以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10の概略構成を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10に設けられた内蔵イメージセンサ200の一例を示す図である。
本実施の形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像および白黒画像を選択的に形成するものであり、図1に示すように、第1筐体10Aと、第1筐体10Aに接続された第2筐体10Bと、を備えている。第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から供給される画像データに対して画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが設けられている。
なお、第1特別色および第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)が例示される。また、以下の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、符号としての数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明する。また、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14に対応するように設けられている。
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40(40V、40W、40Y、40M、40C、40K)は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取る。そして、この画像データに応じて変調した光ビームLを後述の像保持体18(18V、18W、18Y、18M、18C、18K)へ照射するように構成されている。
各画像形成ユニット16は、一方向に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤の一例であるトナーで現像する現像装置と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去するブレードと、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置とが設けられている。なお、スコロトロン帯電器、現像装置、ブレード、および除電装置は、
像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
また、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写ロール36とを含んで構成されている。
中間転写ベルト34は、モータ(図示省略)で駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられている。そして、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
転写部32の下方には、用紙等の媒体の一例としての記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が複数設けられている。記録媒体収容部48の各々は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における正面視右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、制御手段(図示省略)の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、
底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における正面視左側に折り返す。そして、さらに、第2折返部60Bで図1における正面視右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
転写位置Tの下流側には、トナー像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
複数の搬送ベルト70および搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー像を記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着ユニット82が設けられている。
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー像を定着させる定着部Nが形成されている。
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89および従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、
従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
駆動ロール89および従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。
搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させる、たとえばアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
さらに、ヒートシンク122から熱を奪い熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する内蔵イメージセンサ200が設けられている。なお、
内蔵イメージセンサ200については、詳細を後述する。
内蔵イメージセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
一方、両面に画像を形成させる場合は、内蔵イメージセンサ200から送出された記録媒体Pは、内蔵イメージセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス194Cとが設けられている。
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
つぎに、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。
各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が形成される。
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー像は、6つの一次転写ロール36V、
36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
記録媒体P上の各色のトナー像が定着ユニット82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
湾曲が矯正された記録媒体Pは、内蔵イメージセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、内蔵イメージセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転される。そして、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー像が形成される。
なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、第1特別色および第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V・16W、露光装置40V・40W、トナーカートリッジ14V・14W、一次転写ロール36V・36W)は、ユーザの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着自在に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色および第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色および第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
つぎに、内蔵イメージセンサ200について説明する。
以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(記録媒体Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする(図1,図2参照)。
本実施の形態に係る内蔵イメージセンサ200は、一例として、画像形成ユニット16によって記録媒体Pに形成された画像に異常があるか否かを検出するため等に用いられるものである。この場合の内蔵イメージセンサ200は、画像形成ユニット16の階調再現性や色再現性の計測手段としての機能を有する。また、当該計測手段としての機能を正常に維持するために、定期または不定期に内蔵イメージセンサ200の校正(キャリブレーション)が実行される場合がある。
図2に示されるように、画像読取装置の一例である内蔵イメージセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照明部202と、照明部202から照射されて記録媒体Pで反射された光を読取部の一例としてのCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、内蔵イメージセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設けられた設定部210とを備えている。なお、本実施の形態に係るCCDセンサ204は、各々主走査方向に対応する方向に沿って配置された複数の受光素子(たとえばフォトダイオード)を含んで構成された、赤用イメージセンサ、緑用イメージセンサおよび青用イメージセンサを備える。各色用イメージセンサは、受光素子の受光面に各色成分の光を透過させるフィルタを設けている。各色用イメージセンサは、受光素子が受光した光の各色成分の光量に応じて蓄積した電荷を信号として外部に出力する。
照明部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、Z方向(主走査方向)に長手とされた一対の第1ランプ212Aおよび第2ランプ212B(以下、総称する場合は、「ランプ212」という場合がある)を有する。ランプ212としては、たとえば蛍光ランプ、キセノンランプや、主走査方向に沿って配列された複数の白色LED等が用いられるが、本実施の形態では、複数の白色LED(図示省略)を用いている。また、本実施の形態では、白色LEDを1列あるいは複数列搭載したLED基板(図示省略)を主走査方向に複数並べて、ランプ212が構成されている。むろん、複数の白色LEDを搭載する基板は単一の基板であってもよい。
さらに、ランプ212の照射範囲の長さは搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。ランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対し対称に配置されている。より具体的には、ランプ212は、記録媒体Pへの照射角がそれぞれ、たとえば45°以上50°以下となるように光軸OAに対し対称に配置されている。
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送経路60に沿って並べられ、記録媒体Pの搬送方向の上流側に配置された第1ランプ212Aと、第1ランプ212Aに対して記録媒体Pの搬送方向の下流側に配置された第2ランプ212Bと、を備えている。
そして、第1ランプ212Aおよび第2ランプ212Bから照射される光が、第1ランプ212Aと第2ランプ212Bとの間の搬送経路60上の透明なウィンドウガラス286の照射位置Dに照射されるように構成されている。ウィンドウガラス286において、ランプ212から光が照射される照射領域は、設定部210上で記録媒体Pの画像形成領域が通過する領域に重なる領域であって、搬送経路60上の記録媒体Pに形成された画像がCCDセンサ204によって読み取られる領域として予め定められた領域(画像読取領域)を含んで構成されている。
また、結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(本実施の形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、を主要部として構成されている。CCDセンサ204は、光軸OAに対し記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。そして、第1ミラー214 第2ミラー216および第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら(集光しつつ)反射するようになっている。これにより、略円柱状のレンズ220に対し記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
内蔵イメージセンサ200は、CCDセンサ204が、結像された光すなわち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の制御装置20(図1、図4参照)に出力(フィードバック)するように構成されている。制御装置20は、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する処理を実施する。画像を補正する処理の一例としては、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づく露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などの補正が挙げられる。
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224(224L、224S、224U))が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向との交差方向)に絞ると共に、外部から操作することで光量絞り量を調整自在に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時によりランプ212の発光量が変化してもCCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量以上となるように調整されるようになっている。
また、内蔵イメージセンサ200は、後述する基準ロール226を回転させるためのモータである基準ロール回転モータ22(図4参照)を制御する回路基板262が設けられた制御回路100を備えている。
設定部210は、Z方向に長手の基準ロール226を備えている。基準ロール226は周方向に予め定められた数の面が形成された多角形筒状に形成されるが、図3に示すように、本実施の形態に係る基準ロール226では、10面を有する多角形筒状とされている。
基準ロール226は、記録媒体Pの画像検出を行う際に搬送経路60側に向けられる検出基準面228と、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に搬送経路側に向けられる退避面230と、を備えている。また、基準ロール226は、後述する色域補正処理等で用いる各色の基準面(白色基準面232、黄色基準面234、シアン色基準面237、マゼンタ色基準面239、赤色基準面231、緑色基準面233、および青色基準面235)と、複数の検査パターンが形成された複合検査面236と、を備えている。なお、以下で各色の基準面を区別しない場合には、単に「色基準面」という場合がある。
基準ロール226は、回転軸226Aの周りに回転することで、搬送経路60側に向けるべき面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切替は、回路基板262に設けられた制御回路100によって行われる。また、基準ロール226は、十角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。これにより、基準ロール226の各面とランプ212の照射位置(ウィンドウガラス286)との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照明部202と干渉しない構成とされている。
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小とされており、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面をランプ212による照射位置に位置決めする位置基準面とされている。基準ロール226の周方向の面を12面以上とし、検出基準面228の周方向両側の面を上記した各基準としての機能を有しない案内面とする場合もある。
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。これにより、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合には、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行う場合よりも、
照明部202(ウィンドウガラス286)との間隔が広い搬送経路が形成されるようになっている。
複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置を補正するための位置調整パターンと、フォーカス検出パターンと、深度検出パターンとが同一面に配置されて形成されている。
白色基準面232は、ランプ212あるいはCCDセンサ204に起因する主走査方向の明度むらの補正、つまり、いわゆるシェーディング補正を行うための基準面であり、たとえば白色フィルムが貼着されて構成されている。ランプ212からの照射光が白色基準面232に照射されると、白色基準面232で反射された反射光が読取信号として結像光学系206を介しCCDセンサ204に入力される構成となっている。
本実施の形態における上記白色基準面232も含めた各色基準面(白色基準面232、
黄色基準面234、シアン色基準面237、マゼンタ色基準面239、赤色基準面231、緑色基準面233、および青色基準面235)は、ランプ212あるいはCCDセンサ204に起因する主走査方向の色相・彩度むらを補正するための基準面(色見本)として用いられる。各色基準面は、たとえば各色のフィルムが貼着されて構成されている。ランプ212からの照射光が各色基準面に照射されると、各色基準面で反射された反射光が読取信号として結像光学系206を介しCCDセンサ204に入力される構成となっている。
図4は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10における電気系の要部構成を示すブロック図である。
制御装置20は、上述したように、内蔵イメージセンサ200からの信号に基づいて、
画像形成ユニット16において形成される画像を補正する機能を備えている。また、制御装置20は、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション(たとえば、上述のCCDセンサ204のキャリブレーション等)を制御する機能も備えている。
より具体的には、制御装置20は図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、NVM(Non Volatile Memory)20F、および入出力ポート20Dを備えている。そして、それぞれがアドレスバス、データバス、および制御バス等のバス20Eを介して互いに接続されている。
ROM20Bには各種プログラムが記憶されており、CPU20Aが当該プログラムをROM20Bから読み込み、RAM20Cに展開して実行することにより、各種制御が行われるようになっている。
NVM20Fは、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。
入出力ポート20Dには、ユーザ・インタフェース(UI)パネル30、調光回路370、制御回路100、および読取信号処理部350が接続されている。UIパネル30は、一例として、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成されている。そして、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより情報や指示が受け付けられる。なお、本実施の形態では、UIパネル30を適用した形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、液晶ディスプレイなどの表示部とテンキーや操作ボタンなどが設けられた操作部とが別々に設けられた形態としてもよい。
調光回路370は、後述する各色基準面の調光読み取りの実行に際し、ランプ212を構成する白色LEDに流す電流を制御してランプ212の明るさを連続的に変える回路である。なお、本実施の形態において「調光読み取り」とは、白色LEDに流す電流を予め定められた段階で変えてランプ212を調光し、各段階の調光状態において各色基準面からの反射光をCCDセンサ204で読み取ることをいう。
また、制御回路100は、上述したように、基準ロール226の各面(検出基準面228、退避面230、複合検査面236、各色基準面)の切り替えを制御する。具体的には、制御装置20の指示に基づいて制御回路100に接続された基準ロール回転モータ22の駆動を制御する。
一方、読取信号処理部350は、制御装置20の指示に従って、読取信号処理部350に接続された内蔵イメージセンサ200の各種キャリブレーション、および後述する色域補正処理等を行う。内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションとしては、たとえば、CCDセンサ204の出力上下限値の補正を行うオフセットおよびゲイン補正が挙げられる。また、白色基準面232を読み取った画像データのプロファイルを基に当該画像データの主走査方向の明度分布を補正するシェーディング補正が挙げられる。さらに、各色基準面を読み取った画像データのプロファイルを基に行う当該画像データに対する主走査方向の色相・彩度むら補正等が挙げられる。
本実施の形態に係る読取信号処理部350を構成する上記各部は、入出力ポート20Dを介して入力されるCPU20Aからの制御信号(図示省略)によって制御される。
ところで、内蔵イメージセンサ200では、補正(キャリブレーション)の一態様として、記録媒体Pに形成された画像を読み取った読取値等に基づく画像データに対し、色味の補正、すなわち、明度に加えて色相・彩度の補正が行われる場合がある。これは、同じ画像を読み取った読取値であっても、照明部202あるいはCCDセンサ204等の機差や経時変化等により内蔵イメージセンサ200ごとに色相・彩度の差が生ずるからである。つまり、たとえばCCDセンサ204のフィルタの製造偏差に起因する感度の違い、あるいはフィルタの経時変化に伴う感度の変化等によって、内蔵イメージセンサ200ごとに画像データとしての当該読取値に機差や経時的な変化が生ずることがあるからである。
上記補正の一方法として、印画紙等に形成された色特性が既知の各成分色の階調パッチ画像を含むテストチャートを用いる方法がある。当該テストチャートを内蔵イメージセンサ200等で読み取ることにより測色し、測色して取得した画像データを、テストチャートに対応する目標となる基準画像データへ変換するための色変換係数を算出する方法である。内蔵イメージセンサ200は、CCDセンサ204による読み取りを実行する際、読み取られた画像データ等に対し、算出された色変換係数で補正を施した画像データを出力する。しかしながら、この方法では、補正のつど複数色についてのテストチャートを用いなければならないという煩わしさがある。また、色差を厳密に管理する必要のあるテストチャート自体が高価であるし、さらにテストチャートの色差が経時的に変化(たとえば、
変色)する場合もある。
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、キャリブレーション処理の一態様として、各色基準面を用いて明度・色相・彩度(つまり色域)の補正を行っている。すなわち、ランプ212からの照射光を調光しつつ各色基準面に照射し、その反射光をCCDセンサ204で読み取った読取値(以下、この読取値を「調光読取値」という場合がある)を取得する。そして、当該調光読取値に基づいて、画像形成装置10等で形成された画像を内蔵イメージセンサ200で読み取る場合の、当該内蔵イメージセンサ200ごとの色域の機差等を補正する。
以下、本実施の形態に係る色域補正処理は、CCDセンサ204で読み取った読取値であるRGB色空間(デバイス依存色空間)の画像データ(R,G,B)を、一例として輝度色差色空間であるL*a*b*色空間(デバイス非依存色空間)の画像データ(L*,a*,b*)に変換して実行される。また、画像データ(R,G,B)から画像データ(L*,a*,b*)への変換は、色変換係数Mを用いて実行される。
つぎに、図5を参照して、主として上記色域補正処理を実行する場合の読取信号処理部350の機能について説明する。
図5に示すように、読取信号処理部350は、S&H(サンプル アンド ホールド)部352、増幅部354、A/D変換部356、シェーディング補正部358、RGB1/L*a*b*1色変換部360、検査色域作成部361、基準色域記憶部362、色域検査部363、L*a*b*1/L*a*b*0色変換係数作成部364、L*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365、L*a*b*1/L*a*b*0色変換部366、L*a*b*0/RGB2色変換部367を含んで構成されている。
S&H部352は、CCDセンサ204から転送された赤(R)色のアナログの読取信号SR1、緑(G)色のアナログの読取信号SG1、青色(B)のアナログの読取信号SB1をサンプリング(標本化)して一定期間ホールド(保持)するサンプリングホールドを行う。
増幅部354は、S&H部352でサンプリングホールドされた読取信号SR1、SG1、SB1を増幅する。S&H部352と増幅部354との間には、サンプリングホールドされた読取信号SR1、SG1、SB1について、読み取られた画像(以下、「読取画像」という場合がある)の黒の出力レベルが予め定められた黒レベル(ゼロレベル)になるように補正処理を行う黒レベル調整回路が設けられる場合もある。
A/D変換部356は、増幅部354により増幅された読取信号SR1、SG1、SB1をA/D(アナログ/デジタル)変換し、デジタルデータである上記画像データ(R,G,B)を得る。
シェーディング補正部358は、A/D変換部356によりデジタル信号に変換された画像データ(R,G,B)に対して、ランプ212やCCDセンサ204に起因する画像の読取出力の明度むらを補正する。そして、読取画像の白レベルと画像形成ユニット16での画像形成における白レベルとが一致するように補正する。
RGB1/L*a*b*1色変換部360は、シェーディング補正部358でシェーディング補正された後の画像データ(R,G,B)であるデータRGB1を、色変換係数M1を用いて画像データ(L*,a*,b*)であるデータL*a*b*1へ変換する。M1は、後述する更新前の色変換係数である。変換されたデータL*a*b*1は、信号(SL*1,Sa*1,Sb*1)として検査色域作成部361に出力される。なお、データRGB1は、色域補正の対象となる内蔵イメージセンサ200(画像形成装置10)(以下、「検査対象」という場合がある)の各色基準面を調光読み取りした結果を示す画像データ(R,G,B)である。
検査色域作成部361は、上記データL*a*b*1を用いて、後述する色度点間の補間処理を行う。なお、以下、当該補間処理がなされた後のデータL*a*b*1を「検査色域情報L*a*b*1」という場合がある。
基準色域記憶部362は、色再現の目標となる色域情報であるデータL*a*b*0(以下、「基準色域情報」)を記憶している記憶手段であり、基準色域情報が読み出された場合には、信号(SL*0,Sa*0,Sb*0)として色域検査部363に出力される。基準色域記憶部362としては、ROM20B、NVM20F等の記憶手段を用いてもよい。
色域検査部363は、基準色域情報(データL*a*b*0)と検査色域情報(データL*a*b*1)との対応する色度から色差をそれぞれ算出し、求められた色差のうちの最大値(以下、「最大色差」)を求める。つまり、基準色域情報と検査色域情報とでデータ番号(後述)が同じ色度の組み合わせで色差をそれぞれ算出し、そのうちの最大値を求める。そして、最大色差が予め定められた閾値以上の場合に、基準色域情報を信号(SL*0,Sa*0,Sb*0)として、また、検査色域情報を信号(SL*1,Sa*1,Sb*1)として、L*a*b*1/La*b*0色変換係数作成部364へ出力する。
L*a*b*1/La*b*0色変換係数作成部364は、検査色域情報(データL*a*b*1)から基準色域情報(データL*a*b*0)への色変換係数M2を算出し、算出したM2をL*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365へ出力する。当該色変換係数M2の算出は、たとえば、下記式(1)を満たすM2を、最小二乗法、最尤法等の重回帰分析により算出すればよい。
L*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365は、色変換係数M2を更新し、更新したM2をL*a*b*1/L*a*b*0色変換部366に出力する。当該更新は、L*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365内に設けられた記憶部に、それまでに記憶されているM2を更新することによって実行してもよい。また、NVM20F等の記憶手段に、それまでに記憶されているM2を更新することによって実行してもよい。
L*a*b*1/L*a*b*0色変換部366は、色変換係数M2を用いて、検査色情報(データL*a*b*1)を基準色域情報(データL*a*b*0)に変換し、変換結果をL*a*b*0/RGB2色変換部367に、信号(SL*0,Sa*0,Sb*0)として出力する。
L*a*b*0/RGB2色変換部367は、色変換係数M3(本実施の形態では更新後のM2)を用いて基準色域情報(データL*a*b*0)を画像データ(R,G,B)のデータRGB2に変換し、変換結果を入出力ポート20Dに、信号(SR2,SG2,SB2)として出力する。
上記読取信号処理部350においては、一旦M2が算出されると、色域検査部363における検査によって最大色差が予め定められた閾値以上となり色変換係数M2が更新されない限り、検査色域情報(データL*a*b*1)は、L*a*b*1/L*a*b*0色変換部366において、当該色変換係数M2によって補正される。つまり、色変換係数M2は、予め定められた許容範囲で検査色域を基準色域に近づける(補正する)ための変換係数となっている。
また、本実施の形態に係る読取信号処理部350を構成する上記各部は、先述したように、入出力ポート20Dを介して入力されるCPU20Aからの制御信号(図示省略)によって制御される。
つぎに、本実施の形態に係る色域補正処理について、より詳細に説明するが、まず、図6を参照して、本実施の形態に係る調光読み取りについて説明する。なお、以下の説明では、本色域補正処理を図5に示す読取信号処理部350で実行される形態を例示して説明するが、これに限られず、当該処理をCPU20Aが実行する形態としてもよい。
図6(a)は、ランプ212の白色LEDに流す電流の値を変えて調光制御しつつ照射光を白色基準面232に照射し、白色基準面232からの反射光をCCDセンサ204で読み取った読取値である画像データ(R,G,B)を画像データ(L*,a*,b*)に変換し、明度L*と白色LEDに流す電流の電流値との関係を図示したものである。当該調光制御は、図4に示す調光回路370により行う。図6(a)の直線W1で示すように、白色基準面232の調光読取値は、白色LEDに流す電流に対して明度L*が略直線状に変化する特性を示す。なお、L*軸に沿うグレースケールで示された濃淡のある帯は、明度L*の変化を視覚的に表している。
また、図6(b)は、ランプ212を調光制御した場合の白色基準面232の読取値をL*−b*平面にプロットした図である。図6(b)の直線W2で示すように、当該読取値は、指数b*がほぼ0の位置から明度L*軸に平行に略直線状に変化する特性を示す。
一方、図6(c)は、ランプ212の白色LEDに流す電流の電流値を変えて調光制御しつつ照射光を黄色基準面234に照射し、黄色基準面234からの反射光をCCDセンサ204で読み取った読取値である画像データ(R,G,B)を画像データ(L*,a*,b*)に変換し、当該画像データ(L*,a*,b*)をL*−b*平面にプロットしたものである。
図6(c)の直線Yで示すように、黄色基準面234の調光読取値は、白色LEDに流す電流に対してL*−b*平面を略直線状に斜めに移動する特性を示す。なお、L*軸に沿うグレースケールで濃淡のある帯は明度L*の変化を視覚的に表し、b*軸に沿うグレースケールで濃淡のある帯はb*方向の彩度の変化を視覚的に表している。他の色基準面に対する調光読み取りも同様であり、各々の色基準面に対応して、L*a*b*色空間を略直線状に移動する特性を示す。つまり、各色基準面についての調光読み取りを行うことにより、明度のみならず、色相、彩度についての情報も得られることになる。
図7を参照して、各色基準面の色の色度図(本実施の形態では、L*a*b*色空間)上の分布について説明する。なお、L*a*b*色空間は3次元空間であるが、図示上の煩雑さを避けるため、以下においては、2次元平面への投影により図示する。
本実施の形態では、有彩色の各色基準面(黄色基準面234、マゼンタ色基準面239、シアン色基準面237、赤色基準面231、緑色基準面233、および青色基準面235)の色について、a*−b*平面上における色相角を略均等に分割するように選択して配置する。つまり、図7に示すように、黄色基準面234、マゼンタ色基準面239、シアン色基準面237、赤色基準面231、緑色基準面233、および青色基準面235の各色は、a*−b*平面上において、色相角を略均等に分割するように配置されている。
さらに、本実施の形態では、有彩色の各色基準面の配置に加え、無彩色基準面である白色基準面232の色が、a*−b*平面上の原点付近に配置される。ここで、a*−b*平面上における色相角とは、図7に示すように、原点を中心とした直線がa*軸となす角θをいう。
本実施の形態では、各色基準面について調光読み取りを行った後、各色基準面と無彩色基準面である白色基準面232との間で補間処理を行い、色域情報(基準色域情報および検査色域情報)を算出する。また、以下では、黄色基準面234を例にとり色域情報の算出について説明するが、他の色基準面についても同様である。
図8を参照して、検査色域情報の算出方法について説明する。図8には、白色基準面232の調光読取値、黄色基準面234の調光読取値、および両者の補間値を図示している。すなわち、図8(a)は当該各値をL*−a*平面上に示したものであり、図8(b)は当該各値をL*−b*平面上に示したものであり、両図は同じ値についてプロット平面を変えて図示するものである。
図8(a)においては、白色基準面232の調光読取値がSW1ないしSW5(同図で▲で示される点。以下、総称する場合は「調光読取値SW」)で示されている。また、黄色基準面234の調光読取値がSY1ないしSY5(同図で●で示される点。以下、総称する場合は「調光読取値SY」)で示されている。つまり、本実施の形態では、ランプ212を5段階に調光した場合を例示しており、SW5→SW4→SW3→SW2→SW1の順に(すなわち、添え字の数字が小さくなる順に)白色LEDに流す電流が大きくなっている。なお、調光読取値SWおよびSYは、読取信号処理部350(図5参照)のRGB1/L*a*b*1色変換部360における処理の結果得られる値である。
また、本実施の形態では、白色基準面232の調光読み取りで流す各段階の白色LEDの電流値と、黄色基準面234の調光読み取りで流す各段階の白色LEDの電流値とは等しい値としている。白色LEDに流す電流が等しいということは、白色基準面232上の照度と黄色基準面234上の照度とが同じことを意味している。以下、5段階の調光による照度を、白色LEDの電流値が大きい順に照度L1ないし照度L5という場合がある。
なお、本実施の形態では調光の段階数が5段階の場合を例示して説明するが、調光の段階数は5段階に限られず任意の数の段階としてよい。また、調光読み取りを実行する場合の白色LEDの段階ごとの電流値は、予めROM20B等の記憶手段に記憶させておいてもよい。
再び図8(a)を参照して、本実施の形態に係る補間処理について説明する。本実施の形態に係る補間処理では、照度が等しい関係にある白色基準面232の調光読取値SWと黄色基準面234の調光読取値SYとの間を略均等に分割する。そして、分割して得た点に対応する色空間上の色度(L*,a*,b*)を求め、これらを補間値とする。
白色LEDに流す電流が等しい関係にある調光読取値SW1とSY1(照度L1)とを例にとると、図8(a)に示すように、SW1とSY1との間を略均等に5分割して、補間値SWY11、SWY12、SWY13、およびSW14(同図で◆で示される点)を求める。以下、補間値SWY11等を総称する場合には、「補間値SWY」という場合がある。
図示は省略するが、同様にして、調光読取値SW2とSY2との間の補間値SWY21ないしSWY24(照度L2)を、調光読取値SW3とSY3との間の補間値SWY31ないしSWY33(照度L3)を、調光読取値SW4とSY4との間の補間値SWY41ないしSWY43(照度L4)を、調光読取値SW5とSY5との間の補間値SWY51およびSWY52(照度L5)を各々求める。
つまり、図8(a)に示す補間処理においては、照度L1および照度L2について5分割、照度L3および照度L4について4分割、照度L5について3分割としている。むろん、分割数はこれに限られず、求める検査色域の精度、計算時間等を考慮して適切な分割数としてよい。また、照度によって分割数を変える必要もなく同じ分割数としてもよいし、さらには均等に分割する必要もない。
図8(b)は、上述した通り、図8(a)でL*−a*平面上に表された調光読取値SW,SY、補間値SWYをL*−b*平面上に表したものであり、図8(b)に表された各点は、図8(a)の同一の符号が付された各点に対応している。
上述した白色基準面232と黄色基準面234について実行した検査色域情報の算出方法と同様の方法により、白色基準面232とマゼンタ色基準面239についての検査色域情報(調光読取値SW、SM、補間値SWM)を、白色基準面232とシアン色基準面237についての検査色域情報(調光読取値SW、SC、補間値SWC)を、白色基準面232と赤色基準面231についての検査色域情報(調光読取値SW,SR、補間値SWR)を、白色基準面232と緑色基準面233についての検査色域情報(調光読取値SW、SG、補間値SWG)を、白色基準面232と青色基準面235についての検査色域情報(調光読取値SW、SB、補間値SWB)を各々算出する。むろん、白色基準面232の調光読取値SWは1回測定し、当該1回測定した調光読取値SWを、有彩色の各色基準面の補間処理において共通に用いてもよい。算出した検査色域情報は、NVM20F等の記憶手段に一時的に記憶しておいてもよい。なお、補間値SWY、SWM、SWC、SWR、SWG、SWBは、読取信号処理部350(図5参照)の検査色域作成部361における処理の結果得られる値である。
図9は、上述した検査色域情報の算出方法について、数値例を用いて説明する図である。図9において、「検査データ番号」は、上記の調光読取値SW、SY、SM、SC、SR、SG、SB、および補間値SWY、SWM、SWC、SWR、SWG、SWBの各々の値に付された番号を示している。「検査色域情報の作成方法」欄の「照度L1」ないし「照度L5」は、当該照度によって各色基準面を調光読み取りして得られた色度であること示している。また、「検査色域情報の作成方法」欄の「データ補間11」ないし「データ補間52」は、補間処理の結果得られた色度であることを示している。
具体的には、データ01ないしデータ05は、照度L1ないし照度L5で白色基準面232を調光読み取りした色度(L*,a*,b*)を、データ06ないしデータ10は、照度L1ないし照度L5で黄色基準面234を調光読み取りした色度(L*,a*,b*)を各々示している。
また、データ11ないしデータ26は、補間処理の結果得られた色度(L*,a*,b*)を示している。つまり、データ11ないしデータ26は、データ01ないしデータ10で取得された調光読取値に基づいて、上記補間処理を実行した結果を示している。たとえば、データ補間11ないしデータ補間14に対応して示された各色度(L*,a*,b*)は、照度L1で算出された上記の補間値SWY11ないしSWY14を示している。残りのデータ補間21ないしデータ補間24、データ補間31ないしデータ補間33、データ補間41ないしデータ補間43、データ補間51およびデータ補間52についても同様である。
なお、上述の演算で得られた調光読取値SW、SY、SM、SC、SR、SG、SB、および補間値SWY、SWM、SWC、SWR、SWG、SWBは、NVM20F等の記憶手段に一時的に記憶しておいてもよい。NVM20F等に記憶する場合の記憶形態は、たとえば図9に示された形態としてもよい。
つぎに、図10を参照して、基準色域の作成について説明する。
基準色域の作成方法は、基本的に上記検査色域の算出方法と同様であり、したがって、
図10は、基本的に図8と同様の図である。基準色域と検査色域との違いは、検査色域が補正対象となる内蔵イメージセンサ200(画像形成装置10)について、たとえば補正のつど検査色域作成部361(図5参照)で算出される色域であるのに対し、基準色域は、補正の際の基準として予め基準色域記憶部362に格納されている色域である点である。つまり、基準色域は、たとえば、標準的な特性の部品で構成された内蔵イメージセンサ200(画像形成装置10)の標準機を用い、予め上記検査色域の算出方法と同様の方法によって算出された色域である。あるいは、工場出荷時に、各内蔵イメージセンサ200(画像形成装置10)について、上記検査色域の算出方法と同様の方法によって予め算出された色域の初期値であってもよい。
より具体的には、図10(a)において、TW1ないしTW5(図10(a)において、△で示された点)は、5段階に調光して予め測定された白色基準面232の調光読取値である。また、TY1ないしTY5(図10(a)において、○で示された点)は、5段階に調光して予め測定された黄色基準面234の調光読取値である。そして、上記検査色域の算出における補間処理と同様にして、調光読取値TW1とTY1との間の補間値TWY11ないしTWY14(照度L1)を、調光読取値TW2とTY2との間の補間値TWY21ないしTWY24(照度L2)を、調光読取値TW3とTY3との間の補間値TWY31ないしTWY33(照度L3)を、調光読取値TW4とTY4との間の補間値TWY41ないしTWY43(照度L4)を、調光読取値TW5とTY5との間の補間値TWY51およびTWY52(照度L5)を各々求める。図10(a)において、◇で示された点が各補間値を示している。なお、上記検査色域と同様に、調光読取値を総称する場合には、TW、TYなどと表記し、補間値を総称する場合には、TWYなどと表記する。
図10(b)は、図10(a)でL*−a*平面上に表された調光読取値TW,TY、および補間値TWYをL*−b*平面上に表したものであり、図10(b)に表された各点は、図10(a)の同一の符号が付された各点に対応している。
上述した白色基準面232と黄色基準面234について実行した基準色域情報の算出方法と同様の方法により、白色基準面232とマゼンタ色基準面239についての基準色域情報(調光読取値TW、TM、補間値TWM)を、白色基準面232とシアン色基準面237についての基準色域情報(調光読取値TW、TC、補間値TWC)を、白色基準面232と赤色基準面231についての基準色域情報(調光読取値TW,TR、補間値TWR)を、白色基準面232と緑色基準面233についての基準色域情報(調光読取値TW、TG、補間値TWG)を、白色基準面232と青色基準面235についての基準色域情報(調光読取値TW、TB、補間値TWB)を各々算出する。
ここで、予め基準色域を作成する場合において5段階の調光読み取りを行う際に各段階で白色LEDに流す電流値は、上記検査色域を算出する場合に白色LEDに流す5段階の電流値と同じ値としている。つまり、予め基準色域を作成する場合の各色基準面における照度L1ないし照度L5は、上記検査色域を算出する場合の各色基準面における照度と同じとなっている。
図11は、基準色域の各調光読取値、各補間値の算出について数値例を用いて説明する図であり、図9と同様に、基準データ番号01ないし05は白色基準面232の調光読取値TW、基準データ番号06ないし10は、黄色基準面234の調光読取値TYを示している。また、基準データ番号11ないし26は、照度L1ないしL5における各補間値TWYを示している。基準色域についても検査色域と同様に、図11に示した形態で、基準色域記憶部362あるいはROM20B等の記憶手段に格納しておいてもよい。
つぎに、図12を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10で実行される色域補正処理について説明する。図12は、本実施の形態に係る色域補正処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
本実施の形態に係る画像形成装置10では、図12に示す処理は、ユーザがUIパネル30等を介して色域補正処理の開始を指示することで、CPU20AがROM20B等の記憶手段に記憶された色域補正処理プログラムを読み込み、実行することによりなされる。なお、図12に示す処理は、ユーザの指示による実行に限られず、たとえば、定期または不定期に自動的に行われる補正(キャリブレーション)の一環として実行するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、色域補正処理プログラムをROM20B等の記憶手段に予め記憶させておく形態を例示して説明するが、これに限られない。たとえば、本色域補正処理プログラムがコンピュータにより読み取り可能な可搬型の記憶媒体に記憶された状態で提供される形態に適用してもよい。また、本色域補正処理プログラムが、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用してもよい。
さらに、本実施の形態では、本色域補正処理を、プログラムを実行することによるコンピュータを利用したソフトウエア構成により実現しているが、これに限らない。たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を採用したハードウエア構成や、ハードウエア構成とソフトウエア構成の組み合わせによって実現してもよい。
図12に示すように、まず、ステップS100で、ランプ212を調光する場合の調光の段階数Nを設定する。調光の段階数N(本実施の形態では、N=5としている)は、各段階で設定する白色LEDに流す電流値とともに予めROM20B等の記憶手段に格納されている値を読み込んで設定してもよい。
つぎのステップS102では、白色基準面232を読み取ることにより、上述したシェーディング補正を実行するように読取信号処理部350(シェーディング補正部358)を制御する。
つぎのステップS104では、調光の段階数のカウンタであるiを1にセットして初期化する。
つぎのステップS106では、調光の段階iに対応する照度L(i)でランプ212が点灯するように、調光回路370を制御する。
つぎのステップS108では、白色基準面232の調光読み取りを実行するように、制御回路100、調光回路370、および読取信号処理部350を制御する。取得した読取値は、一時的にRAM20CあるいはNVM20F等の記憶手段に記憶させてもよい。
つぎのステップS110では、有彩色の各色基準面(本実施の形態では、黄色基準面234、シアン色基準面237、マゼンタ色基準面239、赤色基準面231、緑色基準面233、および青色基準面235)の調光読み取りを実行するように、制御回路100、
調光回路370、および読取信号処理部350を制御する。取得した各色基準面の読取値は、一時的にRAM20CあるいはNVM20F等の記憶手段に記憶させてもよい。
つぎのステップS112では、ステップS108で取得した白色基準面232の調光読取値、およびステップS110で取得した有彩色の各色基準面の調光読取値に基づいて、
上述した算出方法により、検査色域を作成・追加する。当該検査色域の作成・追加の処理は、検査色域作成部361における処理と同様の処理を実行することによりなされる。
つぎのステップS114では、カウンタiの値がNより大きいか否か判定する。当該判定が否定判定となった場合には、ステップS116に移行してカウンタiを1インクリメントしてステップS106に戻る。
一方、ステップS114で肯定判定となった場合には、ステップS118に移行して、
上述した最大色差を算出する。
なお、上述したように、色差は同じ照度Lに対応する検査色域の色度と基準色域の色度との距離を算出して求める。つまり、検査色域の照度L1における黄色基準面234の調光読取値SY1の色度を(L* SY1、a* SY1、b* SY1)とし、基準色域の照度L1における黄色基準面234の調光読取値TY1の色度を(L* TY1、a* TY1、b* TY1)とした場合、SW1とSY1との間の色差RY1は下記の式(2)で算出される。
同様にして、検査色域および基準色域における他の調光読取値、補間値についても、同じ照度の組み合わせにおける色差を各々算出し、それら色差のうちの最大値を求めて上記最大色差とする。より具体的には、図9および図11の例では、26個の色差が各々算出されるので、それらのうちの最大値を上記最大色差とする。
なお、ステップS118で色差を算出した場合には、たとえばUIパネル30に当該算出した色差を、有彩色の各色基準面の色域とともに表示して、ユーザに報知してもよい。
つぎのステップS120では、ステップS118で算出した最大色差が予め定められた閾値以上か否かを判定する。ステップS118における最大色差の算出、およびステップS120における最大色差の閾値との比較は、色域検査部363における処理と同様の処理を実行することによりなされる。
ステップS120で否定判定となった場合には、本色域補正処理プログラムを終了する。最大色差が閾値より小さい場合には、検査色域の経時変化あるいは機差が問題とならない範囲であるからである。
一方、ステップS120で肯定判定となった場合には、ステップS122に移行し、検査色域情報(データL*a*b*1)から基準色域情報(データL*a*b*0)への色変換係数M2を算出する。当該色変換係数M2の算出は、L*a*b*1/L*a*b*0色変換係数作成部364における処理と同様の処理を実行することによりなされる。
つぎのステップS124では、ステップS122で算出した色変換係数M2を更新し、
本色域補正処理プログラムを終了する。当該色変換係数M2の更新は、L*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365における処理と同様の処理を実行することによりなされる。
一旦M2が算出されると、色域検査部363における検査によって最大色差が予め定められた閾値以上となり色変換係数M2が更新されない限り、検査色域情報(データL*a*b*1)は、L*a*b*1/L*a*b*0色変換部366において、当該色変換係数M2によって補正される。また、当該色変換係数M2によって補正された検査色域情報(データL*a*b*1)は、L*a*b*0/RGB2色変換部367において画像データ(R,G,B)に変換されて入出力ポート20Dに出力される。
なお、本実施の形態では、色変換係数M2を更新する形態を例示して説明したが、これに限られない。たとえば、色変換係数M2を算出するごとに、時系列でL*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365あるいはNVM20F等の記憶手段に記憶していってもよい。また、補正色変換係数をL*a*b*1/L*a*b*0色変換係数更新部365あるいはNVM20F等の記憶手段に記憶する形態としては、上記マトリクスMの形態に限られず、たとえばLUT(Look Up Table)あるいは変換式の形態としてもよい。
また、色変換係数M2を更新した場合には、再度本色域補正処理プログラムを実行して、更新した色変換係数M2の効果を確認するようにしてもよい。さらに、色変換係数M2の更新によってもなお、ステップS120において最大色差が閾値以上となった場合には、色域の補正が完了できなかったことを、たとえばUIパネル30にその旨表示して、ユーザに報知してもよい。
以上の説明で明らかなように、本実施の形態に係る画像読取装置、画像形成装置およびプログラムによれば、テストチャートを用いることなく読み取り色域の補正を実現することが可能な色域補正手段を備えた画像読取装置、画像形成装置およびプログラムが提供される。
なお、上記実施の形態においては、無彩色の色基準面として白色基準面を用いた形態を例示して説明したが、これに限られない。たとえば、黒色基準面、グレー色基準面等を用いた形態としてもよい。また、有彩色の色基準面として、黄色基準面、マゼンタ色基準面、シアン色基準面、赤色基準面、緑色基準面、青色基準面を用いた形態を例示して説明したが、これに限られない。要求される色域補正の精度等を勘案して、一つまたは複数の他の色基準面を追加した形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、白色基準面と有彩色の各色基準面との間で色域の補間処理を行う形態を例示して説明したが、これに限られない。たとえば、一つまたは複数の有彩色の色基準面同士の組み合わせの間で補間処理を行った色域を追加してもよい。
また、上記実施の形態では、ランプ212を調光する手段として白色LEDに流す電流を変える形態を例示して説明したが、これに限られない。たとえば、照明部202にキセノンランプ等のランプを用い、当該ランプと開口面積を可変としたスリットとを組み合わせて調光する形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、各色基準面として反射型の色基準面を用いた形態を例示して説明したが、これに限られず、たとえば透過型の色基準面を用いた形態としてもよい。
また、上記実施の形態では、画像読取装置として内蔵イメージセンサを用いた形態を例示して説明したが、これに限られず、たとえばスキャナを用いた形態としてもよい。