JP6234220B2 - X線発生装置及びそれを用いたx線撮影システム - Google Patents

X線発生装置及びそれを用いたx線撮影システム Download PDF

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Description

本発明は、X線発生管より放射された、X線を被検体に放射するX線発生装置と、被検体を通過したX線を、X線検出器で検知するX線撮影システムに関する。
電子源から放出された電子線束をターゲットに照射することによりX線を発生させるX線発生装置として、X線発生管を備えるX線発生装置が知られている。
X線発生管は、陽極と陰極との間に30kV以上150kVの管電圧が印加されて動作する。また、電子の照射によりX線を発生させるターゲットのX線発生効率は1%以下と低く、電子の運動エネルギーの大半は熱エネルギーに変換され、X線発生管の温度上昇を招く。
動作時に管電圧が印加されるX線発生管は、操作者の保護、漏洩X線の遮蔽の観点から金属製の収納容器に収容される。収納容器には、X線発生管と収納容器との間の放電を抑制し、さらに、X線発生管を冷却する目的により、絶縁油が充填される。絶縁油は、収納容器の内面およびX線発生管の外表面に接触するように、X線発生管とともに収納容器に収納されて、対流によりX線発生管の高温部の熱を収納容器の外部へ伝熱する。
X線発生装置は、動作に伴うX線発生管の発熱に伴い、絶縁油中に溶解しているガス、絶縁油が加熱分解されたガス、収納容器の密閉時のパージしきれなかった残留ガス等を原因とする気泡が発生する場合がある。
X線発生装置は、発生した気泡と接触する部分において伝熱が制限される。また、発生した気泡は、絶縁油の対流、放射線発生装置の姿勢等により、収納容器内において静止せず移動するため、放電の抑制、冷却性能の低下の観点から問題とされていた。
X線発生装置において、所定の領域に気泡を導入させ留まらせる気泡室を設けることが知られている。特許文献1には、X線発生装置の絶縁油中に発生した気泡を捕捉する構造として、収納容器に気泡室を設けることが開示されている。特許文献1には、さらに、気泡室の開口部に突出部を設けることにより、X線発生装置の姿勢変化が生じた場合にも、捕捉した気泡が気泡室から脱出し難くすることが開示されている。
特開2013−149368
特許文献1のように気泡室を備えたX線発生装置においても、捕捉した気泡を安定的に留めることができない場合があった。
本発明は、気泡室に捕捉させた気泡を脱出し難くし、絶縁油の冷却作用と放電抑制作用とを安定化させ、信頼性の高いX線発生装置を提供することを目的とする。また、SN比の高いX線撮影画像を安定して撮影することができるX線撮影システムを提供することを目的とする。
本発明の第一は、X線発生管と絶縁油と、前記X線発生管と前記絶縁油とを収納する収納容器と、を有するX線発生装置であって、
前記収納容器は、前記絶縁油を介して前記X線発生管を収納する主室と、前記主室と連通するとともに前記X線発生管を収納しない気泡室とを有し、
前記絶縁油との接触角において、前記気泡室は記主室よりきい接触角を呈する内面を有することを特徴とする。
また、本発明の第二は、X線発生管と、絶縁油と、前記X線発生管と前記絶縁油とを収納する収納容器と、を有するX線発生装置であって、
前記収納容器は、前記X線発生管を収納する主室と、前記主室の内部と開口を介して連通する内部を有する気泡室と、を有し、
前記絶縁油との接触角において、前記気泡室は前記主室より大きい接触角を呈する内面を有するとともに、前記主室は前記気泡室の外に位置することを特徴とする。
本発明によれば、気泡室が絶縁油に対して高い接触角を呈する領域を内面に有することにより、捕捉した気泡の気泡室の内面に対する密着性を向上させ、気泡室に捕捉した気泡の脱出を抑制することが可能となる。これにより、絶縁油の冷却作用と放電抑制作用とを安定化させ、信頼性の高いX線発生装置を提供することが可能となる。
本発明のX線発生装置の実施形態(a)と動作状態(b)を示す断面模式図である。 本発明のX線発生装置が適用されるX線撮影システムの実施形態を示す概略構成図である。 本発明のX線発生装置を回転する機構を有するX線撮影システムの実施形態を示す概略構成図。 本発明のX線撮影システムで断層撮影におけるフローチャートである。 本発明のX線発生装置の作用効果を説明する模式図である。 本発明のX線発生装置の姿勢変化に伴う気泡室と気泡との関係を示す断面模式図である。 本発明のX線発生装置の他の実施形態(a)、(b)を示す断面模式図である。
以下、本発明のX線発生装置及びX線撮影システムを具体的な実施形態により説明する。
図1(a)、(b)には、本発明のX線発生装置の実施形態と、X線発生装置に適用されるX線発生管の実施形態とが示されている。
<X線発生管>
図1(b)に示すX線発生管2は、電子放出源を備えた陰極3と透過型のターゲット32を有する陽極4とを備えている。本実施形態では、電子放出源から放出された電子線束5をターゲット32に照射することによりX線を発生させる。このため、電子放出源はターゲット32に対向して配置されている。本実施形態においては、ターゲット32はX線発生管2のX線取り出し窓を兼ねている。
なお、電子線束5に含まれる電子は、陰極3と陽極4に挟まれたX線発生管2の内部空間に形成された加速電界により、ターゲット32でX線を発生させる為に必要な入射エネルギーとなるまで加速される。
X線発生管2の内部空間は、電子線束5の平均自由行程を確保することを目的として、真空となっている。X線発生管2の内部の真空度は、1E−8Pa以上1E−4Pa以下であることが好ましく、電子放出源の寿命の観点からは、1E−8Pa以上1E−6Pa以下であることがより一層好ましい。
X線発生管2の内部空間は、不図示の排気管および真空ポンプを用いて真空排気した後、かかる排気管を封止することにより真空とすることが可能である。また、X線発生管2の内部空間には、真空度の維持を目的として、不図示のゲッターを配置しても良い。
X線発生管2は、陰極電位に規定される電子放出源と、陽極電位に規定されるターゲット32との間の電気的絶縁を図る目的において、胴部に絶縁管19を備えている。絶縁管19は、ガラス材料やセラミックス材料等の絶縁性材料で構成される。本実施形態においては、陰極3と絶縁管19と陽極4とにより外囲器111を構成している。
外囲器111は、真空度を維持するための気密性と耐大気圧性有する堅牢性とを備える部材から構成されることが好ましい。
なお、陰極3が備える電子放出源は、例えばタングステンフィラメント、含浸型カソードのような熱陰極や、カーボンナノチューブ等の冷陰極を用いることができる。電子放出源は、電子線束5のビーム径および電子電流密度、オン・オフタイミング等の制御を目的として、不図示のグリッド電極、静電レンズ電極を備えた形態とすることできる。
<X線発生装置>
X線発生装置1は、透過型のターゲット32を備えるX線発生管2と絶縁油8と、X線発生管2と絶縁油8とを収納する収納容器6と、を備えている。本実施形態のX線発生管2は、絶縁油8の流動を妨げないように配置された不図示の支持体を用いて収納容器6の内部に固定されている。
収納容器6は、X線発生管2に電気的に接続され管電圧を出力する管電圧回路を内部に収納する形態とすることも可能である。管電圧回路は、収納容器6の内部に配置される必要はなく、収納容器6の外部に配置されても良い。
収納容器6の内部に管電圧回路を収納することにより、絶縁油8の対流による冷却作用を受けて管電圧出力を安定化することや、高電圧の給電線の取り回しを短距離とすることにより放電耐圧を増大することが可能となり、X線発生装置の信頼性が向上する。
絶縁油8は、X線発生管2の外面と収納容器6の内面とに接触し、X線発生管2の高温部から収納容器6の低温部の間の温度差を小さくするように、収納容器6の内部において対流する。絶縁油8は、X線発生管2の冷却および、電気絶縁を行うため、冷却能力が高く、電気絶縁性の高いものが良い。また、ターゲット4が発熱により高温になり、その熱が絶縁油8に伝わるため、熱による変質の少ないものが好ましい。よって絶縁油8としては、電気絶縁油、フッ素系の絶縁油等が使用可能である。
収納容器6のターゲット32に対向した位置には、X線取り出し窓7が配置されている。X線取り出し窓7の材料としてはベリリウム、アルミニウム等のX線減衰量の少ない材料が適用される。
<X線撮影システム>
次に、図2を用いて、本発明のX線発生装置1が適用されるX線撮影システム60の構成例について説明する。図2には、被検体204に対して所定の曝射角度で撮影されたX線透過像を取得するX線撮影システム60の基本的な構成例が示されている。
システム制御ユニット202は、X線発生装置1とX線検出器206とを統合制御する。駆動回路103は、システム制御ユニット202による制御の下に、X線発生管2に各種の制御信号を出力する。駆動回路103は、少なくとも、管電圧回路を備え、必要に応じて、電子放出源に接続され管電流を制御する管電流回路を備える。駆動回路103は、本実施形態においては、収納容器6の外部にX線発生管2とともに収納されているが、収納容器6の内部に配置しても良い。駆動回路103が出力する制御信号により、X線発生装置1から放出されるX線束34の放出状態が制御される。
X線発生装置1から放出されたX線束34は、不図示のコリメータにより照射範囲が調整されてX線発生装置1の外部に放出され、被検体204を透過してX線検出器206で検出される。X線検出器206は、検出したX線を画像信号に変換して信号処理部205に出力する。信号処理部205は、画像信号に所定の信号処理を施し、処理された画像信号をシステム制御ユニット202に出力する。
システム制御ユニット202は、処理された画像信号に基づいて、表示装置203に画像を表示させるための表示信号を表示装置203に出力する。表示装置203は、表示信号に基づく画像を、被検体204の撮影画像としてスクリーンに表示する。
次に、図3を用いて、本発明のX線発生装置1が適用されるX線撮影システム60の他の構成例について説明する。図3には、被検体204に対して回転軸Ac周りに複数の曝射角度で撮影することによりX線断層像を取得するX線撮影システム60の基本的な構成例が示されている。
本実施形態のX線発生装置1の出射側には、被検体204を介してX線検出器206が配置されている。被検体204は、被験者の全身または特定部位が含まれる。
X線発生装置1とX線検出器206は、回転駆動装置54に対して、それぞれ、線源支持部55、検出器支持部56を介して機械的に接続されており、共通の回転軸Acの周りを同じ方向に同期して回転するように構成されている。従って、回転駆動装置54は、鉛直方向に対する収納容器6の姿勢を変更する機構とも言える。
被検体204は、X線発生装置1とX線検出器206との間において、回転軸Acと重なるように配置されている。
X線検出器206の出力にはX線透過像データが含まれ、データ処理回路57、画像処理回路58、システム制御ユニット202、再構成部59を経て表示パネル60に接続されている。なお、データ処理回路57、画像処理回路58は、図2の実施形態の信号処理部205に相当する。
また、システム制御ユニット202の出力は、駆動回路103、X線発生装置1、回転駆動装置54、データ処理回路57、画像処理回路58に接続され、システム制御ユニット202には操作パネル62の出力が接続されている。
本実施形態においては、被検体204が静止しX線発生装置1とX線検出器206が回転するが、撮影系(X線発生装置1,X線検出器206)と被検体204とが回転軸周りに相対的に角速度を有して回転すれば良い。従って、被検体204が回転軸Ac周りに回転し、X線発生装置1とX線検出器206とが静止していても良い。
本実施形態のX線撮影システムは、X線発生装置1及びX線検出器206は互いに対向して配置され、回転軸Acを中心として同期して回転することにより、被検体204に対して異なる撮影角度毎に透過画像を取得することが可能となっている。
次に、図3に示されたX線撮影システム60における、線発生装置1の回転走査を伴う断層撮影のシーケンスについて図4を用いて説明する。
図4は、X線撮影システム60の撮影動作のフローチャート図である。撮影開始(ステップS101)の指令が操作パネル62から入力されると、システム制御ユニット202を介して回転駆動装置54に接続されたX線発生装置1とX線検出器206は、所定の回転速度で回転を始める(ステップS102)。ここで、システム制御ユニット202は回転駆動装置54から発生される図示しないエンコーダ信号を監視し、所定の一定速度及び角度に到達したかを確認する。
所定の速度及び角度に到達した時点で、システム制御ユニット202は、駆動回路105を介してX線発生装置1に信号を送りX線曝射を開始し(ステップS103)、X線は被検体204に曝射される。同時に、X線検出器206による画像データの収集をデータ処理回路57を介して行う(ステップS104)。
X線発生装置1とX線検出器206とが所定の回転角度で同期回転し、所定数の画像データが収集されるまで撮像が継続される。所定角度毎に撮像された画像データの収集が完了すると、X線発生装置1とX線検出器206との同期回転を終了する(ステップS105)。
次に、再構成部59で画像データの再構成を行い、2系統の再構成画像データを構成する。ここで、再構成はX線検出器206の例えば高解像度である領域から出力した電気信号に基づいて第1の再構成画像データを構成し、低解像度である領域から出力した電気信号に基づいて、第2の再構成画像データを構成する(ステップS106)。
次に、対応する第1の再構成画像データと第2の再構成画像データを一定の比率で合成する。具体的には、第1の再構成画像データに係数k1を乗算し、第2の再構成画像データにk2に乗算する。そして、乗算した画像データを加算する(ステップS107)。
このようにして、被検体204の複数の透過X線像と角度情報とから断層画像を取得する。X線撮影システム60は、工業製品の非破壊検査や人体や動物の病理診断に用いることができる。
<気泡室>
次に、本願発明の特徴である気泡室について図1、図2を用いて説明する。
本実施形態のX線発生装置1は、図1(a)に示すように、絶縁油8の中に発生した気泡を捕獲する気泡室13を備えている。
収納容器6の内部に発生した気泡は、X線発生管2の動作時の温度上昇に伴い、体積が増大した気泡は浮力の影響を強く受け、絶縁油の粘度が低下するため浮遊しやすくなる。
気泡室13は、収納容器6の内部を移動する気泡を捕獲するために、X線発生管2を収納する主室14の内部と、開口を介して連通する内部を有している。この為、本実施形態の気泡室13は、X線発生管2の付近で発生した気泡を、絶縁油8の対流および気泡が受ける浮力によって流入するようになっている。
本実施形態の気泡室13の内部は、開口以外の部分に配置された壁により囲まれている。気泡室13の壁は、収納容器6の外周壁の一部と仕切板15とで構成されている。本願明細書においては、これ以降、気泡室13を構成する壁の内側を、気泡室の内面と称する。
本実施形態の気泡室13の内面は、気泡室13の外部の収納容器6の内面よりも、絶縁油8との接触角が大きくなるようにしている。
本実施形態においては、主室14は、気泡室13との間の開口とX線取出し窓7を除いた領域に、ガラス樹脂布とエポキシ樹脂との積層体からなるガラスエポキシ樹脂板18が配置され、主室14の内面に露出している。本実施形態のガラスエポキシ板は、表面自由エネルギーが43mN/mであり、表面は親油性を呈する。
一方で、気泡室13は、との間の開口除いて、真鍮製の仕切板15と収納容器6が内面に露出している。本実施形態の真鍮は、表面自由エネルギーが1000mN/mであり、表面は親水性、即ち、撥油性を呈する。
気泡室13の内面を、主室14の内面よりも、絶縁油8との接触角θcにおいて、大きくすることの作用効果を、図5(a)〜(c)を用いて説明する。
図5(a)には、絶縁油8より表面自由エネルギーが高い内面を有した固体28と絶縁油8と気泡27との固液界面が示されている。同様にして、図5(b)には、絶縁油8と表面自由エネルギーが等しい内面を有した固体29と絶縁油8と気泡27との固液界面が示されている。さらに、同様にして、図5(c)には、絶縁油8より表面自由エネルギーが低い内面を有した固体29と絶縁油8と気泡27との固液界面が示されている。
図5(c)において、固体30は絶縁油8に対する親和性が低く親油性表面であるため、絶縁油8は固体30に濡れ易く、気泡27と固体30との接触角θcは大きくなる。図5(c)に示す固液界面の気泡27は、固体30に対して密着性が弱く浮遊しやすい。
一方で、図5(a)において、固体28は絶縁油8に対する親和性が低い親水性表面を呈するため、絶縁油8は固体28に濡れ難く、気泡27と固体28との接触角θcが小さくなる。図5(a)に示す固液界面の気泡27は、固体28に対して密着性が強く移動し難い。
なお、図5(a)〜(c)は、各図の下方を鉛直方向下向きの場合を例示しているが、必ずしも、気泡の密着性の接触角との関係は、図5に示された配置に限定されない。固体28〜30のそれぞれが形成する固液界面は、鉛直直方向に対して任意の角度を成してよい。
従って、気泡室13の内面が、主室14の内面よりも、高い表面自由エネルギーの領域を有することにより、気泡室13内に流入した気泡12は気泡室13から脱出し難くなる。この結果、X線発生装置1で発生した気泡は、安定して気泡室に捕獲し続けられて、X線発生管2の冷却性能と耐放電性能を安定して維持することが可能となる。
気泡室13の内面を構成する部材は、主室14に対して相対的に絶縁油8に対する接触角が大きな材料で構成すれば良い。気泡室13の内面は親水性を呈する材料を有することが好ましく、気泡室13外の収納容器6の内面は親油性を呈する材料を有することが好ましい。
親水性を呈する材料としては、100mN/m以上の表面自由エネルギーを呈する材料が選択される。親水性を呈する材料の具体例としては、銅、アルミニウム、亜鉛、錫等の純金属、及び、ステンレス、真鍮等の合金が適用される。前述の金属群は、500〜1200mN/mの表面自由エネルギーを呈する。
また、親油性を呈する材料としては、100mN/m未満の表面自由エネルギーを呈する材料が選択される。親油性を呈する材料の具体例としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミダゾール樹脂等が適用される。前述の樹脂群は、10〜80mN/mの表面自由エネルギーを呈する。
主室14の内面と絶縁油8との接触角よりも、絶縁油8との間で高い接触角を呈する内面を有する気泡室13とすることにより、捕獲した気泡を留めた状態を維持することが可能となる。この結果、本願発明のX線発生装置1は、収納容器6と絶縁油8との接触面積を主室14において確保することが可能となり、絶縁油8の冷却性能と耐放電性能の低下が生じ難く、高い信頼性の有するものとなる。
例えば、図3に示すX線撮影システム60のように、気泡室を備えたX線発生装置をX線源としてX線CT装置に適用した場合に、X線源のガントリ内の反転動作や静止位置に依存し、気泡が気泡室から脱出する場合があった。図6には、図面の垂直方向に示された回転軸Acの周りに0〜360度の角度範囲において回転走査されるX線発生装置1を備えたX線撮影システム60が示されている。
なお、図3、図6は、図5と同様にして、各図の下方を鉛直方向下向きとして図示されている。図6においては、主室14と気泡室13との間の仕切板15と鉛直方向とのなす角度を基準にX線発生装置1の姿勢を定義し、図6中に、0度、90度、180度、270度を代表させて示している。
図6に示すX線撮影システム60においては、回転軸Acが鉛直方向に対して非平行であるため、X線撮影装置1の回転に伴い、収納容器6および気泡室13は、鉛直方向に対して異なる姿勢をとる。しかしながら、本実施形態の気泡室13の内面は、主室14よりも、気泡12との接触角が小さい表面を有するため、X線発生装置1が回転軸Acの周りに異なる姿勢をとった場合にも、気泡12の気泡室13内の浮遊が抑制される。この結果、本実施形態の気泡室13を備えたX線発生装置1は、捕獲した気泡12の気泡室13からの脱出が低減される。本願発明の気泡室13と主室14との間の表面自由エネルギーの差異に関する特徴は、気泡室13が、図6のように、回転軸Acから離間して収納容器6に配置されている形態において、特に効果を発現する。
また、X線発生装置の周囲温度、X線発生管の稼働時間等の変動するパラメータによっても、絶縁油の対流挙動が変化する場合があり、捕獲した気泡が気泡室から脱出する場合があった。すなわち、本願発明の気泡室を備えたX線発生装置は、図2に示す実施形態のように回転軸Acを備えていないX線撮影装置、または、回転軸Acが鉛直方向と平行であるX線撮影装置においても、気泡室からの気泡の脱出を抑制する効果が発現される。
次に、図1(a)に示すX線発生装置1の実施形態の変形例を、図7(a)、(b)を用いて説明する。
図7(a)に示すX線発生装置1は、ガラスエポキシ板18を収納容器6の内面と仕切板15に用いた点と、気泡室13の内面には、銅箔が一方の面に形成されたガラスエポキシ板を用いた点において、図1(a)に示すX線発生装置1と相違する。
本実施形態においては、主室14の内面がガラスエポキシ板18で構成され、気泡室13の内面が銅で構成された領域17を有するので、気泡室13に捕獲された気泡12は、表面自由エネルギー差(43<1100 mN/m)に基き安定して捕獲され続ける。
一方、図7(b)に示すX線発生装置1は、ガラスエポキシ板上に銅箔が形成された領域17が気泡室13の内面の一部に設けられて点が、図7(a)に示す実施形態と相違する。本実施形態においても、主室14の内面がガラスエポキシ板18で構成され、気泡室13の内面が銅で構成された領域17を有するので、気泡室13に捕獲された気泡12は、表面自由エネルギー差(43<1100 mN/m)に基き安定して捕獲され続ける。
<接触角測定>
本願発明のX線発生装置1が備える気泡室13の内面は、X線発生管2を収納する主室14の内面よりも、絶縁油8との接触角が大きい領域17を有することを特徴とするように構成される。従って、収納室6の内面を構成する部材は、絶縁油8の液滴との接触角を同定することにより、表面自由エネルギーが既知では無い部材に対しても決定することができる。
接触角測定時の液滴のサイズは、小さすぎると液滴の表面から測定雰囲気への蒸発の影響により接触角が小さくなる方向に誤差を生じ、大きすぎると液滴の重力変形により接触角が大きくなる方向に誤差を生じる。収納室を構成する部材に対して、複数の液滴サイズと接触角との相関データを予め取得しておくことにより、かかる相関データで接触角が極大となる液滴サイズを決定しておくことが、接触角同定の誤差を少なくする為に好ましい。
絶縁油は、通常、測定雰囲気に対して、通常十分低い蒸気圧を呈するため、重力変形の影響の緩和を優先して、液滴サイズを設定することが可能であり、0.01〜数mlとすることが好ましい。
また、検体となる固体表面は、金属イオン、有機物等が除去された洗浄表面としておくことが好ましい。
<表面自由エネルギー測定>
次に、収納容器の内面を構成する部材の表面自由エネルギーの測定方法を説明する。部材の表面自由エネルギーを測定する方法は、<試薬の液滴を用いて行う固液界面の接触角測定>と、固液界面の接触角と表面自由エネルギーとの関係を取り扱う<Dupre−Young式>と、接着仕事量を扱う<Fowkes式>とにより導出される。
試薬は、互いに異なる表面自由エネルギーの成分を有する複数の試薬からなる試薬セットが用いられる。表面自由エネルギーの成分は、分散項γLidと極性項γLipと水素結合項γLihの各成分を意味する。試薬セットの具体例としては、αブロモナフタレン、沃化メチレン、純水の3液が用いられる。試薬セットは、前述の3液に限定されず、表面自由エネルギーの成分を互いに異にする他の試薬の組合せが適用される。
ここで、試薬Liは、後述する検体となる固体表面と同様にして、表面自由エネルギーγLi(mN/m)を有しているものとする。但し、iは試薬の種類を示す番号。試薬Liの表面自由エネルギーγLiは、分散項γLidと極性項γLipと水素結合項γLihの成分を有している。試薬番号iが1から3の3液からなる試薬セットは、3×3=9個のパラメータを有した正方行列を行列Gとして規定することができる。また、正方行列Gの各要素の0.5乗に一致する9要素を備える正方行列を行列Aとして規定する。
検体となる固体表面は、未知の表面自由エネルギーγsとして分散項γsdと極性項γspと水素結合項γshの3成分の合計値で規定される。固定の表面自由エネルギーγsの測定精度を担保する点においては、試薬セットの行列Aの行列式がより大きくなるように試薬を組合せることが望ましい。
なお、αブロモナフタレン、沃化メチレン、純水からなる試薬セットYに対応する行列G、行列A、行列Aの逆行列A−1、表面自由エネルギーγは、表1乃至4のそれぞれに示す通りである。従って、試薬セットYの行列Aの行列式は、55.9(mN/m)1.5である。行列Aの行列式の値としては、20(mN/m)1.5以上であることが好ましい。

ここで、固体検体Sの表面自由エネルギーγsは、分散項γSidと極性項γSipと水素結合項γSihを有し、試薬セットの試薬番号1〜3に対して、θSL1、θSL2、θSL3の固液界面の接触角が、接触角測定により得られた場合を考える。このとき、下記一般式1〜4により、固体Sの表面自由エネルギーγsは一意に同定される。
なお、上記一般式2乃至4の各右辺に含まれるA−1(p,q)は、逆行列A−1の(p行、q列)の要素を意味している。また、上記一般式2乃至4の各右辺が、固液界面の接触角と表面自由エネルギーとの関係を取り扱う<Dupre−Young式>と、接着仕事量を扱う<Fowkes式>とにより規定されている。表面自由エネルギーを測定する手法は、Fowkes式を、Zisman法、Owens and Wendt法、Van Oss法等に適宜置換しても良い。
1 X線発生装置
2 X線発生管
3 電子放出源
5 電子束
6 収納容器
7 X線取り出し窓
8 絶縁油
12 捕獲された気泡
13 気泡室
14 主室
17 絶縁油8との接触角が大きい領域
32 ターゲット

Claims (16)

  1. X線発生管と絶縁油と、前記X線発生管と前記絶縁油とを収納する収納容器と、
    を有するX線発生装置であって、
    前記収納容器は、前記絶縁油を介して前記X線発生管を収納する主室と、前記主室と連通するとともに前記X線発生管を収納しない気泡室とを有し、
    前記絶縁油との接触角において、前記気泡室は記主室よりきい接触角を呈する内面を有することを特徴とするX線発生装置。
  2. X線発生管と、絶縁油と、前記X線発生管と前記絶縁油とを収納する収納容器と、
    を有するX線発生装置であって、
    前記収納容器は、前記X線発生管を収納する主室と、前記主室の内部と開口を介して連通する内部を有する気泡室と、を有し、
    前記絶縁油との接触角において、前記気泡室は前記主室より大きい接触角を呈する内面を有するとともに、前記主室は前記気泡室の外に位置することを特徴とするX線発生装置。
  3. 前記主室は、前記気泡室の外部に位置することを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
  4. 前記絶縁油が流動可能なように前記主室と前記気泡室との間に開口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  5. 前記気泡室は、前記内面において、前記主室より大きい表面自由エネルギーを呈することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  6. 前記気泡室は、前記内面において、100mN/m以上の表面自由エネルギーを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  7. 前記気泡室は、前記内面に金属を有していることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  8. 前記主室は、樹脂を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  9. 前記樹脂は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミダゾール樹脂の少なくともいずれかから選ばれたものであることを特徴とする請求項に記載のX線発生装置。
  10. 前記気泡室の前記内面は、前記主室より前記絶縁油内に存在する気泡との密着性が強く前記気泡が移動し難くなるように、前記絶縁油に対する固液界面の接触角において前記主室より大きい接触角を呈することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  11. 前記気泡室の前記内面は、前記主室より前記絶縁油内に存在する気泡との密着性が強く前記気泡が移動し難くなるように、前記絶縁油に対する親和性において前記主室より低いことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  12. 前記気泡室の前記内面は、前記絶縁油内に存在する気泡に対する固気界面の接触角において前記主室より小さくなるように、前記絶縁油に対する固液界面の接触角において前記気泡室の前記内面は前記主室より大きい接触角を呈することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載のX線発生装置と、前記X線発生装置から放出され被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、を有することを特徴とするX線撮影システム。
  14. 前記収納容器に接続され、前記収納容器の鉛直方向に対する姿勢を変更する回転駆動装置と、
    前記回転駆動装置により変更された前記収納容器の異なる角度毎に、前記X線発生装置はX線を発生させ、前記X線検出器は被検体を透過したX線を検出するように、前記X線発生装置と前記X線検出器とを統合して制御するシステム制御ユニットと、
    を備えることを特徴とする請求項13に記載のX線撮影システム。
  15. 前記X線発生装置は、回転軸の周りを回転することにより、鉛直方向に対して前記異なる角度をなすように配置され、
    前記気泡室は、前記回転軸から離間して前記収納容器に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のX線撮影システム。
  16. 前記X線検出器に接続され、前記X線検出器が出力する画像信号を取得する信号処理部と、前記取得した複数の画像と角度情報とにより、被検体の断層画像を再構成する再構成部と、をさらに備えた請求項14または15に記載のX線撮影システム。
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