JP6228076B2 - ドアクローザ - Google Patents

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Description

本発明は、開いたドアをゆっくりと自動的に閉めるドアクローザ(ドア自閉装置)の改良に関し、特に作動油漏れ対策に関するものである。
一般に、ドアクローザは、作動油が充填された密閉空間(油室)を有するハウジングを備え、該ハウジングの密閉空間には、スプリングにより付勢されたピストンが往復移動可能に配置されている。また、上記ピストンにはラック・ピニオン機構が組み付けられ、該ラック・ピニオン機構のピニオンには、回転軸が上下ハウジングを貫挿するように連結されている。さらに、この回転軸の上端には、リンク機構の一端が連結され、該リンク機構の他端は建物のドア開口部の上枠側に連結されている。
そして、ドアを開操作すると、その回転動作が上記リンク機構を介して回転軸に伝達され、さらに上記ラック・ピニオン機構を介してピストンの直線運動に変換される。これにより、上記ピストンがハウジングの密閉空間を移動することでスプリングを圧縮し、ドアから手を離すと、この圧縮されたスプリングの反発力によりドアがゆっくりと自動的に閉まるようになっている。このドアの閉速度は、ピストンの移動に連動して流動する作動油の流量を速度調整弁で制御することで調整される。
ところで、この種のドアクローザとして、下記特許文献1には、温度上昇による作動油の膨張により作動油がハウジングの外部に漏れることを防止することを目的として、スプリングの内部に独立気泡構造を有する膨張吸収部材(スポンジゴム)を挿入しておくようにしたドアクローザが開示されている。このドアクローザは、膨張吸収部材がピストンの通油孔を塞ぐことがないように膨張吸収部材の形状を工夫しているが、スプリングが二重に配置されるタイプのドアクローザに適用しようとした場合、内側スプリングの内部に挿入される膨張吸収部材は小さいものとなってしまうので、特許文献1のように膨張吸収部材に傾斜面を設けたとしても、膨張吸収部材が通油孔に入り込んでしまうなどして通油孔を塞いでしまうという問題を有することになる。
また、下記特許文献2に所載されるように、近時のドアクローザには、所定の開扉角度から全開角度までの間で急激な扉の開放動作が発生することを防止するために、いわゆるバックチェック力を作動させることが可能な機能(バックチェック機能)が付加されているものがある。このバックチェック力を作動させることによって、扉が風など煽られ、開扉速度が急激に上昇し、壁などに衝突することによる扉自体の損傷や壁の損傷などを防止することが可能となっている。
こうしたバックチェック機能を備えるドアクローザにおいて、スプリングの内部に膨張吸収部材を挿入するようにした場合、スプリングが配置されている第1の油室の内圧は扉の開放時のピストンの移動により非常に高圧となるので、ドアクローザの使用を続けていくうちに膨張吸収部材が潰れてしまう虞がある。膨張吸収部材が潰れてしまうと、扉の開放時に膨張吸収部材が収縮する収縮量が変化するようになる。そして、膨張吸収部材が潰れることで第1の油室内に流出した空気が通油孔を介して第2の油室へ移動すると、バックチェック力が作動し始める所定の開扉角度が変化し、設定角度よりも小さい角度においてバックチェック力が作動し始めるようになるという問題がある。
特開2012−207440号公報 特開2007−177460号公報
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、膨張吸収部材がドアクローザの機能に悪影響を及ぼすことを防止することができるドアクローザを提供することを課題とする。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、作動油が充填された密閉空間3aを有するハウジング3と、該密閉空間3aにスプリング5A、5Bにより付勢された状態で往復移動可能に配置されたピストン4と、該ピストン4を移動させるピストン移動機構12とを備えるドアクローザ1において、作動油の通路となる孔部17aを有する筒状の膨張吸収部材17が該ピストンに形成された作動油通路7内に配設されていることを特徴とする。
本発明によれば、作動油が外部に漏れることを防止するための膨張吸収部材がドアクローザの機能に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
本実施形態に係るドアクローザをドアに取り付けた状態の正面図である。 図1のA−A線における断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るドアクローザについて図1及び図2に基づいて説明する。
図1において、101は建物のドア開口部を示し、該ドア開口部101は、上枠102、左右の一対の竪枠103及び下枠(図示せず)で矩形に囲まれた空間で構成され、ドア104がドア開口部101を開閉可能にヒンジ(図示せず)を介して一方の竪枠103に取り付けられている。このドア104は、ドアクローザ1により開状態からゆっくり自動的に閉じるようになっている。
ドアクローザ1は、右開き(右勝手)のパラレル形タイプであり、ドアクローザ本体2を備えている。ドアクローザ本体2は、図示せぬ作動油が充填された密閉空間3a(図2参照)を有するハウジング3を備え、ハウジング3は図示せぬ金具によりドア104上端に取り付けられている。
ハウジング3内部(密閉空間3a)には、図2に示すように、ピストン4が大コイルスプリング5Aと小コイルスプリング5Bのバネ力により図2の右方向に付勢された状態で往復移動可能に配置され、密閉空間3aがピストン4により高圧室A(図2右側の小領域)と低圧室B(図2左側の大領域)とに区画されている。図2中、6は左右一対のエンドプラグであり、これらエンドプラグ6は、外周の雄ねじ部6aをハウジング3の嵌合孔3bの嵌合孔3bの雌ネジ部3cに螺合させることで嵌合孔3bに嵌着されている。なお、大コイルスプリング5Aと小コイルスプリング5Bは、本発明のスプリングに相当する。
ピストン4の内部には空洞部4aが形成されており、空洞部4aは第1通路7を介して高圧室Aに連通するとともに、第2通路8を介して低圧室Bに連通している。第1通路7は、空洞部4a側に位置する小径通路7aと、高圧室A側に位置する大径通路7cと、小径通路7aと大径通路7cとの間に位置する中径通路7bとにより構成されている。大径通路7cには作動油の流れを制御するチェック弁9が設置されており、チェック弁9により高圧室Aと低圧室Bとを連通・遮断するようにしている。つまり、空洞部4aは低圧室Bの一部を構成している。チェック弁9は、大径通路7cに嵌着された弁本体10を備え、弁本体10内にはボール収容部10aが形成されており、ボール11が移動可能に収容されている。そして、チェック弁9は、ドア閉状態では高圧室Aの内圧でボール11を中径通路7bに連通しているボール収容部10aの内壁に押し付けて第1通路7を閉じ、高圧室A側の作動油が低圧室B側に流出しないようにしている。なお、第1通路7は、本発明の作動油通路に相当する。
ピストン4の空洞部4aには、ラック・ピニオン機構12が組み込まれている。ラック・ピニオン機構12は、空洞部4aに形成されたラック13と、該ラック13に噛合するピニオン14とで構成され、該ピニオン14には、回転軸15がハウジング3を上下に貫挿するように連結されている。図1中、16は回転軸15の下端を覆い隠すカップである。なお、ラック・ピニオン機構12は、本発明のピストン移動機構に相当する。
回転軸15の上端には、リンク機構30の一端が連結されている。そして、リンク機構30の他端は建物のドア開口部101の上枠102側に連結されている。具体的には、リンク機構30は、メインアーム31と連結アーム32とからなり、メインアーム31の一端が回転軸15の上端に連結され、メインアーム31の他端には、連結アーム32の一端が軸33周りに回転自在に連結されている。一方、ドア開口部101の上枠102には、ステー(三角板)34の基端が取り付けられており、該ステー34の先端には連結アーム32の他端が軸35周りに回転自在に連結されている。
ハウジング3には、図示せぬ3個の速度調整弁が挿着されており、密閉空間3aの高圧室Aと低圧室Bとの間を繋ぐ図示しない流路に臨んでいて、ピストン4の移動に連動して密閉空間3aを流動する作動油の流量を制御することでドア104の閉速度を調整するようにしている。
上述した中径通路7bには、円筒状のスポンジゴム17とワッシャ18が挿入されている。中径通路7bに収容されたスポンジゴム17の孔部17aは、ワッシャ18の孔を介してボール収容部10aと連通するとともに、小径通路7aと連通している。スポンジゴム17の外径は中径通路7bの内径と略同一とされており、大径通路7cにはチェック弁9の弁本体10が嵌着されていることから、スポンジゴム17は中径通路7bから抜け出ることがない。スポンジゴム17は、独立気泡構造を有するものであり、温度上昇によって作動油が膨張した場合には、各気泡内の空気が圧縮されてスポンジゴム17はその体積を収縮するようになっている。温度上昇による作動油の膨張がスポンジゴム17の体積変動により吸収されるようになっているので、密閉空間3aの内圧が高まりハウジング3から油漏れを起こすことが防止される。スポンジゴム17は作動油が常温に戻ると元の体積に戻るようになっている。なお、スポンジゴム17は、本発明の膨張吸収部材に相当する。
次に、本実施形態のドアクローザ1の動作について説明する。ドア104を開操作すると、その回転動作がリンク機構30を介して回転軸15に伝達されて回転軸15が回転する。これにより、ピニオン14が図2において時計回りに回転し、ピストン4がラック・ピニオン機構12を介して大コイルスプリング5A及び小コイルスプリング5Bを圧縮しながらハウジング3の密閉空間3aを図2の左方向に直線移動する。これにより、低圧室Bの作動油は第2通路8、空洞部4a、小径通路7a、スポンジゴム17の孔部17a及びワッシャ18の孔を経てボール収容部10a内へと流れ、ボール11を高圧室A側に動かして第1通路7を開き、高圧室Aに流出する。ドア104は閉方向に移動する力を蓄積しながら開かれる。ここで、本実施形態のドアクローザ1においては、スポンジゴム17が第1通路7内に配設されているので、スポンジゴム17が第2通路8を塞いでしまうことにより、ドア104をスムーズに開操作することができなくなるということがない。また、スポンジゴム17はピストン4が移動しても内圧が上昇することがない第1通路7内に配設されているので、ドアクローザ1の使用を続けていくうちにスポンジゴム17が潰れてしまうことを防ぐことができる。
ドア104から手を離すと、圧縮された大コイルスプリング5A及び小コイルスプリング5Bがその反発力により伸長し、ピストン4がハウジングの密閉空間3aで図2の右方向に直線移動する。この際、第1通路7は、チェック弁9のボール11が高圧室Aの内圧によりボール収容部10a内壁に押し付けられることで閉じているので、高圧室Aの作動油は第1通路7からは低圧室Bに流出せず、図示せぬ速度調整弁及び流路を経て低圧室Bに流出する。ピニオン14は図2において反時計回りに回転し、回転軸15の回転力がリンク機構30に伝達されてドア104がゆっくりと自動的に閉じる。
本発明によるドアクローザは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施形態のドアクローザ1は、バックチェック機能を備えていないドアクローザであったが、バックチェック機能を備えるドアクローザに本発明を適用してもよい。バックチェック機能を備えるドアクローザに本発明を適用すれば、膨張吸収部材が潰れることによりバックチェック力が作動し始める開角度が変化すること防止することができる。
また、本実施形態のドアクローザ1は第1通路7内に筒状のスポンジゴム17を配設するようにしていたが、筒状のスポンジゴムを第2通路8内に配設するようにしてもよい。
また、本実施形態のドアクローザ1は大コイルスプリング5Aと小コイルスプリング5Bの2つのスプリングによりピストン4を付勢するものであったが、一つのスプリングによりピストンを付勢するドアクローザに本発明を適用してもよい。
また、本実施形態のドアクローザ1は高圧室Aへの異物流入防止として、チェック弁9とワッシャ18との間にフィルタを配置するようにしてもよい。
A 高圧室
B 低圧室
1 ドアクローザ
3 ハウジング
3a 密閉空間
4 ピストン
4a 空洞部
5A 大コイルスプリング(スプリング)
5B 小コイルスプリング(スプリング)
7 第1通路(作動油通路)
7a 小径通路
7b 中径通路
7c 大径通路
8 第2通路
9 チェック弁
10 弁本体
10a ボール収容部
11 ボール
12 ラック・ピニオン機構(ピストン移動機構)
17 スポンジゴム(膨張吸収部材)
17a 孔部10b

Claims (1)

  1. 作動油が充填された密閉空間を有するハウジングと、該密閉空間にスプリングにより付勢された状態で往復移動可能に配置されたピストンと、該ピストンを移動させるピストン移動機構とを備えるドアクローザにおいて、
    作動油の通路となる孔部を有する筒状の膨張吸収部材が該ピストンに形成された作動油通路内に配設されていることを特徴とするドアクローザ。
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