JP6233139B2 - 異方性導電フィルム - Google Patents
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Description
本発明の異方性導電フィルムは、光硬化性化合物と光硬化剤とを含むバインダ組成物と、その中に分散している導電粒子とから構成されており、その特徴は、導電粒子として、表面の少なくとも一部が光拡散性フィラで被覆されているもの(光拡散性フィラ被覆導電粒子)を使用し、また、異方性導電フィルムのJIS K7375による全光線反射率が25%以上であることである。
光拡散性フィラ被覆導電粒子は、文字通り、導電粒子の表面の少なくとも一部が光拡散性フィラで被覆されているものである。
導電粒子としては、従来より異方性導電フィルムに適用されてきた導電粒子を採用することができる。例えば、ニッケル、銀、金、パラジウム等の金属の粒子;半田等の合金の粒子;スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂の粒子(樹脂コア粒子)の表面を、無電解めっき法、スパッタリング法等により、ニッケル薄膜やニッケル/金薄膜などの金属薄膜で被覆した金属被覆樹脂粒子を挙げることができる。これらの導電粒子は、必要に応じて薄い樹脂被膜で絶縁被覆することができる。
光拡散性フィラは、異方性導電フィルム中に入射した紫外線を、結果的に異方性導電フィルムの平面方向(エッジ方向)に拡散させることが可能なものである。ここで、拡散とは、フィラ表面で紫外線を反射もしくは透過した紫外線を屈折させて出射させることを意味する。光拡散性フィラとしては、無機微粒子、有機微粒子を使用することができ、異方性導電フィルムの使用目的に応じて適宜選択することができる。無機微粒子としては酸化アルミニウム微粒子、酸化マグネシウム微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子、シリカ微粒子などが挙げられる。有機微粒子としては、異方性導電フィルムを構成する光硬化性樹脂の硬化物よりも大きな屈折率を有する樹脂微粒子を使用することができる。
バインダ組成物を構成する光硬化性化合物としては、特に制限はなく、異方性導電フィルムの使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光カチオン硬化性化合物、光ラジカル硬化性化合物などが挙げられる。
光硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、紫外線より活性カチオン種又は活性ラジカル種を発生させる公知の光カチオン硬化剤又は光ラジカル硬化剤を使用することができる。光カチオン硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩などが挙げられ、光ラジカル硬化剤としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤などが挙げられる。
バインダ組成物は、必要に応じ、発明の効果を損なわない範囲で、膜形成樹脂、シランカップリング剤、溶剤などを含有することができる。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、光硬化性化合物100質量部に対し、好ましくは50質量部以上100質量部以下、より好ましくは60質量部以上90質量部以下で配合される。また、シランカップリング剤としては、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤等が挙げられ、光硬化性化合物と膜形成樹脂との合計100質量部に対し、好ましくは2質量部以上25質量部以下、より好ましくは2質量部以上10質量部以下で配合される。
異方性導電フィルムの厚みとしては、導電粒子径、導電粒子含有量、光硬化性化合物の種類、異方性導電フィルムの使用目的等により適宜選択することができ、通常、10μm以上30μm以下が好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましく、更により好ましくは10μm以上20μm以下である。
本発明の異方性導電フィルムは、透明基板の接続端子と電子部品の電極とを異方性導電接続して接続体を作成した際に、照射光が届き難い透明基板の配線や接続端子の幅方向中央部に接した部位の硬化率を向上させ、導通抵抗を低下させるために、JIS K7375による全光線反射率が25%以上、好ましくは35〜60%である。
本発明の異方性導電フィルムは、導電粒子の表面に光拡散性フィラを高速攪拌機等により付着させて光拡散性フィラ被覆導電粒子を調製し、この光拡散性フィラ被覆導電粒子を、光硬化性化合物と光硬化剤と、必要に応じて配合されるその他の溶剤や成膜用樹脂等の成分とを含有するバインダ組成物中に、常法により均一に分散させ、所期の厚さに成膜した後、必要に応じて50℃以上100℃以下で乾燥することにより製造できる。
本発明の異方性導電フィルムを介して、透明基板の接続端子と電子部品の電極とを異方性導電接続することにより接続体が得られるが、この接続体も本発明の一部である。透明基板としては紫外線透過性のガラス基板、プラスチック基板を採用することができ、また、接続端子や配線の材料、幅、ピッチ等は従来の透明基板で採用されているものを使用することができる。また、電子部品としては、異方性導電接続の対象となるものであり、FPC、ICチップ、液晶パネルなどが挙げられる。
本発明の接続体は、図1に示すように、透明基板1の接続用端子2に異方性導電フィルム3を配置し、その異方性導電フィルム3を介して電子部品4の電極5を透明基板1の接続用端子2に位置合わせし、電子部品4側から押圧した後、好ましくはその押圧を維持しながら、透明基板1側から紫外線(図中矢印)を照射して透明基板1と電子部品4とを接合することにより製造することができる。この紫外線照射の際、異方性導電フィルム3中の光拡散性フィラ6で被覆された導電粒子7に照射された紫外線は、光拡散性フィラ6により、異方性導電フィルム3のエッジ方向にも拡散し、接続用端子2と電極5との間に挟まれた光硬化性のバインダ組成物の硬化率を向上させることができる。
(光拡散性フィラ被覆導電粒子の調製)
平均粒径約4μmの導電粒子(AUL704、積水化学工業株式会社製)100質量部に対し、平均粒径100nmの酸化亜鉛微粒子20質量部を高速攪拌機を用いて被覆処理することにより20質量%の酸化亜鉛微粒子で被覆された光拡散性フィラ被覆導電粒子を得た。得られた光拡散性フィラ被覆導電粒子50サンプルの酸化亜鉛微粒子による被覆率は15%であった。
得られた光拡散性フィラ被覆導電粒子30質量部と、フェノキシ樹脂(YP70、新日鉄住金化学株式会社製)20質量部と、液状エポキシ樹脂(EP828、三菱化学株式会社製)30質量部と、固形エポキシ樹脂(YD014、新日鉄住金化学株式会社製)20質量部と、光カチオン系硬化剤(LW−S1、サンアプロ株式会社製)5質量部とを、撹拌装置(泡とり錬太郎、株式会社シンキー製)を用いて均一に混合した。得られた混合物を剥離処理したPET上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるように塗布し、80℃で乾燥することにより異方性導電フィルムを得た。
接合体の製造に以下の試験用FPCとガラス基板とを使用した。
前記試験用ICチップのバンプに対応する配線材料:Al/Cr/Au配線
配線幅:0.2mm、0.5mm、1.0mmの三種
平均配線厚さ:0.5μm
基板厚:0.7mm
酸化亜鉛に代えて、平均粒径100nmの酸化アルミニウムを使用すること以外、実施例1と同様にして光拡散性フィラ被覆導電粒子(被覆率20%)を作製し、それを用いて異方性導電フィルムを作製し、更に接続体を作製した。
酸化亜鉛に代えて、平均粒径100nmの酸化マグネシウムを使用すること以外、実施例1と同様にして光拡散性フィラ被覆導電粒子(被覆率45%)を作製し、それを用いて異方性導電フィルムを作製し、更に接続体を作製した。
酸化亜鉛20質量部に代えて、平均粒径100nmの酸化マグネシウム30質量部を使用すること以外、実施例1と同様にして光拡散性フィラ被覆導電粒子(被覆率60%)を作製し、それを用いて異方性導電フィルムを作製し、更に接続体を作製した。
酸化亜鉛20質量部に代えて、平均粒径100nmの酸化マグネシウム40質量部を使用すること以外、実施例1と同様にして光拡散性フィラ被覆導電粒子(被覆率80%)を作製し、それを用いて異方性導電フィルムを作製し、更に接続体を作製した。
光拡散性フィラで被覆されていない平均粒径約4μmの導電粒子(AUL704、積水化学工業株式会社製)5部と、フェノキシ樹脂(YP70、新日鉄住金化学株式会社製)20質量部と、液状エポキシ樹脂(EP828、三菱化学株式会社製)30質量部と、固形エポキシ樹脂(YD014、新日鉄住金化学株式会社製)20質量部と、光カチオン系硬化剤(LW−S1、サンアプロ株式会社製)5質量部とを、撹拌装置(泡とり錬太郎、株式会社シンキー製)を用いて均一に混合した。得られた混合物を剥離処理したPET上に乾燥後の平均厚みが20μmとなるように塗布し、80℃で乾燥することにより異方性導電フィルムを得た。また、得られた異方性導電フィルムを用いて、実施例1と同様に接続体を作製した。
比較例1の配合に、更に平均粒径100nmの酸化亜鉛微粒子6質量部を配合すること以外、比較例1と同様に異方性導電フィルムを得た。また、得られた異方性導電フィルムを用いて、実施例1と同様に接続体を作製した。
比較例1の配合に、更に平均粒径100nmの酸化亜鉛微粒子12質量部を配合すること以外、比較例1と同様に異方性導電フィルムを得た。また、得られた異方性導電フィルムを用いて、実施例1と同様に接続体を作製した。
実施例及び比較例で得られた接続体について、「導通抵抗」、「配線中央の硬化率(%)」、「全光線反射率(%)」を以下に説明するように試験し、評価した。得られた結果を表1に示す。
接続体について、30カ所の抵抗値(Ω)を、4端子法を用いて電流1mAの条件で測定した。実用的には1Ω以下であることが望ましい。
接合体の配線の平面方向の中央に接した光硬化後の異方性導電フィルムの硬化率を、エポキシ基の914cm−1の赤外吸収強度の変化により調べた。硬化前の赤外吸収強度を100とし、硬化後の赤外吸収強度をxとしたとき、硬化率(%)は100−xで求められる。なお、配線と重なっていない異方性導電フィルムの硬化率は、93%であった。
JIS K7375に準拠した全光線反射率測定器(日立分光光度計U−3300、株式会社日立ハイテクフィールディング製)を用い、異方性導電フィルムの全光線反射率(%)を求めた。
2 接続用端子
3 異方性導電フィルム
4 電子部品
5 電極
6 光拡散性フィラ
7 導電粒子
Claims (6)
- 光硬化性化合物と光硬化剤とを含むバインダ組成物と、その中に分散している導電粒子とを含有する異方性導電フィルムであって、導電粒子の表面の少なくとも一部が光拡散性フィラで被覆されており、JIS K7375全光線反射率が25%以上である異方性導電フィルム。
- 導電粒子の表面の15%以上が光拡散性フィラで被覆されている請求項1記載の異方性導電フィルム。
- 異方性導電フィルム中の全光拡散フィラに対する、導電粒子を被覆していない光拡散性フィラの割合が4〜15質量%である請求項1又は2記載の異方性導電フィルム。
- 光拡散性フィラが、無機酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電導電フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の異方性導電フィルムを介して、透明基板の接続端子と電子部品の電極とが異方性導電接続されている接続体。
- 請求項5記載の接続体の製造方法であって、透明基板の接続用端子に異方性導電フィルムを配置し、その異方性導電フィルムを介して電子部品の電極を透明基板の接続端子に位置合わせし、電子部品側から押圧した後、透明基板側から紫外線を照射することにより透明基板と電子部品とを接合する製造方法。
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