JP6231892B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いて作製した空気入りタイヤに関する。
従来からタイヤのクリンチエイペックスやビードエイペックスに使用されるゴム組成物には、複素弾性率(E)を増大させて耐久性(破壊エネルギー)を高め、操縦安定性を向上することが要求されている。また、近年、車の低燃費化への要求が強く、タイヤ占有比率の高いトレッドだけでなく、クリンチエイペックスやビードエイペックスにも、優れた転がり抵抗特性が要求されている。
耐久性を高める方法として、補強効果が高いカーボンブラックを多量に使用する方法が知られているが、転がり抵抗特性が悪化する傾向があり、また、転がり抵抗特性を改善する方法として、カーボンブラックをシリカに置換する方法が知られているが、耐久性が低下する傾向がある。
更に、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を添加して、操縦安定性能や機械疲労に対する耐久性を改善することも提案されているが、熱疲労に対する耐久性が低いという弱点がある。このように、耐久性、操縦安定性、転がり抵抗特性及び耐熱疲労性は、一般に背反性能で、バランス良く改善することは難しい。
この点に対し、特許文献1〜3には、変性ブタジエンゴム、変性スチレンブタジエンゴムなどの変性ゴムを用いて転がり抵抗を低減する方法が提案されているが、これらの性能をバランス良く改善する点は未だ改善する余地がある。
特開2001−114939号公報 特開2005−126604号公報 特開2005−325206号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性(転がり抵抗特性)、操縦安定性、耐久性及び耐熱疲労性をバランス良く改善できるタイヤ用ゴム組成物、並びにそれを用いて作製した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、下記式(A)で表される化合物により変性された変性ジエン系重合体と、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物と、尿素樹脂系化合物とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
Figure 0006231892
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
前記変性ジエン系重合体が、変性スチレンブタジエンゴム及び/又は変性ブタジエンゴムであることが好ましい。
クリンチエイペックス及び/又はビードエイペックス用ゴム組成物であることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定の変性ジエン系重合体、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物及び尿素樹脂系化合物を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、低燃費性(転がり抵抗特性)、操縦安定性、耐久性及び耐熱疲労性をバランス良く改善した空気入りタイヤを提供できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、特定の変性ジエン系重合体と、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物と、尿素樹脂系化合物とを含む。これにより、低燃費性、操縦安定性、耐久性及び耐熱疲労性をバランス良く改善し、これらの性能バランスを相乗的に改善できる。
前記性能バランスが改善される理由は明らかではないが、前記変性ジエン系重合体やアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物により転がり抵抗特性や機械的強度が改善されるとともに、尿素樹脂系化合物中のカルボニル基の部分が変性ジエン系重合体のビニル基と反応し、ポリマー鎖同士を繋ぐ架橋構造となってC−CやC−Oの共有結合が形成され、その大きな結合解離エネルギーにより耐熱性が改善され、耐熱疲労性や耐久性などの性能が高まることによるものと推察される。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、下記式(A)で表される化合物により変性された変性ジエン系重合体を含む。
Figure 0006231892
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
、R及びRとしてはアルコキシ基が好適で、なかでも、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。R及びRとしてはアルキル基が好適で、なかでも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。nは、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、更に好ましくは3の整数である。これにより、前記性能バランスを良好に改善できる。
上記式(A)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(A)で表される化合物(変性剤)によるジエン系ゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。
変性されるジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。なかでも、前記性能バランスを高いレベルで改善できる点で、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。
SBRとしては、タイヤ工業において一般的なもの(溶液重合SBR、乳化重合SBR)を使用できる。
変性されるSBRのスチレン含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。10質量%未満であると、操縦安定性が悪化する傾向があり、50質量%を超えると、耐久性が低下する傾向がある。なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H−NMR測定によって算出される。
前記変性ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。5質量%未満であると、転がり抵抗特性の改善効果が得られにくい傾向があり、60質量%を超えると、耐久性、操縦安定性が低下する傾向がある。
本発明では、前記性能バランスを改善する点から、前記変性ジエン系重合体以外に、他のゴム成分を含むことが好ましい。他のゴム成分としては、前記ジエン系ゴムや、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴムなどの非変性ジエン系ゴムが挙げられる。これらのゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NR、BR、SBRが好ましく、これら3種を併用することが更に好ましい。
NRとしては、特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
NRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。5質量%未満であると、耐久性が低下する傾向があり、50質量%を超えると、相対的に変性ジエン系重合体量が少なくなり、前記性能バランスが低下する傾向がある。
BRとしては、特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。5質量%未満であると、転がり抵抗特性が低下する傾向があり、50質量%を超えると、耐久性が低下する傾向がある。
SBRとしては、前述の変性されるSBRと同様のものを使用でき、スチレン含量についても、該変性されるSBRと同様であることが好ましい。
SBRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。15質量%未満であると、転がり抵抗特性が低下する傾向があり、80質量%を超えると、耐久性が低下する傾向がある。
本発明におけるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物としては特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006231892
(式中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、炭素数5〜12のアルキル基を表す。x及びyは、同一若しくは異なって、1〜3の整数を表す。mは0〜250の整数を表す。)
mは、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物のゴム成分中への分散性が良い点から、0〜250の整数が好ましく、0〜100の整数がより好ましく、10〜100の整数が更に好ましく、20〜50の整数が特に好ましい。x及びyは、高硬度が効率良く発現できる点から、ともに2が好ましい。R11〜R13は、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物のゴム成分中への分散性が良い点から、炭素数6〜9のアルキル基が好ましい。
上記アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物は、公知の方法で調製でき、例えば、アルキルフェノールと塩化硫黄とを、モル比1:0.9〜1.25などで反応させる方法などが挙げられる。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物の具体例として、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200(式(1)中のR11〜R13=C17、x=2、y=2、m:0〜100の整数、重量平均分子量:9000)、TS3101(式(1)中のR11〜R13=C1225、x=2、y=2、m:150〜200の整数、重量平均分子量:62000)などが挙げられる。
前記アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。1質量部未満であると、添加による効果が得られず、前記性能バランスを充分に改善できない傾向があり、10質量部を超えると、操縦安定性が低下する傾向がある。
本発明における尿素樹脂系化合物としては、アルコキシアルキル化尿素樹脂を形成することができるモノマー(前駆体)を好適に使用でき、該アルコキシアルキル化尿素樹脂としては、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂などが挙げられる。
好適な尿素樹脂系化合物としては、下記式(I)で表される化合物又はその縮合物が挙げられる。
Figure 0006231892
(式中、R21〜R24は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基、6〜20個の置換若しくは非置換のアリール基、又は炭素数2〜6のアルコシキアルキル基を表す。ただし、R21〜R24のうち少なくとも1つは、炭素数2〜6のアルコシキアルキル基である。R21、R22のいずれかと、R23、R24のいずれかとが、互いに結合して環を形成してもよい。)
式(I)で表される化合物の縮合物としては、式(I)で表される化合物の窒素原子同士がメチレン基等を介して2量化、3量化した化合物を挙げることができる。
式(I)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 0006231892
また、好適な尿素樹脂系化合物としては、下記式(II)で表される化合物又はその縮合物が挙げられる。
Figure 0006231892
(式中、R31〜R34は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基、6〜20個の置換若しくは非置換のアリール基、又は炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を表す。ただし、R31〜R34のうち少なくとも1つは、炭素数2〜6のアルコシキアルキル基である。)
式(II)で表される化合物の縮合物としては、式(II)で表される化合物の窒素原子同士がメチレン基等を介して2量化、3量化した化合物を挙げることができる。
式(II)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 0006231892
尿素樹脂系化合物の市販品としては、日本カーバイド工業(株)製のMX−270、−280、−290、三井サイテック(株)製のUFR65等を好適に使用できる。
前記尿素樹脂系化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。1質量部未満であると、添加による効果が得られず、前記性能バランスを充分に改善できない傾向があり、10質量部を超えると、操縦安定性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シリカを含有することが好ましい。シリカ配合ゴムに前述の必須成分を配合することで、前記性能バランスが相乗的に改善される。シリカとしては、湿式法シリカ(含水シリカ)、乾式法シリカ(無水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは60m/g以上、更に好ましくは150m/g以上であり、また好ましくは400m/g以下、より好ましくは360m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。40m/g未満であると、補強効果が小さく、耐久性が低下する傾向があり、400m/gを超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。5質量部未満であると、前記性能バランスを充分に改善できないおそれがあり、150質量部を超えると、加工性が悪化するおそれがある。
上記ゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。0.1質量部未満では、カップリング効果が不十分で、前記性能バランスが低下するおそれがあり、20質量部を超えると、コストに見合った効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、シリカ以外の充填剤、オイル、硫黄、ステアリン酸、酸化防止剤、老化防止剤、加硫促進剤、ワックス、軟化剤、粘着付与剤などを必要に応じて配合してもよい。
上記シリカ以外の充填剤として、カーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックの配合により、補強性が付与され、機械的強度をより改善することができる。カーボンブラックとしては特に限定されず、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなどが挙げられる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。50m/g未満であると、充分な補強性が得られず、良好な性能バランスを得られないおそれがある。また、カーボンブラックのNSAは、150m/g以下が好ましく、130m/g以下がより好ましく、120m/g以下が更に好ましい。150m/gを超えると、加工性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。5質量部未満であると、良好な性能バランスが得られないおそれがあり、50質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物において、前記性能バランスを顕著に改善できる点から、シリカ及びカーボンブラックの合計100質量%中のシリカの含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。なお、上限は特に限定されないが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、クリンチエイペックス又はビードエイペックスに適用することが好ましい。クリンチエイペックスとは、サイドウォールの内方端に配置される部位であり、具体的には、特開2008−75066号公報の図1等に示される部材である。また、ビードエイペックスとは、カーカスの折り返しの間に配置され、タイヤのサイドウォール方向に向かって延びる部位であり、具体的には、特開2009−001681号公報の図1等に示される部材である。
本発明のゴム組成物を用い、通常の方法で空気入りタイヤを製造できる。すなわち、前記ゴム組成物を用いてクリンチエイペックス及び/又はビードエイペックスを作製し、他の部材とともに貼り合わせ、タイヤ成型機上にて加熱加圧することにより製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車、トラック、バスなどに使用でき、なかでも、乗用車に好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のBR130B
SBR:JSR(株)製のSBR1502(スチレン含量:23.5質量%)
変性ジエン系重合体:住友化学(株)製の変性SBR(スチレン含量:25質量%、ビニル含量:57質量%、上記式(A)において、R、R及びR=OCH、R及びR=CHCH、n=3の化合物により末端が変性)
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物:田岡化学工業(株)製のタッキロールV200(上記式(1)で表される化合物、式(1)中のR11〜R13=C17、x=2、y=2、m:0〜100の整数、重量平均分子量:9000)
尿素樹脂系化合物:日本カーバイド工業(株)製のMX−290(下記式で示される化合物)
Figure 0006231892
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ISAF、N220、NSA:114m/g)
シリカ:デグッサ社製のULTRASIL VN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
ワックス:日本精蝋(株)製のOZOACE−0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン))
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華
硫黄:日本乾溜工業(株)製のセイミサルファー(二硫化炭素による不溶分60%、オイル分10質量%含む不溶性硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−t−ブチル2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
<実施例及び比較例>
表1に示す配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄、加硫促進剤、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物及び尿素樹脂系化合物以外の薬品を約150℃で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物及び尿素樹脂系化合物を添加し、2軸オープンロールを用いて、約80℃で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃で35分間プレス加硫し、加硫ゴムシートを得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物を用いて、タイヤ成形機上で、クリンチエイペックス状に成形し、他の部材と貼り合わせて170℃の条件下で15分間加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:215/45ZR17)を作製した。
得られた加硫ゴムシート及び試験用タイヤを使用し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下において、各加硫ゴムシートの損失正接tanδを測定し、比較例1を100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、発熱しにくく、転がり抵抗特性(低燃費性)に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(操縦安定性)
各試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行してドライバーの官能評価により操縦安定性を評価し、比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
(破壊エネルギー)
JIS K6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、各加硫ゴムシートからなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施して破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定し、破壊エネルギー(TB×EB/2)を算出した。比較例1の破壊エネルギーを100とし、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど、耐久性に優れることを示す。
(破壊エネルギー指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(比較例1の破壊エネルギー)×100
(耐熱疲労性)
ランボーン型摩耗試験機を用いて、80℃、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件でサンプル(各加硫ゴムシート)を円盤状で高速走行させ、10分毎にクラック評価を行った。比較例1の評点を100として指数表示した。数値が大きいほど耐熱疲労性が高いことを示す。
Figure 0006231892
表1より、特定の変性ジエン系重合体、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物及び尿素樹脂系化合物を含む実施例では、一般に背反性能となる転がり抵抗特性(低燃費性)、操縦安定性、耐久性(破壊エネルギー)及び耐熱疲労性が改善され、これらの性能バランスを相乗的に改善できることが明らかとなった。
また、尿素樹脂系化合物として、日本カーバイド工業(株)製のMX−290の代わりに、MX−270又はMX−280を用いた場合でも、同様の効果が得られた。

Claims (4)

  1. 下記式(A)で表される化合物により変性された変性ジエン系重合体と、下記式(1)で表されるアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物と、下記式(I)で表される化合物、下記式(I)で表される化合物の縮合物、下記式(II)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物の縮合物からなる群より選択される少なくとも1種である尿素系化合物とを含むタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 0006231892
    (式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
    Figure 0006231892
    (式中、R 11 、R 12 及びR 13 は、同一若しくは異なって、炭素数5〜12のアルキル基を表す。x及びyは、同一若しくは異なって、1〜3の整数を表す。mは0〜250の整数を表す。)
    Figure 0006231892
    (式中、R 21 〜R 24 は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基、6〜20個の置換若しくは非置換のアリール基、又は炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を表す。ただし、R 21 〜R 24 のうち少なくとも1つは、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である。R 21 、R 22 のいずれかと、R 23 、R 24 のいずれかとが、互いに結合して環を形成してもよい。)
    Figure 0006231892
    (式中、R 31 〜R 34 は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基、6〜20個の置換若しくは非置換のアリール基、又は炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を表す。ただし、R 31 〜R 34 のうち少なくとも1つは、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である。)
  2. 前記変性ジエン系重合体が、変性スチレンブタジエンゴム及び/又は変性ブタジエンゴムである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. クリンチエイペックス及び/又はビードエイペックス用ゴム組成物である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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