JP2016164058A - 車両の制動力制御装置 - Google Patents

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啓介 山本
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Abstract

【課題】 駆動輪が加速スリップするような路面状況下において、ドライバーのアクセル操作から車両が発進するまでのタイムラグを短縮する。
【解決手段】 ブレーキECUは、ドライバーのアクセル操作が行われていなく、かつ、車速Vが微低速判定閾値V1を下回っているときに、駆動輪ごとに接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さいか否かについて判定し、接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さいと判定された駆動輪を対象車輪として、対象車輪のホイールシリンダを事前加圧量Pxで加圧する。ブレーキECUは、アクセル操作が検出された後、車速Vが減圧開始閾値V2以上となったとき、ホイールシリンダの減圧を開始する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、複数の駆動輪を独立して制動可能なブレーキ装置を備えた車両の制動力制御装置に関する。
アクセルを踏み込んで加速したとき、タイヤの接地している路面の摩擦係数が小さいと、駆動輪が空転するばかりでなく、車両姿勢が不安定になる。こうした課題を解決する技術の一つとして、トラクション制御(TRC)が知られている。トラクション制御は、車両加速時に、ドライバーの操作によらず、駆動輪のスリップ率が目標領域に入るようにスリップ率を制御して、車両姿勢の安定化を図る技術である。トラクション制御の方式としては、一般に、1)エンジンの出力トルクを絞る方法、2)駆動輪にブレーキ圧を加える方法、3)上記1)と2)とを併用する方法が知られている。
例えば、特許文献1に提案された装置では、駆動輪と従動輪との車輪速差が閾値を超えたとき、車両がスタックしていると判定し、駆動輪のスリップ量が閾値以下になるように、エンジンの駆動トルクを低下させる。
特開2006−306205号公報
しかしながら、従来装置においては、車輪速に基づいて駆動輪が加速スリップしているか否かについて監視し、加速スリップが検出されたときに、加速スリップを解消するようにトラクション制御を開始する。このため、ドライバーのアクセル操作から車両が発進するまでのタイムラグが大きくなってしまい、発進時のフィーリングが好ましくない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動輪が加速スリップするような路面状況下において、ドライバーのアクセル操作から車両が発進するまでのタイムラグを短縮することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
ドライバーのアクセル操作によって駆動される複数の駆動輪を独立して制動可能なブレーキ装置(31,32)と、
複数の駆動輪の接地荷重をそれぞれ検出する接地荷重検出手段(58)と、
ドライバーのアクセル操作が行われていなく、かつ、車速が予め設定された微低速判定閾値(V1)を下回っているときに、前記駆動輪ごとに前記接地荷重が設定値(F1)よりも小さいか否かについて判定し、前記接地荷重が設定値よりも小さいと判定された駆動輪を対象車輪として、前記対象車輪に対して制動力を付与するように前記ブレーキ装置を制御する発進前制動力付与手段(30,S11〜S16)と、
アクセル操作が行われたことが検出された後、車速が予め設定された解除開始閾値(V2)以上となったとき、前記対象車輪に付与していた制動力を解除するように前記ブレーキ装置を制御する発進時制動力解除手段(30,S17〜S21)と
を備えたことにある。
本発明は、ブレーキ装置、接地荷重検出手段、発進前制動力付与手段、および、発進時制動力解除手段を備えている。ブレーキ装置は、ドライバーのアクセル操作によって駆動される複数の駆動輪を独立して制動可能に構成されている。接地荷重検出手段は、複数の駆動輪の接地荷重をそれぞれ検出する。この接地荷重検出手段は、複数の駆動輪の接地荷重を直接的に検出する構成に限るものでなく、例えば、複数の駆動輪の接地荷重の大きさを推定できる(接地荷重の大きさと相関関係を有する)物理量を検出する構成であってもよい。
発進前制動力付与手段は、ドライバーのアクセル操作が行われていなく、かつ、車速が予め設定された微低速判定閾値を下回っているときに、駆動輪ごとに接地荷重が設定値よりも小さいか否かについて判定する。そして、発進前制動力付与手段は、接地荷重が設定値よりも小さいと判定された駆動輪を対象車輪として、対象車輪に対して制動力を付与するようにブレーキ装置を制御する。従って、加速スリップ(空転)するおそれのある駆動輪については、車両の発進前から制動力を付与することができる。これによって、ドライバーがアクセル操作をして駆動輪に伝達される駆動力が増加しても、駆動輪の加速スリップを発生させないようにすることができる。
例えば、複数の駆動輪の一部が加速スリップした場合、駆動源(エンジンや走行用モータ等)から出力される駆動力は、ディファレンシャルギヤから加速スリップした駆動輪に流れてしまい(加速スリップしている車輪の駆動力配分が増加し)、接地荷重の大きな駆動輪を良好に駆動することができなくなる。これに対して、本発明では、接地荷重が設定値よりも小さい駆動輪については、車両の発進前から制動力が付与されているため、発進時に加速スリップしない。従って、接地荷重が設定値より大きな駆動輪の駆動力を確保することができ、この駆動輪の駆動力を使って、アクセル操作に合わせて車両をスムーズに発進させることができる。
発進時制動力解除手段は、アクセル操作が行われたことが検出された後、車速が予め設定された解除開始閾値以上となったとき、対象車輪に付与していた制動力を解除するようにブレーキ装置を制御する。従って、全ての駆動輪を使って車両を加速させることができる。
この結果、本発明によれば、駆動輪が加速スリップするような路面状況下において、ドライバーのアクセル操作から車両が発進するまでのタイムラグを短縮することができ、発進時のフィーリングを向上させることができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る制動力制御装置を備えた車両の概略構成図である。 接地荷重対応制動制御ルーチンを表すフローチャートである。 接地荷重推定マップを表すグラフである。 事前加圧量設定マップを表すグラフである。 減圧勾配設定マップを表すグラフである。 アクセル操作量、車速、事前加圧量の推移を表すグラフである。 車輪の接地状態を表す図である。 左右前後輪の接地荷重を表すグラフである。 従来装置の作動を表すフローチャートである。 従来装置の作動によるアクセル操作量、車速、車輪速、ホイールシリンダ液圧(加圧分)の推移を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の制動制御装置を備えた車両の概略システム構成図である。
車両は、エンジン11、自動変速機12、トランスファー13、および、エンジンECU10を備えている。エンジン11の駆動力は、自動変速機12を介して出力軸14に伝達される。出力軸14の駆動力は、駆動状態を切り替えるトランスファー13によって前輪用駆動軸15および後輪用駆動軸16に伝達される。エンジン11、自動変速機12、および、トランスファー13は、エンジンECU10により制御される。
エンジンECU10は、マイクロコンピュータを主要部として備えた電子制御装置であって、各種のエンジン制御用センサ51から出力される検出信号Eを入力して、燃料噴射制御、点火制御、および、吸入空気量制御などを実施する。また、エンジンECU10は、アクセル操作量A(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ52と接続され、アクセル操作量Aに応じた大きさのドライバー要求トルクを演算し、このドライバー要求トルクをエンジン11にて発生させる。
トランスファー13は、駆動状態を4WD状態と2WD状態とに切り替えるアクチュエータを含んでおり、エンジンECU10によって駆動状態が切り替えられる。エンジンECU10は、選択スイッチ53と接続されており、ドライバーによって操作された選択スイッチ53の出力する選択信号Ssに基づいてトランスファー13の駆動状態(駆動力の伝達状態)を切り替える。
例えば、トランスファー13は、選択スイッチ53がH4位置にセットされている時には、出力軸14の駆動力を前輪用駆動軸15および後輪用駆動軸16に伝達する高速4WDモードに設定する。また、トランスファー13は、選択スイッチ53がH2位置にセットされている時には、出力軸14の駆動力を後輪用駆動軸16のみに伝達する高速2WDモードに設定する。また、トランスファー13は、選択スイッチ53がL4位置にセットされている時には、H4位置の場合よりも低車速高トルク用の駆動力を出力軸14から出力させて、この出力軸14の駆動力を前輪用駆動軸15および後輪用駆動軸16に伝達する低速4WDモードに設定する。
前輪用駆動軸15の駆動力は、前輪ディファレンシャルギヤ17を介して左前輪車軸17Lおよび右前輪車軸17Rに伝達される。これにより、左前輪20FLおよび右前輪20FRが回転駆動される。同様に、後輪用駆動軸16の駆動力は、後輪ディファレンシャルギヤ18を介して左後輪車軸18Lおよび右後輪車軸18Rに伝達される。これにより、左後輪20RLおよび右後輪20RRが回転駆動される。
以下、左前輪20FL、右前輪20FR、左後輪20RL、および、右後輪20RRについて、それらの位置を特定する必要ない場合には、それらを単に車輪20と呼ぶ。また、以下に説明する各車輪20位置毎に設けられる部材については、図中において、符号の末尾に、左前輪20FLに設けられる部材についてはFLを付し、右前輪20FRに設けられる部材についてはFRを付し、左後輪20FLに設けられる部材についてはRLを付し、右後輪20RRに設けられる部材についてはRRを付し、明細書中においては、車輪位置を特定する必要が無い場合には、上記末尾の符号を省略する。
エンジンECU10は、CAN通信ライン60により、後述するブレーキECU30など他の車両内ECUと相互に通信可能に接続されており、エンジン11等の制御情報や要求信号を他の車両内ECUに送信するとともに、他の車両内ECUから、それらの制御情報や要求信号を受信する。
車両は、制動力制御装置として、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構31、ブレーキアクチュエータ32、および、ブレーキECU30を備えている。摩擦ブレーキ機構31は、車輪に固定されるブレーキディスク31aと、車体に固定されるブレーキキャリパ31bとを備え、ブレーキアクチュエータ32から供給される作動液の液圧によってブレーキキャリパ31bに内蔵されたホイールシリンダを作動させることによりブレーキパッドをブレーキディスク31aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。
ブレーキアクチュエータ32は、ブレーキキャリパ31bに内蔵されたホイールシリンダに供給する液圧を、各輪独立して調整する公知のアクチュエータである。このブレーキアクチュエータ32は、例えば、ブレーキペダルの踏力によって作動液を加圧するマスタシリンダからホイールシリンダに液圧を供給する踏力液圧回路に加え、ブレーキペダル踏力とは無関係に制御可能な制御液圧を各ホイールシリンダに独立して供給する制御液圧回路を備えている。制御液圧回路には、昇圧ポンプおよびアキュムレータを有し高圧の液圧を発生する動力液圧発生装置と、動力液圧発生装置の出力する液圧を調整してホイールシリンダ毎に目標液圧に制御された液圧を供給する制御弁と、各ホイールシリンダの液圧を検出する液圧センサ等を備える(以上、ブレーキアクチュエータ32を構成する要素についは、図示を省略している)。
ブレーキアクチュエータ32は、こうした構成を備えることにより、左右前後輪20の制動力を独立して制御することができる。
ブレーキECU30は、マイクロコンピュータを主要部として備えた電子制御装置であって、ブレーキアクチュエータ32に接続され、ブレーキアクチュエータ32の作動を制御する。また、ブレーキECU30は、CAN通信ライン60により、エンジンECU10など他の車両内ECUと相互に通信可能に接続されている。ブレーキECU30は、ブレーキ操作量Bを検出するブレーキセンサ54から出力される検出信号を入力し、ブレーキ操作量Bに応じたドライバー要求制動力を演算し、更に、このドライバー要求制動力を各輪20に配分した各輪要求摩擦制動力を演算する。そして、ブレーキアクチュエータ32に設けられた制御弁の通電を制御することにより、各摩擦ブレーキ機構31で各輪要求摩擦制動力を発生するように各ホイールシリンダの液圧を制御する。これにより、左右前後輪20の制動力が独立して制御される。
また、ブレーキECU30には、各車輪20の車輪速を検出する車輪速センサ55が接続されている。車輪速センサ55は、自身の設けられた車輪20の回転速度ω(車輪速ωと呼ぶ)を表す検出信号を出力する。ブレーキECU30は、各車輪速センサ55により検出される車輪速ωに基づいて車速V(車体速度)を演算して、車速情報をCAN通信ライン60を介して車両内ECUに提供するとともに、車速Vと各車輪20の車輪速ωとから、各車輪20のスリップ率を演算し、このスリップ率に基づいて、各車輪20のロック状態、および、スリップ状態を検出する。
ブレーキECU30は、車輪20の制動時にロック状態を検出した場合には、ロック状態の検出された車輪20を制御対象輪として、周知のアンチロック制御(ABS)により制動力を弱める。また、ブレーキECU30は、後述する接地荷重対応制動制御を実施して発進時における加速スリップを防止する。また、ブレーキECU30は、走行中に加速スリップを検出した場合、加速スリップの検出された車輪20を制御対象輪として、周知のトラクション制御(TRC)により制動力を付与する。
CAN通信ライン60には、車両の挙動を検出する挙動センサ56(例えば、車両の横加速度を検出する横加速度センサ、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ等)、および、操舵角を検出する舵角センサ57が接続されている。これにより、挙動センサ56により検出された車両の挙動量G、および、舵角センサ57により検出された操舵角θを表すそれぞれの情報が所定の短い周期でCAN通信ライン60に送信される。
ブレーキECU30は、CAN通信ライン60を介して、車両の挙動情報、および、操舵情報を取得し、それらの情報に基づいて、車両のオーバーステア状態、あるいは、アンダーステア状態などの横滑りによる非所望運動状態を検出する。ブレーキECU30は、こうした非所望運動状態を検出したときに、車両の挙動を安定させるように、制動力を制御する制御対象輪を特定し、その制御対象輪の制動力を制御する。
また、ブレーキECU30は、各車輪位置に設けられる接地荷重センサ58と接続されている。接地荷重センサ58は、左右前後輪20の接地荷重の大きさを推定することのできる物理量を検出することができるものであればよい。例えば、左右前後輪20に設けられたショックアブソーバのガス室内の圧力を検出する圧力センサ、あるいは、左右前後輪20のサスペンションストローク量を検出するハイトセンサ等を接地荷重センサ58として用いることができる。左右前後輪20の接地荷重は、圧力センサにより検出される圧力、あるいは、ハイトセンサにより検出されるサスペンションストローク量に比例して増減すると推定できる。
ブレーキECU30は、接地荷重センサ58から接地荷重の大きさを推定することのできる物理量Xを表す検出信号を入力する。尚、サスペンションの減衰力を制御する図示しないサスペンションECUが左右前後輪20の接地荷重情報を取得している場合には、ブレーキECU30が、サスペンションECUからCAN通信ライン60を介して接地荷重情報を入力する構成であってもよい。
また、ブレーキECU30は、アクセルセンサ52と接続されている。本実施形態においては、ブレーキECU30は、エンジンECU10に接続されているアクセルセンサ52の検出信号を入力するが、エンジンECU10が取得しているアクセル操作情報をブレーキECU30がCAN通信ライン60を介して入力する構成であってもよい。
接地荷重情報およびアクセル操作情報は、後述する接地荷重対応制動制御に利用される。
次に、ブレーキECU30の実施する接地荷重対応制動制御について説明する。上述したように、車両の発進時に、路面の凹凸によって路面に適正に接地していない車輪20、つまり、接地荷重が適正値よりも小さい車輪20においては、スリップ(空転)が発生しやすい。従来装置においては、車輪速がスリップ判定用閾値よりも大きいことを検知してから、スリップが検出された車輪20(スリップ輪と呼ぶ)のホイールシリンダを加圧され、車輪速が適正方向に復帰する傾向が検出されるのを待って、ホイールシリンダを減圧する。こうした従来装置では、車輪20のスリップを検出してから車輪20の制動を開始するため、アクセル操作から発進までにタイムラグが発生し、スムーズに発進できないことがある。
そこで、本実施形態においては、こうしたタイムラグを低減するために、接地荷重対応制動制御を実施する。図2は、ブレーキECU30の実施する接地荷重対応制動制御ルーチンを表すフローチャートである。接地荷重対応制動制御ルーチンは、イグニッションスイッチがオンされている間、所定の短い演算周期で繰り返し実施される。尚、以下、トランスファー13によって低速4WDモードが設定されている場合について説明する。
本ルーチンが起動すると、ブレーキECU30は、ステップS11において、アクセルセンサ52から取得されるアクセル操作情報に基づいて、アクセルオフか否か、つまり、ドライバーによってアクセルペダルが踏まれていなか否かについて判定する。アクセルオフである場合(S11:Yes)、ブレーキECU30は、ステップS12において、車速V(4輪の車輪速ωから演算される)を読み込み、車速Vが微低速判定閾値V1よりも小さいか否かについて判定する。この微低速判定閾値V1は、車両が停車を含めた微低速走行状態であるか否かを判定するために予め設定された閾値である。
車速Vが微低速判定閾値V1以上である場合、ブレーキECU30は、本ルーチンを一旦終了する。ブレーキECU30は、本ルーチンを所定の演算周期で繰り返す。こうした処理が繰り返され、車両が減速して停止直前になると、車速Vが微低速判定閾値V1よりも小さくなり(S12:Yes)、ブレーキECU30は、その処理をステップS13に進める。
ブレーキECU30は、ステップS13において、左右前後輪20の接地荷重センサ58の出力する検出信号を読み込み、この検出信号に基づいて左右前後輪20それぞれの接地荷重Fを演算により推定する。ブレーキECU30は、例えば、図3に示す接地荷重推定マップを記憶しており、この接地荷重推定マップを参照して、接地荷重Fを推定する。この接地荷重推定マップでは、接地荷重センサ58として代用する圧力センサ(ショックアブソーバのガス室のガス圧を検出するセンサ)により検出される圧力、あるいは、ハイトセンサ(サスペンションストロークを検出するセンサ)により検出されるストローク量と、接地荷重Fとの関係が設定されている。
この例では、圧力あるいはストローク量に比例する接地荷重Fが設定されており、車両が平坦路に停止しているときの接地荷重をF0、この接地荷重F0が働いているときの圧力あるいはストローク量を基準値X0とした点(F0,X0)を通る一次関数の特性に設定されている。従って、圧力あるいはストローク量が小さいほど、小さくなる接地荷重Fが設定される。
続いて、ブレーキECU30は、ステップS14において、各車輪20毎に、その接地荷重Fが予め設定した事前加圧要否判定閾値F1よりも小さいか否かについて判定し、4輪ともに接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1以上である場合(S14:No)には、本ルーチンを一旦終了する。一方、1輪でも接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さい場合(S14:Yes)、ブレーキECU30は、ステップS15において、接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さい車輪(以下、対象車輪と呼ぶ)を特定し、この対象車輪ごとに事前加圧量Pxを演算する。この事前加圧要否判定閾値F1は、車両を発進させたときに、駆動輪が加速スリップするおそれがあるか否かを判別できる接地荷重の大きさに設定されている。
ブレーキECU30は、図4に示す事前加圧量設定マップを記憶しており、この事前加圧量設定マップを参照して、事前加圧量Pxを演算する。事前加圧量設定マップは、接地荷重Fと事前加圧量Pxとの関係を設定したもので、接地荷重Fが小さくなるほど増加する事前加圧量Pxが設定される特性を有している。この例では、事前加圧量Pxは、接地荷重Fが小さくなるほど指数関数的に増加する値に設定されるが、その特性は任意に設定できるものである。事前加圧量Pxは、一定値でも良いが、接地荷重Fが小さい場合には大きい場合に比べて大きな値に設定されることが好ましい。
ブレーキECU30は、接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さい対象車輪について、接地荷重Fに応じた事前加圧量Pxを演算すると、続くステップS16において、対象車輪のホイールシリンダの液圧を事前加圧量Pxに制御する。このように接地荷重Fに応じた事前加圧量Pxにまでホイールシリンダの液圧を増加させることを事前加圧と呼ぶ。「事前加圧」とは、後述する処理の説明によって理解されるが、車両の次回の発進の前からホイールシリンダの液圧を加圧しておくことを意味している。
この事前加圧によって、対象車輪は、ドライバーのブレーキ操作が解除された場合でも、接地荷重が小さいほど大きな制動力が付与された状態に維持される。尚、ステップS16における処理は、ドライバーがブレーキ操作を行っていれば、そのブレーキ操作によって発生させている液圧が、事前加圧量Pxよりも小さい場合にのみ、ホイールシリンダの液圧を事前加圧量Pxにまで増加させればよい。
例えば、図7に示すように、路面の窪みによって左前輪20FLが路面から浮きかかっている状態においては、左前輪20FLの接地荷重Fが減少する。図8は、この状態における各車輪10の接地荷重Fを表すもので、グラフのグレーで着色した頂部位置が、図7に示す車両の状態における接地荷重を表している。この例では、左前輪20FLの接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さくなっているため、左前輪20FLが事前加圧を要する対象車輪として特定され、接地荷重Fに応じた事前加圧量Pxが演算される。図8において、Ffは、平坦路に車両が停止しているとき(4輪接地時)の左右前輪20FL,20FRの接地荷重を表し、Frは、平坦路に車両が停止しているとき(4輪接地時)の左右後輪20RL,20RRの接地荷重を表す。左前輪20FLの接地荷重Fが少なくなった分、他の3輪20FR,20RL,20RRの接地荷重Fが増加している。
再び、図2の接地荷重対応制動制御ルーチンの説明に戻す。ブレーキECU30は、ステップS16の処理を実施すると本ルーチンを一旦終了する。ブレーキECU30は、こうした処理を繰り返し、アクセルオン(アクセルペダルが踏まれたこと)が検出されると(S11:No)、その処理をステップS17に進めて、事前加圧が実施されているか否かについて判定する。つまり、アクセルオンが検出される直前において、4輪のうちの少なくとも1輪について、ホイールシリンダの液圧が事前加圧量Pxだけ加圧されていたか否かについて判定する。
事前加圧が実施されていない場合(S17:No)、ブレーキECU30は、本ルーチンを一旦終了する。一方、事前加圧が実施されている場合(S17:Yes)、ブレーキECU30は、ステップS18において、車速Vが減圧開始閾値V2(<V1)以上であるか否かを判定し、車速Vが減圧開始閾値V2未満である場合(S18:No)には、本ルーチンを一旦終了する。従って、事前加圧が継続される。減圧開始閾値V2は、本発明の解除開始閾値に相当する。
本ルーチンが繰り返され、車速Vが減圧開始閾値V2以上になると(S18:Yes)、ブレーキECU30は、ステップS19において、アクセルセンサ52によって検出されるアクセル開度の勾配α(アクセル開度を時間で微分した値)を演算し、続くステップS20において、アクセル開度の勾配αに応じた減圧勾配βを演算する。この減圧勾配βとは、現時点において加圧されているホイールシリンダの液圧を減圧させる勾配、即ち、減圧速度を表す。
ブレーキECU30は、図5に示す減圧勾配設定マップを記憶しており、この減圧勾配設定マップを参照して、減圧勾配βを演算する。減圧勾配設定マップは、アクセル開度の勾配αと減圧勾配βとを設定したもので、アクセル開度の勾配αが大きくなるほど増加する減圧勾配βが設定される特性を有している。この例では、減圧勾配βは、アクセル開度の勾配αが大きくなるほど指数関数的に増加する値に設定されるが、その特性は任意に設定できるものである。減圧勾配βは、一定値でもよいが、アクセル開度の勾配αが大きい場合には小さい場合に比べて大きな値に設定されることが好ましい。
ブレーキECU30は、ステップS20において、対象車輪の減圧勾配βを設定すると、続くステップS21において、対象車輪のホイールシリンダの液圧を減圧勾配βで指定される速度で減圧し、本ルーチンを一旦終了する。こうした処理が繰り返され、対象車輪のホイールシリンダの液圧は、最終的に、車輪20が制動力を発生しない液圧(例えば、大気圧)にまで減圧される。
図6は、接地荷重対応制動制御ルーチンを実施した場合の、アクセル操作量A、車速V、事前加圧量Pxの推移を表す。この事前加圧量Pxは、対象車輪(図7,図8の例では左前輪20FL)の推移を表している。
車両が減速して停車する直前、つまり、車速Vが微低速判定閾値V1を下回った時刻t1から、事前加圧が開始される。この場合、事前加圧量Pxは、接地荷重Fに応じた値に向かって、予め設定された勾配にて増加するように設定される。停車期間中、対象車輪のホイールシリンダの液圧は、少なくとも事前加圧量Px以上の液圧に維持される。
時刻t2にて、ドライバーによってアクセルペダルが踏み込まれる。このとき、対象車輪以外の車輪は、エンジン11から伝達された駆動力によって回転するが、対象車輪は、事前加圧量Pxに対応した制動力が付与されているため回転しない。対象車輪は、接地荷重が少ないため、車両の発進に大きな邪魔とはならない。
こうして車両が発進し、時刻t3にて、車速Vが減圧開始閾値V2に達すると、事前加圧量Pxが減圧勾配βで減圧される。この減圧によって、対象車輪は回転を開始する。従って、本実施形態においては、アクセル操作が行われる前から、接地荷重の少ない車輪10に制動力を付与しているため、車輪10の加速スリップを発生させることがない。このため、アクセル操作の開始からスムーズに車両を発進させることができる。
ここで、比較例として、事前加圧を行わない従来装置の動作について図9、図10を使って説明する。従来装置では、図9に示すように、アクセル操作が行われると(S51:Yes)、エンジンのトルクが増加され(S52)、駆動輪について車輪速ωがスリップ判定用閾値ω0より大きいか否かについて判定される(S53)。車輪速ωがスリップ判定用閾値ω0よりも大きくなっている駆動輪、つまり、加速スリップの発生している駆動輪(スリップ車輪と呼ぶ)が存在する場合(S53:Yes)、スリップ車輪のホイールシリンダが加圧されて、スリップ車輪に制動力が付与される(S54:No,S55)。その後、車輪速ωの減少傾向が検出されると(S54:Yes)、スリップ車輪のホイールシリンダが減圧される(S56)。
このため、駆動輪の接地荷重が小さい場合には、図10に示すように、アクセル操作が開始された時刻t5から、接地荷重の小さい駆動輪が加速スリップ(空転)してしまう。駆動輪の一部が空転している場合、エンジンから出力されるトルクは、ディファレンシャルギヤから空転している車輪側に流れてしまう(空転している車輪の駆動力配分が増加する)ため、接地している側の駆動輪で発生できる駆動力は小さくなる。このため、車両を発進させることが難しい。そして、車輪速に基づいて加速スリップが検出された時点(時刻t6)で、スリップ輪のホイールシリンダが加圧される。この結果、アクセル操作が開始された時刻t5から車両が発進する時刻t7までのタイムラグが大きくなってしまう。
これに対して、本実施形態においては、発進時に加速スリップが発生することが予測される駆動輪、つまり、接地荷重が小さい駆動輪については、事前加圧を行った状態でアクセル操作に合わせてエンジントルクを増加させ、車速Vが減圧開始閾値V2に達した時点で減圧を開始する。従って、車輪20を空転させることなく、接地荷重の大きい側の駆動輪の駆動力を使って、アクセル操作に合わせて車両をスムーズに発進させることができる。つまり、アクセル操作から車両の発進までのタイムラグを短くすることができる。これにより、発進時の引っ掛かり感、および、もたつき感をドライバーに感じさせないようにすることができる。
また、減圧勾配β(減圧速度)がアクセル開度の勾配αが大きいほど大きな値に設定されるため、ドライバーの意志を反映した発進を行うことができる。さらに、事前加圧を解除する減圧開始閾値V2が、事前加圧を開始する微低速判定閾値V1よりも小さい値に設定されている(V2<V1)ため、早いタイミングで減圧を開始することができ、良好な発進性を得ることができる。
従って、本実施形態によれば、発進時のフィーリングを向上させることができる。
以上、本実施形態に係る車両の制動力制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、微低速判定閾値V1がゼロよりも大きな値に設定されているが、ゼロに設定されていてもよい。つまり、車両の停止が検出されてから、接地荷重Fが事前加圧要否判定閾値F1よりも小さい対象車輪を特定し、その対象車輪のホイールシリンダを加圧する構成でもよい。
また、本実施形態においては、エンジン10により駆動輪を駆動する形式の車両に適用しているが、本発明は、例えば、モータにより駆動輪を駆動する電気自動車、モータおよびエンジンを併用して駆動輪を駆動するハイブリッド自動車など、種々の車両に適用できる。
また、本実施形態においては、接地荷重センサ58として、接地荷重と相関関係を有する圧力センサあるいはハイトセンサを用いているが、接地荷重を直接検出するセンサを設けた構成であってもよい。
10…エンジンECU、11…エンジン、20FL…左前輪、20FR…右前輪、20RL…左後輪、20RR…右後輪、30…ブレーキECU、31FL,31FR,31RL,31RR…摩擦ブレーキ機構、31a…ブレーキディスク、31b…ブレーキキャリパ、32…ブレーキアクチュエータ、52…アクセルセンサ、54…ブレーキセンサ、55FL,55FR,55RL,55RR…車輪速センサ、58FL,58FR,58RL,58RR…接地荷重センサ、60…CAN通信ライン、A…アクセル操作量、B…ブレーキ操作量、F…接地荷重、F1…事前加圧要否判定閾値、Px…事前加圧量、V…車速、V1…微低速判定閾値、V2…減圧開始閾値、X…物理量、X0…基準値、β…減圧勾配、ω…車輪速、ω0…スリップ判定用閾値。

Claims (1)

  1. ドライバーのアクセル操作によって駆動される複数の駆動輪を独立して制動可能なブレーキ装置と、
    複数の駆動輪の接地荷重をそれぞれ検出する接地荷重検出手段と、
    ドライバーのアクセル操作が行われていなく、かつ、車速が予め設定された微低速判定閾値を下回っているときに、前記駆動輪ごとに前記接地荷重が設定値よりも小さいか否かについて判定し、前記接地荷重が設定値よりも小さいと判定された駆動輪を対象車輪として、前記対象車輪に対して制動力を付与するように前記ブレーキ装置を制御する発進前制動力付与手段と、
    アクセル操作が行われたことが検出された後、車速が予め設定された解除開始閾値以上となったとき、前記対象車輪に付与していた制動力を解除するように前記ブレーキ装置を制御する発進時制動力解除手段と
    を備えた車両の制動力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023167165A1 (ja) * 2022-03-02 2023-09-07 三菱自動車工業株式会社 車両挙動制御装置

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