特許文献1のトリマー装置によれば、トリマーブロックの全体をボディの背面上部に凹み形成した収納孔内に収容して、不使用時のトリマー刃を保護でき、さらに誤ってトリマー刃に接触して怪我するのを防止できる。しかし、弾性変形しやすい取付アームの先端に設けた小さなボスをトリマーブロックに係合連結して、切換え摺動板とトリマーブロックを連動可能に連結するので、例えばボディに落下衝撃が作用する場合などに、ボスが連結穴から離脱することがある。ボスが連結穴から離脱した場合には、トリマーブロックの周辺構造を分解してボスを係合連結したうえで、周辺構造を組立てなおす必要があり、一連の作業に多くの手間が掛かる。また、切換え摺動板とトリマーブロックの連結中心位置と、トリマーブロックの揺動中心位置との距離が小さいので、揺動軸部や連結軸部などの僅かな寸法のばらつきで起伏動作がぎくしゃくすることがあり、そのため、トリマー装置を備えたすべての電気かみそりにおいて、トリマーブロックを常に円滑に起伏揺動させるのが困難であった。切換え摺動板やトリマー基台などの中間伝動構造の成形精度を高めると、起伏動作がぎくしゃくするのをある程度は抑止できるが、コストが嵩んでしまう。
特許文献2のきわ剃刃構造によれば、スイッチノブをオン位置からきわ剃位置へスライド移動した状態においてきわ剃刃を作動姿勢に切換えて、振動子の往復動力をきわ剃刃に伝動できる。しかし、スイッチノブの押上げ動作をリンクバーで揺動動作に変換したのち、リンクバーの下方揺動動作を切換えレバーできわ剃刃に伝えるので、中間伝動構造などの構成部品点数が多く、しかも各部品の組立に余分な手間が掛かるため、電気かみそりの全体コストが嵩む。また、構成部品点数が多い分だけ集積誤差の影響を受けやすく、稀にきわ剃刃の起伏動作がぎくしゃくすることがあった。
本発明の目的は、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニットの姿勢を確実に切換えることができ、従ってトリマーユニットの姿勢切換構造を著しく単純化してコストを削減できる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、スライド動作を伝動するための中間伝動構造や連結構造を省略することができ、従って落下衝撃などを受けて連結部分が分離する余地がなく、トリマーユニットを常に円滑に起伏揺動できる電気かみそりを提供することにある。
本発明に係る電気かみそりは、本体ケース1の外面にトリマーユニット3と、往復スライドしてトリマーユニット3の姿勢を切換え操作するスライドノブ33とが設けてある。トリマーユニット3は揺動軸28を介してスライドノブ33と連結されて、その切刃部がスライドノブ33の外面に突出する作動姿勢と、全体が本体ケース1の外面に沿って格納される待機姿勢との間で起伏揺動できるようスライドノブ33で支持されている。スライドノブ33およびトリマーユニット3と本体ケース1の対向面に、トリマーユニット3の姿勢を作動姿勢に切換える姿勢切換構造を設ける。図1に示すように、姿勢切換構造は、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62を含む。スライドノブ33がスライド操作される状態において、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で受止めることにより、受動片70を揺動軸28の回りに回動操作して、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換えることを特徴とする。
トリマーユニット3と本体ケース1の対向面のそれぞれに、トリマー側ストッパー79と本体側ストッパー78とを設ける。トリマーユニット3が待機姿勢から作動姿勢に切換わるのに連動して、トリマー側ストッパー79と本体側ストッパー78とが互いに接当して、トリマーユニット3を作動姿勢に保持固定する。
受動片70の外周面に連続してトリマー側ストッパー79を設け、切換えカム体62の外周面に連続して本体側ストッパー78を設ける。
トリマーユニット3の本体ケース1との対向面に、本体ケース1へ向かって突出する受動片70を設ける。受動片70の突端寄りに切換えカム体62のカム面72で受止められる受動部73を設ける。
本体ケース1のトリマーユニット3との対向面に、切換えカム体62をトリマーユニット3へ向かって突設する。切換えカム体62のカム面72を、切換えカム体62の下面に設けられる第1カム面74と、第1カム面74に連続して傾斜する第2カム面75とで構成する。
図5に示すように、トリマーユニット3は固定刃21および可動刃22と、これら両者を支持するトリマーベース23を備えている。トリマーベース23の左右方向の一側端に受動片70を設ける。
トリマーベース23の左右方向の両側端に、トリマーベース23の構造強度を増強する補強リブ27を設ける。左右いずれか一方の補強リブ27に受動片70を設ける。
本体ケース1のトリマーユニット3との対向面に、切換えカム体62をトリマーユニット3へ向かって突設する。受動片70は、スライドノブ33に形成したスライド溝44を介して本体ケース1の側へ突出している。スライドノブ33がスライド操作される状態において、切換えカム体62でスライド溝44をスライド案内する。
スライドノブ33はノブ本体35と、ノブ本体35の背面に固定される背面カバー36とで構成し、背面カバー36にスライド溝44を形成する。
トリマーユニット3と本体ケース1との間に、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に復帰操作する姿勢復帰構造を設ける。
姿勢復帰構造は、トリマーユニット3に設けた復帰受動片71と、復帰受動片71のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた復帰カム体61を含む。スライドノブ33がスライド操作される状態において、スライド移動する復帰受動片71を復帰カム体61で受止めることにより、復帰受動片71を揺動軸28の回りに回動操作して、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に切換える(図14(b)参照)。
別の姿勢復帰構造は、図18に示すように受動片70と本体ケース1との間に配置した復帰ばね92で構成する。
スライドノブ33は、本体ケース1の内部に設けたモーター4への通電をオン・オフするスイッチノブを兼ねている。スライドノブ33は、オフ位置と、オフ位置より上側のオン位置と、オン位置より上側のトリマー位置とにスライド移動できる。スライドノブ33がオフ位置に位置している状態において、トリマーユニット3は復帰ばね92のばね力で待機姿勢に位置保持されている。
復帰ばね92は引っ張りコイルばねで構成されて、その両端が本体ケース1側の固定連結部93と、トリマーユニット3側の可動連結部94にそれぞれ掛止されている。スライドノブ33はオフ位置、オン位置、トリマー位置の各位置にあるときの、固定連結部93と可動連結部94との間の距離をL1、L2、L3とするとき、固定連結部93と可動連結部94を、不等式(L2<L1<L3)を満足する位置に設ける。
復帰受動片71の外周面に連続してトリマー側規制部83を設け、復帰カム体61の外周面に連続して本体側規制部84を設ける。図13に示すように、トリマーユニット3が待機姿勢に格納された状態において、トリマー側規制部83と本体側規制部84とが互いに接当して、トリマーユニット3を作動姿勢に保持固定する。
トリマーユニット3は固定刃21および可動刃22と、これら両者を支持するトリマーベース23を備えている。図5に示すように、トリマーベース23の左右方向の一側端に復帰受動片71を設ける。
図5に示すように、トリマーベース23の左右方向の一側端に受動片70を設け、トリマーベース23の左右方向の他側端に復帰受動片71を設ける。
トリマーユニット3と対向する本体ケース1のケース壁に駆動開口18を設ける。往復動力をトリマーユニット3へ出力する駆動アーム16を駆動開口18に臨ませる。スライドノブ33はノブ本体35と、ノブ本体35の背面に固定される背面カバー36とで構成する。トリマーユニット3を作動姿勢に切換えた状態において、駆動開口18を背面カバー36で覆う。
切換えカム体62の下側にガイド溝63を設ける。図14に示すように、トリマーユニット3から本体ケース1へ向かって突出した受動片70の左右側面を、前記ガイド溝63の溝側壁でスライド案内する。
トリマーユニット3の揺動軸28を、トリマーユニット3を構成するトリマーベース23と一体に設ける。ノブ本体35の内面両側に設けられて揺動軸28を軸支する軸受溝40を、背面カバー36に向かって開口するU字溝状に形成する。図13に示すように、揺動軸28を軸受溝40に嵌込み、ノブ本体35と背面カバー36を組付けた状態において、軸受溝40の溝開口を背面カバー36に設けた蓋部52で塞ぐようにする。
蓋部52に、軸受溝40の内部に入込んで揺動軸28の周面を受け止める突起53を設ける。
図7に示すように、背面カバー36に、スライドノブ33をオフ位置においてスライド不能にロック保持するロック構造の弾性ロック腕45と、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、トリマー位置の各位置において位置保持する節度構造の弾性腕46とを設ける。背面カバー36に、弾性ロック腕45を弾性変形させてロック解除操作する解除ボタン48と、スイッチ端子50を装着するための端子装着部47とを設ける。
ノブ本体35と背面カバー36とは、背面カバー36の周縁の複数個所に設けた固定部Mで一体化する。図8に示すように、背面カバー36における弾性ロック腕45と弾性腕46の配置位置を、左右で対を為す固定部Mを含む締結領域Rで上下に区分する。
弾性腕46を左右で対を為す固定部Mを含む締結領域Rの下方の一側に配置する。端子装着部47は、弾性腕46の側方に隣接し、かつ締結領域Rに近接する状態で背面カバー36に設ける。
本体ケース1のケース壁に、端子装着部47を往復スライド可能に案内する端子ガイド溝59を形成する。図11に示すように、端子ガイド溝59の内面内方に配置した回路基板7に、端子装着部47に固定したスイッチ端子50で接続状態が切換えられる固定端子51を設ける。
端子装着部47と対向するノブ本体35の内面に、スイッチ端子50の弾性に抗して端子装着部47を受止める規制体85を設ける。
本体ケース1のケース壁に、スライドノブ33を往復スライド自在に案内する複数のノブガイド溝57を形成する。ノブ本体35の内面にノブガイド溝57で案内されるスライド突起38を設ける。スライド突起38の突端にノブガイド溝57の溝内縁に係合して、スライドノブ33を本体ケース1と連結する連結爪39を形成する。
本発明においては、トリマーユニット3とスライドノブ33を揺動軸28を介して連結し、トリマーユニット3を作動姿勢と待機姿勢とに起伏揺動できるようスライドノブ33で支持した。また、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62などで姿勢切換構造を構成して、スライドノブ33をスライド操作する状態において、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で受止めて、受動片70を揺動軸28の回りに回動操作することにより、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換えるようにした。
上記のように、トリマーユニット3に設けた受動片70を、本体ケース1に設けた切換えカム体62で直接的に受止めて、トリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換えるようにすると、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニットの姿勢を確実に切換えることができる。従ってトリマーユニットの姿勢切換構造を著しく単純化し、簡素化してコストを削減し、その分だけ低コストの電気かみそりを提供することができる。また、スライド移動する受動片70を切換えカム体62で直接的に受止めて、トリマーユニット3の姿勢を切換えるので、スライドノブ33のスライド動作を伝動するための中間伝動構造や連結構造を省略することができる。従って、電気かみそりに落下衝撃などが作用するような場合でも、落下衝撃を受けて連結部分が分離する余地がなく、トリマーユニット3を常に円滑に起伏揺動できる、信頼性に優れた電気かみそりを提供することができる。
トリマーユニット3と本体ケース1の対向面に、トリマー側ストッパー79と本体側ストッパー78とを設け、トリマーユニット3が作動姿勢に切換わった状態において、前記両ストッパー78・79を互いに接当させると、作動姿勢に切換えられたトリマーユニット3の姿勢を、安定した状態で保持固定することができる。従って、ユーザーがスライドノブ33をトリマー位置からオン位置側へスライド操作しない限りは、トリマーユニット3を作動姿勢に固定保持して、きわ剃りを安定した状態で行なうことが出来る。外力を受けたトリマーユニット3が待機姿勢の側へ復帰回動することもない。
受動片70の外周面に連続してトリマー側ストッパー79を設け、切換えカム体62の外周面に連続して本体側ストッパー78を設けると、各ストッパー78・79を受動片70および切換えカム体62の周辺に集約することができる。従って、各ストッパー78・79をトリマーユニット3の他の部分に独立した構造として設ける場合に比べて、トリマーユニット3の構造を簡素化できる。各ストッパー78・79と受動片70および切換えカム体62の位置関係をより近づけることができるので、受動片70の回動に伴う両ストッパー78・79の姿勢の切換わり動作を安定化できる利点もある。
受動片70を本体ケース1へ向かって突出し、その突端寄りに切換えカム体62のカム面72で受止められる受動部73を設けると、トリマーユニット3が作動姿勢へ回動するときの、受動部73に作用するモーメントアームを大きくすることができる。従って、トリマーユニット3を軽快に回動変位させて、待機姿勢から作動姿勢に的確に切換えることができる。また、受動部73を切換えカム体62のカム面72で受止めて、常に下向きの操作力が作用する状態で受動片70を回動させるので、トリマーユニット3が揺動軸28の周りに回動するとき、揺動軸28がずれ動くのを防止して、トリマーユニット3を安定した状態で回動変位できる。
切換えカム体62のカム面72を第1カム面74と、傾斜する第2カム面75とで構成すると、図17に示すように受動片70の近傍に逃げ凹部90を設ける必要もなく、トリマーユニット3を円滑に回動させることができる。これは、切換えカム体62の下隅に傾斜する第2カム面75に設けることで、回動途中の受動片70が切換えカム体62の下隅に接当緩衝するのを回避できるからである。また、受動片70の近傍に逃げ凹部90を設ける必要がないので、凹部90を設けることで受動片70および周辺の構造が複雑になることもなく、その分だけ受動片70および同片70の周辺構造を簡素化できる。
固定刃21および可動刃22と、これら両者を支持するトリマーベース23などでトリマーユニット3を構成し、トリマーベース23の左右方向の一側端に受動片70を設けると、固定刃21および可動刃22をトリマーベース23に組付ける際に、受動片70が組付けの邪魔になるのを解消できる。従って、トリマーユニット3の組立に関する一連の作業を、より少ない手間で的確に行うことができる。
トリマーベース23の両側端のそれぞれに補強リブ27を設け、左右いずれか一方の補強リブ27に受動片70を設けると、受動片70をトリマーベース23に独立した構造として形成する場合に比べて、補強リブ27の分だけ受動片70の突出寸法を小さくして強度を向上できる。また、トリマーユニット3が待機姿勢になっているとき、受動片70が
格納部34の前開口から視認されるのを防止できる。
本体ケース1のトリマーユニット3との対向面に切換えカム体62を突設し、スライドノブ33がスライド操作されるとき、切換えカム体62でスライド溝44をスライド案内すると、トリマーユニット3と切換えカム体62の左右方向の位置関係を適正化できる。従って、姿勢切換え時のトリマーユニット3の回動を円滑に行える。
ノブ本体35と背面カバー36とでスライドノブ33を構成すると、スライドノブ33をスライド操作した状態において、本体ケース1の前面を背面カバー36で覆い隠すことができる。従って、トリマーユニット3を使用する際に、本体ケース1に設けた駆動構造や姿勢切換え構造などが視認されるのを防いで、電気かみそりの外観上の体裁を向上することができる。また、背面カバー36を利用してスライド溝44を形成するので、スライドノブ33のスライド動作を安定化できる。
トリマーユニット3と本体ケース1との間に姿勢復帰構造を設けると、スライドノブ33をスライド操作することにより、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に強制的に復帰操作することができる。従って、ユーザーは、単にスライドノブ33をオン位置側へスライド操作するだけで、トリマーユニット3を待機姿勢に復帰回動させて、次回のきわ剃り作業に備えることができる。
トリマーユニット3に設けた復帰受動片71と、本体ケース1に設けた復帰カム体61とで姿勢復帰構造を構成すると、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置側へスライド操作されるとき、復帰受動片71を復帰カム体61で直接的に受止めて、トリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に切換えることができる。従って、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニット3の姿勢を姿勢復帰構造で確実に切換えることができ、さらに、中間伝動構造を省略する分だけ、姿勢切換構造を著しく単純化し簡素化してコストを削減できる。
受動片70と本体ケース1との間に配置した復帰ばね92で構成した姿勢復帰構造によれば、作動姿勢に切換わったトリマーユニット3に対して復帰ばね92のばね力を作用させて、トリマーユニット3を待機姿勢の側へ向かって復帰付勢することができる。従って、スライドノブ33がトリマー位置からオン位置側へスライド操作されるのに連動して、トリマーユニット3を自動的に復帰回動させながら待機姿勢に戻すことができる。復帰ばね92は、受動片70と本体ケース1とに連結してあればよいので、復帰受動片71や復帰カム体61などのカム構造を設けて、トリマーユニット3を待機姿勢へ復帰操作する場合に比べて姿勢復帰構造を簡素化でき、動作の信頼性を高めることができる。
スイッチノブを兼ねるスライドノブ33がオフ位置と、オン位置と、トリマー位置とにスライド移動するノブ構造において、オフ位置におけるトリマーユニット3を復帰ばね92のばね力で待機姿勢に位置保持できるようにすると、不使用状態におけるトリマーユニット3が、落下衝撃などの外力を受けて作動姿勢に切換わるのを確実に防止できる。また、いたずら等によってトリマーユニット3を作動姿勢に切換える試みが行われたとしても、トリマーユニット3を復帰ばね92のばね力で待機姿勢に戻すことができる。
スライドノブ33がオフ位置、オン位置、トリマー位置の各位置にあるときの、固定連結部93と可動連結部94との間の距離をL1、L2、L3とするとき、固定連結部93と可動連結部94が、不等式(L2<L1<L3)を満足する位置に設けてあると、両連結部93・94の距離の違いに応じて復帰ばね92のばね力を大小に違わせることができる。詳しくは、スライドノブ33がオン位置にあるときのばね力を基準にして、スライドノブ33がオフ位置にあるときのばね力が先の基準のばね力より大きく、さらにスライドノブ33がトリマー位置にあるときのばね力が最も大きくなるように設定できる。従って、トリマーユニット3が作動姿勢に切換わった状態と、トリマーユニット3が待機姿勢に切換わった状態において、トリマーユニット3の姿勢を確実に保持固定して、トリマーユニット3の姿勢が不用意に切換わるのをより確実に防止できる。
姿勢復帰構造を備えた電気かみそりにおいて、復帰受動片71と復帰カム体61にトリマー側規制部83と本体側規制部84を設けると、トリマーユニット3が待機姿勢に格納された状態において、トリマー側規制部83と本体側規制部84とが互いに接当して、トリマーユニット3を待機姿勢に保持固定することができる。従って、ユーザーがスライドノブ33をオン位置からトリマー位置側へスライド操作しない限りは、トリマーユニット3を待機姿勢に固定保持して、トリマーユニット3の姿勢が不用意に作動姿勢に切換わるのを防止できる。トリマー側規制部83と本体側規制部84とが、機械的に互いに接当して、トリマーユニット3を待機姿勢に固定保持するので、トリマーユニット3がいたずらされ、あるいは落下衝撃がトリマーユニット3に作用するような場合であっても、トリマーユニット3を安定した状態で確実に待機姿勢に固定保持できる。
トリマーベース23の左右方向の一側端に復帰受動片71を設けると、固定刃21および可動刃22をトリマーベース23に組付ける際に、復帰受動片71が組付けの邪魔になるのを解消できる。従って、トリマーユニット3の組立に関する一連の作業を、より少ない手間で的確に行うことができる。
トリマーベース23の一側端に受動片70を設け、トリマーベース23の他側端に復帰受動片71を設けて、受動片70と復帰受動片71を分離配置すると、両受動片70・71を一個所に集約する場合に比べて、各受動片70・71およびその周辺構造を単純化できる。また、両受動片70・71の形成位置がトリマーベース23の両側端に位置するので、固定刃21や可動刃22などのトリマー構成部品をトリマーベース23に組付ける際に、受動片70や復帰受動片71が組付けの邪魔になることもなく、トリマーユニット3の一連の組立作業をより少ない手間で的確に行うことができる。
トリマーユニット3を作動姿勢に切換えた状態において、本体ケース1のケース壁に開口した駆動開口18を背面カバー36で覆うようにすると、きわ剃り時に切断された毛屑が駆動開口18から本体ケース1の内部に入込むのをよく防止して、毛屑の進入に伴う衛生状態の悪化や、進入した毛屑が可動部分に付着して作動不良に陥るのを良く防止できる。また、駆動開口18を介して本体ケース1の内部が視認されるのを防止して、使用状態における外観上の体裁を向上することができる。
切換えカム体62の下側にガイド溝63を設け、本体ケース1へ向かって突出した受動片70の左右側面を、前記ガイド溝63の溝側壁でスライド案内すると、スライドノブ33が上下スライドするとき、受動片70のスライド軌跡が左右に変動するのをガイド溝63で規制できる。従って、受動片70を切換えカム体62のカム面72に適正に正対させて、トリマーユニット3の姿勢切換えをさらに的確に行うことができる。また、切換えカム体62の下側に形成したガイド溝63で受動片70をスライド案内するので、ガイドリブなどのガイド構造を別途設ける場合に比べて、構造を簡素化できる。
ノブ本体35の内面両側にU字溝状の軸受溝40を形成し、トリマーユニット3の揺動軸28を軸受溝40に嵌込み、ノブ本体35と背面カバー36を組付けた状態において、軸受溝40の溝開口を背面カバー36の蓋部52で塞ぐと、揺動軸28が軸受溝40から脱落するのを蓋部52で確実に防止できる。また、ノブ本体35の軸受溝40にトリマーユニット3の揺動軸28を嵌込んだのち、背面カバー36をノブ本体35に組付けることで軸受溝40の溝開口を蓋部52で塞ぐことができるので、一連の組立作業をより少ない手間で簡便に行うことができる。
蓋部52に突起53を設け、この突起53で揺動軸28の周面を受け止めるようにすると、揺動軸28が軸受溝40の内部で遊動するのを防止できるので、トリマーユニット3の姿勢切換えに伴う回動動作を、常に安定した状態で行うことができる。
背面カバー36に、ロック構造の弾性ロック腕45と、節度構造の弾性腕46と、弾性ロック腕45用の解除ボタン48と、スイッチ端子50用の端子装着部47を設けると、これらの構造を別途設ける場合に比べて、ロック構造および節度構造とその周辺構造がいたずらに複雑化するのを避けて、スライドノブ33の内部構造を簡素化できる。また、弾性ロック腕45、弾性腕46、解除ボタン48と端子装着部47を背面カバー36と一体に設けるので、部品点数が増加するのを解消して組立に要する手間を著しく省くことができる。
背面カバー36における弾性ロック腕45と弾性腕46の配置位置を、左右で対を為す固定部Mを含む締結領域Rで上下に区分すると、弾性ロック腕45と弾性腕46のいずれか一方が弾性変形するとき、他方が弾性変形の反力を受けてたわみ変形するのを、固定部Mを含む締結領域Rで遮断することができる。従って、弾性ロック腕45がロック姿勢に切換わり、あるいは解除ボタン48でロック解除操作される場合に、スライドノブ33を確実にロック保持し、あるいはロック解除できる。このとき、弾性ロック腕45が弾性変形するときの変形応力が弾性腕46に影響して、スライド操作を円滑に行えない可能性があったが、先の変形応力が弾性腕46に影響するのを、固定部Mを含む締結領域Rで遮断できる。また、弾性腕46がスライドノブ33の位置切換えに連動しながら弾性変形して、スライドノブ33を各切換え位置に位置保持することができる。
締結領域Rの下方の一側に弾性腕46を配置し、端子装着部47を弾性腕46の側方に隣接し、かつ締結領域Rに近接する状態で背面カバー36に設けると、端子装着部47のスライド後の位置を弾性腕46で常に適正に位置決めできる。また、端子装着部47を締結領域Rに近接する状態で配置するので、端子装着部47を背面カバー36の締結領域Rで強固に支持できる。従って、スライドノブ33を上下にスライド操作してモーター4への通電状態を切換えるとき、端子装着部47に固定したスイッチ端子50によるスイッチの切換え動作を常に確実に行うことができる。
本体ケース1のケース壁に端子ガイド溝59を設け、このガイド溝59で端子装着部47を往復スライド可能に案内すると、スライドノブ33を上下にスライド操作するとき、端子装着部47が左右方向へ揺れ動くのをガイド溝59で規制できる。従って、端子装着部47に固定したスイッチ端子50と、端子ガイド溝59の内面内方に配置した回路基板7上の固定端子51との接触状態を常に適正なものとして、スイッチの切換え動作をさらに確実なものとすることができる。
端子装着部47と対向するノブ本体35の内面に規制体85を設けると、スライドノブ33を繰り返し上下スライドする際に、端子装着部47がスイッチ端子50の弾性力で押上げられて、端子装着部47が回路基板7から徐々に離れるのを規制体85で規制することができる。これにより、スイッチ端子50と固定端子51とが接触不良に陥るのを解消して、スイッチ端子50と固定端子51の接触状態を常に適正なものとすることができる。
本体ケース1のケース壁に複数のノブガイド溝57を形成し、ノブ本体35の内面に先のノブガイド溝57で案内されるスライド突起38を設けると、スライドノブ33が左右にぐら付くのを確実に防止しながら、スライドノブ33を本体ケース1に沿って上下スライドできる。また、スライド突起38の突端に設けた連結爪39をノブガイド溝57の溝内縁に係合することにより、本体ケース1に連結したスライドノブ33が、本体ケース1から脱落するのを防止して、スライドノブ33をノブガイド溝57に沿って、確実に上下スライド操作することができる。
(実施例) 図1ないし図16は、本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2および図3において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部のヘッド部に設けられる刃部2と、本体ケース1の前面上部に設けられるトリマーユニット3と、これら両者を駆動するために本体ケース1の内部に配置されるモーター4および2次電池5などで構成する。
本体ケース1は、前後に2分割された前ケース1aと後ケース1bとからなり、これら両ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合し、3個のビスで締結することにより中空ケース状に構成されている。本体ケース1の内部には、モーター4を支持するモーターホルダー6(図4参照)や、充電用のソケットを接続するためのプラグホルダーが収容されて、前後ケース1a・1bで挟み固定してある。図2および図3において符号7は回路基板、符号8は充電用のプラグピンであり、回路基板7には電気かみそりの運転状態を制御する制御回路が実装してある。
図4に示すように刃部2は、スリット刃からなる内刃10と網刃からなる外刃11とで構成されて、主に短いひげを切断する際に使用される。外刃11は外刃ホルダー12でアーチ状に保形してある。モーター4の回転動力は偏心カム13と振動子14で往復動力に変換され、振動子14の上面に設けた駆動軸15を介して内刃10に伝動される。また、変換後の往復動力は、振動子14の前面に設けた駆動アーム16を介してトリマーユニット3に伝動することができる。駆動軸15は本体ケース1の上開口から上方へ突出しており、本体ケース1に装着したパッキン(図示していない)で、駆動軸15と上開口との間の隙間をシールしている。図9に示すように、駆動アーム16は前ケース1aの上部に開口した駆動開口18に臨ませてある。外刃ホルダー12は、本体ケース1の側面内部に組み込んだ一対のロック爪(図示していない)でロック保持してあり、ロック爪と一体に設けた取外しボタン19(図2参照)を押込み操作すると本体ケース1から取外すことができる。先のヘッド部は、刃部2と、外刃ホルダー12と、外刃ホルダー12を支持するために本体ケース1の上部に設けられるホルダーフレームと、振動子14などで構成してある。ヘッド部は、本体ケース1に対して上下、左右、前後の少なくともひとつの方向へ移動できるよう支持することができ、その場合には、ヘッド部と本体ケース1との間に設けたヘッド部移動構造でヘッド部を支持するとよい。
図5において、トリマーユニット3は固定刃21および可動刃22と、これら両者2122を支持するトリマーベース23と、可動刃22に溶着固定される可動刃ホルダー24と、可動刃22および可動刃ホルダー24を押え保持する押え枠25などで構成する。トリマーユニット3は、きわ剃りの際に使用し、あるいはくせ毛を切断するなど、主に長毛を切断する際に使用する。トリマーベース23は、左右横長のホルダー壁26と、ホルダー壁26の背面両側に設けた左右一対の補強リブ27と、補強リブ27の外側面の上部に突設した揺動軸28を一体に備えている。固定刃21および可動刃22はそれぞれ櫛歯で構成してあって、両者21・22の切刃部が下向きになる状態でトリマーベース23に組付けられる。詳しくは、固定刃21はトリマーベース23の内面に係合装着され、その両側のU字状の係合部分がトリマーベース23に設けた突起で溶着固定される。また、可動刃22は固定刃21と密着するように組付けられて、トリマーベース23に組付けた押え枠25の一対のばね腕29で、可動刃ホルダー24を介して固定刃21に向かって押付け付勢される。この状態の可動刃22および可動刃ホルダー24は、トリマーベース23に設けたガイドピン30で左右スライドのみ可能に案内支持されている。可動刃ホルダー24の上部中央には受動ピース24aが突設してあり、図1に示すように、受動ピース24aが先の駆動アーム16の前端に設けた駆動アーム16aと係合することにより、駆動アーム16の往復動力を受継ぐことができる。
本体ケース1の前面には、本体ケース1に対して上下スライドする盾形のスライドノブ33が組付けてあり、スライドノブ33の上部の格納部34にトリマーユニット3が収容してある。スライドノブ33は前側のノブ本体35と、背面カバー36とで構成してある。背面カバー36は、ノブ本体35と本体ケース1との間に配置されて、ノブ本体35の内面に固定してある。図7においてノブ本体35には、格納部34の前開口が開口してあり、その下方に指掛け凹部37が凹み形成してある。また、ノブ本体35の内面側にはスライド脚(スライド突起)38が指掛け凹部37の周辺4個所に突設されて、その突端に連結爪39が設けてある。先の前開口の内面の左右縁の上部には、トリマーユニット3の揺動軸28を軸支する軸受溝40が、背面カバー36に向かって開口する状態でU字溝状に形成してある。ノブ本体35の内面の上縁左右と、格納部34の前開口の下縁左右と、指掛け凹部37の下部左右の合計6個所には、背面カバー36を溶着固定するための溶着ピン41が形成してある。
背面カバー36は、T字状のパネルからなり、上半側のパネル面の中央にトリマーユニット3との緩衝を避ける笠状のトリマー開口43を形成し、その左右両側にスライド溝44が形成してある。図7に向かって右側のスライド溝44は後述する切換えカム体62と係合しており、スライドノブ33がスライド操作される状態において、切換えカム体62がスライド溝44をスライド案内する。このように、スライド溝44を切換えカム体62でスライド案内することにより、トリマーユニット3と切換えカム体62の左右方向の位置関係を適正化できるので、姿勢切換え時のトリマーユニット3の回動を円滑に行える。図7に向かって左側のスライド溝44は、トリマーユニット3が回動するとき、後述する復帰受動片71の前後回動を許すために設けてある。下半側のパネル面には、ロック構造の弾性ロック腕45が設けられ、その下方の左右に節度構造の弾性腕46と、縦長長方形状の端子装着部47が設けてある。上半側のパネル面の上縁の左右と、下半側のパネル面の上下縁の左右には、それぞれ先の溶着ピン41に対応するピン穴が形成してある。左右一対の弾性ロック腕45の前後には、ロック構造をロック解除操作する横一文字状の解除ボタン48と、ロック爪49(図9参照)が一体に設けてある。ロック構造および節度構造を構成する上記の各部材の詳細については、本体ケース1側の部材と対応する関係にあるので改めて説明する。端子装着部47の背面側には、弾性変形可能なスイッチ端子50が固定してある(図11参照)。また、本体ケース1の内部に設けた回路基板7には、スイッチ端子50で接続状態が切換えられる固定端子51が、上下に分離した状態で設けてある。
トリマーユニット3をノブ本体35の格納部34の背面側から組んでその揺動軸28を軸受溝40に係合し、さらに、背面カバー36をノブ本体35の背面側から組んで、解除ボタン48を指掛け凹部37のボタン開口に差込み装着し、さらにピン穴を溶着ピン41に係合することにより、背面カバー36をノブ本体35に仮組みできる。この状態で、各溶着ピン41のピン端を溶着することにより、トリマーユニット3とノブ本体35と背面カバー36の3者を一体化できる。図8に溶着後の溶着部(固定部)を符号Mで示している。固定部Mは、溶着構造以外に、ビスなどによる締結構造や、嵌合構造などであってもよい。
先に説明したように、背面カバー36の下半側には、ロック構造の弾性ロック腕45と、節度構造の弾性腕46とが上下に隣接する状態で配置してある。そのため、弾性ロック腕45と弾性腕46のいずれか一方が弾性変形するとき、他方が変形応力を受けてたわみ変形するおそれがある。こうした変形応力に伴う変形を避けるために、図8に示すように上記の溶着部Mのうち、左右で対を為す最下段の溶着部Mを含む締結領域Rで、弾性ロック腕45の配置位置と、弾性腕46の配置位置を上下に区分している。締結領域Rとは、先の溶着部Mを含み、背面カバー36の下半側の面壁の一側から他側にわたる領域を意味している。弾性腕46と端子装着部47とは、締結領域Rより下側に配置されて左右に隣接している。
上記の組付け状態において、揺動軸28が軸受溝40から脱落するのを防止するために、背面カバー36の上半側パネル面の左右側縁に蓋部52を設けて、図1に示すように軸受溝40の開口を蓋部52で塞いでいる。蓋部52には小さな突起53が設けてあり、この突起53が軸受溝40の内部に入込んで揺動軸28の周面を受止めることにより、トリマーユニット3が回動するときに揺動軸28ががた付くのを規制している。組付け状態における解除ボタン48は、図9に示すようにボタン開口から指掛け凹部37の内面に突出している。
スライドノブ33は、モーター4への通電をオン・オフするスイッチノブを兼ねており、前ケース1aに組付けた状態において、下段のオフ位置と、オフ位置より上側のオン位置と、オン位置より上側のトリマー位置とにスライド移動でき、オン位置とトリマー位置の双方において、モーター4への通電をオン状態に保持できる。このように、スライドノブ33を本体ケース1で上下スライド自在に支持するために、前ケース1aの前壁にスライドノブ33と同形のスライド凹部56を設け、その上下中途部の4個所に縦長のノブガイド溝57を開口し、これらの溝57でノブ本体35に設けたスライド脚38を上下スライド自在に案内している。スライド脚38をノブガイド溝57に差込み係合して、スライドノブ33を本体ケース1に組付けた状態では、連結爪39がノブガイド溝57の背面側の溝側縁に係合して、スライドノブ33が本体ケース1から分離するのを阻止している(図14参照)。
下側で左右対を為すノブガイド溝57の間には、ロック爪49の上下スライドを許す爪ガイド溝58と、端子装着部47の上下スライドを許す端子ガイド溝59とが開口され、端子ガイド溝59の側方に隣接して瓢箪形の節度突起60が形成してある。スライド凹部56の上部には先に説明した駆動開口18が開口され、その左右に復帰カム体61と切換えカム体62が形成され、切換えカム体62の下側に受動片70をスライド案内するガイド溝63が形成してある。図13に示すように、復帰カム体61は、前方へ向かって下り傾斜する緩やかな傾斜面からなり、前ケース1aの上隅に形成した凹部の底壁に形成してある。
上記のように、スライドノブ33をオフ位置、オン位置、およびトリマー位置の各位置において位置保持するために、背面カバー36と前ケース1aの対向面に節度構造を設けている。また、スライドノブ33をオフ位置においてスライド不能にロック保持するために、背面カバー36と前ケース1aとの間にロック構造を設けている。
節度構造は、背面カバー36の最下部に設けた左右一対の弾性腕46と、前ケース1aに形成した瓢箪形の節度突起60とで構成してあり、一対の弾性腕46の下部対向面には節度爪66が形成してある。スライドノブ33が上下スライドするとき、節度爪66は一対の弾性腕46が拡開状に弾性変形しながら節度突起60の円筒部を乗越えており、オフ位置における節度爪66は、図12および図16(a)に示すように、節度突起60の下側の円筒部の下周面で受止められている。また、オン位置における節度爪66は、図16(b)に示すように、節度突起60の上下の円筒部の間のくびれ部で受止められており、トリマー位置における節度爪66は、図16(c)に示すように、節度突起60の上側の円筒部の上周面で受止められている。
ロック構造は、背面カバー36の中途部に設けた左右一対の弾性ロック腕45と、その下端背面側に設けたロック爪49と、前ケース1aの爪ガイド溝58の下端背面に設けた鉤形凹部67とで構成する(図9参照)。スライドノブ33をオフ位置に戻した状態では、ロック爪49が鉤形凹部67と係合しているので、スライドノブ33を押上げ操作しても同ノブ33がスライドすることはない。スライドノブ33をオン位置、あるいはトリマー位置までスライド移動させる場合には、解除ボタン48を押込み操作して、弾性ロック腕45を本体ケース1側へ弾性変形させ、ロック爪49と鉤形凹部67との係合を解除した状態で、スライドノブ33を押上げ操作する。なお、スライドノブ33をオン位置からオフ位置へ戻す場合には、ロック爪49が弾性ロック腕45を弾性変形させながら爪ガイド溝58の下壁に乗上がって鉤形凹部67に落込むので、解除ボタン48を操作する必要はない。
スライドノブ33の上下スライド動作を利用して、トリマーユニット3の姿勢を作動姿勢と待機姿勢に強制的に切換えるために、トリマーユニット3およびスライドノブ33と本体ケース1の対向面に姿勢切換構造と姿勢復帰構造を設けている。図1において、姿勢切換構造は、トリマーユニット3に設けた受動片70と、受動片70の上下スライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた切換えカム体62とで構成してあり、スライドノブ33の上方スライド動作を利用してトリマーユニット3を待機姿勢から作動姿勢に切換える。姿勢復帰構造は、トリマーユニット3に設けた復帰受動片71と、復帰受動片71のスライド軌跡に臨んで本体ケース1に設けた復帰カム体61とで構成してあり、スライドノブ33の下方スライド動作を利用してトリマーユニット3を作動姿勢から待機姿勢に切換える。スライドノブ33を本体ケース1に組付けた状態における受動片70は、その先端が背面カバー36のスライド溝44を介して前ケース1aのガイド溝63内に突出しており(図14参照)、スライドノブ33が上下にスライド操作される状態では、受動片70の左右壁がガイド溝63の溝側面でスライド案内される。従って、トリマーユニット3が作動姿勢から待機姿勢に回動する間に、受動片70が左右方向へずれ動くのを確実に防止して、切換えカム体62による受動片70の回動操作を常に的確に行える。
先に説明したように、補強リブ27はホルダー壁26の背面両側に設けられてトリマーベース23の構造強度を増強しており、図5に示すように受動片70は、トリマーベース23の右端の補強リブ27の背面上部に配置されて後向きに突設してある。復帰受動片71は、トリマーベース23の左端の補強リブ27の上部に配置されて、上向きに突設してある。このように、受動片70および復帰受動片71を補強リブ27と一体に設けると、固定刃21、可動刃22、可動刃ホルダー24、および押え枠25をトリマーベース23に組付ける際に、受動片70や復帰受動片71が組付けの邪魔になるのを解消できる。また、受動片70や復帰受動片71をトリマーベース23のホルダー壁26から直接突設する場合に比べて、補強リブ27の分だけ受動片70や復帰受動片71の突出寸法を小さくして強度を向上できる。さらに、トリマーユニット3が格納部34に収容されて待機姿勢になっているとき、受動片70や復帰受動片71が格納部34の前開口から視認されるのを防止できる。
図1に示すように、スライドノブ33がオン位置からトリマー位置まで押上げ操作されるとき、切換えカム体62は、その下面および下隅にわたって設けたカム面72で、受動片70の突端上面の受動部73を受止めて、受動片70を揺動軸28の周りに回動させ、トリマーユニット3の姿勢を切換える。カム面72は、切換えカム体62の下面に設けられる第1カム面74と、第1カム面74に連続して傾斜する第2カム面75とで構成してある。
トリマーユニット3が待機姿勢から作動姿勢に切換わったとき、トリマーユニット3の作動姿勢を安定した状態で保持するために、切換えカム体62の外周面に連続して本体側ストッパー78を設け受動片70の外周面に連続してトリマー側ストッパー79を設けている。本体側ストッパー78は、先の第2カム面75の上側に隣接する垂直の前端面からなり、トリマー側ストッパー79は、受動片70の受動部73に連続する水平の上端面からなる(図5参照)。図1に示すように、トリマーユニット3が作動姿勢に切換わった状態では、本体側ストッパー78とトリマー側ストッパー79とが面接触状に接当している。そのため、トリマーユニット3が作動姿勢を越えて回動することはなく、外力を受けたトリマーユニット3が下方回動して待機姿勢に戻ることもない。
図5において復帰受動片71の背面側には、復帰カム体61で切換え操作される垂直の受動部82と、作動姿勢から待機姿勢に切換わったトリマーユニット3の姿勢を安定した状態で保持するトリマー側規制部83とが連続して設けてある。また、トリマー側規制部83に対応して、復帰カム体61の外周面に連続して本体側規制部84を設けている。図12に示すように、トリマーユニット3が待機姿勢に切換わった状態では、本体側規制部84とトリマー側規制部83とが面接触状に接当するので、トリマーユニット3が揺動軸28の周りに回動するのを確実に規制することができる。
先に説明したように、端子装着部47は背面カバー36の下端一側に配置されて片持ち梁状に支持されている。そのため、スライドノブ33を繰り返し上下スライドする際に、端子装着部47がスイッチ端子50の弾性力で押上げられて、端子装着部47が回路基板7から徐々に離れ、スイッチ端子50と固定端子51とが接触不良に陥るおそれがある。こうした接触不良を防いで、スイッチ端子50と固定端子51の接触状態を常に適正にするために、図11に示すように、端子装着部47と対向するノブ本体35の内面に規制体85を設け、その突端で端子装着部47の前面を受止めている。
次に、主にスライドノブ33の上下スライド動作と、これに伴うトリマーユニット3の姿勢切換え動作について説明する。スライドノブ33がオフ位置にあるとき、トリマーユニット3は図14に示すように、格納部34に収容されて待機姿勢になっている。このとき、受動片70の突端は、切換えカム体62の下側に設けたガイド溝63の上下中途部に位置している。この状態からスライドノブ33をオン位置まで上方スライド操作すると、トリマーユニット3がスライドノブ33に同行して、図14に想像線で示す位置まで上昇する。このときの受動片70は切換えカム体62と、僅かな隙間を介して対向している。また、トリマーユニット3とともに上昇スライドしたスイッチ端子50が、上下の固定端子51を導通してモーター4に駆動電流を供給するので、刃部2の内刃10が往復駆動される。
きわ剃りを行うために、スライドノブ33をオン位置からトリマー位置へと押上げ操作すると、まず受動片70の受動部73が切換えカム体62の第1カム面74で受止められ、受動片70が揺動軸28の周りに回動してトリマーユニット3をケース前方へ傾動させる。このとき、揺動軸28から最も離れた受動片70の突端寄りが第1カム面74で受止められるので、トリマーユニット3が回動するときのモーメントアームを大きくすることができ、従って、トリマーユニット3を軽快に前方傾動させることができる。受動片70が回動を開始したのちは、受動部73は第1カム面74と第2カム面75の隣接隅部で受止められて徐々に回動量を増し、図15(a)に示すように、トリマーユニット3の傾動角度が45度に達した時点で、受動部73が第2カム面75に接当する。
以後は、受動部73に連続するトリマー側ストッパー79が、第2カム面75と本体側ストッパー78の隣接隅部で受止められて、トリマーユニット3の全体が作動姿勢へ向かって跳ねあげ傾動される。スライドノブ33がトリマー位置まで押上げ操作された状態では、図10に示すようにトリマーユニット3は、その切刃部が水平に突出する作動姿勢となって、トリマー側ストッパー79が本体側ストッパー78で受け止められる。従って、トリマーユニット3が作動姿勢を越えて過剰に回動操作されることはなく、また、下向きの外力が作用したとしても、トリマーユニット3が下向きに回動することはなく、トリマーユニット3を安定した状態で作動姿勢に保持し続けることができる。
上記のように、トリマーユニット3を作動姿勢に切換えた状態においては、図10に示すようにスライドノブ33が最上端のトリマー位置までスライド変位し、背面カバー36が駆動開口18の前面を覆う。そのため、きわ剃り時に切断された毛屑が格納部34内に入込むことがあったとしても、毛屑が駆動開口18から本体ケース1の内部に入込むのをよく防止して、毛屑の進入に伴う衛生状態の悪化や、進入した毛屑が可動部分に付着して作動不良に陥るのを良く防止できる。また、駆動開口18を介して本体ケース1の内部が視認されるのを良く防止して、使用状態における外観上の体裁を向上することができる。スライド変位する受動片70の左右側面を、ガイド溝63の溝側壁を利用してスライド案内し、受動片70のスライド軌跡が左右に変動するのを規制するので、受動片70を切換えカム体62のカム面72に適正に正対させて、トリマーユニット3の姿勢切換えを的確に行うことができる。
きわ剃りが終了したのち、スライドノブ33をトリマー位置からオン位置側へ押下げ操作(下方スライド操作)すると、図15(b)に示すように、復帰受動片71の受動部82が復帰カム体61に接当して、復帰受動片71が揺動軸28の周りに回動してトリマーユニット3を下向きに傾動させる。復帰受動片71が回動を開始したのちの受動部82は、復帰カム体61と本体側規制部84との隣接角部が受動部82に接当して徐々に回動量を増す。以後は、スライドノブ33がオン位置に達する間に、トリマーユニット3が揺動軸28の周りに回動して、全体が格納部34に収容される待機姿勢へ復帰する。この状態では、図13に示すように、トリマー側規制部83が本体側規制部84で受止められるので、トリマーユニット3が待機姿勢を越えて過剰に回動操作されることはなく、また、上向きの外力が作用したとしても、トリマーユニット3が上向きに回動することはなく、トリマーユニット3を安定した状態で待機姿勢に保持し続けることができる。
以上のように、スライドノブ33が上方スライドするとき受動片70をカム面72に接当させ、受動片70を揺動軸28の周りに回動させてトリマーユニット3の姿勢を作動姿勢に切換えるようにすると、リンクやレバーなどの中間伝動構造を使用する必要もなくトリマーユニット3の姿勢を確実に切換えることができる。また、トリマーユニット3の姿勢切換構造を著しく単純化してコストを削減できる。さらに、スライド動作を伝動するための中間伝動構造や連結構造を省略することができるので、落下衝撃などを受けて連結部分が分離する余地がなく、トリマーユニット3を常に円滑に起伏揺動できる、信頼性に優れた電気かみそりを提供できる。
図17は切換えカム体62の構造と受動片70の構造を一部変更した別実施例を示している。そこでは、切換えカム体62の下面にカム面72を設け、切換えカム体62の前面にカム面72と直交する本体側ストッパー78を設けて、上記の実施例における第2カム面75を省略した。また、受動片70を斜上方へ突設し、受動部73の前側に隣接して逆三角形状の逃げ凹部90を設けるようにした。逃げ凹部90の斜辺同士が挟む角度は90度とした。上記のように、切換えカム体62をカム面72と本体側ストッパー78とで構成すると、受動部73がカム面72で僅かでも回動操作されると、以後は、受動片70の上面がカム面72と本体側ストッパー78の隣接角部で受止められるため、トリマーユニット3が回動するときのモーメントアームが小さくなる。こうした不具合を避けるために、受動部73の前側に隣接して逃げ凹部90を設けて、トリマーユニット3が45度回動するまでの間、受動部73の前縁がカム面72で受止められるようにしている。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
図18は姿勢復帰構造の一部を変更した別の実施例を示している。そこでは、受動片70と本体ケース1との間に復帰ばね92を配置して、姿勢復帰構造とした。復帰ばね92は引っ張りコイルばねで構成されており、その一端を本体ケース1側の固定連結部93に掛止し、他端を受動部73の突端寄りの可動連結部94に掛止するようにした。固定連結部93と可動連結部94は、スライドノブ33がオフ位置、オン位置、トリマー位置の各位置にあるときの、固定連結部93と可動連結部94との間の距離をL1、L2、L3とするとき、不等式(L2<L1<L3)を満足できる位置関係になるようにした。図18(a)はスライドノブ33がオフ位置にある状態を、図18(b)はスライドノブ33がオン位置にある状態を、図18(c)はスライドノブ33がトリマー位置にある状態を、それぞれ示している。
上記のように、固定連結部93と可動連結部94との間の距離を(L2<L1<L3)とすることにより、各位置における復帰ばね92の張力を大小に変化させて、トリマーユニット3を復帰ばね92の付勢力で揺動軸28の周りに回動させて待機姿勢に戻すことができる。また、スライドノブ33がオフ位置に位置している状態において、待機位置にあるトリマーユニット3を復帰ばね92の付勢力で引っ張り付勢して、トリマーユニット3が揺動軸28の周りに回動するのを、トリマー側規制部83による回動規制作用と協同して規制できる。なお、スライドノブ33がオン位置にある状態では、固定連結部93と可動連結部94との間の距離L2が最も小さいが、復帰ばね92はこの状態でも小さなばね力を発揮して、トリマー側規制部83を本体側規制部84に密着させている。
上記の実施例では、受動片70と復帰受動片71を、トリマーベース23の両側に配置したがその必要はなく、トリマーベース23の背面側の任意の位置に配置することができる。とくに、トリマーベース23の背面に、別途形成した蓋体を係合装着する場合には、蓋体の任意の位置に受動片70と復帰受動片71を設けることができる。揺動軸28は、ノブ本体35の側に設けることができ、その場合の軸受溝40はトリマーベース23の側に形成するとよい。カム面72は、円弧面で形成することができ、あるいは複数の平面が連続する多数の角部を備えた平面で形成することができる。復帰ばね92はねじリコイルばねや圧縮ばねなど、引っ張りコイルばね以外のばねで形成してあってもよい。
スライドノブ33は上下スライドする以外に、左右スライドする形態や、斜めにスライドする形態であってもよい。また、スライドノブ33はモーター4の起動スイッチを兼ねている必要はなく、単にトリマーユニット3を待機姿勢と作動姿勢に切換える姿勢切換えノブとして機能するものであってもよい。その場合には、モーター4の起動スイッチをスライドノブ33とは別に設けておくとよい。