JP6224677B2 - スパッタリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スパッタリング装置に関し、特に磁性膜を形成する装置に関するものである
磁気ディスクドライブ(HDD)は、高保磁力多結晶磁性膜を有する磁気ディスク媒体
と磁気ヘッドとを備える。磁気ヘッドは、磁気抵抗型読取り部と高磁気モーメントの書込
み部とを有し、データを磁気ディスク媒体に書込み及びディスク媒体に記録されたデータ
を読み込む。
書込み部は微細加工パターンを施した比較的膜厚の厚い磁性膜からなる。書込み部の磁
性膜には、高い飽和磁化(磁気モーメント)を有するFe-Co系の合金が用いられる。
HDDに使用されている磁気ヘッド素子は、直径が5インチから8インチのAl2O3-TiCウ
ェーハ基板上に製造されている。1枚のウェーハからは、数万個の磁気ヘッド素子が得ら
れる。そのため、高い歩留まりを確保するためには、ウェーハ全体に均一かつ低スキュー
であることが非常に重要である。ここで、低スキューとは、ある決めた方向に対して素子
の磁化容易軸の分散が少ないこと、つまり、磁化容易軸が揃っていることを意味する。
読込み部は、一般に、膜厚が非常に薄い多層膜からなる。その多層膜の中には、例えば
、Cu又はMgOなど非磁性スペーサ層で分離されたFe-Co-BとNi-Fe軟磁性合金からなる。書
込み部と同じように読込み部においても、所定の方向に素子の磁化容易軸が配向している
ことが好ましい。成膜後の熱処理工程の熱処理温度が比較的低い(<300℃)ため、特にFe
-Co膜の場合、読込み部と書込み部のいずれの場合でも、成膜時に磁化容易軸を配向する
ことが好ましい。
一般に、磁化容易軸は、膜を形成している間に外部磁界を印加することによって配向さ
れる。この外部磁界は、pair-ordering磁気異方性を促進する。従って、スパッタリング
プロセスでは、独立した磁界発生源を用いて基板表面に対し平行な磁界を基板に印加する
。この磁界は、基板表面に対して垂直成分を僅かに有してもよいが、面内に略平行である
ことが好ましい。たとえば、成膜入射角が基板表面に対してほぼ垂直で、基板に磁界を印
加せず、Feに富むFe-Coを成膜する場合、基板面内の磁化容易軸は等方になる。膜面上の
任意の方向の保磁力は、本質的に一定である。
成膜中、外部磁界を印加することにより、一軸磁気異方性が誘導される。例えば、保磁
力は磁界印加方向に対して>25 Oe(磁化容易軸)と垂直方向に対して<1 Oe(磁化困難軸
)とすることもできる。スパッタリング装置では、円形もしくは回転するカソードマグネ
トロンの漏洩磁界が干渉することによって、基板に平行磁界を印加することはたいへん困
難である。また、基板に印加する平行磁界は、膜の均一性に悪影響を与える。基板とター
ゲットとの距離を離せば、膜の均一性は改善できるが、堆積速度が大幅に制限される。
斜入射成膜法は、Fe-Co膜の一軸磁気異方性の向上に有効であることが知られている。
応用上重要なパーマロイ(Ni81Fe19)と高い飽和磁化Msを有する膜(例えば、Fe70Co30
)では、成膜の入射角度が45°の時、磁化容易軸が90°変化する。入射角度が45°よりも
小さい場合、誘導される磁化容易軸は入射角度と同じ面内にある。ここで、入射角度とは
、基板の法線軸とスパッタ粒子が入射する方向との成す角度と定義する。入射角度が45°
よりも大きい場合、磁化容易軸は入射角度の面に対して横手か垂直方向に向く。斜入射成
膜法は、基板側に磁界を印加しながら入射角度が法線軸に近い角度で成膜する方法(磁界
印加成膜法)に比較して、かなり高い磁気異方性を有する膜が得られる。これは、Co, Fe
, Ni-Fe, Fe-Co, 及び Fe-Co-Bなどの高保磁力を有する様々な材料組成に当てはまる。特
に、70°〜80°の入射角度において非常に大きな磁気異方性が得られる。誘導される磁気
異方性は、成膜の陰影効果による応力又は形状磁気異方性に因るものである。しかし、斜
入射で成膜された膜は、密度が減少するため、飽和磁化密度も減少する。高い飽和磁化密
度が必要な場合、低入射角の成膜しか適用できない。
斜入射成膜により形成された比較的厚いシード層(〜5 nm)を下地層として用いること
で、当該シード層上に成膜される磁性膜に高いHkを与えることができる。そうすること
によって、高いHkを有する磁性膜を高密度で成膜することができる。また、飽和磁化密
度が維持される小さい入射角度で磁性膜を成膜した場合(例えばFe70Co30膜を<40°で成
膜)でも、磁界印加成膜に比較して高いHkが得られる。従って、斜入射成膜は高いHk
を有する書込み磁極膜を成膜する方法として有力である。
磁気ヘッド素子の読込み部のような2.4Tの飽和磁化が必要な場合、高いHkを得るため
に高入射角の成膜を使用できる可能性がある。高角側において、Hkの入射角依存性が大
きい。従って、大口径基板における磁気特性の均一性を得るには、入射角度と入射角分布
を制御する必要がある。
斜入射成膜は、応力による磁気異方性を必要とする応用にも有効である。例えば、大き
な圧縮応力を有する非磁性膜に切れ目を入れることで、磁気ヘッドの読込み部の磁性膜の
応力を等方的から切れ目に対して垂直方向に異方的圧縮応力に変化させ、当該磁性膜の磁
気異方性を向上させる手法が用いられている。この応力磁気異方性は、圧縮応力を有する
膜を斜入射成膜することで向上することができる。
Fe-Co膜はNi-Fe膜に比較して磁化容易軸に大きな保磁力Hcを示す。さらに、応用上重要
な、高い飽和磁化を有するFe含有量の多いFe-Co合金では、膜厚を厚くしていくと磁気異
方性(及び磁化容易軸の保磁力)が向上する。これは、主に、膜厚を厚くしていくと結晶
粒径が大きくなるためである。磁気ヘッド素子の読込み部では磁性膜の膜厚は薄く(<5 n
m)、書込み部では膜厚は200 nmよりも厚い場合がある。従って、読込み部の成膜には、
粒径の成長が緩和できるシード層成膜及び吸着原子の移動度低下による方法が望ましい。
Cu, Ni-Fe及びRuシード層は、Fe-Co膜の粒径微細化に有効であることも知られている。膜
厚の増加に伴う粒径粗大化を抑制するためには、基板冷却も有効と考えられる。
特許文献1は、固定された基板印加磁界下において磁性膜を成膜するための方法及び装
置を開示している。大きな長方形ターゲット及び小さな円形基板では、カソードマグネッ
トの漏洩磁界が、基板から遠く離れているので、基板側の磁界と干渉しないようになって
いる。基板付近のカソードマグネットの漏洩磁界は、基板側の磁界源により発生する磁界
とほぼ平行に向いている。基板は、基板磁界と平行、かつ、ターゲット長辺に垂直に搬送
され、ターゲットの下を通過して処理される。リニア搬送方法に固有の、通過する基板表
面のターゲットの長さに平行なすべての部分は、入射するスパッタ粒子の同じフラックス
を受取る。搬送方向に沿った優れた膜厚均一性が期待される。そして、十分に長いターゲ
ットでは、この配置はまた、良好な横手方向の均一性と低スキューの値を有する膜になる
。非常に高い成膜レートは実現可能であり、また、低成膜レートは、基板の搬送速度を上
げることによって達成できる。
特許文献1は、矩形のターゲットの長辺に垂直な方向に基板を直線的に押し出す方法の
利点を明らかにしている。ターゲットからスパッタ粒子のフラックスに沿って、基板を移
動することにより運動方向の均一性が確保される。横断方向の均一性は、長いターゲット
を十分に活用することで達成される。長いターゲットの通常のエロージョンパターンは、
細長いトラックが形成される。長く平行に形成されたエロージョンでは、スパッタ率は、
比較的均一である。ターゲットの下に対称に配置された円形基板にとって、その中心の成
膜レートがもっとも高くなる。典型的に、直径200mmの基板と、100〜200mmの
ターゲットと基板との距離において、1σ < 5%のある程度の膜厚均一性を達成するために
は、ターゲットは基板サイズの2倍以上にしなければならない。
特許文献2は、回転するターゲット、基板ステージ、及びドラムシャッターを活用する
斜入射成膜方法を開示している。磁気異方性は斜入射により達成され、低スキュー値は、
基板に平行な磁界を用いずに達成される。特許文献2に開示された成膜方法は、第1の回
転軸を回転中心に回転可能に保持された長方形のターゲットと、第1の回転軸と平行に配
置された第2の回転軸を回転中心に回転可能に保持された基板と、ターゲットと基板との
間に配置され第1の回転軸または第2の回転軸を回転中心に回転可能な遮蔽板とを備えた
スパッタリング装置による成膜方法である。成膜中は、基板と遮蔽板は回転される。遮蔽
板の隙間から基板の一部にスパッタ粒子が到達し、当該基板上に成膜される。
形成されるべき膜の半分の厚さまで成膜が完了すると、基板を第2の回転軸に垂直な第
3の回転軸を回転中心に180°回転させた状態で、第2の回転軸を回転中心に反対方向
に回転しながら成膜する。この成膜方法は、単一方向に成膜した場合に比べ、より膜厚均
一性を向上することができる。また膜厚均一性は、成膜中におけるターゲットと基板の回
転角速度と遮蔽板の位置の制御により、より向上することができる。
特表2005-526179号公報 特許第4352104号公報
しかしながら特許文献1は、斜入射スパッタ法による高い誘導磁気異方性を活用してい
ない。スパッタ入射角度や分布に関する制御は解決されていない。
また特許文献2は、成膜中にターゲットエロージョン部と基板上の成膜領域との間の距
離が変化するので、Hkの不均一性はいまだに大きいという問題がある。基板ステージが
回転するので、成膜される基板の領域とシャッターの開口部との距離間隔も、一定とはな
らない。すなわち、成膜配列は、基板上のあらゆる部分で変わりうる。シャッターの開口
部が固定されていると、横軸均一性の制御は困難になる。開口部の最適な形状は、ガス圧
やカソード電力などのプロセス条件と同様に、ターゲット材料によっても異なる。
そこで本発明は、磁性膜の磁気異方性を制御するため、様々な入射角度で成膜するに際
し、またさまざまなターゲットを用いる際においても、成膜中のターゲットと基板の配置
を最適化すること、Hk均一性、低スキュー値、および膜厚均一性を得ることができるス
パッタリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、基板上に磁気層を形成するスパッタリング装置において、真空容器内に設け
られ、表面が矩形状のターゲットを保持するターゲット保持部と、前記ターゲット保持部
の裏面に配置された磁石ユニットと、前記基板を載置する載置面を有する基板保持台と、
前記ターゲットと前記基板保持台の間に設けられた開口部を有するマスクアセンブリと、
前記基板保持台と前記ターゲット保持部を相対的に、かつ前記載置面に平行に移動させる
移動機構とを備え、前記マスクアセンブリは、前記載置面に対し略平行に配置された第1
遮蔽部と第2遮蔽部とを有し、前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部の対向する辺の間に前記
開口部が形成され、前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部は、前記ターゲットの長辺に対し略
垂直方向でかつ前記載置面に平行な方向に、又は、前記載置面に略垂直な方向に、独立し
て移動可能に設けられることを特徴とする。
本発明によれば、磁性膜の磁気異方性を制御するため、様々な入射角度で成膜するに際
し、さまざまなターゲットにおいても成膜中のターゲットと基板の配置を最適化すること
で、Hk均一性、低スキュー値、および膜厚均一性を得ることができるスパッタリング装
置を提供することができる。
ハードディスクドライブの磁気ヘッドにおける磁気書込み部の構成を示す平面図である。 ハードディスクドライブの磁気ヘッドにおける読込み部の構成を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの構成を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの動作手順(1)を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの動作手順(2)を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの変形例を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの変形例におけるシミュレーションで用いたターゲット表面を示す正面図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの変形例におけるシミュレーションで用いたターゲット、マスクアセンブリ、基板の位置関係を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの変形例におけるシミュレーション結果(1)を示す膜厚パターンである。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの変形例におけるシミュレーション結果(2)を示す膜厚パターンである。 本発明の第2実施形態に係るマスクアセンブリの別の変形例を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の第5実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の第6実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成を示す縦断面図である。 本発明の第6実施形態に係るスパッタリング装置の変形例の全体構成を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(1)磁気ヘッド
まず、本発明に係るスパッタリング装置により形成される磁性層の適用例としてハード
ディスクドライブ(HDD)の磁気ヘッドの構成について説明する。図1に示すように、
磁気書込み部10は、側方磁気シールド15によって囲まれた磁気書込み磁極11を有す
る。磁気書込み磁極11は、シード層11a、第1層11b、スペーサー層11c、及び
第2層11dを有する。第1層11b、第2層11dは、通常、高い飽和磁化Msを有す
るコバルト鉄(Fe−Co)膜からなる。シード層11aは、パーマロイからなる。スペ
ーサー層11cは、パーマロイ又はRuからなる。
磁気書込み磁極11は、側方磁気シールド15の上部15aから非磁性スペーサー12
によって分離されている。当該上部15aは、磁気ヘッドが記録媒体に対して下向きに動
作した際の、トレーリングシールドと呼ばれる。トレーリングシールドは、磁気書込み磁
極11から全体磁場を減少させるが、磁気ディスク媒体の磁場勾配を増加させる。このこ
とは、記録密度を向上させるため、ビット変調幅や磁気ディスク媒体上の磁気ビット間の
境界を減少させるために重要である。
磁気書込み磁極11の両側の側方磁気シールド15は、磁気書込み磁極11から非磁性
スペーサー13によって分離されている。
図2に示すように、読込み部20は、ハードバイアス31と、通常パーマロイからなる
下部シールド29a、及び上部シールド29bによって挟持された磁気抵抗センサ21と
によって構成されている。ハードバイアス31は、シード層31a、磁気抵抗センサ21
に横断フィールドを提供する高飽和保持力を有する強磁性層31b、キャップ層31cを
備える。
絶縁層30はハードバイアス31から磁気抵抗センサ21を電気的に分離する。磁気抵
抗センサ21は、通常、反強磁性層22、磁気固定層23、スペーサー層24、磁気リフ
ァレンス層25、絶縁トンネルバリア層26、磁化自由層27、キャップ層28を備える
磁気リファレンス層25のモーメントは、スペーサー層24を介して、磁気固定層23
と反強磁性カップリングしている。磁気固定層23のモーメントは反強磁性層22によっ
て固定されている。
いくつかの設計においては、反強磁性層22はなく、磁気固定層23のモーメントは、
異方性応力によって対向面(ABS:Air Bearing Surface)に垂直に並べられている。磁気
固定層23と磁気リファレンス層25のモーメントは、対向面に対して実質的に垂直であ
るが、磁化自由層27のモーメントは、強磁性層31bからの磁界によって横断方向にバ
イアスされている。
上部シールド29b、下部シールド29aを介して磁気抵抗センサ21を通じて、検出
電流が流れる。磁気ディスク媒体上のビットからの磁界により、磁化自由層27のモーメ
ントがABSに垂直に回転し、結果的に磁気抵抗センサ21の抵抗変化をもたらし、電圧
変動として記録される。
磁気書込み磁極11は、一般的に電気めっきやスパッタリング法によって形成される。
一方、磁気抵抗センサ21は、スパッタリングによって堆積される。
(2)第1実施形態
次に、本発明の第1実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。図3に示す
ように、スパッタリング装置100は、真空容器101内にカソード部としてのターゲッ
ト102及びターゲット保持部(金属製バッキングプレート)104と、当該ターゲット
保持部104の裏面に設けられた磁石ユニット103と、基板載置面131aを有する基
板保持台131とを備えている。
真空容器101には、プロセスガス導入口124を通じて外部からスパッタ成膜に必要
なプロセスガスが供給される。真空容器101は、上記プロセスガスや、外部空間から流
入した不純物ガスを排気するための真空ポンプ122が設けられている。また、真空容器
101には、真空容器101内に基板130を搬入及び搬出するための導入口120が設
けられている。
ターゲット102は、図示しないが電力供給ラインからターゲット保持部104を通じ
てスパッタに必要な電力が投入される。電力供給ラインは、図示しないが高周波電源及び
直流電源に接続されている。これにより、ターゲット102には高周波のみの電力供給、
高周波+直流重畳による電力供給、及び直流電力のみの電力供給のいずれかが可能である
。また、ターゲット102は、矩形状であって、その長辺が本図の紙面に対し垂直方向に
配置されている。ターゲット102の長辺は、基板130の直径よりも長く形成されてい
る。横軸膜厚均一性を確保するため、ターゲット102の長辺は、基板の直径130の2
倍以上長く形成することが望ましい。
実用的なターゲット102の長さは、製造コストによって制限される。限られたターゲ
ット102の長さでは、膜特性の横軸均一性は、1)ターゲット102を成膜領域まで減
らす、2)特開昭60-197869号に開示されているようにターゲット102の長手方向に沿
って伸びその中央部分よりもその両端側が幅広のスリットを設ける、3)縁の近くのマグ
ネトロン強度を高める、あるいは、逆にターゲット102中心のマグネトロン強度を弱め
ることによって改善され得る。
ターゲット保持部104には、特に厚い膜を形成するために高いスパッタリング電力が
必要とされる場合、ターゲット102を効果的に冷却する冷却水を流す配管(不図示)を
設けることが望ましい。
基板保持台131は、移動機構132に連結されており、当該移動機構132によりy
軸方向に沿って直線的に移動可能に設けられている。この場合、y軸方向は、基板表面1
30aに対し平行であってターゲット102の長辺に対し垂直方向である。なお、基板保
持台131の基板載置面131aから、ターゲット102の中心までの距離は、150m
m以下になるように設定されている。
本実施形態に係るスパッタリング装置100は、上記基本的構成に加え、本発明の特徴
的構成を備える。以下特徴的構成について説明する。スパッタリング装置100は、ター
ゲット102と基板130の間にマスクアセンブリ109Aが設けられている。
マスクアセンブリ109Aは、基板保持台131の基板載置面131aに対し平行に配
置された第1遮蔽部110と第2遮蔽部111とを有する。第1遮蔽部110と第2遮蔽
部111は、縁部を対向させ幅D1の間隔(200mm以下)を開けた状態で基板表面1
30aに対し平行であってターゲット102の長辺に垂直方向に配置されている。なお、
マスクアセンブリ109Aの第1遮蔽部110及び第2遮蔽部111は、TiやAlなどの金
属で構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、マスクアセンブリ10
9Aを、例えば、アルミナ、ガラス、セラミック、誘電体等により形成して、フローティ
ング電位にしてもよい。これにより、ターゲット102付近のプラズマがアースへ拡散さ
れるのを防止することができる。
第1遮蔽部110と第2遮蔽部111の対向する縁部で挟まれた領域にy軸方向に沿っ
た幅D1の開口部113が形成される。第1遮蔽部110と第2遮蔽部111とは、y軸
方向(基板保持台131に載置された基板表面130aに対し平行であって、ターゲット
102の長辺に対し垂直方向)にそれぞれ独立して移動可能に設けられている。マスクア
センブリ109Aは、第1遮蔽部110及び第2遮蔽部111が適宜移動することにより
、開口部113の位置及び幅D1を変更することができる。
すなわち、第1遮蔽部110は、第2遮蔽部111を固定した状態でy軸方向に沿って
移動することにより、開口部113の幅D1を大きくしたり小さくしたりすることができ
る。同様に、第2遮蔽部111は、第1遮蔽部110を固定した状態でy軸方向に沿って
移動することにより、開口部113の幅D1を大きくしたり小さくしたりすることができ
る。また、第1遮蔽部110と第2遮蔽部111を同時に同じ方向に同じ距離だけ移動さ
せることにより、開口部113の幅D1を保持したまま開口部113の位置を第1遮蔽部
110側又は第2遮蔽部111側へ移動することができる。
本発明においては、磁性膜の磁気異方性を制御するため、様々な入射角度で成膜を行う
必要がある。その場合、様々な入射角度に応じて、開口部113の幅D1を大きくしたり
小さくしたりする必要がある。
また、ターゲット102は、当該ターゲット表面102aの中心を通る法線150を含
むターゲット102の長辺に平行な面が、マスクアセンブリ109Aの開口部113の中
心を通る法線と重ならないように配置されている。
本実施形態の場合、ターゲット102は、当該ターゲット表面102aの中心を通る法
線150が、マスクアセンブリ109Aの開口部113の中心を通る法線に対し所定の角
度151だけ傾斜して配置されている。ターゲット102は、第1遮蔽部110側から第
2遮蔽部111側へ向かって下り勾配となるように斜めに配置されている。これにより、
ターゲット102の表面102aは、マスクアセンブリ109Aの開口部113を介して
基板表面130aと斜めに対向する。
ターゲット102と基板130の間で、かつターゲット102の近傍には、さらに第3
遮蔽部105が設けられている。第3遮蔽部105は、x軸方向に沿った回転軸118を
回転中心に回動可能に真空容器内に設けられている。第3遮蔽部105は、回転方向10
5aに沿って回動することにより、ターゲット102の第1遮蔽部110側のターゲット
表面102aの一部を覆うように配置されている。
上記のようにターゲット102は、マスクアセンブリ109Aの開口部113の中心を
通る法線に対し所定の角度153を有するように斜めに配置されているので、ターゲット
表面102aから垂直に放出されたスパッタ粒子は、基板130の法線軸152に対して
、斜めに入射する。
上記のように構成されたスパッタリング装置100では、成膜条件に合わせて、マスク
アセンブリ109Aの開口部113の幅D1と位置を設定するため、第1遮蔽部110及
び第2遮蔽部111を適宜移動させる。同時に、ターゲット102の第1遮蔽部110側
の表面を使用するか否かに合わせて第3遮蔽部105を回動させる。したがって、スパッ
タリング装置100によれば、さまざまなターゲットにおいても成膜中のターゲット10
2と基板130の配置を最適化することができる。
例えば、入射角度が大きい成膜条件の場合、第3遮蔽部105は本図に示すように表面
がターゲット表面102aと略平行に回動した状態に配置される。このように第3遮蔽部
105を配置することで、ターゲット表面102aの第1遮蔽部110側から略直下方向
に入射するスパッタ粒子を遮ることができる。したがって、スパッタ粒子は、ターゲット
102の第2遮蔽部111側のターゲット表面102aから開口部113を通じてのみ基
板130へ入射するので、開口部113を第1遮蔽部110側へ配置することにより、入
射角度の大きいスパッタ粒子のみを基板130に入射させることができる。
一方、入射角度が小さい成膜条件の場合、第3遮蔽部105は成膜レートをより高める
ため回転方向105aに沿って回動し表面がターゲット表面102aに対し略垂直に配置
されるのが好ましい。このように第3遮蔽部105を配置することで、第1遮蔽部110
側のターゲット表面102aから略直下方向にもスパッタ粒子を入射させることができる
。したがって、ターゲット表面102aのより広い範囲から基板130にスパッタ粒子を
入射させることができるので、成膜レートをより高めることができる。
スパッタリング装置100は、上記のように所定の入射角度を得るため第1遮蔽部11
0、第2遮蔽部111及び第3遮蔽部105の配置が決定してから、成膜を開始する。こ
のとき、基板保持台131は基板130をy軸方向に沿って等速で移動させる。これによ
り、スパッタリング装置100は、基板130全面に対し、入射角度、及びターゲット表
面102aから放出されたスパッタ粒子が基板表面130aに到達するまでの距離が同じ
成膜条件で成膜をすることができるので、磁気異方性を向上するとともに低スキューであ
る磁性膜を得ることができる。
(3)第2実施形態
次に、第2実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。本実施形態に係るス
パッタリング装置は、上記第1実施形態に対し、マスクアセンブリの構成のみが異なる。
以下では、マスクアセンブリの構成のみについて説明する。
図4に示すように、本実施形態に係るマスクアセンブリ109Bは、第1遮蔽部140
と第2遮蔽部141とを有し、互いに縁部を対向させ幅D1の間隔を開けた状態で配置さ
れている。
第1遮蔽部140は、主遮蔽部142と中央遮蔽部143とを有する。主遮蔽部142
は、駆動部142aに連結されており、y軸方向に沿って移動可能に設けられている。中
央遮蔽部143は、x軸方向の長さが主遮蔽部よりも短く形成されており、主遮蔽部14
2の上面側の中央、すなわち基板保持台(本図には不図示)に載置された基板130の中
央部に対向し得る位置に配置されている。中央遮蔽部143は、駆動部143aに連結さ
れており、主遮蔽部142から独立してy軸方向に沿って移動可能に設けられている。
同様に、第2遮蔽部141は、主遮蔽部145と中央遮蔽部146とを有する。主遮蔽
部145は、駆動部145aに連結されており、y軸方向に沿って移動可能に設けられて
いる。中央遮蔽部146は、x軸方向の長さが主遮蔽部145よりも短く形成されており
、主遮蔽部145の上面側の中央に配置されている。中央遮蔽部146は、駆動部146
aに連結されており、主遮蔽部145から独立してy軸方向に沿って移動可能に設けられ
ている。
上記のようにマスクアセンブリ109Bは、第1遮蔽部140及び第2遮蔽部141の
主遮蔽部142,145が適宜移動することにより、開口部113の位置及び幅D1を変
更できるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに本実施形態に係るマスクアセンブリ109Bは、中央遮蔽部143,146が適
宜移動することにより、開口部113の中央部分のみの幅を短くすることができるので、
基板130の中央部において成膜レートを低下させて、基板130のx軸方向に沿った中
央の膜厚が、x軸方向に沿った基板130の両端部に比べ厚くなることを防止することが
できる。
例えば、入射角度が小さい成膜条件の場合、図5に示すように、第1遮蔽部140と第
2遮蔽部141の主遮蔽部142,145を第2遮蔽部141側へ配置する。このとき第
3遮蔽部105は回転方向105aに沿って回動しターゲット表面102aに対し表面が
略垂直に配置されるのが好ましい。これにより開口部113が第2遮蔽部141側に配置
されるので、ターゲット表面102aの所定の位置から放出されるスパッタ粒子の軌跡は
、本図に示すようにターゲット表面102aの第1遮蔽部140側から開口部113を通
じて基板130へ入射する範囲50a〜50bに制限される。さらに、第1遮蔽部140
の中央遮蔽部143を主遮蔽部142の縁部から突出するように配置することにより、開
口部113の中央部分のみの幅を小さくすることができる。これにより、基板130の中
央部において形成される薄膜の膜厚が厚くなることを防止することができ、基板130全
体における膜厚の不均一性を改善することができる。また、これにより、軌跡50aを超
える入射角度を有するスパッタ粒子が基板130に入射することを制限することができる
一方、入射角度が大きい成膜条件の場合、図6に示すように、第1遮蔽部140と第2
遮蔽部141の主遮蔽部142,145を第1遮蔽部140側へ配置する。このとき第3
遮蔽部105は表面がターゲット表面102aと略平行に回動した状態に配置される。こ
れにより開口部113が第1遮蔽部140側に配置されるとともに第1遮蔽部140側の
ターゲット表面102aが第3遮蔽部105で覆われるので、ターゲット表面102aの
所定の位置から放出されるスパッタ粒子の軌跡は、本図に示すようにターゲット表面10
2aの第2遮蔽部141側から開口部113を通じて基板130へ入射する範囲50a〜
50bに制限される。
したがって、入射角度の大きいスパッタ粒子のみを基板130に入射させることができ
る。さらに、第2遮蔽部141の中央遮蔽部146を主遮蔽部145の縁部から突出する
ように配置することにより、開口部113の中央部分のみの幅を小さくすることができる
ので、上記した膜厚の不均一性を低減する効果を得ることができる。また、第2遮蔽部1
41の中央遮蔽部146を主遮蔽部145の縁部から突出するように配置することにより
、軌跡50bよりも小さい入射角度を有するスパッタ粒子が基板130に入射することを
制限することができる。
(変形例)
次に、上記第2実施形態に係るマスクアセンブリの変形例について説明する。図7に示
すマスクアセンブリ109Cは第1遮蔽部160と第2遮蔽部161とを有し、互いに縁
部を対向させ幅D1の間隔を開けた状態で配置されている。
第1遮蔽部160は、同一平面上に配置された1対の主遮蔽部162a,162bと、
当該1対の主遮蔽部162a,162bの間に配置された中央遮蔽部163とを有する。
1対の主遮蔽部162a,162bは、駆動部(不図示)に連結されており、一体的に移
動可能に設けられている。中央遮蔽部163は、駆動部(不図示)に連結されており、主
遮蔽部162a,162bから独立してy軸方向に沿って移動可能に設けられている。
同様に、第2遮蔽部161は、同一平面上に配置された1対の主遮蔽部165a,16
5bと、当該1対の主遮蔽部165a,165bの間に配置された中央遮蔽部166とを
有する。1対の主遮蔽部165a,165bは、駆動部(不図示)に連結されており、一
体的に移動可能に設けられている。中央遮蔽部166は、駆動部(不図示)に連結されて
おり、主遮蔽部165a,165bから独立してy軸方向に沿って移動可能に設けられて
いる。
上記のように構成された本変形例に係るマスクアセンブリ109Cによれば、中央遮蔽
部163,166のみが適宜移動することにより、開口部113の中央部分のみの幅D2
を変更することができる。このように開口部113の中央部分のみの開口幅D2を変更す
ることができることにより、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変形例の場合、中央遮蔽部163,166を、x軸方向に沿った一対の主遮蔽
部162a,162b及び165a,165bの間に配置したことにより、第2実施形態
に比べマスクアセンブリの厚みを小さくすることができる。
なお、上記第2実施形態及び本変形例では、中央遮蔽部163,166同士の対向する
各縁部は直線状である場合について図示したが、本発明はこれに限らず、湾曲状に突出し
て形成してもよい。
(シミュレーション)
次に、本変形例に係るマスクアセンブリをモデルとしたシミュレーションについて説明
する。図8は、膜厚特性をシミュレーションするために用いたターゲット102のエロー
ジョンパターンを示す。ターゲット102は、幅102d(130mm)と縦102e(
510mm)を有する。規定の磁石ユニットによるエロージョンパターンは、ターゲット
表面102a上に描かれている。
入射角度が大きい成膜条件とするため、ターゲット表面102aの図中破線で囲まれて
いる範囲からのスパッタ粒子を基板130上に入射させるように設定した。上記範囲は、
ターゲット102の中心102cから下側で長い直線状の溝102bが形成されている。
図9は、基板130と、マスクアセンブリ109Cとの位置関係を示す。マスクアセン
ブリ109Cは開口部113の幅D1が20mmに設定されている。ターゲット102は
、ターゲット表面102aが基板表面130aに対して角度30°、ターゲット102か
ら基板表面130aまでの距離L3が150mmの位置に設定した。
マスクアセンブリ109Cは、基板表面130aからの距離L1を27mmとし、厚さ
は本シミュレーションにおいて無視した。開口部113は、開口部113の中心からター
ゲット102中心までの距離L2が127mmとなる位置に設定した。
第3遮蔽部105は、ターゲット表面102aの第1遮蔽部160側からのスパッタ粒
子を遮断し、第2遮蔽部161側のターゲット表面102aからのスパッタ粒子を通過さ
せる。第2遮蔽部161側のターゲット表面102aからのスパッタ粒子の入射角度は平
均50°である。
成膜中、基板130は、開口部113の下方で、基板表面130aに平行なy軸方向に
沿って移動する。スパッタ粒子の速度は、cosnφ−n2exp(-φ2/1000)とした。φは、ター
ゲット表面102aの法線からの角度で、n = 0.75、n2 = 0.5である。
図10は、シミュレーションで得られた基板表面130a上の膜厚パターンである。図
10に示すように、薄暗い領域は、明るい領域より膜厚が厚い状態を示す。本シミュレー
ションの結果、膜厚の不均一性は10.2%であった。薄暗い領域は、基板の横軸中間領域に
主に存在し、幅D3は約120mmである。
次に、第2遮蔽部161の中央遮蔽部166を、開口部113へ1mm突出させた状態
でシミュレーションを行った。これによって、図11に示すように膜厚の不均一性が6.
2%に低減することが確認できた。また、外周部の膜厚が中心部に比べて増加している。
第2遮蔽部161の中央遮蔽部166の先端は直線状である場合について検討したが、
先端を湾曲状に突出した形状とすることによって、さらに膜厚不均一性を低減できると考
えられる。
(別の変形例)
次に、上記第2実施形態に係るマスクアセンブリの別の変形例について説明する。図1
2に示すマスクアセンブリ109Dは第1遮蔽部170と第2遮蔽部171と中央遮蔽部
172とを有する。第1遮蔽部170は、駆動部170aに連結されており、y軸方向に
沿って移動可能に設けられている。同様に、第2遮蔽部171は、駆動部171aに連結
されており、y軸方向に沿って移動可能に設けられている。第1遮蔽部170と第2遮蔽
部171は互いに先端縁170c、171cを対向させ幅D1の間隔を開けた状態で配置
されている。
中央遮蔽部172は、中央に厚さ方向に貫通した穴175が形成された板状の部材で構
成されており、第1遮蔽部170及び第2遮蔽部171の上面側に配置されている。中央
遮蔽部172は駆動部172aに連結されており、y軸方向に沿って第1遮蔽部170及
び第2遮蔽部171から独立して移動可能に設けられている。
上記穴175は、平面視において略H形に形成されている。穴175の内周縁の、x軸
方向の略中央には、突部172c,172dがそれぞれ形成されている。
上記のように構成されたマスクアセンブリ109Dによれば、第1遮蔽部170及び第
2遮蔽部171が適宜移動することにより、開口部113の位置及び幅D1を変更できる
ことに加え、中央遮蔽部172のみが適宜移動することにより、開口部113の中央部分
のみの幅を変更することができる。これにより、上記第2実施形態と同様の効果を得るこ
とができる。
(4)第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。上記第1実
施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
図13に示すスパッタリング装置200は、真空容器201内に第1カソード部261
と、第2カソード部262と、基板保持台231とを備えている。第1カソード部261
は、第1ターゲット202、及びターゲット保持部204と、当該ターゲット保持部20
4の裏面に設けられた磁石ユニット203とを有する。同様に第2カソード部262は、
第2ターゲット205、及びターゲット保持部207と、当該ターゲット保持部207の
裏面に設けられた磁石ユニット206とを有する。第1ターゲット202と第2ターゲッ
ト205は、同種の材料で形成してもよく、また異種の材料で形成してもよい。
第1ターゲット202と第2ターゲット205は、図示しないが電力供給ラインからタ
ーゲット保持部204,207を通じてスパッタリングに必要な電力が投入される。電力
供給ラインは図示しないが高周波電源及び/又は直流電源に接続されている。これにより
、第1ターゲット202と第2ターゲット205には高周波のみの電力供給、高周波+直
流重畳による電力供給、及び直流電力のみの電力供給のいずれかが可能である。また、第
1ターゲット202と第2ターゲット205は、矩形状であって、長辺が本図の紙面に対
し垂直方向に配置されている。第1ターゲット202と第2ターゲット205の長辺は、
基板130の直径より長く形成されている。
基板保持台231は、基板冷却台238上に設置され、移動機構239によりy軸方向
に沿って移動可能に設けられている。基板冷却台238は、極低温ヘッド232とクライ
オポンプ233とを備える。極低温ヘッド232とクライオポンプ233とは、冷却ガス
通路234で連通している。冷却ガス通路234には、基板保持台231を冷却し真空容
器201内の気体分子を冷却するための冷却ガスを供給する冷却ガス供給管(不図示)が
連通されている。冷却ガス供給管は、ベローズ(伸縮管)225の内部空間223a内に
配置される。
ベローズ225は、外部空間123に連通しており、基板冷却台238の移動に合わせ
伸縮し得るように構成されている。冷却ガス供給管は、ベローズ225が伸張したときの
長さからベローズ225が収縮したときの長さまでスムーズに可撓し得るようベローズ2
25内に収納されている。
冷却ガス供給管(不図示)から供給された冷却ガスは基板保持台231へ供給され、基
板保持台231を冷却する。これによりクライオポンプ233は、基板保持台231を極
低温にすることにより、真空容器201内の気体分子を凝縮または吸着させて捕捉し排気
して真空容器201内を超真空にするとともに、基板保持台231上の基板130も冷却
する。
移動機構239は、真空容器201の床面に設けられた駆動部241aと、y軸方向に
沿って延設されたウォーム242と、当該ウォーム242に螺合している直動部241と
、直動部241に連結された台車240と、ウォーム242に平行に延設されたガイドレ
ール243とを有する。ウォーム242は駆動部241aに連結されている。台車240
は車輪240aを備え、基板保持台231及び基板冷却台238が載置されている。当該
車輪240aはガイドレール243に沿って走行し得るように形成されている。
駆動部241aは、ウォーム242に回転力を伝達する。ウォーム242に螺合してい
る直動部241は、ウォーム242の回転により、ウォーム242に沿って直線運動をす
る。直動部241の直線運動により、当該直動部241に連結された台車240は、ガイ
ドレール243に沿って移動する。このようにして、移動機構239は、台車240上に
配置された基板保持台231をy軸方向に沿って移動させることができる。
第1ターゲット202及び第2ターゲット205と、基板130の間に配置されたマス
クアセンブリ209は、基板保持台231の基板載置面に対し平行に配置された第1遮蔽
部210と第2遮蔽部211とを有する。第1遮蔽部210と第2遮蔽部211は、先縁
部を対向させ幅D1の間隔を開けた状態で、基板表面130aに対し平行であって第1タ
ーゲット202及び第2ターゲット205の長辺に垂直方向に配置されている。第1遮蔽
部210と第2遮蔽部211の対向する縁部で挟まれた領域に開口部113が形成される
第1遮蔽部210は駆動部210aに連結されており、y軸方向に沿って独立して移動
可能に設けられている。同様に、第2遮蔽部211は駆動部211aに連結されており、
y軸方向に沿って独立して移動可能に設けられている。マスクアセンブリ209は、第1
遮蔽部210及び第2遮蔽部211が適宜移動することにより、開口部113の位置及び
幅D1を変更することができる。
第1ターゲット202と第2ターゲット205は、当該第1及び第2ターゲット表面2
02a,205aの中心を通る法線を含むターゲット202,205の長辺に平行な面が
、マスクアセンブリ209の開口部113の中心を通る法線と重ならないように配置され
ている。本実施形態の場合、第1ターゲット202は、当該第1ターゲット表面202a
の中心を通る法線が、マスクアセンブリ209の開口部113の中心を通る法線に対し所
定の角度255(15°以上45°以下)だけ傾斜して配置されている。第1ターゲット
202は、第1遮蔽部210側から第2遮蔽部211側へ向かって上り勾配となるように
斜めに配置されている。これにより、第1ターゲット202の表面202aは、マスクア
センブリ209の開口部113を介して基板表面130aと斜めに対向する。
第2ターゲット205は、当該第2ターゲット表面205aの中心を通る法線が、マス
クアセンブリ209の開口部113の中心を通る法線に対し所定の角度251(−15°
以上−45°以下)だけ傾斜して配置されている。第2ターゲット205は、第1遮蔽部
210側から第2遮蔽部211側へ向かって下り勾配となるように斜めに配置されている
。これにより、第2ターゲット205の表面205aは、マスクアセンブリ209の開口
部113を介して基板表面130aと斜めに対向する。
上記のように第1ターゲット202と第2ターゲット205は、マスクアセンブリ20
9の開口部113の両側に配置され、表面202a,205aが基板表面130aに対し
傾斜した状態で互いに対向している。これにより、第1ターゲット表面202aの所定の
位置から放出されたスパッタ粒子は、軌跡254を辿り、角度255で基板130に入射
する。一方、第2ターゲット表面205aの所定の位置から放出されたスパッタ粒子は、
軌跡250を辿り、角度251で基板130に入射する。
このようにスパッタリング装置200は、マスクアセンブリ209の第1遮蔽部210
及び第2遮蔽部211が適宜移動することにより、開口部113の位置及び幅D1を変更
できるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態のスパッタリング装置200によれば、基板130を冷却しながら第
1ターゲット202及び第2ターゲット205から順次スパッタリングすることができる
因みに、多くのデバイス素子では、一般的に異なる厚さを有する多層膜が形成される。
厚い膜とともに、薄膜は、以下の目的で用いられる。第1に、薄膜は、厚い膜と基板との
接着力を向上する。第2に、薄膜は、より厚い膜に結晶学的組織を促進するため、結晶の
下地を提供する。第3に、薄膜は、厚い膜の結晶粒径のような成長特性を制御する。第4
に、薄膜は、酸化や劣化を防止するため、厚いセンシティブ層を覆う。
薄膜は、2つの厚い金属層を互いに絶縁し、トンネルバリアを付与したり、また、2つ
の厚い強磁性層間に反強磁性カップリングをもたらしたりするような特別な機能を付与す
ることもできる。例えば、HDDの磁気ヘッドの書込み部は、NiFeやFeCo合金の
2つの二重層を備える。各二重層は、1nmのNiFe(パーマロイ)層と、200nm
の厚さの高磁気異方性のFeCo層とを有する。薄いパーマロイ層は、FeCo層の形成
を促進するだけでなく、結晶粒径を小さくするための下地となる。NiFe又は、Ruや
Taのような金属の薄膜は、2つの二重層の構造を保護するために、使用される。
厚さの異なる層を形成するため、広い範囲の成膜レートで成膜できるようにする必要が
ある。カソードへ供給する電力を制御することにより、最大レートの1%以下まで、成膜
レートを制御することができる。しかしながら、プラズマ分布は、利用可能なカソード電
力の範囲で常に同じではなく、特にカソード電力が低い場合に、ターゲットの中心部分に
集中したプラズマ分布となり、結果、膜厚均一性に悪影響を与えてしまう。
ターゲットに対して基板を移動可能に保持する基板保持台を備えるスパッタリング装置
では、成膜レートを小さくするには、スパッタ粒子に曝される時間を減らすため、基板保
持台の移動速度を速くする必要がある。しかしながら、基板温度を制御するための加熱冷
却機構を備えた基板保持台は大型であるから、当該基板保持台を高速で移動させることは
困難である。
本実施形態に係るスパッタリング装置200は、このような問題点を解決し得る。すな
わち、本実施形態に係るスパッタリング装置200は、開口部113を有する移動可能な
マスクアセンブリ209を備える。ターゲット202,205に対する開口部113の位
置を移動することにより、スパッタ粒子の入射角度を規定することができる。開口部11
3の幅D1を変更することにより、入射角度の分布を制御するとともに、あらゆる入射角
度での成膜レートを制御することができる。
ターゲットへ供給する電力を変更することは、ターゲット表面のプラズマプロファイル
が変化するため、結果的に膜厚均一性に影響を与える。例えば、200nmから1nmま
での急激な膜厚の減少に対応するため、あまりに大幅に電力の変更を行うと、プラズマ分
布が変わり、膜厚均一性に悪影響となる。
これに対し本実施形態に係るスパッタリング装置200は、ターゲット202,205
へ供給する電力を大幅に変更することなく、開口部113の幅D1を変えることで、成膜
レートを変えることができる。
マスクアセンブリ209の第1遮蔽部210及び第2遮蔽部211を0.2mmほど位
置補正することで、0.4mmの最大開口幅を変更可能にすることで、2%以下の成膜レ
ートを再現することが可能である。従って、前述したように、磁石ユニット203,20
6の交換をせず、基板保持台231の移動速度を変えずに、効果的な成膜レートを1/5
0に低減することができる。
(5)第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。上記第3実
施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係るス
パッタリング装置は、基板保持台が固定されており第1カソード部及び第2カソード部が
直線状に移動可能に設けられている点が上記第3実施形態と異なる。
図14に示すように、スパッタリング装置300は、真空容器301内にターゲットア
センブリ370と基板保持台231とを備えている。ターゲットアセンブリ370は、ア
センブリ本体371と、第1カソード部261と、第2カソード部262と、マスクアセ
ンブリ209とを有し、移動機構305により真空容器301内をy軸方向に沿って直線
的に移動可能に設けられている。第1ターゲット202と第2ターゲット205の長辺は
、基板130の直径より長く形成されている。
アセンブリ本体371は、逆V字形部372を有する筒状の部材で構成されている。逆
V字形部372を構成する各辺には、第1カソード部261と第2カソード部262がそ
れぞれ設けられている。第1カソード部261と第2カソード部262は、第1ターゲッ
ト202及び第2ターゲット205が逆V字形部372の開口に表出するように設けられ
ている。逆V字形部372の開口には、当該開口を横断するようにマスクアセンブリ20
9が設けられている。
アセンブリ本体371の側壁から真空容器301の側壁までの、排気空間121を横断
するようにベローズ325が設けられている。ベローズ325は外部空間123に連通し
ている。ベローズ325内には、第1ターゲット202及び第2ターゲット205に電力
を供給する電力供給ライン(不図示)が挿通されている。
移動機構305は、真空容器301の天井面に設けられた駆動部341aと、y軸方向
に沿って配置されたウォーム342と、当該ウォーム342に螺合している直動部341
と、2個の台車340と、ウォーム342に平行に設けられたガイドレール343とを有
する。ウォーム342は駆動部341aに連結されている。台車340は、車輪340a
を備え、アセンブリ本体371の上面両端近傍にそれぞれ連結されている。当該車輪34
0aはガイドレール343上を走行し得るように形成されている。直動部341は、アセ
ンブリ本体371に固定されている。
駆動部341aは、ウォーム342に回転力を伝達する。ウォーム342に螺合してい
る直動部341は、ウォーム342の回転により、ウォーム342に沿って直線運動をす
る。直動部341の直線運動により、当該直動部341に連結されたアセンブリ本体37
1は、ガイドレール343に沿って移動する。アセンブリ本体371には台車340が2
個連結されている。これにより、アセンブリ本体371は、より安定的に移動することが
できる。このようにして、移動機構305は、アセンブリ本体371をy軸方向に沿って
移動させることができる。
基板載置面231aを有する基板保持台231は真空容器301に固定されている。基
板保持台231が設置された基板冷却台238は、圧縮ガスライン335を通じて外部の
真空装置(不図示)に連通してもよい。
このようにスパッタリング装置300によれば、マスクアセンブリ209の第1遮蔽部
210及び第2遮蔽部211が適宜移動することにより、開口部113の位置及び幅D1
を変更できるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態に係るスパッタリング装置300は、上記第3実施形態と同様に、基
板130を冷却しながら第1ターゲット202及び第2ターゲット205から順次スパッ
タリングすることができる。さらに、ターゲットアセンブリ370を移動可能に形成した
ことにより、基板保持台231を固定しておくことができ、構成を簡略化することができ
る。
(6)第5実施形態
次に、本発明の第5実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。上記第3実
施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係るス
パッタリング装置は、カソード部の構成が上記第3実施形態と異なる。
図15に示すように、スパッタリング装置400は、真空容器401内にターゲットア
センブリ470と基板保持台231とを備えている。基板保持台231は、移動機構23
9により真空容器401内を直線的に移動可能に設けられている。
真空容器401は、その天井部分においてターゲットアセンブリ470を収容する、縦
断面略円状の収容室402が一体的に形成されている。ターゲットアセンブリ470は、
アセンブリ本体471と、第1ターゲット群478と、第2ターゲット群479と、ハブ
472とを有し、収容室402内においてハブ472を回転中心として回転可能に設けら
れている。真空容器401内の天井部分であって、収容室402との連通する部分にはマ
スクアセンブリ209が設けられている。
アセンブリ本体471は、縦断面略円状の収容室402の回転中心から収容室402の
内壁(外側)に向かって延設された、縦断面略逆V字形状のターゲット保持面450を含
む筒状部材で構成されている。さらに、該筒状部材は、ターゲット保持面450と該回転
中心に対して略対称に設けられ、縦断面略円状の収容室402の回転中心から収容室40
2の内壁(外側)に向かって延設された、縦断面略V字形状のターゲット保持面451を
有する。当該保持面450には第1ターゲット群478が設けられ、他方の保持面451
には第2ターゲット群479が設けられている。
第1ターゲット群478は、第1カソード部461と第2カソード部462とを有する
。第2ターゲット群479は、第3カソード部463と第4カソード部464とを有する
第1カソード部461は、第1ターゲット474と、ターゲット保持部474dと、当
該ターゲット保持部474dの裏面に設けられた磁石ユニット474cとを有する。第1
ターゲット474は、表面474aが傾斜した状態で基板130と対向し得る。また、第
1ターゲット474は、矩形状であって、長辺が本図の紙面に対し垂直方向に配置されて
いる。第1ターゲット474の長辺は、基板130の直径より長く形成されている。
第1ターゲット表面474aと基板130のなす角度474bは、ハブ472の回転角
度により適宜調整し得る。磁石ユニット474cは、大気圧空間であるアセンブリ本体内
473に設置されている。第2〜第4カソード部462〜464も第1カソード部461
と同様の構成であるので、説明を省略する。
第1カソード部461と第2カソード部462は、ターゲット表面474a,475a
が互いに斜めに対向した状態で保持面450に固定されている。第3カソード部463と
第4カソード部464は、ターゲット表面476a,477aが互いに斜めに対向した状
態で保持面451に固定されている。第1ターゲット474、第2ターゲット475、第
3ターゲット476、第4ターゲット477は、同種の材料で形成してもよく、また異種
の材料で形成してもよい。
このようにスパッタリング装置400によれば、マスクアセンブリ209、基板冷却台
238、移動機構239を有することにより、上記第3実施形態と同様の効果を得ること
ができる。
また、スパッタリング装置400は、ハブ472を回転中心としてターゲットアセンブ
リ470を回転させることにより、第1ターゲット群478と第2ターゲット群479の
いずれか一方を選択できるので、ターゲット交換等のメンテナンス期間を拡張することが
できる。
スパッタリング装置400は、第1ターゲット群478において第1カソード部461
と第2カソード部462は、ターゲット表面474a,475aが互いに斜めに対向した
状態で保持面450に固定されているので、いずれか一方のターゲット表面でスパッタリ
ングしたり、2つのターゲット表面でスパッタリングしたりすることができる。
また、スパッタリング装置400は、本図においてアセンブリ本体471をハブ472
を回転中心として180°回転させると、第2ターゲット群479において第3カソード
部463と第4カソード部464が、ターゲット表面476a,477aが互いに斜めに
対向した状態で保持面451に固定されているので、いずれか一方のターゲット表面でス
パッタリングしたり、2つのターゲット表面でスパッタリングしたりすることができる。
(7)第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。上記第3実
施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。本実施形態に係るス
パッタリング装置は、カソード部の構成が上記第3実施形態と異なる。
図16に示すように、スパッタリング装置500は、真空容器501内にターゲットア
センブリ570と基板保持台231とを備えている。基板保持台231は、移動機構23
9により真空容器501内を直線的に移動可能に設けられている。
真空容器501は、その天井部分においてターゲットアセンブリ570を収容する収容
室502が一体的に形成されている。ターゲットアセンブリ570は、アセンブリ本体5
71と、第1カソード部561と、第2カソード部562と、第3カソード部563と、
第4カソード部564と、ハブ572とを有し、収容室502内においてハブ572を回
転中心として回転可能に設けられている。真空容器501内の天井部分には、収容室50
2との連通する部分にマスクアセンブリ209が設けられている。
アセンブリ本体571は、縦断面略正方形状の筒状の部材で構成され、ターゲット保持
面であるその表面に均等に第1〜第4カソード部561〜564が配置されている。当該
アセンブリ本体571の周囲には、ドラムシールド578が設けられている。ドラムシー
ルド578は、下面側に開口579を有しアセンブリ本体571の各面を覆う筒状の部材
で構成され、ハブ572と同軸において回転し得るように設けられている。
第1カソード部561は、第1ターゲット574と、ターゲット保持部574dと、当
該ターゲット保持部574dの裏面に設けられた磁石ユニット574cとを有する。第1
ターゲット574は、第1ターゲット表面574aが傾斜した状態で基板130と対向し
得る。また、第1ターゲット574は、矩形状であって、長辺が本図の紙面に対し垂直方
向に配置されている。第1ターゲット574の長辺は、基板130の直径より長く設定さ
れている。
第1ターゲット表面574aと基板130のなす角度574bは、ハブ572の回転角
度により適宜調整し得る。磁石ユニット574cは、大気圧空間であるアセンブリ本体5
71内に設置されている。第2〜第4カソード部562〜564も第1カソード部561
と同様の構成であるので、説明を省略する。ドラムシールド578を固定したまま、ター
ゲットアセンブリ570を回転すると、各ターゲット表面574a、575a、576a
、577aが、基板表面130aに対向する。
各ターゲット表面574a〜577aと基板130のなす角度574bは、より大きい
入射角度で成膜するため調整することができる。例えば、高い飽和磁化Msを有するFe70
Co30の成膜レートを向上させるには、入射角度が30°になるように角度574bを設定
するのが好ましい。
より大きい入射角度で成膜するには、開口部113を第1遮蔽部210側へ移動させ、
ハブ572を回転中心としてアセンブリ本体571を図中反時計方向に回転し、角度57
4bが小さくなるように設定すればよい。さらに、第1ターゲット表面574aの第1遮
蔽部210側から生じるスパッタ粒子を遮蔽するため、ドラムシールド578を反時計方
向に回転し、当該ドラムシールド578の開口579をターゲット表面の直下方向に配置
するようにしてもよい。
このようにスパッタリング装置500によれば、マスクアセンブリ209、基板冷却台
238、移動機構239を有することにより、上記第3実施形態と同様の効果を得ること
ができる。
なお、本実施形態では、アセンブリ本体571は、縦断面略正方形状の筒状の部材で構
成した例を説明したが、本発明はこれに限定されず、各面にカソード部を有する縦断面略
多角形状の筒状部材で構成してもよい。
(変形例)
次に、本発明の第6実施形態の変形例に係るスパッタリング装置について説明する。上
記第6実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。本実施形態
に係るスパッタリング装置は、第5カソード部が追加されている点が上記第6実施形態と
異なる。
図17に示すように、スパッタリング装置600は、真空容器601に第5カソード部
665が設けられている。第5カソード部665は、ターゲットアセンブリ570に対し
、第1遮蔽部210側に配置されており、第5ターゲット679、及びターゲット保持部
679dと、当該ターゲット保持部679dの裏面に設けられた磁石ユニット679cと
を有する。第5ターゲット679は、表面679aが傾斜した状態で保持されている。
(8)変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更す
ることが可能である。例えば、上記実施形態では便宜上、磁気記録書込み部やセンサの薄
膜について言及したが、本発明の実施形態はそのようなデバイスに限定されるものではな
い。例えば、MRAMに使用される磁性層は本発明によって効果的に形成することができ
る。
上記実施形態の場合、ターゲットは表面が基板表面に対し斜めに配置される場合につい
て説明したが、本発明はこれに限らず、ターゲット表面の中心を通る法線を含むターゲッ
トの長辺に平行な面とマスクアセンブリの開口部の中心を通る法線が、重ならないように
配置されていれば、ターゲットの表面を基板表面に対し平行に配置してもよい。
上記第3〜第6実施形態に係るスパッタリング装置に対し、第2実施形態に係るマスク
アセンブリを適用してもよい。
上記実施形態の場合、マスクアセンブリを構成する第1遮蔽部及び第2遮蔽部は、基板
表面に対し平行に移動可能な場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基板表面
に垂直方向(基板保持台の載置面に垂直な方向、z軸方向)に移動可能に設けてもよい。
100 :スパッタリング装置
101 :真空容器
102 :ターゲット
102a :ターゲット表面
103 :磁石ユニット
104 :ターゲット保持部
105 :第3遮蔽部
105a :回転方向
109A :マスクアセンブリ
110 :第1遮蔽部
111 :第2遮蔽部
113 :開口部
118 :回転軸
130 :基板
130a :基板表面
131 :基板保持台
132 :移動機構

Claims (10)

  1. 基板上に磁気層を形成するスパッタリング装置において、
    真空容器と、
    中空体と、複数のターゲットと、複数のターゲット保持部とを含む筒状の回転可能なターゲットアセンブリとを備え、前記複数のターゲット及び前記複数のターゲット保持部は前記筒状の回転可能なターゲットアセンブリの回転軸から離れて配置され、前記複数のターゲット保持部の各々は前記複数のターゲットのうちの対応する1つを含み、前記複数のターゲットは前記中空体の外側表面上に配置され、さらに、
    基板載置面を有する基板保持台と、
    前記基板保持台又は前記筒状の回転可能なターゲットアセンブリを前記基板載置面に実質的に平行な方向に移動させる移動機構と、
    前記複数のターゲット保持部と前記基板保持台の間に設けられた開口部を有するマスクアセンブリとを備え、
    前記マスクアセンブリは、前記基板載置面に実質的に平行に配置された第1遮蔽部と第2遮蔽部とを含み、
    前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部の対向する辺の間に前記開口部が形成され、
    前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽部は、同じ方向に独立して移動することができるように構成され、それによって、前記基板載置面に実質的に平行な前記方向に、又は、前記基板載置面に実質的に垂直な前記方向において、前記マスクアセンブリの前記開口部の位置を変更でき
    前記複数のターゲットのうちの1つ以上の第1の表面が前記マスクアセンブリの前記開口部に対向しかつ前記基板の第2の表面に対して傾斜して配置されるように、前記筒状の回転可能なターゲットアセンブリは回転される、スパッタリング装置。
  2. 前記複数のターゲット保持部は、互いに斜めに対向した2つの前記ターゲット保持部の第1の組及び第2の組を少なくとも形成し、前記互いに斜めに対向した2つのターゲット保持部の前記第1の組及び前記第2の組のうちの1つの組の2つの前記ターゲットが前記マスクアセンブリの前記開口部に対向するように、前記筒状の回転可能なターゲットアセンブリは回転される、請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 前記筒状の回転可能なターゲットアセンブリは複数の磁石ユニットをさらに含み、前記複数の磁石ユニットの各々は、前記複数のターゲット保持部のうちの対応する1つに隣り合って配置される、請求項1または2に記載のスパッタリング装置。
  4. 前記複数の磁石ユニットは、前記中空体の内側表面上に配置される、請求項3に記載のスパッタリング装置。
  5. 前記中空体の内側は実質的に大気圧である、請求項4に記載のスパッタリング装置。
  6. 前記マスクアセンブリは、前記マスクアセンブリの前記開口部の中央部分のみの開口幅を狭くする中央遮蔽部を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
  7. 前記中央遮蔽部は、前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部から独立して移動可能である、請求項6に記載のスパッタリング装置。
  8. 前記中央遮蔽部は、互いに向かい合う第1中央遮蔽部と第2中央遮蔽部とを含む、請求項6または7に記載のスパッタリング装置。
  9. 前記筒状の回転可能なターゲットアセンブリを囲むドラムシールドをさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
  10. 前記マスクアセンブリは、フローティング電位である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
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