以下、図面を参照して、本発明を実施するための実施の形態の一例について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10の概略構成を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10に設けられた内蔵イメージセンサの一例を示す図である。
(全体構成)
本実施の形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像及び白黒画像を選択的に形成するものであり、図1に示すように、第1筐体10Aと、第1筐体10Aに接続された第2筐体10Bと、を備えている。第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から供給される画像データに対して画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが設けられている。
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)が例示される。また、以下の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、符号としての数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14に対応するように設けられている。
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40(40V、40W、40Y、40M、40C)は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを後述の像保持体18(18V、18W、18Y、18M、18C)へ照射するように構成されている。
各画像形成ユニット16は、一方向に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤の一例であるトナーで現像する現像装置と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去するブレードと、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置とが設けられている。なお、スコロトロン帯電器、現像装置、ブレード、及び除電装置は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
また、各画像形成ユニット16の下側には、転写部32が設けられている。転写部32は、各像保持体18と接触する環状の中間転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を中間転写ベルト34に多重転写させる一次転写ロール36とを含んで構成されている。
中間転写ベルト34は、モータ(図示省略)で駆動される駆動ロール38と、中間転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数の巻掛ロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
各一次転写ロール36は、中間転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー画像が中間転写ベルト34に転写されるようになっている。
中間転写ベルト34を挟んで駆動ロール38の反対側には、ブレードを中間転写ベルト34に接触させて、中間転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去する除去装置46が設けられている。
転写部32の下方には、用紙等の媒体の一例としての記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が複数設けられている。記録媒体収容部48の各々は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における正面視右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、制御手段(図示省略)の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
記録媒体収容部48と転写部32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における正面視左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における正面視右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込めるようになっている。
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対の巻掛ロール72に巻き掛けられている。一対の巻掛ロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着手段の一例である定着ユニット82が設けられている。
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
図1に示されるように、定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。
搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数の巻掛ロール118とに巻き掛けられている。
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
さらに、ヒートシンク122から熱を奪い熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数の巻掛ロール132に巻き掛けられている。
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等を検出する内蔵イメージセンサ200が設けられている。なお、内蔵イメージセンサ200については、詳細を後述する。
内蔵イメージセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
一方、両面に画像を形成させる場合は、内蔵イメージセンサ200から送出された記録媒体Pは、内蔵イメージセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス194Cが設けられている。
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって中間転写ベルト34に順次多重転写される。
中間転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
記録媒体P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
湾曲が矯正された記録媒体Pは、内蔵イメージセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、内蔵イメージセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V・16W、露光装置40V・40W、トナーカートリッジ14V・14W、一次転写ロール36V・36W)は、ユーザの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着自在に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品のみを有する構成としてもよい。
次に、内蔵イメージセンサ200について説明する。
以下の説明では、画像形成装置10の長さ方向(記録媒体Pの搬送方向である副走査方向)をX方向、装置の高さ方向をY方向、装置の奥行き方向(主走査方向)をZ方向ということとする。
(内蔵イメージセンサの基本構成、機能)
図2に示されるように、内蔵イメージセンサ200は、画像が記録された記録媒体Pに向けて光を照射する照射部202と、照射部202から照射されて記録媒体Pで反射された光をCCDセンサ204に結像する結像光学系206を備えた結像部208と、内蔵イメージセンサ200の使用時やキャリブレーション時の各種基準等が設けられた設定部210とを備えている。なお、本実施の形態では、読取手段の一例であるCCDセンサ204として、を主走査方向及び副走査方向の各々に直交するY方向(鉛直方向)に受光素子(例えばフォトダイオード)を一次元配列して構成された一次元イメージ・センサを適用しているが、これに限らず、二次元イメージ・センサであっても良い。
照射部202は、記録媒体Pの搬送経路60の上側に配置されており、一対のランプ212を有する。各ランプ212は、Z方向に長手とされたキセノンランプであり、その照射範囲の長さは搬送される最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。一対のランプ212は、記録媒体Pにて反射されて結像部208に向かう光軸OA(設計上の光軸)に対し対称に配置されている。より具体的には、各ランプ212は、記録媒体Pへの照射角がそれぞれ45°以上50°以下となるように光軸OAに対し対称に配置されている。
詳細には、一対のランプ212は、記録媒体Pの搬送経路60に沿って並べられ、記録媒体Pの搬送方向の上流側に配置された第一ランプ212Aと、第一ランプ212Aに対して記録媒体Pの搬送方向の下流側に配置された第二ランプ212Bと、を備えている。そして、第一ランプ212A及び第二ランプ212Bから照射される光が、第一ランプ212Aと第二ランプ212Bとの間の搬送経路60上の透明なウィンドウガラス286の照射位置Dに照射されるように構成されている。
また、結像光学系206は、光軸OAに沿って導かれた光をX方向(この実施形態では記録媒体Pの搬送方向下流側)に反射する第1ミラー214と、第1ミラー214が反射した光を上向きに反射する第2ミラー216と、第2ミラー216が反射した光を記録媒体Pの搬送方向上流側に反射する第3ミラー218と、第3ミラー218が反射した光をCCDセンサ204に集光(結像)するレンズ220と、を主要部として構成されている。CCDセンサ204は、光軸OAに対し記録媒体Pの搬送方向上流側に配置されている。
第1ミラー214のZ方向の長さは、最大の記録媒体Pの幅よりも大とされている。そして、第1ミラー214〜第3ミラー218は、結像光学系206に入射された記録媒体Pの反射光をそれぞれZ方向(主走査方向)に絞りながら(集光しつつ)反射するようになっている。これにより、略円柱状のレンズ220に対し記録媒体Pの幅方向各部からの反射光を入射させる構成である。
内蔵イメージセンサ200は、CCDセンサ204が、結像された光すなわち画像濃度に応じた信号を、画像形成装置10の制御装置20(図1参照)に出力(フィードバック)するように構成されている。制御装置20は、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する処理を実施する。画像を補正する処理の一例としては、内蔵イメージセンサ200から入力された信号に基づく露光装置40による照射光の強度、画像の形成位置などの補正が挙げられる。
また、結像光学系206における第3ミラー218とレンズ220との間には、光量絞り部224(224L、224S、224U))が設けられている。光量絞り部224は、光路をZ方向に横切ってCCDセンサ204に結像する光の光量をY方向(主走査方向との交差方向)に絞ると共に、外部から操作することで光量絞り量を調整自在に構成されている。光量絞り部224による光量絞り量は、経時により各ランプ212の発光量が変化してもCCDセンサ204に結像される光量が予め定めた量以上となるように調整されるようになっている。
一方、設定部210は、Z方向に長手の基準ロール226を備えている。基準ロール226は、記録媒体Pの画像検出を行う際に搬送経路60側に向けられる検出基準面228と、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に搬送経路側に向けられる退避面230と、白色基準面232と、多色のパターンが長手方向に沿って形成されたカラー基準面234と、複数の検査パターンが形成された複合検査面236と、を有する。この実施形態では、基準ロール226は、周方向に8面以上の面が形成された多角形筒状に形成されている。検出基準面228、退避面230、カラー基準面234、及び複合検査面236は各一面だけ設けられ、白色基準面232は2面設けられている。
基準ロール226は、回転軸226A周りに回転することで、搬送経路60側に向けるべき面を切り替える構成とされている。この基準ロール226の面の切替は、回路基板262に設けられた制御回路100によって行われる。また、基準ロール226は、八角形以上の多角形筒状に形成されることで、各面の周方向中央と面間の角部との回転中心に対する距離差が小さく抑えられている。これにより、基準ロール226の各面と各ランプ212の照射位置(ウインドウガラス286)との距離を小さく抑えながら、基準ロール226の面間の角部が照射部202と干渉しない構成とされている。
検出基準面228は、周方向の幅が他の面よりも小とされており、その周方向両側の面は上記した各基準としての機能を有しない案内面238とされている。検出基準面228は、搬送される記録媒体Pの被検出(被読み取り)面を各ランプ212による照射位置に位置決めする位置基準面とされている。
退避面230は、周方向の幅が他の面よりも大とされている。この退避面230は、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合に、記録媒体Pを案内する案内面であり、検出基準面228よりも回転軸226Aの軸心からの距離が小とされている。これにより、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行わない場合には、内蔵イメージセンサ200による記録媒体Pの画像検出を行う場合よりも、照射部202(ウィンドウガラス286)との間隔が広い搬送経路が形成されるようになっている。
白色基準面232は、照明部202と結像光学系206のキャリブレーション用であり、予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準の白色フィルムが貼着されて構成されている。カラー基準面234は、照明部202と結像光学系206のキャリブレーション用であり、各色に応じて予め定められた信号が結像光学系206から出力される基準色のパターンが施されたフィルムが貼着されて構成されている。
複合検査面236は、基準ロール226の回転方向(記録媒体Pの搬送方向)の位置をキャリブレーションするための位置調整パターンと、フォーカス検出パターンと、深度検出パターンとが同一面に配置されて形成されている。
図3は、本実施の形態に係る照明部202及びその周辺の構成を示す斜視図である。図3に示すように、照明部202は、ランプ212の光を記録媒体Pに向けて透過させるウィンドウガラス286を備えている。ウィンドウガラス286は、基準ロール226とは別に設けられた白基準であるサイドリファレンス286Aを有している。ウィンドウガラス286において、ランプ212から光が照射される照射領域は、設定部210上で記録媒体Pの画像形成領域が通過する領域に重なる領域であって、搬送経路60上の記録媒体Pに形成された画像がCCDセンサ204によって読み取られる領域として予め定められた領域(画像読取領域)と、サイドリファレンス286Aが配置された領域(サイドリファレンス領域)と、を含んで構成されている。サイドリファレンス領域は、画像読取領域に主走査方向(Z方向)に隣接しており、CCDセンサ204による読取対象領域とされている。従って、CCDセンサ204による画像読取領域に対する読み取りが実施される時期に併せてサイドリファレンス286Aに対する読み取りも実施される。また、サイドリファレンス領域は、記録媒体Pに形成された画像(画像形成領域)と重ならない位置に存在するため、記録媒体Pが内蔵イメージセンサ200を通過している間に画像に含まれるトナーの付着が抑制される。よって、仮にサイドリファレンス286Aが透光性を有する白色板であったとしてもサイドリファレンス286Aにトナーが付着することによって光の反射率が低下するという事態の発生が抑制される。
(制御装置の概略構成)
図4は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10における制御装置20の概略構成を示すブロック図である。
制御装置20は、上述したように、内蔵イメージセンサ200からの信号に基づいて、画像形成ユニット16において形成される画像を補正する機能を備えている。また、制御装置20は、内蔵イメージセンサ200のキャリブレーション(例えば、上述のCCDセンサ204のキャリブレーション等)を制御する機能も備えている。
制御装置20は、具体的には、図4に示すように、画像形成装置10の全体の動作を司るCPU20A、各種処理プログラムや各種パラメータなどが予め記憶されたROM20B、CPU20Aによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM20C、外部装置との情報の授受を行うための入出力ポート20D、及び各種情報を記憶するために用いられる二次記憶部(ここでは、一例としてフラッシュメモリ)二次記憶部20Fを備えており、それぞれがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス20Eを介して互いに接続されている。
入出力ポート20Dには、センサ29、ユーザ・インタフェース(UI)パネル30、ランプ212及び制御回路100が接続されている。センサ29は、画像形成装置10に設けられている消耗品であって、画像形成装置10による画像形成処理で用いられる消耗品(例えば、トナーカートリッジ14、露光装置40、又は搬送ベルト108など)に対して予め定められた取り扱いが実施されたことを検知するものである。「予め定められた取り扱い」の一例としては、「新しいものに交換する」という行為、「修理する」という行為、「トナーを補充する」という行為などが挙げられ、画像形成処理によって記録媒体Pに形成される画像に係る画質に何らかの影響を及ぼすあらゆる行為を含む概念を意味する。なお、本実施の形態ではセンサ29として、消耗品が交換されたことを検知するセンサを適用しており、センサ29には、例えば、トナーカートリッジ14が取り外されて新品のものが取り付けられたことを検知するセンサ、露光装置40が取り外されて新品のものが取り付けられたことを検知するセンサ、及び搬送ベルト108が取り外されて新品のものが取り付けられたことを検知するセンサなどが含まれる。
UIパネル30は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより情報や指示が受け付けられる。なお、本実施の形態では、UIパネル30を適用した形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、液晶ディスプレイなどの表示部とテンキーや操作ボタンなどが設けられた操作部とが別々に設けられた形態としてもよい。
ランプ212は、内蔵イメージセンサ200によって画像の読み取りを行うための光を照射し、制御装置20によってそのオンオフ(光の照射または非照射)が制御される。
制御回路100は、上述したように、基準ロール226の面の切り替えを制御し、制御装置20の指示に基づいて制御回路100に接続された基準ロール回転モータ22の駆動を制御する。また、制御回路100は、制御装置20の指示に従って内蔵イメージセンサ200の各種キャリブレーション(例えば、CCDセンサ204出力の上下限値の調整、照明分布の補正、CCDセンサ204の読み取り値の補正等)を行うようになっている。
次に、電源投入時に実施される内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションについて説明する。
内蔵イメージセンサ200のキャリブレーションとしては、CCDセンサ204の出力上下限値の調整を行うオフセット及びゲイン調整、白基準の読み取り画像のプロファイルを基に読み取り画像の照明分布を補正するシェーディング補正、並びに色校正板の色パッチを読み取り、CCDセンサ204の読み取り値を補正するCCDキャリブレーション等を行う。
これらのキャリブレーションの手順の一例としては、例えば、先ず、白色基準面232を記録媒体Pの搬送経路60に向け、CCDセンサ204の白基準面232の読み取り結果に基づいて、オフセット及びゲイン調整を行った後に、Z方向(主走査方向)の光量分布を補正する(シェーディング補正)を行う。
続いて、複合検査面236が記録媒体Pの搬送経路60に向けられ、位置調整パターンにより、記録媒体Pの搬送方向のCCDセンサ204による検出位置が調整される。
そして、記録媒体Pの搬送方向の検出位置が調整された後に、フォーカス検出パターンによりCCDセンサ204の焦点が確認されると共に、深度検出パターンにより照明深度が確認される。また、カラー基準面234を記録媒体Pの搬送経路60に向けることで、CCDセンサ204は、各色において、予め定められた信号が出力されるように調整される。
更に、本実施の形態に係る画像形成装置10では、画像形成処理で記録媒体Pに検査用画像(いわゆるテストチャート)を形成し、記録媒体Pに形成された検査用画像及びサイドリファレンス286Aを読み取って得た結果に基づいて画像形成装置10の画像形成処理に係る画質調整用のパラメータ(以下、「画質調整値」という。)を導出する。そして、導出された画質調整値を画像形成装置10に対して設定することで画像形成装置10は設定された画質調整値に基づいて記録媒体Pに画像を形成することになる。
なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、画像形成装置10には出荷時に初期設定値として予め定められた画質調整値(デフォルト値)が設定されており、出荷後、画像形成装置10に設けられている消耗品であって、画像形成処理で用いられる消耗品に対して予め定められた取り扱いが実施された場合に画質調整値が更新される。
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、消耗品に対して予め定められた取り扱いが実施された場合に検査用画像をCCDセンサ204により読み取って得られた検査用画像情報に基づいて画質調整値を更新する画質調整値更新処理が実行される。この画質調整値更新処理を実現するためにROM20Bには画質調整値データベース及び検査用画像データベースが予め格納されている。
図5には、本実施の形態に係る画像形成装置10が有する画質調整値データベースの一例である画質調整値データベース270が模式的に示されている。図5に示すように、画質調整値データベース270は、CCDセンサ204により検査用画像を読み取って得られた検査用画像情報と読取対象とされた検査用画像に相当する基準画像を示す基準画像情報との差分の範囲と差分の範囲に対して一意に定められた画質調整値とを含んで構成されている。図5に示す例では、差分a以上差分b未満の範囲に対して画質調整値αが、差分b以上差分c未満の範囲に対して画質調整値βが、差分c以上差分d未満の範囲に対して画質調整値γが各々対応付けられて構成された画質調整値データベース270が示されている。なお、本実施の形態において、基準画像情報はROM20Bに予め格納されているものとする。
図6には、本実施の形態に係る画像形成装置10が有する検査用画像データベースの一例である検査用画像データベース272が模式的に示されている。図6に示すように、検査用画像データベース272は、画像形成処理で用いられる消耗品の名称を示す消耗品名情報と、検査用画像を示す検査用画像情報と、を含んで構成されている。ここでは、検査用画像情報の一例として、階調補正に用いられる検査用画像を示す階調補正用画像情報と、面内むら補正に用いられる検査用画像を示す面内むら補正用画像情報と、アライメント補正に用いられる検査用画像を示すアライメント補正用画像情報と、が挙げられており、消耗品名情報毎に、階調補正用画像情報、補正用画像情報、及びアライメント補正用画像情報が対応付けられている。階調補正用画像情報、補正用画像情報、及びアライメント補正用画像情報は消耗品名情報毎に一意に定められている。図6に示す例では、階調補正用画像情報として検査用画像A1,A2を示す画像情報が、面内むら補正用画像情報として検査用画像Bを示す画像情報が、アライメント補正用画像情報として検査用画像Cを示す画像情報が各々示されている。そして、各色トナーを含むトナーカートリッジ14(図6に示す「トナー」)に対して、検査用画像A1,A2の各々を示す画像情報、検査用画像Bを示す画像情報、及び検査用画像Cを示す画像情報が対応付けられた例が示されている。また、露光装置40に対して、検査用画像A1を示す画像情報、検査用画像Bを示す画像情報、及び検査用画像Cを示す画像情報が対応付けられた例が示されている。更に、搬送ベルト108に対して、検査用画像Cを示す画像情報が対応付けられた例が示されている。
なお、本実施の形態では、検査用画像A1の一例として200lpi(lines/inch)のドットでの網点(クラスタードット)のスクリーンパターンに関する階調補正用の検査用画像を、検査用画像A2の一例として300lpiのドットでの網点のスクリーンパターンに関する階調補正用の検査用画像を各々適用している。図7には網点のスクリーンパターンに関する階調補正用の検査用画像、面内むら補正用の検査用画像、及びアライメント補正用の検査用画像の一例が示されている。
本実施の形態に係る画像形成装置10では、画質調整値更新処理を実現するための各種処理がソフトウェア構成によって実現される。その一例としては、コンピュータを利用してプログラムを実行する形態が挙げられる。しかし、このようなソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現しても良いことは言うまでもない。
以下では、本実施の形態に係る画像形成装置10のCPU20Aが画質調整値更新処理プログラムを実行することにより画質調整値更新処理を実現する場合について説明する。この場合、画質調整値更新処理プログラムをROM20Bに予め記憶させておく形態や、記憶内容がコンピュータによって読み取られる記録媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等を適用しても良い。
図8は、画像形成装置10の電源が投入された際に画像形成装置10のCPU20Aによって実行される画質調整値更新処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、画像形成装置10に対して更新対象とされる画質調整値が設定されている場合について説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、画像形成装置10による画像形成処理で用いられる消耗品が交換される場合について説明する。
図8のステップ300では、画像形成処理で用いられる消耗品が交換された場合に強制的に画質調整値を更新するか否かをユーザに指定させるための更新処理指定画面をUIパネル30に表示した後、ステップ302に移行する。図9にはUIパネル30に表示された更新処理指定画面の一例である更新処理指定画面30Aが示されている。図9に示す例では、UIパネル30のディスプレイに「消耗品を交換したら自動的に画質調整値を更新しますか?」とのメッセージが表示され、かつ「はい」及び「いいえ」の各プッシュ式ボタンが表示された更新指定画面30Aが示されている。ここで、「はい」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されることで、消耗品が交換された場合に強制的に画質調整値を更新する処理(強制更新処理)が指定され、「いいえ」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されることで、消耗品が交換された場合に強制的に画質調整値を更新しない処理(非強制更新処理)が指定される。
ステップ302では、更新処理指定画面30Aが表示されている間に強制更新処理が指定された否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ304に移行し、強制更新処理を実行した後、本画質調整値更新処理プログラムを終了する。
一方、ステップ302において否定判定となった場合にはステップ306に移行し、更新処理指定画面30Aが表示されている間に非強制更新処理が指定されたか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ308に移行し、非強制更新処理を実行した後、本画質調整値更新処理プログラムを終了する。
一方、ステップ306において否定判定となった場合にはステップ310に移行し、更新処理指定画面30Aが表示されている間に本画質調整値更新処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、ステップ300の処理の実行が終了してから所定時間(例えば30秒)経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ302に戻る一方、肯定判定となった場合には本画質調整値更新処理プログラムを終了する。
次に、上記の強制更新処理を実現するための形態例について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置10では、強制更新処理プログラムを実行することにより強制更新処理を実現する。
図10は、画像形成装置10のCPU20Aによって実行される強制更新処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10のステップ350では、画像形成処理で用いられる消耗品の交換待ちを行う。センサ29によって消耗品が交換されたことが検知されると、ステップ350は肯定判定となってステップ352に移行する。ステップ352では、センサ29によって交換が検知された消耗品に対応する検査用画像情報を検査用画像データベース272から取得し、取得した検査用画像情報により示される検査用画像(ここでは一例として階調補正に用いられる検査用画像A1)を記録媒体Pに形成した後、ステップ354に移行する。上記ステップ356の処理で検査用画像が形成された記録媒体Pは定着ユニット82の定着部Nに向けて搬送される。
ステップ354では、定着ユニット82で定着処理が実施される位置として予め定められた位置(ここでは一例として定着部N)に到達するまで待機した後、ステップ356に移行する。ステップ356では、定着ユニット82により定着処理を実施した後、ステップ358に移行する。上記ステップ356の処理で定着ユニット82によって検査用画像が定着された記録媒体Pは内蔵イメージセンサ200に向けて搬送される。
ステップ358では、記録媒体Pの検査用画像が内蔵イメージセンサ200による読み取りが実施される位置として予め定められた画像読取位置に到達するまで待機した後、ステップ360に移行する。ステップ360では、内蔵イメージセンサ200のCCDセンサ204により記録媒体Pの検査用画像を読み取る処理を実施した後、ステップ362に移行する。このように、本実施の形態に係る画像形成装置10では、検査用画像の読み取りを定着処理後に実施しているので、定着処理前に検査用画像の読み取りを実施する場合に比べ、高精度なデータが得られる。なぜならば、検査用画像の定着処理前の読み取りは、定着後の発色性や記録媒体Pの伸縮などの影響が加味されたデータとならないのに対し、定着後の読み取りは、それらの影響も加味されるからである。
ステップ362では、上記ステップ360の処理で読み取って得られた検査用画像情報と基準画像情報との差分を算出する。ここで、検査用画像情報と基準画像情報の一例としては、検査用画像の特徴量と基準画像の特徴量との差分が挙げられる。次のステップ364では、ステップ364に移行し、画質調整値データベース270から、上記ステップ362の処理で算出された差分に対応する画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値)を取得することにより導出する。なお、ここでは、画質調整値データベース270から画質調整値を取得する形態例を挙げているが、これに限らず、差分を代入することで画質調整値を解として導き出す演算式を用いて画質調整値を導出する形態を適用しても良い。
ステップ366では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値)と上記ステップ364の処理で導出された画質調整値との差分を算出した後、ステップ368に移行し、上記ステップ366の処理で算出された画質調整値の差分が、画質調整値の更新が必要である差分として予め定められた差分(閾値)を超えているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ370に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ372に移行する。
ステップ370では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値を上記ステップ364の処理で導出された画質調整値に置き換えることで更新した後、ステップ372に移行し、上記ステップ350の処理でセンサ29によって交換が検知された消耗品に対応する他の検査用画像情報が画質調整値データベース270に格納されていないか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ374に移行し、上記ステップ350の処理でセンサ29によって交換が検知された消耗品に対応する他の検査用画像情報(本強制更新処理において未だに記録媒体Pに形成されていない検査用画像を示す検査用画像情報)を画質調整値データベース270から取得し、取得した検査用画像情報により示される検査用画像を記録媒体Pに形成する処理を実行した後、上記ステップ354に戻る。一方、ステップ372において肯定判定となった場合には本強制更新処理プログラムを終了する。
次に、上記の非強制更新処理を実現するための形態例について説明する。本実施の形態に係る画像形成装置10では、非強制更新処理プログラムを実行することにより非強制更新処理を実現する。
図11,12は、画像形成装置10のCPU20Aによって実行される非強制更新処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11のステップ400では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値の更新を実施する指示を受け付ける更新指示受付画面をUIパネル30に表示した後、ステップ402に移行する。図13にはUIパネル30に表示された更新指示受付画面の一例である更新指示受付画面30Bが示されている。図13に示す例では、UIパネル30のディスプレイに「画質調整値を更新する場合はこのスタートボタンを押して下さい。」とのメッセージが表示され、かつ「スタート」及び「終了」との各プッシュ式ボタンが表示された更新指示受付画面30Bが示されている。ここで、「スタート」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されることで、画質調整値の更新の開始が指示され、「終了」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されることで、本非強制更新処理プログラムの終了が指示される。
ステップ402では、更新指示受付画面30Bが表示されている間に「スタート」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押された否か(画質調整値の更新の開始が指示された否か)を判定し、否定判定となった場合にはステップ404に移行し、本非強制更新処理プログラムを終了する条件として予め定められた条件(例えば、更新指示受付画面30Bが表示されてから所定時間(30秒)経過したとの条件、又は更新指示受付画面30Bが表示されている間に「終了」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されたとの条件)を満足した否かを判定し、否定判定となった場合には上記ステップ402に戻る一方、肯定判定となった場合には本非強制更新処理プログラムを終了する。
一方、ステップ402において肯定判定となった場合にはステップ406に移行する。ステップ406では、画像形成処理で用いられる消耗品の交換待ちを行う。センサ29によって消耗品が交換されたことが検知されると、ステップ406は肯定判定となってステップ408に移行する。ステップ408では、センサ29によって交換が検知された消耗品に対応する検査用画像情報を検査用画像データベース272から取得し、取得した検査用画像情報により示される検査用画像(ここでは一例として現時点で画像形成装置10に設定されているクラスタードット200lpiの階調補正に係る検査用画像A1)を記録媒体Pに形成する。検査用画像が形成された記録媒体Pは定着ユニット82の定着部Nに向けて搬送される。
ステップ410では、上記ステップ408の処理で検査用画像が形成された記録媒体Pが、定着ユニット82で定着処理が実施される位置として予め定められた位置(ここでは一例として定着部N)に到達するまで待機した後、ステップ412に移行する。ステップ412では、定着ユニット82により定着処理を実施した後、ステップ414に移行する。上記ステップ412の処理で定着ユニット82によって検査用画像が定着された記録媒体Pは内蔵イメージセンサ200に向けて搬送される。
ステップ414では、上記ステップ412の処理で記録媒体Pに定着された検査用画像が内蔵イメージセンサ200による読み取りが実施される位置として予め定められた画像読取位置に到達するまで待機した後、ステップ416に移行する。ステップ416では、内蔵イメージセンサ200のCCDセンサ204により記録媒体Pの検査用画像を読み取る処理を実施した後、ステップ418に移行する。
ステップ418では、上記ステップ416の処理で読み取って得られた検査用画像情報と基準画像情報との差分を算出した後、ステップ420に移行し、画質調整値データベース270から、上記ステップ418の処理で算出された差分に対応する画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値)を取得することにより導出する。
ステップ422では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値)と上記ステップ420の処理で導出された画質調整値との差分を算出した後、ステップ424に移行し、上記ステップ422の処理で算出された画質調整値の差分が、画質調整値の更新が必要である差分として予め定められた差分(閾値)を超えているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ426に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ456に移行する。
ステップ426では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値を上記ステップ420の処理で導出された画質調整値に置き換えることで更新した後、ステップ428に移行する。ステップ428では、検査用画像データベース272において上記ステップ408の処理で記録媒体Pに形成された検査用画像を示す検査用画像情報と関連するカテゴリー(例えば階調補正のカテゴリー)内に本非強制更新処理で未だに用いられていない他の検査用画像情報が存在しているか否かを判定する。例えば、上記ステップ408の処理によって記録媒体Pに検査用画像A1が形成された場合には本ステップ428では検査用画像データベース272に他の階調補正用画像情報(ここでは一例として検査用画像A2を示す画像情報)が存在しているか否かを判定する。
ステップ428において否定判定となった場合にはステップ456に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ430に移行する。ステップ430では、検査用画像データベース272から、上記ステップ408の処理で記録媒体Pに形成された検査用画像を示す検査用画像情報と関連するカテゴリー内の他の検査用画像情報を取得し、取得した検査用画像情報により示される検査用画像(ここでは一例として現時点で画像形成装置10に設定されているクラスタードット200lpi以外のクラスタードットであるクラスタードット300lpiの階調補正に係る画質調整値を更新するための検査用画像)である関連検査用画像を記録媒体Pに形成した後、ステップ432に移行する。上記ステップ430の処理で関連検査用画像が形成された記録媒体Pは定着ユニット82の定着部Nに向けて搬送される。
ステップ432では、上記ステップ430の処理で関連検査用画像が形成された記録媒体Pが、定着ユニット82で定着処理が実施される位置として予め定められた位置(ここでは一例として定着部N)に到達するまで待機した後、ステップ434に移行する。ステップ434では、定着ユニット82により定着処理を実施した後、ステップ436に移行する。上記ステップ434の処理で定着ユニット82によって関連検査用画像が定着された記録媒体Pは内蔵イメージセンサ200に向けて搬送される。
ステップ436では、上記ステップ434の処理で記録媒体Pに定着された関連検査用画像が、内蔵イメージセンサ200による読み取りが実施される位置として予め定められた画像読取位置に到達するまで待機した後、ステップ438に移行する。ステップ438では、内蔵イメージセンサ200のCCDセンサ204により記録媒体Pの関連検査用画像を読み取る処理を実施した後、ステップ440に移行する。
ステップ440では、上記ステップ438の処理で読み取って得られた関連検査用画像情報と関連検査用画像に相当する基準画像を示す関連基準画像情報との差分を算出した後、ステップ442に移行し、画質調整値データベース270から、上記ステップ440の処理で算出された差分に対応する画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット300lpiの階調補正に係る画質調整値)を取得することにより導出する。なお、本実施の形態において、関連基準画像情報はROM20Bに予め格納されているものとする。
ステップ444では、画像形成装置10が現在有する画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット300lpiの階調補正に係る画質調整値)と上記ステップ442の処理で導出された画質調整値との差分を算出した後、ステップ446に移行する。ステップ446では、上記ステップ444の処理で算出された画質調整値の差分が、画質調整値の更新の必要がある差分として予め定められた差分(閾値)を超えているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ448に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ456に移行する。
ステップ448では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値以外の画質調整値の更新を促す更新推奨画面をUIパネル30に表示した後、ステップ450に移行する。図14にはUIパネル30に表示された更新推奨画面の一例である更新推奨画面30Cが示されている。図14に示す例では、UIパネル30のディスプレイに「他にも更新した方が良い画質調整値が存在しますが、更新しますか?」とのメッセージが表示され、かつ「はい」及び「いいえ」とのプッシュ式ボタンが表示された更新推奨画面30Cが示されている。ここで、「はい」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されることで、他の画質調整値の更新が指示され、「いいえ」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押されることで、他の画質調整値を更新しないことが指示される。
ステップ450では、更新推奨画面30Cが表示されている間に「はい」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押された否か(他の画質調整値の更新が指示された否か)を判定し、肯定判定となった場合にはステップ452に移行し、画像形成装置10が現在有する更新対象とされる画質調整値(ここでは一例としてクラスタードット300lpiの階調補正に係る画質調整値)を上記ステップ442の処理で導出された画質調整値に置き換えることで更新した後、ステップ456に移行する。
一方、ステップ450において否定判定となった場合にはステップ454に移行する。ステップ454では、更新推奨画面30Cが表示されている間に「いいえ」とのプッシュ式ボタンがUIパネル30のタッチパネルを介して押された否か(他の画質調整値を更新しないことが指示された否か)を判定し、否定判定となった場合にはステップ450に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ456に移行する。
ステップ456では、上記ステップ402の処理でセンサ29によって交換が検知された消耗品に対応する他の検査用画像情報が画質調整値データベース270に格納されていないか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ458に移行し、上記ステップ350の処理でセンサ29によって交換が検知された消耗品に対応する他の検査用画像情報(本強制更新処理において未だに記録媒体Pに形成されていない検査用画像を示す検査用画像情報)を画質調整値データベース270から取得し、取得した検査用画像情報により示される検査用画像を記録媒体Pに形成する処理を実行した後、上記ステップ410に戻る。一方、ステップ456において肯定判定となった場合には本非強制更新処理プログラムを終了する。
なお、本実施の形態では、関連検査用画像情報と関連基準画像情報との差分に対して一意に定められた画像調整値を画質調整値データベース270から取得し、取得した画像調整値と画像形成装置10が現在有する対応する画質調整値との差分が閾値を超えた場合に画質調整値を更新する形態例を挙げて説明したが、これに限らず、検査用画像情報と基準画像情報との差分に対して一意に定められた画像調整値と画像形成装置10に現在設定されている対応する画質調整値との差分(更新前後の変化分)に基づいて、関連検査用画像に係る画質調整値を推定し、推定した画質調整値を用いて他の画質調整値を更新するようにしても良い。以下、この場合の具体例について図15を参照しつつ説明する。
図15に示すフローチャートは、図11,12に示すフローチャートのステップ428〜ステップ458に代えて、ステップ500〜ステップ516を適用したものである。
図15のステップ500では、画像形成装置10が現時点で有する画質調整値(現在設定されている画質調整値以外の画質調整値)において、上記ステップ426の処理で更新された画質調整値に関連する他の画質調整値(関連画質調整値)が存在するか否かを判定する。例えば、上記ステップ426の処理で更新された画質調整値が検査用画像A1の階調補正に係る画質調整値(例えばクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値)であれば、本ステップ500では、検査用画像A2の階調補正に係る画質調整値(例えばクラスタードット300lpiの階調補正に係る画質調整値)が存在するか否かを判定する。つまり、上記ステップ426の処理で更新された画質調整値と相違しないカテゴリー内に他の画質調整値が存在するか否かを判定するということである。本ステップ500において否定判定となった場合にはステップ514に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ502に移行する。
ステップ502では、画像形成装置10に現在設定されている画質調整値を上記ステップ420の処理で導出された画質調整値に更新したときの前後の変化分に基づいて、関連画質調整値の更新に要する変化分を推定する。例えば、上記ステップ426の処理でクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値が更新されることによって、網点の面積率と濃度との相関関係がトナーカートリッジ14の交換前後(トナー交換前後)で図16の破線で示すように変化した場合、この変化分を表す特性値(例えば変化率)を算出することで、上記ステップ426の処理で更新された画質調整値に関連する他の画質調整値の更新に要する変化分を推定する。
次のステップ504では、上記ステップ502の処理で推定された変化分が、関連画質調整値の更新が必要である変化分として予め定められた変化分(閾値)を超えているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ506に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ514に移行する。ステップ506では、更新推奨画面30CをUIパネル30に表示した後、ステップ508に移行する。ステップ508では、上記ステップ450の処理に相当する処理を実行し、肯定判定となった場合にはステップ510に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ512に移行し、上記ステップ454の処理に相当する処理を実行した後、ステップ514に移行する。
ステップ510では、上記ステップ502の処理で推定された変化分に基づいて関連画質調整値を更新した後、ステップ514に移行する。上記ステップ510では、例えば、上記ステップ426の処理でクラスタードット200lpiの階調補正に係る画質調整値が更新されることによって網点の面積率と濃度との相関関係がトナーカートリッジ14の交換前後で図16の破線で示すように変化した場合の変化分の特性を表す特性値の一例である変化率を、画像形成装置10が現在有する関連画質調整値に乗じることで関連画質調整値を更新する。なお、上記ステップ510の処理で関連画質調整値が更新された結果の一例が図16において実線で示されている。ここでは、変化率を単に画像形成装置10が現在有する関連画質調整値に乗じることで更新を行う例を挙げているが、変化率に対して予め定められた係数を乗じて得た値を単に画像形成装置10が現在有する関連画質調整値に乗じることで更新を行っても良い。このように、既に更新済みの関連性の高い画質調整値の更新前後の変化分を用いて関連画質調整値を更新することで、関連画質調整値を更新するために関連検査用画像を形成する工程が省略される。従って、その分だけ早く本画像(検査用画像以外の画像)の形成が開始されることになる。
ステップ514では上記ステップ456の処理に相当する処理を実行し、否定判定となった場合にはステップ516に移行し、上記ステップ458の処理に相当する処理を実行し、肯定判定となった場合には本非強制更新処理プログラムを終了する。
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置10では、消耗品に対して予め定められた取り扱いが実施された場合に、記録媒体Pに形成され且つ定着された検査用画像をCCDセンサ204により読み取って得られた検査用画像情報と読取対象とされた検査用画像に相当する基準画像を示す基準画像情報との差分に基づいて、記録媒体Pに形成される画像の画質が基準画像の画質に近付くように制御を行っているので、画像形成処理で用いられる消耗品に対する予め定められた取り扱いの実施に伴う画質低下が抑制される。
また、本実施の形態に係る画像形成装置10では、消耗品に対して予め定められた取り扱いが実施された場合に、記録媒体Pに形成された検査用画像をCCDセンサ204により読み取って得られた検査用画像情報と読取対象とされた検査用画像に相当する基準画像を示す基準画像情報との差分に対して一意に定められており、記録媒体Pに形成される画像の画質を調整するために画像形成装置10に設定される画質調整値を導出し、画像形成装置10に現在設定されている対応する画質調整値を、導出された画質調整値に更新することにより画像形成装置10を制御しているので、画像形成処理で用いられる消耗品に対する予め定められた取り扱いの実施に伴う画質低下が簡易かつ高精度に抑制される。
また、本実施の形態に係る画像形成装置10では、更新対象とされた画質調整値の更新前後の変化分に基づいて、更新対象とされた画質調整値に関連する他の画質調整値の更新に要する変化分を推定し、推定された変化分に基づいて、他の該画質調整値を更新することにより画像形成装置10を制御しているので、画像形成装置10に対して他の画質調整値が設定された場合の消耗品に対する予め定められた取り扱いの実施に伴う画質低下が検査用画像の形成回数を増加させることなく抑制される。