JP2004268846A - 走行速度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】降坂路走行時に違和感のない加減速を実現する。
【解決手段】比較的勾配の大きい降坂路を走行していることが検出されたら、設定走行速度Vcよりも大きな走行速度上限値Vcmax 及び当該走行速度上限値Vcmax より小さく且つ前記設定走行速度Vcより大きい走行速度下限値Vcmin を設定し、自車両走行速度Vが走行速度上限値Vcmax 以上となったら比較的減速度の大きい急制動を行い、自車両走行速度Vが走行速度下限値Vcmin 以下となったら制動を緩解除することにより、設定走行速度Vcよりも走行速度の大きい領域でポンピングブレーキを実現し、運転者の運転感覚或いは走行感覚に適合させる。
【選択図】 図4
【解決手段】比較的勾配の大きい降坂路を走行していることが検出されたら、設定走行速度Vcよりも大きな走行速度上限値Vcmax 及び当該走行速度上限値Vcmax より小さく且つ前記設定走行速度Vcより大きい走行速度下限値Vcmin を設定し、自車両走行速度Vが走行速度上限値Vcmax 以上となったら比較的減速度の大きい急制動を行い、自車両走行速度Vが走行速度下限値Vcmin 以下となったら制動を緩解除することにより、設定走行速度Vcよりも走行速度の大きい領域でポンピングブレーキを実現し、運転者の運転感覚或いは走行感覚に適合させる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自車両の走行速度を設定走行速度(目標走行速度)に一致させるように走行速度を制御する走行速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗員の設定した走行速度(目標走行速度又は設定走行速度)に応じて走行するようにした走行速度制御装置が提案されている。このような走行速度制御装置において、例えば下り坂の道路に進入する時点に合わせてエンジンの負荷を調整することにより、車両速度を一定にすることが提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−254957公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような現行の走行速度制御装置では、例えばエンジンブレーキが作用していても、自車両の走行速度が加速してしまうような、勾配の大きな降坂路を走行しているときに、自車両の走行速度を目標走行速度(設定走行速度)に一致する走行速度制御を行うと、通常の運転者の運転感覚、或いは走行感覚に適合せず、違和感がある。
本発明は、上記課題を解決するため、降坂路走行時に違和感のない走行速度制御が可能な走行速度制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の走行速度制御装置は、自車両が降坂路を走行していることが検出されたら、運転者によって設定された設定走行速度より大きな走行速度上限値及び当該走行速度上限より小さく且つ前記設定走行速度より大きな走行速度下限値に基づいて走行速度を制御することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の効果】
而して、本発明の車間距離制御装置によれば、自車両が降坂路を走行していることが検出されたら、運転者によって設定された設定走行速度より大きな走行速度上限値及び当該走行速度上限より小さく且つ前記設定走行速度より大きな走行速度下限値に基づいて走行速度を制御することにより、通常の運転者の運転感覚、或いは走行感覚に適合し、違和感がない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の走行速度制御装置を適用した先行車両追従走行制御装置付き車両の一実施形態を示すシステム構成図である。この車両は、後輪1RL、1RRが駆動輪、前輪1FL、1FRが従動輪となる後輪駆動車両であり、エンジン2の駆動トルクが自動変速機3を介して前記後輪1RL、1RRに伝達される。
【0008】
前記エンジン2の回転状態、トルク、出力等はエンジン制御装置11によって制御可能である。具体的には、スロットルバルブ開度、アイドルバルブ開度、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等を調整することによってエンジンの回転状態、トルク、出力等を制御することができる。
また、前記自動変速機3は変速機制御装置12によって制御可能である。具体的には、自動変速機3内のクラッチやブレーキに供給する作動流体圧を調整することにより、選択されるギヤ比を変更し、所望する減速比を得るようにすることができる。
【0009】
また、前記各車輪1FL〜1RRは、所謂ディスクブレーキを構成するホイールシリンダ4FL〜4RRを備えている。このホイールシリンダ4FL〜4RRは供給される制動流体圧によって各車輪1FL〜1RRに制動力を付与するものである。そして、各車輪1FL〜1RRに付与する制動力は制動流体圧制御装置13によって制御可能である。具体的には、例えば駆動力制御装置(TCS)のように制動流体圧を増圧したり、アンチスキッド制御装置(ABS)のように制動流体圧を減圧したりすることにより、各ホイールシリンダ4FL〜4RRへの制動流体圧を調整し、各車輪1FL〜1RRへの制動力を制御することができる。
【0010】
これらの制御装置は、何れも車両の走行状態を制御するものであり、結果的に自車両の加減速度、前後方向速度等を調整して、走行状態を制御することができる。
これらの制御装置は、勿論、単独でも作動可能であるが、全体機能としては車間距離制御や先行車両追従走行制御を含む自動走行制御装置10によって司られている。この自動走行制御装置10は、種々の演算処理を行って車両の走行状態を制御し、もって車間距離制御や先行車両追従走行制御等を行う。
【0011】
また、車両には、例えばレーザレーダやCCDカメラ等を備えて自車両の前方の状態、例えば走行車線の状態や先行車両の有無、或いは先行車両までの距離を検出する前方状態検出装置16や、各車輪1FL〜1RRの回転速度を検出する車輪速度センサ17、車両に発生する前後及び横加速度を検出する加速度センサ18、制動流体圧を検出する制動流体圧センサ19、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル開度センサ20を備えている。また、この車両には、所謂GPS(Global Positioning System )によって自車両の位置情報を検出するナビゲーションシステム7が備えられている。更に、この車両には、前記自動走行制御装置10による制御内容を乗員、特に運転者に提示するためのディスプレイ及びスピーカ23が備えられている。
【0012】
また、この車両には、運転者の手動入力によって自車両の走行状態を調整するための手動スイッチ9が備えられている。手動スイッチ9の詳細を図2に示す。図中、符号9aは車間距離制御及び先行車両追従走行制御を含む自動走行制御の起動スイッチ、9bは自動走行制御の解除スイッチ、9cは設定車間距離を入力する設定車間距離スイッチ、9dは設定走行速度を入力したり、設定走行速度を減速方向に変更するセット/コーストスイッチ、9eは自動走行制御解除後に、以前の設定走行速度を再入力したり、設定走行速度を加速方向に変更するレジューム/アクセラレートスイッチである。このうち、前記設定車間距離スイッチ9cは、具体的な設定車間距離を数値入力するようなものではなく、例えば現在の車間距離を大きくしたいとか、小さくしたいときに用いるもので、例えば自車両の走行速度に対して最も標準的な目標車間距離を“中”としたとき、それより設定車間距離を大きくする“長”とか、それより設定車間距離を小さくする“短”といった入力方法を採用している。但し、前記自動走行制御装置10内では、前記設定車間距離スイッチ9cによる設定車間距離入力を設定車間距離dcとして認識する。
【0013】
次に、前記自動走行制御装置10内で行われる車間距離制御の演算処理について図3のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた結果は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読込まれる。また、前述したエンジン制御装置11、変速機制御装置12、制動流体圧制御装置13とは随時通信を行い、必要な情報や命令は随時双方向に授受される。
【0014】
この演算処理では、まずステップS1で、前記加速度センサ18で検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、前記車輪速度センサ17で検出された車輪速度Vwj (j=FL〜RR)、前記アクセル開度センサ20で検出されたアクセル開度Acc、前記制動流体圧センサ19で検出された制動流体圧Pm、前記手動スイッチ9で設定されている設定走行速度Vc、前記ナビゲーションシステム7で検出された自車両位置情報、前記前方状態検出装置16で検出された先行車両との車間距離d、前記エンジン制御装置11で制御されているエンジン駆動トルクTwを読込む。
【0015】
次にステップS2に移行して、前記ステップS1で読込んだ車輪速度Vwj のうち、従動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の走行速度Vを算出する。
次にステップS3に移行して、前記図3の演算処理のステップS1で読込まれた前方状態検出装置16の先行車両有無情報から先行車両を検出しているか否かを判定し、先行車両を検出している場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS5に移行する。なお、先行車両が、自車両走行車線の遥か彼方にあるときは、後述する降坂路走行速度制御を適用すべきであるから、ここでは前記前方状態検出装置16で検出された自車両と先行車両との車間距離dが予め設定された比較的大きな所定値以上であるときに先行車両がないものと判定する。
【0016】
前記ステップS5では、自車両が降坂路を走行中であるか否かを判定し、自車両が降坂路を走行中である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。なお、自車両降坂路走行中の判定は、例えば後述する走行速度制御でエンジントルクがない状態、実質的にはエンジンブレーキトルクが作用している状態で、更に自車両の走行速度が増速傾向にあるときに、自車両が降坂路を走行していると判定する。従って、この降坂路走行判定は、ある程度、勾配の大きい降坂路を走行していることを検出する。
【0017】
前記ステップS4では、前記ステップS1で読込んだ先行車両との車間距離の今回値d(n) と前回値d(n−1) との差分値を前記所定サンプリング時間ΔTで除して、自車両と先行車両との相対速度Vrを算出してからステップS7に移行する。
前記ステップS7では、前記ステップS2で算出した自車両の走行速度Vに応じた目標車間距離drを算出してからステップS8に移行する。具体的には、自車両の走行速度Vに所定の制御ゲインを乗じ、それに所定の制御定数を和して求める。なお、この制御ゲイン及び制御定数は、前記手動スイッチ9の設定車間距離スイッチ9cで入力された運転者の要求する設定車間距離に応じて設定され、例えば自車両と先行車両との車間距離を小さくしたい要求のあるときには制御ゲインを小さくし、車間距離を大きくしたい要求のあるときには制御ゲインを大きくする。
【0018】
前記ステップS8では、下記1式に従って、目標走行速度Vsを算出してからステップS9に移行する。具体的には、まず前記ステップS1で読込んだ実際の車間距離dと前記ステップS7で算出した目標車間距離drとの差分値に車間距離フィードバック制御ゲインKp を乗じた値と、前記ステップS4で算出した相対速度Vrに走行速度フィードバック制御ゲインKd を乗じた値と、自車両の走行速度Vとの加算値から基準目標走行速度Vs0 を算出し、この基準目標走行速度Vs0 と前記ステップS1で読込んだ設定走行速度Vcとのうち、何れか小さい方を目標走行速度Vsに設定する。なお、式中のminは最小値選出を示す。
【0019】
【数1】
【0020】
前記ステップS9では、前記ステップS8で算出した目標走行速度Vs及び前記ステップS2で算出した自車両の走行速度Vの差分値から、例えばPID(比例ー微分ー積分)制御による目標加速度Xgsを算出してからステップS10に移行する。
前記ステップS10では、例えば前記ステップS9で算出した目標加速度Xgsが負である場合、つまり減速を必要とする場合に、当該目標加速度Xgsにブレーキ諸元係数を乗じた値と、前記ステップS1で読込んだ制動流体圧Pmにブレーキ諸元係数を乗じた値とのうち、何れか大きい方を目標制動流体圧Pwsj として算出してからステップS11に移行する。なお、ブレーキ諸元係数とは、例えば各車輪のディスクローターパッド間摩擦係数、ホイールシリンダ断面積、ディスクロータ有効径、タイヤ転がり動半径等によって決まる係数である。
【0021】
前記ステップS11では、前記ステップS9で算出した目標加速度Xgsが正である場合、つまり加速を必要とする場合に、当該目標加速度Xgsに駆動系諸元変数を乗じた値と、前記ステップS1で読込んだアクセル開度Accに駆動系諸元変数を乗じた値とのうち、何れか大きい方を目標駆動トルクTesとして算出してからステップS12に移行する。なお、駆動系諸元変数とは、例えば歯車慣性、減速比、伝達効率、エンジン特性等によって決まる変数である。
【0022】
一方、前記ステップS6では、後述する図4の演算処理による降坂路走行速度制御を行ってから前記ステップS12に移行する。
そして、前記ステップS12では、前記ステップS10で算出した目標制動流体圧Pwsj やステップS11で算出した目標駆動トルクTes、或いは前記ステップS6で算出設定された各駆動信号を前記制動流体圧制御装置13やエンジン制御装置11、変速機制御装置12に向けて出力すると共に、目標車間距離制御の情報提示信号を前記ディスプレイ及びスピーカ23に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。このディスプレイ及びスピーカ23による情報提示は、例えば目標車間距離を変更制御するときには、その前に、例えば「車間距離を広げます」といった内容を音声や表示によって提示したりすることが挙げられる。
【0023】
この演算処理によれば、設定された目標走行速度Vsと自車両の走行速度Vとの差から目標加速度Xgsを算出し、その目標加速度Xgsを達成するための目標制動流体圧Pwsj 及び目標駆動トルクTesを前記制動流体圧制御装置13やエンジン制御装置11、変速機制御装置12に向けて出力すると共に、目標車間距離制御の情報提示信号を前記ディスプレイ及びスピーカ23に向けて出力する。
次に、前記図3の演算処理のステップS6で行われる図4の演算処理について説明する。この演算処理では、まずステップS61で、例えばフューエルカット(燃料供給停止)等によりエンジン加速禁止処理を行う。
【0024】
次にステップS62に移行して、前記図3の演算処理のステップS1で読込まれた設定走行速度Vcに対し、走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin を設定する。この走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin は何れも前記設定走行速度Vcよりも大きく且つ走行速度上限値Vcmax を走行速度下限値Vcmin より大きく設定する。この走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin は、比較的勾配の大きな降坂路において、この二つの走行速度閾値の間で自車両の走行速度を制御するためのものであり、具体的には前記自車両走行速度Vが走行速度上限値Vcmax 以上になったら制動を行い、自車両走行速度Vが走行速度下限値Vcmin 以下になったら制動を解除する。この走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin の設定方法については種々の方法が挙げられるが、ここでは自車両の重量とエンジンブレーキトルクとに基づいて、例えば自車両重量が大きいほど、自車両走行速度が増大し易いので走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin を小さく設定し、エンジンブレーキトルクが大きいほど、自車両走行速度が増大しにくいので走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin を大きく設定する。また、このような複雑な設定方法に代えて、前記走行速度上限値Vcmax は、前記設定走行速度Vcに予め設定された比較的大きな所定値、例えば8km/hを加算した値とし、走行速度下限値Vcmin は、前記設定走行速度Vcに予め設定された比較的小さな所定値、例えば2km/hを加算した値とするようにしてもよい。
【0025】
次にステップS63に移行して、制動フラグFONが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該制動フラグFONが“0”のリセット状態である場合にはステップS64に移行し、そうでない場合にはステップS65に移行する。
前記ステップS64では、前記図3の演算処理のステップS2で算出された自車両走行速度Vが前記走行速度上限値Vcmax 以上であるか否かを判定し、当該自車両走行速度Vが当該走行速度上限値Vcmax 以上である場合には前記ステップ65に移行し、そうでない場合にはステップS67に移行する。
【0026】
前記ステップS65では、例えば0.25G程度に設定された所定減速度で制動を行う処理を行ってからステップS66に移行する。具体的には、前記所定減速度が達成されるように前記制動流体圧制御装置13に出力する指令信号を創成する。
前記ステップS66では、前記制動フラグFONを“1”のセット状態とし、制動解除フラグFOFF を“0”のリセット状態としてから前記ステップS67に移行する。
【0027】
前記ステップS67では、前記制動解除フラグFOFF が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該正道解除フラグFOFF が“0”のリセット状態である場合にはステップS68に移行し、そうでない場合にはステップS69に移行する。
前記ステップS68では、前記図3の演算処理のステップS2で算出された自車両走行速度Vが前記走行速度下限値Vcmin 以下であるか否かを判定し、当該自車両走行速度Vが当該走行速度下限値Vcmin 以下である場合には前記ステップ69に移行し、そうでない場合にはステップS71に移行する。
【0028】
前記ステップS69では、所定解除速度で制動を解除する処理を行ってから前記ステップS70に移行する。具体的には、各車輪のホイールシリンダ4FL〜4RRへの制動流体圧を予め設定された所定の圧力ずつ抜く、所謂一定圧抜き、或いは徐々抜きを行う指令信号を創成する。
前記ステップS70では、前記制動フラグFONを“0”のリセット状態とし、制動解除フラグFOFF を“1”のセット状態としてから前記ステップS71に移行する。
【0029】
前記ステップS71では、例えば前記制動流体圧制御装置13でモニタされている各ホイールシリンダ4FL〜4RRの制動流体圧Pwj が“0”であるか否かなどを用いて非制動状態にあるか否かを判定し、非制動状態にある場合にはステップS72に移行し、そうでない場合には前記図3の演算処理のステップS12に移行する。
【0030】
前記ステップS72では、前記制動フラグFON及び制動解除フラグFOFF を共に“0”のリセット状態としてから前記図3の演算処理のステップS12に移行する。
この演算処理によれば、設定走行速度Vcに対して、降坂路における自車両走行速度Vの制御上限値となる走行速度上限値Vcmax 及び制御下限値となる走行速度下限値Vcmin が設定され、自車両走行速度Vが走行速度上限値Vcmax 以上になると所定減速度を達成する制動が行われる。この所定減速度は、例えば0.25Gという比較的大きな減速度であり、その結果、車体速度、つまり自車両走行速度Vは比較的速やかに減速する。そして、自車両走行速度Vが前記走行速度下限値Vcmin 以下になると制動を徐々に解除する。
【0031】
一般に、本実施形態のような設定走行速度制御のない車両の場合、比較的勾配の大きい降坂路では、運転者は想定している走行速度より自車両の走行速度が大きくなったからといって直ぐにブレーキペダルを踏み込んだりしない。そして、重力の影響によって自車両走行速度が想定走行速度より比較的大きくなった時点で、比較的大きな踏力でブレーキペダルを踏み込む。そして、自車両走行速度が想定走行速度近くまで減速したら、ブレーキペダルを緩やかに戻す。つまり、想定走行速度よりも自車両走行速度の大きい領域で、運転者は所謂ポンピングブレーキ操作を繰り返すものである。
【0032】
本実施形態の降坂路走行速度制御によれば、前述のように自車両走行速度Vが、設定走行速度Vcより大きな走行速度上限値Vcmax 以上となったときに比較的大きな減速度の制動を行い、自車両走行速度Vが、設定走行速度Vcより大きく且つ前記走行速度上限値Vcmax より小さな走行速度下限値Vcmin 以下となったら制動を徐々に解除する、所謂ポンピングブレーキ操作を設定走行速度より大きな走行速度領域で繰り返すため、運転者の運転感覚、或いは走行感覚に適合し、違和感がない。
【0033】
図5は、何れも先行車両のない状況で、時刻t00まで平坦路を走行し、時刻t00以後、比較的勾配の大きい降坂路を走行したときの前記図3及び図4の演算処理の作用を示すタイミングチャートである。先行車両のない状況で平坦路を走行している時刻t00までは、前記図3の演算処理による設定走行速度達成制御により、自車両走行速度Vはほぼ設定走行速度Vcの近傍に制御されている。しかしながら、時刻t00で降坂路に移行すると、例えばエンジントルク禁止処理を行っても自車両走行速度Vは次第に増速する。これにより、時刻t01で自車両が降坂路を走行していることが検出されると、前記図4の演算処理による降坂路走行速度制御が開始される。
【0034】
その後、時刻t02で自車両走行速度Vcが前記走行速度上限値Vcmax 以上になると前記所定減速度による制動が行われる。そのため、自車両走行速度Vcはその後も少し増速するが、やがて減速に転じ、比較的大きな減速度で速やかに減速する。従って、時刻t03で自車両走行速度Vcは前記走行速度下限値Vcmin 以下となって徐々抜きによる制動解除が行われるが、その後も自車両走行速度Vcは少し減速し、結果的に設定走行速度Vc或いはその近傍に到達する。その後、自車両走行速度Vcは、重力によって増速し、また時刻t04で前記走行速度上限値Vcmax 以上となって所定減速度による制動が再開される。
【0035】
このように本実施形態の降坂路走行速度制御によれば、自車両走行速度Vcが走行速度上限値Vcmax 以上となったときに比較的大きな減速度による制動を行い、自車両走行速度Vcが走行速度下限値Vcmin 以下となったときに制動を徐々抜きする、つまり制動を緩解除することにより、自車両走行速度Vcを設定走行速度Vcの近傍まで減速することが可能となり、その点でも運転者の運転間隔、或いは走行感覚に適合し、違和感がない。
【0036】
以上より、前記図3の演算処理のステップS5を除く全体が本発明の走行速度制御手段を構成し、以下同様に、前記図3の演算処理のステップS5が降坂路走行検出手段を構成し、前記図3の演算処理のステップS6及び図4の演算処理全体が降坂路走行速度制御手段を構成している。
なお、前記実施形態では、先行車両との車間距離制御を行うことができる走行速度制御装置について説明したが、本発明の走行速度制御装置は、必ずしも先行車両との車間距離制御を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走行速度制御装置を備えた先行車両追従走行制御付き車両の一例を示す車両構成図である。
【図2】図1の手動スイッチの説明図である。
【図3】図1の自動走行制御装置で行われる走行速度制御のための演算処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の演算処理で行われるサブルーチンの演算処理を示すフローチャートである。
【図5】図3及び図4の演算処理の作用を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RRは車輪
2はエンジン
3は自動変速機
4FL〜4RRはホイールシリンダ
7はナビゲーションシステム
9は手動スイッチ
10は自動走行制御装置
11はエンジン制御装置
12は変速機制御装置
13は制動流体圧制御装置
16は前方状態検出装置
17は車輪速センサ
18は加速度センサ
19は制動流体圧センサ
20はアクセル開度センサ
21はブレーキペダル
22はマスタシリンダ
23はディスプレイ及びスピーカ
【発明の属する技術分野】
この発明は、自車両の走行速度を設定走行速度(目標走行速度)に一致させるように走行速度を制御する走行速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗員の設定した走行速度(目標走行速度又は設定走行速度)に応じて走行するようにした走行速度制御装置が提案されている。このような走行速度制御装置において、例えば下り坂の道路に進入する時点に合わせてエンジンの負荷を調整することにより、車両速度を一定にすることが提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−254957公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような現行の走行速度制御装置では、例えばエンジンブレーキが作用していても、自車両の走行速度が加速してしまうような、勾配の大きな降坂路を走行しているときに、自車両の走行速度を目標走行速度(設定走行速度)に一致する走行速度制御を行うと、通常の運転者の運転感覚、或いは走行感覚に適合せず、違和感がある。
本発明は、上記課題を解決するため、降坂路走行時に違和感のない走行速度制御が可能な走行速度制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の走行速度制御装置は、自車両が降坂路を走行していることが検出されたら、運転者によって設定された設定走行速度より大きな走行速度上限値及び当該走行速度上限より小さく且つ前記設定走行速度より大きな走行速度下限値に基づいて走行速度を制御することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の効果】
而して、本発明の車間距離制御装置によれば、自車両が降坂路を走行していることが検出されたら、運転者によって設定された設定走行速度より大きな走行速度上限値及び当該走行速度上限より小さく且つ前記設定走行速度より大きな走行速度下限値に基づいて走行速度を制御することにより、通常の運転者の運転感覚、或いは走行感覚に適合し、違和感がない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の走行速度制御装置を適用した先行車両追従走行制御装置付き車両の一実施形態を示すシステム構成図である。この車両は、後輪1RL、1RRが駆動輪、前輪1FL、1FRが従動輪となる後輪駆動車両であり、エンジン2の駆動トルクが自動変速機3を介して前記後輪1RL、1RRに伝達される。
【0008】
前記エンジン2の回転状態、トルク、出力等はエンジン制御装置11によって制御可能である。具体的には、スロットルバルブ開度、アイドルバルブ開度、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等を調整することによってエンジンの回転状態、トルク、出力等を制御することができる。
また、前記自動変速機3は変速機制御装置12によって制御可能である。具体的には、自動変速機3内のクラッチやブレーキに供給する作動流体圧を調整することにより、選択されるギヤ比を変更し、所望する減速比を得るようにすることができる。
【0009】
また、前記各車輪1FL〜1RRは、所謂ディスクブレーキを構成するホイールシリンダ4FL〜4RRを備えている。このホイールシリンダ4FL〜4RRは供給される制動流体圧によって各車輪1FL〜1RRに制動力を付与するものである。そして、各車輪1FL〜1RRに付与する制動力は制動流体圧制御装置13によって制御可能である。具体的には、例えば駆動力制御装置(TCS)のように制動流体圧を増圧したり、アンチスキッド制御装置(ABS)のように制動流体圧を減圧したりすることにより、各ホイールシリンダ4FL〜4RRへの制動流体圧を調整し、各車輪1FL〜1RRへの制動力を制御することができる。
【0010】
これらの制御装置は、何れも車両の走行状態を制御するものであり、結果的に自車両の加減速度、前後方向速度等を調整して、走行状態を制御することができる。
これらの制御装置は、勿論、単独でも作動可能であるが、全体機能としては車間距離制御や先行車両追従走行制御を含む自動走行制御装置10によって司られている。この自動走行制御装置10は、種々の演算処理を行って車両の走行状態を制御し、もって車間距離制御や先行車両追従走行制御等を行う。
【0011】
また、車両には、例えばレーザレーダやCCDカメラ等を備えて自車両の前方の状態、例えば走行車線の状態や先行車両の有無、或いは先行車両までの距離を検出する前方状態検出装置16や、各車輪1FL〜1RRの回転速度を検出する車輪速度センサ17、車両に発生する前後及び横加速度を検出する加速度センサ18、制動流体圧を検出する制動流体圧センサ19、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル開度センサ20を備えている。また、この車両には、所謂GPS(Global Positioning System )によって自車両の位置情報を検出するナビゲーションシステム7が備えられている。更に、この車両には、前記自動走行制御装置10による制御内容を乗員、特に運転者に提示するためのディスプレイ及びスピーカ23が備えられている。
【0012】
また、この車両には、運転者の手動入力によって自車両の走行状態を調整するための手動スイッチ9が備えられている。手動スイッチ9の詳細を図2に示す。図中、符号9aは車間距離制御及び先行車両追従走行制御を含む自動走行制御の起動スイッチ、9bは自動走行制御の解除スイッチ、9cは設定車間距離を入力する設定車間距離スイッチ、9dは設定走行速度を入力したり、設定走行速度を減速方向に変更するセット/コーストスイッチ、9eは自動走行制御解除後に、以前の設定走行速度を再入力したり、設定走行速度を加速方向に変更するレジューム/アクセラレートスイッチである。このうち、前記設定車間距離スイッチ9cは、具体的な設定車間距離を数値入力するようなものではなく、例えば現在の車間距離を大きくしたいとか、小さくしたいときに用いるもので、例えば自車両の走行速度に対して最も標準的な目標車間距離を“中”としたとき、それより設定車間距離を大きくする“長”とか、それより設定車間距離を小さくする“短”といった入力方法を採用している。但し、前記自動走行制御装置10内では、前記設定車間距離スイッチ9cによる設定車間距離入力を設定車間距離dcとして認識する。
【0013】
次に、前記自動走行制御装置10内で行われる車間距離制御の演算処理について図3のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、例えば10msec. 程度に設定された所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた結果は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読込まれる。また、前述したエンジン制御装置11、変速機制御装置12、制動流体圧制御装置13とは随時通信を行い、必要な情報や命令は随時双方向に授受される。
【0014】
この演算処理では、まずステップS1で、前記加速度センサ18で検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、前記車輪速度センサ17で検出された車輪速度Vwj (j=FL〜RR)、前記アクセル開度センサ20で検出されたアクセル開度Acc、前記制動流体圧センサ19で検出された制動流体圧Pm、前記手動スイッチ9で設定されている設定走行速度Vc、前記ナビゲーションシステム7で検出された自車両位置情報、前記前方状態検出装置16で検出された先行車両との車間距離d、前記エンジン制御装置11で制御されているエンジン駆動トルクTwを読込む。
【0015】
次にステップS2に移行して、前記ステップS1で読込んだ車輪速度Vwj のうち、従動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の走行速度Vを算出する。
次にステップS3に移行して、前記図3の演算処理のステップS1で読込まれた前方状態検出装置16の先行車両有無情報から先行車両を検出しているか否かを判定し、先行車両を検出している場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS5に移行する。なお、先行車両が、自車両走行車線の遥か彼方にあるときは、後述する降坂路走行速度制御を適用すべきであるから、ここでは前記前方状態検出装置16で検出された自車両と先行車両との車間距離dが予め設定された比較的大きな所定値以上であるときに先行車両がないものと判定する。
【0016】
前記ステップS5では、自車両が降坂路を走行中であるか否かを判定し、自車両が降坂路を走行中である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合には前記ステップS4に移行する。なお、自車両降坂路走行中の判定は、例えば後述する走行速度制御でエンジントルクがない状態、実質的にはエンジンブレーキトルクが作用している状態で、更に自車両の走行速度が増速傾向にあるときに、自車両が降坂路を走行していると判定する。従って、この降坂路走行判定は、ある程度、勾配の大きい降坂路を走行していることを検出する。
【0017】
前記ステップS4では、前記ステップS1で読込んだ先行車両との車間距離の今回値d(n) と前回値d(n−1) との差分値を前記所定サンプリング時間ΔTで除して、自車両と先行車両との相対速度Vrを算出してからステップS7に移行する。
前記ステップS7では、前記ステップS2で算出した自車両の走行速度Vに応じた目標車間距離drを算出してからステップS8に移行する。具体的には、自車両の走行速度Vに所定の制御ゲインを乗じ、それに所定の制御定数を和して求める。なお、この制御ゲイン及び制御定数は、前記手動スイッチ9の設定車間距離スイッチ9cで入力された運転者の要求する設定車間距離に応じて設定され、例えば自車両と先行車両との車間距離を小さくしたい要求のあるときには制御ゲインを小さくし、車間距離を大きくしたい要求のあるときには制御ゲインを大きくする。
【0018】
前記ステップS8では、下記1式に従って、目標走行速度Vsを算出してからステップS9に移行する。具体的には、まず前記ステップS1で読込んだ実際の車間距離dと前記ステップS7で算出した目標車間距離drとの差分値に車間距離フィードバック制御ゲインKp を乗じた値と、前記ステップS4で算出した相対速度Vrに走行速度フィードバック制御ゲインKd を乗じた値と、自車両の走行速度Vとの加算値から基準目標走行速度Vs0 を算出し、この基準目標走行速度Vs0 と前記ステップS1で読込んだ設定走行速度Vcとのうち、何れか小さい方を目標走行速度Vsに設定する。なお、式中のminは最小値選出を示す。
【0019】
【数1】
【0020】
前記ステップS9では、前記ステップS8で算出した目標走行速度Vs及び前記ステップS2で算出した自車両の走行速度Vの差分値から、例えばPID(比例ー微分ー積分)制御による目標加速度Xgsを算出してからステップS10に移行する。
前記ステップS10では、例えば前記ステップS9で算出した目標加速度Xgsが負である場合、つまり減速を必要とする場合に、当該目標加速度Xgsにブレーキ諸元係数を乗じた値と、前記ステップS1で読込んだ制動流体圧Pmにブレーキ諸元係数を乗じた値とのうち、何れか大きい方を目標制動流体圧Pwsj として算出してからステップS11に移行する。なお、ブレーキ諸元係数とは、例えば各車輪のディスクローターパッド間摩擦係数、ホイールシリンダ断面積、ディスクロータ有効径、タイヤ転がり動半径等によって決まる係数である。
【0021】
前記ステップS11では、前記ステップS9で算出した目標加速度Xgsが正である場合、つまり加速を必要とする場合に、当該目標加速度Xgsに駆動系諸元変数を乗じた値と、前記ステップS1で読込んだアクセル開度Accに駆動系諸元変数を乗じた値とのうち、何れか大きい方を目標駆動トルクTesとして算出してからステップS12に移行する。なお、駆動系諸元変数とは、例えば歯車慣性、減速比、伝達効率、エンジン特性等によって決まる変数である。
【0022】
一方、前記ステップS6では、後述する図4の演算処理による降坂路走行速度制御を行ってから前記ステップS12に移行する。
そして、前記ステップS12では、前記ステップS10で算出した目標制動流体圧Pwsj やステップS11で算出した目標駆動トルクTes、或いは前記ステップS6で算出設定された各駆動信号を前記制動流体圧制御装置13やエンジン制御装置11、変速機制御装置12に向けて出力すると共に、目標車間距離制御の情報提示信号を前記ディスプレイ及びスピーカ23に向けて出力してからメインプログラムに復帰する。このディスプレイ及びスピーカ23による情報提示は、例えば目標車間距離を変更制御するときには、その前に、例えば「車間距離を広げます」といった内容を音声や表示によって提示したりすることが挙げられる。
【0023】
この演算処理によれば、設定された目標走行速度Vsと自車両の走行速度Vとの差から目標加速度Xgsを算出し、その目標加速度Xgsを達成するための目標制動流体圧Pwsj 及び目標駆動トルクTesを前記制動流体圧制御装置13やエンジン制御装置11、変速機制御装置12に向けて出力すると共に、目標車間距離制御の情報提示信号を前記ディスプレイ及びスピーカ23に向けて出力する。
次に、前記図3の演算処理のステップS6で行われる図4の演算処理について説明する。この演算処理では、まずステップS61で、例えばフューエルカット(燃料供給停止)等によりエンジン加速禁止処理を行う。
【0024】
次にステップS62に移行して、前記図3の演算処理のステップS1で読込まれた設定走行速度Vcに対し、走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin を設定する。この走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin は何れも前記設定走行速度Vcよりも大きく且つ走行速度上限値Vcmax を走行速度下限値Vcmin より大きく設定する。この走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin は、比較的勾配の大きな降坂路において、この二つの走行速度閾値の間で自車両の走行速度を制御するためのものであり、具体的には前記自車両走行速度Vが走行速度上限値Vcmax 以上になったら制動を行い、自車両走行速度Vが走行速度下限値Vcmin 以下になったら制動を解除する。この走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin の設定方法については種々の方法が挙げられるが、ここでは自車両の重量とエンジンブレーキトルクとに基づいて、例えば自車両重量が大きいほど、自車両走行速度が増大し易いので走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin を小さく設定し、エンジンブレーキトルクが大きいほど、自車両走行速度が増大しにくいので走行速度上限値Vcmax 及び走行速度下限値Vcmin を大きく設定する。また、このような複雑な設定方法に代えて、前記走行速度上限値Vcmax は、前記設定走行速度Vcに予め設定された比較的大きな所定値、例えば8km/hを加算した値とし、走行速度下限値Vcmin は、前記設定走行速度Vcに予め設定された比較的小さな所定値、例えば2km/hを加算した値とするようにしてもよい。
【0025】
次にステップS63に移行して、制動フラグFONが“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該制動フラグFONが“0”のリセット状態である場合にはステップS64に移行し、そうでない場合にはステップS65に移行する。
前記ステップS64では、前記図3の演算処理のステップS2で算出された自車両走行速度Vが前記走行速度上限値Vcmax 以上であるか否かを判定し、当該自車両走行速度Vが当該走行速度上限値Vcmax 以上である場合には前記ステップ65に移行し、そうでない場合にはステップS67に移行する。
【0026】
前記ステップS65では、例えば0.25G程度に設定された所定減速度で制動を行う処理を行ってからステップS66に移行する。具体的には、前記所定減速度が達成されるように前記制動流体圧制御装置13に出力する指令信号を創成する。
前記ステップS66では、前記制動フラグFONを“1”のセット状態とし、制動解除フラグFOFF を“0”のリセット状態としてから前記ステップS67に移行する。
【0027】
前記ステップS67では、前記制動解除フラグFOFF が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該正道解除フラグFOFF が“0”のリセット状態である場合にはステップS68に移行し、そうでない場合にはステップS69に移行する。
前記ステップS68では、前記図3の演算処理のステップS2で算出された自車両走行速度Vが前記走行速度下限値Vcmin 以下であるか否かを判定し、当該自車両走行速度Vが当該走行速度下限値Vcmin 以下である場合には前記ステップ69に移行し、そうでない場合にはステップS71に移行する。
【0028】
前記ステップS69では、所定解除速度で制動を解除する処理を行ってから前記ステップS70に移行する。具体的には、各車輪のホイールシリンダ4FL〜4RRへの制動流体圧を予め設定された所定の圧力ずつ抜く、所謂一定圧抜き、或いは徐々抜きを行う指令信号を創成する。
前記ステップS70では、前記制動フラグFONを“0”のリセット状態とし、制動解除フラグFOFF を“1”のセット状態としてから前記ステップS71に移行する。
【0029】
前記ステップS71では、例えば前記制動流体圧制御装置13でモニタされている各ホイールシリンダ4FL〜4RRの制動流体圧Pwj が“0”であるか否かなどを用いて非制動状態にあるか否かを判定し、非制動状態にある場合にはステップS72に移行し、そうでない場合には前記図3の演算処理のステップS12に移行する。
【0030】
前記ステップS72では、前記制動フラグFON及び制動解除フラグFOFF を共に“0”のリセット状態としてから前記図3の演算処理のステップS12に移行する。
この演算処理によれば、設定走行速度Vcに対して、降坂路における自車両走行速度Vの制御上限値となる走行速度上限値Vcmax 及び制御下限値となる走行速度下限値Vcmin が設定され、自車両走行速度Vが走行速度上限値Vcmax 以上になると所定減速度を達成する制動が行われる。この所定減速度は、例えば0.25Gという比較的大きな減速度であり、その結果、車体速度、つまり自車両走行速度Vは比較的速やかに減速する。そして、自車両走行速度Vが前記走行速度下限値Vcmin 以下になると制動を徐々に解除する。
【0031】
一般に、本実施形態のような設定走行速度制御のない車両の場合、比較的勾配の大きい降坂路では、運転者は想定している走行速度より自車両の走行速度が大きくなったからといって直ぐにブレーキペダルを踏み込んだりしない。そして、重力の影響によって自車両走行速度が想定走行速度より比較的大きくなった時点で、比較的大きな踏力でブレーキペダルを踏み込む。そして、自車両走行速度が想定走行速度近くまで減速したら、ブレーキペダルを緩やかに戻す。つまり、想定走行速度よりも自車両走行速度の大きい領域で、運転者は所謂ポンピングブレーキ操作を繰り返すものである。
【0032】
本実施形態の降坂路走行速度制御によれば、前述のように自車両走行速度Vが、設定走行速度Vcより大きな走行速度上限値Vcmax 以上となったときに比較的大きな減速度の制動を行い、自車両走行速度Vが、設定走行速度Vcより大きく且つ前記走行速度上限値Vcmax より小さな走行速度下限値Vcmin 以下となったら制動を徐々に解除する、所謂ポンピングブレーキ操作を設定走行速度より大きな走行速度領域で繰り返すため、運転者の運転感覚、或いは走行感覚に適合し、違和感がない。
【0033】
図5は、何れも先行車両のない状況で、時刻t00まで平坦路を走行し、時刻t00以後、比較的勾配の大きい降坂路を走行したときの前記図3及び図4の演算処理の作用を示すタイミングチャートである。先行車両のない状況で平坦路を走行している時刻t00までは、前記図3の演算処理による設定走行速度達成制御により、自車両走行速度Vはほぼ設定走行速度Vcの近傍に制御されている。しかしながら、時刻t00で降坂路に移行すると、例えばエンジントルク禁止処理を行っても自車両走行速度Vは次第に増速する。これにより、時刻t01で自車両が降坂路を走行していることが検出されると、前記図4の演算処理による降坂路走行速度制御が開始される。
【0034】
その後、時刻t02で自車両走行速度Vcが前記走行速度上限値Vcmax 以上になると前記所定減速度による制動が行われる。そのため、自車両走行速度Vcはその後も少し増速するが、やがて減速に転じ、比較的大きな減速度で速やかに減速する。従って、時刻t03で自車両走行速度Vcは前記走行速度下限値Vcmin 以下となって徐々抜きによる制動解除が行われるが、その後も自車両走行速度Vcは少し減速し、結果的に設定走行速度Vc或いはその近傍に到達する。その後、自車両走行速度Vcは、重力によって増速し、また時刻t04で前記走行速度上限値Vcmax 以上となって所定減速度による制動が再開される。
【0035】
このように本実施形態の降坂路走行速度制御によれば、自車両走行速度Vcが走行速度上限値Vcmax 以上となったときに比較的大きな減速度による制動を行い、自車両走行速度Vcが走行速度下限値Vcmin 以下となったときに制動を徐々抜きする、つまり制動を緩解除することにより、自車両走行速度Vcを設定走行速度Vcの近傍まで減速することが可能となり、その点でも運転者の運転間隔、或いは走行感覚に適合し、違和感がない。
【0036】
以上より、前記図3の演算処理のステップS5を除く全体が本発明の走行速度制御手段を構成し、以下同様に、前記図3の演算処理のステップS5が降坂路走行検出手段を構成し、前記図3の演算処理のステップS6及び図4の演算処理全体が降坂路走行速度制御手段を構成している。
なお、前記実施形態では、先行車両との車間距離制御を行うことができる走行速度制御装置について説明したが、本発明の走行速度制御装置は、必ずしも先行車両との車間距離制御を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走行速度制御装置を備えた先行車両追従走行制御付き車両の一例を示す車両構成図である。
【図2】図1の手動スイッチの説明図である。
【図3】図1の自動走行制御装置で行われる走行速度制御のための演算処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の演算処理で行われるサブルーチンの演算処理を示すフローチャートである。
【図5】図3及び図4の演算処理の作用を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RRは車輪
2はエンジン
3は自動変速機
4FL〜4RRはホイールシリンダ
7はナビゲーションシステム
9は手動スイッチ
10は自動走行制御装置
11はエンジン制御装置
12は変速機制御装置
13は制動流体圧制御装置
16は前方状態検出装置
17は車輪速センサ
18は加速度センサ
19は制動流体圧センサ
20はアクセル開度センサ
21はブレーキペダル
22はマスタシリンダ
23はディスプレイ及びスピーカ
Claims (6)
- 降坂路走行中は、運転者が設定した設定走行速度より大きな走行速度上限値と、当該走行速度上限値より小さく且つ前記設定走行速度より大きな走行速度下限値とに基づいて自車両の走行速度を制御することを特徴とする走行速度制御装置。
- 自車両の走行速度を運転者が設定した設定走行速度に一致するように制御する走行速度制御手段と、自車両が降坂路を走行していることを検出する降坂路走行検出手段とを備え、前記走行速度制御手段は、前記降坂路走行検出手段で自車両が降坂路を走行していることを検出したときには、前記運転者が設定した設定走行速度より大きな走行速度上限値及び当該走行速度上限値より小さく且つ前記設定走行速度より大きな走行速度下限値に基づいて自車両の走行速度を制御する降坂路走行速度制御手段を備えたことを特徴とする走行速度制御装置。
- 前記降坂路走行速度制御手段は、前記自車両の走行速度が前記走行速度上限値以上になったら制動を行うことを特徴とする請求項2に記載の走行速度制御装置。
- 前記自車両の走行速度が前記走行速度上限値以上になって行う制動は予め設定された大きな減速度の急制動であることを特徴とする請求項3に記載の走行速度制御装置。
- 前記降坂路走行速度制御手段は、前記自車両の走行速度が前記走行速度下限値以下になったら制動を解除することを特徴とする請求項3又は4に記載の走行速度制御装置。
- 前記自車両の走行速度が前記走行速度下限値以下になって行う制動解除は制動を緩やかに解除する緩解除であることを特徴とする請求項5に記載の走行速度制御装置。
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