以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の画像形成装置10の概略構成を示す図であり、図2は、本実施形態の画像形成装置10に設けられた内蔵イメージセンサ200の一例を示す図である。
本実施形態の画像形成装置10は、フルカラー画像及び白黒画像を選択的に形成するものであり、図1に示すように、第1筐体10Aと、第1筐体10Aに接続された第2筐体10Bと、を備えている。第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から供給される画像データに対して画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが設けられている。
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラック以外の色(透明を含む)が例示される。また、以下の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、個々を区別する符号「V」、「W」、「Y」、「M」、「C」、「K」を付して説明し、個々を区別しない場合は、上記符号の記載を省略する。
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14に対応して設けられている。
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は画像信号処理部13から受け取った、画像処理が施された画像データに応じて変調した光ビームLを像保持体18へ照射する。
各画像形成ユニット16は、一方向に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)の帯電器と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置と、転写後の像保持体18に残留するトナーを除去するブレードと、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置と、が設けられている。なお、帯電器、現像装置、ブレード、及び除電装置は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
また、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写ロール36とを含んでいる。
中間転写ベルト34は、モータ(図示省略)で駆動される駆動ロール38と、張力付与ロール41と、対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動される。
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加される。
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
転写部32の下方には、用紙等の媒体の一例である記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が複数設けられている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における正面視右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加される。二次転写ロール62によって、中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される。
また、搬送経路60に合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込める。
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられている。また、搬送ベルト70により搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着ユニット82が設けられている。
定着ユニット82は、定着ベルト84と、加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧及び加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。定着ベルト84は、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられており、それぞれに内蔵されたハロゲンヒータ等の加熱部により、定着ベルト84が加熱される。
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114と、を備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、及び画像位置欠陥等を検出する内蔵イメージセンサ200が設けられている。なお、内蔵イメージセンサ200については、詳細を後述する。
内蔵イメージセンサ200の下流側には、画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
なお、両面に画像を形成させる場合は、内蔵イメージセンサ200から送出された記録媒体Pは、内蔵イメージセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送される。
反転経路194に沿って搬送される記録媒体Pは、表裏が反転されて、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれる。
なお、本実施形態の画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V、16W、露光装置40V、40W、トナーカートリッジ14V、14W、及び一次転写ロール36V、36W)は、ユーザの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着自在に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、または、第1特別色及び第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
つぎに、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40は、画像データに応じて各光ビームLを出射して、帯電器によって帯電した各像保持体18を露光して、静電潜像を形成する。
像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
記録媒体P上の各色のトナー画像は、定着ユニット82により加熱及び加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
湾曲が矯正された記録媒体Pは、内蔵イメージセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
次に、内蔵イメージセンサ200について説明する。
以下の説明では、図2に示すように、記録媒体Pの搬送方向である副走査方向がX方向、装置の高さ方向がY方向、主走査方向)装置の奥行き方向)がZ方向にそれぞれ対応している。
本実施の内蔵イメージセンサ200は、画像形成ユニット16によって記録媒体Pに形成された画像に異常があるか否かを検出するため等に用いられるものであり、この場合の内蔵イメージセンサ200は、画像形成ユニット16の階調再現性や色再現性の計測手段としての機能を有する。また、当該計測手段としての機能を正常に維持するために、定期または不定期に内蔵イメージセンサ200の校正(キャリブレーション)が実行される。
図2に示されるように、画像読取装置の一例である内蔵イメージセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照射部202と、照射部202から照射されて記録媒体Pで反射された光をCCD(Charge Coupled Device)センサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、キャリブレーションに用いられるキャリブレーション部230と、を備えている。
照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、Z方向(主走査方向)に長手とされた一対の第1ランプ212A及び第2ランプ212B(以下、両者を区別しない場合は、単に「ランプ212」という)を有する。ランプ212が照射部の一例である。
本実施形態では、ランプ212として主走査方向に沿って配列された複数のLED(Light Emitting Diode)(図示省略)を用いているが、ランプ212は、蛍光ランプやキセノンランプであってもよい。
さらに、ランプ212の照射範囲の長さは搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大きい。一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対し対称に配置されている。より具体的には、一対のランプ212は、記録媒体Pへの照射角がそれぞれ、たとえば45°以上50°以下となるように光軸OAに対し対称に配置されている。
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送経路60に沿って並べられており、第1ランプ212が記録媒体Pの搬送方向の上流側に配置され、第2ランプ212Bが記録媒体Pの搬送方向の下流側に配置されている。第1ランプ212A及び第2ランプ212Bから照射される光が、第1ランプ212Aと第2ランプ212Bとの間の搬送経路60上の透明なウィンドウガラス286の照射位置Dに照射される。
また、結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(本実施形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、を主要部として構成されている。なお、CCDセンサ204が検出部の一例である。
CCDセンサ204は、光軸OAに対し記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。本実施形態におけるCCDセンサ204は、各々主走査方向に沿って配置された複数の受光素子(たとえばフォトダイオード)を含む、赤用イメージセンサ、緑用イメージセンサ、及び青用イメージセンサを備えたラインセンサである。各色用イメージセンサには、受光素子の受光面に各色成分の光を透過させるフィルタが設けられている。各色用イメージセンサは、受光素子が受光した光の各色成分の光量に応じて蓄積した電荷を信号として外部に出力する。
第1ミラー214の主走査方向(Z方向)の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大きい。そして、第1ミラー214、第2ミラー216、及び第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれ主走査方向(Z方向)に絞りながら(集光しつつ)反射する。これにより、円柱状のレンズ220に対し記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる。
内蔵イメージセンサ200は、CCDセンサ204が、結像された光すなわち画像濃度に応じた読取信号を、画像形成装置10の制御装置20(図1及び図5参照)に出力する。制御装置20は、内蔵イメージセンサ200から入力された読取信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する処理を実施する。制御装置20で行われる画像を補正する処理の一例としては、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づく露光装置40による照射光の強度や画像の形成位置の補正等が挙げられる。
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224(224L、224S、224U)が設けられている。光量絞り部224は、光路を主走査方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向に絞ると共に、外部からの操作により光量の絞り量が調整される。光量絞り部224による光量の絞り量は、経時によりランプ212の発光量が変化してもCCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量以上となるように調整される。
ウィンドウガラス286は、第1ランプ212A及び第2ランプ212Bの光を記録媒体Pに向けて透過させる。ウィンドウガラス286において、ランプ212から光が照射される照射領域は、搬送経路60上を搬送される記録媒体Pの画像形成領域が通過する領域に重なる領域であって、CCDセンサ204によって画像が読み取られる読取領域を含んでいる。本実施形態の内蔵イメージセンサ200では、読取領域の主走査方向の長さは、記録媒体P上に画像の形成が可能な画像形成領域の最大幅(以下、「幅」という場合、主走査方向の長さのことをいう)よりも長い。
図3に示すように、本実施形態のキャリブレーション部230には、保持部材236に取り付けられた断面視L字状の保持部材237上に設けられた白色基準面232及び黄色基準面234を備えている。白色基準面232及び黄色基準面234の各々の幅は、画像形成領域の幅よりも狭い。
白色基準面232は、ランプ212やCCDセンサ204に起因する主走査方向の明度ムラの補正、いわゆるシェーディング補正を行うための基準面であり、たとえば白色のフィルムが保持部材237に貼着されている。ランプ212からの照射光が白色基準面232に照射されると、白色基準面232で反射された反射光が結像光学系206を介しCCDセンサ204に入射される。
黄色基準面234は、ランプ212やCCDセンサ204に起因する主走査方向の色味、具体的には色度ムラ等を補正するための基準面であり、たとえば、黄色のフィルムが保持部材237上で、かつ白色基準面232の主走査方向に隣接して貼着されている。ランプ212からの照射光が黄色基準面234に照射されると、黄色基準面234で反射された反射光が結像光学系206を介しCCDセンサ204に入射される。なお、本実施形態の基準面の色として、黄色を用いている理由は、本実施形態のランプ212が、青色LEDチップと黄色の蛍光物質を含む白色LEDを備えているからである。
すなわち、本実施形態のランプ212で使用する白色LEDは、青色LEDチップと黄色の蛍光物質を含有させた透明樹脂とが積層されている。そして、青色LEDチップの放つ青色光によりチップ周囲の黄色蛍光物質を励起させて、黄色の蛍光を発生させる。それにより、補色関係にある青色と黄色とを足し合わせて(合成させて)、白色光を生成する。そのため、たとえば、白色LEDの製造時において、青色LEDチップの青色のばらつき、あるいは黄色蛍光物質の特性や添加量や分散状態等のばらつきが生じると、白色LEDにより生成される光の色温度が、黄色の方向や青色の方向に変動することがあるからである。
なお、白色LEDは、上記の青色LEDチップと黄色の蛍光物質とを組み合わせたものに限られず、他の色のLEDチップと蛍光物質とを組み合わせたものでもよい。この場合、白色LEDの構成、LEDチップや蛍光物質の色に応じて基準面の色を変えてもよい。
キャリブレーション部230は、図4に示すように、移動部250によって、ウィンドウガラス286の下部を主走査方向に移動する。なお、移動部250は、錯綜を回避するため、図2では図示を省略している。
本実施形態の移動部250は、駆動ロール252、ロール253、伝達ベルト254、シャフト256A、及びシャフト256Bを備えている。
シャフト256A及びシャフト256Bは、軸線方向が主走査方向に沿うように各々の両端部の壁面258に支持されている。
一方、本実施形態のキャリブレーション部230の保持部材236には、図3に示すように、穴236A及び穴236Bが設けられており、穴236Aにはシャフト256Aが、穴236Bにはシャフト256Bが、各々挿入されている。
一方、駆動ロール252及びロール253は、主走査方向に並べられ、図示しない壁面に回転可能に取り付けられている。駆動ロール252及びロール253には、伝達ベルト254が巻掛けられている。伝達ベルト254には、キャリブレーション部230の保持部材236の頂部が固定されている。
駆動ロール252は、モータ(図示省略)で回転駆動されるものとされており、駆動ロール252の回転駆動に応じて伝達ベルト254が周回移動することにより、キャリブレーション部230がシャフト256A及びシャフト256Bに沿って、主走査方向に移動する。
図5は、本実施形態の画像形成装置10における電気系の要部構成を示すブロック図である。
制御装置20は、上述したように、内蔵イメージセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する。また、制御装置20は、制御回路100を介して、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション(たとえば、上述のCCDセンサ204のキャリブレーション等)を制御する。
制御装置20は、より具体的には、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、及び入出力ポート20Dを備えている。CPU20A、ROM20B、及びRAM20Cは、アドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス20Eを介して互いに接続されている。
ROM20Bには、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションを行う際に実行される制御プログラム20Fを含む各種プログラムが記憶されており、CPU20AがRAM20Cにこれらプログラムを展開して実行することにより、各種制御が行われる。
入出力ポート20Dには、ユーザ・インタフェース(UI)パネル30、ランプ212、制御回路100、及び読取信号処理部350が接続されている。UIパネル30は、一例として、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより情報や指示が受け付けられる。なお、本実施形態では、UIパネル30を適用した形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、液晶ディスプレイなどの表示部とテンキーや操作ボタンなどが設けられた操作部とが別々に設けられた形態としてもよい。
ランプ212は、上述したように、内蔵イメージセンサ200によって記録媒体Pに形成された画像あるいは各色基準面(白色基準面232及び黄色基準面234)の読み取りを行うための光を照射するものであり、制御装置20によってそのオンオフ(光の照射または非照射)が制御される。
また、制御回路100は、制御装置20の指示に基づいて移動部250の駆動ロール252の駆動を制御することにより、キャリブレーション部230の移動を制御する。
一方、読取信号処理部350は、制御装置20の指示に従って内蔵イメージセンサ200の各種キャリブレーションを行う。本実施形態では、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションとして、白色基準面232を読み取って作成されたシェーディング補正用プロファイルに基づいて行われるシェーディング補正、及び黄色基準面234を読み取って作成された色味補正用プロファイルに基づいて行われる主走査方向の色味の補正に関するキャリブレーションを行う。なお、読取信号処理部350が実行する、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションは、これらの他、例えば、CCDセンサ204の出力上下限値の補正を行うオフセット及びゲイン補正等に関するキャリブレーションをさらに行ってもよい。
図6に、読取信号処理部350の構成の一例を示す。図6に示すように、読取信号処理部350は、S&H(サンプル アンド ホールド)部352、増幅部354、A/D(アナログ/デジタル)変換部356、シェーディング補正部358、色変換部360、及び色補正部362を備えている。
S&H部352は、CCDセンサ204から出力された赤(R)色のアナログの読取信号SR、緑(G)色のアナログの読取信号SG、及び青色(B)のアナログの読取信号SBをサンプリング(標本化)するとともに、一定期間ホールド(保持)する。
増幅部354は、S&H部352でサンプリングホールドされた読取信号SR、SG、SBを増幅する。なお、S&H部352と増幅部354との間には、サンプリングホールドされた読取信号SR、SG、SBについて、読み取られた画像(以下、「読取画像」という場合がある)の黒の出力レベルが予め定められた黒レベル(ゼロレベル)になるように補正処理を行う黒レベル調整回路が設けられる場合もある。
A/D変換部356は、増幅部354により増幅されたアナログ信号である読取信号SR、SG、SBをデジタル信号に変換し、デジタル信号である画像データ(R,G,B)を得る。
シェーディング補正部358は、A/D変換部356によりデジタル信号に変換された画像データ(R,G,B)に対して、シェーディング補正用プロファイルに基づいて、ランプ212やCCDセンサ204に起因する画像の読取出力の明度ムラを補正するシェーディング補正を行うとともに、読取画像の白レベルと画像形成ユニット16での画像形成における白レベルとが一致するように補正する。また、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションが行われる際には、白色基準面232を読み取った読取画像に基づいて、上記シェーディング補正用プロファイルを作成する。
色変換部360は、色変換係数群(色変換パラメータ)を用いて、RGB色空間(デバイス依存色空間)の画像データ(R,G,B)を輝度色差色空間であるL*a*b*色空間(デバイス非依存色空間)の画像データ(L*,a*,b*)に変換する。
色補正部362は、色味補正用プロファイルに基づいて、ランプ212の白色LEDの色度に応じて画像データ(L*,a*,b*)を補正することにより、主走査方向の色味を補正する。また、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションが行われる際には、黄色基準面234を読み取った読取画像に基づいて、上記色味補正用プロファイルを作成する。
本実施形態の画像形成装置10では、色補正部362で補正された画像データ(L*,a*,b*)は、例えば入出力ポート20Dに接続された画像処理部(図示省略)に転送され、出力色空間であるCMYK色空間(デバイス依存色空間)の画像データ(C,M,Y,K)に変換される。
なお、本実施形態では、画像データ(R,G,B)を変換する輝度色差色空間としてL*a*b*色空間を適用した形態を例示して説明したが、これに限定されず、例えば、別の輝度色差色空間であるYCbCr色空間等を適用した形態としてもよい。
本実施形態の読取信号処理部350を構成する上記各部は、入出力ポート20Dを介して入力されるCPU20Aからの制御信号に基づいて制御される。
次に、本実施形態の内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションについて説明する。本実施形態の画像形成装置10では、制御装置20のCPU20AがROM20Bに記憶されている制御プログラム20Fを実行することにより、図7に示した、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション処理を実行する。なお、制御装置20は、図7に示したキャリブレーション処理の実行に先立ち、ランプ212を点灯させる制御を行う。
図7のステップS100で制御装置20は、制御回路100を介して内蔵イメージセンサ200の移動部250によりキャリブレーション部230の移動を開始させる。本実施形態の制御装置20は、移動部250によりキャリブレーション部230を予め定められた初期位置から停止位置まで移動させる。ここで、制御装置20は、一例として図8に示すように、キャリブレーション部230の白色基準面232を先とし、黄色基準面234を後とした順番で移動させる。
より具体的には、一例として図8に示すように、白色基準面232及び黄色基準面234の双方が画像形成領域外に対応する位置にある場合の位置を、初期位置としている。また、白色基準面232が画像形成領域外に対応する位置にあり、黄色基準面234の少なくとも一部が画像形成領域内に対応する位置にある場合の位置を停止位置としている。なお、本実施形態の内蔵イメージセンサ200では、初期位置が図2における内蔵イメージセンサ200の奥側に対応し、停止位置が図2における内蔵イメージセンサ200の手前側に対応している。
本実施形態の画像形成装置10では、キャリブレーション部230を移動させながらCCDセンサ204で白色基準面232及び黄色基準面234により反射された光を読み取って得られた読取信号に応じたキャリブレーション用画像430を用いて内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションを行う。なお、CCDセンサ204で白色基準面232及び黄色基準面234を読み取って得られた読取信号に応じた画像は実際には、記録媒体Pには形成されないが、図8には、説明の便宜上、キャリブレーション用画像430として仮想的に示している。一例として図8に示すように、キャリブレーション用画像430は、白色基準面232に対応する白画像432及び黄色基準面234に対応する黄画像434を含む。
キャリブレーション用画像430の大きさは、予め実験的に得られている。具体的には、図8に示したキャリブレーション用画像430における白画像432及び黄画像434の副走査方向の長さの最大値Hが、シェーディング補正用プロファイル及び色味補正用プロファイルの作成に必要な画素数(以下、「補正用画素数」という)に対応する長さに予め定められている。
次のステップS102で制御装置20は、ラインセンサであるCCDセンサ204に、1ライン分の読み取りを行わせる。これにより、CCDセンサ204からは、キャリブレーション用画像430の主走査方向における1ライン分の読取信号が出力される。
次のステップS104で制御装置20は、キャリブレーション用画像430の全ライン分の読み取りを終了したか否かを判定する。全ライン分の読み取りを終了していない場合、否定判定となりステップS102に戻る。一方、全ライン分の読み取りを終了した場合、肯定判定となりステップS106へ移行する。なお、全ライン分の読み取りを終了した際の、キャリブレーション部230の位置は上述した停止位置となる。
ステップS106で制御装置20は、制御回路100を介して移動部250によるキャリブレーション部230の移動を終了させる。なお、本実施形態では、キャリブレーション部230の移動を終了させる場合、キャリブレーション部230を停止位置から初期位置に移動させた後に、移動を終了させる。
次のステップS108で制御装置20は、シェーディング補正部358に、シェーディング補正用プロファイル作成処理(図9参照、詳細後述)を実行させて、シェーディング補正用プロファイルを作成させる。
次のステップS110で制御装置20は、色味補正用プロファイル作成処理(図10参照、詳細後述)を色補正部362に実行させて、色味補正用プロファイルを作成させた後、本キャリブレーション処理を終了する。
次に、上述したシェーディング補正用プロファイル作成処理について図9を参照して説明する。なお、本処理で作成するシェーディング補正用プロファイルは、キャリブレーション用画像430における、主走査方向の照度のプロファイルに該当する。
ステップS200でシェーディング補正部358は、主走査方向の座標を示す変数xの初期設定として、変数xに0を代入する。なお、以下では、説明の便宜上、変数xを「座標x」という。
次のステップS202でシェーディング補正部358は、キャリブレーション用画像430の座標xにおける、副走査方向の白画像432の画素数をカウントする。
次のステップS204でシェーディング補正部358は、カウントした画素数が、補正用画素数以上であるか否かを判定する。カウントした画素数が補正用画素数未満の場合、否定判定となりステップS206へ移行する。
ステップS206でシェーディング補正部358は、座標xの照度として0を対応付けた後、ステップS210へ移行する。図7に示した一例では、画像形成領域外における白画像432は、副走査方向の画素数が補正用画素数に応じた画素数よりも少ないため、カウントした画素数が補正用画素数未満になり、座標xの照度を示す変数の値は0となる。
一方、ステップS204において、カウントした画素数が補正用画素数以上の場合、肯定判定となりステップS208へ移行し、ステップS208でシェーディング補正部358は、読取信号に基づいて、座標xの照度を導出する。照度の導出方法は特に限定されず、汎用的な手法を用いればよい。例えば白色基準面232とCCDセンサ204との距離及び照明光度を用いて照度を導出すればよい。
図8に示した一例では、画像形成領域内における白画像432は、誤差を無視すると副走査方向の画素数が補正用画素数以上に(例えば、最大値Hに応じた画素数と等しく)なるため、ステップS204においてカウントした画素数が補正用画素数以上になるので、座標xの照度を導出する。そしてステップS208では、導出した照度を、座標xの照度として対応付ける。
次のステップS210でシェーディング補正部358は、座標xの値に1を加算する。
そして次のステップS212でシェーディング補正部358は、座標xの値がキャリブレーション用画像430の幅以上であるか否かを判定する。すなわち、シェーディング補正部358は、読取領域の主走査方向の一端から他端まで、座標xにおける照度を導出したか否かを判定する。ここで、否定判定となった場合、ステップS202に戻り、ステップS204〜S210の処理を繰り返す。一方、肯定判定となった場合、本シェーディング補正用プロファイル作成処理を終了する。
このようにして導出された各座標xに対応する照度を表すプロファイルが、シェーディング補正用プロファイルとなる。なお、作成されたシェーディング補正用プロファイルは、シェーディング補正部358内部に記憶され、上述したように、記録媒体P上に形成された画像を読み取った画像信号のシェーディング補正を行う際に用いられる。
上述のように白色基準面232及び黄色基準面234を移動させたため、一例として図8に示すように、白画像432により照度が導出される座標xの領域である白色基準照度導出可能領域には画像形成領域が全て含まれる。一方、照度が0とされる(照度が導出できない)座標xの領域である白色基準照度導出不可領域には画像形成領域が含まれない。そのため、画像形成領域に応じた適切なシェーディング補正用プロファイルが作成される。
次に、上述した色味補正用プロファイル作成処理について図10を参照して説明する。なお、本処理で作成する色味補正用プロファイルは、キャリブレーション用画像430における、主走査方向の色度のプロファイルに該当する。
色味補正用プロファイル作成処理は、座標xにおける色度を導出する点で、上述のシェーディング補正用プロファイル作成処理(図9参照)と異なる他は同様の処理を実行する。
具体的には、図10に示した色味補正用プロファイル作成処理のステップS300、S304、S310、及びS312の各処理は、シェーディング補正用プロファイル作成処理に係るステップS200、S204、S210、及びS212の各処理に各々対応している。
一方、図10に示した色味補正用プロファイル作成処理のステップS302の処理は、白画像432に代わり黄画像434の画素数をカウントする点で、シェーディング補正用プロファイルに係るステップS202と異なる。
すなわち、ステップS302で色補正部362は、キャリブレーション用画像430の座標xにおける、副走査方向の黄画像434の画素数をカウントする。
また、図10に示した色味補正用プロファイル作成処理のステップS306及びステップS308の各処理は、検出した照度から色度を導出する点で、シェーディング補正用プロファイルに係るステップS206及びS208と異なる。
ステップS306で色補正部362は、座標xの色度として0を対応付けた後、ステップS310へ移行する。図8に示した一例では、画像形成領域外における黄画像434は、副走査方向の画素数が補正用画素数よりも少ないため、カウントした画素数が補正用画素数未満になり、座標xの色度を示す変数の値は0となる。
また、ステップS308で色補正部362、読取信号に基づいて、座標xの色度を導出する。色度の導出方法は特に限定されず、汎用的な手法を用いればよい。例えば、等色関数、分光分布、及び光の波長を用いて色度を導出すればよい。
図8に示した一例では、画像形成領域内における黄画像434は、誤差を無視すると副走査方向の画素数が補正用画素数以上に(例えば、最大値Hに応じた画素数と等しく)なるため、ステップS304においてカウントした画素数が補正用画素数以上になるので、座標xの色度を導出する。そしてステップS308では、導出した色度を、座標xの色度として対応付ける。
上述のように白色基準面232及び黄色基準面234を移動させたため、一例として図8に示すように、黄画像434により照度が導出される座標xの領域である黄色基準色度導出可能領域と画像形成領域とがずれており、黄色基準色度導出可能領域には画像形成領域の一部のみが含まれる。そのため、本実施形態では、画像形成領域の停止位置側の端部における色度は、キャリブレーション用画像430から導出しない。
このようにして導出された各座標xに対応する色度を表すプロファイルが、色味補正用プロファイルとなる。なお、作成された色味補正用プロファイルは、色補正部362内部に記憶され、上述したように、記録媒体P上に形成された画像を読み取った画像信号の色味の補正を行う際に用いられる。
なお、本実施形態にかかわらず、画像形成領域の上記停止位置側の端部における色度を補完した色味補正用プロファイルを作成してもよい。色度を補完する方法としては、例えば、画像形成装置10の出荷前等に、読取領域の幅以上の幅を有する黄色基準面に基づいて、画像形成領域の停止位置側の端部の色度を予め導出して記憶しておき、当該色度を補完に用いる方法を適用してもよい。また例えば、画像形成領域の停止位置側の端部と、主走査方向において対称となる画像形成領域の初期位置側の端部の色度を補完に用いる方法を適用してもよい。
このように、本実施形態の内蔵イメージセンサ200によれば、読取信号処理部350のシェーディング補正部358が画像信号に対してシェーディング補正を行うのに用いるシェーディング補正用プロファイルを作成することができると共に、色補正部362が画像信号に対して色味の補正を行うのに用いる色味補正用プロファイルを作成することができる。
なお、本実施形態では、上述したように、白色基準照度導出可能領域は画像形成領域を全て含み、黄色基準色度導出可能領域は画像形成領域の一部を含むため、シェーディング補正の精度が色味補正の精度よりも高くなる。
なお、図10に示した色味補正用プロファイル作成処理では、色味について色度を補正するための色味補正用プロファイルを作成する場合について説明したが、色味について彩度を補正する場合は、色度に代わり彩度を導出し、彩度に関するプロファイルを作成すればよい。
なお、移動部250がキャリブレーション部230を移動させる際の初期位置及び停止位置は、図11に示すように、主走査方向に対する位置が図8に示した場合と逆であってもよい。
この場合も、図11に示すように、白画像432により照度の導出が可能な白色基準照度導出可能領域には画像形成領域が全て含まれ、照度が0とされる白色基準照度導出不可領域には画像形成領域が含まれない。そのため、画像形成領域に応じた適切なシェーディング補正用プロファイルが作成される。このように、キャリブレーションを行う際に、移動部250がキャリブレーション部230を移動させる主走査方向の向きについては、特に限定されない。
また、上記では、図3、図8、及び図11に示すように、黄色基準面234を図2における内蔵イメージセンサ200の奥側に、白色基準面232を内蔵イメージセンサ200の手前側に、主走査方向に並んで配置する場合について説明したが、白色基準面232及び黄色基準面234の配置順は、これに限定されない。白色基準面232及び黄色基準面234の主走査方向における配置順は、白色基準面232及び黄色基準面234の移動範囲と読取領域との関係に応じて定まる。
上記図8及び図11に示した場合では、各図における左側(図2における内蔵イメージセンサ200の奥側)の方が、各図における右側(図2における内蔵イメージセンサ200の手前側)よりも、画像形成領域外となる移動範囲が広い。これに対して、図12に示すように、図12における右側(図2における内蔵イメージセンサ200の手前側)が、図12における左側(図2における内蔵イメージセンサ200の奥側)よりも、画像形成領域外となる移動範囲が広い場合は、白色基準面232及び黄色基準面234の配置は、図3、図8、及び図11に示した場合と逆になる。すなわち、白色基準面232を図2における内蔵イメージセンサ200の奥側に、黄色基準面234を内蔵イメージセンサ200の手前側に、主走査方向に並んで配置する。
この場合も、図12に示すように、白画像432により照度の導出が可能な白色基準照度導出可能領域には画像形成領域が全て含まれ、照度が0とされる白色基準照度導出不可領域には画像形成領域が含まれない。そのため、画像形成領域に応じた適切なシェーディング補正用プロファイルが作成される。
[第2実施形態]
第1実施形態では、シェーディング補正の精度が色味補正の精度よりも優先される場合について説明したが、本実施形態では、色味補正の精度をシェーディング補正の精度よりも優先する場合について説明する。
本実施形態の画像形成装置10は、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション部230における、白色基準面232及び黄色基準面234の配置順が第1実施形態と異なる他は、同様の構成であるため、同様の構成については説明を省略する。
図13に一例を示すように、本実施形態のキャリブレーション部230では、白色基準面232を図2における内蔵イメージセンサ200の奥側(図13における左側)に、黄色基準面234を内蔵イメージセンサ200の手前側(図13における右側)に、主走査方向に並んで配置されている。
なお、この場合における画像形成領域と移動範囲との関係は、図8に示した場合と同様に、図13における左側(図2における内蔵イメージセンサ200の奥側)の方が、図13における右側(図2における内蔵イメージセンサ200の手前側)よりも、画像形成領域外となる移動範囲が広い。
本実施形態の内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション処理全体の流れは、第1実施形態のキャリブレーション処理(図7参照)と同様であるが、ステップS108で実行されるシェーディング補正用プロファイル作成処理が第1実施形態のシェーディング補正用プロファイル作成処理(図9参照)と異なる。そのため、図14を参照して、本実施形態におけるシェーディング補正用プロファイル作成処理について説明する。
図14に示すように、本実施形態の制御装置20が読取信号処理部350のシェーディング補正部358に実行させるシェーディング補正用プロファイル処理は、ステップS212の処理の後にステップS214の処理を実行する点で、第1実施形態と異なっている。
ステップS214でシェーディング補正部358は、上記ステップS206により照度の値として0が対応付けられている座標xに、0に代わって対応付ける照度の値を補完した後、本シェーディング補正用プロファイル作成処理を終了する。
本実施形態では、図8を参照して説明した第1実施形態における黄画像434の場合と同様に、図13に示すように、画像形成領域の停止位置側の端部の白画像432は、副走査方向の長さが上記最大値よりも短いため、座標xの照度の値が0となる。照度の値が0となる画像形成領域が存在するため、照度の値として0が対応付けられている座標xに、0に代わって対応付ける照度の値の補完を行う。
照度を補完する方法としては、例えば、画像形成装置10の出荷前等に、読取領域の幅以上の幅を有する白色基準面に基づいて、画像形成領域の停止位置側の端部の照度を予め導出して記憶しておき、記憶しておいた当該照度を補完に用いる方法を適用してもよい。また例えば、画像形成領域の停止位置側の端部と、主走査方向において対称となる画像形成領域の初期位置側の端部の照度を補完に用いる方法を適用してもよい。
なお、色味補正用プロファイルの作成に関しては、一例として図13に示すように、黄画像434により色度が導出される座標xの領域である黄色基準色度導出可能領域には画像形成領域が全て含まれる。一方、色度が0とされる(色度が導出できない)座標xの領域である黄色基準色度導出不可領域には画像形成領域が含まれない。そのため、画像形成領域に応じた適切な色味補正用プロファイルが作成される。
従って、本実施形態の内蔵イメージセンサ200によれば、白色基準照度導出可能領域は画像形成領域の一部を含み、黄色基準色度導出可能領域は画像形成領域の全てを含むため、色味補正の精度がシェーディング補正の精度よりも高くなる。そのため、本実施形態の内蔵イメージセンサ200によれば、色味補正の精度がシェーディング補正の精度よりも優先される。
なお、本実施形態においても、第1実施形態において上述したように、白色基準面232及び黄色基準面234を移動させる主走査方向の向きについては、特に限定されない。また、第1実施形態において上述したように、白色基準面232及び黄色基準面234の主走査方向の配置順は、移動範囲と読取領域との関係によって定められる。
以上説明したように、上記各実施形態の画像形成装置10の内蔵イメージセンサ200は、記録媒体Pが搬送される副走査方向と交差する主走査方向に並んで配置され、各々の主走査方向の幅が記録媒体Pの画像形成領域の主走査方向の幅よりも狭い第1色基準部及び第2色基準部を有するキャリブレーション部230と、記録媒体Pの画像形成領域を移動するキャリブレーション部230に対して光を照射するランプ212と、第1基準部及び第2基準部が画像形成領域外の一方に位置する第1状態から、画像形成領域を経て第1色基準部が画像形成領域外の他方に位置し、かつ第2色基準部の少なくとも一部が画像形成領域内に位置する第2状態まで、または、第2状態から画像形成領域を経て第1状態まで、キャリブレーション部230を主走査方向に移動させる移動部250と、キャリブレーション部230が移動中に、ランプ212により照射され、第1色基準部及び第2色基準部により反射された光を検出するCCDセンサ204と、を備える。
また、上記各実施形態の画像形成装置10の内蔵イメージセンサ200は、キャリブレーション部230と、ランプ212と、キャリブレーション部230を、ランプ212により光が照射される領域を主走査方向に移動させる移動部250と、キャリブレーション部230が移動部250により移動された状態で、ランプ212により照射され、画像形成領域に対応する第1領域において第1色基準部により反射された光を検出し、画像形成領域の一部の領域に対応する第2領域において第2色基準部により反射された光を検出するCCDセンサ204と、を備える。
当該校正を有することにより、上記各実施形態の内蔵イメージセンサ200によれば、装置の大型化を抑制しつつ、記録媒体P上に形成された画像を読み取った画像信号に対する補正を適切に行うことができる。
上記各実施形態では、白色基準面232及び黄色基準面234の幅が、画像形成領域や読取領域の幅よりも狭いため、画像形成領域や読取領域の以上の幅を有する白色基準面や黄色基準面を備える場合に比べて、装置を小型化することができる。
また、ランプ212のLEDチップの色味がバラつかないように色味が均一なLEDチップを選別することにより色味のバラつきを抑制する場合があるが、上記各実施形態、特に第2実施形態では、LEDチップの選別を厳密に行わなくとも、色味の補正の精度を高め、適切に補正を行うことができる。そのため、LEDの選別を不要とすることや、選別する際の色味を均一とみなす許容範囲を広げること等ができるようになる。これにより、内蔵イメージセンサ200に係るコストを抑制することができる。
また、第1実施形態では、第1色基準部の色を無彩色とし、第2色基準部の色を有彩色としているため、精度が高いシェーディング補正を行うためのシェーディング補正用プロファイルを生成するための情報を得ることができる。
また、第2実施形態では、第1色基準部の色を有彩色とし、第2色基準部の色を無彩色としているため、精度が高い色味の補正を行うための色味補正用プロファイルを生成するための情報を得ることができる。
なお、上記各実施形態において上述したように、読取信号処理部350では、シェーディング補正部358によるシェーディング補正を行った後に、色補正部362による色味の補正が行われる。そのため、シェーディング補正を色味の補正よりも優先する場合の方が、色味の補正精度も高くなるため、好ましい。
なお、上記各実施形態では、シェーディング補正用の基準面の色を白色とした白色基準面232、及び色味補正用の基準面の色を黄色とした黄色基準面234を用いた場合を説明したが、各補正用の基準面の色はこれに限定されない。シェーディング補正用の基準面の色は、無彩色であればよい。また、色味補正用の基準面の色は、有彩色であればよい。
また、上記各実施形態では、制御装置20が制御回路100を介して移動部250を制御する形態について説明したが当該形態に限らず、制御回路100が移動部250を直接、制御してもよい。また、上記各実施形態では、制御装置20が読取信号処理部350を制御する形態について説明したが当該形態に限らず、制御回路100が読取信号処理部350を制御してもよい。
また、読取領域は、上記各実施形態で例示した形態に限定されない。読取領域は、画像形成領域を全て含めばよく、例えば、読取領域と画像形成領域とがほぼ同じ幅であってもよい。また、上記各実施形態では、読取領域と移動範囲とが同様である形態について説明したが、読取領域と移動範囲との関係は当該形態に限定されない。例えば、読取領域の幅は、移動範囲よりも狭くてもよい。
なお、本実施形態は、本発明の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。