JP6241333B2 - スロットカーテン塗布装置及びスロットカーテン塗布方法 - Google Patents
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Description
前記スロットカーテン塗布方法には、塗布液が自由落下する際に、カーテン膜両端のエッジガイド近傍で境界層と呼ばれる塗布液の流れが遅い部分が発生し、その流速差により、表面張力差が生じ、表面張力差起因によるマランゴニー流動によってカーテン膜両端近傍の塗布液が中心側に向かう現象を起こす。その状態で連続走行するウェブ上に衝突させながら塗布膜を形成させると、図1に示すように、塗布膜20の幅方向の端部に薄膜部20aが形成されてしまうという問題がある。
しかし、この方法では、塗布液の粘度が数10cpと比較的低い場合には効果があるが、粘度が高い液では境界層影響により、膜厚が不均一となる。更に、塗布液によって多孔質性材料が目詰まりを起こし、エッジガイド補助水の吐出が不均一となり、膜厚の不均一等による塗布欠陥を生じてしまう。
しかしながら、上記技術には、エッジガイド補助水が吐出口に直接流入する構造であるため、エッジガイド補助水が均一に吐出され難いという問題、補助水流下面が平面であることによって補助水が直線で落下せずカーテン膜が安定しないという問題、及び風による外乱によってカーテン膜が揺動するという問題がある。
さらに、粘着剤のような比較的粘度が高く、シェア減粘性が強い塗布液では、この境界層の影響によるスロットカーテン膜の厚膜化はより増大されてしまう。
特許文献6では、前記特許文献5と同様にカーテン流下方向へエッジガイド補助水を吐出しているが、こちらに関しては流路の吐出口直前湾曲部の半径Rの記載がなく、補助水の流路や吐出口の寸法や補助水の流下面の寸法から、粘着剤のような比較的粘度が高く、シェア減粘性が強い塗布液では、境界層抑制効果は大きくない。
また、表面張力の低い塗布液(35mN/m未満)を用いた場合に、風等の外乱に強いエッジガイドが提案されている(特許文献8)。
エッジガイド上面から補助水吐出口までの距離を短縮することで、エッジガイド近傍における境界層の影響を更に抑制する考えに至った。しかし、エッジガイド上面から補助水吐出口までの距離を短縮するためには、補助水の導入のための流路と密接に関わっているため、単に短縮することはできない。
エッジガイド上面からスリット部の厚みであるTを薄くするためには、剛性が課題であり、スリット部から補助水吐出口までの湾曲部の下部の曲率半径Rを小さくする背反として、遠心力により湾曲部での流路内の流れが急となり、流れに乱れが生じるという問題があった。また、スリット部の厚みSを小さくする背反として、レイノルズ数が大きくなり乱流になるという問題があった。
補助水を吐出する補助水吐出口を有し、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送される支持体上に案内する1対の案内手段と、
前記支持体を搬送する搬送手段と、を有し、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、
前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、
前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられている。
本発明のスロットカーテン塗布装置は、塗布液を吐出する塗布液吐出口を有する吐出手段と、補助水を吐出する補助水吐出口を有し、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送される支持体上に案内する1対の案内手段と、前記支持体を搬送する搬送手段と、を有するものであって、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられている。
ここで、前記湾曲部上部の最薄部とは、案内手段上面と湾曲部との間の距離が最も小さい部分を指す。
本発明のスロットカーテン塗布装置は、更に、必要に応じて適宜選択した、その他の手段を有する。
本発明のスロットカーテン塗布方法は、塗布液を塗布液吐出口から吐出する吐出工程と、補助水を吐出する補助水吐出口を有する1対の案内手段により、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送された支持体上に案内する案内工程と、前記支持体を搬送する搬送工程と、を含むものであって、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられている。
本発明のスロットカーテン塗布方法は、更に、必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
前記吐出手段は、塗布液を収容するマニホールド、及び塗布液を吐出する塗布液吐出口(スリット)を備える。
前記吐出工程は、塗布液を塗布液吐出口から吐出して、塗布液からなるカーテン膜を落下させる工程である。
前記塗布液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明では、アクリルエマルジョン系粘着剤を初めとする、疑塑性流体(下記参照)において、大きな効果を発揮することができる。
スロットダイ型カーテンでは、低シェアでの粘度が低い場合は、操業中において調整などで、塗布を一時中断する場合において、ダイのスリットから液だれが発生し、低シェア(シェアレート1sec−1)で3,000mPa・secを超えると、(1)液中の気泡が抜け難く、液中気泡による泡欠陥を生じたり、(2)塗布液の吐出圧が高くなるため、送液ポンプへの負荷が高くなり給液系の耐圧性が必要となる。
本発明では、低シェア(シェアレート1sec−1)での粘度η1が300mPa・sec未満である場合、塗布液の粘度が比較的低いため、境界層影響によるカーテン膜の薄膜化の割合が小さい。本発明のカーテン塗布装置のエッジガイドを用いなくとも、操業の上では問題ない。
前記粘度は、例えば、B型粘度計(製品名:ビスメトロンVS−A1、芝浦セムテック社製)や応力制御レオメータVAR−100型(Reologica社製)を用いて測定することができる。
前記表面張力が、20mN/m未満であると、膜自身の表面張力が弱いため、膜の引張りが弱く、風による外乱によって容易に膜が変形して揺れてしまう。また、表面張力が、40mN/mを超えると、カーテン膜が切れ上がりを生じる。
前記表面張力は、例えば、FACE自動表面張力計(協和界面科学社製)等を用いて、白金プレート法で、静的表面張力を測定することができる。また、Brown氏の文献「A study of the behavior of a thin sheet of moving liquid J.Fluid Mechanics,10:297−305」に記載されているように、カーテン膜に針状の異物を差し込むことによる膜の分裂角を測定することでカーテン膜の動的表面張力を測定することができる。
前記のカーテン膜の切れ上がりのメカニズムは、カーテン膜の動的表面張力と動圧のバランスにより生じることから、膜の動的表面張力を測定評価することが重要である。
前記塗布液吐出口の断面形状は、矩形断面である。
前記塗布液吐出口の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スリットの隙間が、0.2mm〜0.5mm程度であることが好ましい。
スリットの隙間は塗布液を幅方向に均一化させる機能を有し、その隙間の大きさは、「Slot Coating:Fluid mechanics and die design、Sartor、Luigi、Ph.D. University of Minnesota、1990」などに示されているように、ダイマニホールドの大きさ、形状及びマニホールドからスリット出口までの距離、第二マニホールドの有無とその位置によっても変わり、塗布液の流量や粘度によっても変わる。
塗布液に樹脂が含まれている場合であっても、目詰まりを防止できる点から、金属が好ましい。
吐出機構として用いられるスロットダイ型カーテンは、1層もしくは2層の塗布液を塗布する場合に用いられ、スリットが下向きであるため、塗布液の粘度が低い場合では、液だれを生じたり、液中の気泡がダイヘッドのマニホールド内に滞留する場合がある。しかし、スライドダイ型カーテンと比較して、塗布液の吐出速度が速いため、塗布液の動的表面張力と塗布液が落下する際の動圧(慣性力)との釣合いから、動的表面張力が大きい場合に切れ上がるというカーテン膜の切れ上がりのメカニズムを考慮すると、スロットダイ型カーテンは切れ上がり難い。また、スライド流下面のような、解放空間がないため、洗浄する際に容易であり、洗浄に使用する水等の洗浄液も少なく、塗布液の粘度が高い場合は、操業中の一時中断時も容易である。
前記塗布液の吐出する流量は、前記カーテン膜が形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。目的の流量を吐出し、カーテン膜が形成可能な、前記スリット及びマニホールド形状であれば問題はない。
前記支持体としては、塗布液を支持可能なものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の例としては、剥離紙、原紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。
前記搬送手段は、支持体を搬送する手段であり、前記搬送工程は、支持体を搬送する工程である。前記搬送手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、搬送ローラ、搬送ベルトなどが挙げられる。
案内手段は、エッジガイドとも称され、補助水を収容するマニホールド部、及びマニホールド部と補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられている。補助水は、マニホールド、スリット部の直線部、次いでスリット部の湾曲部を通り、吐出口より、概ね鉛直下向きに吐出され、カーテン膜に導入される。
案内工程は、補助水を吐出する補助水吐出口を有する1対の案内手段により、塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向におけるカーテン膜の両端部を支持して、搬送された支持体上に案内する工程である。
前記補助水としては、塗布液に応じて適宜選択する必要がある。補助水が塗布液を引張ることでカーテン膜をエッジガイドへと保持する効果、いわゆる調心性を発揮するため、表面張力を補助水が常に塗布液よりも高くなるようにする必要がある。例えば、水系ならば水、塗布液が溶剤系ならその溶媒、水や溶媒に樹脂、界面活性剤等を混合した調合液、などが挙げられる。
マニホールド部は、2段マニホールドでも1段マニホールドでもどちらでもよく、その大きさについては、「Slot Coating :Fluid mechanics and die design 、Sartor、Luigi、Ph.D. University of Minnesota、1990」などに示されているように、マニホールド部からスリット出口(補助水吐出口)までの距離、補助水の流量や粘度によっても変わる。
湾曲部の説明において、図2及び図3を参照する。図2は、本発明のスロットカーテン塗布装置における案内手段の湾曲部の形状を示す断面図である。図3は本発明のスロットカーテン塗布装置における案内手段の内部構造の一例を示す断面図である。
図2に示すように、湾曲部32上部の最薄部の厚みをTとし、湾曲部32の下部の曲率半径をRとし、スリット部のギャップをSとしたとき、スリット部における湾曲部は、その曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。曲率半径Rが0.5mm未満であると、湾曲部での遠心力影響により、流れに乱れが生じ、エッジガイド補助水が均一に吐出されず、境界層影響の抑制効果を発揮できない。曲率半径が3mmより大きい場合、エッジガイドの上面から補助水吐出口までの距離h(h=T+R+S)が5mmより大きくなり、境界層影響を抑制できない。
なお、案内手段の流路内の流動については、目視で確認できないため、数値解析(Fluent)を用いて評価している。
案内手段の上面から補助水吐出口までの距離hを短くするためには、前記湾曲部上部の最薄部Tの厚みを薄くすることが効果的である。しかし、湾曲部上部の最薄部の厚みTを薄くすることで前記マニホールド部とスリット部より上側の部分の剛性が低くなり、補助水の内圧による漏れや操業時の清掃等の取扱いにおいて破損してしまう可能性がある。
本発明では、前記マニホールド部とスリット部より上側の部分の剛性を保ったままTを薄くするため、スリット部の直線部の水平よりの傾きθを持たせることで、達成した。
所望する剛性を得るために必要な最薄部の厚みTを実現するためには、前記角度θは30°以上60°以下であることが好ましい。30°未満であると最薄部の厚みTを薄く出来ず、60°より大きい場合、スリット部の湾曲部の長さが長くなるため、清掃等の取扱いに問題が生じる可能性がある。
図2に示すように、前記スリット部のギャップSは、0.2mm以上0.5mm以下が好ましく、0.2mm以上0.4mm以下がより好ましい。前記ギャップSが、0.2mm未満であると、吐出口の内部の清掃が容易でなく、0.5mmを超えると、補助水の吐出均一性が損われることがある。
図6に示すように、前記補助水吐出口9の補助水の流下方向に関する最大間隔Gとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2mm以上0.5mm以下が好ましく、0.2mm以上0.4mm以下がより好ましい。
前記最大間隔Gが、0.2mm未満であると、吐出口の内部の清掃が容易でなく、0.5mmを超えると、補助水の吐出均一性が損われることがある。
前記最大幅wが、1.5mm未満であると、加工上の精度に問題が生じることがあり、4mmを超えると、補助水が全幅で均一に流れない場合がある。
前記補助水の導入速度としては、流下面を補助水が流れる範囲であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4m/秒間〜2.1m/秒間が好ましく、0.8m/秒間〜1.6m/秒間がより好ましい。
前記補助水の導入速度が、0.4m/秒間未満であると、境界層が発生することがあり、2.1m/秒間を超えると、補助水が斜め下方に導入されることがある。
補助水流下溝(凹部)について、図6及び図7を参照して説明する。図6に、本発明のスロットカーテン塗布装置における案内手段の一例の正面図を示す。図7に、本発明のスロットカーテン塗布装置における案内手段の一例の断面図であって、図6におけるA断面図を示す。
図6及び図7に示すように、案内手段2には、補助水が流下する補助水流下溝(凹部)13が設けられている。該補助水流下溝(凹部)13は、図7に示すように、底面と、該底面に対して略垂直に形成された凹部側面とを有する。
前記最大深さxが、0.2mm未満であると、補助水が補助水流下溝(凹部)から溢れることがあり、0.5mmを超えると、乱流が発生することがある。
前記最大間隔が、1.5mm未満であると、補助水が流れ難くなる場合があり、また、補助水が凹部内から溢れることがある。4.0mmを超えると、カーテン膜が不安定となる場合があり、下部で乱流が発生することがある。
なお、補助水吐出口を側面から他方の側面まで設けた場合は、凹部の最大間隔は上記補助水吐出口の最大幅wと同じである。
案内手段の構造としては、例えば、図6に示したように、3枚のプレート(11、12、12’)を合わせる構造が挙げられる。中央のプレート(中央部材)11には、図3に示すように、マニホールド部30、直線部31及び湾曲部32が形成され、12と12’の2枚のプレートで挟むことで補助水の漏れを防止する。
前記案内手段の材質としては、適宜用いることができるが、塗布液の目詰まりを防止する点から、金属が好ましい。更に、3枚のうちの中央のプレートに関しては、スリットのギャップSが狭いことから、加工精度が要求されるため、加工精度の点からステンレススチールを用いることが好ましい。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、図2に示すように、補助水吐出口9のエッジガイド2の上面からの高さhは、湾曲部の上部の最薄部の厚みT、スリットの湾曲部の下部の曲率半径R、及びスリット部のギャップSにより、h=T+R+Sで規定される。湾曲部32は、曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、補助水吐出口9のエッジガイドの上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられている。
スリット部の直線部31は、エッジガイド2の上面と30°以上60°以下の角度(図2中θ)をなしている。
カーテン膜6は、矢印の方向に落下し、エッジガイド2の補助水流下溝(凹部)内13を落下する補助水10によりその両端が支持される。
エッジガイド2の下部には、補助水10と塗布液の混合液を排出するための排出口(不図示)と、混合液を容易に排出可能にするためのバキューム機構(不図示)を備える。また、エッジガイド2の下部には、塗布液の固着防止のための補助水を流してもよい。
実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例4までのエッジガイドの湾曲部の寸法の詳細一覧を表3に示す。
(1)塗布液の塗布
スロットカーテン塗布ヘッド1のスロットギャップを0.4mmとし、カーテンの落下幅を250mmとした。スロットカーテン塗布ヘッド1の塗布液吐出口(スロット)の幅は250mmとした。
塗布液として、アクリルエマルジョン系粘着剤(製品名:X−407−102E−10、サイデン化学社製)を用いた。
塗布液の粘度は、750mPa・sec(B型粘度計、製品名:ビスメトロンVS−A1、芝浦セムテック社製)、シェアレート1sec−1での粘度は2,000mPa・secであり、シェアレート1,000sec−1での粘度は250mPa・secであった。
塗布液の白金プレート法静的表面張力を、FACE自動表面張力計CBVP−A3(協和界面科学株式会社製)で測定した結果、33mN/mであった。
塗布液のフローレイトを、1.25cc/cm・sec(塗布液用流量計(商品名:CN015C−SS−440K、オーバル株式会社製)で測定した。)とした。
エッジガイド2は、図6に示す3つのプレートからなるものとし、中央プレートはステンレススチール製とし、1段マニホールドとした。
エッジガイド2の大きさについては、流下長を140mm、補助水導入口の最大幅(w)を3mm、補助水流下溝(凹部)の最大深さ(x)を0.25mm、補助水流下溝(凹部)の最大幅3mmとし、鋭角(α)は60°とした。
一対のエッジガイドの距離(一方のエッジガイドの凹部の鋭角に形成された端部から他方のエッジガイドの鋭角に形成された端部までの距離)は250mmとした。
エッジガイド補助水の供給量を50mL/minとした。
0.2MPaに加圧された加圧タンクより、マイクロモーション流量計(オーバル株式会社製)(流量計本体:E010S−SS−311、トランスミッター:RFT9739−3MD11、積算計:EL0122−132011)及びフロート式流量計(東京計装株式会社製、P100L−4)を通して、エッジガイド2に供給した。フロート式流量計の絞り弁の開閉を調節し、流量から換算して、補助水の流下速度を約1.1m/sになるように設定した。
(1)エッジガイド補助水の吐出均一性
―評価基準―
○:補助水が概ね均一に吐出される
△:補助水の吐出にやや乱れがある
×:補助水が均一に吐出されない
カーテン膜を形成し、カーテン膜の反対側から照明を当て、膜の濃淡を目視にて観察し、厚膜部又は薄膜部の有無を確認する。
―評価基準―
○:カーテン膜は幅方向に概ね均一
△:カーテン膜の幅方向にやや厚膜部又は薄膜部が存在する
×:カーテン膜の幅方向に厚膜部又は薄膜部が存在する
―流量測定方法―
厚み0.1mmのSUS304の板を折り曲げて作製した幅8mm、深さ8mmの樋で、カーテン液膜を遮り、樋流下液量を重量法で測り、落下流量とした。測定値は、流量計の値から樋の幅8mmに換算した流量を100%とする正規化により流量分布とした。
○:厚膜部の厚みが平均値の105%未満
△:厚膜部の厚みが平均値の105%以上、110%未満
×:厚膜部の厚みが平均値の110%以上
実験1では、スリット部の湾曲部の下部の曲率半径Rの効果を明らかにするため、Rを変えたエッジガイドを用いて、エッジガイド補助水をエッジガイドより吐出させ、吐出状況を確認した。更に、実験基本条件にてカーテン膜を形成し、カーテン膜の膜厚を観察した。
実施例2は、湾曲部の下部の曲率半径Rを2mmとした以外は、実施例1と同じとした。
実施例3は、湾曲部の下部の曲率半径Rを0.5mmとした以外は、実施例1と同じとした。
実施例4は、湾曲部の下部の曲率半径Rを3mmとした以外は、実施例1と同じとした。
比較例1は、湾曲部の下部の曲率半径Rを4mmとした以外は、実施例1と同じとした。
比較例2は、湾曲部の下部の曲率半径Rを0.4mmとした以外は、実施例1と同じとした。
比較例3は、湾曲部の下部の曲率半径Rを0.3mmとした以外は、実施例1と同じとした。
実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例3の評価結果を表1に示す。また、カーテン膜の幅方向の流量分布については、図9に示す。
比較例1では補助水は良好に吐出されたが、カーテン膜はエッジガイド近傍でやや薄膜化していた。これは、比較例1の場合、補助水吐出口のエッジガイドの上面からの高さhが5.5mmであるため、この間の境界層影響と考えられる。
比較例2では補助水の吐出にやや乱れがあり、カーテン膜はエッジガイド近傍でやや薄膜化していた。
比較例3では補助水は幅方向に均一に吐出されなかった。これはスリットの湾曲部の下部の曲率半径が小さいため、遠心力により、補助水の流れに影響があったものと考えられる。
以上により、スリットの湾曲部の下部の曲率半径Rは0.5mm以上3mm以下、好ましくは2mm以下であることが分かった。
実験2では、補助水吐出口のエッジガイドの上面からの高さhとカーテン膜の均一性との関係を明らかにするため、hを変えたエッジガイドを用いてエッジガイド補助水をエッジガイドより吐出させ、吐出状況を確認した。更に、実験基本条件にてカーテン膜を形成し、カーテン膜の幅方向流量分布を測定した。
実施例6は、Tを4.3mm(h=5mm)とした以外は、実施例5と同じとした。
比較例4は、Tを5.3mm(h=6mm)とした以外は、実施例5と同じとした。
なお、厚みTが0.8mm以下の場合、加工上問題があるため実施していない。最薄部の厚みTを0.8mmとした場合、実施例5と同じ条件となる。
実施例5、実施例6、及び比較例4の評価結果を表2に示す。また、カーテン膜の幅方向の流量分布については、図10に示す。
比較例4では、カーテン膜の幅方向流量分布は全幅で110%以上あり、エッジガイド近傍で厚膜化していた。これは、比較例4の場合、補助水吐出口のエッジガイドの上面からの高さhが6mmであるため、この間の境界層影響と考えられる。
以上の結果より補助水吐出口のエッジガイドの上面からの高さhは1.5mm以上5mm以下であることが分かった。
本発明は、粘着剤のような比較的高粘度な液の場合に効果を発揮する。したがって、塗布液の粘度特性の違いによる本発明の効果を明らかにするため、塗布液の粘度を変え実験基本条件にてカーテン膜を形成し、カーテン膜の膜厚を観察した。
エッジガイドの形状は実施例1と同様のものを用いた。
試験例2は、シェアレート1sec−1の粘度η1が300(mPa・sec)、シェアレート1,000sec−1の粘度η2が10(mPa・sec)とした。
試験例3は、シェアレート1sec−1の粘度η1が3,200(mPa・sec)、シェアレート1,000sec−1の粘度η2が300(mPa・sec)とした。
試験例4は、シェアレート1sec−1の粘度η1が250(mPa・sec)、シェアレート1,000sec−1の粘度η2が10(mPa・sec)とした。
試験例1、試験例2、試験例3及び試験例4の評価結果を表4に示す。
試験例3では、粘度が高く、液の吐出が難しく、カーテン膜が形成できなかった。
試験例4では、カーテン膜は概ね均一に形成されたが、これは粘度が低い場合、境界層影響は小さくなるため、カーテン膜の薄膜化の割合が小さいためである。したがって、粘度が低い場合、本発明の効果は小さい。停止時に液ダレを生じたことから、操業には問題があると考えられる。
<1> 塗布液を吐出する塗布液吐出口を有する吐出手段と、
補助水を吐出する補助水吐出口を有し、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送される支持体上に案内する1対の案内手段と、
前記支持体を搬送する搬送手段と、を有し、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、
前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、
前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられていることを特徴とするスロットカーテン塗布装置である。
<2> 前記直線部は、前記案内手段の上面と30°以上60°以下の角度をなす前記<1>に記載のスロットカーテン塗布装置である。
<3> 塗布液を塗布液吐出口から吐出する吐出工程と、
補助水を吐出する補助水吐出口を有する1対の案内手段により、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送された支持体上に案内する案内工程と、 前記支持体を搬送する搬送工程と、を含み、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、
前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、
前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、
前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられていることを特徴とするスロットカーテン塗布方法である。
<4> 前記直線部は、前記案内手段の上面と30°以上60°以下の角度をなす前記<3>に記載のスロットカーテン塗布方法である。
<5> 前記塗布液は、シェアレート1sec−1での粘度η1、及びシェアレート1,000sec−1での粘度η2が、それぞれ、300≦η1≦3,000(mPa・sec)、及び10≦η2≦300(mPa・sec)である前記<3>又は<4>に記載のスロットカーテン塗布方法である。
<6> 前記塗布液は、アクリルエマルジョン系粘着剤である前記<3>から<5>のいずれかに記載のスロットカーテン塗布方法である。
2 案内手段(エッジガイド)
3 マニホールド
5 基材
6 カーテン膜
7 スリット
9 案内手段の補助水吐出口
10 補助水
11 案内手段の中央部材
12 案内手段の構成部材
13 案内手段の補助水流下溝(凹部)
20 塗布膜
30 マニホールド部
31 直線部
32 湾曲部
Claims (6)
- 塗布液を吐出する塗布液吐出口を有する吐出手段と、
補助水を吐出する補助水吐出口を有し、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送される支持体上に案内する1対の案内手段と、
前記支持体を搬送する搬送手段と、を有し、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、
前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、
前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられていることを特徴とするスロットカーテン塗布装置。 - 前記直線部は、前記案内手段の上面と30°以上60°以下の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載のスロットカーテン塗布装置。
- 塗布液を塗布液吐出口から吐出する吐出工程と、
補助水を吐出する補助水吐出口を有する1対の案内手段により、前記塗布液吐出口から吐出された塗布液からなるカーテン膜を、該カーテン膜の流下方向に対して略垂直な幅方向における該カーテン膜の両端部を支持して、搬送された支持体上に案内する案内工程と、
前記支持体を搬送する搬送工程と、を含み、
前記案内手段には、前記補助水を収容するマニホールド部、及び該マニホールド部と前記補助水吐出口とを結ぶスリット部が設けられており、
、
前記スリット部は、直線部と、前記補助水を概ね鉛直下向きに吐出するための湾曲部とから構成されており、
前記湾曲部上部の最薄部の厚みをTとし、前記湾曲部の下部の曲率半径をRとし、前記スリット部のギャップをSとしたとき、
前記湾曲部は、前記曲率半径Rが0.5mm以上3mm以下であり、かつ、前記補助水吐出口の前記案内手段の上面からの高さh=T+R+Sが1.5mm以上5mm以下を充足する位置に設けられていることを特徴とするスロットカーテン塗布方法。 - 前記直線部は、前記案内手段の上面と30°以上60°以下の角度をなすことを特徴とする請求項3に記載のスロットカーテン塗布方法。
- 前記塗布液は、シェアレート1sec−1での粘度η1、及びシェアレート1,000sec−1での粘度η2が、それぞれ、300≦η1≦3,000(mPa・sec)、及び10≦η2≦300(mPa・sec)であることを特徴とする請求項3又は4に記載のスロットカーテン塗布方法。
- 前記塗布液は、アクリルエマルジョン系粘着剤であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のスロットカーテン塗布方法。
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