JP6241753B2 - 凹版印刷用樹脂材料 - Google Patents

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本発明は、例えばパターニングシリンダに形成される凹版印刷用樹脂シートに関する。
従来、エレクトロニクス業界では、高精度な部品を大量に生産する技術がその発展を支えてきた。例えば、導電性ペーストをエポキシ基板上にスクリーン印刷で転写してプリント基板を形成し、高い信頼性を有する電気製品を生み出してきた。
電気配線にインクジェット方式による印刷の応用も試みられているが、インクジェット方式は、多くのノズルを必要とし、各ノズルの制御駆動技術が求められる生産速度に追いついていないのが現状である。
そこで、近年、包装用段ボール、紙または樹脂フィルム等のパッケージ印刷に利用されているフレキソ印刷(弾性樹脂、ゴム等による凸版印刷)技術から派生した凹版印刷が注目されている(特許文献1)。
凹版印刷では、凹溝の深さ等を調整することにより凸版印刷に比べて印刷面のインク等の厚さ設計が可能であり、プリント基板等の製造に適する方式として期待されている。
特許文献2には、樹脂材料で形成された凹版の凹溝にインクまたは導電性ペースト等の機能性材料を収容し、凹溝以外の部分に付着するインク等をドクターブレードで掻き取った後に、インク等を紙またはフィルム等に転写する印刷用凹版に関する技術が記載されている。
また、特許文献2には、ドクターブレードと凹版材料との滑走性の悪さに起因するドクターブレードによる凹溝以外の部分の余分なインク等の掻き取り不良を、凹版材料の表面にフッ素被膜をコーティングすることにより改善する技術が開示されている。
特開2005−254696号公報 特開2014−138987号公報
特許文献2に開示された技術は、フッ素被膜(フッ素樹脂)が自己潤滑性を有しインクとの親和性も低いので、ドクターブレードによる余分なインク等の掻き取りの改善が期待
できる。
ところで、前述したように、弾性樹脂材料に凹版を形成した印刷(凹版印刷)は、プリント基板等の製造への応用が期待されている。しかし、樹脂フィルム等の可撓性材料に電気配線を印刷する場合、凹版ロールから印刷済みフィルムが離れる過程で、凹版材料の粘着性によってフィルムが凹版ロールに同伴して折れ曲がり、このとき印刷された配線が断線(不連続化)するという問題がある。
特許文献2に開示された技術は、フッ素コーティング表面の粘着力が弱いことから、印刷済みフィルムが凹版ロールから容易に分離し、印刷された配線の断線の軽減が期待できる。
しかし、特許文献2に開示された技術は、凹版の主たる材料である中間層を形成した後に、フレキソ(凸版)印刷では不要な、中間層の表面にフッ素皮膜を形成する工程(フッ素塗料の塗布および焼成)を必要とする。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、表面改質等の特別な工程を採用することなく一般的な凹版形成工程を採用して印刷された配線の導通性が確保できる凹版印刷用樹脂材料を提供することを目的とする。
本発明に係る凹版印刷用樹脂材料は、硬化後に弾性を有するものである。
凹版印刷用樹脂材料は、高分子ポリマー、低分子ポリマー、オリゴマー、モノマーおよび光重合開始剤からなる。
高分子ポリマーおよび低分子ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシドまたはポリビニルピロリドンである。
オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマーである。
モノマーは、モノ(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリレートモノマーである。
光重合開始剤は、アルキルフェノン系光重合開始剤である。
記凹版印刷用樹脂材料は、その硬化物のショアA硬度が75〜95度であることが好ましい。
凹版印刷用樹脂材料は、その硬化物を温度25℃のブチルカルビトールアセテートに24時間浸漬した後の重量増加率が1.02%以上4.3%以下、および硬度低下率が3.5%以下である。また、その硬化物は、温度25℃の水に24時間浸漬した後の重量増加率が5.75%以上19.8%以下、硬度低下率が16.4%以上である。
そして、溶剤浸漬後の重量増加率を水浸漬後の重量増加率で除した値が0.05以上1.02以下であり、溶剤浸漬後の硬度低下率を水浸漬後の硬度低下率で除した値が0.14以下である。
本発明によると、表面改質等の特別な工程を採用することなく一般的な凹版形成工程を採用して印刷された配線の導通性が確保できる凹版印刷用樹脂材料を提供することができる。
図1は凹版印刷用樹脂材料を用いた樹脂ロールを作成する過程を示す図である。 図2は樹脂ロールに彫刻した印刷パターンを示す図である。 図3はパターニングシリンダによる合成樹脂フィルムへの印刷の様子を示す図である。 図4は種々の弾性樹脂シートの水浸漬および溶剤浸漬による重量変化と電気抵抗値との関係を示す図である。 図5は表1における水浸漬および溶剤浸漬による重量増加の比と電気抵抗値との関係を示す図である。 図6は種々の弾性樹脂シートの水浸漬および溶剤浸漬による硬度変化と電気抵抗値との関係を示す図である。 図7は種々の弾性樹脂シートの水浸漬および溶剤浸漬による硬度変化の比と電気抵抗値との関係を示す図である。
図1は凹版印刷用樹脂材料を用いた樹脂ロール2を作成する過程を示す図、図2は樹脂ロール2に彫刻した印刷パターン3を示す図、図3はパターニングシリンダ1による合成樹脂フィルムへの印刷の様子を示す図である。
凹版印刷用樹脂材料には、感光性樹脂が使用される。感光性樹脂は、合成高分子化合物、光重合性化合物、光重合開始剤、およびその他可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤で構成される。ここでいう「感光性樹脂」とは、光の作用によって化学変化する高分子樹脂である。
合成高分子化合物は、例えば重合度が高い高分子ポリマー、高分子ポリマーよりも重合度が低い低分子ポリマーで構成される。高分子ポリマーおよび低分子ポリマーには、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン等があげられる。
光重合性化合物としては、オリゴマーおよびモノマーが使用される。
オリゴマーには、例えばウレタンアクリレートオリゴマーが使用され、具体的には、日本合成化学工業株式会社製の硬質タイプウレタンアクリレートオリゴマーであるUV−1700B、UV−6300B、UV−7550B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7610B、UV−7620EA、UV−7630B、UV−7640B、UV−7650B、UV−6330B、UV−7000B、UV−7510B、UV−7641TE等が使用される。
モノマーには、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フォスフォエチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシ(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェニル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェニル−2−ヒドロキシオキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、1−ナフチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル−2−メチルオキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル−2−ヒドロキシオキシプロピル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフィン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル)スルフィン、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)スルフィド、2,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシナフタレン等の(メタ)アクリレートモノマーが使用される。
光重合開始剤として、例えばチバ・ジャパン株式会社販売のIRGACURE651、IRGACURE184、IRGACURE1173、IRGACURE500、IRGACURE1300、IRGACURE2959、IRGACURE907等(登録商標)、株式会社ソート販売のSB−PI703、SB−PI704、SB−PI705、SB−PI710、SB−PI711、SB−PI712、SB−PI714等が使用される。
添加剤には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを主成分とするスリップ剤が使用され、具体的にはビックケミー・ジャパン株式会社販売のBYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−313、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−342、BYK−377、BYK−378等が使用される。
高分子樹脂は、硬化後の硬度(初期硬度)がショアA硬度で75〜95度のものが用いられる。
パターニングシリンダ1は樹脂ロール2に印刷パターン3を彫刻したものである。樹脂ロール2は以下のように形成される。
初めに、厚さ10μmのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略す)フィルム11を厚さ12mmのガラス板12に密着させ、コーター13を用いてPETフィルム11の表面に液状の感光性樹脂14を厚さが2mm前後となるように塗布する。続いて、液状の感光性樹脂14の液面を、気泡が混入しないように配慮しながら、厚さ100μmのPETシート15で覆う(図1(a))。
感光性樹脂14の表面を覆うPETシート15の上にガラス板16を載せ、両側のガラス板12,16の外方から感光性樹脂14に向けてケミカルランプ(光化学用蛍光ランプ)17により、所定の時間光を照射する(図1(b))。
ケミカルランプ17の照射条件は、例えば、波長が370nmであり、積算放射量(光エネルギ)が1000mJ/cm2である。
液状の感光性樹脂14は、ケミカルランプ17の光により硬化して板状のシートになる。
別に用意した円筒状のプラスチックコア18の表面に両面テープ19を貼り付け、硬化後の板状の弾性樹脂シート20を、押さえロール21によって押さえながらプラスチックコア18の表面に貼り合わせる。弾性樹脂シート20は、両面テープ19により、しっかりとプラスチックコア18に貼り合わされる。
最後に、プラスチックコア18に貼り合わされた弾性樹脂シート20の両端の間隙22に液状の感光性樹脂14を満たし、ケミカルランプ17の光を照射して硬化させる。
以上のようにして、プラスチックコア18の全周が弾性樹脂シート20によって隙間および段差なく覆われた樹脂ロール2が形成される。
後述する凹版印刷に適する樹脂材料を見極めるための試料としてのパターニングシリンダ1は、図2に示される印刷パターン3を樹脂ロール2に彫刻することで作成した。彫刻は、CO2レーザーを光源とする彫刻機により行った。
印刷パターン3は、直交する2方向のそれぞれの端に、互いに分離する複数の接続端子31,…,31を有し、各方向の一つの端の複数の接続端子31,…,31は、それぞれがこれに直交する方向の両側の接続端子31,…,31のすべてに連結されている。つまり、各方向の一方の端の複数の接続端子31,…,31は、直交する方向の一方の端の接続端子31,…,31と略45度の平行な傾斜線で連結され、他方の端の接続端子31,…,31とは略−45度の平行な傾斜線で連結されている。直交する方向を連結する平行な複数の線は、他の直交する方向を連結する平行な複数の線と交わっている。
パターニングシリンダ1における弾性樹脂シート20には、レーザーが照射された部分が凹状となった溝(凹溝)による印刷パターン3が彫刻される。
印刷パターン3における一群の接続端子31,…,31間を結ぶ線の設計太さ(幅)は40μm、深さは20μmである。
さて、パターニングシリンダ1による合成樹脂フィルム41への印刷パターン3の印刷は、図3を参照して、いわゆるロール・ツー・ロール方式で行った。印刷対象である合成樹脂フィルム41は、例えば厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略す)フィルムである。
また、ロール・ツー・ロール方式とは、印刷対象である合成樹脂フィルム41(以下「フィルム41」と略すことがある)を、パターニングシリンダ1、およびパターニングシリンダ1に押しつけられたロール(圧胴ロール)32の間に通過させて印刷する方式である。印刷されるインク4はパターニングシリンダ1に上方から供給され、ドクターブレード33で凹溝以外の部分が掻き取られた後、凹溝内のインク4が、パターニングシリンダ1と圧胴ロール32の間を通過するフィルム41に転写される。
さて、フィルム41に印刷された配線パターンの断線が生じにくい感光性樹脂14を選別するには、様々な(液状の)感光性樹脂14を用いて印刷パターンが彫刻されたパターニングシリンダ化し、実際にフィルム41に配線パターンを印刷して行うのが望ましい。しかし、徒に種々の液状の感光性樹脂14をそれぞれ硬化させてシート状とし、彫刻し、パターニングシリンダ1を形成し、さらにフィルム41に印刷する等の一連の作業を行うのは、不経済である。
パターニングシリンダ1を使用してロール・ツー・ロール方式で印刷した印刷パターン(配線パターン)に断線が生ずる大きな原因として、弾性樹脂シート20表面の印刷対象フィルム41への粘着性が挙げられる。この粘着性について、本発明者は、弾性樹脂シート20と水(空気中の水分)との親和性(吸水性)が大きいほど大きいと考察した。しかし、粘着性を避けるために水との親和性が小さな弾性樹脂シート20を用いた場合、インク中の溶剤により大きく膨潤し、パターニングシリンダ1に形成された印刷パターンの凹部(溝等)を狭めまたは塞いで、配線パターンの導電性に問題が生ずるおそれがある。
本発明者は、弾性樹脂シート20と水との親和性に着目するとともに、弾性樹脂シート20とインク溶剤との親和性に着目し、実際にパターニングシリンダ1を形成し印刷対象フィルム41に印刷して断線の生じにくさ等を判別するのではなく、水およびインク溶剤との親和性を指標として、凹版印刷のパターニングシリンダ製造に適する液状の感光性樹脂14を選別することの可能性を検討した。
表1は、合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、および添加剤の組合せを変えて種々調製した液状の感光性樹脂(R1〜R5)を光硬化させた弾性樹脂シート20を使用した試験結果である。表1の試験結果は、弾性樹脂シート20の溶剤浸漬および水浸漬による硬度減少、重量増加を、これらに印刷パターン3を彫刻して印刷したフィルムにおける配線パターンの電気抵抗値と関連づけて表すものである。
表1の感光性樹脂における合成高分子化合物には、高分子ポリマーとして第一工業製薬株式会社販売のピッツコールK−90(登録商標)を、低分子ポリマーには第一工業製薬株式会社販売のピッツコールK−30(登録商標)を使用した。
光重合性化合物として、オリゴマーには日本合成化学工業株式会社製の硬質タイプのウレタンアクリレートオリゴマーUV−7000B等を、モノマーにはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを使用した。
光重合開始剤として、チバ・ジャパン株式会社販売のIRGACURE651を、添加剤としてビックケミー・ジャパン株式会社販売のBYK−377を使用した。
表1における異なる初期硬度の試料は、高分子ポリマー、低分子ポリマー、オリゴマーおよびモノマーの重量比率を変えて調製した。
なお、表1は、パターニングシリンダ1に適する液状の感光性樹脂14を検討した結果であるが、以下の説明において液状の感光性樹脂14とこれを硬化させた弾性樹脂シート20とを、いずれも例えば試料R1ということがある。
浸漬試験に用いた試料は、硬度測定用が5mm×3mm四方、厚さ6mmの弾性樹脂シート20、重量測定用が5mm×3mm四方、厚さ3mmの弾性樹脂シート20である。
溶剤浸漬の溶剤は、インクに使用されることが多いブチルカルビトールアセテートを用い、水浸漬には水道水を用いた。
浸漬試験は、予め試料ごとに硬度および重量を測定し、略25℃に維持された環境下で24時間溶剤または水に浸漬し、表面の溶剤または水を拭き取った後、それぞれの硬度および重量を測定した。
硬度の測定は、株式会社佐藤商事販売、ゴム・プラスチック硬度計(ショア硬度計)HT6510Aにより行った。
重量測定は、株式会社エー・アンド・デイ販売の電子天秤GF−200(風防付き)を使用した。
試料は、各弾性樹脂シート20(R1〜R5)についてそれぞれ2点作成し、硬度および重量は、それぞれの試料について5点測定した合計10点の平均値を採用した。
評価欄における電気抵抗値は、液状の感光性樹脂(R1〜R5)を用いて図2に示された印刷パターン3を有するパターニングシリンダ1を作成し、図3に示される装置で厚さ100μmのPETフィルムに導電性インクにより配線パターン印刷して電気抵抗値を測定した。
導電性インクには、藤倉化成株式会社製、品名DOTITE(ドータイト:登録商標)、品番FA−333を使用した。
電気抵抗値は、図2に示される印刷パターン3(により印刷された配線パターン)の一方向(例えば図2における横方向、Dで示される間)におけるものである。電気抵抗値の測定は、日置電気株式会社販売ハイテスター3030−10(登録商標)を用いて行った。なお、印刷パターン3は、直交する2方向の4つの端子が、略±45度で交わる配線によりいずれの2つも連通し、基本的には、直交する2方向の端子間の電気抵抗値は略同じと考えられる。
図4は表1における(R1〜R5の液状の感光性樹脂14を硬化させた)弾性樹脂シート20の水浸漬および溶剤浸漬による重量変化と電気抵抗値との関係を示す図、図5は表1における水浸漬および溶剤浸漬による重量増加の比(溶剤/水)と電気抵抗値との関係を示す図、図6は表1における水浸漬および溶剤浸漬による硬度変化と電気抵抗値との関係を示す図、図7は表1における水浸漬および溶剤浸漬による硬度変化の比(溶剤/水)と電気抵抗値との関係を示す図である。
電気抵抗値が大きくなる原因として、パターニングシリンダ1からの印刷済みのフィルム41の剥離性不良、言い換えると弾性樹脂シート20と印刷済みのフィルム41との強い粘着性が挙げられる。この両者の粘着性は、弾性樹脂シート20と印刷済みのフィルム41との間のインクの状態、圧胴ロール32がパターニングシリンダ1に押し付けられた力等に影響され、弾性樹脂シート20の試験片および印刷対象のフィルム41の試験片を用いた再現試験は容易ではない。また、実際にパターニングシリンダ1を用いた印刷作業
で、粘着強度を測定するのも困難である。
表1は、以上の事情から、剥離性の良否(粘着性の高低)によって影響される配線パターンの導通性を、電気抵抗値として評価したものである。
表1における一連の配線パターンの印刷試験において、電気抵抗値が500Ω以下であれば、配線の断線が生じ難い弾性樹脂シート20(液状の感光性樹脂14)と評価した。
図4を参照して、配線パターンの電気抵抗値は、溶剤浸漬による重量増加率、および水浸漬による重量増加率についての特定範囲で、500Ω以下に低下する。「重量増加率」とは、初期重量に対して溶剤浸漬等により増加した重量の割合をいうものとする。
溶剤浸漬および水浸漬における電気抵抗値が500Ω以下となるそれぞれの重量増加率の範囲は、電気抵抗値が最も低い試料R3を含みこれよりも重量増加率が低かった一群の試料、および試料R3を含みこれよりも重量増加率が高かった一群の試料に分けて求めた。
すなわち、溶剤浸漬では試料R1〜R4および試料R3,R5の二群に分け、水浸漬では試料R1,R3,R5および試料R2〜R4の二軍に分け、それぞれについて最小二乗法による近似式から電気抵抗値が500Ωとなる重量増加率の上限値、下限値を求めた。それぞれの近似式は図4に示すとおりである。
電気抵抗値が500Ω以下となる溶剤浸漬の重量増加率の下限は1.02%、その上限は4.3%である。また、電気抵抗値が500Ω以下となる水浸漬の重量増加率の下限は5.75%、その上限は19.8%である。
図5は、試料R1〜R5について、それぞれの溶剤および水に対する親和性を、溶剤浸漬および水浸漬の重量変化率の比として電気抵抗値と関連づけたものである。電気抵抗値は、試料R1〜R5における重量変化率の比の範囲内に最小値を見出せる。重量変化率の比における電気抵抗値が500Ω以下となる範囲は、図5において、電気抵抗値が小さな試料R1,R3を境にして、試料R1〜R4および試料R1,R3,R5の二群に分けて求めた。それぞれの群について最小二乗法による近似式を導出し、これから電気抵抗値が500Ω以下となる重量変化率の比を算出して、それぞれ下限値、上限値とした。近似式は、図5に記載されたものである。
電気抵抗値が500Ω以下となる溶剤浸漬および水浸漬による重量増加率の比の範囲は
、図5に示されるように、0.05以上、1.02以下である。
印刷された配線パターンの電気抵抗値を小さくするには、溶剤浸漬および水浸漬による重量増加率、ならびにこれらの重量増加率の比のいずれも上述した範囲を満足する液状の感光性樹脂14を使用して、パターニングシリンダ1を製作するのが好ましい。
パターニングシリンダ1に使用される弾性樹脂シート20の硬度は、印刷作業によって変化せず、また保管(経時)によって変化しないことが、印刷パターンをフィルム上に配線パターンとして再現するうえで好ましい。しかし、弾性樹脂シート20は、その親油性、親水性により、溶剤および水に触れることにより硬度が変化する。
硬度変化は、弾性樹脂シート20の溶剤および水に対する親和性のバランスが影響する。
図6を参照して、試料R1〜R5における硬度変化の範囲では、溶剤浸漬による硬度変化の少ない方が電気抵抗値が低く、水浸漬による硬度変化の大きい方が電気抵抗値が低い。溶剤浸漬および水浸漬による硬度変化と電気抵抗値との関係から、電気抵抗値が500Ω以下となる条件を求めると、溶剤浸漬では硬度変化率が3.5%以下であり、水浸漬では16.4%以上である。電気抵抗値が500Ω以下となる条件は、試料R1〜R5のすべての硬度変化率から導出した最小二乗法による近似式を用いて求めた。
ここで「硬度変化率」とは初期硬度に対して硬度が減少した割合(硬度低下率)をいうものとする。
図7を参照して、電気抵抗値が500Ω以下となる、溶剤浸漬による硬度変化率と水浸漬による硬度変化率との比は、0.14以下であった。なお、この臨界値も試料R1〜R5の比から導出した最小二乗法による近似式を用いて求めた。
電気抵抗値が低い配線パターンを印刷するためには、硬度変化についても重量変化と同
様に、溶剤浸漬および水浸漬による硬度変化率、ならびにこれらの硬度変化率の比が、いずれも上述した範囲を満足する液状の感光性樹脂14を使用して、パターニングシリンダ1を製作するのが好ましい。
ところで、図6からは、水浸漬による硬度変化率が6.6%以上であればさらに大きな硬度変化率であっても電気抵抗値が500Ω以下となると読み取れる。また、図7における溶剤浸漬による硬度変化率と水浸漬による硬度変化率との比も、水浸漬による硬度変化率が大きくなることで電気抵抗値が低下する傾向を示す。つまり、図6および図7からは、水浸漬による硬度変化率について上限があると解せない。
しかし、図4は、電気抵抗値に関して水浸漬による重量増加率に上限があることを示している。そして、見掛け上は水浸漬による硬度変化率に上限が設定されないが、略例外なく水浸漬による硬度変化率(硬度低下率)と重量増加率との間には正の相関があるので、水浸漬による硬度変化率は、その上限が定まらなくとも、水浸漬による重量増加率の上限により、その上限は自ずと制限される。
つまり、硬化後の溶剤浸漬および水浸漬による重量変化率、これらの重量変化率の比、硬度変化率および硬度変化率の比が、いずれも上述した所定の範囲に収まる感光性樹脂14を用いてパターニングシリンダ1を製作することにより、凹版が形成された弾性樹脂シート20の表面に、改質等の特別な加工を施すことなく、例えば導通性が良好な配線パターンを、可撓性を有するフィルムに印刷することができる。
また、樹脂凹版を備えるパターニングシリンダ1による直接印刷方式では、凹版が弾性を有していることから、エレクトロニクス分野で使用されているガラス基板に配線パターン等を印刷することができる。弾性樹脂シート20にグラビア印刷版のような微細な彫刻を施せば、配線フィルムの微少な範囲に複雑な回路を形成することができ、生産性の向上およびコスト低減を図ることができる。
上述の実施形態において、硬化後に弾性を有すれば上述した液状の感光性樹脂以外の感光性樹脂を使用することができる。
本発明は、例えばパターニングシリンダに形成される凹版印刷用樹脂シートに利用することができる。
14 液状の感光性樹脂(凹版印刷用樹脂材料)

Claims (1)

  1. 硬化後に弾性を有する凹版印刷用樹脂材料であって、
    高分子ポリマー、低分子ポリマー、オリゴマー、モノマーおよび光重合開始剤からなり、
    前記高分子ポリマーおよび低分子ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシドまたはポリビニルピロリドンであり、
    前記オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマーであり、
    前記モノマーは、モノ(メタ)アクリレート化合物または(メタ)アクリレートモノマーであり、
    前記光重合開始剤は、アルキルフェノン系光重合開始剤であり、
    その硬化物のショアA硬度が75〜95度であり、
    その硬化物を温度25℃のブチルカルビトールアセテートに24時間浸漬した後の重量
    増加率が1.02%以上4.3%以下、および硬度低下率が3.5%以下であり、
    その硬化物を温度25℃の水に24時間浸漬した後の重量増加率が5.75%以上19.8%以下、および硬度低下率が16.4%以上であり、
    前記溶剤浸漬後の重量増加率を前記水浸漬後の重量増加率で除した値が0.05以上1.02以下であり、
    かつ、前記溶剤浸漬後の硬度低下率を前記水浸漬後の硬度低下率で除した値が0.14以下である
    ことを特徴とする凹版印刷用樹脂材料。

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