以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの右側面図、図3はコンバインの平面図である。図1〜図3を参照して、コンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1〜図3に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む4条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀粒タンク7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向左側に、穀粒タンク7が走行機体1の前進方向右側に配置される。走行機体1の後部に旋回可能な排出コンベヤ8が設けられ、穀粒タンク7の内部の穀粒が、排出コンベヤ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。刈取装置3の右側方で、穀粒タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、変速レバー13と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチを入り切り操作する作業クラッチレバーなどを配置している。なお、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップ(図示省略)と、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラムと、前記各レバー及びスイッチ等を設けたレバーコラムとが配置されている。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン14が配置されている。
図1、図2に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
図1、図2に示す如く、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム31の下方には、圃場に植立した未刈り穀稈(穀稈)の株元を切断するバリカン式の刈刃装置32が設けられている。刈取フレーム31の前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置33が配置されている。穀稈引起装置33とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置32によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置34が配置される。なお、穀稈引起装置33の下部前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を分草する4条分の分草体が突設されている。エンジン14にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3によって圃場に植立した未刈り穀稈を連続的に刈取るように構成している。
次に、図4を参照してコンバインの駆動構造を説明する。図4に示す如く、穀稈引起装置33は、分草板によって分草された未刈穀稈を起立させる複数の引起タイン128を有する4条分の引起ケース129を有する。穀稈搬送装置224は、右側2条分の引起ケース129から導入される右側2条分の穀稈の株元側を掻込む左右の右スターホイル130R及び左右の右掻込ベルト131Rと、左側2つの引起ケース129から導入される左側2条分の穀稈の株元側を掻込む左右の左スターホイル130L及び左右の左掻込ベルト131Lとを有する。
刈刃装置32は、右スターホイル130R及び左右の右掻込ベルト131R、左スターホイル130L及び左右の左掻込ベルト131Lによって掻込まれた4条分の穀稈の株元を切断するバリカン形の左右の刈刃132を有する。
また、穀稈搬送装置34は、右側2条分のスターホイル130R及び掻込ベルト131Rによって掻込まれた右側2条分の刈取穀稈の株元側を後方に搬送する右株元搬送チェン133Rと、左側2条分のスターホイル130L及び掻込ベルト131Lによって掻込まれた左側2条分の刈取穀稈の株元側を右株元搬送チェン133Rの搬送終端部に合流させる左株元搬送チェン133Lとを有する。左右の株元搬送チェン133R,133Lによって、右株元搬送チェン133Rの搬送終端部に、4条分の刈取穀稈の株元側を合流させる。
穀稈搬送装置34は、右株元搬送チェン133Rから6条分の刈取穀稈の株元側を受継ぐ穀稈搬送手段としての縦搬送チェン134と、縦搬送チェン134の搬送終端部からフィードチェン6の搬送始端部に4条分の刈取穀稈の株元側を搬送する補助搬送手段としての補助株元搬送チェン135とを有する。縦搬送チェン134から、補助株元搬送チェン135を介して、フィードチェン6の搬送始端部に、4条分の刈取穀稈の株元側を搬送する。
穀稈搬送装置34は、右株元搬送チェン133Rにて搬送される右側2条分の刈取穀稈の穂先側を搬送する右穂先搬送タイン137Rと、左株元搬送チェン133Lにて搬送される左側2条分の刈取穀稈の穂先側を搬送する左穂先搬送タイン137Lとを有する。縦搬送チェン134にて4条分の刈取穀稈の株元が挟持搬送され、4条分の刈取穀稈の穂先側が右穂先搬送タイン137Rの送り終端側にて搬送され、脱穀装置5の扱胴55設置室内に、刈取装置3で刈取った4条分の刈取穀稈の穂先側が搬送されて、穀粒が脱粒される。
加えて、図4に示す如く、刈取り入力軸17に、縦伝動軸140及び横伝動軸141及び左搬送駆動軸142を介して引起横伝動軸143を連結する。引起横伝動軸143は、4条分の各引起ケース129の引起タイン駆動軸144にそれぞれ連結している。刈取フレーム31の前端側に引起ケース129が立設され、引起ケース129の上端側の背面から引起タイン駆動軸144を突出している。引起タイン駆動軸144及び引起横伝動軸143を介して、複数の引起タイン128を設けた引起タインチェン128aが駆動される。
図4に示す如く、横伝動軸141に左右のクランク軸145を介して左右の刈刃132を連結する。横伝動軸141を介して左右の刈刃132を同期させて駆動するように構成している。なお、刈刃装置32は、4条分の刈幅の中央部で分割して左右の刈刃132を形成し、左右の刈刃132を相反する方向に往復移動させ、往復移動によって発生する左右の刈刃132の振動(慣性力)を相殺可能に構成している。
図4に示す如く、刈取り入力軸17に縦伝動軸140の一端側を連結する。縦伝動軸140の他端側に横伝動軸141を連結する。縦伝動軸140及び横伝動軸141から穀稈搬送装置34の各駆動部に刈取り入力軸17の回転力を伝える。即ち、縦伝動軸140には、右搬送駆動軸146を連結している。縦伝動軸140及び右搬送駆動軸146を介して、右株元搬送チェン133R及び右穂先搬送タイン137Rと、右スターホイル130R及び右掻込ベルト131Rとを駆動するように構成している。また、縦伝動軸140及び後搬送駆動軸147を介して、補助株元搬送チェン135及び右穂先搬送タイン137Rを駆動するように構成している。
また、横伝動軸141の左端側に左搬送駆動軸142を連結している。左搬送駆動軸142を介して、左株元搬送チェン133L及び左穂先搬送タイン137Lと、左スターホイル130L及び左掻込ベルト131Lとを駆動するように構成している。
次に、図1及び図2、図4を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示す如く、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴55と、扱胴55の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤56及び唐箕ファン57などを備えている。なお、扱胴55の回転軸芯線は、フィードチェン6による穀稈の搬送方向(走行機体1の進行方向)に沿って延びている。刈取装置3から穀稈搬送装置34によって搬送された穀稈の株元側は、フィードチェン6に受け継がれて挟持搬送される。そして、この穀稈の穂先側が脱穀装置5の扱室内に搬入されて扱胴55にて脱穀される。
図1に示す如く、揺動選別盤56の下方側には、揺動選別盤56にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ58と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ59とが設けられている。本実施形態の両コンベヤ58,59は、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ58、二番コンベヤ59の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。前記した揺動選別盤56と、唐箕ファン57と、一番コンベヤ58と、二番コンベヤ59等によって、穀物選別機構62を構成している。
揺動選別盤56から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン57からの選別風によって除去され、一番コンベヤ58に落下することになる。一番コンベヤ58の穀粒タンク7寄りの終端部には、上下方向に延びる揚穀コンベヤ60が連通接続されている。一番コンベヤ58から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ60を介して穀粒タンク7に搬入され、穀粒タンク7に収集される。
なお、揺動選別盤56は、揺動選別(比重選別、唐箕風選別)によって枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ59に落下させる。二番物は、二番コンベヤ59の終端部から還元コンベヤを介して、揺動選別盤56前部の上面側に戻されて再選別されるように構成している。一方、フィードチェン6の後端側から排藁チェンに受継がれた排藁は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後部に設けられた排藁カッタにて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
さらに、図4に示す如く、エンジン14の左側に突出させた出力軸150に走行駆動ベルト151を介してミッションケース88の走行入力軸152を連結する。エンジン14の回転駆動力がミッションケース88に伝達されて変速された後、左右の車軸153を介して左右の走行クローラ2に伝達され、左右の走行クローラ2がエンジン14の回転力によって駆動されるように構成している。
図4に示す如く、エンジン14を冷却するためのラジエータ用の冷却ファン154が、エンジン14の右側に突出した出力軸150にて駆動される。また、エンジン14の右側の出力軸150に排出オーガ駆動軸157を連結し、エンジン14の回転駆動力によって排出オーガ駆動軸157を介して排出コンベヤ8が駆動され、穀粒タンク7内の穀粒がコンテナ等に排出されるように構成している。
次に、図4、図5を参照して、カウンタケース(ギヤケース)89等の動力伝達構造を説明する。図4、図5に示す如く、刈取装置3及び脱穀装置5の各部にエンジン14の回転駆動力を伝えるカウンタケース(ギヤケース)89を備える。脱穀装置5の各部にエンジン14の回転駆動力を伝える脱穀選別作業入力軸165と、扱胴55及び処理胴61に脱穀選別作業入力軸165の回転駆動力を伝える扱胴駆動横軸160を、カウンタケース89に配置する。エンジン14の左側の出力軸150には、テンションローラ形脱穀クラッチ161及び脱穀駆動ベルト162を介して、脱穀選別作業入力軸165の右側端部を連結する。
また、脱穀選別作業入力軸165に第1べべルギヤ166a,166bを介して扱胴駆動縦軸167の下端部を連結させ、扱胴駆動縦軸167の上端部に第2べべルギヤ168a,168bを介して扱胴駆動横軸160の後端部を連結させる。即ち、左右向きに延設させた脱穀選別作業入力軸165の中間部に、上下向きに垂直に延設させた扱胴駆動縦軸167の下端部を連結させ、脱穀選別作業入力軸165の一定回転動力が扱胴駆動縦軸167を介して扱胴駆動横軸160に伝達されるように構成している。
加えて、図4に示す如く、扱胴駆動横軸160には、扱胴駆動プーリ116及び扱胴駆動ベルト117を介して扱胴55を軸支した扱胴軸163と、処理胴61を軸支した処理胴軸164とを連結する。エンジン14の略一定回転数の回転力によって、扱胴55及び処理胴61が所定回転数(低速回転数又は高速回転数)で回転するように構成している。また、エンジン14の略一定回転数の回転力によって、脱穀選別作業入力軸165を介して、揺動選別盤56、唐箕ファン57、一番コンベヤ58、二番コンベヤ59、排塵ファン及び排藁チェン及び排藁カッタなどを含む穀物選別機構62が略一定回転数で回転駆動されるように構成している。
さらに、図4〜図18に示す如く、エンジン14の左側方で、脱穀装置5の前側方の走行機体1上に、カウンタケース89を設けている。カウンタケース89には、上述した扱胴駆動横軸160と、扱胴駆動横軸160に連結する脱穀選別作業入力軸165と、ミッションケース88のPTO軸99に連結する車速同調軸100と、脱穀選別作業入力軸165又は車速同調軸100に連結する刈取伝動軸101と、刈取り入力軸17に連結する刈取駆動軸102と、フィードチェン6を駆動するフィードチェン駆動軸103とを配置している。脱穀駆動プーリ118及び脱穀駆動ベルト162を介して、エンジン14の出力軸15が脱穀選別作業入力軸165に連結されている。刈取装置3及び脱穀装置5に脱穀選別作業入力軸165から刈取駆動力及び脱穀駆動力を伝達させる。PTOプーリ119、PTOベルト120、PTOカウンタ軸121上のPTOカウンタプーリ122a,122b、車速同調プーリ104、車速同調ベルト123を介して、ミッションケース88のPTO軸99が車速同調軸100に連結され、カウンタケース89にPTO軸99から車速同調駆動力を伝達させる。
図5に示す如く、カウンタケース89内の車速同調軸100上に、刈取装置3に車速同調軸100の車速同調回転力を伝える一方向クラッチ105を設ける。車速同調軸100に、刈取変速機構108と一方向クラッチ105とを介して、刈取伝動軸101を連結する。刈取変速機構108は、低速側変速ギヤ106と高速側変速ギヤ107とを有する。低速及び中立(零回転)及び高速の各刈取変速を行う刈取変速操作手段(図示省略)と刈取変速スライダ108aによって低速側変速ギヤ106又は高速側変速ギヤ107を刈取伝動軸101に択一的に係合させ、車速同調軸100から刈取変速機構108を介して刈取伝動軸101に刈取変速出力を伝えるように構成している。
図5に示す如く、脱穀選別作業入力軸165に一定回転機構111を介して刈取伝動軸101を連結する。一定回転機構111は、低速側一定回転ギヤ109と高速側一定回転ギヤ110とを有する。低速及び中立(零回転)及び高速の各一定回転変速を行う一定回転変速操作手段(図示省略)と一定回転切換スライダ111aによって低速側一定回転ギヤ109又は高速側一定回転ギヤ110を刈取伝動軸101に択一的に係合させ、脱穀選別作業入力軸165から一定回転機構111を介して刈取伝動軸101に一定回転変速出力を伝えるように構成している。
また、刈取伝動軸101にトルクリミッタ114を介して刈取駆動軸102を連結する。刈取駆動軸102に、刈取駆動プーリ124及び刈取駆動ベルト125を介して刈取り入力軸17を連結させ、刈取装置3に刈取駆動軸102から刈取駆動力を伝達させる。刈取作業の維持に必要な一定回転数の回転出力が低速側一定回転ギヤ109を介して脱穀選別作業入力軸165から刈取伝動軸101に伝達される。したがって、走行機体1の移動速度に関係なく、低速側一定回転ギヤ109からの一定回転数で刈取り入力軸17を作動させて刈取作業を維持でき、圃場の枕地での方向転換作業性等を向上できる。脱穀選別プーリ126及び選別駆動ベルト127を介して、脱穀選別作業入力軸165が唐箕ファン57又は一番コンベヤ58等に連結され、脱穀装置5の穀物選別機構62(唐箕ファン57等)に脱穀選別作業入力軸165から脱穀駆動力を伝達させる。
また、車速同調軸100及び高速側変速ギヤ107からの車速同調出力の最高速よりも早い一定回転数の回転出力が高速側一定回転ギヤ110を介して脱穀選別作業入力軸165から刈取伝動軸101に伝達される。したがって、車速同調出力の最高速よりも早い高速側一定回転ギヤ110からの一定回転数で刈取り入力軸17を作動でき、倒伏穀稈の刈取り作業性等を向上できる。なお、トルクリミッタ114によって設定したトルク以下の回転力で刈取り入力軸17が作動して、刈刃132等が損傷するのを防止している。
カウンタケース89には、脱穀選別作業入力軸165にフィードチェン駆動軸103を連結する遊星ギヤ形変速構造のフィードチェン同調機構112と、フィードチェン同調機構112にフィードチェンクラッチ113aを介して連結するフィードチェンクラッチ軸113と、フィードチェンクラッチ軸113にフィードチェン駆動軸103を連結するドライブチェン115が設けられている。脱穀選別作業入力軸165の回転出力が、フィードチェン同調機構112によって刈取伝動軸101の回転数に比例して変速されて、フィードチェン駆動軸103に伝達される。即ち、フィードチェン同調機構112を介してフィードチェン6を作動することによって、穀稈の搬送に必要な最低回転数(低速側一定回転ギヤ109からの一定回転数)を確保し乍ら、フィードチェン6の穀稈搬送速度を車速と同調させて変更可能に構成している。
また、左側本体ケース91にドライブチェン115を内装し、左側サブケース体93にフィードチェンクラッチ113aを内装しているから、左側サブケース体93のフィードチェンクラッチ113a支持部を部分的に膨出形成して、左側サブケース体93のフィードチェンクラッチ113a支持部以外の部分の左右幅をコンパクトに形成でき、左側サブケース体93を軽量に形成できる。なお、ドライブチェン115にて左側本体ケース91底部の作動油がフィードチェン駆動軸103に向けて跳ね掛けられるから、高位置に支持されるフィードチェン駆動軸103の潤滑が良好に実行される。
次に、図4、図6を参照して、ミッションケース88等の動力伝達構造を説明する。図4、図6に示す如く、ミッションケース88に、1対の直進用第1油圧ポンプ(HST走行ポンプ)及び直進用第1油圧モータ(HST走行モータ)を有する直進(走行主変速)用の油圧式無段変速機構53と、1対の旋回用第2油圧ポンプ(HST旋回ポンプ)及び旋回用第2油圧モータ(HST旋回モータ)を有する旋回用の油圧式無段変速機構54とを設ける。また、ミッションケース88からこの左外側にPTO軸99の一端側を突設させ、PTO軸99上にPTOプーリ119を設け、PTOプーリ119にPTOベルト120を掛け回している。
図4、図6に示す如く、エンジン14の出力軸150から出力される駆動力は、走行駆動ベルト151及び走行入力軸152を介して、直進用油圧式無段変速機構53と旋回用油圧式無段変速機構54にそれぞれ伝達される。
なお、直進用油圧式無段変速機構53は、操縦部9に配置された変速レバー13や操縦ハンドル11の操作量に応じて、油圧ポンプ斜板の傾斜角度を変更調節して、直進用出力の回転方向及び回転数を任意に調節する一方、旋回用油圧式無段変速機構54は、操縦部9に配置された変速レバー13や操縦ハンドル11の回動操作量に応じて、2油圧ポンプ斜板の傾斜角度を変更調節して、旋回用出力の回転方向及び回転数を任意に調節するものであり、直進用油圧式無段変速機構53と旋回用油圧式無段変速機構54からの変速出力は、左右の走行クローラ2の駆動スプロケット22にそれぞれ伝達され、走行機体1の車速(走行速度)及び進行方向が決定される。
また、図16〜図18に示す如く、刈取変速機構108の刈取変速スライダ108aを作動させる刈取変速シリンダ71と、一定回転機構111の一定回転切換スライダ111aを作動させる刈取定速シリンダ72とを備える。刈取変速シリンダ71と刈取定速シリンダ72は、カウンタケース89の上面蓋に配置する。前記カウンタケース89内のフォーク軸73に、刈取変速スライダ108aを切換える変速フォーク74、並びに一定回転切換スライダ111aを切換える定速フォーク75を軸芯方向に摺動自在に設け、変速フォーク74を中立から高速又は標準(低速)出力側に切換える一方、定速フォーク75を中立から高速一定回転側または低速一定回転側に切換えるように構成している。
さらに、図6〜図15に示す如く、走行機体1の上面の右側にエンジン14が搭載され、走行機体1の左右幅中央の前方にミッションケース88が設置され、走行機体1の上面の左側にカウンタケース89が配置されている。左右方向に延長されたエンジン14の出力軸150の左側端部に出力プーリ149を軸支し、出力プーリ149に、ミッションケース88の走行駆動ベルト151と、カウンタケース89の脱穀駆動ベルト162を掛け回している。その構成により、ミッションケース88とカウンタケース89にエンジン14の出力がそれぞれ伝達される。
図6〜図14に示す如く、走行機体1の上面のうち、脱穀装置5前方の上面に、刈取り支点フレーム35を立設させ、刈取り支点フレーム35の上面に左右の軸受体36を介して刈取回動支点軸4aを回動可能に軸支する。なお、刈取り支点フレーム35右側の走行機体1上面に補助フレーム37を立設させ、刈取り支点フレーム35右側上面と補助フレーム37上面に亘って天板体38を固着し、天板体38の水平な上面に右の軸受体36を取付けている。なお、図10、図11に示す如く、補助フレーム37にカウンタ軸受48を締結固定し、カウンタ軸受48にPTOカウンタ軸121を回動可能に軸支している。
また、エンジン14内装用のエンジンルームの一部を形成する柱状フレーム39を備える。天板体38の水平な上面に柱状フレーム39を立設させ、柱状フレーム39の上端部にコンベヤ支持体40を固着し、コンベヤ支持体40を介して排出コンベヤ8を収納(非作業)位置に支持する(図1、図2参照)。加えて、脱穀クラッチ161を切換える脱穀入力アクチュエータとしての脱穀クラッチ用電動モータ41を備える。柱状フレーム39の中間部にクラッチ操作フレーム42を締結固定し、脱穀クラッチ用電動モータ41と、クラッチ切換ギヤ43及びクラッチ切換アーム44などを、脱穀クラッチ操作フレーム42に配置すると共に、テンションローラ状の脱穀クラッチ161を支持するテンションアーム45にテンションバネ46を介してクラッチ切換アーム44を連結している。
上記の構成により、脱穀クラッチ用電動モータ41をクラッチ入り作動させて、脱穀クラッチ161を入り動作させることによって脱穀駆動ベルト162が緊張状態に維持され、カウンタケース89にエンジン14の出力が伝達される一方、脱穀クラッチ161の切り動作(電動モータ41クラッチ切り作動)にて脱穀駆動ベルト162が弛緩状態に維持される。なお、エンジンルームの一部を形成するフレーム部材、または排出コンベヤ8を収納位置に支持する支持部材、または脱穀クラッチ操作フレーム42を支持する支持部材として、柱状フレーム39を活用できる。
即ち、エンジン14と脱穀装置5間の狭少空間の高位置(組付け作業またはメンテナンス作業がしやすい位置)に形成されるスペースを利用して、脱穀クラッチ用電動モータ41などの脱穀クラッチ入り切り機構をコンパクトに支持できるものでありながら、脱穀クラッチ用電動モータ41などの脱穀クラッチ入り切り機構が設置されるスペースをカウンタケース89側に確保する必要がないから、カウンタケース89の右側に近接させて脱穀駆動プーリ118を支持できる。脱穀クラッチ用電動モータ41または脱穀クラッチ入り切り機構などに規制されることなく、脱穀選別作業入力軸165の延長に伴う軸受構造の高剛性化などを不要にして、大きな変速比(減速比)が設定可能な大径の脱穀駆動プーリ118を簡単に設置できる。
一方、図10〜図12に示す如く、前記補助フレーム37の前面にカウンタ軸受体48を介してPTOカウンタ軸121が回転自在に軸支されている。PTOカウンタ軸121上のPTOカウンタプーリ122aとPTOプーリ119の間にPTOベルト120を掛け回している。また、PTOカウンタ軸121上のPTOカウンタプーリ122bと車速同調プーリ104の間に車速同調ベルト123を掛け回している。その構成により、PTO軸99から車速同調軸100にミッションケース88の車速同調駆動力が伝達される。
図1、図4、図6〜図12に示す如く、走行機体1前部に刈取り支点フレーム35を立設させ、刈取り支点フレーム35に刈取装置3を昇降動可能に支持させると共に、エンジン14から脱穀装置5や刈取装置3に動力を伝達させるカウンタケース89を備え、脱穀装置5と刈取り支点フレーム35間にカウンタケース89を配置したコンバインにおいて、刈取り支点フレーム35の右側上面にキャビン支柱としての柱状フレーム39を立設させ、柱状フレーム39の中間部に脱穀クラッチ操作部としての脱穀クラッチ用電動モータ41を配置している。したがって、柱状フレーム39を兼用して脱穀クラッチ操作部41を支持でき、脱穀クラッチ用電動モータ41を組付けるための構成部品数を削減できる。また、脱穀クラッチ用電動モータ41を組付けるための場所をカウンタケース89側に確保する必要がないから、カウンタケース89(扱胴駆動プーリ116設置部)の前後幅をコンパクトに形成できる。
図5、図10、図11に示す如く、エンジン14からカウンタケース89に動力を伝達させるPTOベルト120と車速同調ベルト123とPTOカウンタプーリ122a,122bを配置させるPTOカウンタ軸121を備える構造であって、刈取り支点フレーム35の右側に補助フレーム37を並設させ、刈取り支点フレーム35と補助フレーム37にて柱状フレーム39の下端部を支持すると共に、補助フレーム37にカウンタ軸受体48を介してPTOカウンタ軸121を軸支している。したがって、刈取り支点フレーム35及び補助フレーム37を活用して、運転キャビン10と、脱穀クラッチ用電動モータ41(脱穀クラッチ操作部)と、PTOベルト120または車速同調ベルト123が掛け回されるPTOカウンタプーリ122a,122bなどを、集中的に支持でき、脱穀装置5と運転キャビン10間の狭少空間を容易に有効利用できる。
さらに、図12、図15、図16に示す如く、カウンタケース89は、上面蓋90と、左側本体ケース91と、右側本体ケース92と、左側サブケース体93とを有する。左側本体ケース91の上面に、上面開口を閉塞するように、上面蓋90を締結する。左側本体ケース91の右側面に、右側面開口を閉塞するように、右側本体ケース92を締結する。左側本体ケース91の左側面に、左側面開口を閉塞するように、左側サブケース体93を締結する。また、左側本体ケース91内には、刈取変速機構108又は一定回転機構111などが配置される。一方、左側サブケース体93内には、フィードチェン同調機構112またはトルクリミッタ114などが配置される。
図14〜図18に示す如く、右側本体ケース92内には、第1べべルギヤ166a,166bと、扱胴駆動縦軸167と、第2べべルギヤ168a,168bと、扱胴駆動横軸160が配置される。右側本体ケース92の上面側を上方に向けて突出させて駆動軸支持部92aを形成する。右側本体ケース92の上方延設部に、第1べべルギヤ166a,166bと、扱胴駆動縦軸167と、第2べべルギヤ168a,168bを内設させ、右側本体ケース92の上方延設部に扱胴駆動縦軸167を略垂直に内設させると共に、右側本体ケース92の上方延設部の上端部から前方に向けて駆動軸支持部92aを水平に突設させ、右側本体ケース92上面高位置の駆動軸支持部92aに扱胴駆動横軸160を軸支させ、駆動軸支持部92a(右側本体ケース92)に扱胴駆動横軸160を略水平に内設させる。
即ち、左右向きに延設させた脱穀選別作業入力軸165に第1べべルギヤ166a,166bを介して扱胴駆動横軸160の下端側を連結すると共に、扱胴駆動横軸160の上端側に第2べべルギヤ168a,168bを介して扱胴駆動横軸160の後端側を連結し、扱胴駆動横軸160の前端側に扱胴駆動プーリ116を軸支させる。駆動軸支持部92aの前端側から前方に向けて扱胴駆動横軸160の前端側を突設させ、扱胴駆動横軸160前端側の突設部に扱胴駆動プーリ116を軸支させ、左側本体ケース91の前後幅内に扱胴駆動プーリ116を支持するものであり、右側本体ケース92を上方に向けて突設させ、右側本体ケース92の上端側に扱胴駆動プーリ116を配設すると共に、右側本体ケース92内部に扱胴駆動縦軸167を配置し、右側本体ケース92上端部の駆動軸支持部92aに扱胴駆動横軸160を軸支し、扱胴駆動横軸160に扱胴駆動プーリ116を軸支している。
加えて、脱穀装置5の扱胴55への伝達ギヤ(第1べべルギヤ166a,166bと第2べべルギヤ168a,168b)が右側本体ケース92に内設され、刈取装置3への伝達ギヤ(刈取変速機構108又は一定回転機構111の各ギヤ)が左側本体ケース91に内設されると共に、脱穀装置5の機筐前面側に支持フレーム体98を介して右側本体ケース上端側の駆動軸支持部92aを着脱可能に連結している。刈取り支点フレーム35の上面側に機筐支持パイプ体63を介して脱穀装置5の機筐前面側を着脱可能に連結している。脱穀装置5の機筐と、刈取り支点フレーム35(走行機体1)と、カウンタケース89が、支持フレーム体98と機筐支持パイプ体63を介して着脱可能に締結固定されている。
また、走行機体1上面のうち、刈取り支点フレーム35の左右支脚部間の上面に複数のケース受け台94を突出させる一方、左側本体ケース91の左側端部の前面と後面に支持脚体95をそれぞれ一体的に形成し、右側本体ケース92の左側端部の前面と後面に支持脚体96をそれぞれ一体的に形成する。各ケース受け台94の上面に各支持脚体95,96をそれぞれ載置し、各ケース受け台94に各支持脚体95,96をケース支持ボルト97にてそれぞれ締結している。即ち、右側本体ケース92と左側サブケース体93が左側本体ケース91に一体的に合体された状態で、カウンタケース89が走行機体1に着脱されるように構成している。
図5、図11〜図19に示す如く、右側本体ケース92と左側本体ケース91にてカウンタケース89を形成し、右側本体ケース92の右側に脱穀駆動プーリ118を配置すると共に、右側本体ケース92内部に扱胴駆動縦軸167と扱胴駆動横軸160を軸支し、右側本体ケース92前面の高位置から前方に突出させた扱胴駆動横軸160の前端側に扱胴駆動プーリ116を軸支している。したがって、カウンタケース89(左側本体ケース91)の前後幅内に扱胴駆動プーリ116を設置でき、前記カウンタケース89設置スペースの前後幅寸法を短縮でき、脱穀装置5と刈取り支点フレーム35間の狭少空間に前記カウンタケース89を容易に配設できる。
図9、図12、図14に示す如く、走行機体1上面のうち、刈取り支点フレーム35の左右支脚部間の上面に左右のケース受け台94を設け、左右のケース受け台94上面に、右側本体ケース92の支持脚体95と左側本体ケース91の支持脚体96を締結固定している。したがって、刈取り支点フレーム35にて左右のケース受け台94の剛性を確保できる一方、左右のケース受け台94にて走行機体1と刈取り支点フレーム35の連結剛性を確保でき、刈取り支点フレーム35または左右のケース受け台94と走行機体1の連結強度を容易に向上でき、走行機体1の上面側に刈取り支点フレーム35またはカウンタケース89を高剛性に支持できる。
図1、図4、図5、図14〜図18に示す如く、エンジン14を搭載した走行機体1と、刈刃132を有する刈取装置3と、扱胴55及び穀物選別機構62を有する脱穀装置5と、刈取装置3又は脱穀装置5にエンジン14の動力を伝達させるカウンタケース89を備えたコンバインにおいて、カウンタケース89は右側本体ケース92と左側本体ケース91を有する構造であって、右側本体ケース92を上方に向けて突設させ、右側本体ケース92の上端側に扱胴駆動プーリ116を配設している。したがって、カウンタケース89の前後幅内の高位置に扱胴駆動プーリ116をコンパクトに支持でき、カウンタケース89本体の前後幅寸法を短縮させることなく、脱穀装置5前面側と刈取り支点フレーム35後面側の間に形成するカウンタケース89設置スペースの前後幅寸法を短縮できる。脱穀装置5前面側に刈取回動支点軸4aを近接させて配置できると共に、扱胴駆動ベルト117を短尺に形成でき、扱胴55の駆動構造を簡略化できる。扱胴駆動プーリ116周りなどのメンテナンス作業性を向上できる。カウンタケース89設置スペースの前後幅寸法が制約される小型機体構造の場合でも、大型機と同様の動力伝達機能を有したカウンタケース89を容易に設置でき、扱胴55の駆動性能を向上できる。
図5、図14〜図18に示す如く、脱穀装置5の扱胴55への伝達ギヤ(第1べべルギヤ166a,166b、第2べべルギヤ168a,168b)が右側本体ケース92に内設され、刈取装置3への伝達ギヤ(刈取変速機構108、一定回転機構111)が左側本体ケース91に内設されている。したがって、扱胴55への伝達ギヤ等の仕様変更に際して、刈取装置3への伝達ギヤが配置された左側本体ケース91内部のギヤ仕様を変更する必要がない。また、刈取装置3への伝達ギヤが配置された左側本体ケース91の仕様変更に際して、扱胴55への伝達ギヤが配置された右側本体ケース92内部のギヤ仕様を変更する必要がない。複数の仕様の共用部品を多くして、カウンタケース89の製造コストを低減できると共に、組立作業性を向上できる。
図5、図14〜図18に示す如く、脱穀装置5の前面側に支持フレーム体98を介して右側本体ケース92の上端側を着脱可能に連結している。したがって、脱穀装置5の機筐底部とカウンタケース89の底部が走行機体1上面に載置された状態で、脱穀装置5の機筐前面にカウンタケース89の上部を固着でき、脱穀装置5前部の支持フレームとしてカウンタケース89を活用でき、脱穀装置5前部の支持剛性を向上できる。
さらに、図5、図15、図19に示す如く、昇降用油圧シリンダ4などの油圧アクチュエータに作動油を供給する作動油タンクとしてカウンタケース89を使用するものであり、エンジン14にて駆動する図示しない作業用油圧ポンプに、供給油管77を介してカウンタケース89を接続させると共に、昇降用油圧シリンダ4などの油圧アクチュエータを作動制御する図示しない油圧バルブに、オイルクーラー78及び戻り油管79を介してカウンタケース89を接続させている。オイルクーラー78とカウンタケース89の接続途中の戻り油管79に戻り油管80を分岐接続させると共に、カウンタケース89の右側本体ケース92高位置に油管プラグ81を設け、戻り油管79途中に戻り油管80を介して油管プラグ81を接続させている。
即ち、左側本体ケース91よりも上方側に延設させた右側本体ケース92の上端部に戻り油管80及び油管プラグ81を介して戻り油管79を接続させ、カウンタケース89から供給した作動油が右側本体ケース92の上端部に戻し、カウンタケース89内部の潤滑油面よりも高位置に配置された扱胴駆動軸体としての扱胴駆動横軸160後端側軸受または扱胴駆動縦軸167上端側軸受またはべべルギヤ166a,166b,168a,168bに対して強制的に潤滑するように構成している。
また、図19、図20に示す如く、右側本体ケース92の内底部と左側本体ケース91の内底部を連通させる油連通路82を形成し、右側本体ケース92の上端部に戻された作動油が油連通路82から左側本体ケース91内に戻るように構成している。一方、右側本体ケース92の縦筒部92bに軸受ベアリング体83を介して扱胴駆動縦軸167を内設すると共に、右側本体ケース92の駆動軸支持部92aと縦筒部92bの連設部に補強リブ体92cを形成し、軸受ベアリング体83が支持される駆動軸支持部92aの内孔面のうち、補強リブ体92cに対向する駆動軸支持部92aの内孔面に油流下溝92dを形成する。戻り油管80が接続される油管プラグ81から右側本体ケース92の縦筒部92b上端側に作動油が戻されると共に、縦筒部92b上端側に戻された作動油が、油流下溝92dから右側本体ケース92の底部に落下して、油連通路82から左側本体ケース91内に戻るように構成している。
加えて、図5、図17〜図19に示す如く、脱穀選別作業入力軸165を右側入力軸165aと左側入力軸165bに分割形成し、左側入力軸165bの右側端部に右側入力軸165aの左側端部を軸継パイプ169にて分離可能にスプライン結合させるものであり、右側本体ケース92内部に右側入力軸165aを軸支し、左側本体ケース91内部に左側入力軸165bを軸支している。カウンタケース89を組立てる場合、右側入力軸165aと、扱胴駆動横軸160と、扱胴駆動縦軸167と、べべルギヤ166a,166b,168a,168bを、右側本体ケース92内部に組付ける一方、左側入力軸165bと、刈取伝動軸101などの軸と、刈取変速機構108または一定回転機構111などのギヤを、左側本体ケース91に組付けた後、左側本体ケース91と右側本体ケース92を合体させて締結固定するように構成している。
図5、図14〜図18に示す如く、右側本体ケース92内部に扱胴駆動縦軸167を配置し、右側本体ケース92上端部に扱胴駆動横軸160を軸支し、扱胴駆動横軸160に扱胴駆動プーリ116を軸支している。したがって、2対のべベルギヤ(第1べべルギヤ166a,166b、第2べべルギヤ168a,168b)にて扱胴駆動縦軸167から扱胴駆動横軸160に動力を伝達できる。脱穀装置5に隣接させて運転キャビン10を配置させる機体構造では、脱穀装置5と運転キャビン10の離間距離などを短縮できる。
図1、図4、図5、図14〜図19に示す如く、エンジン14を搭載した走行機体1と、刈刃132を有する刈取装置3と、扱胴55及び穀物選別機構62を有する脱穀装置5と、刈取装置3又は脱穀装置5にエンジン14の動力を伝達させるカウンタケース89を備えたコンバインにおいて、扱胴55に駆動力を伝達する扱胴駆動軸体としての扱胴駆動横軸160を備え、カウンタケース89に扱胴駆動横軸160を内設する構造であって、カウンタケース89内部の潤滑油面よりも高位置に扱胴駆動横軸160を配置し、扱胴駆動横軸160に対して強制的に潤滑するように構成している。したがって、カウンタケース89高位置の扱胴駆動横軸160に対して十分に潤滑油を供給でき、カウンタケース89の高位置に扱胴駆動横軸160を介して扱胴駆動プーリ116を配設できる。即ち、カウンタケース89の前後幅内の高位置に扱胴駆動プーリ116をコンパクトに支持でき、前記カウンタケース89の前後幅寸法を短縮できる。扱胴駆動ベルト117を短尺に形成できる。扱胴駆動プーリ116周りなどのメンテナンス作業性を向上できる。
図5、図14〜図19に示す如く、カウンタケース89とオイルクーラー78などの油圧機器との間に前記カウンタケース89内部の作動油を循環させる構造であって、オイルクーラー78からの戻り油管79を分岐して、扱胴駆動横軸160が支持されたカウンタケース89の高位置に戻り油管79を接続している。したがって、特別に潤滑油路を形成することなく、扱胴駆動横軸160支持部の潤滑構造を簡単に構成でき、扱胴駆動横軸160支持部を容易に潤滑できる。
図5、図14〜図19に示す如く、カウンタケース89は右側本体ケース92と左側本体ケース91を有すると共に、右側本体ケース92を上方に向けて突設させ、右側本体ケース92の上端側に扱胴駆動横軸160を配設させると共に、右側本体ケース92内底部と左側本体ケース91内底部を連通させる構造であって、カウンタケース89の戻り油管80接続部から作動油を落下させる油流下溝92dを設けている。したがって、扱胴駆動横軸160に対して強制的に潤滑する作動油が油流下溝92dを介して右側本体ケー92スから左側本体ケース91に移動し、右側本体ケース92側に戻す作動油の圧力が高くなるのを防止できる。例えば、カウンタケース89とオイルクーラー78または油圧バルブまたは油圧アクチュエータ(昇降用油圧シリンダ4)間にカウンタケース89内部の作動油を循環させる場合、オイルクーラー78からカウンタケース89への戻り油(扱胴駆動横軸160を潤滑する作動油)に背圧が立つのを容易に防止できる。
図19に示す如く、カウンタケース89に脱穀選別作業入力軸165を軸支し、脱穀選別作業入力軸165にエンジン14の動力を伝達させる構造であって、脱穀選別作業入力軸165を右側入力軸165aと左側入力軸165bにて形成し、右側本体ケース92内部に右側入力軸165aを軸支し、左側本体ケース91内部に左側入力軸165bを軸支している。したがって、右側本体ケース92と左側本体ケース91にギヤまたは軸をそれぞれ組付けた状態で、右側本体ケース92と左側本体ケース91を合体させ、カウンタケース89を組立てることができる。例えば、右側本体ケース92内部に、扱胴駆動軸体としての扱胴駆動縦軸167と扱胴駆動横軸160をL形状に配置し、扱胴駆動横軸160に扱胴駆動プーリ116を軸支する構造において、2対のべベルギヤ166a,166bと168a,168bの連結にて、脱穀選別作業入力軸165(右側入力軸165a)から扱胴駆動縦軸167を介して扱胴駆動横軸160に動力を伝達できる。即ち、カウンタケース89の高位置に扱胴駆動横軸160を介して扱胴駆動プーリ116を容易に配設できる。