JP7442488B2 - 相分析装置、試料分析装置、および分析方法 - Google Patents

相分析装置、試料分析装置、および分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、相分析装置、試料分析装置、および分析方法に関する。
エネルギー分散型X線分光器(EDS)や波長分散型X線分光器(WDS)等のX線検出器が搭載された走査電子顕微鏡では、試料上の位置とX線スペクトルを対応づけたスペクトルイメージングデータを取得できる。スペクトルイメージングデータを用いて化合物の分布を求める手法として、相分析が知られている。
例えば、特許文献1には、化合物の分布を示す相マップとともに、各元素のX線強度や各元素の濃度を面積として表すグラフを表示して、化合物の組成の特徴を把握しやすく表示した相分析装置が開示されている。
特開2018-200270号公報
相分析では、分析の条件が適切でなければ良好な相分析の結果が得られない。そのため、分析の条件を変えて相分析を繰り返し行い、適切な条件を探す必要がある。しかしながら、分析の条件を変えて相分析を繰り返すと、条件を変更する前の相分析の結果を確認する場合には、再度、条件を変更する前の条件で相分析を行わなければならない。
本発明に係る相分析装置の一態様は、
試料上の位置と前記試料からの信号に基づくスペクトルを対応づけたスペクトルイメージングデータを取得するデータ取得部と、
前記スペクトルイメージングデータに基づいて相分析を行う相分析部と、
前記相分析の結果を第1画面に表示させる表示制御部と、
前記相分析の条件を変更するための操作を受け付ける条件受付部と、
を含み、
前記相分析部は、前記条件受付部が前記条件を変更するための操作を受け付けると、変更された前記条件に基づいて相分析を行い、
前記表示制御部は、
変更された前記条件に基づいて行われた前記相分析の結果を第2画面に表示させ、
所定の操作が行われた場合に、前記第2画面に表示された前記相分析の結果を前記第1画面に反映させる。
このような相分析装置では、相分析の条件が変更される前の相分析の結果を第1画面に表示し、相分析の条件が変更された後の相分析の結果を第2画面に表示することができる。そのため、このような相分析装置では、相分析の条件の変更を繰り返しても、相分析の条件が変更される前の相分析の結果を容易に確認できる。
本発明に係る試料分析装置の一態様は、
上記相分析装置を含む。
本発明に係る分析方法の一態様は、
試料上の位置と前記試料からの信号に基づくスペクトルを対応づけたスペクトルイメージングデータを取得する工程と、
前記スペクトルイメージングデータに基づいて相分析を行う工程と、
前記相分析の結果を第1画面に表示させる工程と、
前記相分析の条件を変更された場合に前記条件に基づいて相分析を行い、変更された前記条件に基づいて行われた前記相分析の結果を第2画面に表示させる工程と、
所定の操作が行われた場合に、前記第2画面に表示された前記相分析の結果を前記第1画面に反映させる工程と、
を含む。
このような分析方法では、相分析の条件が変更される前の相分析の結果を第1画面に表示し、相分析の条件が変更された後の相分析の結果を第2画面に表示することができる。そのため、このような相分析装置では、相分析の条件の変更を繰り返しても、相分析の条件が変更される前の相分析の結果を容易に確認できる。
本発明の一実施形態に係る相分析装置を含む試料分析装置の構成を示す図。 相分析装置の構成を示す図。 階層的クラスタリング法を説明するための図。 階層的クラスタリング法を説明するための図。 クラスター数と結合距離の関係を示すグラフ。 クラスター数と曲率の関係を示すグラフ。 第1データベースを説明するための図。 第2データベースを説明するための図。 エッジ相をまとめる処理を説明するための図。 エッジ相を判定する手法を説明するための図。 解析画面の一例を示す図。 プレビュー画面の一例を示す図。 プレビュー画面の一例を示す図。 クラスター数の候補を決定する処理を説明するための図。 候補一覧画面の一例を示す図。 候補一覧画面において1つの相マップ群が選択された状態を模式的に示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 分析装置
まず、本発明の一実施形態に係る相分析装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る相分析装置80を含む試料分析装置100の構成を示す図である。
試料分析装置100は、X線検出器70が搭載された走査電子顕微鏡である。試料分析装置100では、電子プローブEPで試料Sを走査して、試料S上の位置とX線スペクトルを対応づけたスペクトルイメージングデータを取得できる。
試料分析装置100は、図1に示すように、電子銃10と、コンデンサーレンズ20と
、走査コイル30と、対物レンズ40と、試料ステージ50と、二次電子検出器60と、X線検出器70と、相分析装置80と、を含む。
電子銃10は、電子線を放出する。電子銃10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する。
コンデンサーレンズ20および対物レンズ40は、電子銃10から放出された電子線を集束させて電子プローブEPを形成する。コンデンサーレンズ20によって、プローブ径およびプローブ電流を制御することができる。
走査コイル30は、電子プローブEPを二次元的に偏向させる。走査コイル30で電子プローブEPを二次元的に偏向させることによって、電子プローブEPで試料Sを走査できる。
試料ステージ50は、試料Sを保持することができる。試料ステージ50は、試料Sを移動させるための移動機構を有している。
二次電子検出器60は、電子線が試料Sに照射されることによって試料Sから放出された二次電子を検出する。電子プローブEPで試料Sを走査し、試料Sから放出された二次電子を二次電子検出器60で検出することで、二次電子像を得ることができる。なお、試料分析装置100は、電子線が試料Sに照射されることによって試料Sから放出された反射電子を検出する反射電子検出器を備えていてもよい。
X線検出器70は、電子線が試料Sに照射されることによって試料Sから放出された特性X線を検出する。X線検出器70は、例えば、エネルギー分散型X線検出器である。なお、X線検出器70は、波長分散型X線分光器であってもよい。電子プローブEPで試料Sを走査し、試料Sから放出された特性X線をX線検出器70で検出することで、スペクトルイメージングデータを得ることができる。
スペクトルイメージングデータは、試料上の位置(座標)と試料からの信号に基づくスペクトルを対応づけたデータである。試料分析装置100では、スペクトルイメージングデータとして、試料S上の位置とX線スペクトルを対応づけたデータを取得できる。試料分析装置100では、試料S上を電子プローブEPで走査しながら、各画素ごとにX線スペクトルを収集し、試料S上の位置(画素の座標)とX線スペクトルを対応づけて記憶する。
相分析装置(情報処理装置)80は、スペクトルイメージングデータを用いて相分析を行い、相分析の結果を表示する。また、相分析装置80では、相分析の結果の解析および編集を行うことができる。
図2は、相分析装置80の構成を示す図である。
相分析装置80は、図2に示すように、処理部800と、操作部810と、表示部820と、記憶部830と、を含む。
操作部810は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部800に出力する。操作部810の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチパッドなどの入力機器により実現することができる。
表示部820は、処理部800によって生成された画像を表示するものであり、その機
能は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)などのディスプレイにより実現できる。
記憶部830は、処理部800の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムや各種データを記憶している。また、記憶部830は、処理部800のワーク領域としても機能する。記憶部830の機能は、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)などにより実現できる。
処理部800は、記憶部830に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する、データ取得部802、条件受付部804、相分析部806、表示制御部808として機能する。処理部800の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアで、プログラムを実行することにより実現できる。処理部800は、データ取得部802と、条件受付部804と、相分析部806と、表示制御部808と、を含む。
データ取得部802は、試料分析装置100で試料Sを測定して得られたスペクトルイメージングデータを取得する。
条件受付部804は、相分析の条件を変更するための操作を受け付ける。
相分析部806は、スペクトルイメージングデータに対して多変量解析を行って相分析を行う。相分析の結果として、相マップや、相スペクトル、相の面積率、相の名前(化合物名、組成情報)などが得られる。相マップは、化合物の分布を示す画像である。
表示制御部808は、相分析の結果を表示部820に表示させる。
2. 分析方法
2.1. スペクトルイメージングデータの取得
データ取得部802は、試料分析装置100で試料Sを測定して得られたスペクトルイメージングデータを取得する。試料分析装置100では、電子プローブEPで試料Sを走査し、試料Sから放出されたX線をX線検出器70で検出し、検出位置(試料S上の座標)とX線スペクトルデータを関連付けて記憶することで、スペクトルイメージングデータを得ることができる。
2.2. 相分析の条件の受け付け
条件受付部804は、相分析の条件を受け付ける。相分析の条件は、例えば、相の数である。操作部810においてユーザーが相の数を指定する操作を行うと、条件受付部804は、相分析の条件を変更するための操作を受け付けて、ユーザーが指定した相の数の情報を取得する。
なお、相分析の条件は、相の数に限定されない。例えば、相分析の条件としては、スムージング、ピクセルビニング、スペクトル強度の規格化、後述する相をまとめる処理におけるパラメータ(領域Dの大きさ、閾値)などの条件が挙げられる。
スムージングは、画像をぼかす処理である。ピクセルビニングは、画素ごとに取得されたスペクトルイメージングデータにおいて、隣り合う複数の画素を1つの画素とみなす処理である。スペクトル強度の規格化は、注目すべきスペクトル中のピークを他のピークよりも相対的に強度を大きくすることをいう。これにより、注目すべきピークが後述する多変量解析において、解析対象のデータの特徴として取り扱われる。相をまとめる処理におけるパラメータについては、後述する「<エッジ相をまとめる処理>」で説明する。これ
らの条件を変更することによって、得られる相分析の結果が変わる。
2.3. 相分析
相分析部806は、スペクトルイメージングデータに対して相分析を行う。相分析は、例えば、多変量解析を用いて行われる。多変量解析としては、自己組織化マップ、階層的クラスタリング法、K-means法、主成分分析、特異値分解、非負値行列分解、頂点成分分析などの手法が挙げられる。また、これらの手法を組み合わせてもよい。
相分析部806は、条件受付部804で受け付けた条件に従って相分析を行う。例えば、条件受付部804が相の数の条件を指定するための操作を受け付けた場合には、相分析部806は指定された相の数に応じた数の相マップが作成されるように相分析を行う。
なお、相の数が指定されてない場合には、相分析部806が多変量解析を用いて相の数を推定してもよい。相分析部806は、例えば、スペクトルイメージングデータに対してクラスター分析を行って相の数を推定する。クラスター分析は、多変量解析の一種であり、データ群のなかで類似したデータ同士を集めて仲間分けする教師なし学習である。ここでは、クラスター分析として、自己組織化マップおよび階層的クラスタリング法を組み合わせて相の数を推定する場合について説明する。
相分析部806は、まず、スペクトルイメージングデータの自己組織化マップを作成する。相分析部806は、スペクトルイメージングデータを構成する各画素のスペクトルデータを入力ベクトルとして、自己組織化マップを学習させていく。これにより、入力ベクトル同士を関連付けるマップ空間が形成される。マップ空間では、スペクトルデータの類似度がマップ上の距離で表現される。相分析部806は、マップ空間上の距離に基づいて、スペクトルデータを仲間分けし、クラスターを作成する。クラスターは、類似する入力ベクトル(スペクトルデータ)の集まりである。
相分析部806は、自己組織化マップを用いて得られたクラスターを最小単位のクラスターとし、階層的クラスタリング法を用いて最小単位のクラスターを併合して新たなクラスターを作成する。
図3および図4は、階層的クラスタリング法を説明するための図である。
相分析部806は、図3および図4に示すように、自己組織化マップで得られた最小単位のクラスターC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10を、階層的クラスタリング法を用いて併合して、新たなクラスターを作成する。
具体的には、相分析部806は、最小単位のクラスターC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10のクラスター間の距離(非類似度)を求め、その距離が短い組み合わせから順に併合する。併合の過程は、樹形図で表すことができる。2つのクラスターの併合に要する距離を結合距離という。
図4に示すように、樹形図を閾値Tで切断することによって、新たなクラスターを作成できる。階層的クラスタリング法では、閾値Tを調整することで、任意の数のクラスターを作成できる。図示の例では、樹形図を閾値Tで切断することによって、4つのクラスターが作成されている。
図5は、クラスター数と結合距離の関係を示すグラフである。
相分析部806は、最小単位のクラスターC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7
,C8,C9,C10のクラスター間の結合距離を求め、図5に示すクラスター数と結合距離の関係を示すグラフ(関数)を作成する。
図6は、クラスター数と曲率の関係を示すグラフである。
相分析部806は、図5に示すクラスター数と結合距離の関係を示すグラフから、図6に示すクラスター数と曲率の関係を示すグラフを作成する。ここで、曲率とはクラスター数と結合距離の関係を示す関数の、任意の点における曲率である。y=f(x)の点(a,f(a))における曲率Rは以下の式で求めることができる。
Figure 0007442488000001
相分析部806は、クラスター数ごとに曲率を求め、曲率に基づいて優先度を決定する。優先度は、例えば、クラスター数ごとに求められた曲率のうちの最も大きい曲率を基準として、その比で表すことができる。曲率が大きいほど、優先度が高くなる。
図6に示す例では、クラスター数が「4」の場合が最も曲率が大きいため、クラスター数を「4」に決定する。すなわち、相分析部806は、相の数を4つと推定する。
相分析部806は、相分析の条件にしたがって相分析を行い、相分析の結果として相マップを作成する。図6に示す例では、相の数が4つと推定されたため、相分析部806は、4つの相マップからなる相マップ群を作成する。
相分析部806は、さらに、各相マップから相スペクトルを作成する。相スペクトルは、相マップを構成する各画素のスペクトルを平均(または積算)して得られたスペクトルである。また、相分析部806は、相マップごとに相の名前を付ける処理(ラベリング処理)、各相の面積率を求める処理、エッジ相をまとめる処理などを行うことができる。以下、相分析部806が行う各処理について詳細に説明する。
<ラベリング処理>
相の名前は、2つのデータベース(第1データベースおよび第2データベース)を用いて決定される。ここでは、相の名前として化合物名が用いられる場合について説明する。
図7は、第1データベースを説明するための図であり、図8は、第2データベースを説明するための図である。
第1データベースには、図7に示すように、分類名(化合物名)、スペクトルデータ、および定量結果が登録されている。第1データベースは、測定したスペクトルをユーザーが登録することで形成される。分類名は、定量結果から推定される化合物名である。スペクトルデータは、測定したX線スペクトルのデータである。定量結果は、測定したスペクトルに対して定量計算を行った結果である。例えば、第1データベースには、データNo.1として、分類名SiO、スペクトルの形状のデータとしてSiOのスペクトルデータ、および定量結果としてSi:47.3269%、O:52.6731%が登録されている。
第2データベースは、図8に示すように、化合物名と組成情報が登録されている。組成
情報は、化合物名から計算により求めている。例えば、第2データベースには、データNo.1として、化合物名としてSiO、組成情報としてSi:46.744559%、O:53.255441%が登録されている。
相分析部806は、第1データベースおよび第2データベースから、名前を付ける対象となる相のデータ(相スペクトルや定量結果)と一致度が高いものを探し、一致度が高いデータの化合物名を、相の名前とする。
なお、相分析部806は、相スペクトルに対して定性定量分析を行って相の組成情報を取得し、当該組成情報に基づいて相に名前をつけてもよい。
<面積率>
相分析部806は、各相マップの面積率を計算する。面積率は、各相の面積のマップ全体の面積に対する割合で表すことができる。
<エッジ相をまとめる処理>
相マップでは、2つの相の境界において2つの相を分離できずに、2つの相の境界に別の相が存在するようにみえる場合がある。この2つの相の境界に存在する別の相をエッジ相という。このエッジ相は実際には存在しないため、エッジ相が複数存在する場合には複数のエッジ相を結合して1つにまとめる。
図9は、エッジ相をまとめる処理を説明するための図である。図9には、第1相の相マップM1、第2相の相マップM2、第3相の相マップM3、第4相の相マップM4、第5相の相マップM5、第6相の相マップM6、第7相の相マップM7、第8相の相マップM8を図示している。
ここで、第6相および第7相は、第1相の縁を示している。また、第8相は、第5相の縁を示している。そのため、第6相の相マップM6、第7相の相マップM7、および第8相はエッジ相であり、相マップM8を1つにまとめて相マップEdgeを作成する。これにより、複数のエッジ相を1つの相マップにまとめることができる。
相分析部806は、相マップ群を構成する複数の相マップからエッジ相を判定する。ここでは、エッジ相のピクセルの周囲には、他の相のピクセルの割合が多いという特性に注目して判定を行う場合について説明する。
図10は、エッジ相を判定する手法を説明するための図である。図10には、相A、相B、および相Cを図示している。ここでは、相Cがエッジ相か否かを判定する場合について説明する。
相Cに属するピクセルのうちの1つのピクセルC0に着目し、ピクセルC0を中心として、その周囲の領域Dのデータを切り出す。図示の例では、領域Dは、5×5の大きさの領域である。切り出す領域Dの大きさは、例えば、後述するプレビュー画面で設定可能である。
次に、領域Dに含まれる各相のピクセル数を数える。図10に示す例では、相Aが8ピクセル、相Bが12ピクセル、相Cが5ピクセルである。
次に、最もピクセル数が多い相と、ピクセルC0の相が一致しているか否かを判定する。一致していない場合には、ピクセルC0はエッジらしいピクセルであると判定する。一致している場合には、ピクセルC0はエッジらしいピクセルでないと判定する。ここでは
、最もピクセル数が多い相と、ピクセルC0の相が一致していないため、ピクセルC0はエッジらしいピクセルと判定される。
上記の領域Dを切り出す処理、ピクセル数を数える処理、最もピクセル数が多い相と注目するピクセルの相が一致するか否かを判定する処理を、相Cに属するすべてのピクセルに対して行う。そして、相Cに属する総ピクセル数と、エッジらしいピクセルと判定されたピクセル数との割合を求める。この結果、当該割合が閾値を超えている場合には、相Cはエッジ相と判定される。一方、当該割合が閾値以下の場合には、相Cはエッジ相ではないと判定される。閾値は、後述するプレビュー画面で設定可能である。
ここでは、相Cがエッジ相か否かを判定する場合について説明したが、すべての相に対してエッジ相か否かを判定する処理を行う。この結果、相マップ群からエッジ相を抽出できる。
なお、エッジ相を判定する手法はこれに限定されず、例えば、相の形状からエッジ相か否かを判定してもよいし、相スペクトルからエッジ相か否かを判定してもよい。
2.4. 表示
2.4.1. 解析画面の表示
表示制御部808は、相分析部806による相分析の結果を解析画面(第1画面の一例)に表示させる。解析画面は表示部820に表示される。
図11は、解析画面2(GUI画面)の一例を示す図である。
解析画面2には、複数の相マップおよび相スペクトルが表示されている。また、解析画面2には、各相の名前、各相の面積率、定量結果が表示されている。さらに、解析画面2の領域202には、各相マップとSEM像を合成した画像が表示されている。
解析画面2では、相分析の結果の解析および編集を行うことができる。例えば、解析画面2では、相スペクトルの定性定量分析、相の結合、相の色の変更、相の名前の変更などを行うことができる。
解析画面2では、様々な条件で相スペクトルの定性定量分析を行うことができる。相スペクトルの定性定量分析を行うことで、相の名前を変えたり、他の相との比較を行ったりできる。
解析画面2では、複数の相マップを結合して1つの相マップを形成できる。例えば、類似する分布を持つ相マップを1つの相マップにまとめたり、同様の組成を持つ複数の相を1つの相にまとめたりできる。また、複数のエッジ相を1つの相マップにまとめることができる。
解析画面2では、ユーザーが選択した相マップの色を所望の色に変更することができる。これにより、相マップをみやすくできる。
また、解析画面2では、相の名前を変更することができる。例えば、相スペクトルの定性定量分析の結果に基づいて相の名前を変更してもよい。
2.4.2. プレビュー画面の表示
表示制御部808は、解析画面2とともにプレビュー画面(第2画面の一例)を表示させる。例えば、ユーザーが解析画面2において相分析の結果の解析および編集を行った後
、相分析の条件を変更する場合に、プレビュー画面において条件の変更を行うことができる。また、プレビュー画面では、変更された条件に基づく相分析の結果が表示される。
プレビュー画面4において、条件の変更および変更された条件に基づく相分析の結果の確認を繰り返し行い、妥当な相分析の結果が得られた場合には、プレビュー画面4に表示された相分析の結果を解析画面2に適用できる。
図12は、プレビュー画面4の一例を示す図である。
プレビュー画面4には、ユーザーがクラスター数(相の数)を設定するためのスライダー402、クラスター数を自動で設定するためのボタン404、クラスター数を設定するための情報が表示される情報表示領域406、エッジ相を判定する処理においてエッジ判定レベル(領域D)を設定するためのスライダー408、および相分析の結果としての相マップが表示される分析結果表示領域410、適用ボタン412、および閉じるボタン414が表示される。
スライダー402は、ユーザーがクラスター数を設定するためのGUI部品である。なお、クラスター数を設定するためのGUI部品は、スライダー402に限定されない。
ボタン404は、相分析部806にクラスター数を設定させるためのGUI部品である。ボタン404を押す操作を行うことで、クラスター数が相分析部806が推定したクラスター数に設定される。
情報表示領域406には、相の数(クラスター数)を推定するための情報が表示される。図示の例では、階層的クラスタリング法によるクラスターの併合の過程を示す樹形図が表示されている。樹形図を確認することで、クラスター数を推定できる。例えば、スライダー402で設定したクラスター数に応じた閾値Tを示す線が、樹形図上に表示されてもよい。
なお、情報表示領域406に表示される情報は樹形図に限定されない。例えば、情報表示領域406には、図5に示す結合距離とクラスター数の関係を示すグラフが表示されてもよい。また、情報表示領域406には、樹形図と、結合距離とクラスター数の関係を示すグラフの両方が表示されてもよい。
また、プレビュー画面4に情報表示領域406を表示しなくてもよい。例えば、情報表示領域406をプレビュー画面4とは別の画面に表示してもよい。
スライダー408は、エッジ判定レベル、すなわち、上述したエッジ相を判定する処理における領域Dを設定するためのGUI部品である。なお、エッジ判定レベル(領域D)を設定するためのGUI部品は、スライダー408に限定されない。
プレビュー画面4では、上述したように、スライダー402によってクラスター数を設定でき、スライダー408によってエッジ判定レベルを設定できる。このように、図12に示すプレビュー画面4では、相の数に影響を与える相分析の条件を変更できる。
図示はしないが、プレビュー画面4には、エッジ相を判定する処理における閾値を設定するためのGUI部品が表示されていてもよい。
分析結果表示領域410は、相分析の結果を表示するための領域である。図示の例では、相マップが表示されている。なお、分析結果表示領域410には、相マップだけでなく
、相スペクトルや、定性定量分析結果(組成情報)、相の名前(化合物名)の情報などが表示されてもよい。これらの情報は、相マップの近傍に表示されたり、相マップ上にツールチップを用いて表示されたりしてもよい。
プレビュー画面4では、スライダー402を用いてクラスター数を変更したり、スライダー408を用いてエッジ判定レベル(領域D)を変更したりして相分析の条件を変更できる。この場合、表示制御部808は、解析画面2に表示された相分析の結果は変更せずに、プレビュー画面4の分析結果表示領域410に表示された相分析の結果を変更する。すなわち、解析画面2には、条件を変更する前の相分析結果が表示され、プレビュー画面4には条件を変更した後の相分析結果が表示される。
適用ボタン412は、プレビュー画面4に表示されている相分析の結果を解析画面2に適用するためのGUI部品である。ユーザーが操作部810を介して適用ボタン412を押す操作を行うことで、プレビュー画面4に表示された相分析の結果が解析画面2に反映される。すなわち、プレビュー画面4に表示された、変更された条件に基づく相分析の結果が解析画面2に表示される。この結果、解析画面2において相分析の結果の解析および編集ができる。
なお、ここでは、プレビュー画面4に表示された相分析を解析画面2に適用するための操作として、適用ボタン412を押す操作を行ったが、プレビュー画面4に表示された相分析を解析画面2に適用するための操作は特に限定されない。
閉じるボタン414は、プレビュー画面4(プレビュー画面4が表示されたウィンドウ)を閉じるためのGUI部品である。閉じるボタン414を押す操作を行うことで、プレビュー画面4が閉じ、相分析の結果が破棄される。
3. 動作
相分析装置80では、解析画面2およびプレビュー画面4を用いて、相分析の解析および編集を行うことができる。
試料分析装置100で試料Sの測定が行われ、スペクトルイメージングデータが生成されると、データ取得部802は、スペクトルイメージングデータを取得する。
相分析部806は、スペクトルイメージングデータに対して多変量解析を行って相分析を行う。例えば、相分析部806は、スペクトルイメージングデータの自己組織化マップを作成し、最小単位のクラスターを作成する。次に、相分析部806は、階層的クラスタリング法を用いて最小単位のクラスターを併合して新たなクラスターを作成する。このとき、相分析部806は、図6に示すようにクラスター数と結合距離の関係を示す関数の曲率に基づいて、クラスター数(相の数)を推定する。
相分析部806は、推定した相の数に応じた数の相マップからなる相マップ群を作成する。相分析部806は、相マップ群の他に、化合物名(相の名前)、相の面積率、相スペクトルを求める。さらに、相分析部806は、相スペクトルに対して定性定量分析を行う。
表示制御部808は、図11に示すように、相分析の結果が表示された解析画面2を表示部820に表示させる。図11に示す例では、表示制御部808は、相分析の結果として、相マップ、相スペクトル、定量結果、および化合物名(相の名前)を解析画面2に表示させている。
解析画面2では、相分析の結果の解析および編集を行うことができる。例えば、解析画面2では、相スペクトルの定性定量分析、相の結合、相の色の変更、相の名前の変更を行うことができる。
ここで、ユーザーが解析画面2で相分析の結果を確認した結果、または、相分析の結果の解析および編集を行った結果、相分析の結果が妥当でないと判断した場合には、相分析の条件を変更して新たに相分析を行う必要がある。例えば、相分析では、設定された相の数が適切でなければ、妥当な相マップが得られない。
相の数の条件を変更する場合には、図示はしないがユーザーが操作部810を介して解析画面2においてプレビュー画面4を開くためのGUI部品を操作すると、表示制御部808が、図12に示すプレビュー画面4を表示部820に表示させる。このとき、プレビュー画面4の分析結果表示領域410には解析画面2に表示された相分析の結果と同じ相分析の結果が表示される。
なお、上記では、ユーザーがプレビュー画面4を開く操作を行うことで表示制御部808がプレビュー画面4を表示させたが、表示制御部808は解析画面2と同時にプレビュー画面4を表示させてもよい。
プレビュー画面4の情報表示領域406には、相の数(クラスター数)を設定するための情報が表示されている。図12に示す例では、情報表示領域406には、階層的クラスタリング法によるクラスターの併合の過程を示す樹形図が表示されている。ユーザーは、情報表示領域406に表示された樹形図を確認してクラスター数を推定できる。
ユーザーが操作部810を介してスライダー402に対してクラスター数を変更する操作を行うと、条件受付部804は、クラスター数を変更するための操作を受け付ける。
相分析部806は、条件受付部804が受け付けたクラスター数の情報に基づいて相分析を行い、当該クラスター数に応じた数の相マップからなる相マップ群を生成する。また、相分析部806は、化合物名、相の面積率、相スペクトルを求め、相スペクトルに対して定性定量分析を行う。
表示制御部808は、変更された相の数の条件に基づく相分析の結果をプレビュー画面4に表示し、プレビュー画面4を更新する。そのため、解析画面2には相の数の条件が変更される前の相分析の結果(最初の相分析の結果)が表示され、プレビュー画面4には相の数の条件を変更した後の相分析の結果(2回目の相分析の結果)が表示される。
ユーザーが、再び、操作部810を介してスライダー402に対してクラスター数を変更する操作を行うと、条件受付部804、相分析部806、および表示制御部808は、上記の処理を繰り返し、変更された相の数の条件に基づく相分析の結果がプレビュー画面4に表示される。そのため、解析画面2には相の数の条件を変更する前の相分析の結果(最初の相分析の結果)が表示され、プレビュー画面4には相の数の条件を変更した後の相分析の結果(3回目の相分析の結果)が表示される。
ユーザーは3回目の相分析の結果が妥当と判断した場合には、操作部810を介して適用ボタン412を押す操作を行う。これにより、表示制御部808は、3回目の相分析の結果を解析画面2に表示させ、解析画面2を更新する。解析画面2には3回目の相分析の結果が表示されるため、3回目の相分析の結果に対して解析および編集が可能である。
なお、ユーザーが3回目の相分析の結果を確認したうえで、最初の相分析の結果が妥当
と判断した場合には、ユーザーが操作部810を介して閉じるボタン414を押す操作を行う。解析画面2には最初の相分析の結果が表示されているため、最初の相分析の結果に対して解析および編集が可能である。
なお、上記では、相の数を変更する場合について説明したが、エッジ判定レベル(領域D)を変更する場合も相分析装置80は同様に動作する。また、プレビュー画面4に、上述したその他の相分析の条件(スムージング、ピクセルビニング、スペクトル強度の規格化、相をまとめる処理におけるパラメータ等)を変更するためのGUI部品を設けてもよい。この場合も、相分析装置80は、上述した相の数を変更する場合と同様に動作する。
4. 効果
相分析装置80は、スペクトルイメージングデータを取得するデータ取得部802と、スペクトルイメージングデータに基づいて相分析を行う相分析部806と、相分析の結果を解析画面2に表示させる表示制御部808と、相分析の条件を変更するための操作を受け付ける条件受付部804と、を含む。また、相分析装置80では、相分析部806は、条件受付部804が相分析の条件を変更するための操作を受け付けると、変更された相分析の条件に基づいて相分析を行い、表示制御部808は、変更された相分析の条件に基づいて行われた相分析の結果をプレビュー画面4に表示させ、所定の操作が行われた場合に、プレビュー画面4に表示された相分析の結果を解析画面2に反映させる。
そのため、相分析装置80では、条件を変更する前の相分析の結果を解析画面2に表示し、条件を変更した後の相分析の結果をプレビュー画面4に表示することができる。したがって、相分析装置80では、条件の変更を繰り返しても、条件を変更する前の相分析の結果を容易に確認できる。この結果、例えば、条件の変更を繰り返しても、簡単に元の相分析の結果を再現できる。
ここで、相分析の最適な条件(相の数等)を決定するためには、条件を変えて相分析を行って相分析の結果を作成し、その結果が妥当か否かを判断する作業を繰り返し行わなければならない。作成した相分析の結果が妥当であるか否かは、相分析の結果を目視することで簡単に判断できる場合もあれば、相分析の結果に対して解析および編集を行わなければ判断できない場合もある。解析および編集の作業は、相の数が多いほど作業量が多くなり、複雑な組成の相では定性定量分析の結果を確認しなければならないなど多くの労力を必要とする。
例えば、解析および編集を行った後に、別の条件で相分析を行ったが妥当な結果が得られず、当初の条件が最適であったと判断できる場合もある。このような場合に、従来では、当初の条件を確認するためには、当初と同じ作業(条件の設定、解析および編集)を行う必要があった。
これに対して、相分析装置80では、条件の変更および条件を変更した後の相分析の結果はプレビュー画面4に表示され、条件を変更する前の相分析の結果は解析画面2に表示されているため、容易に、条件を変更する前の相分析の結果を再現できる。
相分析装置80では、相分析部806は、クラスター分析を用いて相分析を行い、表示制御部808は、クラスター分析で得られた樹形図をプレビュー画面4に表示させる。そのため、相分析装置80では、ユーザーは論理的に相の数を推定できる。
5. 変形例
5.1. 第1変形例
上述した実施形態では、相分析部806は、相分析の条件が変更された場合に、相マッ
プおよび相スペクトルの両方を作成したが、プレビュー画面4に相分析の結果を表示させている段階では相スペクトルを作成せず、適用ボタン412が押された後に、相スペクトルを作成してもよい。
この場合、プレビュー画面4には相マップは表示されるが相スペクトルは表示されない。プレビュー画面4の適用ボタン412が押されたタイミングで、相分析部806は相スペクトルを作成し、表示制御部808は、作成された相スペクトルを解析画面2に相マップとともに表示させる。
5.2. 第2変形例
上述した実施形態では、相分析部806がクラスター分析によって相の数(クラスター数)を推定し、表示制御部808はプレビュー画面4の情報表示領域406にクラスター分析で得られた樹形図を表示させた。
これに対して、例えば、相分析部806は、主成分分析を用いて相の数を推定し、表示制御部808はプレビュー画面4の情報表示領域406に主成分分析を行う過程で作成されたスクリープロットを表示させてもよい。
図13は、プレビュー画面4の一例を示す図である。
スクリープロットは、主成分分析において適切な相の数(成分数)を推定するために用いられる手法のひとつである。スクリープロットは、主成分分析を実行し、算出した主成分とその固有値(分散)をプロットしたグラフである。ユーザーは、相の数と固有値の関係から適切な相の数を推定することができる。
相分析装置80では、相分析部806は、主成分分析を用いて相分析を行い、表示制御部808は、主成分分析で得られたスクリープロットをプレビュー画面4に表示させる。そのため、相分析装置80では、ユーザーは論理的に相の数を推定できる。
なお、相分析部806は、特異値分解、非負値行列分解、または頂点成分分析を用いて相分析を行い、表示制御部808は、主成分分析で得られたスクリープロットを表示してもよい。
5.3. 第3変形例
上述した実施形態では、相分析部806は、図6に示すクラスター数と曲率の関係を示すグラフからクラスター数(相の数)を決定したが、相分析部806は、図6に示すグラフからクラスター数の候補を決定してもよい。
図14は、クラスター数の候補を決定する処理を説明するための図である。図14には、クラスター数と曲率の関係を示すグラフを図示している。
例えば、相分析部806はクラスター数ごとに曲率を求め、曲率に基づいて優先度を決定する。優先度は、例えば、クラスター数ごとに求められた曲率のうちの最も大きい曲率を基準として、その比で表す。曲率が大きいほど、優先度が高くなる。
図14に示す例では、クラスター数が「4」の場合が最も曲率が大きいため、優先度が最も高く、候補1とした。また、クラスター数が「5」の場合が2番目に曲率が大きいため、優先度が2番目に高く、候補2とした。また、クラスター数が「3」の場合が3番目に曲率が大きいため、優先度が3番目に高く、候補3とした。
この結果から、相分析部806は、相の数が4つの場合、相の数が5つの場合、相の数が3つの場合を候補として決定する。
ここで、相分析部806は、あらかじめ設定された優先度の基準値よりも大きい優先度のクラスター数のみを候補として決定する。そのため、クラスター数が「7」の場合が4番目に曲率が大きいが、優先度があらかじめ設定された基準値よりも小さいため、候補から外れる。
なお、相分析部806は、あらかじめ設定された数だけ相の数の候補を挙げてもよい。すなわち、あらかじめ候補の数が3つに設定された場合、相分析部806は優先度が高い順から3つ、相の数の候補を挙げる。
相分析部806は、決定された相の数の候補ごとに、決定した相の数に応じた数の相マップからなる相マップ群を作成する。
表示制御部808は、相の数の候補ごとに、相の数と相マップ群を候補一覧画面(第3画面の一例)に表示させる。表示制御部808は、優先度が高い順に、相マップ群を表示させる。
図15は、相マップ群の候補を表示するための候補一覧画面6の一例を示す図である。
表示制御部808は、上述した相分析部806における相分析の結果を、図15に示す候補一覧画面6に表示させる。
図15に示す候補一覧画面6には、相の数が4つの相マップ群、相の数が5つの相マップ群、相の数が3つの相マップ群が表示されている。この3つの相マップ群は、優先度が高い順に並んでいる。
また、表示制御部808は、化合物名(相の名前)、および各相の面積率を表示させる。化合物名として、相分析部806が決定した化合物名、またはユーザーが入力した化合物名が表示される。図示はしないが、候補一覧画面6には、上述した相の名前や、面積率の他に、相スペクトルや、樹形図など、ユーザーが相マップ群を選択するための情報が表示されてもよい。
図16は、候補一覧画面6において1つの相マップ群が選択された状態を模式的に示す図である。
候補一覧画面6では、表示された複数の相マップ群の候補から、ユーザーが1つの相マップ群を選択可能となっている。例えば、表示部820がタッチパネル(操作部810の一例)を備えている場合、ユーザーが指先FGを所望の相マップ群に接触させる操作を行うことで、候補一覧画面6に表示された複数の相マップ群から1つの相マップ群を選択できる。なお、相マップ群の選択は、マウスやキーボードを操作することで行ってもよい。
相マップ群が選択されると、表示制御部808は、選択された相マップ群(相分析の結果)を解析画面2に表示させる。
表示制御部808が解析画面2に相分析の結果を表示させた後の動作は、上述した実施形態と同様であり、その説明を省略する。
上記のように、相分析部806は、スペクトルイメージングデータに対して多変量解析
を行って相の数の候補を決定し、当該候補ごとに、相の数に応じた数の相マップからなる相マップ群を作成し、表示制御部808は、当該候補ごとに、相マップ群を候補一覧画面6に表示させる。そのため、相分析装置80では、相の数の候補を決定し、相の数の候補ごとに相の数に応じた数の相マップからなる相マップ群を表示部820に表示させることができる。したがって、ユーザーは容易に良好な相マップ群を得ることができる。
また、相分析装置80では、相分析部806は、多変量解析の結果に基づいて相の数の優先度を求め、当該優先度に基づいて相の数の候補を決定する。そのため、相分析装置80では、ユーザーが相の数を指定しなくてもよい。
5.4. 第4変形例
上述した実施形態では、試料分析装置100が、X線検出器70を備えた走査電子顕微鏡である場合について説明したが、本発明に係る分析装置は、これに限定されない。例えば、本発明に係る分析装置は、試料Sからの信号(X線や、電子、イオン等)に基づくスペクトルを得ることができる装置であればよい。本発明に係る分析装置は、エネルギー分散型X線分光器や波長分散型X線分光器を備えた透過電子顕微鏡、電子プローブマイクロアナライザー、オージェマイクロプローブ、光電子分光装置、集束イオンビーム装置などであってもよい。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子銃、20…コンデンサーレンズ、30…走査コイル、40…対物レンズ、50…試料ステージ、60…二次電子検出器、70…X線検出器、80…相分析装置、100…試料分析装置、202…領域、402…スライダー、404…ボタン、406…情報表示領域、408…スライダー、410…分析結果表示領域、412…適用ボタン、414…ボタン、800…処理部、802…データ取得部、804…条件受付部、806…相分析部、808…表示制御部、810…操作部、820…表示部、830…記憶部

Claims (8)

  1. 試料上の位置と前記試料からの信号に基づくスペクトルを対応づけたスペクトルイメージングデータを取得するデータ取得部と、
    前記スペクトルイメージングデータに基づいて相分析を行う相分析部と、
    前記相分析の結果を第1画面に表示させる表示制御部と、
    前記相分析の条件を変更するための操作を受け付ける条件受付部と、
    を含み、
    前記相分析部は、前記条件受付部が前記条件を変更するための操作を受け付けると、変更された前記条件に基づいて相分析を行い、
    前記表示制御部は、
    変更された前記条件に基づいて行われた前記相分析の結果を第2画面に表示させ、
    所定の操作が行われた場合に、前記第2画面に表示された前記相分析の結果を前記第1画面に反映させる、相分析装置。
  2. 請求項1において、
    前記条件は、相の数である、相分析装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記相分析の結果は、相マップを含む、相分析装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記相分析部は、クラスター分析を用いて相分析を行い、
    前記表示制御部は、前記クラスター分析で得られた樹形図を前記第2画面に表示させる、相分析装置。
  5. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記相分析部は、主成分分析を用いて相分析を行い、
    前記表示制御部は、前記主成分分析で得られたスクリープロットを前記第2画面に表示させる、相分析装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記相分析部は、
    前記スペクトルイメージングデータに対して多変量解析を行って相の数の候補を決定し、
    前記候補ごとに、前記相の数に応じた数の相マップからなる相マップ群を作成し、
    前記表示制御部は、前記候補ごとに、前記相マップ群を第3画面に表示させる、相分析装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の相分析装置を含む、試料分析装置。
  8. 試料上の位置と前記試料からの信号に基づくスペクトルを対応づけたスペクトルイメージングデータを取得する工程と、
    前記スペクトルイメージングデータに基づいて相分析を行う工程と、
    前記相分析の結果を第1画面に表示させる工程と、
    前記相分析の条件を変更された場合に前記条件に基づいて相分析を行い、変更された前記条件に基づいて行われた前記相分析の結果を第2画面に表示させる工程と、
    所定の操作が行われた場合に、前記第2画面に表示された前記相分析の結果を前記第1画面に反映させる工程と、
    を含む、分析方法。
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