特許文献2の電気かみそりによれば、きわ剃りユニットの使用時に、かみそりヘッドが本体部に対して左右傾動し、あるいは前後傾動するのを揺動防止片で規制できる。そのため、この種の傾動規制構造を備えていない電気かみそりに比べると、メイン内刃の往復動力の伝動をより確実に行って、動力の伝動効率を向上できる。しかし、第2刃枠に同枠を押下げる向きの外力が作用する場合には、揺動防止片を介してホルダーおよびスライド操作片に押下げ力が作用するため、きわ剃りユニットの全体が節度構造の位置保持力に抗して不使用姿勢に切換わってしまうことがある。こうした場合には、きわ剃りユニットを再び使用姿勢に切換える必要があり、ユーザーにとって煩わしい操作となる。また、揺動防止片が往復動するホルダーと一体化してあるため、きわ剃りユニットの使用時に、揺動防止片が第2刃枠と擦れあって摩擦抵抗を受けるため、その分だけ動力損を生じる不利と、摩擦に伴う騒音を発生する不利とがある。
本発明の目的は、きわ剃りユニットの使用時に、かみそりヘッドが本体部に対して左右傾動するのを規制して、可動刃に対する動力の伝動を効率よく行なうことができる電気かみそりを提供することにある。
本発明に係る電気かみそりは、かみそりヘッド2が本体部1に対して少なくとも左右傾動可能に支持されており、本体部1の周囲にきわ剃りユニット6が配置してある電気かみそりを対象とする。きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に変位させた状態において、かみそりヘッド2側の往復動力が伝動機構を介してきわ剃りユニット6の可動刃48に伝動されるように構成してある。きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制し、かつ、かみそりヘッド2の切断刃部11を保護する保護規制体3を備えていることを特徴とする。
図1に示すように保護規制体は、不使用時にかみそりヘッド2の切断刃部11の外面を覆う保護キャップ3からなる。切断刃部11を覆う保護キャップ3を本体部1で受止めて、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制する。
保護キャップ3は本体部1に設けた装着部51に装着されて、かみそりヘッド2を変位不能に保持する構造とすることができる。
図11に示すように、保護キャップ3はかみそりヘッド2に設けた装着部81に装着されて、本体部1で変位不能に保持する構造とすることができる。
本体部1の装着部51に配置したきわ剃りユニット6は、待機姿勢と、本体部1の外面に突出する使用姿勢との間で揺動できるよう支軸52で支持する。保護キャップ3ときわ剃りユニット6との間に、保護キャップ3の装着動作に連動してきわ剃りユニット6を使用姿勢に揺動操作する連動機構を設ける。
図6に示すように、連動機構は、保護キャップ3の側に設けたラック78と、きわ剃りユニット6の支軸52に固定したピニオン77とで構成し、切断刃部11を保護キャップ3で覆う過程で、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換え操作する。
図9および図10に示すように、保護キャップ3の前後壁64・65のそれぞれに、本体部1の装着部51に係合する門形の規制枠66を形成する。前後の規制枠66のいずれか一方に、ピニオン77と係合するラック78を形成する。保護キャップ3の切断刃部11に対する装着姿勢を前後逆向きにすることにより、きわ剃りユニット6を使用姿勢に保持し、あるいはきわ剃りユニット6を待機姿勢に保持できるようにする。
本体部1の上方に突出する装着部51にきわ剃りユニット6を配置する。図8に示すように、装着部51の左右側壁51a・51bで規制枠66の左右内壁66a・66bを受止めて、かみそりヘッド2の変位を規制する。
装着部51の上壁51cで規制枠66の上内壁66cを受止めて、かみそりヘッド2の本体部1側への沈込みを規制する。
図11に示すように、本体部1から突出する装着部51の左右にガイド溝60を形成し、規制枠66にガイド溝60と係合する脚片74を設ける。切断刃部11の外面を保護キャップ3で覆った状態において、かみそりヘッド2の前後傾動を装着部51で保護キャップ3を介して規制する。
本体部1の装着部51の近傍に、モーター14への通電を制御するスイッチ76を配置する。スイッチ76を切換え操作する操作突起75を保護キャップ3に設ける。保護キャップ3を装着部51に装着する過程で、前記スイッチ76を操作突起75で切換操作してモーター14を起動できるようにする。
本発明に係る別の電気かみそりは、かみそりヘッド2が本体部1に対して少なくとも左右傾動、および上下動可能に支持されており、本体部1の周囲にきわ剃りユニット6が配置してある電気かみそりを対象とする。きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2側の往復動力が伝動機構を介してきわ剃りユニット6の可動刃48に伝動されるように構成してある。きわ剃りユニット6をユニット操作体83で使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制する規制構造を備えていることを特徴とする。
図12に示すように規制構造は、上下方向に長い規制体84と、規制体84に対して上下に相対スライド自在な規制ガイド86とで構成されて、その一方がユニット操作体83の側に、他方がかみそりヘッド2の側に設けてある。きわ剃りユニット6をユニット操作体83で使用姿勢に切換えた状態において、規制体84と規制ガイド86とが係合してかみそりヘッド2の左右傾動を規制しながら、かみそりヘッド2の上下動は許すように構成する。
図12に示すように、ユニット操作体は、本体部1で上下スライド可能に支持される操作ノブ83で構成する。きわ剃りユニット6を操作ノブ83で使用姿勢に切換え操作した状態において、操作ノブ83と一体に設けた規制体84が規制ガイド86と係合して、かみそりヘッド2の左右傾動を規制する(図14参照)。操作ノブ83と一体に設けた規制体84とは、好ましくは規制体84が操作ノブ83と一体に成形してある場合であるが、独立部品として形成した規制体84を操作ノブ83に対して、係合固定し、溶着固定し、あるいは締結固定するなどにより一体化してある場合を含むこととする。
図12に示すように、かみそりヘッド2の本体部1に対する上下動ストロークH1を、操作ノブ83の上下方向のスライドストロークH2より小さく設定する。
きわ剃りユニット6を操作ノブ83で使用姿勢に切換え操作した状態において、規制体84で規制ガイド86を引寄せ操作して、伝動機構のきわ剃りユニット用の駆動軸38と受動アーム49との間のとの間の伝動効率を向上する。例えば、図12に示す規制体の場合には、規制体84の係合軸84aの中心軸を規制ガイド86の穴中心軸に対して、きわ剃りユニット6の側(後側)へ僅かに位置ずれさせて、規制体84で規制ガイド86を引寄せ操作できるようにしている。
規制構造は、棒状の規制体84と、規制体84に対して上下に相対スライド自在な状態で外嵌する規制ガイド86とで構成して、その一方を操作ノブ83の側に、他方をかみそりヘッド2の側に設ける。きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、規制体84と規制ガイド86とが係合してかみそりヘッド2の左右傾動および前後傾動を規制する。
規制体84および規制ガイド86の少なくともいずれか一方の係合始端に係合案内面87を形成する。
本発明では、かみそりヘッド2が本体部1に対して少なくとも左右傾動可能に支持してある電気かみそりにおいて、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を保護規制体3で規制できるようにした。同時に、かみそりヘッド2の切断刃部11を保護規制体3で覆って、切断刃部11を保護できるようにした。このように、本発明の電気かみそりにおいては、きわ剃りユニット6の使用時に、かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動するのを保護規制体3で規制するので、かみそりヘッド2ときわ剃りユニット6との間の動力伝動部における伝動損を抑止できる。従ってきわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動を効率よく行なうことができる。また、切断刃部11を保護規制体3で覆って保護するので、電気かみそりが床面に落下するなど、保護規制体3に大きな外力が作用することがあったとしても、切断刃部11を構成する固定刃23・25・27・29などが破損するのを確実に防止できる。
保護規制体を切断刃部11の外面を覆う保護キャップ3で構成すると、保護キャップ3の一部を本体部1で受止めてかみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制することができるので、別途、保護規制体を付加する場合に比べて、電気かみそりの全体コストを削減できる。また、かみそりヘッド2が左右傾動しようとするのを、剛性に優れた本体部1で保護キャップ3を介して規制するので、左右傾動する余地のない状態でかみそりヘッド2を確実に固定保持でき、きわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動をさらに効率よく行なうことができる。さらに、ユーザーの明確な意図がない限り、保護キャップ3の装着状態を維持し続けることができるので、電気かみそりが床面に落下するような場合であっても、切断刃部11を保護キャップ3をで確実に保護することができる。
保護キャップ3を本体部1に設けた装着部51に装着して、かみそりヘッド2を変位不能に保持する構造によれば、かみそりヘッド2の全体を保護キャップ3ですっぽりと覆って、切断刃部11を含むかみそりヘッド2の全体を保護できるので、落下に伴う破損をさらに確実に防止できる。
保護キャップ3をかみそりヘッド2に設けた装着部81に装着して、本体部1で変位不能に保持する構造によれば、切断刃部11などのかみそりヘッド2の弱い部分を保護キャップ3で覆って保護すればよく、その分だけ保護キャップ3の構造を簡素化し小形化することができる。
保護キャップ3ときわ剃りユニット6との間に連動機構を設けると、保護キャップ3を装着部51に装着するだけできわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えて、その状態を保持できる。従って、きわ剃りユニット6を使用する際に、かみそりヘッド2の左右傾動を保護キャップ3で規制するのと同時に、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えることができ、ユーザーの手間を省くことができる。
保護キャップ3に設けたラック78と、きわ剃りユニット6の支軸52に固定したピニオン77で連動機構を構成すると、ラック78の往復動作をピニオン77で回転動作に変換して、きわ剃りユニット6をより確実に待機姿勢から使用姿勢に切換えることができる。ラック78のギヤ歯がピニオン77のギヤ歯と噛合った後は、両者77・78は確動機構として機能するからである。また、きわ剃りユニット6が使用姿勢に切換えられた状態では、ラック78とピニオン77とが互いに噛合っているので、ユーザーが明確な意図をもって保護キャップ3を取外さない限りは、きわ剃りユニット6が待機姿勢に復帰するのを確実に防止できる。
前後壁64・65のそれぞれに門形の規制枠66を形成した保護キャップ3によれば、保護キャップ3の装着姿勢を前後逆向きにすることにより、1個の保護キャップ3のみで、きわ剃りユニット6を使用姿勢に保持し、あるいは待機姿勢に保持できる。従って、きわ剃りユニット6を待機姿勢に保持しながら切断刃部11を保護するキャップと、きわ剃りユニット6を使用姿勢に保持しながら切断刃部11を保護するキャップとの2種類の保護キャップを設ける場合に比べて、電気かみそりの全体コストを削減できる。
本体部1の上方に突出する装着部51に規制枠66を装着した状態において、装着部51の左右側壁51a・51bで規制枠66の左右内壁66a・66bを受止めるようにすると、保護キャップ3がかみそりヘッド2とともに左右傾動するのをさらに確実に防止できる。本体部1の上方に突出する装着部51は、本体部1と同等の剛性を備えており、その左右側壁51a・51bの上下長さを充分に大きなものとして、規制枠66の左右内壁66a・66bを強固に支持できるからである。また、本体部1の上方に突出する装着部51を利用してきわ剃りユニット6を配置するので、使用姿勢にしたきわ剃りユニット6を電気かみそりの上部に位置させて、その使い勝手を向上することができる。
本体部1の装着部51に規制枠66を装着した状態において、装着部51の上壁51cで規制枠66の上内壁66cを受止めるようにすると、保護キャップ3がかみそりヘッド2とともに本体部1側へ沈込むのをさらに確実に防止できる。規制枠66の上内壁66cの左右長さを充分に大きなものとして、規制枠66の上内壁66cを強固に支持できるからである。
装着部51の左右にガイド溝60を形成し、このガイド溝60に規制枠66の脚片74を係合して切断刃部11の外面を保護キャップ3で覆うようにすると、かみそりヘッド2の前後傾動を装着部51で保護キャップ3を介して規制することができる。従って、きわ剃りユニット6を使用するとき、伝動機構のきわ剃りユニット用の駆動軸38と受動アーム49との間の前後方向の遊び隙間を小さくして、第3駆動軸38と受動アーム49との間の動力の伝動をさらに効率よく行なうことができる。
装着部51の近傍にスイッチ76を配置し、保護キャップ3に先のスイッチ76を切換え操作する操作突起75を設けておくと、保護キャップ3を装着部51に装着する過程で、前記スイッチ76を操作突起75で切換操作してモーター14を起動することができる。従って、保護キャップ3を装着部51に装着するだけで、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換え、さらに駆動源であるモーター14を起動して、きわ剃りユニット6を使用可能な状態にして、ユーザーの手間を省くことができる。
本発明に係る別の電気かみそりでは、かみそりヘッド2が本体部1に対して少なくとも左右傾動、および上下動可能に支持してある電気かみそりにおいて、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制構造で規制できるようにした。このように、本発明の電気かみそりにおいては、きわ剃りユニット6の使用時に、かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動するのを規制構造で規制するので、かみそりヘッド2ときわ剃りユニット6との間の動力伝動部における動力損を抑止でき、従ってきわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動を効率よく行なうことができる。
上下方向に長い規制体84と規制ガイド86とで構成した規制構造によれば、使用時にきわ剃りユニット6をユニット操作体83で使用姿勢に切換えるだけで、前記両者84・86を互いに係合させて、かみそりヘッド2の左右傾動を自動的に規制できる。つまり、きわ剃りユニット6を使用するときは、かみそりヘッド2の左右傾動を確実に規制して、きわ剃りユニット6の可動刃48に対する往復動力の伝動をさらに効率よく行なうことができる。また、規制構造をかみそりヘッド2の左右傾動を規制しながら、同ヘッド2の上下動を許すように構成するので、切断刃部11によるひげ切断と、きわ剃りユニット6によるひげ切断を併用する場合であっても、切断刃部11に作用する無理な外力を逃がすことができる。
上下スライドする操作ノブ83できわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、操作ノブ83と一体に設けた規制体84をかみそりヘッド2側の規制ガイド86に係合させると、規制体84の規制ガイド86に対する係合動作をより的確に行なうことができる。これは、本体部1で安定した状態で支持した操作ノブ83に、上下に長い規制体84を一体に設けるので、常に一定位置で上下スライドする規制体84を係合基準にして、規制体84を規制ガイド86に容易に係合できるからである。
かみそりヘッド2の本体部1に対する上下動ストロークH1を、操作ノブ83の上下方向のスライドストロークH2より小さく設定すると、切断刃部11によってひげ剃りを行うとき、上下動するかみそりヘッド2が規制体84、あるいは規制ガイド86と接当干渉するのを防止できる。従って、切断刃部11によるひげ剃りを円滑に行えるうえ、肌面に過大な圧力が作用して肌が荒れるのを防止できる。
きわ剃りユニット6を操作ノブ83で使用姿勢に切換え操作した状態において、同ユニット6、または操作ノブ83に設けた規制体84で規制ガイド86を引寄せ操作すると、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近させた状態で傾動不能に拘束できる。従って、伝動機構のきわ剃りユニット用の駆動軸38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、本体部1ときわ剃りユニット6との間の往復動力の伝動効率をさらに向上できる。
棒状の規制体84と、規制体84に外嵌する規制ガイド86とで規制構造を構成すると、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換え、規制体84と規制ガイド86とが係合した状態において、かみそりヘッド2の左右傾動に加えて、前後傾動をも同時に規制することができる。規制体84に外嵌する規制ガイド86で、規制体84の全方位方向への変位を規制できるからである。
規制体84および規制ガイド86の少なくともいずれか一方の係合始端に係合案内面87が形成してあると、規制体84と規制ガイド86の中心位置がずれているような場合にも、係合案内面87で位置ずれを矯正しながら規制体84と規制ガイド86を係合できる。従って、かみそりヘッド2が中立位置から僅かに左右傾動している状態であっても、規制体84と規制ガイド86を支障なく係合させて、かみそりヘッド2の左右傾動を確実に規制できる。
(実施例1) 図1ないし図8は、本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体部1と、本体部1に組込まれる作動ユニットなどで構成してあり、不使用状態において作動ユニットのかみそりヘッド2に装着される保護キャップ(保護規制体)3(図1参照)を備えている。本体部1の前面のスイッチパネルにはモーター起動用のスイッチノブ(スイッチ操作具)4と、電気かみそりの運転状態を表示する表示部5が設けてある。本体部1の後面にはきわ剃りユニット6が設けてある。きわ剃りユニット6は、主としてもみあげ部分や髪の生え際を切揃える際に使用するが、例えばあごに生えた長毛やくせ毛を切断する際にも使用することができる。
作動ユニットは、その下半側を占める電装品ユニットと、電装品ユニットの上部に設けられるかみそりヘッド2とで構成してある。電装品ユニットは、内ケース9に回路基板と2次電池7などを組込んで構成してあり、回路基板には、先のスイッチノブ4で切換え操作されるスイッチ8や、制御回路を構成する電子部品、および表示部5の光源となる4個のLEDなどが実装してある。スイッチノブ4を上向きにスライドすると、スイッチ8をオン状態に切換えてモーター14を起動できる。
図3および図4に示すようにかみそりヘッド2は、ヘッドベース13と、ヘッド支持体10と、4個の切断刃で構成される切断刃部11とヘッド支持体10に対して着脱される固定刃ホルダー12などで構成してある。ヘッド支持体10は、振動子ケースを兼ねるヘッドベース13に固定されており、ヘッドベース13はその下面に固定したモーター14およびモーターホルダー15と共に、首振り機構で左右傾動可能に、かつ上下動自在に支持してある。この実施例では、モーターホルダー15の左右に設けた遊動脚17を内ケース9の環状枠9aで支持し、さらにモーターホルダー15と内ケース9との間に圧縮コイルばねからなる遊動ばね18を配置して、作動ユニットの全体を左右傾動可能に、かつ上下動自在に支持した。遊動脚17の下端には、環状枠9aで受止められる係合爪17aが設けてある。モーター14および回路基板を含む電装品ユニットは、ヘッドベース13と内ケース9との間に設けたシール体16で密封してある(図3参照)。首振り機構としては、左右傾動のみ可能な構造であってもよい。
切断刃部11を構成する各切断刃は、粗剃り用の第1切断刃19と、仕上げ剃り用の第2切断刃20と、粗剃り用の第3切断刃21と、仕上げ剃り用の第4切断刃22とからなり、かみそりヘッド2の後側から前側へ向かって記載順に配置してある。粗剃り用の第1切断刃19と第3切断刃21は、主に長毛やくせ髭を切断するために設けられており、いずれも固定刃23・27および可動刃24・28のそれぞれがスリット刃で形成してある。仕上げ剃り用の第2切断刃20と第4切断刃22は、短毛を仕上げ切断するために設けられており、いずれも固定刃25・29が網刃で形成され、可動刃26・30がスリット刃で形成してある。
かみそりヘッド2に設けた各切断刃19〜22の可動刃24・26・28・30を駆動するために、モーター14と各可動刃24・26・28・30との間に、モーター14の回転動力を往復動力に変換して各可動刃24・26・28・30に伝動する駆動構造を設けている。図3に示すように駆動構造は、モーター14の出力軸に固定される偏心カム31と、偏心カム31で互いに逆向きに駆動される2個の振動子32と、各振動子32・32の往復動力を各可動刃24・26・28・30に伝動する4個の駆動軸などで構成する。
駆動軸は、第2切断刃20の可動刃26と第4切断刃22の可動刃30とを駆動する第1駆動軸35・37と、第1切断刃19の可動刃24と第3切断刃21の可動刃28とを駆動する第2駆動軸34・36とからなる。第1駆動軸35・37は、振動子32・32と一体に成形されており、第2駆動軸34・36は第1駆動軸35・37に固定してある。後側の第2駆動軸34には、きわ剃りユニット6に往復動力を伝動する第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38が一体に設けてある(図4参照)。第3駆動軸38は、背面側の第2駆動軸34から後向きに連出されており、その下端にコ字状の連結片39が一体に形成してある。第1駆動軸35・37の内部には、可動刃26・30を押し上げ付勢する内刃ばね40が配置してある。図3において符号41は固定刃ホルダー12の装着状態をロック保持する爪をロック解除操作するための解除ボタンである。
ヘッド支持体10はヘッドベース13の上部周面を囲む枠体からなり、その上面がカバー43で覆われている。カバー43には、先の第1駆動軸35・37を突出させるための出力開口が形成してあり(図3参照)、この開口と第1駆動軸35・37との間を振動子パッキン44で塞いで、毛屑などがヘッドベース13の内部に入り込むのを防止している。カバー43の上面と固定刃ホルダー12とで囲まれる空間が毛屑収容空間となる。
図5において、きわ剃りユニット6は、きわ剃りケース46の内部にバリカン刃構造の固定刃47および可動刃48と、受動アーム49とを組込んで構成してある。きわ剃りユニット6は、本体部1の背面上部から上方へ突出された四角形状の装着部51の内部に配置されており、その上部左右を一対の支軸52で支持することにより、図8に示す待機位置と、図5および図6に示す使用位置との間を揺動できる。不使用時におけるきわ剃りユニット6は、一方の支軸52の周囲に配置したキックばね53(図1参照)で待機位置へ向かって揺動付勢されている。受動アーム49の端部には、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38の連結片39と係合して往復動力を受継ぐ受動片54が一体に設けてある。きわ剃りユニット6が待機姿勢から使用姿勢に切換わった状態では、かみそりヘッド2側の往復動力が、第3駆動軸38と受動アーム49とからなる伝動機構を介して可動刃48に伝動される。なお、伝動機構は、きわ剃りユニット6が使用位置にある場合はもちろん、待機位置にある場合にも往復動力がかみそりヘッド2側からきわ剃りユニット6へ伝動される、常時駆動型の伝動構造であってもよい。
装着部51の後面には、本体部1の外面に沿う状態できわ剃りユニット6を収容する第1凹部55が形成してあり、装着部51の前面には、待機状態の受動アーム49を収容する第2凹部56が形成してある。また、装着部51の左右両側には一対の係合ボス58が形成され、左右の係合ボス58と装着部51との間に保持壁59が横向きに膨出してある。保持壁59の内部には上下方向のガイド溝60と空間61とが形成してあり(図7参照)、片側の空間61内に後述するピニオン77が収容されて、その周面の一部がガイド溝60に臨ませてある(図6参照)。
以上のように左右傾動が可能な首振り機構を備えた電気かみそりにおいて、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38から受動アーム49への往復動力の伝動効率が大きく低下する要因は、例えば、きわ剃りユニット6の切断刃に毛束が挟まれて大きな負荷が作用するとき、負荷の反作用でかみそりヘッド2のみが左右動して、きわ剃りユニット6の可動刃48を駆動できなくなるからである。また、かみそりヘッド2の左右動は、きわ剃りユニット6の切断刃に対する負荷が小さい場合でも、少なからず生じており、第3駆動軸38から受動アーム49への往復動力の伝動効率が低下するのを避けられない。
上記のような、連結片39と受動アーム49との間の往復動力の伝動ロスを解消するために、きわ剃りユニット6を使用する際に、かみそりヘッド2が本体部1に対して左右傾動するのを規制できるようにしている。この実施例では、保護キャップ3を利用してかみそりヘッド2を傾動不能に固定保持した。保護キャップ3は、前壁64、後壁65、左右壁、上壁を備えたバスタブを逆さまにした構造のプラスチック成形品からなり、全体が透明なプラスチック材で形成してある。
保護キャップ3の後壁65の左右中央部には、先の装着部51に外嵌する門形の規制枠66が形成してあり、さらに、規制枠66の左右に係合ボス58と係合する一対の係合爪67が下向きに突出してある。また、左右壁と上壁とが隣接する隅部には、かみそりヘッド2の前後動を規制する第1規制リブ68が張出してある(図1参照)。同様に、前壁64と上壁とが隣接する隅部の左右2個所には、第1規制リブ68と協同してかみそりヘッド2を後向きに引寄せ操作する第2規制リブ69が形成してある(図5参照)。保護キャップ3をかみそりヘッド2に装着した状態において、第1規制リブ68が固定刃ホルダー12の横上隅に形成した規制溝70と係合するのに対して、第2規制リブ69は固定刃ホルダー12の前壁に接当して、かみそりヘッド2の前方への移動を規制する。保護キャップ3の左右壁には、解除ボタン41の周縁に沿う切欠部71が形成してある。
図1に示すように、保護キャップ3は、従来の保護キャップと同様にかみそりヘッド2に被せつけて切断刃部11を保護するが、装着状態において、門形の規制枠66を装着部51に係合することにより、かみそりヘッド2の傾動および移動を規制する。詳しくは、図8に示すように装着部51の左側壁51aおよび右側壁51bで、規制枠66の左内壁66aおよび右内壁66bを受止めることにより、かみそりヘッド2が左右に傾動するのを規制している。また、装着部51の上壁51cで規制枠66の上内壁66cを受止めることにより、かみそりヘッド2が本体部1側へ沈込むのを規制している。さらに、係合爪67が係合ボス58の内部の係合段部62と係合して、保護キャップ3が装着部51から上向きに抜出るのを規制している。加えて、規制枠66の脚片74がガイド溝60と係合し、第1規制リブ68が規制溝70と係合し(図1参照)、同時に第2規制リブ69が固定刃ホルダー12の前面を受止めて(図5参照)、かみそりヘッド2が前側へ傾動するのを規制している。
保護キャップ3の装着部51に対する装着動作を利用して、きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に切換えるために、保護キャップ3ときわ剃りユニット6との間に連動機構を設けている。さらに、保護キャップ3の装着動作を利用してモーター14を起動するために、規制枠66の一方の脚片74の下端に操作突起75を設け、同突起75で本体部1に設けたスイッチ76を切換え操作できるようにしている。
連動機構は、きわ剃りユニット6の支軸52に固定されるピニオン77と、先の脚片74の中途部の後ろ面に形成したラック78とで構成する。脚片74がガイド溝60に案内されて下方へスライドするとき、ラック78とピニオン77のギヤ歯どうしが噛合うことによって、図5に示すように、きわ剃りユニット6を垂直の待機姿勢から水平の使用姿勢に切換えることができる。同時に、きわ剃りユニット6の受動アーム49が揺動し、図7に示すようにその受動片54が第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38の連結片39と係合して、可動刃48を駆動可能な状態にできる。きわ剃りユニット6を使用するときは、保護キャップ3を装着部51に装着することで、前記スイッチ76を操作突起75で切換操作してモーター14を起動する。つまり、保護キャップ3を装着部51に装着するだけで、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換え、さらに駆動源であるモーター14を起動してきわ剃りユニット6を使用可能な状態にできるので、ユーザーの手間を省くことができる。なお、保護キャップ3が取外してある状態で、スイッチノブ4をオン操作する場合にもモーター14を起動できる。また、きわ剃りユニット6が使用姿勢に切換わるのと同時、あるいはその直前にモーター14が起動されるので、きわ剃りユニット6の姿勢が切換えられる途中に、モーター14が起動され可動刃48が駆動されるのを防止して、電気かみそりの安全性を向上できる。
以上のように、保護キャップ3を装着部51に装着した状態では、かみそりヘッド2の前後、左右、上下への変位を保護キャップ3で規制するので、受動アーム49と第3駆動軸38との間の往復動力の伝動を効率よく行なって、左右方向へ往復駆動される可動刃48の伝動ロスを小さくできる。また、本体部1と一体に設けた装着部51に保護キャップ3を装着して、かみそりヘッド2の変位を規制するので、保護キャップ3に大きな外力が作用することがあったとしても、きわ剃りユニット6が待機姿勢に戻ることはない。さらに、ユーザーの明確な意図がない限り、保護キャップ3の装着状態を維持し続けることができるので、電気かみそりが床面に落下するような場合であっても、切断刃部11を保護キャップ3で確実に保護して、固定刃23・25・27・29が破損するのを防止できる。なお、実施例1におけるガイド溝60は、少なくともピニオン77が配置される側に限って設けてあれば足りる。
(実施例2) 図9および図10は実施例2に係る保護キャップ3を示す。そこでは、保護キャップ3の前壁64と後壁65のそれぞれに、同形、同大の門形の規制枠66を設けて、前後を反転したいずれの場合にも保護キャップ3を装着部51に装着できるようにした。装着部51の左右には、左右の脚片74と係合するガイド溝60が形成してある。また、後壁65の一方の脚片74に限ってラック78と操作突起75を形成した。この実施例に係る保護キャップ3によれば、前壁64側の規制枠66を装着部51に装着した状態(図10の状態)では、きわ剃りユニット6が待機姿勢に保持され、スイッチ76はオフ状態に保持される。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じ扱いとする。
上記のように、保護キャップ3の装着部51に対する装着姿勢を前後に反転して、きわ剃りユニット6を待機姿勢あるいは使用姿勢に保持できるようにすると、1個の保護キャップ3のみできわ剃りユニット6の姿勢を切換えることができる。従って、きわ剃りユニット6を待機姿勢に保持しながら切断刃部11を保護するキャップと、きわ剃りユニット6を使用姿勢に保持しながら切断刃部11を保護するキャップとの2種類の保護キャップを設ける場合に比べて、電気かみそりの全体コストを削減できる。
(実施例3) 図11は実施例3に係る保護キャップ3を示す。そこでは、第1凹部55の下半部に配置した操作ノブ(ユニット操作体)83を上下スライドすることにより、きわ剃りユニット6を待機姿勢と使用姿勢とに切換え操作できるようにしている。また、保護キャップ3をかみそりヘッド2に設けた装着部81に装着して、切断刃部11の外面を保護キャップ3で覆った状態において、かみそりヘッド2の前後傾動および左右傾動を本体部1で保護キャップ3を介して規制している。詳しくは、かみそりヘッド2のヘッド支持体10を装着部81に利用して、保護キャップ3の開口内面をヘッド支持体10の周面に係合できるようにした。また、保護キャップ3の後壁65をコ字状に切欠いて規制枠66とし、その左右内壁66a・66bが装着部51の左右のガイド溝60と係合し、上内壁66cが装着部51の上壁51cで受止められるようにした。保護キャップ3と装着部81との密接部分に、互いに凹凸係合する突起79と凹部80とを設けて、保護キャップ3がかみそりヘッド2から分離するのを防止した。この実施例では、突起79を保護キャップ3に、凹部80をヘッド支持体10に設けるようにした。
上記のように、保護キャップ3をかみそりヘッド2の装着部81に装着して切断刃部11を保護し、同時にかみそりヘッド2の変位を規制できるようにすると、保護キャップ3は、少なくとも切断刃部11を覆う大きさがあればよいことになる。従って、実施例1で説明した保護キャップ3に比べて、保護キャップ3を小形化して低コスト化できる。
(実施例4) 図12ないし図14は本発明に係る実施例4を示す。実施例1から実施例3では、保護規制体(保護キャップ)3でかみそりヘッド2の左右傾動を規制するようにしたが、実施例4以下の各実施例においては、引寄せ機能を備えた規制構造でかみそりヘッド2の左右傾動を規制して、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間の動力ロスを解消できるようにした。
この実施例における電気かみそりは、ヘッド支持体を兼ねるヘッドベース13の下面にモーターホルダー15を固定して、かみそりヘッド2の全体を図13に示す首振り機構で左右および前後傾動可能に、かつ上下動自在に支持し、圧縮ばね82で押上げ付勢している。詳しくは、実施例1の首振り機構と同様に、モーターホルダー15の左右に設けた遊動脚17を内ケース9の環状枠9aで支持し、さらにモーターホルダー15と内ケース9との間に圧縮コイルばねからなる遊動ばね18を配置して、作動ユニットの全体を左右および前後傾動可能に、かつ上下動自在に支持した。遊動脚17の下端には、環状枠9aで受止められる係合爪17aが設けてある。
きわ剃りユニット6は、きわ剃りケース46の内部にバリカン刃構造の固定刃47および可動刃48と、受動アーム49とを組み込んで構成してある。きわ剃りユニット6は、本体部1の背面の四角形状の装着部51の内部に配置されており、その上部左右を一対の支軸52で支持することにより、図12に示す待機位置と、図14に示す使用位置との間を揺動できる。きわ剃りユニット6を待機姿勢から使用姿勢に切換えるために、きわ剃りユニット6の下部に上下スライド自在な操作ノブ(ユニット操作体)83を設けている。図14に示すように、操作ノブ83を押上げ操作すると、きわ剃りユニット6を上方揺動させて、同ユニット6を使用姿勢に保持できる。操作ノブ83を押下げ操作すると、きわ剃りユニット6を下方揺動させて、同ユニット6を待機位置へ戻すことができる。この実施例における切断刃部11は、実施例1における第1切断刃19が省略してある。また、第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38が後側の振動子32と一体に形成してある。
きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制するために、操作ノブ83とかみそりヘッド2の間に規制構造を設けている。この実施例における規制構造は、操作ノブ83と一体に設けた左右一対のL字状の規制体84と、モーターホルダー15の左右の締結ボス部85に設けた上下方向の貫通穴からなる規制ガイド86とで構成する。規制体84には上下方向に長い棒状の係合軸84aが設けてあり、規制ガイド86の下端開口には、係合軸84aの係合を容易化する係合案内面87が上すぼまりテーパー状に形成してある。係合軸84aの軸中心は規制ガイド86の穴中心に対して、きわ剃りユニット6の側(後側)へ僅かに位置ずれする状態で設けてある。位置ずれの形態としては、係合軸84aの軸中心が、規制ガイド86の穴中心軸に対して平行に位置ずれする場合と、係合軸84aの軸中心を僅かに後傾させる場合のいずれであってもよい。
操作ノブ83が下方の待機位置にあるとき、係合軸84aの上端は締結ボス部85の下方において係合案内面87と隙間を介して対向しており、従って、かみそりヘッド2は左右および前後へ傾動でき、さらに上下動できる。このときの規制ガイド86の下端開口縁と係合軸84aの上端との間の距離(上下動ストローク)H1は3mmである。図13に示すように、操作ノブ83を待機位置から使用位置まで押上げ操作すると、きわ剃りユニット6が使用姿勢に切換わって、その受動アーム49が第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38に連結される。さらに、規制体84の係合軸84aが係合案内面87に案内されて規制ガイド86と係合して、かみそりヘッド2が左右傾動し、あるいは前後傾動するのを規制する。また、係合軸84aの軸中心が規制ガイド86の穴中心軸に対して、後側へ位置ずれさせてあるので、係合軸84aが規制ガイド86と係合した状態では、モーターホルダー15をきわ剃りユニット6側へ引寄せ操作して、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近した状態で拘束できる。従って、伝動機構の第3駆動軸38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、両者38・49間の動力の伝動効率を向上することができる。なお、この規制状態においても、かみそりヘッド2は上下動できる。このように、かみそりヘッド2の上下動を許容しながら、左右傾動および前後傾動を規制すると、切断刃部11によるひげ切断と、きわ剃りユニット6によるひげ切断を併用する場合であっても、切断刃部11に作用する無理な外力を逃がすことができる。
操作ノブ83および規制体84は、待機位置から上向きに距離(上下方向のスライドストローク)H2だけ移動してきわ剃りユニット6を使用姿勢に切換える。このときのスライドストロークH2は5mmである。このように、かみそりヘッド2の本体部1に対する上下動ストロークH1は、操作ノブ83の上下方向のスライドストロークH2より小さく設定してあるので、切断刃部11によってひげ剃りを行うとき、上下動するかみそりヘッド2が規制体84と接当干渉することはない。
(実施例5) 実施例4では操作ノブ83に長い棒状の規制体84を設け、かみそりヘッド2の側に規制ガイド86を設けたが、図15に示すように逆の構成を採用することができる。詳しくは、モーターホルダー15の締結ボス部85の左右に、下向きに延びる丸棒状の規制体84を一体に設け、操作ノブ83の内面の左右にボス88を一体に設けて、ボス88に丸穴からなる規制ガイド86を設けることができる。規制ガイド86の上端開口には、下すぼまりテーパー状の係合案内面87を形成する。このように、規制体84と規制ガイド86は、かみそりヘッド2と操作ノブ83のいずれの側に設けてあってもよい。この実施例においても、実施例4と同様に、規制ガイド86の穴中心を規制体84の軸中心に対して後側へ位置ずれさせておくことにより、規制ガイド86と規制体84が係合した状態では、モーターホルダー15をきわ剃りユニット6側へ引寄せ操作して、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近した状態で拘束できる。これにより、伝動機構の第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、両者38・49間の動力の伝動効率を向上することができる。
(実施例6) 図16および図17は本発明に係る実施例6を示す。実施例6に係る電気かみそりにおいては、実施例4と同様に、かみそりヘッド2の全体が図示していない首振り機構で左右および前後傾動可能に、かつ上下動自在に支持してある。また、きわ剃りユニット6は、本体部1で下方の待機位置と、上方の使用位置との間で上下スライド自在に支持してある。操作ノブ83の上端には、きわ剃りケース46が固定してあり、固定刃47と可動刃48とがきわ剃りケース46から後向きに突出する状態で配置してある。操作ノブ83を押上げ操作すると、きわ剃りユニット6の全体が上方移動して使用姿勢に保持され、その受動アーム49が第3駆動軸38に連結されて、往復動力を伝動できる状態になる。この実施例から理解できるように、きわ剃りユニット6は、操作ノブ83が上向きにスライド変位することで使用姿勢に切換わる形態であってもよく、きわ剃りユニット6が揺動変位して使用姿勢に切換わる形態である必要はない。
きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えた状態において、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制するために、操作ノブ83の内面に左右一対のL字状の規制体84を設けている。さらに、モーター14の全体を収容するモーターホルダー15の左右両側に、上下方向の溝からなる規制ガイド86を設け、規制ガイド86の下端に係合案内面87を上すぼまりテーパー状に設けている。モーターホルダー15の下端の前後には、かみそりヘッド2の上方への進出限界を規定する左右一対ずつの係合脚89が設けてある。規制体84と規制ガイド86の上下の位置関係は実施例4と同じに設定してある。このように、かみそりヘッド2の上下動を許容しながら、左右傾動、および前後傾動を規制する規制構造は、モーター14の支持構造やかみそりヘッド2の首振り構造の違いに応じて、種々に変更した構造で実施することができる。この実施例においても、実施例4と同様に、規制体84の係合軸84aの軸中心を、規制ガイド86の穴中心に対して後側へ位置ずれさせておくことにより、図17に示すように、係合軸84aが規制ガイド86に係合した状態では、モーターホルダー15をきわ剃りユニット6側へ引寄せ操作して、かみそりヘッド2の全体をきわ剃りユニット6に接近した状態で拘束できる。これにより、伝動機構の第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間のがたつきを抑止して、両者38・49間の動力の伝動効率を向上することができる。
(実施例7) 図18および図19は本発明に係る実施例7を示す。実施例7に係る電気かみそりにおいては、切断刃部11がロータリー刃構造の第4切断刃22と第2切断刃20とのみで構成されており、実施例1で説明した第1切断刃19と第3切断刃21は省略してある。また、きわ剃りユニット6を使用姿勢に切換えるために、同ユニット6の下方に上下スライドされる操作ノブ83を備えており、きわ剃りケース46の全体をケースばね92で使用姿勢に向かって揺動付勢している。きわ剃りケース46の上部左右に規制体84を設け、きわ剃りケース46が使用姿勢に切換わった状態において、規制体84が本体部1に設けた係合壁(規制ガイド)86と係合して、かみそりヘッド2の左右傾動を規制できるようにしている。
さらに、規制体84の先端に引寄せ爪93を設けて、引寄せ爪93が係合壁86と係合した状態において、かみそりヘッド2をきわ剃りユニット6側へ引寄せて第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38と受動アーム49との間のがたつきを抑止することにより、伝動効率を向上できるようにしている。操作ノブ83は上下スライド自在に支持されて、ノブばね94で押上げ付勢してあり、その上端に設けたロック片95が、きわ剃りケース46のロック溝96と係合することにより、きわ剃りユニット6の全体をケースばね92の付勢力に逆らって待機姿勢に位置保持している。この実施例におけるモーターホルダー15の前後には一対の支軸97が設けてあり、この支軸97を内ケース90に設けたガイド溝98で上下動自在に、しかも左右傾動自在に支持している。なお、かみそりヘッド2は、引寄せ爪93と係合壁86の上下方向の係合長さの範囲内で上下動できる。きわ剃りユニット6は人手によって使用姿勢から待機姿勢に戻される。符号99はきわ剃りユニット6および操作ノブ83を収容する後収容部であり、本体部1と一体に形成してある。
(実施例8) 図20および図21は本発明に係る実施例8を示す。この実施例においては、操作ノブ83を上方の待機位置から下方の使用位置までスライド操作することにより、きわ剃りユニット6が図20に示す待機姿勢から、図21に示す使用姿勢に切換わるようにした。詳しくは、きわ剃りケース46の上端の前面側にブラケット101を設け、操作ノブ83とブラケット101をリンク棒102を介して連結した。また、操作ノブ83に同行して上下揺動する中継レバー103と、中継レバー103で上下操作される規制体84と、モーターホルダー15に設けられる丸穴状の規制ガイド86とで規制構造を構成して、かみそりヘッド2の本体部1に対する変位を規制できるようにした。符号104は中継レバー103を揺動自在に支持するレバー軸である。規制体84は、内ケースに設けたガイド突起105で上下スライドのみ可能に支持してある。
不使用状態のきわ剃りユニット6は、きわ剃りケース46が垂直姿勢になっており、この状態から操作ノブ83を押下げ操作すると、その動作がリンク棒102を介してブラケット101に伝動されるため、きわ剃りケース46は水平の使用姿勢に切換わり、受動アーム49が第3駆動軸(きわ剃りユニット用の駆動軸)38に連結される。同時に、中継レバー103が時計回転方向へ揺動して、規制体84を上向きに移動させ、その上端を規制ガイド86に係合させて、かみそりヘッド2の左右傾動および前後傾動を規制する。なお、実施例4、実施例5、実施例6、実施例8に係る電気かみそりのかみそりヘッド2は前後傾動する必要はなく、少なくとも左右傾動可能で、かつ上下動できる首振り機構で支持してあればよい。
上記の実施例では、本体部1の上端より上方に突出する装着部51で保護キャップ3を変位不能に固定保持して、かみそりヘッド2の左右傾動や前後傾動を規制できるようにしたが、その必要はなく、本体部1の上端より下方に設けた装着部51で保護キャップ3を変位不能に固定保持することができる。スイッチ76は、脚片74のスライド軌跡に臨む位置であれば、任意の位置に配置することができる。また、図3の実施例では、作動ユニットの全体が本体部1で左右傾動可能に支持してある場合を例示したが、その必要はなく、本発明は、少なくともかみそりヘッド2が本体部1で左右傾動可能に支持してある電気かみそりにも同様に適用できる。
電気かみそりによっては、本体部1の前面に設けたスイッチノブ(スライドノブ)4をオン操作するのに連動して、きわ剃りユニット6が使用姿勢に切換わり、第3駆動軸38の往復動力をきわ剃りユニット6の可動刃48に伝動する構造のものがある。その場合のスイッチノブ4は、上記の実施例で説明した操作ノブ(ユニット操作体)83に相当するものとする。図12以下で説明した引寄せ機能を備えた規制構造は、図1から図11で説明した左右傾動と上下動が自在に構成してある首振り機構を備えている電気かみそり、あるいは左右傾動のみ可能な首振り機構を備えている電気かみそりにも、等しく適用することができる。なお、左右傾動が可能な首振り機構を備えている電気かみそりの場合には、第3駆動軸38の連結片39と受動アーム49との前後方向のガタ付きは小さい。しかし、規制構造でかみそりヘッド2を引寄せ操作することにより前後方向の僅かなガタ付きを解消して、連結片39から受動アーム49への往復動力の伝動を効率よく行なうことができる。