JP6947354B2 - リナグリプチンの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、リナグリプチンの改良された製造方法に関する。
下記構造式1で表されるリナグリプチン(Linagliptin、8−[(3R)−3−aminopiperidin−1−yl]−7−(but−2−yn−1−yl)−3− methyl−1−[(4−methylquinazolin−2−yl)methyl]−3,7−dihydro−1H−purine−2,6−dione)は、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)阻害薬に分類される経口血糖降下薬であって、2型糖尿病治療薬等として用いられている化合物である。
Figure 0006947354
リナグリプチンの合成方法として従来、下記[化2]にて示すスキームに従って合成する方法が知られている(特許文献1、非特許文献1)。
Figure 0006947354
(上記式中、Brはブロモ基、Bocはt-ブチルオキシカルボニル基を示す)
すなわち、原料化合物2に対してアミノピペリジンユニットを導入し、化合物4を得た後に(工程1)、t−ブチルオキシカルボニル基の除去を行い(工程2)、目的化合物である化合物1を得るというものである。
従来法における工程1の反応は、ジメチルホルムアミド等の溶媒中で、炭酸カリウム等の無機塩基の存在下で行っている。また、工程2の反応は、塩化メチレン、酢酸エチル、ジオキサン、メタノール、イソプロパノールおよびジエチルエーテル等の溶媒を使用し、0〜80℃の温度条件にて、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタンもしくは塩酸等の酸や、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシラン等で処理することによってなされる。
特表2006−503013 特表2008−519005
J.Med.Chem. Vol.50, No.26、p.6450−6453,2007
しかしながら、従来法による合成法では、特に工業規模で、除去することが困難な不純物が生じるため、工業的製造、特に純度要求が厳しい薬物製造には不適であると指摘されていた(特許文献2)。当該不純物は、使用される保護基に起因するため、当該問題を解決する改良合成法として、t-ブチルオキシカルボニル基に代えてフタロイル基を用いる方法が知られているが(特許文献2)、この方法でも満足いく結果ではなかった。
さらに従来法のもう1つの問題として、t-ブチルオキシカルボニル基の除去工程において、トリフルオロ酢酸、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシランまたはジクロロメタン等の医薬品製造の使用において安全性への懸念を有する化合物を反応に用いる必要があるため、大規模な工業的生産に適さない点が指摘されていた。なお、工業的生産に比較的適した塩酸やイソプロパノールを使用可能と記載する公知文献も存在するが(非特許文献1)、当該化合物を用いて実際に合成を行った例は記載されておらず、どのような条件においてリナグリプチンを高純度で得られるかは依然として不明であった。
したがって本願発明の課題は、保護基であるt-ブチルオキシカルボニル基の除去工程において除去困難な不純物を生じ、また除去工程の反応に工業的生産に適さない化合物を使用しなければならないという従来のリナグリプチンの製法上の課題を解決し、大規模な工業的生産にも適した新たなリナグリプチンの製造方法を開発することにある。
本願発明者らは課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、リナグリプチン合成反応中の工程2において、塩酸のような工業的生産にも適した化合物を用いて反応を行ったとき、2種の不純物が生じることを見出した。そこで、工程2の脱保護反応を後述する実験例に示すように詳細に解析した結果、下記のような工程A、工程Bに分けて実施することによって、前記工程2における2種の不純物の生成を抑え、かつ工業的生産に適さない溶媒を使用することなくリナグリプチンを製造できることを見出し、本発明を完成させた。
Figure 0006947354
(上記式中、Bocはt-ブチルオキシカルボニル基を示す)
すなわち本願発明は、上記[化3]に示す工程から成る化合物1(リナグリプチン)の合成方法において、化合物4から上記化合物1への変換を、下記工程(A)および工程(B)を実施することにより行うことを特徴とするリナグリプチンの製造法に関するものである。
(工程A)化合物4を親水系有機溶媒に溶解した後、酸性条件下でインキュベーションし、親水系有機溶媒を減圧留去した後、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、クロロホルム、ジクロロメタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびトルエン等から選ばれる溶媒と水による抽出を実施し、水層部を回収する工程、および、
(工程B)工程Aで回収した水層部を、pH11以上の塩基性条件下でインキュベーションする工程。
本願発明の方法によれば、t-ブチルオキシカルボニル基を用いた合成法において従来問題とされていた不純物の生成を生じることなく、また工業生産に適さない化合物を用いることなく、高純度のリナグリプチンを合成することができる。具体的には、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン、ブロモトリメチルシランまたはヨードトリメチルシラン等ののような工業的製造に適さない溶媒を用いることなく、純度99%以上という高い純度でリナグリプチンを得ることができるものである。
図1は、t-ブチルオキシカルボニル基除去工程後、塩基性条件に供する前の反応液におけるHPLC分析結果を示す。上段は全体図、下段は保持時間2〜10分の部分を拡大した図を示す。 図2は、t-ブチルオキシカルボニル基除去工程後、塩基性条件に供した後の反応液におけるHPLC分析結果を示す。上段は全体図、下段は保持時間2〜10分の部分を拡大した図を示す。
本願発明は、下記スキームに示す工程から成る化合物1(リナグリプチン)の合成方法において、化合物4から上記化合物1への変換を、
(工程A)化合物4を親水系有機溶媒に溶解した後、酸性条件下でインキュベーションし、親水系有機溶媒を減圧留去した後、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、クロロホルム、ジクロロメタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびトルエン等から選ばれる溶媒と水による抽出を実施し、水層部を回収する工程、および、
(工程B)工程Aで回収した水層部を、pH11以上の塩基性条件下でインキュベーションする工程、
から成る工程により行うことことを特徴とする、リナグリプチンの合成方法である。なお本明細書において「インキュベーション」とは、反応系を適切な温度下に置き、化学反応を進めることをいう。

Figure 0006947354
(上記式中、Bocはt-ブチルオキシカルボニル基を示す)
化合物4は公知化合物であり(特許文献1、非特許文献1)、前述した[化2]に示すスキームによって合成することも可能である。
化合物4を合成するための原料化合物である化合物2は公知であり、市販されているほか、例えば非特許文献1の記載に従って合成することが可能である。また、化合物3も公知であって、市販のものを購入できるほか、公知文献(例えば、中国特許公開第105130879号)に従って合成することが可能である。
化合物2と3を反応させ化合物4を得る反応は、公知の方法(特許文献1、非特許文献1)に従って行うことが可能である。具体的には、化合物2および3を、イソプロパノール、ブタノール、ジオキサン、DMF(ジメチルホルムアミド)、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、アセトニトリル、トルエン、THF(テトラヒドロフラン)またはスルホラン等の溶媒に溶解した後、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは水酸化カリウム等の無機塩またはトリエチルアミン等の三級有機塩基、またはN−エチル−ジイソプロピルアミン(ヒューニッヒ塩基)の存在下、また場合により、アルカリ金属ハライドまたはパラジウムを主成分とする触媒等の反応促進剤の存在下、70〜90℃で4〜48時間程度撹拌することで反応させた後、水を添加し、結晶として沈殿する化合物4を濾取するなどの方法を例示することができる。得られた化合物4は、必要に応じて再結晶化などの工程をさらに経ても良い。
このようにして得られた化合物4におけるt-ブチルオキシカルボニル基を脱保護して、目的化合物である化合物1を得る際、下記工程(A)と工程(B)を分けて実施する。工程(A)と工程(B)は連続して実施するのが通常であるが、間隔を置いて実施してもかまわない。
工程(A):
化合物4を親水系有機に溶解した後、酸性条件下でインキュベーションする工程、
工程(B):
工程Aで得られた化合物溶液を、pH11以上の塩基性条件下でインキュベーションする工程。
工程Aでは、化合物4を親水系有機溶媒に溶解した後、酸性条件下でインキュベーションする。具体的には、化合物4をメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン等の親水系有機溶媒に加え、必要に応じ加熱しながら溶解させた後、塩酸、硫酸、硝酸等の酸を加えて酸性条件とし、さらに0.1〜24時間反応させる。このとき、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノール等のアルコール類をさらに添加しても良い。
当該反応系における水分含有率は20%以下とすることが好ましく、10%以下とすることがより好ましく、5%以下とすることがさらに好ましい。当該水分含有率とすることにより、不純物の生成をより抑えることが可能となる。反応系における水分含有率は、例えば、反応に添加する塩酸の濃度や量を調節することなどによって調整可能である。反応終了後は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、クロロホルム、ジクロロメタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはトルエン/水等による抽出を実施し、水層を回収する。
続く工程Bでは、上記工程Aで得た水層部をpH11以上の塩基性条件下でインキュベーションする。具体的には、前記水層部に対して水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等のアルカリを十分量添加した後、0.1〜24時間撹拌すればよく、このとき必要に応じて加熱を行ってもよい。また、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール等のアルコールをさらに添加しても良い。当該方法によって、不純物を生成させることなく、目的化合物であるリナグリプチン(化合物1)を得ることができる。
上記反応終了後は、適宜知られた方法により、化合物1を単離・精製すればよい。具体例としては、反応終了後、まず酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、クロロホルム、ジクロロメタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはトルエン/水等による抽出を行い、有機溶媒層を回収した後、溶媒を減圧留去する。次に、生じた残渣をエタノールに溶解させて加熱し、連続的に温度を下げることで化合物1を結晶として析出させる方法などをとることができる。結晶化は、必要に応じて複数回行っても良い。
本願発明のリナグリプチンの製造方法によれば、反応系に、工業的生産に適さないトリフルオロ酢酸、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシランまたはジクロロメタン等の化合物を用いることなく、また、2種の不純物の生成を完全に抑制し、HPLC純度99%以上という高い純度でリナグリプチンを得ることができる。
以下、本願発明を実施例等により説明するが、本願発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
(実験例)不純物の生成に関する検討
Figure 0006947354
(上記式中、Brはブロモ基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を示す)
上記リナグリプチンの製造方法における工程2の工程(t−ブチルオキシカルボニル基の除去工程)について、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン、ブロモトリメチルシランまたはヨードトリメチルシラン等の毒性の高い物質を用いずに反応を行った際の不純物生成について検討を行った。
(1)反応系中の水分含有率による、不純物生成の検討
工業的に容易に使用可能である塩酸とメタノールによる、化合物4のt−ブチルオキシカルボニル基の除去を検討した。すなわち、文献記載の合成法によって得られた化合物4にメタノールを加え、加熱還流下で溶解させた後、濃塩酸(濃度37%(w/v))/メタノールを加え、同温で3時間撹拌した。このとき、反応系における水分含有率(%)が50.8%、39.0%、3.9%である3つの条件で反応を行った。
Figure 0006947354
(上記式中、Bocはt-ブチルオキシカルボニル基を示す)
反応終了後のそれぞれの液についてHPLC分析を行った結果、主要な不純物として不純物1と不純物2が確認された。これらの不純物は系内の水分含有率によってその生成比が大きく変化することが確認された(表1)。
Figure 0006947354
化合物1の含有量が最も大きかった番号2の方法による結果を用いて、メタノールの減圧留去と酢酸エチル/脱イオン水による抽出を実施したところ、目的化合物である化合物1の含有量の減少と共に、不純物2の含有量の著しい増加が確認された(表2)。
Figure 0006947354
(2)不純物2に関する検討
不純物2の含有量増加の原因究明のため、不純物2の構造決定を行うこととした。
化合物1、不純物1および不純物2を含む反応液に対し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる不純物2の単離を試みた。しかしながら、目的の不純物2を得ることができず、代わりに精製前には存在が確認されなかった新たな不純物3が確認された。ESI−MSによる解析の結果、不純物3は化合物1の二量体であることが示唆された。
化合物1の二量体として化合物5が知られている(特許第5876150号)。化合物5は化合物1に対して、4mol/L塩酸を作用させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行うことで得られる。
Figure 0006947354
不純物3の存在を確認した一連の実験操作と化合物5の製法がほぼ一致することから、不純物3と化合物5は同一の化合物であると推定した。さらに、不純物2は不純物3の中間体である可能性が高いことから、化合物1から化合物5(不純物3と推定)に至る反応機構を以下のように推定し、不純物2の構造を、化合物1のキナゾリン部位が異性化した化合物6または化合物7であると推測した。
Figure 0006947354
化合物1と、不純物2であると予想される化合物6や化合物7の安定性を比較すると、芳香族性の観点から化合物1の方が安定であると推測され、化合物1から化合物6や化合物7への異性化は理論上進行しない。理論上進行しない化合物1から化合物7や化合物8への異性化が進行した要因として、化合物1のキナゾリン部位へのプロトン化により、化合物1と化合物6や化合物7とのエネルギー差が小さくなったためと考えられた。
そこで、キナゾリン部位に存在するプロトンを奪う(脱プロトン化を進行させる)ことによって、化合物6や化合物7から化合物1への異性化を進行させ、結果として不純物2の生成を抑制させることができると予想し、検討を行った。
Figure 0006947354
しかるに、[表1]の番号2で示す条件による反応液(化合物1、不純物1および不純物2を含有する)を、ナトリウムメトキシド/メタノールを用いて塩基性条件に付した。塩基性条件に供する前後の反応液それぞれについてHPLC分析を行い、結果を比較したところ、塩基性条件に供する前に確認されていた不純物2に相当するピークが、塩基性条件に供した後には確認されなくなっていた(表3、図1、図2)。
したがって、上記に推定した通り、不純物2は化合物6または7に示す化合物であり、塩基性条件に付すことによって当該不純物2の化合物1への異性化が進行することで、液中の不純物2が除去されたことが明らかになった。
Figure 0006947354
(3)不純物1に関する検討
塩基性条件下での異性化によって不純物2の生成を抑制できることが明らかになったことから、続いて、不純物1の解析を行った。
不純物1は、反応系における水分含有率の上昇に伴って生成量が増加することから(表1)、化合物1の加水分解体であると推定された。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる単離を実施したところ、その構造は化合物8であることが判明した。すなわち、化合物8(不純物1)が生成する反応機構として、化合物1が化合物6または化合物7(不純物2)に異性化した後、加水分解が進行することで生成すると推定された。
Figure 0006947354
(4)不純物生成の抑制に関するまとめ
以上より、工業的に容易に使用可能な塩酸による化合物4のt-ブチルオキシカルボニル基の除去においては、生じた化合物1のキナゾリン部位の異性化によって不純物2(化合物6または7)が、また、不純物2の加水分解によって不純物1(化合物8)が生じることが明らかになった。また、不純物2(化合物6または化合物7)の副生は避けられないが、当該不純物2(化合物6または化合物7)は、塩基性条件下に付すことで化合物1に異性化させることが可能であるため、その副生は大きな問題にはならないことが判明した。
一方で、不純物1(化合物8)については、一度副生してしまうと化合物1に再変換させることは困難であるため、可能な限り副生を抑制するのが望ましい。そこで、[表1]番号3に示すように、反応系中の水分含有率を減らすことで、不純物1の生成量を減らすことが好ましいことが明らかになった。さらに、当該反応後に得られる化合物1と不純物2の混合物を塩基性条件に付すことで、不純物の含有量を抑えつつ、目的の化合物1を得られることが示された。
(実施例1)検討した合成スキームによるリナグリプチンの合成例
実験例の検討結果を工程の反応に反映させた上で、リナグリプチンを下記のように合成した。
Figure 0006947354
(上記式中、Brはブロモ基、Bocはt-ブチルオキシカルボニル基を示す)
(アミノピペリジンユニットの導入)
化合物2(Emeishan Hongsheng社、10g,22mmol)と化合物3(Emeishan Hongsheng社、4.9g,24mmol)に対しN,N−ジメチルアセトアミド(44mL)を加えた後、80℃で撹拌しながら炭酸カリウム(6.1g,44mmol)を加え、同温で23時間撹拌した。反応終了後、同温で脱イオン水(50mL)を加えた後、反応溶液の温度が室温に下がるまで撹拌した。析出した結晶を回収することで粗精製の化合物4(19g,<22mmol)を得た。得られた粗精製の化合物4のHPLC純度は99.4%であった。
粗精製の化合物4(6.0g,<7.0mmol)に対しエタノール(23mL)を加え、80℃で溶解させた後、同温で脱イオン水(26mL)をゆっくり加え、1時間撹拌した。得られた懸濁液に対しエタノール(4mL)を加え、懸濁液の温度が50℃に下がるまで 撹拌した。析出した結晶を回収することで化合物4(3.3g,5.7mmol,82%)を得た。得られた化合物4のHPLC純度は99.8%であった。
化合物4のマススペクトル(ESI):m/z=573.92[M+H]
(t−ブチルオキシカルボニル基の除去)
Figure 0006947354
(上記式中、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を示す)
<工程A>
化合物4(3.3g,5.7mmol)に対しメタノール(8.6mL)を加え、加熱還流下で溶解させた後、濃塩酸(濃度37%(w/v))/メタノール(1/3)(2.9mL)を加え、同温で4時間撹拌した(反応における水分含有率3.9%)。反応終了後、脱イオン水(10mL)を添加し、メタノールの減圧留去を行った。続いて、酢酸エチル/脱イオン水による抽出を実施し、水層を回収した。
<工程B>
次に、回収した水層にメタノール(10mL)と水酸化ナトリウム水溶液(6.0mol/L,8.1mL)を順次加えて塩基性条件下とした後、加熱還流下で5時間撹拌した。水酸化ナトリウム添加後、pH11以上となっていることをpH試験紙によって確認した。反応終了後、酢酸エチル/脱イオン水による抽出を実施し、有機層を回収した。
当該液のHPLC分析を行った結果、化合物1エリア面積(%)において、不純物1は0.101%、不純物2は検出限界以下であり、確かに不純物1および2の生成を十分に抑制できていることが明らかになった。
溶媒の減圧留去を行った後、残渣にエタノール(11mL)を加え、80℃で撹拌した。残渣が完全に溶解した後、溶液の温度を40℃まで下げ、結晶を析出させた。析出した結晶を回収し、化合物1(1.9g,4.0mmol,70%)を得た。得られた結晶における化合物1のHPLC純度は99.6%であった。
化合物1のマススペクトル(ESI):m/z=473.75[M+H]
このように、本願発明の方法によれば、トリフルオロ酢酸、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシランまたはジクロロメタン等の、医薬品製造の使用において安全性への懸念を有する化合物を反応に用いることなく、しかも不純物の生成をきわめて低く抑制しながら、リナグリプチンを合成できることが明らかになった。

Claims (2)

  1. 化合物4からリナグリプチン(化合物1)を合成する製造法において、当該化合物4から化合物1への変換を、下記工程(A)および工程(B)を実施することにより行うことを特徴とするリナグリプチンの製造法。
    (工程A)化合物4を親水系有機溶媒に溶解した後、酸性条件下でインキュベーションし、親水系有機溶媒を減圧留去した後、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、クロロホルム、ジクロロメタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびトルエンから選ばれる溶媒と水による抽出を実施し、水層部を回収する工程、および、
    (工程B)工程Aで回収した水層部を、pH11以上の塩基性条件下でインキュベーションする工程
    Figure 0006947354
    (上記式中、Bocはt-ブチルオキシカルボニル基を示す)
  2. 工程Aのインキュベーションを、反応系における水分含有率20%以下で行う、請求項1記載の製造法。
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