電動補助自転車の駆動ユニットの小型化のために、駆動ユニットのハウジング内に収納される部品の配置形態に様々な工夫が本願発明者らによってなされてきた。ハウジングには、例えば、モータ、クランク軸、モータの回転を出力軸へ伝えるギヤ、モータを制御する電子部品を実装する制御基板等が収納される。これらの配置をコンパクトにするため、駆動ユニット内のモータ及びギヤ等の部品及びクランク軸の相対位置関係を工夫することにより駆動ユニットをコンパクト化することが考えられる。発明者らは、一つの方法として、モータのモータ軸、ギヤ軸及びクランク軸のうち2つの軸の間に制御基板を配置することで、ハウジング内に部品を効率よく配置でき、駆動ユニットを小型できることに想到した。
しかし、2つの軸の間に配置される制御基板が、軸間距離を小さくすることの妨げとなる場合がある。ここで、制御基板に実装される電子部品の数或いは面積を大幅に減らすことは難しい。そのため、制御基板の面積を小さくすることには限界がある。また、2つの軸の間に制御基板の面を軸に平行な向きにして配置することは難しい。軸間には、駆動力を伝えるための歯車等の噛み合い部分が配置されるためである。そこで、制御基板の面を矩形でない形状として、制御基板の面積を減らさずに、ハウジング内の空間に効率的に配置することが考えられる。しかし、製造工程における歩留まり性の観点からは、制御基板を長方形でない形状にすることは好ましくない。
そこで、本願発明者らは、電動補助自転車の駆動ユニットにおいて、歩留まり性を確保しつつ小型化を図ることができる構成を見出した。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態による駆動ユニット及び電動補助自転車について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。なお、以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、サドル(シート24)に着座し且つハンドル23を握った状態の運転者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。
<電動補助自転車の全体構成例>
図1は、実施の形態による電動補助自転車1を示す右側面図である。図2は、実施の形態による電動補助自転車1の駆動ユニット40及び従動スプロケット45を示す右側面図である。
図1に示すように、電動補助自転車1は、車体フレーム11を有する。車体フレーム11は、前後方向に延びている。車体フレーム11は、ヘッドパイプ12、ダウンフレーム13、シートフレーム14、一対のチェーンステイ16、及び一対のシートステイ17を有している。ヘッドパイプ12は、電動補助自転車1の前部に配置されている。ヘッドパイプ12には、ダウンフレーム13の前端が接続されている。ダウンフレーム13は、前後方向に延びている。また、ダウンフレーム13は、斜め下方に向かって延びている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後端に接続されている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後端から上方且つ斜め後方に向かって延びている。
図2に示すように、ダウンフレーム13の後端には、ブラケット15が取り付けられている。ブラケット15の後端には、一対のチェーンステイ16が接続されている。一対のチェーンステイ16は、後輪22を左右から挟むように配置されている。図1に示すように、各チェーンステイ16の後端には、それぞれシートステイ17の一方の端部が接続されている。一対のシートステイ17は、後輪22を左右から挟むように配置されている。図1に示すように、各シートステイ17の他方の端部は、それぞれ、シートフレーム14の上部に接続されている。
ブラケット15の下に、駆動ユニット40が、締結金具30により取り付けられる。駆動ユニット40は、駆動ユニット40の外形を形成するハウジング51を有する。ハウジング51内に、モータ61が格納される。ハウジング51の前部には、クランク軸41が左右方向に貫通している。クランク軸41は、ハウジング51に対して複数の軸受を介して回転可能に支持されている。
クランク軸41の両端には、クランクアーム31、32が取り付けられている。クランクアーム31、32の先端には、それぞれ、ペダル33、34が取り付けられている。使用者がペダル33、34を踏み込むことにより、クランク軸41が回転する。駆動スプロケット42には、従動スプロケット45との間にチェーン46が巻き掛けられている。
また、ギヤ軸81がハウジング51の右側を貫通している。ギヤ軸81は、モータ61のモータ軸に噛み合わされたギヤが取り付けられる。本例では。ギヤ軸81は、モータ61の回転を外部へ伝達する出力軸となっている。ギヤ軸81のハウジング51の外に出た部分に補助スプロケット43が接続されている。補助スプロケット43には、チェーン46に巻き掛けられる。チェーン46の外周側から補助スプロケット43の歯がチェーン46に掛かる。
ハウジング51の右側後部であって、ギヤ軸81の後方には、チェーンテンショナ86が配置されている。チェーンテンショナ86には、テンションスプロケット90が支持ボルト89によって回転可能に取り付けられている。チェーンテンショナ86は、一端が支持ボルト88によってハウジング51に対して回転可能に接続されている。チェーンテンショナ86の他端は、引張バネ87を介してハウジング51に接続されている。テンションスプロケット90には、テンションスプロケット90を後方に押すようにチェーン46が巻き掛けられる。チェーン46の内周側から、テンションスプロケット90の歯がチェーン46に掛かる。チェーンテンショナ86は、引張バネ87の弾性力によってチェーン46に対して適度な張力を付与する。
駆動スプロケット42及び補助スプロケット43は、チェーン46を介して、後輪22に駆動力を伝達する。具体的には、使用者がペダル33、34を踏み込むことにより発生するペダル踏力は、駆動スプロケット42を前転方向に回転させ、チェーン46を介して後輪22を前転方向に回転させる駆動力として伝達される。また、モータ61が作動することにより発生する回転力は、補助スプロケット43を後転方向に回転させ、チェーン46を介して後輪22を前転方向に回転させる補助駆動力として伝達される。これにより、使用者がペダル33、34を踏み込んで発生させるペダル踏力を、モータ61から出力される駆動力によってアシストする。
ヘッドパイプ12には、ハンドルステム25が回転自在に挿入されている。ハンドルステム25の上端には、ハンドル23が固定されている。ハンドルステム25の下端には、フロントフォーク26が固定されている。フロントフォーク26の下端には、前輪21が車軸27によって回転可能に支持されている。
ハンドル23の左右端には、それぞれグリップ73が取り付けられている。ハンドル23の左部には、左ブレーキレバー74が取り付けられ、ハンドル23の右部には、右ブレーキレバー75が取り付けられている。左ブレーキレバー74は、後輪22のブレーキ(図示省略)を操作するためのレバーである。右ブレーキレバー75は、前輪21のブレーキ(図示省略)を操作するためのレバーである。
円筒状のシートフレーム14には、シートパイプ28が挿入されている。シートパイプ28の上端には、シート24が設けられている。
一対のチェーンステイ16の後端には、後輪22が車軸29によって回転可能に支持されている。後輪22の右方には、車軸29と同軸に従動スプロケット45が設けられている。従動スプロケット45は、一方向クラッチ(図示省略)を介して後輪22に連結されている。
車体フレーム11にはチェーンカバー47が取り付けられている。チェーンカバー47は、メインカバー48、及びサブカバー49を有している。メインカバー48は、前後方向に延びている。メインカバー48は、駆動ユニット40の右前部及びチェーン46を覆っている。サブカバー49は、駆動ユニット40の右後部を覆っている。
シートフレーム14の後方には、バッテリユニット35が配置されている。バッテリユニット35は、駆動ユニット40のモータ61に電力を供給する。バッテリユニット35は、図示しないバッテリ及び電池制御部を有する。バッテリは、充放電可能な充電池である。電池制御部は、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流及び残容量等を監視する。バッテリユニット35と駆動ユニット40との間に、バッテリからモータ61へ電力を供給する電線が設けられる。
<駆動ユニットの構成例>
図3は、図2の駆動ユニット40をIII−III線で切断した断面図である。図3に示すように、駆動ユニット40は、ハウジング51、クランク軸41、駆動力発生部60、及び、チェーンテンショナ86を有する。駆動力発生部60は、モータ軸64(回転軸)を有するモータ61と、モータ軸64の回転を駆動ユニット40の外部へ伝達するギヤ82及びギヤ軸81を含む。
[ハウジング]
ハウジング51は、第1ケース53及び第2ケース52を有する。第1ケース53及び第2ケース52は、左右から互いに組み合わされ、複数の締結金具54によって互いに固定されている。第1ケース53及び第2ケース52は、それぞれ、金属材からなる。金属材は、例えば、アルミニウム合金である。ハウジング51は、締結金具30によって、ブラケット15に取り付けられている(図2参照)。
第1ケース53及び第2ケース52は、モータ軸64(モータ61の回転軸)の軸方向に垂直な合わせ面において互いに接している。本例では、クランク軸41及びギヤ軸81は、モータ軸64と平行であり、第1ケース53と第2ケース52の合わせ面は、クランク軸41及びギヤ軸81に対しても垂直な面となっている。
第1ケース53は、図3に示すように、車載状態において駆動ユニット40の右部を構成する第1収容部53Rと、駆動ユニット40の左部を構成する第2収容部53Lとを有する。第1収容部53Rは、第2収容部53Lよりも大きく形成されている。第1収容部53Rと第2収容部53Lとは、モータ軸支持壁53Eで分割されている。第2ケース52は、第1ケース53の第1収容部53Rを塞ぐように、第1ケース53に固定されている。第1収容部53Rには、ギヤ軸81、ギヤ82、制御基板38、クランク軸41等が収納される。第2収容部53Lには、モータ61のステータ62及びロータ63が収納される。
[モータ]
モータ61は、制御基板38から出力される制御信号に基づいて、ペダル踏力による電動補助自転車1の走行をアシストするための補助駆動力を発生する。
モータ61は、ステータ62、ロータ63及びモータ軸64を有する。ロータ63は、モータ軸64に固定されている。これにより、ロータ63は、モータ軸64とともに回転可能に取り付けられる。すなわち、ロータ63はモータ軸64と一体で回転する。ロータ63は、N極とS極とが周方向に交互に着磁された永久磁石である。
ステータ62は、ロータ63の径方向においてロータ63より外側に配置される。ステータ62は、コイル62Aが巻き回されたボビン62Bを複数備える。複数のボビン62Bは、ロータ63の周方向に並んで配置される。各ボビン62Bには、鉄心62Cが挿入される。ステータ62のロータ63と反対側の面すなわち径方向外側の面は、第1ケース53のステータ支持壁53bによって支持される。すなわち、モータ61の径方向外側が、第1ケース53によって支持される。ステータ支持壁53bは、モータ軸64の軸方向に延び、モータ軸64の軸方向から見てモータ61を内包するように、ステータ62の外周に設けられる。ステータ62の外周部は、ハウジング51の第1ケース53に固定される。
第1ケース53は、第1収容部53R及び第2収容部53Lとを分ける隔壁であるモータ軸支持壁53Eを備える。モータ軸支持壁53Eは、ハウジング51の内部においてモータ軸64を支持する。モータ軸支持壁53Eは、モータ軸の軸方向に垂直な面を含み、ステータ支持壁53bに接続される。ステータ支持壁53bは、モータ軸支持壁53Eを挟んで第2ケース52(合わせ面53A)とは反対側に設けられる。すなわち、ステータ支持壁53bは、モータ軸支持壁53Eの径方向外側から、第2ケース52と反対側へ延びて形成される。
モータ軸支持壁53Eには、モータ軸64が貫通する軸孔53Gが設けられる。軸孔53Gから第2ケース52側へ突出したモータ軸64の部分の外周には、モータ軸64の端部から中央にかけてギヤ溝64aが形成されている。軸孔53Gから第2ケース52と反対側に延びるモータ軸64の部分にロータ63が固定される。
ロータ63及びステータ62が配置される領域を覆うように、モータカバー65が、第1ケース53に対して取付けられている。モータカバー65は、複数の締結金具76によって第1ケース53に固定されている。モータカバー65は、第1ケース53に対して、第2ケース52と反対側に設けられる。第1ケース53とモータカバー65の合わせ面は、モータ軸64に垂直な面となっている。モータカバー65は、第1ケース53のステータ支持壁53bに接する。
モータ軸64のギヤ溝64aが設けられる端部と反対側の端部は、転がり軸受67を介して、モータカバー65に回転可能に支持されている。また、モータ軸64の中央部は、第1ケース53の軸孔53Gの周囲に設けられる転がり軸受66を介して、第1ケース53に支持されている。このように、モータ61は、モータ軸支持壁53E、ステータ支持壁53b及びモータカバー65によって支持される。
[ギヤ]
ギヤ軸81は、モータ軸64に対してクランク軸41と反対側に配置されている。ギヤ軸81は、第1ケース53に配置される転がり軸受84と、第2ケース52に配置される転がり軸受83によって、第1ケース53及び第2ケース52に対して回転可能に支持されている。ギヤ軸81は、金属材からなる。金属材は、例えば、鉄である。
ギヤ軸81には、一方向クラッチ85を介してギヤ82が取り付けられている。ギヤ82は、転がり軸受83と転がり軸受84との間に、ギヤ軸81と同軸に配置されている。ギヤ82は、モータ61のモータ軸64に形成されたギヤ溝64aと噛み合っている。モータ軸64に形成されたギヤ溝64aとギヤ82により減速機が構成される。本実施形態では、モータ61が作動するとモータ軸64は前転方向に回転する。このため、ギヤ82は、モータ軸64の前転方向の回転によって後転方向に回転する。
一方向クラッチ85は、ギヤ82又はギヤ軸81に生じた後転方向の回転のみ伝達するように構成されている。このため、モータ61が作動してギヤ82が後転方向に回転した場合には、その回転はギヤ軸81に伝達されてギヤ軸81は後転方向に回転する。一方、ギヤ軸81に前転方向の回転が生じても、ギヤ82には前転方向の回転は伝達されない。
第2ケース52は、ギヤ軸81が貫通する軸孔を有する。ギヤ軸81の第2ケース52の外側の端部には、補助スプロケット43が接続されている。補助スプロケット43とギヤ軸81は、例えばスプライン構造によって接続されている。これにより、モータ61のモータ軸64の回転は、ギヤ82、一方向クラッチ85、及びギヤ軸81を介して補助スプロケット43に伝達される。つまり、駆動力発生部60で発生した補助駆動力がギヤ軸81から補助スプロケット43に伝達され、補助スプロケット43が後転方向に回転する。
[制御基板]
ハウジング51内において、制御基板38が、第1ケース53に締結金具39により固定される。本実施形態では、ギヤ82及びモータ61の少なくとも一部を覆う樹脂カバー59が第1ケース53に対して固定される。制御基板38は、制御基板38及び樹脂カバー59を貫通し第1ケース53に達する締結金具により、樹脂カバー59に固定される。
ハウジング51内においてクランク軸41の軸方向と略垂直な平面内に配置される。すなわち、制御基板38は板状に形成されており、制御基板38の面が、クランク軸41の軸方向に垂直な面と略平行になるよう配置される。これにより、制御基板38を、クランク軸41の軸方向に平行な平面内に配置する場合に比べて、ハウジング内のスペースを効率よく活用することができる。結果として、ハウジング51をコンパクト化することが可能になる。
ここで、制御基板38は、厳密にクランク軸41の軸方向に垂直な平面内に配置される必要はない。制御基板38基板の面が全体として、クランク軸41の軸方向に垂直な平面に沿っていればよい。例えば、制御基板38の一部が、クランク軸41の軸方向に垂直な平面に対して平行でない部分を含む場合や、制御基板38が、全体として、クランク軸41の軸方向に垂直な平面に若干の角度を持って配置される場合も、クランク軸41の軸方向に垂直な平面内に配置されたものと同等とみなすことができる。
制御基板38には、モータの動作を制御する電子部品が搭載される。電子部品は、各種センサにより検出されたデータ及び使用者による操作を示すデータに基づいて、モータへ供給する電力を制御する。そのため、制御基板38とモータ61とは、電線(図示省略)により互いに接続される。また、バッテリユニット35からの電力を供給するための電線も、制御基板38に接続される。さらに、各種センサからの信号を伝達するための電線も、制御基板38に接続される。各種センサとしては、例えば、クランク軸の回転を検出する回転検出センサや、トルクを検出するトルクセンサ等が挙げられる。
[クランク軸]
クランク軸41は、ハウジング51の前部をモータ軸64と平行な方向に貫通している。クランク軸41は、第1ケース53及び第2ケース52に、それぞれ軸受を介して回転可能に支持されている。クランク軸41には、回転部材56、一方向クラッチ55、及び駆動スプロケット42が、クランク軸41と同軸に配置されている。
回転部材56は、ハウジング51内において、クランク軸41の周りに配置されている。回転部材56は、略円筒状である。回転部材56の第2ケース52側の端は、円筒状の滑り軸受71を介してクランク軸41に支持されている。回転部材56の第1ケース53側の端は、クランク軸41に接続されている。回転部材56の第1ケース53側の端とクランク軸41とは、例えば、スプライン構造によって接続されている。これにより、回転部材56は、クランク軸41と一体で回転する。
一方向クラッチ55は、ハウジング51内において、回転部材56より第2ケース52側のクランク軸41の周囲に配置される。一方向クラッチ55は、インナー部材55a及びアウター部材55bを有する。
インナー部材55aは、クランク軸41の周囲に沿って、ハウジング51内の回転部材56と第2ケース52との間の空間から、第2ケース52の外側へ向けて延びて形成される。インナー部材55aは、略円筒状であり、クランク軸41に対して回転可能である。インナー部材55aのハウジング51の外へ突出した部分の外周面には、駆動スプロケット42が固定されている。インナー部材55aと駆動スプロケット42は一体で回転する。
アウター部材55bは、クランク軸41の周囲に沿って、回転部材56の端部と、インナー部材55aの端部とに被さるように配置されている。アウター部材55bは、略円筒状である。アウター部材55bと回転部材56は、例えばスプライン構造によって接続されている。これにより、アウター部材55b及び回転部材56は、一体で回転する。
アウター部材55bとインナー部材55aは、アウター部材55bからインナー部材55aに、前転方向(図1に示すように電動補助自転車1を右側から見て時計回りの方向をいう。以下、同様とする)の回転力のみを伝達するように接続されている。アウター部材55bとインナー部材55aは、例えばラチェット構造によって接続されている。アウター部材55bからインナー部材55aに、後転方向(図1に示すように電動補助自転車1を右側から見て反時計回りの方向をいう。以下、同様とする)の回転力は伝達されない。
駆動ユニット40には、回転部材56の外周付近にトルク検出部57が設けられている。トルク検出部57は、ペダル踏力によってクランク軸41に発生するトルクを検出する。トルク検出部57は、例えば、磁歪式のトルクセンサであるが、これに限定されない。例えば、トルク検出部57は、クランク軸41のトルクを直接検出せず、チェーン46に発生する張力からクランク軸41のトルクを検出する構成であってもよい。トルク検出部57は、検出したトルクに応じた信号を、制御基板38に出力する。
アウター部材55bの外周面上には、クランク回転検出部における被検出素子である磁石58aが配置される。磁石58aは、アウター部材55bの外周を囲む円筒状とすることができる。アウター部材55bが回転することにより、磁石58aによる磁界が変化する。この磁界の変化を検出することで、クランク軸41の回転を検出することができる。
<駆動ユニットの詳細な構成例>
[第1ケースの構成例]
図4は、第1ケース53及び第1ケース53に固定されたモータ61を、合わせ面側から見た平面図である。図4において、第1ケース53と第2ケース52が接触する部分、すなわち、第1ケース53の第2ケース52との合わせ面53Aは斜線で示している。また、ステータ62の径方向内側62uの位置及び径方向外側62sの位置を破線で示している。さらに、制御基板38が配置される位置を二点鎖線で示している。
図4に示すように、第1ケース53には、クランク軸41が貫通するための軸孔53P、モータ軸64が貫通する軸孔53G、及びギヤ軸81の端部を固定するための筒状体53Qが設けられる。
モータ軸64が貫通する軸孔53Gの周りには、合わせ面53Aと平行な面を有するモータ軸支持壁53Eが配置される。モータ軸64の軸方向から見ると、モータ軸支持壁53Eは、軸孔53Gから放射線状に広がって、ステータ62の径方向外側62sの外縁まで達している。
モータ軸支持壁53Eには、複数の孔53Fが、モータ軸64の外周部に、モータ61の駆動周方向に並んで設けられる。モータ61のこれらの孔53Fに対応する位置には、端子69a〜69dと、端子69a〜69dをステータ62上で支持する支持部材68が設けられる。端子69a〜69cは、モータ61のコイル62Aに電気的に接続される。また、端子69dは、例えば、モータ61の回転数等、モータ61に設けられるセンサに接続される。これらの端子69a〜69cには、制御基板38とモータ61とを繋ぐ電線が接続される。モータ61と制御基板38との間を接続する電線77a、77b、77c(図5参照)は、上記の孔53Fを通ることになる。
複数の孔53Fのうち隣り合う2つの孔53Fの間には、モータ軸64の径方向に延びるリブ53Dが形成される。また、リブ53Dと交差するようにモータ軸64を中心とする円状のリブ53Kが形成される。さらに、リブ53Kから径方向外側に延びて第1ケース53の合わせ面53Aの壁に達するリブ53Sが形成される。リブ53D、53K、53Sにより、第1ケース53のモータ61を支持する強度を大きくすることができる。
筒状体53Qからギヤ軸81の径方向に延びるリブ53Mと、リブ53Mに交差するギヤ軸81を中心とする円状のリブ53Nが形成される。さらに、リブ53Nから径方向外側へ延びて第1ケース53の合わせ面53Aの壁に達するリブ53Tが形成される。これらのリブ53M,53N、53Tにより、第1ケース53のギヤ軸81を支持する強度を大きくすることができる。なお、第1ケース53におけるリブ53D、53K,53S,53M、53N、53Tは、第1ケースのモータ軸64の軸方向における厚みが周りより大きくなっている部分である。リブ53T及びリブ53Sの一部には、制御基板38を第1ケースに固定するための締結金具が挿入される穴53r1、53r2、53r3が設けられる。
合わせ面53Aは、モータ軸64に垂直な断面における駆動ユニット40の外形に沿って形成される。合わせ面53Aの面内には、第1ケース53と第2ケース52とを締結する締結金具が挿入される複数の穴53h1〜53h8、及び、駆動ユニット40をブラケット15に固定するための締結金具が挿入される複数の貫通孔53j1〜53j3が設けられる。穴53h1〜53h8は、貫通孔又は貫通しない穴とすることができる。第1ケース53と第2ケース52とを締結する締結金具の穴53h1〜53h8と、制御基板38を第1ケース53に固定する締結金具の穴53r1〜53r3は、いずれも同じ方向に掘られている。すなわち、制御基板38の締結方向と、第1ケース53と第2ケース52の締結方向が同じになっている。これにより、制御基板38の保護強度を高めることができる。また、製造工程を簡単にすることができる。
また、第1ケース53は、合わせ面53Aに平行な面における駆動ユニット40の外形の一部において、合わせ面53Aに挟まれた領域にクランク軸41の軸方向に凹む凹部(53V)を有する。この凹部(53V)は、ハウジング51の外部からモータ61に電力を供給するための電線をハウジング51内部へ引き込む引き込み口53Vとなる。
[制御基板の配置例]
図5は、図4に示す第1ケース53に、制御基板38を含む部品群を取り付けた状態を示す図である。図5における「上下」間の矢印及びこれに交差する「前後」間の矢印は、駆動ユニット40を電動補助自転車1に搭載した場合の上下前後の方向をそれぞれ示している。図5において、モータ軸64、ステータ62の径方向内側62uの位置及び径方向外側62sの位置及び、ギヤ82の径方向外側82Sの位置を破線で示している。
図5では、第1ケース53に、ギヤ軸81、ギヤ82、クランク軸41が取り付けられている。ギヤ82の一部及びモータ軸64を覆うように樹脂カバー59が被せられる。樹脂カバー59に制御基板38が取り付けられる。車両搭載状態において、制御基板38の一方の面が右側(図5の紙面手前)を向き、前記一方の面の反対側の他方の面が左側(図5の紙面奥)を向くように、制御基板38Aが取り付けられる。制御基板38の一方の面及び他方の面には、電子部品38A及び、電線が接続される端子が配置される。制御基板38に搭載され得る電子部品38Aは、例えば、電力用半導体素子(パワーデバイス)、コンデンサ、IC、センサ等が挙げられる。
制御基板38と、モータ61は、電線77a、77b、77c等によって互いに接続される。具体的には、制御基板38に一方の端が接続された電線77a、77b、77c(以下、区別しない場合は、電線77とする)の他方の端の端子72a、72b、72c(以下、区別しない場合は、端子72とする)が、モータ61の端子69a、69b、69c(図4参照)に、それぞれ、接続される。
電線77は、モータ61に電力を供給する導線である。本例では、モータ61のコイル62A(図3参照)に流す電流が、電線77を通じて供給される。なお、電線77により供給される電力は、これに限られない。例えば、その他の制御信号が電線77を通じてモータ61に供給されてもよい。
制御基板38は、クランク軸41の軸方向視において、L字形状を有する。すなわち、制御基板38は、クランク軸41の軸方向視において、ある1つの方向(本例では上下方向)に延びる長方形の部分と、長方形の部分から、前記1つの方向に垂直な方向(本例では前後方向)に突出する突出部分とを有する。前記長方形の部分は、2つの軸(本例では、クランク軸41及びギヤ軸81)の間に配置される。これらの2つの軸のうち一方(本例では、ギヤ軸81)は、前記長方形と前記突出部分とに対向するよう配置される。すなわち、制御基板38を挟む2つの軸のうち一方は、制御基板38のL字形状の切り欠き部分に対向する位置に配置される。このように、L字形状の制御基板38の一部が、2つの軸の間に配置される。これにより、2つの軸の間に矩形の制御基板38を配置する場合に比べて、制御基板38の面積を確保しつつも、これら2つの軸の軸間距離を短くすることができる。
なお、制御基板38の形状は、L字形状に限られない。制御基板38は、長方形の元基板の面を切断してできる同じ形の2つの基板のうちの一つの形状とすることができる。これにより、上記のL字形状の場合と同様に、2つの軸間距離を短くすることができる。ここで、制御基板38の形状について説明する。
<制御基板の形状>
図6は、図5に示す制御基板38の形状を説明するための図である。図6に示すように、制御基板38は、長方形ABCDの元基板の面を切断してできる同じ形の2つの基板のうちの一つの形状となっている。すなわち、長方形ABCDの元基板の面を、互いに対向する2つの辺AD、BCを通る切断線EFGHで切断してできる2つの基板のうちの一つの形状(6角形ABHGFE)が制御基板38の形状となっている。この切断による切断線EFGHは、元基板の長方形ABCDの切断線EFGHが通る辺AD(又はBC)に垂直な辺AB(又はCD)とは平行でない非平行線FGを含む。
図6に示す例では、非平行線FGは、元基板の長方形ABCDの切断線EFGHが通る辺ADと平行である。また、切断線EFGHは、非平行線FGに垂直な線EF,GHを含む。また、切断線EFGHは、元基板の長方形ABCDの切断線EFGHが通る辺ADに平行な方向において内側に凹む凹部EFGを含む。
図6に示す制御基板38は、長方形ABHJから、この長方形ANHJの辺AJ、JHの一部を辺とする長方形EFGJの部分を切り欠いた形状となっている。切り欠かれた部分は、長方形ABCDを切断してできるもう一つの基板EFGHCDの一部となっている。そのため、切り欠かれた部分EFGJは、廃棄せずに、他の同じ形の駆動ユニットの制御基板38として有効活用することができる。これにより、歩留まり性が良好になる。
制御基板38の一部は、クランク軸41、モータ軸64、及びギヤ軸81のうち2つの軸である第1軸と第2軸(本例では、第1軸がギヤ軸81で、第2軸がクランク軸41である)の間に配置される。さらに、第1軸(ギヤ軸81)の軸方向視において、第1軸(ギヤ軸81)は、切断線EFGHに対向する制御基板38の辺ABと当該辺ABに接続される2つの辺AE,BHのうち長い方の辺BHとで決まる仮想の長方形ABHJ内に含まれる。これにより、第1軸(ギヤ軸81)は、制御基板38の切断線における互いに垂直な辺EFと辺GFに対向する位置に配置される。すなわち、第1軸は、制御基板38の互いに直交する2つの辺により2つの方向から囲まれるよう配置される。このように、制御基板38を挟む2つの軸のうち一方の第1軸に対して、2つの方向から制御基板38が対向するように配置することで、第1軸が1つの方向において制御基板と対向する配置よりも、効率的な配置が可能になる。
また、図6に示す例では、第1軸(ギヤ軸81)は、長方形ABCDを切断してできる2つの基板のうち他方の基板EFGHCDを切り出すために、基板ABCDから切り欠かれた領域EFGJに配置される。言い換えれば、第1軸(ギヤ軸81)を配置するために基板から切り欠かれた部分EFGJは、廃棄せずに、2つの基板のうちの他方として有効活用することができる。
ここで、切断線EFGHに対向する制御基板38の辺ABは、元基板の長方形ABCDを横切る切断線EFGHと向かい合う制御基板38の辺となっている。例えば、図6に示すように、切断線EFGHが、長方形ABCDの対向する2つの辺AD、BCを通る線である場合、これらの辺AD、BCに垂直な辺AB、DCのうち制御基板38の辺ABが、切断線EFGHに対向する制御基板の辺となる。また、この辺に接続される2辺は、切断線EFGHが通る長方形ABCDの辺AD、BCのうち制御基板38の辺を形成する部分となる。
また、第1軸(ギヤ軸81)は、切断線EFGHの凹部EFGに対向する位置に配置される。すなわち、第1軸(ギヤ軸81)を、制御基板38の凹部EFGが囲むように、制御基板38が配置される。そのため、より効率よくスペースを利用した配置が可能になる。
図6に示す例では、第1軸(ギヤ軸81)は、軸方向視で、長方形ABHJに含まれる位置に配置される。これに対して、第1軸の少なくとも一部が長方形ABHJに含まれてもよい。ここでは、第1軸の径方向の厚みを考慮して軸を把握している。そのため、例えば、図6に示すギヤ軸81aのように、第1軸の軸方向から見た場合に第1軸の回転中心点となる軸心が、長方形ABHJの外側にありながらも第1軸の一部が長方形ABHJの内部にある場合も、第1軸が長方形ABHJ内に含まれるとすることができる。
なお、制御基板38が、長方形の元基板の面を切断してできる同じ形の2つの基板のうちの一つである、とは、制御基板38の形状を説明する表現であって、制御基板38の製造方法を限定する意味は含まない。すなわち、制御基板38は、制御基板38と同じ形状のもう一つの基板と組み合わせれば長方形又は長方形に近い形状となるような形状を有するものであればよい。例えば、図6に示す例では、制御基板38の切断線EFGHの凹部EFGは、もう一つの基板EFGHCDの凸部EFGに対応する。このように、互いに対応する凹部と凸部をそれぞれ有する形状のうち1つを制御基板38の形状とすることができる。
制御基板38の形状を、上記のように、長方形の基板を切断してできる同じ形の2つの基板のうちの一つの形状とすることで、製造工程の効率も向上させることができる。例えば、1つの長方形の基板を切断することにより、2つの制御基板38を作製することができる。なお、製造工程は、1つの長方形シート(元の基板)から2つの制御基板を切り出す場合に限られない。例えば、製造工程においては、1つの長方形シートから3つ以上の上記の制御基板を切り出すこともできる。
図7は、1つの長方形シートから4つの制御基板L1〜L4を切り出す場合の例を示す図である。図7に示す例では、元のシートの長方形RSLKから、4つの制御基板L1〜L4と、捨て板RSCBが切り出される。長方形RSLKを線ADと線BCで切断してできる長方形ABCDを、さらに、切断線EFGHで切ることにより、2つの制御基板L1、L2が切り出される。長方形KADLを切断線MNPQで切ることにより、さらに2つの制御基板L3、L4が切り出される。
図7に示す例では、制御基板L1、L2の元基板となる長方形ABCDの各角A、B、C及びDは、面取りされている。角B、Dは、45度面取りされており(MT1)、角A、Cは、丸み面取りされている(MR1)。このように、元基板となる長方形は、厳密に長方形でなくてもよい。元基板は、4つの辺を有し全体として長方形に近い形状であれば、一部に切り欠きを有していてもよい。また、図7に示すように、切断線は、ある程度幅を持っていてもよい。
再び、図5を参照し、制御基板38の一部は、ギヤ軸81の回転部品であるギヤ82と、ギヤ軸81の軸方向から見て重なって配置されている。また、制御基板38の一部は、モータ軸64の回転部品であるロータ63(ステータ62の径方向内側62uのさらに内側に配置される。)とモータ軸64の軸方向から見て重なっている。さらに、制御基板38の一部は、クランク軸41の回転部品である一方向クラッチ55の外周に設けられる磁石58aと、クランク軸41の軸方向から見て重なっている。このように、制御基板38は、ギヤ軸81の回転部品、モータ軸64の回転部品、及びクランク軸41の回転部品と、クランク軸41の軸方向において重複するように配置される。これにより、制御基板38をハウジング51内で効率よく配置することができる。
また、制御基板38は、制御基板38を挟む2つの軸、すなわち第1軸であるギヤ軸81と第2軸であるクランク軸41の間で、ギヤ軸81の回転部品、モータ軸64の回転部品、及びクランク軸41の回転部品と、クランク軸41の軸方向に重複している。これにより、制御基板38を2つの軸の間に部品を効率よく配置することができる。そのため、さらに効率よくスペースを利用することができる。その結果、第1軸と第2軸の軸間の距離を小さくすることができる。また、ギヤ軸81は、元の長方形の基板から切り欠かれた領域に配置される。制御基板38は、ギヤ軸61を配置するための切り欠き部分を有する形状となっている。ここで、切り欠かれた部分は、元の基板を切断してできる2つの基板うち他方の基板の一部となり得る。そのため、歩留まりが良好になる。
また、制御基板38は、制御基板38を挟む2つの軸のうち第1軸(ギヤ軸81)の回転部品(ギヤ82)と、車載状態における第1軸の上方及び前方において、第1軸の軸方向視で重なるよう配置されている。なお、制御基板38は、常に、ギヤ軸81の回転部品、モータ軸64の回転部品、及びクランク軸41の回転部品のすべてと重なっていなくてもよい。制御基板38は、これらの回転部品のうち少なくとも1つの回転部品と重なる構成であってよい。
制御基板38の一部は、クランク軸41とともに回転する回転部品の1つである磁石58aと、軸方向視において重なっている。制御基板38には、クランク軸41が回転した場合の磁石58aの回転経路と軸方向から見て重複する位置にエンコーダ58bが配置される。エンコーダ58bは、クランク軸41の回転を検出するためのセンサ(回転検出素子)の一例である。磁石58aは、被検出素子の一例である。クランク軸41及び一方向クラッチ55(アウター部材55b)が一体として回転することにより、磁石58aによる磁界が変化する。エンコーダ58bは、この磁界の変化を検出する。エンコーダ58bは、磁界の変化をパルス信号として制御基板38に対して出力することができる。エンコーダ58bと磁石58aは、クランク回転検出部58を構成する。
このように、図5に示す例では、制御基板38の一部と、クランク軸41の回転部品の一部が軸方向視において重複するように配置される。さらに、制御基板38のクランク軸41の回転部品と重複する部分に検出素子(エンコーダ86b)が配置され、クランク軸41の回転部品であって制御基板38と重複する部分には被検出素子(磁石58a)が配置される。これにより、検出素子を、制御基板38とは独立して設ける場合に比べて、クランク回転検出部がハウジング51内で占める体積を小さくすることができる。
制御基板38は、駆動ユニット40が電動補助自転車1に搭載された状態で、2つの軸すなわちクランク軸41とギヤ軸81との間と、ギヤ軸81の上方とにわたって位置するように配置される。また、ハウジング51の外部からモータ61に電力を供給するための電線37a、37bをハウジング51内部へ引き込む引き込み口53Vも駆動ユニット40の上方に設けられる。引き込み口53Vからハウジング51内へ引き込まれた電線は、制御基板38に接続される。制御基板38の、ギヤ軸81と引き込み口53Vとの間に位置する領域において、引き込み口53Vから引き込まれた電線が制御基板38に接続される。
図5に示す例では、制御基板38の1つの辺が、引き込み口53Vに対向するように配置される。これにより、引き込み口53Vから制御基板38に接続されるまで電線の長さを短くすることができる。また、引き込み口53Vを駆動ユニット40の上方に設けることで、駆動ユニット40の上方に設けられるバッテリユニット35と駆動ユニット40とを繋ぐ電線の長さも短くすることができる。
制御基板38の一部は、クランク軸41とギヤ軸81との間において、クランク軸41の軸方向において、モータ61の一部と重なる位置に配置される。このように、クランク軸41とギヤ軸81との間にモータ61を配置し、モータ61の一部と制御基板38の一部が、軸方向視において重複するように、制御基板38を配置することができる。ここでは、モータ61、ギヤ82及びクランク軸41の効率的な配置に合わせて制御基板38を配置することができる。すなわち、制御基板38が、上記のとおり長方形でない形状であるので、制御基板38により、クランク軸41、モータ61、及びギヤ82の位置関係に制約が生じないような配置が可能になる。
図5に示す例では、ハウジング51の壁を貫通して外部へ延びる2つの軸すなわちクランク軸41とギヤ軸81の間に、モータ61が配置される。モータ61のモータ軸64は、ハウジング51内に格納され、外部には出ない(図3参照)。そのため、クランク軸41とギヤ軸81との間にモータ61を配置することで、ハウジング51の小型化が可能になる。さらに、クランク軸41とギヤ軸81の間の距離は、制御基板38によって制約を受けないので、設計上許される限り小さくすることができる。
なお、制御基板38を複数の基板に分割して、ハウジング内に分散配置することで、スペースを効率的に利用することも考えられる。この場合、分割された複数の基板間を接続する電線が必要になる。これに対して、本実施形態の制御基板38の形状及び配置によれば、電線を増やすことなく効率的な配置が可能になる。
[第2ケースの構成例]
図8は、第2ケース52を、第1ケース53との合わせ面52A側から見た平面図である。図8において、第1ケース53と第2ケース52が接触する部分、すなわち、第2ケース52の第1ケース53との合わせ面52Aは斜線で示している。第2ケース52には、クランク軸41が貫通するための軸孔52a、及びギヤ軸81が貫通するための孔52bが設けられる。第2ケース52の第1ケース53との合わせ面52Aは、クランク軸81に垂直な断面における駆動ユニット40の外形に沿って形成される。すなわち、合わせ面52Aの外縁は、駆動ユニット40の外側に露出している。合わせ面52Aの面内には、第1ケース53と第2ケース52とを締結する締結金具が挿入される複数の穴52c1〜52c8、及び、駆動ユニット40をブラケット15に固定するための締結金具が挿入される複数の貫通孔52e1〜52e3が設けられる。穴52c1〜穴52c8は、貫通した孔でも、貫通しない孔でもよい。第2ケース52においては、穴52c1〜52c8及び貫通孔52e1〜52e3が設けられる部分は、穴に対応して、第1ケースの厚みが周りより大きくなっている。
第1ケース53と第2ケース52が合わせ面52Aで互いに接触した状態において、第2ケース52の穴52c1と第1ケース53の穴53h1(図4参照)に1つの締結金具が挿入される。同様に、第2ケース52の穴52c2〜52c8と第1ケース53の穴53h2〜53h8(図4参照)に、それぞれ、締結金具が挿入される。また、第2ケース52の貫通孔52e1と第1ケース53の貫通孔53j1(図4参照)に、駆動ユニット40をブラケット15に固定する締結金具が挿入される。同様に、第2ケース52の貫通孔52e2、52e3と第1ケース53の貫通孔53j2、53j3(図4参照)に、それぞれ、駆動ユニット40をブラケット15に固定する締結金具が挿入される。
第2ケース52において、ハウジング51の外部からの電線が引き込まれる引き込み口53V(図4参照)に対応する部分52Vは、合わせ面53Aと同一面となっている。すなわち、車載状態において第2ケース52の上方における、合わせ面52Aと同一面であって合わせ面52Aに挟まれた部分52Vは、第1ケース53の凹部(図4の53V参照)に対応する位置に設けられる。合わせ面52Aとこの部分52Vに、第1ケース53と第2ケース52とを互いに接着させるシール剤を塗布することができる。
[制御基板の形状の変形例]
図9は、制御基板38の形状の変形例の一つを示す図である。図9に示す例では、制御基板38は、長方形ABCDの辺ADと辺BCを通り、辺ABに平行でない直線EHに沿って長方形ABCDを切断してできる形状を有する。切断線EHは、長方形ABCDの中心Oを通る。この場合、線EHが非平行線となる。切断線EHに対向する制御基板38の辺ABと、この辺ABに接続される辺のうち長い方の辺BHとで決まる長方形ABHJ内に、第1軸(例えば、ギヤ軸81)が含まれるよう、制御基板38が配置される。
図9に示す例のさらなる変形例として、長方形ABCDを、対角頂点A及びCを結ぶ線に沿って切断してできる2つの基板のうち1つの形状を、制御基板38の形状とすることもできる。この場合、制御基板38の形状は、三角形ABCになる。切断線ACに対向する辺ABと、この辺ABに接続される辺BCで決まる長方形ABDC内に第1軸が配置される。
図10は、制御基板38の形状の他の変形例を示す図である。図10に示す例では、切断線EHが、曲線状になっている。この例では、切断線EHは、長方形ABCDの辺AD上の点Eと長方形ABCDの中心Oと、辺BC上の点Hとを通る。切断線EHの辺AD上の点Eから中心Oまでは制御基板38の内側に凸の曲線であり、中心Oから辺BC上の点Hまでは外側に凸の曲線である。この場合、切断線EHに対向する辺ABと、この辺に接続される辺のうち長い方の辺BHとで決まる長方形ABHJ内に第1軸が配置される。
切断線は、必ずしも1本である必要はない。図11は、制御基板38の形状の、さらに他の変形例を示す図である。図11に示す例では、辺AD上の点Eから長方形ABCDの内側へ辺ABと平行に延びる切断線は、途中の点Lでそのまま直進して点Fへ至る線と、直角に曲がって点Kへ至る線とに分岐している。さらに点Fから辺BCに平行に辺DCへ向かって延びる切断線FGと、点Kから辺ABと平行に辺BCへ向かって延びる切断線KGとは点Gで合流する。点Gから辺ABと平行に辺BCまで切断線GHが延びている。このように、中心Oを含む領域を回避して切断することもできる。切断線ELFGHに対向する制御基板38の辺ABと、この辺ABに接続される辺のうち長い方の辺BHとで決まる長方形ABHJ内に第1軸が配置される。この場合も、中心Oを含む領域LFGKは基板として利用されないものの、図6に示した形状の制御基板38と略同様の効果が得られる。
すなわち、図11に示す例においても、制御基板38を、第1軸(ギア軸81)を配置するための切り欠き部EFGJ(凹部EFG)を有する形状にし、かつ、切り欠き部EFGJの一部が、他の駆動ユニットの制御基板38の一部としても活用可能な形状となっている。そのため、駆動ユニット40の小型化と歩留まり性の確保とを両立させることが可能になる。なお、第1軸が配置される領域は、必ずしも、長方形ABCDを切断してできる2つの基板のうち他の基板ELKHCDの領域内でなくてもよい。例えば、図11のギヤ軸81aのように、切り欠き部EFGJの中で、他の基板ELKHCDの一部とはならない領域LFGKに、第1軸を配置することもできる。
[制御基板の配置の変形例]
次に、図12〜図14を参照して、制御基板38の配置の変形例を説明する。図12〜図14において、「上下」の間の矢印と、これと直交する「前後」の間の矢印は、駆動ユニット40を電動補助自転車1に搭載したときの上下前後の方向をそれぞれ表している。
図12は、制御基板38と、制御基板38を挟む2つの軸との配置の変形例を示す図である。図12に示す例では、駆動ユニット40の車載状態において、第1軸(一例としてギヤ軸81)の前方及び下方に制御基板38が対向して配置される。制御基板38の切断線の非平行線GFは、第1軸に対して下方から対向し、辺ABに平行な切断線EFは、前方から第1軸に対向している。また、第2軸(一例としてクランク軸41)は、制御基板38の前方に配置される。制御基板38の辺ABが、第2軸に対して後方から対向している。
図13は、制御基板38と2つの軸との配置の他の変形例を示す図である。図13に示す例では、駆動ユニット40の車載状態において、第1軸(一例としてギヤ軸81)の上方及び前方に制御基板38が対向して配置される。制御基板38の切断線の非平行線GFは、第1軸に対して前方から対向し、辺ABに平行な切断線EFは、上方から第1軸に対向している。また、第2軸(一例としてクランク軸41)は、制御基板38の上方に配置される。制御基板38の辺ABが、第2軸に対して下方から対向している。
図14は、制御基板38と2つの軸との配置のさらに他の変形例を示す図である。図14に示す例では、駆動ユニット40の車載状態において、第1軸(この例では、クランク軸41)の下方及び後方に制御基板38が対向して配置される。制御基板38の切断線の非平行線GFは、第1軸に対して後方から対向し、辺ABに平行な切断線EFは、下方から第1軸に対向している。また、第2軸(一例としてギヤ軸81)は、制御基板38の後方に配置される。制御基板38の辺BHが、第2軸に対して前方から対向している。
[実施形態の効果]
上記実施形態における駆動ユニット40は、電動補助自転車に用いられる駆動ユニットであって、ハウジング51と、ハウジング51を貫通するクランク軸41と、ハウジング51内に収納され、モータ軸64を有するモータ61と、ハウジング51内に収納され、モータ61のモータ軸64に噛み合わされるギヤ82と、ギヤ82が設けられるギヤ軸81と、ハウジング51内においてクランク軸41の軸方向と略垂直な平面内に配置された制御基板38とを備える。制御基板38は、長方形(正方形も含む)の元基板の面を切断してできる同じ形の2つの基板のうちの一つである。この切断による切断線は、元基板の長方形ABCDの切断線が通る辺AD、BCに垂直な辺AB、CDとは平行でない非平行線GFを含む。制御基板38の一部は、クランク軸41、モータ軸64、及びギヤ軸81のうち2つの軸である第1軸と第2軸の間に配置される。第1軸の軸方向視において、第1軸の少なくとも一部は、切断線に対向する制御基板38の辺と、当該辺に接続される2つの辺のうち長い方の辺とで決まる仮想の長方形内に含まれる。
上記構成によれば、制御基板38は、長方形の基板の面を切断してできる同じ形の2つの基板のうちの一つで形成される。この場合、元の基板の長方形ABCDの切断線EFGHが通る辺AD,BCに垂直な辺ABとは平行でない非平行線FGが切断線に含まれるような形状に切断される。これにより、例えば、1つの長方形ABCDの基板を切断することにより2つの制御基板を切り出すことができる。そのため、長方形ではない形状の制御基板38を簡単な製造工程で効率よく作製することができる。
この制御基板38は、クランク軸41、モータ軸64、及びギヤ軸81のうち少なくとも2つの軸の間に配置される。さらに、制御基板38を挟む2つの軸のいずれかは、クランク軸41の軸方向から見て、切断線に対向する制御基板38の辺ABと、この辺に接続される2辺AE、BHのうち長い方の辺BHとで決まる長方形ABHJに含まれる。すなわち、非平行線GFが、制御基板38を挟む2つの軸のいずれかの軸に対向するよう配置される。これにより、2つの軸の間に矩形の基板を配置する場合に比べて、同じ基板の面積でも、2つの軸の軸間距離を短くすることができる。また、制御基板38は、簡単な製造工程で効率よく作製されるので、歩留まり性を確保することもできる。その結果、歩留まり性を確保しつつ、駆動ユニット40を小型化することが可能になる。
なお、第1軸が長方形ABHJに含まれる場合は、クランク軸41の軸方向視において第1軸の軸心が長方形ABHJに含まれる場合に限られない。例えば、第1軸の軸心が長方形ABHJの外側にありながらも第1軸の断面の一部が長方形ABHJ内に位置する場合も、第1軸が長方形ABHJに含まれるとすることができる。
制御基板38の切断線EFGHは、元基板の長方形の切断線が通る辺AD、BCに平行な方向において内側に凹む凹部EFGを含んでもよい。制御基板38は、第1軸(例えば、ギヤ軸81)の軸方向視において、凹部EFGが第1軸に対向するように配置される。上記構成により、制御基板38を挟んで配置される2つの軸のうち一方すなわち第1軸は、制御基板38の凹部EFGに囲まれるように配置することができる。そのため、より効率よくスペースを利用した配置が可能になる。
切断線EFGHは、元基板の長方形ABCDの切断線EFGHが通る辺AD、BCと平行である前記非平行線GFと、非平行線GFに垂直な垂直線EFとを含むことができる。上記構成により、制御基板38を挟んで配置される2つの軸のうち1つは、制御基板38の切断線の非平行線GF及びこれに垂直な垂直線EFに囲まれるように配置することができる。そのため、より効率よくスペースを利用した配置が可能になる。また、切断線は、元基板の長方形ABCDのいずれかの辺に平行な線のみを含むので、切断工程を簡単にすることができる。
クランク軸41、モータ軸64及びギヤ軸81には、それぞれ、軸とともに回転する回転部品が設けられてもよい。制御基板38は、第1軸と第2軸のうちの少なくとも一方の軸の回転部品と第1軸の軸方向から見て重複する部分を有するよう配置することができる。この構成により、制御基板と回転部品とを軸方向視において重複するように配置することができる。そのため、より効率よくスペースを利用することができる。
制御基板38の前記回転部品と重複する部分は、第1軸の軸方向視において、第1軸と第2軸との間に位置することができる。これにより、第1軸と第2軸との間において、制御基板38及び回転部品を効率よく配置することができる。そのため、より効率よくスペースを利用することができる。
クランク軸41は、クランク軸41とともに回転する回転部品(例えば、一方向クラッチ55)と、回転部品に設けられた被検出素子(例えば、磁石58a)とを有してもよい。制御基板38は、クランク軸41の回転部品と、クランク軸の軸方向視において重複する位置に配置される。制御基板38には、回転部品が回転した場合の被検出素子58aの経路と軸方向から見て重複する位置に配置された、回転検出素子(例えば、エンコーダ58b)が設けられる。これにより、回転検出素子を回転部品と重複する制御基板38に設けることができる。そのため、より効率よくスペースを利用することができる。また、回転検出素子を配置するための特別な制御基板を設ける必要がなくなる。
制御基板38を挟む第1軸及び第2軸は、ハウジング51を貫通して、ハウジング51の外部に延びる軸とすることができる。この構成により、スペースを効率よく利用した制御基板の配置が可能になる。例えば、ハウジング51を貫通しない軸、すなわち、第1軸及び第2軸以外の軸に、軸方向視で重複する位置に制御基板38を配置することができる。これにより、制御基板38の配置位置の設計自由度が高まる。その結果、効率のよい制御基板の配置が可能になる。
駆動ユニット40を備える電動補助自転車1も、本発明の実施形態の一つである。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
上記例では、モータ61の回転が、ギヤ軸81に伝えられ、ギヤ軸81に取り付けられた補助スプロケット43が回転する構成であった。これに対して、例えば、モータ61の回転を、ギヤを介してクランク軸に伝える構成とすることもできる。
また、上記例では、制御基板38を挟む2つの軸は、ギヤ軸81とクランク軸41であった、制御基板38が間に配置される2つの軸は、この組み合わせに限られない。