JP6239751B2 - ラコサミドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ラコサミドの新規な製造方法に関する。より具体的には、本発明は、簡単な工程を介し、環境にやさしい方法で、キラル純度の高いラコサミドを製造する方法に関する。
ラコサミドは、鎮痛作用及び抗痙攣作用を有するアミノ酸誘導体であって、US5773475で最初に報告された。この文献によれば、ラコサミドは、D−セリンを無水酢酸と反応させて製造されたN−アセチル誘導体である中間体を、再びベンジルアミンと反応させることにより、ベンジルアミド誘導体を生成した後、前記ベンジルアミド誘導体を酸化銀(I)及びメチルアイオダイドでO−メチル化して、製造される。ところが、この方法では、収率が非常に低く、O−メチル化過程で部分的ラセミ化が生じ、高価な酸化銀(I)を使用するため、量産に不適であって、産業的に利用することが難しい。
WO2006/037574に記載の方法によれば、D−セリンをBoc(tert-butoxycarbonyl)基によってN−保護し、O−メチル化させる。こうして得られた化合物をベンジルアミンと反応させて、アミド化合物を生成し、Boc基のN−脱保護を行った後、アセチル化によってラコサミドを生成する。ところが、前記反応は、O−メチル化過程において、よく混和されない有機溶媒と水を同時に使用するので、効率的な反応進行のためには相間移動触媒を使用しなければならず、且つ高価な有機リチウム化合物を使用しなければならない。そして、Boc基によるN−保護、及びN−脱保護過程を経るため、工程が長くなるという欠点がある。
この他にも、これまでに開発されたラコサミドの製造方法においては、O−メチル化過程でのラセミ化の発生を最小限に抑えるために、D−セリンのアミンに立体障害性の保護基を使用し、これをさらに脱保護する過程を経るので、多くの工程を経てラコサミドが製造される。
よって、より製造工程が単純で、経済的であるうえ、環境にやさしいラコサミドの製造方法が要求される。
US5773475 WO2006/037574
本発明の目的は、単純な工程によって、高いキラル純度でラコサミドを製造することができ、経済的で環境にやさしい方法を提供することにある。
本発明は、無機リチウム化合物の存在下に、下記化学式2で表される化合物をメチル化剤と反応させることにより、下記化学式3で表される化合物を製造する、化学式1で表されるラコサミドを製造する方法を提供する。
[化学式2]
[化学式3]
[化学式1]
前記化学式1において、Bnはベンジル基を示す。
本発明のラコサミドの製造方法は、相間移動触媒やその他の高価な物質を使用することなく、環境にやさしい溶媒を使用して、高いキラル純度を有するラコサミドを、簡単な工程で製造することができ、高い収率を示すので、量産に容易に適用することができる。
本発明において、前記化学式3で表される化合物は、水のみを溶媒として用いて製造することができる。例えば、化学式2で表される化合物を含む水溶液に、前記無機リチウム化合物を添加した後、メチル化剤を添加することにより、化学式3で表される化合物を製造することができる。前記無機リチウム化合物の添加は、無機リチウム化合物を含む水溶液を添加することであってもよい。
本発明は、化学式3の化合物の製造時に、溶媒として水以外に他の有機溶媒を使用しないので、相間移動触媒などを使用する必要がなく、環境にやさしい雰囲気中で反応が行われてもよい。
本発明において、前記メチル化剤は硫酸ジメチルである。
本発明において、前記メチル化剤の添加は、前記メチル化剤を3回に分割して添加することであってもよい。
本発明において、前記化学式2で表される化合物は、D−セリン(D−Serine)を無水酢酸と反応させることにより、製造することができる。
前記D−セリンと無水酢酸との反応においては、水とC1〜C3のアルコールとの混合物を溶媒として使用することができ、好ましくは、水とメタノールとの混合物を溶媒として使用することができる。
本発明において、前記D−セリンと無水酢酸(AcO)との反応は、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、またはこれらの混合物の存在下で行ってもよい。
本発明において、前記無機リチウム化合物は、塩基の役割を果たすものであり、水酸化リチウム(LiOH)またはその水和物であってもよく、好ましくは、水酸化リチウム一水和物である。
本発明において、クロロギ酸イソブチル(IBC)及び塩基の存在下に、前記化学式3で表される化合物をベンジルアミン(BnNH)と反応させることにより、前記化学式1で表されるラコサミドを製造することができる。
本発明において、前記塩基は、3級アミンであってもよく、好ましくは、4−メチルモルホリン(NMM)、トリエチルアミン、ピリジンまたはこれらの混合物であり、より好ましくはメチルモルホリンである。
本発明においては、前記化学式3で表される化合物に、クロロギ酸イソブチル及び塩基を添加して混合物を製造し、該混合物にベンジルアミンを添加して反応液を製造した後、前記反応液を攪拌することにより、前記化学式1で表されるラコサミドを製造することができる。
本発明において、前記混合物及び反応液の製造は−20℃〜−5℃で行われ、好ましくは−15℃〜−10℃で行われる。
本発明において、前記反応液を攪拌する段階は、常温で行ってもよい。
本発明において、前記ラコサミドは、下記反応式で示される方法によって製造することができる。
本発明は、有毒な有機溶媒または触媒などを使用することなく、高いキラル純度でD−セリンのO−メチル化を行うことができるため、環境にやさしく経済的なラコサミドの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
また、以下に記載された試薬及び溶媒は、特別な言及がない限り、Sigma−Aldrich Koreaから購入したものであり、HPLCは、Agilent Technoliges社の1200Seriesを用いて実施し、H NMRは、Varian Mercury Instrument社のOxford NMR 300MHz Spectrometerを用いて実施した。純度及びキラル純度は、HPLCの面積%により測定した。
実施例1
(R)−2−アセトアミド−3−ヒドロキシプロパン酸(化学式2で表される化合物)の製造
D−セリン(D−serine)(5g、0.0476mole)をメタノール25mlと精製水25mlとの混合溶媒で懸濁撹拌した後、常温で炭酸水素ナトリウム(12g、0.1428mole)を添加し、無水酢酸(AcO、10.8ml、0.114mole)をゆっくりと投入した。常温で30分間攪拌し、反応が終了したら、反応溶媒を減圧下に濃縮して除去した後、精製水20mlを投入し、1N塩酸水溶液を添加してpH3に調節した。濃縮残渣にエタノール100mlを加え、攪拌して生じた固体を濾過して除去し、ろ液を濃縮することにより、crudeアセチル−D−セリンである(R)−2−アセトアミド−3−ヒドロキシプロパン酸を定量的に得た。
1H-NMR(DMSO) δ (ppm) 7.37(d, 1H) 3.75(q, 1H) 3.50(dd, 1H) 3.28(dd, 1H) 1.82(s, 3H)
実施例2
(R)−2−アセトアミド−3−メトキシプロパン酸(化学式3で表される化合物)の製造
(R)−2−アセトアミド−3−ヒドロキシプロパン酸(化学式2で表される化合物)(7g、0.0476mole)を精製水60mlに溶かして0〜10℃に冷却し、前記温度を維持しながら、20wt%の水酸化リチウム一水和物(10g、0.238mole)水溶液を滴加した後、20分間攪拌した。同じ温度で硫酸ジメチル(13.6ml、0.1428mole)を30分間隔で3回に分割して滴加し、同じ温度で3時間攪拌した後、常温(20〜25℃)に昇温した。2時間攪拌して反応終結を確認した後、ろ過し、ろ液を塩化メチレン50mlを用いて洗浄し、水層を分離した。前記分離した水層を10℃以下に冷却した状態で、3N塩酸水溶液を添加してpHを2.5〜3に調節した後、減圧下で濃縮した。濃縮残渣を酢酸エチル150mlで懸濁し、濾過した後、ろ液を濃縮してシロップ状態の目的物を得た。この際の収率は84.1%である。
1H-NMR(DMSO) δ (ppm) 8.15(d, 1H) 4.38(m, 1H) 3.58〜3.63(dd, 1H) 3.45〜3.49(dd, 1H) 3.23(s, 3H) 1.84(s, 3H)
実施例3
(R)−2−アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオンアミド(化学式1で表される化合物)、ラコサミドの製造
(R)−2−アセトアミド−3−メトキシプロパン酸(化学式3で表される化合物)(13g、0.081mole)をテトラヒドロフラン260mlに溶解し、−15℃以下に冷却した後、クロロギ酸イソブチル(IBC、11.1ml、0.085mole)を投入し、10分間攪拌した。4−メチルモルホリン(NMM、9.3ml、0.089mole)を−10℃以下に維持し、滴加した後、ベンジルアミン(BnNH)を同じ温度で投入した。−15℃〜−10℃で1時間維持し、常温に昇温した後、3時間攪拌した。反応溶媒を濃縮して除去し、塩化メチレン130mlと精製水13mlを投入して抽出し、水層は塩化メチレン60mlで再抽出して油層を合わせた。分離した油層に2wt%塩酸水溶液100ml、2wt%炭酸水素ナトリウム水溶液100ml及び10wt%塩水を使用して順次それぞれ洗浄して油層を分離し、分離した油層を減圧下で濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチル(130ml)を投入した後、60℃に昇温して溶解し、n−ヘプタン(130ml)を徐々に添加した。反応物を常温に冷却し、2時間撹拌した後、生成した固体を濾取し、乾燥してラコサミド(I)11gを得た。
収率55%、純度99.7%、キラル純度100%
1H-NMR(DMSO) δ (ppm) 8.45(t, 1H) 8.07(d, 1H) 7.23(m, 5H) 4.49(m, 1H) 4.24(dd, 2H) 3.5(m, 2H) 3.25(s, 3H) 1.87(s, 3H)
本発明は、有毒な有機溶媒または触媒などを使用することなく、高いキラル純度で、D−セリンのO−メチル化を行うことができるため、環境にやさしくて経済的なラコサミドの製造方法を提供することができ、有用に利用することができる。

Claims (11)

  1. 無機リチウム化合物の存在下に、水のみを溶媒として、下記化学式2で表される化合物をメチル化剤と反応させることにより、下記化学式3で表される化合物を製造する段階を含む、化学式1で表されるラコサミドを製造する方法であって、メチル化剤が硫酸ジメチルであり、無機リチウム化合物が水酸化リチウムまたはその水和物である、方法
    [化学式2]
    [化学式3]
    [化学式1]
    (前記化学式1において、Bnはベンジル基を示す。)
  2. 前記化学式3で表される化合物を製造する段階は、
    前記化学式2で表される化合物を含む水溶液に、前記無機リチウム化合物を添加する段階と、
    前記無機リチウム化合物の添加後、前記メチル化剤を添加する段階とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  3. 前記化学式2で表される化合物は、D−セリン(D−Serine)を無水酢酸と反応させる段階により製造されることを特徴とする、請求項1に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  4. 前記D−セリンを無水酢酸と反応させる段階は、水とC1〜C3のアルコールとの混合物を溶媒として使用することを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  5. 前記D−セリンを無水酢酸と反応させる段階は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの存在下に行われることを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  6. 前記化学式3で表される化合物を、ベンジルアミンと反応させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  7. 前記化学式3で表される化合物をベンジルアミンと反応させる段階は、クロロギ酸イソブチル及び塩基の存在下に行われることを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  8. 前記化学式3で表される化合物をベンジルアミンと反応させる段階は、
    前記化学式3で表される化合物、クロロギ酸イソブチル及び塩基を含む混合物を製造する段階と、
    前記混合物にベンジルアミンを添加して反応液を製造する段階とを含むことを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  9. 前記反応液を攪拌する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  10. 前記混合物及び前記反応液を製造する段階は−20℃〜−5℃で行われることを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
  11. 前記塩基は、4−メチルモルホリン、トリエチルアミン及びピリジンよりなる群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする、請求項に記載の化学式1で表されるラコサミドを製造する方法。
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