JP6230036B2 - 印象用トレー及びそれを用いた歯科補綴物の製作方法 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科補綴物の製作において患者の歯列や歯肉の印象を採得するときに用いる印象用トレーに関し、特に、上下の印象及び噛み合わせを同時に取得する「トリプルトレー」として知られる印象用トレーに関する。また、本発明は、印象用トレーを用いた歯科補綴物の製作方法に関する。
歯科技術の分野において、印象と呼ばれる歯型を採る技術が知られている。印象を採る方法としては、印象用トレーと呼ばれる口腔の形状に沿って湾曲した形状の器具に、アルジネート又はシリコーン等の印象材を盛り付けたものを、患者の口腔内に挿入して、それを患者に噛ませる方法がある。
このうち、トリプルトレーと呼ばれる印象用トレー(例えば、特許文献1〜3)は、典型的には、トレーを形作るフレームと、そのフレームに張られてトレー上に印象材を保持する不織布等のスクリーンとを有する。トリプルトレーを用いた方法では、トレーの上顎側及び下顎側の両方に印象材を盛り付けておき、これを患者の口腔内に挿入し、患者が噛むことで、上下の印象及び噛み合わせを同時に採得することができる。
また、最近では、歯科補綴物の製作技術として、手作業で作業模型を製作して行うのではなく、採得した印象をCAD/CAMシステムで光学式のスキャンにより直接読み取り、3Dプリンタ技術を利用して歯科補綴物を製作する方法が用いられるようになってきた。
現在知られている、CAD/CAMシステムを用いて歯科補綴物を製作する技術としては、例えば特許文献4及び特許文献5等に記載された技術が挙げられる。
特表2008−508080号公報 特開2015−66258号公報 特表平11−505750号公報 特開2007−209575号公報 特開2012−217622号公報
患者の口腔内に印象材を盛り付けたトリプルトレーを挿入し、それを患者に噛ませた場合に、不織布の表面に上下の歯が直接当たり、不織布の繊維間に上下の歯が食い込み、繊維間に隙間が開き、上下の歯同士が直接接触した状態となる。そして、この状態で印象材が固化すると、当該直接接触部分に不織布の隙間が開いたままとなる。
従って、CAD/CAMシステムによりトリプルトレーに保持された印象材を光学的に直接読み取ろうとすると、不織布の隙間から光が透過し、光学的な読み取りが困難であった。そこで、不織布等を厚くして光の透過を防ぐことが考えられるが、それでは噛み合わせを正確に再現できない、という問題がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、効率のよい作業で上下の印象及び噛み合わせを正確に再現することができる印象用トレー及びそれを用いた歯科補綴物の製作方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る印象用トレーは、患者の口腔内に挿入して噛ませることで上下の印象及び噛み合わせを採得する印象材を保持する印象用トレーであって、樹脂膜により形成され、光反射性を有する色素を含み、厚さ20μm以下の被咬合部を有するスクリーンと、前記スクリーンの外周の少なくとも一部を支持するフレームとを具備する。
この構成では、スクリーンの被咬合部が樹脂膜により形成されているので、患者の口腔内に印象材を盛り付けた印象用トレーを挿入し、それを患者に噛ませた場合に、スクリーンの被咬合部表面の上下の歯が噛み合う位置で上下の歯が直接当たって上下の歯が食い込んでも樹脂膜の弾性力によって隙間や孔等は発生しない。しかもスクリーンの被咬合部の樹脂膜の厚さが20μm以下であるので、薄い樹脂膜を挟んで上下の印象材を患者に噛ませることによって、患者の自然な噛み合わせを精度よく反映した上下の印象及びその噛み合わせを得ることができる。
前記樹脂膜は、ポリウレタン樹脂膜であってもよい。ポリウレタンにより形成された膜は、伸展性に優れ、厚さ20μm以下であっても十分な強度を有するので、印象採得のための咬合時に咬合の妨げとなるような反力を生じにくくなり、また、樹脂膜が破れることを防ぐことができる。
上記スクリーンの上記被咬合部は、光反射性を有する色素を含んでいてもよい。この印象用トレーを用いて採得される印象では、上下の印象材の間に樹脂膜の被咬合部が存在するため、上下の歯が噛み合う位置でも、光を透過させるような孔が形成されなくなる。そして、この構成によると、被咬合部に含まれた色素によって光を反射させることができる。このため、印象を採ったトレーを直接、光学的にスキャンして印象のデータを確実に得ることができる。そのデータを基に、例えば、CAD/CAMシステムを利用して歯科補綴物を製作することが可能になる。
前記スクリーンは、前記被咬合部の周辺の領域である周辺部を有し、前記周辺部には、前記印象材を接着可能な接着剤成分を含む領域が設けられていてもよい。スクリーンを形成した樹脂膜の材料と印象材との組み合わせによっては、スクリーンから印象材が剥がれやすく、印象材を保持しにくくなる可能性が生じるが、この領域に接着剤を塗布することにより、被咬合部の周囲で印象材をスクリーンに接着させて保持しやすくすることができる。
前記スクリーンは、前記被咬合部の周辺の領域である周辺部を有し、前記周辺部には、前記印象材を接着可能な接着剤が塗布される領域が設けられていてもよい。被咬合部の周囲の領域に含まれた接着剤成分によって、印象材をスクリーンに接着させて保持しやすくすることができる。
前記スクリーンは、前記被咬合部の周辺の領域である周辺部を有し、前記周辺部には、1又は2以上の孔が設けられていてもよい。これにより、スクリーンの両側の印象材を、周辺部に設けられた孔を通じて一体化させてスクリーンに保持させることができる。
本発明の別形態に係る歯科補綴物の製作方法は、上記構成の印象用トレーにより保持された印象材の印象面を光学的にスキャンすることによって、前記上下の印象及び噛み合わせの3次元データを取得し、前記取得した3次元データに基づいて、CAD(Computer Aided Design)によって歯科補綴物を設計し、前記設計した歯科補綴物のデータをCAM(Computer Aided Manufacturing)に送信するものである。
この方法によると、印象用トレーを用いて採得した印象のデータを光学的に直接読み取り、CAD/CAMシステムを利用することにより、歯科補綴物の製作にかかる作業の手間を削減することができる。
本発明によれば、効率のよい作業で上下の印象及び噛み合わせを正確に再現することができる。そして、上記印象用トレーを用いた歯科補綴物の製作方法により、歯科補綴物の製作における作業の手間を削減することができる。
本発明の一実施形態に係る印象用トレーの平面図である。 図1に示した印象用トレーの模式的な断面図である。 図1に示した印象用トレーを用いた歯科補綴物の製作方法の一例を説明するフロー図ある。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(印象用トレーの構成)
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る印象用トレー10を表した図である。図1は印象用トレー10の平面図、図2はその模式的な断面図である。
本実施形態に係る印象用トレー10は、上下顎、咬合の3つの印象を採得するトリプルトレーであって、歯列弓全体のうち一部の印象(左右の一方の臼歯の印象)を採得することが想定されたトレーである。印象用トレー10は、患者の口腔内に挿入して噛ませることで印象を採得する印象材を保持することができるように構成されている。
なお、本実施形態においては、印象材として、ビニルポリシロキサン(VPS)や超親水VPSのようなシリコーン印象材が使用される。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、アルジネート印象材やその他の印象材を用いることができる。
図1に示すように、印象用トレー10は、フレーム12と、スクリーン20とを備えている。
フレーム12は、典型的には、外枠12a、内枠12b、外枠12aと内枠12bとを接続するワイヤー12c、及び、外枠12aの外側に接続されたハンドル12dを含む。外枠12aは、患者の口腔内に挿入したときに頬側に位置し、内枠12bは、患者の口腔内に挿入したときに舌側に位置する。
フレーム12の外枠12a及び内枠12bは、典型的には、樹脂材料により形成されている。外枠12a及び内枠12bのうち少なくともいずれか一方は、印象材に対して良好な接着性を有することが好ましい。これは、スクリーン20と印象材との接着性が良くない場合にも、外枠12a又は内枠12bと印象材との接着力によって、印象材を印象用トレー10に保持しやすくすることができるためである。外枠12aの内枠12bに向けられた壁面112aと、内枠12bの外枠12aに向けられた壁面112bとの、少なくともいずれか一方には、印象材が印象用トレー10からずれたり剥がれたりすることを防止するための凹凸が形成されていてもよい。
ワイヤー12cは、例えば、ステンレス鋼等の金属であってもよい。ワイヤー12cは、外枠12aと内枠12bとの位置関係を固定し、フレーム12の変形を抑制する役割を有する。ハンドル12dは、例えば、外枠12aと同一の樹脂材料により形成されている。ハンドル12dは、外枠12aの外側側面に取り付けられていてもよいし、外枠12aと一体成形されていてもよい。
スクリーン20は、印象材を保持する基台として作用するように設けられ、樹脂膜により形成されている。スクリーン20は、フレーム12に接続されて支持されている。本実施形態では、スクリーン20の一つの縁20aが外枠12aに接続され、もう一つの縁20bが内枠12bに接続されることによって、スクリーン20がフレーム12に張られている。スクリーン20は、印象採得のために噛まれた際に大きな反発力を生じることがないように、適度に弛ませた状態で張られていることが好ましい。
スクリーン20は、被咬合部22を有する。被咬合部22は、スクリーン20のうち、印象の採得時(咬合時)に患者の上下の歯が噛み合う箇所を含むように設定された領域である。すなわち、被咬合部22は、スクリーン20の中央部を占める領域であり、印象の採得時の歯の位置が被咬合部22の範囲内に収まるように、便宜的に規定される領域である。被咬合部22の範囲は、特に限定されるわけではなく、印象用トレー10の形状などに応じて、適宜設定されればよい。
被咬合部22は、無孔であり、被咬合部22の厚さは20μm以下である。被咬合部22が無孔であるとは、例えば、既存のトリプルトレーでは、メッシュ状のスクリーン又は和紙製のスクリーンを備えているものがあるが、このようなスクリーンが孔を持った構造を有するのに対して、上記の被咬合部22は、孔を持たない一枚の膜により構成されているということである。
スクリーン20の材料である樹脂膜としては、典型的には、水系ポリウレタンにより形成されたポリウレタン樹脂膜を用いることができる。ポリウレタン樹脂膜は、伸展性に優れ、厚さ20μm以下であっても十分な強度を有するので、厚さ20μm以下の無孔の被咬合部22を形成するのに適している。また、印象採得のための咬合時に咬合の妨げとなるような反力を生じにくく、破れにくいというメリットがある。ただし、樹脂膜の材料としてはこれに限定されず、シリコーン等の他の材料を持ちいることができる。樹脂膜の厚さはより好ましくは10μm程度が望まれる。これにより噛み合わせ等をより正確に再現することができる。
スクリーン20のうち、少なくとも被咬合部22は、光反射性を有する色素を含んでいる。この色素としては、医療用品に用いるのに十分な安全性を有するものが用いられる。色素は、ポリウレタン樹脂の材料中に含有されてもよいし、スプレー又は塗布によって樹脂膜表面に付着させられていてもよい。典型的には色素含有は酸化チタンのパウダリングによって行うことができる
本実施形態において、スクリーン20は、被咬合部22以外の領域として、被咬合部22の周辺に設定された周辺部24を有する。周辺部24は、印象採得時に患者の歯が噛み合う位置となる可能性が低い領域である。例えば、スクリーン20の中央部から離れたフレーム12の近傍の領域を、周辺部24とすることができる。周辺部24には、印象採得時に歯の周りに押し出される印象材を受け止める作用がある。
本実施形態において、周辺部24には、接着用領域26が設けられる。接着用領域26は、接着剤によって印象材を接着させるための領域である。すなわち、接着用領域26は、印象材を接着可能な接着剤が塗布される領域である。図2に示すように、接着用領域26は、スクリーン20の上顎側及び下顎側の両表面に設けられる。接着用領域26は、周辺部24全体であってもよいし、周辺部24の一部であってもよい。
接着剤は、印象用トレーに塗布されることによってトレーと印象材の接着を強め、印象体の剥がれ・変形を防ぐために用いられる。接着剤としては、例えば、市販品のトレーアドヒーシブ(付加型シリコーン用)(スリーエムジャパン株式会社製)等、公知の、歯科トレー用の接着剤を適宜選択して用いればよい。
接着剤によってスクリーン20に印象材を接着させる方法としては、作業者が、印象用トレー10の使用直前にスクリーン20の両面の接着用領域26に接着剤を筆又は綿球で薄く塗布し、接着剤をよく乾燥させて、その後で印象材を盛り付ければよい。しかし、これに限定されず、例えば、予め接着用領域26に接着剤が塗布されていてもよい。
接着用領域26は、外見上、例えば輪郭線やマーク等が付されて大まかな接着剤塗布範囲が示されていることが、作業者による接着剤塗布や印象材の盛り付け等の作業のためには好ましい。しかし、接着用領域26を有するスクリーン20の形態は、これに限られない。例えば、接着剤の塗布範囲は作業者が任意に判断してもよく、接着用領域26とそれ以外の領域との境界が外見上判別できないような形態であっても構わない。
接着用領域26が設けられているのは、以下の理由からである。スクリーン20がポリウレタン樹脂膜により形成されているような場合、シリコーン印象材がポリウレタン樹脂膜に接着しにくいため、スクリーン20から印象材が剥がれやすく、印象材を保持しにくくなる可能性がある。そこで、本実施形態では、スクリーン20に印象材を保持しやすくするため、スクリーン20に印象材を接着剤で接着させるものとしている。この構成によると、周辺部24の接着用領域26に接着剤を塗布することで、被咬合部22の周囲で印象材をスクリーン20に接着させて保持しやすくすることができる。
ここで、接着用領域26は、被咬合部22には設けられず、周辺部24のみに設けられていることが好ましい。印象用トレー10の使用時に、スクリーン20に接着剤を塗布すると、接着剤の厚さの分だけ厚みが増加することになる。この構成によると、接着剤の分の厚みが増加するのは、接着用領域26を有する周辺部24のみなので、被咬合部22の厚さを20μm以下としたままで印象用トレー10を使用することができる。その結果、周辺部24は、接着剤により印象材との接着を強めて印象材を保持することが可能となり、一方、被咬合部22は、厚さが十分に薄いため印象材の変形に対して大きな反力を生じることがないので、全体としてスクリーン20から印象材が剥がれることを防ぐことができる。
なお、周辺部24にスクリーン20の表裏を貫通する孔(図示を省略)を設けてもよい。このような孔は周辺部24内に沿って複数有することが好ましいが、1つであっても構わない。孔を介してスクリーン20の表面側に盛られた印象材とスクリーン20の裏面側に盛られた印象材とが直接接触して接着し、上記と同様に被咬合部22の周囲で印象材をスクリーン20に保持しやすくすることができる。また、接着用領域26は、印象材を接着可能な接着剤成分を予め含んでいてもよい。この場合、例えば、上記の接着剤と同様の成分が、スクリーン20のうち被咬合部22を避けた周辺部24にのみ含有されることによって、接着用領域26が形成されていてもよい。あるいは、上記の接着剤と同様の成分が、予めスクリーン20の両表面の接着用領域26に塗り込められていてもよい。更に、スクリーン20に接着用領域26が設けられていなくてもよい。スクリーン上に接着用領域を設けない場合には、印象材を、例えばフレームに接着させることで、印象用トレーに保持させるようにしてもよい。あるいは、印象の採得の邪魔にならず、印象の精度や安全性を損ねることがないのであれば、被咬合部の一部に接着剤を塗布して印象用トレーを使用してもよい。
本実施形態において、上述の、フレーム12の外枠12aに接続された縁20aと、内枠12bに接続された縁20bとは、周辺部24に含まれる。スクリーン20の縁20a及び縁20bの、外枠12a及び内枠12bへの接続の方法は、スクリーン20をフレーム12に支持することができるものであれば特に限定されない。
例えば、図2に示すように、縁20aは、外枠12aの上半分の部分と下半分の部分との間に挟まれるように固定され、縁20bは、内枠12bの上半分の部分と下半分の部分との間に挟まれるように固定されてもよい。図示しないが、縁20a、20bには、外枠12a及び内枠12bにそれぞれ係止されるための1以上の孔が設けられていてもよい。その場合、外枠12a及び内枠12bは、各孔に対応する図示しない係止構造を有し、各孔を通して上下から縁20a、20bを挟んで固定することができるように構成されていてもよい。
(印象用トレーを用いた歯科補綴物の製作方法)
次に、本発明による歯科補綴物の製作方法の一例について説明する。以下に示す方法は、採得した印象をCAD/CAMシステムで直接読み取り、3Dプリンタ技術を利用して歯科補綴物を製作する方法である。
図3は、印象用トレー10を用いた歯科補綴物の製作方法の一例を示すフロー図である。まず、トリプルトレーとして印象用トレー10を使用して、患者の印象を採得する(ステップS1)。次に、印象用トレー10に印象材を保持したまま印象面を光学式の読み取り手段でスキャンする(ステップS2)。
現在知られている、CAD/CAMシステムを用いて歯科補綴物を製作する技術としては、例えば特開2007−209575号公報、特開2012−217622号公報等に記載された技術が挙げられる。ここで、従来、採得した印象の形状を直接計測して3Dデータを取得することは、印象が孔を有する場合に孔から光を透過させてしまうため、光学式のスキャンによる計測方法では困難であった。そのため、印象に対応する作業模型の形状を計測するか、あるいは、印象を計測するためにX線を使用する等の別の方法を採る必要があった。これに対して、本実施形態に係る印象用トレー10はスクリーン20の被咬合部22が典型的にはポリウレタン樹脂膜により形成されているので、患者の口腔内に印象材を盛り付けた印象用トレー10を挿入し、それを患者に噛ませた場合に、スクリーン20の被咬合部22表面の上下の歯が噛み合う位置で上下の歯が直接当たって上下の歯が食い込んでも樹脂膜の弾性力によって隙間や孔等は発生しない。しかもスクリーンの被咬合部の樹脂膜の厚さが20μm以下であるので、薄い樹脂膜を挟んで上下の印象材を患者に噛ませることによって、患者の自然な噛み合わせを精度よく反映した上下の印象及びその噛み合わせを得ることができる。よって、本実施形態に係る印象用トレー10では、印象用トレー10に保持された印象材の印象面を光学的に直接読み取った場合にも上下の印象及び噛み合わせを正確に再現することができる。
以下、CAD/CAMシステムでは、ステップS2の後に、スキャンした3DデータをCADに取り込み(ステップS3)、CADにて歯科補綴物を設計し(ステップS4)、設計データをCAMに送信する(ステップS5)。そして、CAMにて歯科補綴物が製作され(ステップS6)、仕上げが行われる(ステップS7)。
(その他)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記の実施形態では、CAD/CAMシステムの利用を前提としていたが、本発明に係る印象用トレーは従来からの歯科補綴物の製作においても用いることができ、本願特有の効果を奏する。
例えば、従来のトリプルトレーでは、典型的には和紙製のスクリーンが用いられている。スクリーンの厚さは、例えば数十〜数百μmとなる。スクリーンには、和紙の構造上、繊維間の隙間があるため、全面に細かい孔を生じている。このため、印象用トレーを用いて印象を採得した場合には、得られた印象体において、患者の上下の歯が噛み合う位置に、上顎側と下顎側とを貫通する孔が形成されることがある。印象を採得した印象用トレーの上顎側と下顎側との間に孔が生じると、石膏を上顎側と下顎側との両側に流し入れて両側の作業模型を同時に製作することが難しくなってしまう。例えば、印象用トレーの上顎側に流し入れた石膏が、孔を通じて下顎側の石膏と接触すると、石膏同士で接着されて固定されてしまい、作業模型を印象用トレーから剥がすことができなくなるおそれがある。
また、例えば、印象用トレーの下顎側の面に石膏を流し込んで下顎側の作業模型のみを製作し、続いて、上顎側の面に石膏を流し込んで上顎側の作業模型を製作するというように、2つの作業模型を別々に製作することも考えられる。しかし、このように上下の作業模型を別々に製作すると、それぞれの作業による誤差が生じる可能性がある。これらの誤差の影響によっては、作業模型同士の噛み合わせを精度良く再現できず、結果としてトリミング等に多大な手間を要してしまうという問題があり得る。
これに対して、本発明に係る印象用トレー10は、患者の上下の歯が噛み合う位置に、無孔の被咬合部22を有しているため、採得した印象にも孔が生じることがない。すなわち、印象用トレー10で採得した印象の上顎側の空間と下顎側の空間との間は、無孔の被咬合部22によって完全に遮られる。このため、上顎側及び下顎側の両側に同時に石膏を流し入れても、両側の石膏を互いに接触させることなく別々に固めることができる。従って、両側の作業模型を同時に製作することができる。また、このように2つの作業模型を同時に製作することで、手作業による製作による精度のバラツキを抑えることができ、有利である。
印象用トレー10を用いて両側の作業模型を同時に製作する方法を、簡単に説明する。例えば、印象を採得した印象用トレー10を、咬合器にセットした状態であれば、印象用トレー10上の印象体の上顎側と下顎側とに、同時に石膏を流し入れることができる。このようにすると、咬合器とその間にセットされた印象用トレー10とで、石膏を上顎側と下顎側とに分けた状態で保持して固めることができ、咬合器上で両側の作業模型を完成させることができる。
このように、印象用トレー10によると、作業模型の製作の効率を向上させることができる。また、印象用トレー10によると、実際の咬合時の位置関係及び形状を保ったまま、一度に両側の作業模型を製作することができるので、上顎側と下顎側との間の誤差を小さく抑えることができる。従って、作業模型の精度を向上させることができ、その作業模型を利用して製作した歯科補綴物の精度を向上させることができる。
10 印象用トレー
12 フレーム
20 スクリーン
22 被咬合部
24 周辺部
26 接着用領域

Claims (6)

  1. 患者の口腔内に挿入して噛ませることで上下の印象及び噛み合わせを採得する印象材を保持する印象用トレーであって、
    樹脂膜により形成され、無孔の厚さ20μm以下の被咬合部と、1又は2以上の孔が設けられている前記被咬合部の周辺の領域である周辺部とを有するスクリーンと、
    前記スクリーンの外周の少なくとも一部を支持するフレームと
    を具備する印象用トレー。
  2. 請求項1に記載の印象用トレーであって、
    前記樹脂膜は、ポリウレタン樹脂膜である
    印象用トレー。
  3. 請求項1又は2に記載の印象用トレーであって、
    前記被咬合部は、光反射性を有する色素を含んでいる
    印象用トレー。
  4. 請求項1から3のうちいずれか1項に記載の印象用トレーであって
    記周辺部には、前記印象材を接着可能な接着剤成分を含む領域が設けられる
    印象用トレー。
  5. 請求項1から3のうちいずれか1項に記載の印象用トレーであって
    記周辺部には、前記印象材を接着可能な接着剤が塗布される領域が設けられる
    印象用トレー。
  6. 請求項3に記載の印象用トレーにより保持された印象材の印象面を光学的にスキャンすることによって、前記上下の印象及び噛み合わせの3次元データを取得し、
    前記取得した3次元データに基づいて、CAD(Computer Aided Design)によって歯科補綴物を設計し、
    前記設計した歯科補綴物のデータをCAM(Computer Aided Manufacturing)に送信する
    歯科補綴物の製作方法。
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