JP6237986B2 - 固体撮像素子用高屈折率膜形成組成物 - Google Patents
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Description
最近ではデバイスの更なる高精細化達成の為、画素数を増加させる動向が見られる。しかし、画素数が増加すると一画素あたりの面積の縮小によりフォトダイオード上へ入射する光量は減少してしまう。ゆえに光の取り込み効率を上げるため、マイクロレンズ材料やフォトダイオードの埋め込み材には上記特性に加えて高屈折率性が求められている。
例えば、シロキサンポリマーと、ジルコニアまたはチタニアなどを分散させた微粒子分散材料とを混合してなるハイブリッド材料を用いて屈折率を高める手法が報告されている(特許文献1)。
第2観点として、前記式(1)で表される構造単位が下記式(1−1)又は式(1−2)である第1観点に記載の固体撮像素子用膜形成組成物、
第3観点として、前記式(2)で表される構造単位が下記式(2−1)又は式(2−2)である第1観点又は第2観点に記載の固体撮像素子用膜形成組成物、
第4観点として、前記共重合体の重量平均分子量は1,000乃至50,000である第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の固体撮像素子用膜形成組成物、
第5観点として、(B)成分の固形分を100質量部としたときに、前記(A)成分を1乃至20重量部含む、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の固体撮像素子用膜形成組成物、
第6観点として、(B)成分のジルコニア粒子が1.50〜2.20の屈折率を有するものである第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第7観点として、(B)成分のジルコニア粒子が動的光散乱法による平均粒子径が1乃至100nmである第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物、
第8観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載の膜形成組成物を基板上に被覆し焼成して得られる硬化膜、及び
第9観点として、第8観点に記載の硬化膜を平坦化膜として備える固体撮像素子である。
ジルコニア粒子(B)が動的光散乱法による平均粒子径が1乃至100nmであることで、ろ過性が良好であり、膜形成組成物の高透過率を達成できる。(B)成分がジルコニア粒子であることから、チタニア粒子のように400nm近傍に光吸収を有さず、透過率が高くなる。
(B)成分の固形分を100質量部としたときに、前記(A)成分を1乃至20質量部含む組成物とすることで、ジルコニア粒子以外の低屈折率成分を低減できることから高屈折率を維持でき、且つ、耐熱性及び耐光性に優れた被膜を得ることができる。
そして、本願発明によって得られた膜は高屈折率、高透明性、高耐熱性、高耐光性を一度に満たすことが可能であり、高耐光性が要求される固体撮像素子の平坦化膜として好適に用いることができる。
前記式(1)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)は、(メタ)アクリル酸とアルケニルエーテル化合物を反応させて得られる保護されたカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを重合する方法、又は(メタ)アクリル酸の重合体とアルケニルエーテル化合物とを反応させる方法によって得られる。なお、上記(メタ)アクリル酸はアクリル酸及びメタクリル酸のいずれかを意味し、上記(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートのいずれかを意味する。
ここで用いられる上記アルケニルエーテル化合物は下記式(3)で表される。
カルボキシル基を有する化合物とアルケニルエーテル化合物の反応は、例えば、特許第3042033号公報に記載されているように、リン酸エステル類の1つであるリン酸モノオクチルを触媒とし、70℃で攪拌することにより行なうことができる。
前記式(4)で表されるアルケニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ノルボルニルビニルエーテル、1−アダマンチルビニルエーテル、2−アダマンチルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物、フェニルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル化合物、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等のアラルキルビニルエーテル化合物、2,3−ジヒドロフラン、4−メチル−2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−4H−ピラン等の環状ビニルエーテル化合物が挙げられる。
前記式(1)で表される構造単位は、例えば下記式(1−1)又は式(1−2)で表される。
前記式(1)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体例としては、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、1−イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−tert−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−n−ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル(メタ)アクリレート等のモノマーが挙げられる。なお、これらのモノマーは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記式(2)で表される構造単位は、例えば、下記式(2−1)又は式(2−2)で表される。
前記式(2)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の例としては、下記式で表されるモノマーが挙げられる。なお、これらのモノマーは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記共重合体において、前記式(1)で表される構造単位及び前記式(2)で表される構造単位の和に対し、前記式(1)で表される構造単位の含有率は20mol%乃至90mol%であり、好ましくは30mol%乃至80mol%、前記式(2)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至80mol%であり、10mol%乃至80mol%であり、好ましくは20mol%乃至70mol%である。
前記化合物Xの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシフェニル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、インデン、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。
本発明の(C)成分は溶剤である。溶剤は(A)成分を得た溶剤と同様の溶剤が好ましいが、本発明の膜形成組成物の保存安定性を著しく損ねなければ特に限定されない。上述した、一般的な有機溶剤を用いることができる。
本願発明に用いられる(B)成分は1〜100nmの平均粒子径を有するジルコニア粒子(B)であり、上記ジルコニア粒子(B)の屈折率は1.50〜2.20、又は1.50〜1.70、又は1.60〜2.00、又は1.90〜2.20の範囲を選択することができる。
本願発明に用いられる(B)成分は動的光散乱法による平均粒子径が1乃至100nm、又は5〜50nm、又は10nm以下のジルコニア粒子を用いることができる。
上記粒子径については平均粒子径の異なる微粒子を混合して用いても良い。
なお、酸化ケイ素による処理とは、ジルコニア粒子を含む分散体中で粒子表面に、酸化ケイ素粒子を公知の方法で成長させるものである。有機ケイ素化合物、有機金属化合物による処理とは、ジルコニア粒子を含む分散体中に、これらの化合物を添加し、ジルコニア粒子の表面にこれらの化合物、又はこれらの化合物の反応生成物を吸着又は結合させるものである。
本発明の表示デバイス用膜形成組成物及び被膜形成組成物を調製する方法は特に限定されない。(A)成分、(B)成分及び(C)成分が均一に混合した状態であれば良い。成分(A)乃至成分(C)を混合する際の順序は均一なワニスが得られれば問題なく、特に限定されない。
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)以外にその他の成分、例えばレベリング剤、界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352(株式会社トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、F−553、F−554、R−08、R−30、R−30−N(大日本インキ化学工業株式会社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマ−KP341(信越化学工業株式会社製)、BYK−302、BYK−307、BYK−322、BYK−323、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−375、BYK−378(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、等を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし、また二種以上の組み合わせで使用することもできる。界面活性剤が使用される場合、その割合としては、ケイ素化合物(A)100質量部に対して0.0001〜5質量部、または0.001〜1質量部、または0.01〜0.5質量部である。
上記の他の成分、溶剤、レベリング剤若しくは界面活性剤を混合する方法は、自己架橋タイプの共重合体(A)にジルコニア粒子(B)及び溶剤(C)を添加すると同時でも、成分(A)乃至成分(C)混合後であっても良く、特に限定されない。
本発明の膜形成組成物は、基材に塗布し熱硬化することで所望の被膜を得ることができる。塗布方法は、公知又は周知の方法を採用できる。例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を採用できる。その際に用いる基材は、シリコン、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレン(PE)、アイオノマー(IO)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMMA)、ポリメタクリル酸(PMMA)、ナイロン、プラスチック、ガラス、サファイア、石英、ダイヤモンド、セラミックス、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、リン化ガリウム(GaP)、セレン化亜鉛(ZnSe)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)、酸化亜鉛(ZnO)等からなる基材を挙げることができる。
焼成機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、真空中等で焼成させればよい。これにより、均一な製膜面を有する被膜を得ることが可能である。
本願発明の自己架橋タイプの共重合体(A)とジルコニア粒子(B)と溶剤(C)とを含む膜形成組成物は、これら各成分をハイブリッド化してなるワニスが均一分散液となっていることが好ましい。
このようにして得られた本発明の組成物からなる膜は、高屈折率、高透明性、高耐熱性、高耐光性を一度に満たすことが可能であり、高耐光性が要求される固体撮像素子の平坦化膜として好適に用いることができる。
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex KF−804L+KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(以下、THF)
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[紫外線可視分光光度計]
装置:(株)島津製作所製 SHIMADSU UV−3600
[被膜の屈折率/エリプソメーター]
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE。
波長450nmで測定。
装置:ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製 多入射角分光エリプソメーターVASE。
波長450nmで測定。
ジルコニア粒子を膜厚が100nmになるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、シリコン基板にスピンコートし、100℃で1分間、ホットプレートで焼成後、200℃で5分間、ホットプレートで焼成した膜の屈折率を測定した。
〔平均粒子径〕
装置:Beckman Coulter製 N5
ジルコニア粒子分散液を分散媒と同じ溶媒で希釈し、動的光散乱法の粒子径(Unimodalモード、強度平均粒子径)を測定した。
1−n−ブトキシエチルメタクリレート30.0000g(161.07mmol)、グリシジルメタクリレート54.4255g(375.84mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.2864g(26.10mmol)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMEと略す)162.8935gに溶解させた後、この溶液を、PGME100.2422gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(5)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(BG37と略す)の重量平均分子量Mwは21,000(ポリスチレン換算)であった。
1−n−ブトキシエチルメタクリレート50.0000g(268.46mmol)、グリシジルメタクリレート38.1611g(268.46mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.5297g(27.58mmol)をPGME172.14gに溶解させた後、この溶液を、PGME105.9323gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(6)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(BG55と略す)の重量平均分子量Mwは20,000(ポリスチレン換算)であった。
1−n−ブトキシエチルメタクリレート65.0000g(348.99mmol)、グリシジルメタクリレート21.2612g(149.57mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.4321g(26.99mmol)をPGME168.4304gに溶解させた後、この溶液を、PGME103.6494gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(7)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(BG73と略す)の重量平均分子量Mwは18,000(ポリスチレン換算)であった。
テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート40.0000g(235.00mmol)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(サイクロマー(登録商標)M100(ダイセル化学工業(株)製))46.1171g(235.00mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.4247g(26.95mmol)をPGME168.1491gに溶解させた後、この溶液を、PGME103.4764gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(8)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(PE55と略す)の重量平均分子量Mwは12,000(ポリスチレン換算)であった。
1−n−ブトキシエチルメタクリレート80.0000g(429.53mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.1104g(25.03mmol)をPGME156.2050gに溶解させた後、この溶液を、PGME96.1262gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(9)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(HBと略す)の重量平均分子量Mwは14,000(ポリスチレン換算)であった。
グリシジルメタクリレート85.0000g(597.96mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5.138g(26.60mmol)をPGME165.9678gに溶解させた後、この溶液を、PGME102.1341gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(10)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(HGと略す)の重量平均分子量Mwは28,000(ポリスチレン換算)であった。
メタクリル酸30.0000g(348.47mmol)、グリシジルメタクリレート49.5354g(348.47mmol)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0865g(24.89mmol)をPGME155.2978gに溶解させた後、この溶液を、PGME95.5679gを80℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(11)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度25質量%)を得た。得られた共重合体(MG55と略す)の重量平均分子量Mwは23,000(ポリスチレン換算)であった。
ジルコニア分散液;アルコキシシランにより表面処理されたジルコニア粒子を30.5重量%含むプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液(D1と略す)(日産化学工業(株)製)
参考例1で得たジルコニア粒子の各物性値を表1に示す。
表1 ジルコニア粒子の各物性値
――――――――――――――――――――――
略称 D1
粒子種 ジルコニア
平均粒子径(nm) 14
粒子屈折率 1.66
固形分(wt%) 30.5
B型粘度(BLアダプター) 4.3
(mPa・s、20℃)
――――――――――――――――――――――
[実施例1]
20mLナス型フラスコに参考例1で得られた7.0000gのD1を秤量し、次いで、9.6202gのPGMEを加え、合成例1で得た0.4270gのBG37溶液(D1の固形分に対して、自己架橋タイプ共重合体の固形分が5質量%)を加え、界面活性剤として大日本インキ化学工業(株)製のR−30−NをPGMEで希釈し1質量%とした溶液0.2135gを加え、室温で完全に均一になるまで混合し、固形分の総質量が13.0質量%のワニス(V1と略す)を得た。
V1の被膜の焼成後の膜厚は200.5nmであり、これを初期膜厚とした。被膜をPGMEに完全に浸漬させ5分間放置した。次いで、エアーで乾燥後、200℃のホットプレートで1分間焼成し、残留溶剤を完全に蒸発させた後、膜厚を測定し、初期膜厚を100%として比較し、その結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1のBG37を合成例2で得たBG55に置き換えた以外は実施例1と同様に操作し、ワニス(V2と略す)を得た。実施例1と同様に焼成し被膜を得た。屈折率、平均透過率、溶剤耐性を測定した結果を表2に示す。
実施例1のBG37を合成例3で得たBG73に置き換えた以外は実施例1と同様に操作し、ワニス(V3と略す)を得た。実施例1と同様に焼成し被膜を得た。屈折率、平均透過率、溶剤耐性を測定した結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1のBG37を合成例4で得たPE55に置き換えた以外は実施例1と同様に操作し、ワニス(V4と略す)を得た。実施例1と同様に焼成し被膜を得た。屈折率、平均透過率、溶剤耐性を測定した結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1のBG37を合成例5で得たHBに置き換えた以外は実施例1と同様に操作し、ワニス(RV1と略す)を得た。実施例1と同様に焼成し被膜を得た。屈折率、平均透過率、溶剤耐性を測定した結果を表2に示す。
実施例1のBG37を合成例6で得たHGに置き換えた以外は実施例1と同様に操作し、ワニス(RV2と略す)を得た。実施例1と同様に焼成し被膜を得た。屈折率、平均透過率、溶剤耐性を測定した結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1のBG37を合成例7で得たMG55に置き換えた以外は実施例1と同様に操作し、ワニス(RV3と略す)を得た。しかし、RV3は室温で完全に均一になるまで混合している最中にゲル化してしまい、ワニスとして保存安定性が極めて悪かった。
実施例2と比較例3とを比較すると、カルボン酸がブロック化されていることでワニスの保存安定性が良好になることが明確化した。
[実施例5]
20mLナス型フラスコに参考例1で得られた5.0000gのD1を秤量し、次いで、9.4054gのPGMEを加え、合成例1で得た3.0500gのBG37溶液(D1の固形分に対して、自己架橋タイプ共重合体の固形分が50質量%)を加え、界面活性剤として大日本インキ化学工業(株)製のR−30−NをPGMEで希釈し1質量%とした溶液0.1525gを加え、室温で完全に均一になるまで混合し、固形分の総質量が13.0質量%のワニス(RV4と略す)を得た。
表2 被膜の波長450nmにおける屈折率、平均透過率及び溶剤耐性
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
屈折率[波長450nm] 平均透過率[%] 溶剤耐性[%]
実施例1 1.6422 98.5 100
実施例2 1.6430 98.5 100
実施例3 1.6435 98.5 100
実施例4 1.6359 98.5 100
比較例1 1.6444 98.5 88
比較例2 1.6312 98.5 90
実施例5 1.5231 98.2 100
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エッジビードリンス(EBRと略す)はシリコンウェハ上に膜をスピンコートで製膜した後、仮乾燥までの間にレジスト溶剤でウェハのエッジ付近の膜を洗浄する工程である。EBRでウェハのエッジを洗浄できないと、塗布装置のウェハ搬送アームを汚染し、安定的に製造できない問題が発生する場合がある。EBR工程は固体撮像素子の膜作製工程で必須の工程である。
[実施例6]
実施例1乃至実施例4で得た、V1乃至V4のワニスを用いてEBR試験を行った。EBRは東京エレクトロン(株)製 クリーントラックアクト8を用いて行い、EBR溶剤はPGMEとPGMEAとが70:30(質量%)の割合で混合されたシンナーを用いた。
[比較例5]
20mLナス型フラスコに参考例1で得られた8.0000gのD1を秤量し、次いで、10.5440gのPGMEを加え、自己架橋タイプ共重合体を加えずに、界面活性剤として大日本インキ化学工業(株)製のR−30−NをPGMEで希釈し1質量%とした溶液0.2440gを加え、室温で完全に均一になるまで混合し、固形分の総質量が13.0質量%のワニス(RV5と略す)を得た。
<耐光性試験>
耐光性試験における、光照射は一般財団法人日本ウエザリングテストセンターにて行い、照度が38.7W/m2、露光波長が320nm乃至400nmのキセノンアークランプを光源とした。試験機はスガ試験機(株)製 SX75−AP型を用いた。試験環境は温度が42±3℃、相対湿度が50±5%RHとした。
[実施例7]
実施例1で作製したV1の被膜の耐光性試験を行った。光照射時間は62.5時間とし、光照射前後の膜厚、屈折率、平均透過率を測定した。その結果を表3に示す。
[実施例8]
実施例2で作製したV2の被膜の耐光性試験を実施例6と同様に行った。その結果を表3に示す。
実施例3で作製したV3の被膜の耐光性試験を実施例6と同様に行った。その結果を表3に示す。
[実施例10]
実施例4で作製したV4の被膜の耐光性試験を実施例6と同様に行った。その結果を表3に示す。
[比較例6]
比較例1で作製したRV1の被膜の耐光性試験を実施例6と同様に行った。その結果を表3に示す。
[比較例7]
比較例2で作製したRV2の被膜の耐光性試験を実施例6と同様に行った。その結果を表3に示す。
表3 被膜の耐光性試験結果
――――――――――――――――――――――――――――――――――
膜厚 屈折率 平均透過率
[nm] [波長450nm] [%]
実施例7 試験前 200.5 1.6422 98.5
試験後 200.4 1.6434 98.5
実施例8 試験前 200.8 1.6430 98.5
試験後 200.5 1.6432 98.5
実施例9 試験前 200.9 1.6435 98.5
試験後 200.8 1.6436 98.5
実施例10 試験前 200.1 1.6359 98.5
試験後 200.0 1.6361 98.5
比較例6 試験前 200.4 1.6444 98.5
試験後 180.3 1.6637 95.2
比較例7 試験前 200.5 1.6312 98.5
試験後 179.5 1.6591 94.5
――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方で、比較例6乃至比較例7は膜厚が減少、屈折率が増加、透過率が低下する結果となった。この結果は、耐光性試験中に被膜中の未反応基である水酸基及びカルボキシル基が反応した、若しくは不十分な架橋であるために低分子成分が着色した結果と考えられる。
以上のことから、本発明の組成物からなる膜は、高屈折率、高透明性、高耐熱性、高耐光性を一度に満たすことが可能であり、高耐光性が要求される固体撮像素子の平坦化膜として好適に用いることができる。
Claims (8)
- 下記式(1)及び式(2)で表される構造単位を含む共重合体(A)と、1乃至100nmの平均粒子径を有するジルコニア粒子(B)と、溶剤(C)とを含み、前記式(1)で表される構造単位が下記式(1−1)又は式(1−2)である固体撮像素子用膜形成組成物。
- 前記共重合体の重量平均分子量は1,000乃至50,000である請求項1又は請求項2に記載の固体撮像素子用膜形成組成物。
- (B)成分の固形分を100質量部としたときに、前記(A)成分を1乃至20重量部含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の固体撮像素子用膜形成組成物。
- (B)成分のジルコニア粒子が1.50〜2.20の屈折率を有するものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
- (B)成分のジルコニア粒子が動的光散乱法による平均粒子径が1乃至100nmである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の膜形成組成物。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の膜形成組成物を基板上に被覆し焼成して得られる硬化膜。
- 請求項7に記載の硬化膜を平坦化膜として備える固体撮像素子。
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