JP6238372B2 - 熱処理方法及び熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱処理方法及び熱処理装置に関する。
従来、金属薄帯の熱間加工や温間加工は、走行方向に長く設けた加熱槽内で熱処理を行い、熱処理後に圧延ロールを多数配置して、予め加熱された金属薄帯を圧延していた。しかし、この方法では処理時間が長く、かつ、多段階に渡る処理ステップとなり、組織の均一性や高性能な材料特性を精度よく付与することは困難であった。そこで、例えば、温度制御された単ロールを千鳥状に配置し、これに薄板を接触走行させて片面ずつ交互に加熱するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−272003号公報
ところで、温度に応じて多段階に変態する合金では、例えば、所望の特性を得るために、中間段階の変態によって得られる相(以下では、中間相とも称する)を多く存在させることが望まれる場合がある。しかしながら、熱処理時間を長くしたり熱処理温度を高めるだけでは、より高温で生じる変態が促進されてしまうなどして中間相の量を一定以上高めることが困難なことがあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、温度に応じて多段階に変態する合金を熱処理するに際して、より好ましい相を形成することができる熱処理方法及び熱処理装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、温度に伴って多段階に変態する合金であり昇温に伴ってG.P.ゾーン、γ”相、γ’相、γ相の順に析出変態するCu−Be系合金に対して、G.P.ゾーンが析出する温度以上γ”相が析出する温度以下に加熱した加熱ロールを所定時間上述の合金に接触させて予備状態を生成しておくと、後の熱処理でγ相の析出を抑制することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の熱処理方法は、
温度に応じて多段階に変態する合金を熱処理する熱処理方法であって、
前記合金の所定の第1変態に関する第1温度と前記第1温度より高温である前記合金の所定の第2変態に関する第2温度とに基づいて定められる予備状態生成温度域内の所定の温度とした接触式加熱体と前記合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させて加熱処理を行い、前記合金について予備状態を生成する予備状態生成工程、
を含むものである。
本発明の熱処理装置は、
温度に応じて多段階に変態する合金を熱処理する熱処理装置であって、
接触により前記合金を加熱する接触式加熱体と、
前記接触式加熱体を前記合金の所定の第1変態に関する第1温度と前記第1温度より高温である前記合金の所定の第2変態に関する第2温度とに基づいて定められる予備状態生成温度域内の所定の温度とし、該接触式加熱体と前記合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させる制御手段と、
を備えたものである。
本発明の熱処理方法及び熱処理装置では、温度に応じて多段階に変態する合金を熱処理する場合に、より好ましい相を生成することができる。この理由は明らかではないが、多段階に変態する合金では、長時間の加熱や高温での加熱によってより高温側で生じる変態が促進されることがあるが、予め中間相の核となるようなものを含む予備状態を生成しておくことで、これを抑制することができるためと考えられる。
本発明の熱処理方法を含む合金薄帯の製造方法の一例を表す説明図である。 Cu−Be系合金薄帯を加圧した状態で予備状態生成工程を行ったあとにDSC測定を行った結果の概念を表す説明図である。 Cu−Be系合金薄帯を加圧しない状態で予備状態生成工程を行ったあとにDSC測定を行った結果の概念を表す説明図である。 本発明の熱処理方法のヒートパターンの一例を示す概念図である。 本発明の熱処理装置の一例を示す模式図である。 多段的に予備状態生成工程を実行する説明図である。 本発明の熱処理装置の別例を示す模式図である。 本発明の熱処理装置の別例を示す模式図である。 本発明の熱処理装置の別例を示す模式図である。 本発明の熱処理装置の別例を示す模式図である。 加熱と同時に加圧をした実施例のDSC測定結果である。 加熱と同時に加圧をしなかった実施例のDSCの測定結果である。 実施例28,29及び比較例20のX線回折測定結果である。
本発明の熱処理方法は、温度に応じて多段階に変態する合金に対して行う熱処理方法である。図1は、本発明の熱処理方法である予備状態生成工程を含む、合金薄帯の製造方法の一例を表す説明図である。この製造方法は、温度に応じて多段階に変態する合金組成となるように原料を溶解し鋳造する溶解・鋳造工程と、この合金の鋳塊を所望の厚さまで冷間圧延して素材合金薄帯を得る中間圧延工程とを含むものとしてもよい。また、この製造方法は、得られた素材合金薄帯を加熱・急冷して析出硬化型元素を過飽和に固溶させる溶体化処理工程と、溶体化処理後の素材合金薄帯を洗浄する酸洗工程と、さらに必要な厚さまで冷間で圧延を行う仕上げ圧延工程と、を含むものとしてもよい。更に、この製造方法は、仕上げ圧延後の素材合金薄帯に所定の予備状態を生成させる予備状態生成工程と、時効硬化処理を施して第2相および所定の中間相を析出させる本熱処理工程としての時効処理工程とを含むものとしてもよい。この「所定の中間相」とは、所望の特性を得るために、中間段階の変態によって得られる好ましい相をいうものとする。また、「薄帯」とは、厚さが3.00mm以下の箔あるいは板をいうものとする。また、薄帯は、厚さが0.10mm以上であるものとしてもよい。なお、図1では、予備状態生成工程は、仕上げ圧延工程と時効硬化処理工程との間に行うものとしたが、これに限定されず、例えば、溶体化処理工程と酸洗工程との間に行ってもよいし、酸洗工程と仕上げ圧延工程との間に行ってもよい。このように、予備状態生成工程は、溶体化処理工程のあと、且つ時効硬化処理工程の前に行うものとしてもよい。本発明の熱処理方法では、予備状態生成工程を行うことにより、時効硬化処理工程において中間相をより析出させると共に、望ましくない相(以下、不要相とも称する)の析出を抑制することができる。以下、予備状態生成工程及び時効硬化処理工程について詳しく説明する。
本発明で用いる合金は、温度に応じて多段階に変態する合金であればよく、析出硬化型の合金組成を有するものなどが挙げられる。温度に応じて多段階に変態する合金とは、例えば、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC測定)を行った場合に、複数のピークを有するものとすることができる。例えば、合金組成としては、ステンレス鋼の300番台、600番台のものやアルミニウム合金の2000番系、6000番系、7000番系のもの、銅合金などが挙げられる。このうち銅合金薄帯が導電率が高く電子部品等として用いられることが多いため、好ましい。銅合金としては、例えば、Cu−Be系合金やCu−Ni−Si系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Fe系合金、Cu−Cr−Zr系合金などが挙げられる。いずれも過飽和固溶体からの第二相の析出が起こる合金系である。このうちCu−Be系合金が好ましい。例えば、Cu−Be系合金では、Beを1.8質量%以上2.0質量%以下含み、Coを0.2質量%以上含むものなどが好ましい。Cu−Ni−Si系合金では、Niを1.3質量%以上2.7質量%以下含み、Siを0.2質量%以上0.8質量%以下含むものなどが好ましい。Cu−Ti系合金では、Tiを2.9質量%以上3.5質量%以下含むものなどが好ましい。Cu−Fe系合金では、Feを0.2質量%程度含むものなどが好ましい。Cu−Cr−Zr系合金では、Crを0.5質量%以上1.5質量%以下含み、Zrを0.05質量%以上0.15質量%以下含むものなどが好ましい。なお、強化機構の面で厳密には析出硬化型と区別されるものの、急冷によって溶質元素が最大限に固溶することで強化される固溶強化型合金、さらに時効処理の際に過飽和固溶体の分解が起こって周期的な変調構造を生成することにより強化されるスピノーダル分解型合金などについても本手法の基本的考え方が有効である。
本発明の予備状態生成工程では、合金の所定の第1変態に関する第1温度と、第1温度より高温である、合金の所定の第2変態に関する第2温度とに基づいて定められる予備状態生成温度域内の所定の温度とした接触式加熱体と合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させて加熱処理を行い、合金について予備状態を生成する。この、予備状態生成工程は、本熱処理工程(例えば時効硬化処理工程)を行うまえに、急峻に合金を加熱することにより、本熱処理工程での加熱冷却における不要相の生成を抑えると共に、本熱処理工程での加熱冷却における中間相をより生成させる予備状態にする熱処理である。この「予備状態」とは、例えば、中間相の核が生成した状態や、中間相の核が生成しないまでもこの核が生成する直前の状態のいずれかである。ここで、第1変態や第2変態は、多段階に変態する合金の変態のうちのそれぞれ異なるいずれかの変態とすることができ、第1変態は低温側で生じる変態、第2変態は高温側で生じる変態であるものとする。また、第1変態の相が良好な相としてもよいし、第2変態よりも高温で生じる変態の相が不要相としてもよい。第1変態に関する第1温度とは、例えば、第1変態が開始する温度としてもよいし、第1変態が最も活発となる温度としてもよいし、第1変態が完了する温度としてもよい。このような温度は、例えば、DSC測定で求めることができる。DSC測定結果において、ピークの立ち上がり温度を第1変態が開始する温度、ピーク温度を第1変態が最も活発となる温度、ピークが終わり横ばいとなった温度あるいは次のピークが立ち上がる直前の温度を第1変態が完了する温度とすることができる。第2変態に関する第2温度についても、第1温度と同様に定めることができる。予備状態生成温度域は、このような第1温度と第2温度に基づいて定めることができ、例えば、第1温度以上第2温度以下とすることができる。このとき、予備状態生成温度域は、接触式加熱体からの熱伝導や放熱などを考慮してもよく、経験的に定めてもよい。例えば、第1温度をDSC測定で求められる合金の第1変態のピーク温度とし、第2温度をDSC測定で求められる第2変態の立ち上がり温度とし、予備状態生成温度域を、第1温度より高温で第2温度より低温の温度域としてもよい。こうすれば、第1変態あるいは第1変態の核生成が確実に生じ、且つ第2変態よりも高い温度での変態(不要相)はほとんど生じないため、より好ましい予備状態を得ることができる。
本発明の予備状態生成工程では、予備状態生成温度域内の所定の温度とした接触式加熱体と合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させて加熱処理を行う。この接触時間が0.01sec以上では十分に予備状態とすることができ、3.0sec以下では、不要相の析出をより抑制することができる。この接触時間は、0.1sec以上がより好ましく、1.0sec以上が更に好ましい。また、この接触時間は、2.9sec以下がより好ましく、2.8sec以下が更に好ましい。本発明の予備状態生成工程において、合金の昇温速度は、70℃/sec以上であることが好ましく、180℃/sec以上であることがより好ましく、200℃/sec以上であることが更に好ましい。昇温速度がより高いと、不要相の生成をより抑制することができ、好ましい。この昇温速度は、加熱の容易性から、2500℃/sec以下であることが好ましい。この予備状態生成工程は、空気雰囲気中などで行ってもよいが、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。また、不活性ガスを加熱面周辺に噴射しながら行ってもよい。また、加熱は、合金薄帯の幅方向に±2.0℃以下の精度のもとで上下対称に行うことが好ましい。 この合金の昇温速度は、例えば、合金の昇温開始温度から昇温終了温度までの間の昇温速度としてもよいし、接触式加熱体と昇温前の合金の温度との差を接触式加熱体と合金との接触時間で除した値としてもよい。
本発明の予備状態生成工程では、接触式加熱体と合金とを接触させて加熱することで、合金を急速加熱をすることができるが、接触式加熱体として加熱機構を有する対をなす加熱ロールを用い、対をなす加熱ロールで合金薄帯を挟み込んで連続的に移動させながら加熱処理を行うものとすることが好ましい。こうすれば、両面から効率よく加熱することが可能であり、合金薄帯を急加熱することができる。また、対をなす加熱ロールを用いることによって、単ロールを用いる場合と比較して一つの加熱ロールの熱容量を小さくすることが可能である。また、対をなす加熱ロールと合金薄帯とが接触する際に、ロールと接触している線状の領域は表面と裏面とから同時に加熱されるから、加熱ムラが生じにくく、形状をより良好に保つことができる。形状をより良好に保つことができれば、形状を矯正する工程や設備(例えばレベラーなど)を省略することができる点でも好ましい。また、連続的に、均一な熱処理を行うことができる点でも好ましい。対をなす加熱ロールのクリアランスは、目的とする合金薄帯の厚さに基づいて定めることができるが、合金との接触により加熱する観点から、素材合金薄帯の厚さ以下であることが好ましい。加熱ロールは、接線速度が薄帯の走行速度と同期するように回転させることが好ましい。このような接線速度は、合金薄帯と加熱ロールとの接触時間を上述した範囲とするように、加熱ロールのサイズや加熱ロールと合金薄帯との接触面積などを考慮して経験的に求めることができる。
本発明の予備状態生成工程では、接触式加熱体は、合金薄帯を加圧して加熱するものとしてもよいし、加圧せずに加熱するものとしてもよい。合金薄帯を加圧して加熱する場合、接触式加熱体による圧延率(加工率)が0.01%以上10%以下となるように合金薄帯を圧延処理しながら加熱処理を行うものとすることが好ましい。このように歪みを付与しながら加熱処理を行うと、予備状態生成工程における予備状態の生成が促進されると共に、中間相の生成方向のばらつきを抑制することができると考えられるからである。ここで、加工率dh(%)は、加工前の合金薄帯の厚さh0(mm)と、加工後の合金薄帯の厚さh1(mm)とを用いて、加工率dh=((h0−h1)/h0)×100によって求めるものとする。加工率dh(%)は、0.1%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。また、加工率dh(%)は、8.0%以下であることが好ましく、6.0%以下であることがより好ましい。このとき、接触式加熱体による加工率を押圧変形開始から変形終了するまでの時間(押圧している時間)で除算して求まる加工速度dε/dtが、10-5/s以上10-2/s以下となるような低加工速度で押圧変形することが好ましい。接触式加熱体として上述した加熱ロールを用いると、押圧変形を低加工速度で行うことが容易であり好ましい。加熱ロールを用いた場合であっても、各ロール対当たりの加工速度dε/dtが、10-5/s以上10-2/s以下となるような低加工速度で押圧変形することが好ましい。また、接触式加熱体を用いて合金薄帯を加圧して加熱する場合、押圧力は、所定の加工率となるように加熱温度や加熱時間などに応じて経験的に定めることができる。なお、加圧せずに加熱するとは、加圧力ゼロで加熱することをいうものとしてもよいが、変形を生じないあるいは圧延率が0.01%未満となるような加圧力で加圧して加熱するものを含めてもよい。変形を生じない加圧力は、例えば、中間相の生成方向のばらつきを抑制することができるような加圧力とするなど経験的に定めることができ、例えば、加熱した合金の持つ弾性限界の1/100より大きく1/2未満の加圧力などとすることができる。
時効硬化処理工程は、予備状態生成工程の後に、予備状態を有する合金に対して加熱・冷却を行い、中間相を析出させる工程である。この時効硬化処理工程では、合金の強度をより高めることができる。時効硬化処理工程での加熱温度、冷却温度、加熱速度、冷却速度は、用いる合金に応じて適宜経験的に定めることができる。ここで、例えば、予備状態生成工程における第1温度及び第2温度は、時効硬化処理工程における加熱時の昇温速度に基づいて定めた昇温速度で合金をDSC測定して得られる変態に関する温度としてもよい。こうすれば、より時効硬化処理工程の結果にDSCの測定結果を近いものとすることができ、実際の製造工程において有用な第1温度及び第2温度を定めることができる。
ここで、予備状態生成工程の具体例としてCu−Be系合金を用いて説明する。図2は、Cu−Be系合金薄帯を加圧した状態で予備状態生成工程を行ったあとにDSC測定を行った結果の概念を表す説明図であり、図3は、Cu−Be系合金薄帯を加圧しない状態で予備状態生成工程を行ったあとにDSC測定を行った結果の概念を表す説明図である。なお、図2,3には、予備状態生成工程を行わない場合のDSC測定結果の概念も示した。Cu−Be系合金では、溶体化処理を行うことによって、Cuに過飽和のBeが固溶したα相が得られる。このα相について所定の時効硬化処理温度で時効硬化処理を行うとγ相が析出する。このγ相が析出する過程では、G.P.ゾーン、γ”相、γ’相を経てγ相が析出する。即ち、温度に応じて多段階に変態する。このCu−Be系合金では、G.P.ゾーン、γ”相、γ’相が中間相であり、γ相が不要相であるものとしてもよい。図2,3に示すように、Cu−Be系合金では、温度上昇に伴い、G.P.ゾーンが析出する第1変態、γ”相が析出する第2変態、γ’相が析出する第3変態及びγ相が析出する第4変態が起きる。このCu−Be系合金において、予備状態生成工程では、DSC測定結果におけるG.P.ゾーンの析出ピーク温度を第1温度、γ”相の析出ピークの立ち上がり温度を第2温度とすることができる。そして、第1温度より高温で第2温度より低温の温度域である230℃以上290℃以下の温度を予備状態生成温度域とすることができる。こうすれば、時効硬化処理工程において中間相をより多く析出させることができる。また、図2,3に示すように、Cu−Be系合金薄帯では、予備状態生成工程において合金を加圧するか否かによりDSC測定結果が変化する。例えば、図2に示すように、予備状態生成工程において合金を加圧する場合、歪みを導入しながら加熱するため、予備状態において、G.P.ゾーンの核が既に析出している状態が望ましい。こうすれば、時効硬化処理工程後に、中間相(G.P.ゾーン、γ”相、γ’相)の初期析出が多く、γ相が析出しにくくなるものと推察される。一方、図3に示すように、予備状態生成工程において合金を加圧しない場合、固溶度が高い状態が望ましい。こうすれば、時効硬化処理工程後に、中間相(G.P.ゾーン、γ”相、γ’相)の初期析出が多く、γ相が析出しにくくなるものと推察される。このように、DSC測定に基づいて、予備状態生成工程の第1温度及び第2温度を把握し、予備状態生成温度域を求めることができる。なお、予備状態生成温度域は、Cu−Be系合金では230℃以上290℃以下の温度域が好ましいが、例えば、Cu−Ni−Si系合金では400℃以上500℃以下の温度域が好ましく、Cu−Ti系合金では350℃以上500℃以下の温度域が好ましく、Cu−Cr−Zr系合金では350℃以上550℃以下の温度域が好ましい。また、6061アルミニウム系合金では、100℃以上200℃以下の温度域が好ましい。また、SUS304系合金では、300℃以上400℃以下の温度域が好ましい。
次に、予備状態生成工程及び時効硬化処理工程の概念について説明する。図4は、本発明の熱処理におけるヒートパターンの一例を示す。図4の上段において、ヒートパターンを実線で示し、α相から、β相、γ相、η相のそれぞれへの変態に関する相変態予備状態曲線を破線で示している。相変態予備状態曲線とは、予備状態生成工程において、薄帯合金を、この相変態予備状態曲線の温度及び時間の範囲内とすると、その後の時効硬化処理工程において、中間相がより多く得られる範囲として経験的に求められた曲線である。相変態予備状態曲線は、合金薄帯を所定の昇温速度で所定の温度範囲に所定の時間処理したのちに時効硬化処理工程を行って得られた中間相の生成量と、この予備状態生成工程の昇温速度、処理時間、処理温度との関係を求め、得られた関係から経験的に定めることができる。図4の例では、実線で示したヒートパターンを描くように合金薄帯を熱処理すれば、後の時効硬化処理でγ相に関する変態が起き、中間相がより生成するものとなる。したがって、β相、η相の相変態予備状態曲線に掛からず、γ相の析出に関する相変態予備状態曲線を横切って所定の温度に達し相変態予備状態曲線内の温度で例えば0.01sec以上3.0sec以下となるように保持するのが好ましい。こうすれば、他の不要相の析出をより抑制することができる。この保持は、昇降温を伴うものであってもよい。相変態予備状態曲線を横切るときの加熱速度は特に限定されるものではないが、70℃/sec以上であることが好ましい。このように、急加熱をするため、完全相変態に至る途中の中間相の核を瞬間的に形成・固定し、中間相を任意の段階でとどめることができる。また、その後に熱処理をした場合にも、完全相変態に至ることを抑制することができる。なお、図4では、η相の相変態予備状態曲線に掛からないように急冷した場合について示している。このような急冷は、例えば、冷却機構を有する接触式冷却体(冷却ロールなど)を用いて行ってもよい。図4の下段では、図4の上段の熱処理と同時に加圧を行う場合の板厚の変化の一例を示している。このように、加熱および冷却のタイミングで加圧を行ってもよい。
続いて、本発明の熱処理方法を実行する熱処理装置について説明する。本発明の熱処理装置は、温度に応じて多段階に変態する合金を熱処理する熱処理装置であって、接触により合金を加熱する接触式加熱体と、接触式加熱体を合金の所定の第1変態に関する第1温度と第1温度より高温である合金の所定の第2変態に関する第2温度とに基づいて定められる予備状態生成温度域内の所定の温度とし、この接触式加熱体と合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させる制御部と、を備えたものである。この熱処理装置において、接触式加熱体は、加熱機構を有し合金を挟み込むように対をなす加熱ロールであるものとしてもよい。図5は、本発明の熱処理装置10の一例を示す構成図である。この熱処理装置10は、合金との接触により合金を加熱する接触式加熱体としての加熱ロール12と、加熱ロール12と合金薄帯20との接触時間や加熱ロール12の温度を制御する制御装置15とを備えている。このように、接触式加熱体を用いて合金を加熱すると、加熱炉で加熱する場合などのような非接触での加熱と比較して瞬間的な加熱が可能となるため、より組織制御を行いやすい。加熱ロール12には、加熱機構としてのヒータ14が内蔵されており、ヒータ14は、上述した制御装置15によって加熱ロール12の表面温度が予備状態生成温度域内の所定の温度となるように制御される。この加熱ロール12は、シャフト16により回転可能に軸支されており、合金薄帯20を挟み込むように対をなして設けられている。また、熱処理装置10は、押圧機構18によって対をなす加熱ロール12を押しつけて合金薄帯20に加圧可能に構成されている。このような押圧機構18を有することにより、圧延可能なだけでなく、接触式加熱体と合金薄帯との接触面積や接触状態を変えることでより容易に熱処理条件を制御することができる。なお、押圧機構18の変わりに、押圧機構の押圧方向と平行な方向に接触式加熱体を移動可能な可変機構を有するものとしてもよい。この可変機構は、例えば、加熱ロール12が合金薄帯20のパス経路に対して上下可変となるようにするものとしてもよい。
加熱ロール12には、図示しないモーターが接続されており、回転の接線速度が合金薄帯20の進行速度と一致するように制御装置15により制御可能となっている。こうすれば、合金薄帯20の進行が妨げられることに起因する形状不良や合金薄帯20の表面の擦り傷などを抑制することができる。この対をなす加熱ロール12は、合金薄帯20の平坦度を矯正する押圧機構18を備えている。この押圧機構18は、シャフト16の両端に配設されシャフト16を上下動および回転可能に支持する支持部材と、シャフト16の両端に配設されシャフト16を合金薄帯20のほうへ押圧するコイルバネとを備えている。このような押圧機構18を有するものとすれば、合金薄帯20に対して加熱処理と同時に加圧処理を行うことがより容易となる。
制御装置15は、加熱ロール12に接触した合金薄帯が、上述した熱処理方法の予備状態生成工程における予備状態生成温度域内になるように、ヒータ14を加熱制御すると共に、図示しないモーターを回転制御する。
以上説明した熱処理方法及び熱処理装置によれば、接触式加熱体を用いるため、合金を急加熱することができ、また、細かな温度管理をすることができる。そして、完全相変態に至る途中の中間相の核を瞬間的に形成・固化することができるため、中間相を任意の段階で止めることができ、所望の中間相生成のバリアントが得られる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、予備状態生成工程以外の工程を含む熱処理方法について記載したが、予備状態生成工程を少なくとも含むものであればよい。即ち、本発明の熱処理方法は、予備状態生成工程のみを含むものとしてもよい。例えば、溶体化処理工程を行った素材を購入して、これに対して予備状態生成工程を行うものとしてもよい。また、予備状態生成工程まで行った合金を製品とし、ユーザーが時効硬化処理工程を行うものとしてもよい。
上述した実施形態では、α相+γ相に関する予備状態生成温度域内となるように合金薄帯を予備状態生成処理するものとしたが(図4)、図6に示すように、多段的に予備状態生成工程を実行するものとしてもよい。図6は、多段的に予備状態生成工程を実行する説明図である。図6では、例えば、α相+η相に関する予備状態生成温度域内となるように合金薄帯を予備状態生成処理したのち(一点鎖線)、α相+γ相に関する予備状態生成温度域内となるように合金薄帯を予備状態生成処理し(実線)、α相+β相に関する予備状態生成温度域内となるように合金薄帯を予備状態生成処理するものとする(二点鎖線)。このように、各相の核を形成することが可能であるため、各相を制御して析出させることに応用可能である。
上述した実施形態では、加熱機構としてのヒータ14を備えた熱処理装置10としたが、特にこれに限定されず、例えば、図7に示すように、加熱された流体が内部を流動する加熱ロール12Bを備えた熱処理装置10Bとしてもよいし、図8に示すように、加熱ロール12Cの外部からこの加熱ロール12Cの該表面を輻射加熱するヒータ14Cを備えた熱処理装置10Cとしてもよい。こうしても、加熱ロールにより合金を加熱することができる。これは、接触式加熱体が加熱ロールでない場合も同様である。
上述した実施形態では、接触式加熱体として1対の加熱ロール12を用いたが、図9に示すように複数のロール対を用いた熱処理装置10Dとしてもよい。このように複数の加熱ロール対で合金薄帯を加熱する場合、ロール対ごとに温度を変えて、より細かな温度管理をすることが可能である。このとき、隣り合うロール同士の表面温度が50℃以上異なり、ロール中立点間を通過する時間(隣り合う処理と処理との間の時間)が5s以下となるような温度−時間曲線を描く処理を行うことが好ましい。また、2組目以降の金属ロールを用いる場合も、合金薄帯を各加熱ロールにより加圧してもよいし加圧しなくてもよい。また、加熱ロールだけでなく、冷却機構を有する冷却ロールを設けてもよい。こうすれば、合金薄帯を急冷することも可能であり、より細かな温度管理をすることが可能である。また、対をなす加熱ロールは上下一対としたが、加熱ロールの配置される方向は特に限定されるものではなく、左右一対としてもよい。また、片側だけのロールを用いてもよい。また、上述した実施形態では、加熱ロール12は回転の接線速度が合金薄帯20の進行速度と一致するように制御可能なものとしたが、これに限定されるものではない。このようなものでも合金薄帯を急加熱することができる。
上述した実施形態では、接触式加熱体として加熱ロール12を用いて連続的に合金薄帯20と接触するものとしたが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、ヒータ14Eを内蔵したブロック状の接触式加熱体12Eを備えた熱処理装置10Eとし、合金薄帯20を断続的に移送すると共に、断続的に合金薄帯20と接触式加熱体12Eとを接触させてもよい。
上述した実施形態では、対をなす加熱ロール12は押圧機構18を備えたものとしたが、押圧機構18を省略してもよい。このとき、加熱ロール12は回転可能に固定されていてもよい。このようにしても合金薄帯を急加熱することができる。
上述した実施形態では、押圧機構18はコイルバネを備えるものとしたが、これに代えて、例えば弾性体、油圧、ガス圧、電磁力、加圧モーター、ギヤー、ネジのいずれか1種以上により押圧力を調整するものなどを用いることができる。このような押圧機構18は、例えば、加熱ロール12の一方にのみ備えられ、他方の加熱ロール12は固定されたものであってもよい。また、加熱ロール12の両方に各々独立して備えられたものであってもよいし、共通して備えられたものであってもよい。
上述した実施形態では、加熱ロール12は、ステンレス製のものとしたが、これに限定されるものではない。加熱ロール12には種々の素材を用いることができるが、金属製であることが好ましい。熱伝導性がよく、急加熱に適しているからである。また、表面をより平滑にすることができる点においても好ましい。耐食性や強度、熱強度の観点からステンレス製であることが好ましい。また、昇温速度をより高めるという観点では、加熱ロール12として熱伝導率の高いキュプロニッケルを用いることが好ましい。また、加熱ロール12は、クロム、ジルコニウム、クロム化合物、ジルコニウム化合物のいずれか1種以上からなる層を表面に有するものとしてもよい。銅と反応性の少ないこれらのコーティングを施すことで、銅合金薄帯を製造する場合にロールへの銅付着を抑制することが可能であり、また、この付着した銅が更に合金薄帯20に転写されることを抑制することができる。この層は、厚さ2μm以上120μm以下であることが好ましく、3μm以上100μm以下であることがより好ましく厚さ5μm以上97μm以下であることがさらに好ましい。2μm以上では剥離が生じにくく、また、ムラのない層とすることが可能だからである。また、120μm以下であれば、加熱ロール12の熱伝導率を低下させずに合金薄帯20を急加熱できるからである。
上述した実施形態では、析出硬化型の合金薄帯の製造方法として説明したが、特にこれに限定されず、例えば、薄帯ではなく棒状体としてもよい。
次に、本発明の熱処理方法により合金薄帯を作製した具体例を実施例として説明する。
[実施例1]
まず、Beを1.90質量%、Coを0.20質量%、残部をCuとするCu−Be−Co系合金を溶解・鋳造後、冷間圧延及び溶体化処理を行い、幅50mm、厚さ0.27mmの素材合金薄帯を準備した。この組成は、事前に化学分析した値であり、厚さはマイクロメーターでの測定値である。溶体化処理は、処理は以下のように行った。まず、冷間圧延した素材合金を窒素雰囲気で0.15MPaとなるように維持した加熱室内で800℃まで加熱した。この温度は、加熱室の終端部付近に設置した熱電対の指示温度である。続いて、加熱した素材合金薄帯を冷却室と繋がる通過口から冷却室内に連続的に搬出し、冷却室に内設された1対の冷却ロールで25℃まで冷却した。このときの冷却速度は、640℃/sであった。この冷却ロールはいずれもステンレス(SUS316)製で、外筒の表面には膜厚5μmの硬質Crめっきを施したものを用いた。冷却に際して、冷却ロールの接線速度は、薄帯の進行速度と一致するようにした。
上述のようにして得られた25℃に保たれた合金薄帯に対して、本発明の予備状態生成工程を行った。予備状態生成工程では、上下対称の1対の加熱板(6.0cm×6.0cm)を用いて上記合金薄帯を加熱処理した。このとき、加熱板の表面温度は231℃とした。なお、この温度は接触式温度計で測定した値である。また、加熱板と合金薄帯との接触時間は1.0secとし、このときの加熱速度は206℃/secであった。このとき、加熱板では、加熱と同時に圧延を行い、加工率dh(%)を5.0%とした。加工率dh(%)は、加工前の薄帯の厚さh0(mm)と加工後の薄帯の厚さh1(mm)をマイクロメーターを用いて測定し、dh=((h0−h1)/h0)×100によって求めた。加熱板はいずれもステンレス製で、外表面には膜厚5μmの硬質Crめっきを施したものを用いた。加熱した合金薄帯は、加熱板との接触後、そのまま空冷した。このようにして予備状態を生成した合金薄帯を、実施例1とした。
[実施例2〜6]
加熱板との接触時間を2.9sec、加熱速度が71℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例2の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を290℃とし、加熱板との接触時間を2.9sec、加熱速度が91℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例3の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を0.1sec、加熱速度が2350℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例4の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が235℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例5の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を2.9sec、加熱速度が81℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例6の合金薄帯を得た。
[実施例7,8]
加工率を3.2%とした以外は実施例5と同様の工程を経て実施例7の合金薄帯を得た。また、加工率を9.9%とした以外は実施例5と同様の工程を経て実施例8の合金薄帯を得た。
[実施例9]
溶体化処理において93℃まで冷却を行い、93℃に保たれた合金薄帯に対して、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が167℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例9の合金薄帯を得た。
[実施例10,11]
Niを2.40質量%、Siを0.60質量%、残部をCuとするCu−Ni−Si系合金を用い、加熱板の表面温度を400℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が375℃/secとなるように加熱し、加工率を3.2%とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例10の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を450℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が425℃/secとなるように加熱し、加工率を5.0%とした以外は実施例10と同様の工程を経て実施例11の合金薄帯を得た。
[実施例12,13]
Tiを3.0質量%、残部をCuとするCu−Ti系合金を用い、加熱板の表面温度を350℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が325℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例12の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を450℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が425℃/secとなるように加熱し、加工率を3.2%とした以外は実施例12と同様の工程を経て実施例13の合金薄帯を得た。
[実施例14,15]
Crを0.3質量%、Zrを0.12質量%、残部をCuとするCu−Cr−Zr系合金を用い、加熱板の表面温度を350℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が325℃/secとなるように加熱し、加工率を3.2%とした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例14の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を450℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が425℃/secとなるように加熱し、加工率を5.0%とした以外は実施例14と同様の工程を経て実施例15の合金薄帯を得た。
[実施例16]
Mgを0.65質量%、Siを0.35質量%、残部をAlとする6061アルミニウム系合金を用い、加熱板の表面温度を150℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が125℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例16の合金薄帯を得た。
[実施例17]
Crを18.3質量%、Niを8.6質量%、残部をFeとするSUS304系合金を用い、加熱板の表面温度を400℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が375℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て実施例17の合金薄帯を得た。
[比較例1〜7]
加熱板の表面温度を227℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が202℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て比較例1の合金薄帯を得た。また、加工率を14%とした以外は比較例1と同様の工程を経て比較例2の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を227℃とし、加熱板との接触時間を3.2sec、加熱速度が63℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て比較例3の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を310℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が285℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て比較例4の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を25℃とし、加熱板との接触時間を2.9sec、加熱速度が0℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て比較例5の合金薄帯を得た。また、溶体化処理において107℃まで冷却を行い、107℃に保たれた合金薄帯に対して、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が153℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て比較例6の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を190℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が165℃/secとなるように加熱した以外は実施例1と同様の工程を経て比較例7の合金薄帯を得た。
[比較例8]
比較例8では、Cu−Ni−Si系合金を用いた。加熱板の表面温度を350℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が325℃/secとなるように加熱した以外は実施例11と同様の工程を経て比較例8の合金薄帯を得た。
[比較例9]
比較例9では、Cu−Ti系合金を用いた。加熱板の表面温度を300℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が275℃/secとなるように加熱した以外は実施例12と同様の工程を経て比較例9の合金薄帯を得た。
[比較例10]
比較例10では、Cu−Cr−Zr系合金を用いた。加熱板の表面温度を300℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が275℃/secとなるように加熱した以外は実施例15と同様の工程を経て比較例10の合金薄帯を得た。
[比較例11]
比較例11では、6061アルミニウム系合金を用いた。加熱板の表面温度を210℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が185℃/secとなるように加熱した以外は実施例16と同様の工程を経て比較例11の合金薄帯を得た。
[比較例12]
比較例12では、SUS304系合金を用いた。加熱板の表面温度を470℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が445℃/secとなるように加熱した以外は実施例17と同様の工程を経て比較例12の合金薄帯を得た。
(DSC評価)
実施例1〜17及び比較例1〜12の合金薄帯について、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC測定)を行った。図11は、実施例2,6および、比較例5のDSC測定結果を示すグラフである。図11には、G.P.ゾーン、γ”相、γ相の基準ピーク位置も示した。上述したDSCの結果から、相析出の状態を評価した。表1は、実施例1〜17及び比較例1〜12の評価結果を示す表である。表1には、評価結果のほか、合金薄帯の製造条件も記載した。また、表2には、表1における判定基準を示した。判定基準において、ピーク位置のずれ以外の項目の数値は、DSCにおける各析出ピークの積分強度である。さらに、表3には、実施例2,3および、比較例5の判定内容の詳細を示した。実施例1〜17では、いずれも、初期析出相(G.P.ゾーン)、後期析出相(γ相)、ピーク位置(基準ピーク位置とのずれ)が良好であった。これに対して、比較例1〜12では、初期析出相、後期析出相、ピーク位置のうちの少なくとも1以上が判定基準を満たしていなかった。なお、表2に示す判定基準は、加熱と同時に圧延をするものに対する判定基準である。このようなものでは、歪みを導入しながら加熱しているため、G.P.ゾーンが既に析出していることが好ましい。また、時効後にγ相が析出しにくいことが好ましい。
[実施例18〜22]
加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が69℃/secとなるように加熱し、加工率が0%となるようにした以外は実施例1と同様の工程を経て実施例18の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を290℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が88℃/secとなるようにした以外は実施例18と同様の工程を経て実施例19の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を1.0sec、加熱速度が235℃/secとなるようにした以外は実施例18と同様の工程を経て実施例20の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が78℃/secとなるようにした以外は実施例18と同様の工程を経て実施例21の合金薄帯を得た。また、溶体化処理において93℃まで冷却を行い、93℃に保たれた合金薄帯に対して加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が56℃/secとなるようにした以外は実施例18と同様の工程を経て実施例22の合金薄帯を得た。
[実施例23]
Niを2.40質量%、Siを0.60質量%、残部をCuとするCu−Ni−Si系合金を用い、加熱板の表面温度を400℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が125℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て実施例23の合金薄帯を得た。
[実施例24]
Tiを3.0質量%、残部をCuとするCu−Ti系合金を用い、加熱板の表面温度を350℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が108℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て実施例24の合金薄帯を得た。
[実施例25]
Crを0.3質量%、Zrを0.12質量%、残部をCuとするCu−Cr−Zr系合金を用い、加熱板の表面温度を350℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が325℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て実施例25の合金薄帯を得た。
[実施例26]
Mgを0.65質量%、Siを0.35質量%、残部をAlとする6061アルミニウム系合金を用い、加熱板の表面温度を150℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が125℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て実施例26の合金薄帯を得た。
[実施例27]
Crを18.3質量%、Niを8.6質量%、残部をFeとするSUS304系合金を用い、加熱板の表面温度を400℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が375℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て実施例27の合金薄帯を得た。
[比較例13,14]
加熱板の表面温度を260℃とし、加熱板との接触時間を3.2sec、加熱速度が73℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て比較例13の合金薄帯を得た。また、加熱板の表面温度を25℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が0℃/secとなるように加熱した以外は実施例18と同様の工程を経て比較例14の合金薄帯を得た。
[比較例15]
比較例15では、Cu−Ni−Si系合金を用いた。加熱板の表面温度を350℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が108℃/secとなるように加熱した以外は実施例23と同様の工程を経て比較例15の合金薄帯を得た。
[比較例16]
比較例16では、Cu−Ti系合金を用いた。加熱板の表面温度を300℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が92℃/secとなるように加熱した以外は実施例24と同様の工程を経て比較例16の合金薄帯を得た。
[比較例17]
比較例17では、Cu−Cr−Zr系合金を用いた。加熱板の表面温度を300℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が92℃/secとなるように加熱した以外は実施例25と同様の工程を経て比較例17の合金薄帯を得た。
[比較例18]
比較例18では、6061アルミニウム系合金を用いた。加熱板の表面温度を210℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が62℃/secとなるように加熱した以外は実施例26と同様の工程を経て比較例18の合金薄帯を得た。
[比較例19]
比較例19では、SUS304系合金を用いた。加熱板の表面温度を470℃とし、加熱板との接触時間を3.0sec、加熱速度が148℃/secとなるように加熱した以外は実施例27と同様工程を経て比較例19の合金薄帯を得た。
(DSC評価)
実施例18〜27及び比較例13〜19の合金薄帯について、DSC測定を行った。図12は、実施例18,19および、比較例14のDSC測定結果を示すグラフである。図12には、G.P.ゾーン、γ”相、γ’相、γ相の基準ピーク位置も示した。上述したDSC測定の結果から、相析出の状態を評価した。表4は、実施例18〜27及び比較例13〜19の評価結果を示す表である。表4には、評価結果のほか、合金薄帯の製造条件も記載した。また、表5には、表4における判定基準を示した。判定基準において、ピーク位置のずれ以外の項目の数値は、DSCにおける各析出ピークの積分強度である。さらに、表6には、実施例18,19および、比較例14の判定内容の詳細を示した。実施例18〜27では、いずれも、初期析出相(G.P.ゾーン)、後期析出相(γ相)、ピーク位置(基準ピーク位置とのずれ)が良好であった。これに対して、比較例13〜19では、初期析出相、後期析出相、ピーク位置のうちの少なくとも1以上が判定基準を満たしていなかった。なお、表5に示す判定基準は、加熱と同時に圧延をしないものに対する判定基準である。このようなものでは、固溶度が高く、時効後の初期析出が多く、γ相が少ない方が好ましい。
[実施例28,29]
実施例28〜41では、合金薄帯の厚さをより具体的に検討した。ここでは、25℃に保たれたCu−Be系の合金薄帯(実施例1と同様)に対して、実施例1と同様の予備状態生成工程を行った。Cu−Be系の合金薄帯の厚さを0.25mmとし、加熱板の表面温度を280℃とし、加熱板と合金薄帯との接触時間を3.0secとし、加工率dh(%)を3.0%として予備状態生成工程を行ったものを実施例28とした。このときの加熱速度は85℃/secであった。また、CuBe系の合金薄帯の厚さを0.25mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例29とした。
[実施例30,31]
Cu−Be系の合金薄帯の厚さを1.50mmとした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例30とした。また、Cu−Be系の合金薄帯の厚さを1.50mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例31とした。
[実施例32,33]
Cu−Be系の合金薄帯の厚さを3.00mmとした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例32とした。また、Cu−Be系の合金薄帯の厚さを3.00mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例33とした。
[比較例20,21]
Cu−Be系の合金薄帯の厚さを3.20mmとした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例20とした。また、Cu−Be系の合金薄帯の厚さを3.20mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例21とした。
[比較例22]
加熱板と合金薄帯との接触時間を0sec、即ち、加熱板と合金薄帯とを接触させない以外は実施例28と同様の処理を行ったものを比較例22とした。
[実施例34,35]
Cu−Ni−Si系の合金薄帯(実施例10)を用い、その厚さを0.25mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例34とした。また、Cu−Ni−Si系の合金薄帯の厚さを1.50mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例35とした。
[実施例36,37]
Cu−Ti系の合金薄帯(実施例12)を用い、その厚さを0.25mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例36とした。また、Cu−Ti系の合金薄帯の厚さを1.50mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例37とした。
[実施例38,39]
Cu−Cr−Zr系の合金薄帯(実施例14)を用い、その厚さを0.25mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例38とした。また、Cu−Cr−Zr系の合金薄帯の厚さを1.50mmとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例39とした。
[実施例40,41]
6061アルミニウム系の合金薄帯(実施例16)を用い、その厚さを0.25mmとし、加熱板の表面温度を200℃とし、加熱板と合金薄帯との接触時間を3.0secとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例40とした。このときの加熱速度は58.0℃/secであった。また、SUS304系の合金薄帯(実施例17)を用い、その厚さを0.25mmとし、加熱板の表面温度を400℃とし、加熱板と合金薄帯との接触時間を3.0secとし、加工率dh(%)を5.0%とした以外は実施例28と同様の予備状態生成工程を行ったものを実施例41とした。このときの加熱速度は125℃/secであった。
[比較例23〜27]
Cu−Ni−Si系の合金薄帯の厚さを3.10mmとした以外は実施例34と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例23とした。また、Cu−Ti系の合金薄帯の厚さを3.20mmとした以外は実施例36と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例24とした。また、Cu−Cr−Zr系の合金薄帯の厚さを3.20mmとした以外は実施例38と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例25とした。また、6061アルミニウム系の合金薄帯の厚さを3.2mmとした以外は実施例40と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例26とした。また、SUS304系の合金薄帯の厚さを3.2mmとした以外は実施例41と同様の予備状態生成工程を行ったものを比較例27とした。
(断面硬度及び表面硬度測定)
予備状態生成工程を経て得られたサンプル(時効硬化処理前)の断面硬度及び表面硬度を測定した。測定は、ビッカース硬度測定装置(Mitutoyo HM−115)を用いて、加重300gにて行った。測定は、得られたサンプルの断面と表面とを別々に行い、その結果をそれぞれ断面硬度(Hv)及び表面硬度(Hv)とした。断面の測定では、試料を円柱形状の長手方向に沿うように樹脂に埋め込み、この樹脂埋めした円柱形状の試料を断面が表面に出るように切断、研磨したのち、合金薄帯の厚さの中心部の硬度を測定した。ここでは、断面硬度と表面硬度との差がビッカース硬度で10Hv以下であることが、より好ましいものと判定した。
(X線回折測定)
予備状態生成工程を経て得られたサンプル(時効硬化処理前)のX線回折測定を行った。測定は、X線回折測定装置(Rigaku RINT1400)を用いて、CuKα線により、2θ=30〜40°で行った。図13は、実施例28,29及び比較例20の合金薄帯のX線回折測定結果の概要である。図13には、γ相とγ’相とCoBe相とを有するサンプル及び、γ相のみ析出したサンプルの測定結果も含めた。図13に示すように、実施例では、γ相の析出がより抑制されていることがわかった。
(評価結果)
表7は、実施例28〜41及び比較例20〜27の評価結果を示す表である。表7には、素材種別、厚さ(mm)、予備状態生成処理前の材料温度(℃)、加熱板温度(℃)、接触時間(sec)、加熱速度(℃/sec)、加工率(%)、断面硬度(Hv)、表面硬度(Hv)、γ相及びγ’相の析出の有無についてまとめて示した。なお、後期析出相は、Cu-Be系ではγ相、Al6000系ではβ相、SUS304系ではσ相である。また、初期析出相は、Cu−Be系ではγ’相であり、Al6000系ではβ”相である。表7に示すように、厚さが0.25〜3.00mmである実施例28〜41では、断面硬度と表面硬度との差がより小さく、断面と表面とで同等、即ちより均一な材料に形成されていることがわかった。これに対して、厚さが3.00mmを超える比較例20,21,23〜27では、断面と表面との硬度差が大きく、均一な材料が得られていないことがわかった。また、比較例20〜27では、γ相などの後期析出相は無く、γ’相などの初期析出相もなかった。これに対して、実施例28〜41では、γ相などの後期析出相がほとんど無く、γ’相などの初期析出相がほとんどあった。したがって、厚さが0.25〜3.00mmの実施例28〜41では、γ’相などの初期析出相を析出し、より好ましい状態であることがわかった。
本発明は、合金の加工分野に利用可能である。
10,10B,10C,10D,10E 熱処理装置、12,12B,12C,12D 加熱ロール、12E 接触式加熱体、14,14E ヒータ、14C 輻射加熱装置、15 制御装置、16 シャフト、18 押圧機構、20 合金薄帯。

Claims (13)

  1. 温度に応じて多段階に変態する析出硬化型又はスピノーダル分解型のCu−Be系合金、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Cr−Zr系合金、および、6000番系又は7000番系のアルミニウム系合金のうち1以上の合金を熱処理する熱処理方法であって、
    溶体化処理工程と、
    前記溶体化処理工程の後に、前記合金の所定の第1温度と前記第1温度より高温である前記合金の所定の第2温度とに基づいて定められる予備状態生成温度域内の所定の温度とした接触式加熱体と、厚さが3.0mm以下に形成された前記合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させて加熱処理を行い、前記合金について予備状態を生成する予備状態生成工程と、
    前記予備状態生成工程の後に、前記予備状態生成工程を経た合金に対して加熱・冷却を行う時効硬化処理工程と、を含み、
    前記第1温度及び第2温度は、それぞれ、前記Cu−Be系合金では230℃と290℃、前記Cu−Ni−Si系合金では400℃と500℃、前記Cu−Ti系合金では350℃と500℃、前記Cu−Cr−Zr系合金では350℃と550℃、前記アルミニウム系合金では100℃と200℃である、
    熱処理方法。
  2. 前記予備状態生成工程では、前記接触式加熱体として加熱機構を有する対をなす加熱ロールを用い、前記対をなす加熱ロールで前記合金を挟み込んで連続的に移動させながら前記加熱処理を行う、請求項1に記載の熱処理方法。
  3. 前記予備状態生成工程では、前記接触式加熱体による圧延率が0.01%以上10%以下となるように前記合金を圧延処理しながら加熱処理を行う、請求項1又は2に記載の熱処理方法。
  4. 前記予備状態生成工程では、前記合金の昇温速度を70℃/sec以上2500℃/sec以下の範囲として前記加熱処理を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱処理方法。
  5. 前記予備状態生成工程では、前記合金の昇温速度を180℃/sec以上で前記加熱処理を行う、請求項4に記載の熱処理方法。
  6. 前記予備状態生成工程では、前記合金の昇温速度を200℃/sec以上で前記加熱処理を行う、請求項4に記載の熱処理方法。
  7. 温度に応じて多段階に変態する析出硬化型又はスピノーダル分解型のCu−Be系合金、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Ti系合金、Cu−Cr−Zr系合金、および、6000番系又は7000番系のアルミニウム系合金のうち1以上の合金を溶体化処理後且つ時効硬化処理前に熱処理する熱処理装置であって、
    接触により前記合金を加熱する接触式加熱体と、
    記接触式加熱体を前記合金の所定の第1温度と前記第1温度より高温である前記合金の所定の第2温度とに基づいて定められる予備状態生成温度域内の所定の温度とし、該接触式加熱体と厚さが3.0mm以下に形成された前記合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させる予備状態生成処理を行う制御手段と、を備え、
    前記第1温度及び第2温度は、それぞれ、前記Cu−Be系合金では230℃と290℃、前記Cu−Ni−Si系合金では400℃と500℃、前記Cu−Ti系合金では350℃と500℃、前記Cu−Cr−Zr系合金では350℃と550℃、前記アルミニウム系合金では100℃と200℃である、
    熱処理装置。
  8. 前記接触式加熱体は、加熱機構を有し前記合金を挟み込むように対をなす加熱ロールである、請求項に記載の熱処理装置。
  9. 前記接触式加熱体は、前記合金を押圧する押圧機構を備えている、請求項又はに記載の熱処理装置。
  10. 前記接触式加熱体は、圧延率が0.01%以上10%以下となるような押圧力で前記合金を圧延する、請求項に記載の熱処理装置。
  11. 前記制御手段は、前記接触式加熱体と前記合金とを0.01sec以上3.0sec以下の時間接触させるに際して、前記合金の昇温速度を70℃/sec以上2500℃/sec以下の範囲とする、請求項10のいずれか1項に記載の熱処理装置。
  12. 前記制御手段は、前記合金の昇温速度を180℃/sec以上とする、請求項11に記載の熱処理装置。
  13. 前記制御手段は、前記合金の昇温速度を200℃/sec以上とする、請求項11に記載の熱処理装置。
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