に限定されない。例えば、本発明に係る表面分析装置は、オージェ電子分光装置(Auger Electron Spectroscope)、X線光電子分光装置(X−ray Photoelectron Spectroscope;XPS)、エネルギー分散型X線分光器(energy dispersive X−ray spectrometer;EDS
)が搭載された走査電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope;SEM)などであってもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、相分析装置100が表面分析装置1000に含まれている場合について説明したが、本発明に係る相分析装置100は、表面分析装置に含まれていなくてもよい。本発明に係る相分析装置は、例えば、情報記憶媒体等を介して信号強度マップデータを取得して、上述した処理を行ってもよい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…結果表示画面、2a…相マップ、2b…散布図、4…結果表示画面、4a…相マップ、4b…散布図、6…結果表示画面、6a…相マップ、6b…散布図、10…表面分析装置本体部、11…電子銃、12…集束レンズ、13…偏向器、14…対物レンズ、15…試料ステージ、17…二次電子検出器、18…エネルギー分散型検出器、19…波長分散型検出器、100…相分析装置、110…処理部、111…マップデータ取得部、112…質量濃度マップデータ作成部、113…相マップ作成部、114…信号強度マップデータ作成部、115…散布図作成部、116…表示制御部、120…操作部、122…表示部、124…記憶部、1000…表面分析装置

Claims (8)

  1. 表面分析装置において試料からの信号を検出して得られた複数の信号強度マップデータを取得するマップデータ取得部と、
    取得された複数の前記信号強度マップデータの各々に対して前記信号強度マップデータの各ピクセルの信号強度を質量濃度に変換する処理を行い、複数の質量濃度マップデータを作成する質量濃度マップデータ作成部と、
    複数の前記質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する相マップ作成部と、
    を含む、相分析装置。
  2. 請求項1において、
    複数の前記質量濃度マップデータの各々に対して前記質量濃度マップデータの各ピクセルの質量濃度を信号強度に再変換する処理を行い、複数の再変換された信号強度マップデータを作成する信号強度マップデータ作成部と、
    前記信号強度マップデータ作成部で作成された複数の前記再変換された信号強度マップデータから信号強度の散布図を作成する散布図作成部と、
    を含む、相分析装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記相マップ作成部は、
    複数の前記質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、各前記質量濃度マップデータのピクセルごとに主成分得点を求める処理と、
    求めた前記主成分得点に基づいて、前記主成分得点の散布図を作成する処理と、
    前記主成分得点の散布図からピーク位置を検出する処理と、
    前記主成分得点の散布図上の各点と各前記ピーク位置との間の距離を求め、当該距離に基づいて前記主成分得点の散布図上の各点を複数のグループに分類し、前記相マップを作成する処理と、
    を行う、相分析装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記信号は、前記試料に電子線を照射することにより前記試料から発生したX線である、相分析装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    複数の前記信号強度マップデータを選択するための操作を受け付ける操作部を含み、
    複数の前記信号強度マップデータが選択された場合に、前記マップデータ取得部は、選択された複数の前記信号強度マップデータを取得する、相分析装置。
  6. 表面分析装置において試料からの信号を検出して得られた複数の信号強度マップデータを取得するマップデータ取得工程と、
    取得された複数の前記信号強度マップデータの各々に対して前記信号強度マップデータの各ピクセルの信号強度を質量濃度に変換する処理を行い、複数の質量濃度マップデータを作成する質量濃度マップデータ作成工程と、
    複数の前記質量濃度マップデータに対して主成分分析を行い、当該主成分分析の結果に基づいて相マップを作成する相マップ作成工程と、
    を含み、相分析方法。
  7. 請求項6において、
    複数の前記質量濃度マップデータの各々に対して前記質量濃度マップデータの各ピクセ
    ルの質量濃度を信号強度に再変換し、複数の再変換された信号強度マップデータを作成する信号強度マップデータ作成工程と、
    前記信号強度マップデータ作成工程で作成された複数の前記再変換された信号強度マップデータから信号強度の散布図を作成する散布図作成工程と、
    を含む、相分析方法。
  8. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の相分析装置を含む、表面分析装置。
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