以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置が適用される車両の制駆動系のシステム構成を示した図である。ここでは、前輪側を主駆動輪、後輪側を従駆動輪とする駆動形態のフロント駆動ベースの4輪駆動車に対して本発明の一実施形態となる車両制御装置を適用した場合について説明するが、後輪側を主駆動輪、前輪側を従駆動輪とする駆動形態のリア駆動ベースの4輪駆動車に対しても適用可能である。
図1に示されるように、4輪駆動車の駆動系は、エンジン1、トランスミッション2、駆動力配分制御アクチュエータ3、フロントプロペラシャフト4、リアプロペラシャフト5、フロントデファレンシャル6、フロントドライブシャフト7、リアデファレンシャル8およびリアドライブシャフト9を有した構成とされ、エンジン制御手段となるエンジンECU10などによって制御されている。
具体的には、アクセルペダル11の操作量がエンジンECU10に入力されると、エンジンECU10によってエンジン制御が行われ、そのアクセル操作量に応じた駆動力を発生させるのに必要なエンジン出力(エンジントルク)が発生させられる。そして、このエンジン出力がトランスミッション2に伝えられ、トランスミッション2で設定されたギア位置に応じたギア比で変換されたのち、駆動力配分制御手段となる駆動力配分制御アクチュエータ3に伝えられる。トランスミッション2には、変速機2aと副変速機2bが備えられており、通常走行時には変速機2aで設定されたギア位置に応じた出力が駆動力配分制御アクチュエータ3に伝えられ、オフロード走行時や坂路走行時などにおいて副変速機2bが作動させられたときには副変速機2bで設定されたギア位置に応じた出力が駆動力配分制御アクチュエータ3に伝えられる。そして、駆動力配分制御アクチュエータ3によって決められた駆動力配分にしたがって、フロントプロペラシャフト4とリアプロペラシャフト5に駆動力が伝達される。
その後、フロントプロペラシャフト4にフロントデファレンシャル6を介して接続されたフロントドライブシャフト7を通じて前輪FR、FLに前輪側の駆動力配分に応じた駆動力が付与される。また、リアプロペラシャフト5にリアデファレンシャル8を介して接続されたリアドライブシャフト9を通じて後輪RR、RLに後輪側の駆動力配分に応じた駆動力が付与される。
エンジンECU10は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従った各種演算や処理を実行することでエンジン出力(エンジントルク)を制御し、各輪FL〜RRに発生させられる駆動力を制御する。例えば、エンジンECU10は、周知の手法によりアクセル開度を入力し、アクセル開度や各種エンジン制御に基づいてエンジン出力を演算する。そして、このエンジンECU10からエンジン1に対して制御信号を出力することにより、燃料噴射量の調整などを行い、エンジン出力を制御する。エンジンECU10では、アクセル開度がアクセルオン閾値を超えている場合にアクセルペダル11がオンしていると判定できるが、本実施形態では、アクセルペダル11の操作が行われているか否かを示すアクセルスイッチ11aを備えており、このアクセルスイッチ11aの検知信号を入力することによってアクセルペダル11がオンしていることを検知している。また、エンジンECU10では、トラクション制御(以下、TRCという)も実行している。例えば、エンジンECU10は、後述するブレーキECU19から車輪速度や車体速度(推定車体速度)に関する情報を取得し、これらの偏差で表される加速スリップが抑制されるように、ブレーキECU19に制御信号を出力して制御対象輪に制動力を加えることで駆動力を低下させる。これにより、加速スリップが抑制されて、効率良く車両を加速させられるようにしている。
なお、ここでは図示していないが、トランスミッション2の制御はトランスミッションECUで行われ、駆動力配分制御については駆動力配分ECUなどで行われている。これら各ECUとエンジンECU10とは車載LAN12を通じて互いに情報交換を行っている。図1では、トランスミッション2の情報が直接エンジンECU10に入力されるようになっているが、例えばトランスミッションECUから出力されたトランスミッション2のギア位置情報が車載LAN12を通じてエンジンECU10に入力されるようになっていても良い。
一方、制動系を構成するサービスブレーキは、ブレーキペダル13、マスタシリンダ(以下、M/Cという)14、ブレーキアクチュエータ15、ホイールシリンダ(以下、W/Cという)16FL〜16RR、キャリパ17FL〜17RR、ディスクロータ18FL〜18RRなどを有した構成とされ、ブレーキ制御手段となるブレーキECU19によって制御されている。
具体的には、ブレーキペダル13が踏み込まれて操作されると、そのブレーキ操作量に応じてM/C14内にブレーキ液圧が発生させられ、それがブレーキアクチュエータ15を介してW/C16FL〜16RRに伝えられる。これにより、キャリパ17FL〜17RRによってディスクロータ18FL〜18RRが挟み込まれることで、制動力が発生させられるようになっている。このような構成のサービスブレーキは、W/C16FL〜16RRを自動加圧できる構成であればどのようなものであっても良く、ここでは油圧によりW/C圧を発生させられる油圧サービスブレーキを例に挙げているが、電気的にW/C圧を発生させるブレーキバイワイヤなどの電動サービスブレーキであっても良い。
ブレーキECU19は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従った各種演算や処理を実行することで制動力(制動トルク)を制御し、各輪FL〜RRに発生させられる制動力を制御する。具体的には、ブレーキECU19は、各車輪FL〜RRに備えられた車輪速度センサ20FL〜20RRからの検出信号を受け取って、車輪速度や車体速度などの各種物理量を演算したり、ブレーキスイッチ21の検出信号を入力し、物理量の演算結果およびブレーキ操作状態に基づいてブレーキ制御を行う。また、ブレーキECU19は、M/C圧センサ22の検出信号を受け取ってM/C圧を検出している。
また、ブレーキECU19は、制動力の制御に基づいて、オフロード等における車両制御であるクロール制御等も実行している。具体的には、ブレーキECU19は、ドライバがクロール制御を要求する際に操作するクロールスイッチ23や目標速度設定スイッチ24の検出信号および前後加速度を検出する加速度センサ25の検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいてクロール制御を実行している。クロールスイッチ23は、基本的にはオフロード走行を行う場合に押下されると考えられるが、急坂路などにおいて押下されても同様の制御が行われる。目標速度設定スイッチ24は、クロール制御が実行されるときの目標速度を設定するために用いられ、例えば1〜5km/hの速度範囲において目標速度を設定する。なお、図1ではM/C圧センサ22と加速度センサ25の検出信号はブレーキアクチュエータ15を介して、ブレーキECU19へ入力されるようになっているが、各センサから直接ブレーキECU19へ入力される構成であっても良い。
以上のようにして、本実施形態にかかる車両制御装置が適用される車両の制駆動系のシステムが構成されている。続いて、上記のように構成された車両制御装置の作動について説明する。なお、本実施形態にかかる車両制御装置では、車両制御として通常のエンジン制御やブレーキ制御も行っているが、これらについては従来と同様であるため、ここでは本発明の特徴に関わるクロール制御について説明する。本実施形態の場合、クロール制御のうちのブレーキ制御を車両制御として実行しており、ブレーキECU19がその制御を実行していることから、ブレーキECU19によって車両制御装置が構成されている。
クロール制御は、ドライバがクロールスイッチ23を押下し、かつ、目標速度設定スイッチ24で目標速度TBVを設定して、クロール制御の実行要求があったときに実行される。本実施形態にかかる車両制御装置では、クロール制御として、ドライバが目標速度TBVを設定すると、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差に基づいてブレーキ制御の制御量を設定することでフィードバック制御を行うのに加えて、応答性を高めるための処理を行っている。目標速度TBVは、クロールスイッチ23の操作に伴ってドライバが設定できるようになっており、例えば1〜5km/hの速度範囲において任意に設定可能となっている。車体速度V0は、ブレーキECU19で演算されており、各車輪FL〜RRに備えられた車輪速度センサ20FL〜20RRの検出信号から求められる車輪速度に基づいて周知の手法にて演算される。そして、車体速度V0が目標速度TBVに近づくように、基本的には、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差に基づき、車体速度V0が目標速度TBVよりも大きくなるほどフィードバック制御の制御量が大きくなるようにしている。
ただし、オフロードを走行する場合のように、車両の走行路面の傾斜や路面状態が急変して車両の走行状態が急変するということが頻繁に発生する場合、走行状態の急変に合わせて応答性良く目標制動力を変化させ、より素早くW/C圧を昇圧させられるようにすることが望ましい。このため、単なるフィードバック制御では、目標制動力を車両の走行状態の変化に合わせて変化させることができず、十分に応答できなくて、ドライバに違和感を与えてしまう。フィードバック制御における制御量を大きく設定すれば、高い応答性が得られるが、目標速度TBV近辺において常に車体速度V0が上下して、頻繁に加減速を繰り返すことになるため、単にフィードバック制御の制御量を大きくするのは好ましくない。このため、以下のようにフィードバック制御の制御量をフィードフォワード的に補正する制御を行うことで、よりドライバの違和感を緩和できるようにする。なお、本明細書では、フィードバック制御によるブレーキ制御の制御量としてフィードバック制動力と記載するが、フィードバック制動力としては制動トルクを想定している。ただし、制動トルクに対応する制御量として用いられることができる他の制御量、例えばW/C圧などであっても構わない。
まず、通常の走行状態とオーバースピード状態とを判定し、オーバースピード状態であると判定されたときには、通常の走行状態に比べて、オーバースピード状態のときの方がフィードバック制御による制動トルクが素早く上昇するように補正する。具体的には、以下に示す(1)〜(6)の各制御を実行する。
(1)オーバースピード状態において、フィードバック制御により発生させる制動力(以下、フィードバック制動力FBbrakeForceという)の前回値(以下、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)という)が目標加減速度を発生させるために必要な制動力(以下、目標減速力TBDVという)よりも小さい場合、目標減速力TBDVに適合定数K1(例えば0.2)を掛けた値を補正値としてフィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)に加算する。目標加減速度は、フィードバック制御において目標速度TBVと車体速度V0との偏差に基づいて求められる目標車体速度の微分値であり、車体速度V0を目標速度TBVに近づける際に、どの程度の加減速度で近づけていくかを決めている目標値である。目標速度TBVと車体速度V0との乖離が大きいほど、目標加減速度が大きな値に設定され、フィードフォワード的により早く車体速度V0が目標速度TBVに近づくようにされる。これにより、高い応答性を得ることが可能となり、車体速度V0を低速に保つ制御を行う際に、よりドライバの違和感を緩和することが可能となる。
(2)オーバースピード状態において車両が加速中のときには、路面の傾斜に基づいた補正値、つまり傾斜のある坂路での停止に必要な制動力(以下、坂路必要制動力という)BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1(例えば500N)を加算した値に適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値をフィードバック制動力FBbrakeForceと比較し、いずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定する。これにより、オーバースピード状態において加速中という、より早く加速状態を抑制したいような状況において、坂路必要制動力も加味してフィードバック制動力を設定でき、より高い応答性を得ることが可能となる。このとき、単に坂路必要制動力BrakeSlopeForceをフィードバック制動力FBbrakeForceと比較しても良いが、オーバースピード状態になっていることから、よりフィードバック制動力FBbrakeForceが高い値に設定されるように、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに所定制動力α1を加算した値に適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値とフィードバック制動力FBbrakeForceとを比較している。単に坂路必要制動力BrakeSlopeForceをフィードバック制動力FBbrakeForceと比較するのであれば、適合定数K2を1とすれば良い。また、所定制動力α1については、適合定数であるため任意の値に設定すればよいが、加速度センサ25のバラツキ等を考慮した値にしている。
なお、このような路面傾斜に基づいた補正値が必要になるのは、車両が停止してから安定した走行に移行するまでの間と考えられる。このため、車両停止から所定期間経過するまで、例えば1秒経過するまでの期間中であれば上記補正を行い、所定期間経過後には補正を行わないようにするようにしても良い。
(3)オーバースピード状態において車両が加速中のときには、車体加速度DV0に基づいて、車体加速度DV0を0にするために必要な制動力に相当する車体加速力DV0Forceに適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値をフィードバック制動力FBbrakeForceと比較し、いずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定する。つまり、一定の目標速度TBVとなるようにしているのに車両が加速していることから、その加速を無くすようにフィードバック制動力FBbrakeForceを補正する。これにより、車体加速度DV0を無くすようにフィードバック制動力FBbrakeForceが補正されて、より高い応答性で車体速度V0が目標速度TBVに近づくようにすることが可能となる。このときにも、単に車体加速力DV0Forceをフィードバック制動力FBbrakeForceと比較しても良いが、オーバースピード状態になっていることから、よりフィードバック制動力FBbrakeForceが高い値に設定されるように、車体加速力DV0Forceに適合定数K2を掛けた値とフィードバック制動力FBbrakeForceとを比較している。単に車体加速力DV0Forceをフィードバック制動力FBbrakeForceと比較するのであれば、適合定数K2を1とすれば良い。
(4)オーバースピード状態において車両が加速中のときには、駆動力DriveForceに適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値をフィードバック制動力FBbrakeForceと比較し、いずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定する。つまり、エンジントルクによって車両が加速させられることから、駆動力DriveForceを0にするために駆動力DriveForce分の制動力を発生させる必要があるため、フィードバック制動力FBbrakeForceと駆動力DriveForceに適合定数K2を掛けた値のいずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定している。これにより、駆動力DriveForceを無くすようにフィードバック制動力FBbrakeForceが補正されて、より高い応答性で車体速度V0が目標速度TBVに近づくようにすることが可能となる。このときにも、単に駆動力DriveForceをフィードバック制動力FBbrakeForceと比較しても良いが、オーバースピード状態になっていることから、よりフィードバック制動力FBbrakeForceが高い値に設定されるように、駆動力DriveForceに適合定数K2を掛けた値とフィードバック制動力FBbrakeForceとを比較している。単に駆動力DriveForceをフィードバック制動力FBbrakeForceと比較するのであれば、適合定数K2を1とすれば良い。
(5)オーバースピード状態において車両の加速終了時、つまり車体加速度が0よりも大きい状態から0以下になったときには、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)と坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1(例えば500N)を加算した値とを所定の配分となるようにした制動力を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceとする。上記したように、車両の加速中には、加速を素早く止めるようにフィードバック制動力FBbrakeForceを大きな値に設定しているため、加速終了時にはフィードバック制動力FBbrakeForceを適切な値に下げるようにしている。これにより、車体速度V0が目標速度TBVに近づいた後にまでフィードバック制動力FBbrakeForceが大きな値になることを抑制できる。ただし、車両の加速が終了となっており、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)より仮のフィードバック制動力FBbrakeForceの方が小さくなることから、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)を上限値に設定している。
ここでの所定の配分は、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差によって求められ、フィードバック制動力FBbrakeForceの配分をK3とすると、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値に対する配分は(1−K3)となる。
各配分K3、(1−K3)については、基本的には車体速度V0と目標速度TBVとの偏差に応じた値となるようにすれば良いが、設定されている目標速度TBVに応じて車体速度V0と目標速度TBVとの偏差に応じて各配分K3、(1−K3)を変化させる方が好ましい。つまり、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差が同じ値であったとしても、目標速度TBVに応じてドライバの感じ方が変わる。例えば、目標速度TBVが5km/hに設定されている場合に車体速度V0と目標速度TBVとの偏差が1km/h発生してもあまりドライバに違和感を与えないが、目標速度TBVが1km/hに設定されている場合に車体速度V0と目標速度TBVとの偏差が1km/h発生するとドライバに違和感を与える。このため、目標速度TBVに応じた偏差速度V1を設定し、この偏差速度V1を用いてフィードバック制動力FBbrakeForceの配分K3を求め、さらにこのフィードバック制動力FBbrakeForceの配分K3に基づいて坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値に対する配分(1−K3)を求めている。
図2は、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差とフィードバック制動力FBbrakeForceの配分K3との関係の一例を示した図である。また、図3は、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差と偏差速度V1との関係の一例を示した図である。
まず、図3に示すように、目標速度TBVに応じて偏差速度V1を設定する。具体的には、目標速度TBVが大きいほど偏差速度V1が大きな値となるようにしており、本実施形態の場合には目標速度TBVに対して偏差速度V1が正比例の関係で大きくなるようにしている。そして、このように求めた偏差速度V1を車体速度V0と目標速度TBVとの偏差の上限値に設定し、図2に示すように所定速度(例えば図2中では0.5km/h)から偏差速度V1までの速度範囲において、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差に応じたフィードバック制動力FBbrakeForceの配分K3を求める。例えば、図2中では車体速度V0と目標速度TBVとの偏差の変化範囲において配分K3が0.0〜0.8の範囲で可変となるようにしており、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差が大きくなるほどフィードバック制動力FBbrakeForceの配分K3が大きな値となるようにしている。
(6)オーバースピード状態において車両が急減速、例えば車体減速度が所定の減速度未満のときには、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値と駆動力DriveForce分に所定の適合定数K4(例えば0.5)を掛けた補正値とフィードバック制動力FBbrakeForceの出力下限値となる補正値α2の3つのうち最も大きい値を補正値T1とする。そして、この補正値T1を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceとする。これにより、車両が急減速しているときに、フィードバック制動力FBbrakeForceが大きな値になり過ぎないようにできる。ただし、車両が急減速していて、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)より今回のフィードバック制動力FBbrakeForceの方が小さくなることから、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)を上限値に設定している。つまり、補正値T1をフィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)と比較して、いずれか小さい方を今回のフィードバック制動力FBbrakeForceとする。
これにより、車両が想定以上に減速している場合に、フィードバック制動力FBbrakeForceを更に下げるようにする。すなわち、補正値T1がフィードバック制動力FBbrakeForceよりも大きい場合、それを反映すると更にブレーキを抜くことができなくなるため、補正値T1とフィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)のいずれか小さい方を今回のフィードバック制動力FBbrakeForceとする。
以上のように、クロール制御を実行する際には、上記した(1)〜(6)の制御を実行するようにしている。続いて、このようにして実行されるクロール制御の詳細について説明する。図4(a)、(b)は、TRCを含めたクロール制御の全体を示したフローチャートである。以下、この図を参照して、TRCを含めたクロール制御の詳細について説明する。
まず、ステップ100では、各種入力処理を行う。具体的には、各車輪速度センサ20FL〜20RRの検出信号、加速度センサ25の検出信号を入力することで、各車輪FL〜RRの車輪速度VW**を演算すると共に車両の前後加速度Gxを演算する。なお、車輪速度VW**に付した添え字の**は、FL〜RRのいずれかを示しており、VW**は対応する各車輪FL〜RRの車輪速度を統括的に表記したものである。以下の説明においても、添え字の**はFL〜RRのいずれかを示しているものとする。
また、M/C圧センサ22の検出信号を入力してM/C圧を検出したり、アクセル開度、駆動力、副変速機2bのギヤ位置、すなわちH4とL4のいずれに位置しているかをエンジンECU10などから車載LAN12を通じて入力する。さらに、クロールスイッチ23および目標速度設定スイッチ24の検出信号を入力し、ドライバがクロール制御を要求していて目標速度選択を行っている状態であるか否かを検出する。
次に、ステップ105に進み、クロール制御の実行条件を満たしているか否か、具体的には、副変速機2bのギア位置がL4、つまりオフロードなどで用いられる低速ギアのギア比が設定されており、かつ、クロールスイッチ23がオンされているか否かを判定する。ここで、肯定判定されればクロール制御の実行条件を満たしているためステップ110に進んでクロール制御許可を示すフラグをセットし、否定判定されればクロール制御の実行条件を満たしていないためステップ115に進んでクロール制御禁止を示すフラグをセットする。
続いて、ステップ120に進み、各車輪速度VW**に基づいて車体速度V0を演算する。さらに、ステップ125に進み、車体速度V0を時間微分することで車体加速度DV0を演算する。そして、ステップ130に進み、車体加速度DV0を0にするために必要な制動力に相当する車体加速力DV0Forceを演算する。例えば、車体加速度DV0と車両毎に決まっている車両重量とに基づいて車体加速力DV0Forceを演算できる。さらにステップ135に進み、駆動力DriveForceを演算する。例えば、ステップ100の入力処理で取得した値を用いることができる。また、入力処理において、駆動力DriveForceを直接入力するのではなく、エンジントルク情報やギヤ比を入力し、これらとタイヤ径とから駆動力DriveForceを演算するようにしても良い。
その後、ステップ140に進み、坂路勾配SLOPEを演算する。まず、車体加速度DV0とステップ100で加速度センサ25の検出信号に基づいて演算した車両の前後加速度Gxとの差が重力加速度成分に相当することから、坂路勾配SLOPE=sin-1{(Gx−DV0)/9.8}の演算式を用いて、坂路勾配SLOPEを演算する。そして、ステップ145に進み、ステップ140で演算した坂路勾配SLOPEに基づいて、その坂路勾配SLOPEにおいて車両が下方にずり下がらないようにするために必要な坂路必要制動力BrakeSlopeForceを演算する。例えば、坂路勾配SLOPEと車両重量とに基づいて坂路必要制動力BrakeSlopeForceを演算できる。
続いて、ステップ150に進み、ドライバのブレーキ操作による制動力FOOTBRAKEを演算する。例えば、ステップ100で入力したM/C圧に基づいて、M/C圧と対応する制動力FOOTBRAKEを演算する。M/C圧と制動力FOOTBRAKEとの関係については、予め実験などによって調べておけるため、その関係を示すマップなどを作成しておき、そのマップを用いてM/C圧に応じた制動力FOOTBRAKEを演算すれば良い。
また、ステップ155に進み、目標速度TBVを演算する。目標速度TBVは、基本的にはドライバが目標速度設定スイッチ24で設定した速度範囲(例えば1〜5km/h)内の速度とされるが、ドライバが目標速度TBVの切替えを行った場合には、切替え後の目標速度TBVに急に変化させるのではなく、切り替え前の目標速度TBVから徐々に切り替え後の目標速度TBVに変化させるようにフィルタを掛けるようにしている。例えば、切り替え前の目標速度TBVから切り替え後の目標速度TBVに一定勾配で変化させるようにしており、その勾配が目標減速度(もしくは目標加速度)となる。そして、ステップ160に進み、目標減速力TBDVを演算する。例えば、目標速度TBVの微分値と車両重量とに基づいて目標減速力TBDVを演算できる。
このようにして、各種パラメータの演算が完了すると、ステップ165においてクロール制御が禁止されているか否かを判定する。そして、禁止されていればステップ170においてフィードバック演算におけるフィードバック制動力FBbrakeForceを0[N]に設定すると共に、ステップ175において各輪FL〜RRのW/C圧の目標圧TargetPress**を0[MPa]に設定してクロール制御を行わないようにし、禁止されていなければステップ180に進む。
ステップ180では、上記した(1)〜(6)の各制御によってフィードフォワード的に補正したフィードバック制動力FBbrakeForceを演算する処理を行う。図5は、この処理の詳細を示したフローチャートである。
まず、ステップ180aでは、オーバースピード状態であるか否かを判定している。ここでは、車体速度V0が目標速度TBVを超えている場合にオーバースピード状態であると判定している。ここで肯定判定されればフィードフォワード的にフィードバック制動力FBbrakeForceを補正するための処理を行うべくステップ180b以降の処理を実行し、否定判定されればそのまま処理を終了する。
ステップ180b〜180dでは、上記した(1)の制御を行う。具体的には、ステップ180bで、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)が目標減速力TBDVよりも小さいか否かを判定する。そして、肯定判定されればステップ180cに進み、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)に対して目標減速力TBDVに適合定数K1(例えば0.2)を掛けた値を加算した値を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceとする。このとき、目標減速力TBDVをそのまま補正値としても良いが、目標減速力TBDVに適合定数K1を掛けた値を補正値としている。適合定数K1は、一定値でも良いが、過渡的に大きな値とならないように、例えばフィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)と目標減速力TBDVとの差が大きくなるほど徐々に大きな値となるようにしても良い。
なお、目標加減速度を発生させるために必要な制動力を目標減速力とし、これをTBDVとしているが、目標減速力から目標速度微分値に対して車両重量を掛けた値を差し引き、これに坂路必要制動力BrakeSlopeForceを加算した値を坂路などが加味されたTBDVとして用いても良い。
また、ステップ180bで否定判定されればステップ180dに進み、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)を補正することなく、そのまま仮のフィードバック制動力FBbrakeForceとして設定する。
続いて、ステップ180eに進み、加速中であるか否か、すなわち車体加速度DV0が正(>0G)であるか否かを判定する。ここで肯定判定されれば、車両が加速中であることから、ステップ180f〜180iに進んで上記した(2)〜(4)の制御を行う。
具体的には、ステップ180fでは、車体速度V0が0km/hを超えている期間が所定期間(ここでは例えば1秒としている)、つまり車両停止より走行に移行してからの時間が所定期間経過しているか否かを判定し、肯定判定された場合にステップ180gに進んで(2)の制御を行う。すなわち、ステップ180gにおいて、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1に適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値を加算した値をフィードバック制動力FBbrakeForceと比較し、いずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定する。このとき、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値をそのまま補正値としても良いが、例えば車両重量のバラツキ等を考慮し、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値に適合定数K2を掛けた値を補正値としている。
次に、ステップ180hでは、上記した(3)の制御として、車体加速力DV0Forceに適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値をフィードバック制動力FBbrakeForceと比較し、いずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定する。このときも、車体加速力DV0Forceをそのまま補正値としても良いが、例えば車両重量のバラツキ等を考慮し、車体加速力DV0Forceに適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値を補正値としている。
そして、ステップ180iでは、上記した(4)の制御として、駆動力DriveForceに適合定数K2(例えば1.1)を掛けた値をフィードバック制動力FBbrakeForceと比較し、いずれか大きい方を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceに設定する。このときも、駆動力DriveForceをそのまま補正値としても良いが、例えば車両重量のバラツキ等を考慮し、駆動力DriveForceに適合定数K2を掛けた値を補正値としている。このようにして、オーバースピード状態において車両が加速中の際には、上記した(2)〜(4)の制御が実行されて、フィードバック制動力FBbrakeForceが補正される。
一方、ステップ180eにおいて、車両が加速中ではなくて否定判定された場合には、ステップ180jに進んで車両の加速終了時であるか否かの判定を行う。ここでは、前回の制御周期の車体加速度DV0が正(>0G)であるか否かを判定することで、車両の加速終了時であるか否かの判定を行っている。ここで肯定判定されれば、ステップ180kに進み、上記した(5)の制御として、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)と坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値とを所定の配分となるようにした制動力を仮のフィードバック制動力FBbrakeForceとする。具体的には、図2および図3に基づいて、フィードバック制動力FBbrakeForceの配分K3を求めたのち、この配分K3に基づき、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値に対する配分(1−K3)を求める。そして、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)に対して配分K3を掛けた値と坂路必要制動力BrakeSlopeForceに所定制動力α1を加算した値に対して配分(1−K3)を掛けた値を足すことで、仮のフィードバック制動力FBbrakeForceを求めている。ただし、車両の加速が終了となっており、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)より仮のフィードバック制動力FBbrakeForceの方が小さくなることから、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)を上限値に設定している。
この後、ステップ180mに進み、車両が急減速したか否かを判定する。例えば、車体加速度DV0が所定の減速度に相当する落ち込み判定閾値KDV1(例えば、0.2G)未満になったか否かを判定することで、車両が急減速したか否かの判定を行っている。ここで肯定判定されれば、ステップ180nに進み、上記した(6)の制御として、坂路必要制動力BrakeSlopeForceに対して所定制動力α1を加算した値と駆動力DriveForce分に所定の適合定数K4を掛けた補正値とフィードバック制動力FBbrakeForceの出力下限値となる補正値α2の3つのうち最も大きい値を補正値T1とし、これをフィードバック制動力FBbrakeForceとする。ただし、車両が急減速していて、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)より今回のフィードバック制動力FBbrakeForceの方が小さくなることから、フィードバック制動力FBbrakeForce(前回値)を上限値に設定している。
このようにして、(1)〜(6)の制御が実行され、図5に示す各処理が終了する。この後、図4(b)のステップ185に進み、通常の制御ゲイン設定を行う。すなわち、フィードバック制御によるブレーキ制御を実行するためのフィードバックゲインBrakeGainの設定、例えばPID制御におけるP項、I項、D項のゲインの設定を行う。このときのゲインは、ブレーキ制御として一般的に行われている通常のゲインを設定している。
また、ステップ190に進み、最終的なフィードバック制動力FBbrakeForceの演算を行う。具体的には、ステップ180で演算したフィードバック制動力FBbrakeForceを用いて、このフィードバック制動力FBbrakeForceに対して、車体速度V0と目標速度TBVとの偏差にステップ185で設定したフィードバックゲインBrakeGainおよび制動力変換用の係数を掛けた値を足すことで、最終的なフィードバック制動力FBbrakeForceを演算している。
さらに、ステップ195に進み、ステップ190で演算したフィードバック制動力FBbrakeForceを各輪制動力に換算する。ここでは、フィードバック制動力FBbrakeForceに対して各輪FL〜RRの配分を決める各輪制動力ゲインEachBrakeGain**を掛けることで、各輪制動力BrakeForce**を演算している。各輪制動力ゲインEachBrakeGain**は、通常は4つの車輪FL〜RRで均一となるように1/4とされるが、前輪FR、FLの方の配分が後輪RR、RLよりも大きくなるように前後輪で配分を変えてあっても良い。そして、ステップ200に進み、ステップ195で演算した各輪制動力BrakeForce**に対して液圧換算値を掛けることにより、各輪FL〜RRのW/C圧の目標圧TargetPress**を演算する。
この後は、TRCを加味した制御として、ステップ205においてTRCの制御中であるか否かを判定し、制御中であればステップ210に進んでTRC要求液圧演算として、TRCにより要求されているTRC要求液圧TrcTargetPress**を演算する。そして、ステップ215に進んでステップ200で求めた各輪FL〜RRのW/C圧の目標圧TargetPress**にTRC要求液圧TrcTargetPress**を足すことで、クロール制御およびTRCを加味した最終的な各輪FL〜RRのW/C圧の目標圧TargetPress**が演算される。なお、TRCの制御中であるか否かやTRC要求液圧TrcTargetPress**については、TRCを実行しているECU(ブレーキECU19もしくはエンジンECU10のいずれか)より取得することができる。
以上のようにして、クロール制御およびTRCを加味した最終的な各輪FL〜RRのW/C圧の目標圧TargetPress**が演算されると、その目標圧TargetPress**を発生させられるように、ブレーキアクチュエータ15が制御され、W/C16FL〜16RRのW/C圧が制御される。
図6と図7、および図8と図9は、それぞれ従来のフィードバック制御と本実施形態で説明したフィードバック制御を実行した場合の相違を示したタイムチャートである。
図6に示すように、従来のフィードバック制御では、車体速度V0が目標速度TBVを超えると、それらの偏差に基づいてフィードバック制動力が設定される。そして、偏差が大きくなるほどフィードバック制動力が大きな値に設定され、車体速度V0が目標速度TBVに近づくように制御される。しかしながら、単に車体速度V0と目標速度TBVとの偏差に基づいてフィードバック制動力を設定しているため、高い応答性が得られておらず、車体速度V0と目標速度TBVとの乖離が大きくなっていた。
これに対して、本実施形態のフィードバック制御では、上記した(1)〜(6)の制御によってフィードフォワード的にフィードバック制動力FBbrakeForceを補正している。例えば、目標減速力TBDVや坂路必要制動力BrakeSlopeForceを加味してフィードバック制動力FBbrakeForceが設定されるようにしている。このため、図7に示すように、より車体速度V0を目標速度TBVに追従させることが可能となり、車体速度V0と目標速度TBVとの乖離も小さくできる。したがって、本実施形態によれば、高い応答性を得ることが可能となり、クロール制御のように各車輪FL〜RRの制動力を制御することで車体速度を低速に保つ制御を行う際に、よりドライバの違和感を緩和することが可能となる。
更に、制動力の上昇側の応答性が低い場合の例を図8と図9のタイムチャートを用いて説明する。図8、図9は、例えば降坂路にパーキングブレーキで停止した状態から、パーキングブレーキを解除し、車両が坂路を下っている状態に相当する。
図8に示すように、従来のフィードバック制御では、T1で車体速度V0が目標速度TBVを超えても、T1後すぐは車体速度V0と目標速度TBVとの速度偏差が小さく、目標制動力が小さく設定されるために制動力の増加速度が遅く、制動力の増加が遅れる。そのため、十分な制動力が得られず車体速度V0は大きく上昇してしまう。その後、大きく上昇した車体速度V0によって、速度偏差が大きくなり目標制動力も大きく設定されるため(T2)、制動力も急に上昇する。すると、今度は制動力が過剰となり、車体速度V0は急激に減少し、目標車体速度TBVを下回ってしまう(T3)。急激な速度変化で目標速度TBVを下回ることから、今度は目標制動力が必要以上に小さく設定され、制動力も急激に小さくされる。これにより制動力が不足する状態となりT4で再び車体速度V0が目標速度TBVを上回る。以後同様に車体速度V0の増加減少が繰り返される速度ハンチングが発生する。
一方、図9に示すように、本実施形態の発明ではT1aで車体速度V0が目標速度TBVを超えると、制御(1)、(2)、(3)のいずれか、または組み合わせによって、すぐに目標制動力が高く設定されるため、制動力は速い上昇速度で増加し、車体速度V0の過度の上昇が抑えられる。次にT2aで、車体速度V0の増加が止まる、すなわち車体加速度DV0が正から0(ゼロ)以下に転じると、制動力が十分上昇したと判断できるため、制御(5)を行って目標制動力が適切な値に更新される。これにより、高い目標制動力を維持して制動力が過剰となることを防止することができる。さらに、T3aで車体加速度DV0がKDV1よりも小さくなるような急な減速を示すときには、現状の目標制動力はまだ大きいと判断できるため、制御(6)を行って、目標制動力は更に小さくなるように補正される。このように、制動力上昇の応答性が低いような場合であっても、より適切な制御を行い、速度ハンチングなどを防止することが可能となる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、各車輪FL〜RRの制動力を制御することで車体速度を低速に保つ制御の一例としてクロール制御を挙げた。しかしながら、これは単なる一例を示したに過ぎず、他の制御、例えばダウンヒルアシスト制御(DAC)についても同様のことが言える。ダウンヒルアシスト制御の場合もクロール制御と同様であり、上記した第1実施形態で説明したクロール制御の部分をすべてダウンヒルアシスト制御に置き換えれば良い。
なお、各図中に示したステップを含めて、ブレーキECU19中において各種処理を実行している部分が各種処理を実行する手段に対応するものである。例えば、ステップ180aの処理を実行する部分がオーバースピード状態判定手段、ステップ180c、180d、180g〜180i、180k、180nの処理を実行する部分が補正手段、ステップ180jの処理を実行する部分が加速終了判定手段、ステップ180mの処理を実行する部分が急減速判定手段に相当する。また、ステップ100の処理を実行する部分が加速度取得手段や駆動力取得手段、ステップ140の処理を実行する部分が傾斜取得手段、ステップ160の処理を実行する部分が目標減速力演算手段、ステップ190の処理を実行する部分がフィードバック制御手段に相当する。