以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態に係る印刷機1は、図1に示すように、複数の巻取紙Rを保持する複数(図示の例では2台)の給紙部2a,2bと、給紙部2a,2bから供給される連続紙Wに印刷を施す複数(図示の例では2台)の印刷部4a,4bと、印刷後の連続紙Wを所定のカットオフ(断裁長)で断裁して個々の枚葉状シート群を作成し、該枚葉状シート群を折り畳んで所望の折丁を作成する折り部8と、印刷部4a,4bから折り部8に至る連続紙Wの走行経路を形成する複数(図示の例では2つ)のレールフレーム部6a,6bとを備えている。なお、図示の例では、給紙部2a,2b、印刷部4a,4b及びレールフレーム部6a,6bがそれぞれ2つずつ設けられる構成を図示したが、これに限定されず、作成する折丁の構成に応じて、給紙部、印刷部及びレールフレーム部の構成及びその設置数は任意に設定することができる。
また、本実施形態に係る印刷機1は、図2に示すように、インキ汚れや濃度不良等の印刷不良、見当ずれ不良及び断裁位置不良のいずれかを検出した際に、報知信号及び排紙信号を出力する不良紙検出システム10と、折り部8により形成された折丁を下流側に搬送する搬送経路上に設けられ、不良紙検出システム10から出力された排紙信号に基づいて、搬送されている不良紙を搬送経路から逸らせることにより排紙する排紙機構9とをさらに備えている。なお、以下の説明において、印刷不良とは、後述する紙面検査装置20の制御部24によって、紙面画像データと基準画像データとの差が、予め定められた報知レベル(報知しきい値)以上又は排紙レベル(排紙しきい値)以上と判断された場合の印刷状態をいうものとする。また、見当ずれ不良とは、後述する自動見当調整装置30の制御部34によって、後述するマーク間距離が、予め定められた報知レベル(報知しきい値)以上又は排紙レベル(排紙しきい値)以上と判断された場合の見当ずれ状態をいうものとする。さらに、断裁位置不良とは、後述するカットオフコントローラー40の制御部44によって、後述する断裁位置のずれ量が、予め定められた報知レベル(報知しきい値)以上又は排紙レベル(排紙しきい値)以上と判断された場合の断裁状態をいうものとする。
各給紙部2a(2b)は、図1に示すように、連続紙Wがロール状に巻き取りされた複数の巻取紙Rを保持する保持アーム(図示せず)と、連続紙Wを印刷部4a(4b)へ向けて送り出すインフィード装置3a(3b)と、連続紙Wと待機状態の巻取紙Rとを自動的に紙継ぎする紙継ぎ装置(図示せず)とを備えている。なお、本実施形態に係る印刷機1において、給紙部2a,2bは、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
各印刷部4a(4b)は、図1に示すように、異なる色(本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色)の印刷が可能な複数(本実施形態では4台)の印刷ユニット5a〜5dを上下方向に並べた、両面4色印刷が可能なタワー型カラーユニットである。これら印刷ユニット5a〜5dは、連続紙Wに対して異なる色の印刷画像を重ね刷りするよう構成されている。また、これら印刷ユニット5a〜5dは、印刷画像の余白部分に、後述する自動見当調整装置30が見当ずれを検出するための見当マーク(図示せず)と、後述するカットオフコントローラー40が連続紙Wの断裁位置を検出するための断裁位置マーク(図示せず)とをそれぞれ印刷するよう構成されている。各印刷ユニット5a〜5dによって印刷される複数の見当マークは、これら複数の見当マークの位置ずれやマーク間距離等に基づいて、各印刷ユニット5a〜5dによって重ね刷りされた印刷画像のずれを認識できるよう構成されている。各印刷ユニット5a〜5dの版胴は、自動見当調整装置30の見当修正制御に基づき、上下方向(連続紙Wの走行方向)及び左右方向(連続紙Wの幅方向)に移動可能に構成されており、この移動により、連続紙Wに対する見当ずれを修正可能に構成されている。なお、本実施形態に係る印刷機1において、印刷部4a,4bは、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、印刷ユニット5a〜5dによって印刷される見当マーク及び断裁位置マークは、種々の公知の見当マーク及び断裁位置マークを採用することができるため、その詳細な説明を省略する。
各レールフレーム部6a(6b)は、図1に示すように、各印刷部4a(4b)の上部に位置し、各印刷部4a(4b)から送り出された倍幅の連続紙Wを2分の1幅の連続紙(以下、「半裁連続紙」という)に断裁し、ページ順に重ねて折り部8まで導くよう構成されている。具体的には、各レールフレーム部6a(6b)は、印刷部4a(4b)から送り出された倍幅の連続紙Wをレールフレーム部6a(6b)へ送り込むドラッグローラー7aと、連続紙Wの走行方向に沿って連続紙Wの幅方向の中央部で断裁し、倍幅の連続紙Wを半裁連続紙とするスリッターナイフ7bと、半裁連続紙を必要に応じて操作側(OS)から駆動側(DS)へ又は駆動側(DS)から操作側(OS)へ移動させるターンバー装置7cと、半裁連続紙毎に設けられ、カットオフコントローラー40の経路長調整制御に基づき、半裁連続紙の折り部8までの経路長を変更可能に構成されたアジャストローラー7dと、半裁連続紙毎に設けられ、半裁連続紙の幅方向における中心位置を調整するウェブガイド装置7eと、これらの構成の間に設けられた複数のガイドローラーとを備えている。アジャストローラー7dは、半裁連続紙の折り部8までの経路長を変更することにより、折り部8における半裁連続紙の断裁位置を調整するよう構成されている。なお、本実施形態に係る印刷機1において、レールフレーム部6a,6bは、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
折り部8は、図1に示すように、レールフレーム部6a,6bから送り出された複数の半裁連続紙を重ね合わせて下流側のフォーマー部に送り出す折上ドラッグローラー8aと、折上ドラッグローラー8aによって重ね合わされた半裁連続紙を走行方向に沿って半裁連続紙の幅方向の中央部で縦折りするフォーマー板8bと、縦折りされた半裁連続紙を幅方向(走行方向と直交する方向)に断裁して個々の枚葉状シート群を作成する鋸胴(図示せず)と、断裁された枚葉状シート群を幅方向に沿って横折りして折丁を作成する折胴(図示せず)と、折胴において形成された折丁を下流側に搬送する搬送機構(図示せず)とを備えている。なお、本実施形態に係る印刷機1において、折り部8は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、図示の例では、折上ドラッグローラー8a及びフォーマー板8bが上下方向に並べて2段設けられる態様を例示したが、これに限定されず、折上ドラッグローラー8a及びフォーマー板8bの設置台数は任意に変更可能であり、例えば下段のみ設置されるとしても良い。
不良紙検出システム10は、図2に示すように、連続紙Wの印刷紙面における印刷不良を検出する紙面検査装置20と、各印刷ユニット5a〜5dの連続紙Wに対する見当ずれを検出し、見当ずれを修正する自動見当調整装置30と、連続紙W(半裁連続紙)の断裁位置のずれを検出し、断裁位置のずれを修正するカットオフコントローラー40と、各装置における検出条件及び排紙条件等の各種情報を入力するためのタッチパネル50とを備えている。なお、これら紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40は、それぞれ1台ずつ設置され、自動見当調整装置30は、4色印刷の印刷部4a,4b毎に(すなわち、本実施形態では2台)設置されている。
これら紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40は、リアルタイム専用ネットワークNWによって、互いに通信可能に接続されている。本実施形態では、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40のPLC(Programmable Logic Controller)に通信リンクユニットを採用し、データリンクによって各PLC間で情報を共有すると共に、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40の連携情報が紙面検査装置20のPLC上のデータメモリーに格納されるよう構成されている。
紙面検査装置20は、印刷紙面における印刷不良の発生をタッチパネル50を介して印刷作業者に知らせると共に、排紙機構9によって不良紙を自動で排紙させるための装置である。具体的には、紙面検査装置20は、図1及び図3に示すように、印刷部4a(4b)の出口付近に設置され、連続紙Wの表面側の印刷紙面を検査する表面側センサー22aと、同じく印刷部4a(4b)の出口付近に設置され、連続紙Wの裏面側の印刷紙面を検査する裏面側センサー22bとを備えている。なお、これら表面側センサー22a及び裏面側センサー22bは、単色印刷か多色印刷かに関わらず、印刷部4a,4b毎に(すなわち、本実施形態では2台ずつ)設置されている。また、紙面検査装置20は、図3に示すように、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bによって得られた紙面画像データを処理してインキ汚れや濃度不良等の印刷不良を判断する制御部24と、不良紙検出処理及び排紙処理等に必要となる各種情報を格納する記憶部(メモリー)26とをさらに備えている。
各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bは、それぞれ、複数色(例えば、赤色、緑色及び青色)のLED等からなる光源(図示せず)と、フォトダイオード等からなる受光部(図示せず)とを備え、連続紙Wからの反射光量を読み取ることで、印刷紙面の紙面画像データを取得するよう構成されている。なお、本実施形態に係る紙面検査装置20において、表面側センサー22a及び裏面側センサー22bは、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
制御部24は、本実施形態ではPLC(Programmable Logic Controller)であり、図3に示すように、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bと電気的に接続されており、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bから紙面画像データをリアルタイムで取得可能に構成されている。また、制御部24は、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bによって取得された紙面画像データと、印刷開始毎に印刷作業者によって良紙と判定され、記憶部26にティーチング(格納)された印刷紙面の画像データ(基準画像データ)とを比較し、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bによって取得された紙面画像データにインキ汚れや濃度不良等の印刷不良が存在するか否かを判断するよう構成されている。具体的には、制御部24は、取得された紙面画像データと基準画像データとの差が、タッチパネル50を介して入力され、記憶部26に格納された報知レベル(報知しきい値)及び/又は排紙レベル(排紙しきい値)以上であるか否かを判断することにより、印刷不良の存在を判断するよう構成されている。なお、本実施形態に係る制御部24において、印刷不良が存在するか否かの上記判断処理は、種々の公知の判断処理と同様の方法及びプログラムに基づいて実行可能であるため、その詳細な説明を省略する。
制御部24は、リアルタイム専用ネットワークNWを介して自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40と通信可能に接続されており、上記紙面画像データと基準画像データとの差が報知レベル以上となった際に、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に対して報知信号(報知に関する検出信号)をリアルタイムで出力し、報知信号の出力状況(検出状況)に関する情報を共有するよう構成されている。また、制御部24は、上記紙面画像データと基準画像データとの差が排紙レベル以上となった際に、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に対して排紙信号(排紙に関する検出信号)をリアルタイムで出力し、排紙信号の出力状況(検出状況)に関する情報を共有するよう構成されている。また、制御部24は、リアルタイム専用ネットワークNWを介して自動見当調整装置30又はカットオフコントローラー40から報知信号及び/又は排紙信号を受信した際に、記憶部26に格納されている共有データテーブルに報知指示状況及び/又は排紙指示状況を書み込むよう構成されている。さらに、制御部24は、タッチパネル50を介して入力された報知レベル及び/又は排紙レベル等の情報を自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に送信可能に構成されている。
制御部24は、タッチパネル50と電気的に接続されており、タッチパネル50から入力された情報を受付可能に構成されると共に、上記紙面画像データと基準画像データとの差が報知レベル以上となった際、又は、自動見当調整装置30若しくはカットオフコントローラー40から報知信号を受信した際に、所定のタイミングで、タッチパネル50に対して報知信号を出力するよう構成されている。
また、制御部24は、排紙機構9と電気的に接続されており、上記紙面画像データと基準画像データとの差が排紙レベル以上となった際、又は、自動見当調整装置30若しくはカットオフコントローラー40から排紙信号(排紙に関する検出信号)を受信した際に、排紙対象となる一部目の折丁が搬送機構への信号受け渡し箇所(本実施形態では折り部8のデリバリーファンの下部)に到達したタイミングで、排紙機構9に対して排紙信号を出力するよう構成されている。
具体的には、制御部24は、図示は省略しているが、折り部8のカウンター(エンコーダー)と接続されており、該カウンターが計数した鋸胴又は折胴の回転数に基づいて、鋸胴又は折胴を通過した枚葉状シート群の枚数(通過数)、すなわち、折丁の部数を計数するよう構成されている。また、制御部24は、この計数した折丁の部数と、記憶部26に格納された排紙部数及び排紙開始タイミングに関する情報とに基づいて、排紙対象となる一部目の折丁が折り部8のデリバリーファンの下部に到達したタイミングで、排紙機構9に対して排紙信号を出力すると共に、排紙対象となる折丁の全てが折り部8のデリバリーファンの下部を通過したタイミングで、排紙機構9に対する排紙信号の出力を停止するか、又は、排紙機構9に対して排紙停止信号を出力するよう構成されている。ここで、排紙対象となる折丁とは、原則的には、検出された不良紙と、該不良紙の前後に位置する所定部数の良紙のことをいう。但し、例えば不良紙が連続で発生した場合等、先に検出された不良紙を中心とした排紙対象と、その後に検出された不良紙を中心とした排紙対象とが重なる場合には、先の排紙対象の一部目から、後の排紙対象の最終部までを排紙対象という。
ここで、排紙開始タイミングに関する情報とは、紙面検査装置20、自動見当調整装置30又はカットオフコントローラー40において不良紙を検出してから、実際に排紙機構9に対して排紙信号を出力するまでのタイムラグに関する情報であり、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40毎にそれぞれ設定されるものである。
具体的には、紙面検査装置20については、紙面検査装置20の各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bにおいて印刷不良を検出してから、該印刷不良と検出されたページが折り部8のデリバリーファンの下部に至るまでの部数(距離部数)をいう。この紙面検査装置20についての距離部数は、制御部24において、上位システムから受信した「全体の距離部数」(給紙部4a(4b)の給紙リールから折り部8のデリバリーファンの下部までの距離部数)から、タッチパネル50を介して入力された「給紙リールからセンサーまでの距離部数」(給紙部4a(4b)の給紙リールから紙面検査装置20の各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bまでの距離部数)を減算することで算出される。このように、制御部24が、連続紙Wの紙コースに応じて変更する「全体の距離部数」を上位システムから受信し、この「全体の距離部数」から、連続紙Wの紙コースにかかわらず一定である「給紙リールからセンサーまでの距離部数」を減算することによって「センサーから折り部8のデリバリーファンの下部までの距離部数」を算出するよう構成されることにより、印刷毎に連続紙Wの紙コースが変更された場合であっても、新たな設定入力を行う必要がないという利点を有する。なお、折り部8の操作側(OS)の折機と駆動側(DS)の折機との間に距離部数の差が存在する場合には、当該距離部数の差を考慮して、「全体の距離部数」が特定される。
また、自動見当調整装置30については、各自動見当調整装置30の後述する表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bにおいて見当ずれ不良を検出してから、該見当ずれ不良と検出されたページが折り部8のデリバリーファンの下部に至るまでの部数(距離部数)をいう。この自動見当調整装置30についての距離部数は、制御部24において、上位システムから受信した「全体の距離部数」(給紙部4a(4b)の給紙リールから折り部8のデリバリーファンの下部までの距離部数)から、タッチパネル50を介して入力された「給紙リールからカメラまでの距離部数」(給紙部4a(4b)の給紙リールから自動見当調整装置30の表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bまでの距離部数)を減算することで算出される。このように算出することにより、紙面検査装置20についての距離部数と同様、印刷毎に連続紙Wの紙コースが変更された場合であっても、新たな設定入力を行う必要がないという利点を有する。なお、折り部8の操作側(OS)の折機と駆動側(DS)の折機との間に距離部数の差が存在する場合には、当該距離部数の差を考慮して、「全体の距離部数」が特定される。
さらに、カットオフコントローラー40については、カットオフコントローラー40の後述する各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bにおいて断裁位置不良を検出してから、該断裁位置不良と検出されたページが折り部8のデリバリーファンの下部に至るまでの部数(距離部数)をいう。このカットオフコントローラー40についての距離部数は、連続紙Wの紙コースにかかわらず一定であることから、タッチパネル50を介して入力された「カメラセンサー部から折機ファン下までの距離部数」(カットオフコントローラー40の各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bから折り部8のデリバリーファンの下部までの距離部数)を用いる。なお、折り部8の操作側(OS)の折機と駆動側(DS)の折機との間に距離部数の差が存在する場合には、操作側(OS)及び駆動側(DS)の一方の折機を経由する距離部数については、タッチパネル50を介して入力された上記距離部数を使用し、操作側(OS)及び駆動側(DS)の他方の折機を経由する距離部数については、タッチパネル50を介して入力された上記距離部数に操作側(OS)と駆動側(DS)との距離部数の差を加減算することにより算出される。
また、排紙部数に関する情報とは、排紙機構9において排紙させる排紙対象に関する情報であり、本実施形態では、検出された不良紙の前に排出させる部数(前部数)と、不良紙の発生が収まった(収束した)後に排出させる部数(後部数)に関する情報をいうものとする。
記憶部26には、タッチパネル50を介して入力された設定値(報知レベル及び排紙レベル)と、同じくタッチパネル50を介して入力された排紙部数及び排紙開始タイミングに関する情報と、報知指示状況及び排紙指示状況をそれぞれ書み込み可能な共有データテーブルと、制御部24を動作させるためのプログラムと、その他、紙面検査装置20を動作させる上で必要となる種々の情報が格納されている。
以上のとおり、紙面検査装置20は、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bによって、連続紙Wの印刷紙面を検査し、上記紙面画像データと基準画像データとの差が報知レベル以上となった際に、リアルタイム専用ネットワークNWを介して自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に対して報知信号を出力し、情報を共有すると共に、タッチパネル50に対して報知信号を出力し、タッチパネル50上に不良紙発生状況等を表示させるよう機能する。また、紙面検査装置20は、各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bによって、連続紙Wの印刷紙面を検査し、上記紙面画像データと基準画像データとの差が排紙レベル以上となった際に、リアルタイム専用ネットワークNWを介して自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に対して排紙信号を出力し、情報を共有すると共に、排紙機構9に対して適宜のタイミングで排紙信号を出力し、排紙機構9において不良紙を排紙させるよう機能する。
各自動見当調整装置30は、複数の印刷ユニット5a〜5dによって重ね刷りされた印刷画像のずれ(見当ずれ)を自動で修正する装置である。具体的には、各自動見当調整装置30は、図1及び図4に示すように、連続紙Wの表面に印刷された見当マークを読み取る表面側カメラ群32aと、連続紙Wの裏面に印刷された見当マークを読み取る裏面側カメラ群32bと、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bの近傍にそれぞれ設置されたLEDストロボ(図示せず)とを備えている。また、各自動見当調整装置30は、図4に示すように、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bによって読み取った見当マークの位置情報を処理して見当ずれ不良を判断する制御部34と、見当ずれ不良検出処理等に必要となる各種情報を格納する記憶部(メモリー)36とをさらに備えている。
表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bは、例えば複数のCCDカメラ等からなるカメラ群であり、LEDストロボと協働して、連続紙Wに印刷された各色の見当マークを静止画像として捉えるよう構成されている。表面側カメラ群32aは、印刷部4a(4b)の出口の下流側における連続紙Wの走行が安定した位置に配されたドラッグローラー31aの近傍において、連続紙Wを介してドラッグローラー31aと対向するよう設置されている。裏面側カメラ群32bは、ドラッグローラー31aの下流側に配されたガイドローラー31bの近傍において、連続紙Wを介してガイドローラー31bと対向するよう設置されている。なお、本実施形態に係る自動見当調整装置30において、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bは、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
制御部34は、本実施形態ではPLC(Programmable Logic Controller)であり、図4に示すように、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bと電気的に接続されており、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bから各色の見当マークに関する画像データをリアルタイムで取得可能に構成されている。また、制御部34は、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bから取得した画像データを画像処理することで各見当マークのマーク間距離を特定し、該特定したマーク間距離が予め記憶部36に格納された設定値(本実施形態では、報知レベル(報知しきい値)及び/又は排紙レベル(排紙しきい値))以上であるか否かを判断することにより、見当ずれ不良の存在を判断するよう構成されている。なお、本実施形態に係る制御部34において、見当ずれ不良が存在するか否かの上記判断処理は、種々の公知の判断処理と同様の方法及びプログラムに基づいて実行可能であるため、その詳細な説明を省略する。
制御部34は、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40と通信可能に接続されており、上記特定したマーク間距離が報知レベル以上となった際に、紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40に対して報知信号(報知に関する検出信号)をリアルタイムで出力し、報知信号の出力状況(検出状況)に関する情報を共有するよう構成されている。また、制御部34は、上記特定したマーク間距離が排紙レベル以上となった際に、紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40に対して排紙信号(排紙に関する検出信号)をリアルタイムで出力し、排紙信号の出力状況(検出状況)に関する情報を共有するよう構成されている。さらに、制御部34は、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40から報知信号及び/又は排紙信号を受信した際に、記憶部36に格納されている共有データテーブルに報知指示状況及び/又は排紙指示状況を書み込むよう構成されている。
制御部34は、印刷部4a(4b)の印刷ユニット5a〜5dにそれぞれ電気的に接続されており、見当ずれの発生を検出し、かつ、この見当ずれが修正可能な範囲である場合に、複数の印刷ユニット5a〜5dのうち、見当ずれの原因となった印刷ユニットに対して修正信号を出力し、対象となる印刷ユニットの版胴を上下方向(連続紙の走行方向)や左右方向(連続紙の幅方向)に移動させることで、見当ずれを修正するよう構成されている。なお、本実施形態に係る制御部34において、印刷ユニットの版胴に対する修正処理は、種々の公知の修正処理と同様の方法及びプログラムに基づいて実行可能であるため、その詳細な説明を省略する。
記憶部36には、タッチパネル50を介して入力され、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20から受信した設定値(報知レベル及び排紙レベル)と、報知指示状況及び排紙指示状況をそれぞれ書み込み可能な共有データテーブルと、制御部34を動作させるためのプログラムと、その他、自動見当調整装置30を動作させる上で必要となる種々の情報が格納されている。
以上のとおり、各自動見当調整装置30は、複数の印刷ユニット5a〜5dによって連続紙Wに印刷された複数の見当マークの位置を表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bで読み取り、複数の見当マークのマーク間距離が設定値以上となった場合に、対象となる印刷ユニット5a〜5dの版胴を上下方向(連続紙の走行方向)や左右方向(連続紙の幅方向)に自動で動かし、見当ずれを自動で修正するよう機能する。また、各自動見当調整装置30は、上記特定したマーク間距離が報知レベル以上となった際に、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40に対して報知信号を出力し、情報を共有すると共に、上記特定したマーク間距離が排紙レベル以上となった際に、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40に対して排紙信号を出力し、情報を共有するよう機能する。
カットオフコントローラー40は、印刷速度の加減速時やペースター後等に、連続紙Wの断裁位置のずれを自動で修正する装置である。具体的には、カットオフコントローラー40は、図1及び図5に示すように、アジャストローラー7dよりも下流側に設置され、一方(本実施形態では操作側)の半裁連続紙に印刷された断裁位置マークを読み取る操作側カメラセンサー部42aと、同じくアジャストローラー7dよりも下流側に設置され、他方(本実施形態では駆動側)の半裁連続紙に印刷された断裁位置マークを読み取る駆動側カメラセンサー部42bとを備えている。なお、これら操作側カメラセンサー部42a及び駆動側カメラセンサー部42bは、レールフレーム部6a,6b毎に(すなわち、本実施形態では2台ずつ)設置されている。また、カットオフコントローラー40は、図5に示すように、各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bによって読み取った断裁位置マークを用いて断裁位置不良を判断する制御部44と、断裁位置不良検出処理等に必要となる各種情報を格納する記憶部(メモリー)46とをさらに備えている。
各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bは、例えばLED光源を備える光学センサーや2次元カメラ等であり、連続紙W(半裁連続紙)の非画線部に印刷された断裁位置マークを読み取るよう構成されている。なお、各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bは、連続紙W(半裁連続紙)の非画線部に印刷された断裁位置マークではなく、印刷画像の特徴点をマークとして認識するよう構成されても良い。本実施形態に係るカットオフコントローラー40において、各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bは、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
制御部44は、本実施形態ではPLC(Programmable Logic Controller)であり、図5に示すように、各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bと電気的に接続されており、各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bから断裁位置マークの読取信号を受信可能に構成されている。また、制御部44は、折り部8のカウンター(エンコーダー)と電気的に接続されており、折り部8のカウンターの信号と、各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bから受信した読取信号とを比較することで断裁位置のずれ量を検出し、該検出したずれ量が予め記憶部46に格納された設定値(本実施形態では、報知レベル(報知しきい値)及び/又は排紙レベル(排紙しきい値))以上であるか否かを判断することにより、断裁位置不良の存在を判断するよう構成されている。なお、本実施形態に係る制御部44において、断裁位置不良が存在するか否かの上記判断処理は、種々の公知の判断処理と同様の方法及びプログラムに基づいて実行可能であるため、その詳細な説明を省略する。
制御部44は、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及び自動見当調整装置30と通信可能に接続されており、上記検出したずれ量が報知レベル以上となった際に、紙面検査装置20及び自動見当調整装置30に対して報知信号(報知に関する検出信号)をリアルタイムで出力し、報知信号の出力状況(検出状況)に関する情報を共有するよう構成されている。また、制御部44は、上記検出したずれ量が排紙レベル以上となった際に、紙面検査装置20及び自動見当調整装置30に対して排紙信号(排紙に関する検出信号)をリアルタイムで出力し、排紙信号の出力状況(検出状況)に関する情報を共有するよう構成されている。さらに、制御部44は、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及び自動見当調整装置30から報知信号及び/又は排紙信号を受信した際に、記憶部46に格納されている共有データテーブルに報知指示状況及び/又は排紙指示状況を書み込むよう構成されている。
制御部44は、レールフレーム部6a,6bの各アジャストローラー7dの駆動手段(図示せず)にそれぞれ電気的に接続されており、断裁位置のずれの発生を検出し、かつ、この断裁位置のずれが修正可能な範囲である場合に、各アジャストローラー7dの駆動手段に対して修正信号を出力し、アジャストローラー7dを動作させて連続紙Wの経路長を調整することで、連続紙Wの断裁位置のずれを自動で修正するよう構成されている。なお、本実施形態に係る制御部44において、アジャストローラー7dに対する修正処理(経路長調整制御)は、種々の公知の修正処理と同様の方法及びプログラムに基づいて実行可能であるため、その詳細な説明を省略する。
記憶部46には、タッチパネル50を介して入力され、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20から受信した設定値(報知レベル及び排紙レベル)と、報知指示状況及び排紙指示状況をそれぞれ書み込み可能な共有データテーブルと、制御部44を動作させるためのプログラムと、その他、カットオフコントローラー40を動作させる上で必要となる種々の情報が格納されている。
以上のとおり、カットオフコントローラー40は、連続紙W(半裁連続紙)の印刷紙面の非画線部に印刷された断裁位置マークを各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bで読み取り、この信号と、折り部8に取り付けたカウンター(エンコーダー)の信号とを比較することでずれ量を検出し、このずれ量に基づいて、レールフレーム部6a,6bに配されたアジャストローラー7dを動作させて連続紙Wの経路長を調整することで、予め設定された位置になるように連続紙Wの断裁位置のずれを自動で修正するよう機能する。また、カットオフコントローラー40は、上記検出したずれ量が報知レベル以上となった際に、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及び自動見当調整装置30に対して報知信号を出力し、情報を共有すると共に、上記検出したずれ量が排紙レベル以上となった際に、リアルタイム専用ネットワークNWを介して紙面検査装置20及び自動見当調整装置30に対して排紙信号を出力し、情報を共有するよう機能する。
タッチパネル50は、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40における検出感度を入力するための各種設定画面及び排紙処理に関する情報を入力するための各種設定画面等を表示し、これらの設定画面を介して入力された情報を受け付けるよう構成されている。このタッチパネル50は、各種設定画面のテンプレートや、タッチパネル50を動作させるためのプログラム等が格納された記憶部(図示せず)を備えており、このプログラムに基づいて動作するよう構成されている。
具体的には、タッチパネル50は、紙面検査装置20における報知レベル(報知しきい値)及び排紙レベル(排紙しきい値)を設定可能な紙面検査用設定画面と、自動見当調整装置30における報知レベル(報知しきい値)及び排紙レベル(排紙しきい値)を設定可能な幅見当調整用設定画面と、カットオフコントローラー40における報知レベル(報知しきい値)及び排紙レベル(排紙しきい値)を設定可能な断裁位置調整用設定画面とを表示可能で、かつ、これらの画面を介して入力された情報を受け付けるよう構成されている。この紙面検査用設定画面を介して入力された報知レベル及び排紙レベルは、紙面検査装置20の制御部24によって、紙面検査装置20の記憶部26に格納される。また、幅見当調整用設定画面を介して入力された報知レベル及び排紙レベルは、紙面検査装置20の制御部24によってリアルタイム専用ネットワークNWを介して各自動見当調整装置30に送信され、各自動見当調整装置30の記憶部36に格納される。さらに、断裁位置調整用設定画面を介して入力された報知レベル及び排紙レベルは、紙面検査装置20の制御部24によってリアルタイム専用ネットワークNWを介してカットオフコントローラー40に送信され、カットオフコントローラー40の記憶部46に格納される。
また、タッチパネル50は、排紙機構9に排紙させる折丁の排紙部数を設定するための排紙部数設定画面と、排紙機構9における排紙開始タイミングを特定するための情報を設定するための排紙開始タイミング設定画面とを表示可能で、かつ、これらの画面を介して入力された情報を受け付けるよう構成されている。排紙部数設定画面は、紙面検査装置20、各自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40毎に、検出された不良紙の前に排出させる部数(前部数)と、不良紙の発生が収まった(収束した)後に排出させる部数(後部数)とをそれぞれ入力可能に構成されている。排紙開始タイミング設定画面は、「給紙リールからセンサーまでの距離部数」(給紙部4a(4b)の給紙リールから紙面検査装置20の各表面側センサー22a及び各裏面側センサー22bまでの距離部数)と、「給紙リールからカメラまでの距離部数」(給紙部4a(4b)の給紙リールから各自動見当調整装置30の表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bまでの距離部数)と、「カメラセンサー部から折機ファン下までの距離部数」(カットオフコントローラー40の各操作側カメラセンサー部42a及び各駆動側カメラセンサー部42bから折り部8のデリバリーファンの下部までの距離部数)とをそれぞれ入力可能に構成されている。これら排紙部数設定画面及び排紙開始タイミング設定画面を介して入力された情報は、紙面検査装置20の制御部24によって、紙面検査装置20の記憶部26に格納される。
タッチパネル50は、上述した各種設定画面の表示の他に、紙面検査装置20の制御部24から出力された報知信号に基づいて、不良紙が発生したことを報知するよう構成されている。ここで、タッチパネル50による報知の態様としては、例えば、表示画面上に不良紙が発生した旨のメッセージを表示する態様や、表示画面の一部又は全体を点滅若しくは所定の色で点灯させる態様や、警報音を発する態様等の種々の態様を採用することができる。
排紙機構9は、図2及び図3に示すように、紙面検査装置20と電気的に接続されており、紙面検査装置20から受信した排紙信号に基づいて、搬送機構によって搬送されている排紙対象となる折丁を搬送経路から逸らせて排紙ラック(図示せず)内に排紙するよう構成されている。
具体的には、排紙機構9は、紙面検査装置20から排紙信号を受信した後、折り部8のデリバリーファンの下部から排紙機構9の排紙口までの距離(距離部数)に相当する部数が通過した際に、排紙を開始するよう構成されている。また、排紙機構9は、紙面検査装置20からの排紙信号が停止した後、又は、紙面検査装置20から排紙停止信号を受信した後、折り部8のデリバリーファンの下部から排紙機構9の排紙口までの距離(距離部数)に相当する部数が通過した際に、排紙を停止するよう構成されている。この折り部8のデリバリーファンの下部から排紙機構9の排紙口までの距離(距離部数)は、実測等により予め測定され、排紙機構9に設定されている。不良紙を搬送経路から逸らせる手段としては、種々の手段を採用することができ、例えば、搬送機構の搬送経路に分岐点を設け、排紙処理の間だけ適宜の経路切り替え手段(例えば、排紙ダンパー等)により搬送経路を切り替えることによって不良紙を正規の搬送経路から逸らせる構成や、排紙処理の間だけ搬送機構上に設けられた折丁の移送手段(移送用把持部材等)を動作させないことによって正規の搬送経路から逸らせる構成等を適宜採用することができる。なお、本実施形態に係る印刷機1において、排紙機構9は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
次に、本実施形態に係る不良紙検出システム10を用いて行われる不良紙検出排紙方法について、図6〜図9を用いて説明する。図6は、各検出制御に先立って実施される基準画像データのティーチング作業を示すフローチャートであり、図7は、紙面検査装置20において実行される検出制御の動作フローを概略的に示すフローチャートであり、図8は、自動見当調整装置30において実行される検出制御の動作フローを概略的に示すフローチャートであり、図9は、カットオフコントローラー40において実行される検出制御の動作フローを概略的に示すフローチャートである。
本実施形態に係る不良紙検出排紙方法は、概略的には、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40において不良紙の検出制御が並行して実行され、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40のいずれかにおいて不良紙が検出された際に、紙面検査装置20からタッチパネル50及び/又は排紙機構9に対して報知信号及び/又は排紙信号が出力されるというものである。
まず、各検出制御に先立って実施される基準画像データのティーチング作業について、図6を用いて説明する。このティーチング作業は、概略的には、印刷開始毎に、紙面検査装置20の検出制御において用いられる基準画像データを特定するための事前作業である。具体的には、紙面検査装置20の検出制御をオフにした状態において、印刷機1を動作させて印刷を開始し、シート状又は折丁状の印刷物を作成する(S0−1)。その後、印刷作業者(オペレーター)によって検紙が行われ(S0−2)、印刷作業者によって良紙と判定された画像が基準画像データとして記憶部26にティーチング(格納)される(S0−3)。これにより、紙面検査装置20の検出制御において用いられる基準画像データが特定される。
次に、紙面検査装置20における検出制御について、図7を用いて説明する。不良紙の検出制御が開始されると(S1−1)、紙面検査装置20の表面側センサー22a及び裏面側センサー22bによって、連続紙Wの印刷紙面の紙面画像データが印刷紙面のページ毎に取得される(S1−2)。また、紙面検査装置20の制御部24において、表面側センサー22a及び裏面側センサー22bからリアルタイムで取得した紙面画像データと、記憶部26に格納された基準画像データとの比較処理が実行され(S1−3)、紙面画像データと基準画像データとの差が報知レベル以上か否か、及び、排紙レベル以上か否かがそれぞれ判断される(S1−4)。
そして、この判定の結果、紙面画像データと基準画像データとの差が報知レベル以上であると判断された場合には、制御部24から自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に対して報知信号(報知に関する検出信号)がリアルタイムで出力されると共に(S1−5)、タッチパネル50に対して報知信号が適宜のタイミングで出力される(S1−6)。
また、判定の結果、紙面画像データと基準画像データとの差が排紙レベル以上であると判断された場合には、制御部24から自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に対して排紙信号(排紙に関する検出信号)がリアルタイムで出力されると共に(S1−5´)、排紙対象となる一部目の折丁が搬送機構への信号受け渡し箇所(本実施形態では折り部8のデリバリーファンの下部)に到達したタイミングで、制御部24から排紙機構9に対して排紙信号が出力される(S1−6´)。
そして、上記S1−4の判定の結果、紙面画像データと基準画像データとの差が報知レベル及び排紙レベルのいずれにも満たない場合や、上記検知信号及び/又は排紙信号が出力された後(上記S1−6,S1−6´の後)は、印刷作業者によって検出制御の終了操作がなされるか、印刷機の運転が終了するまで、以上の検出制御が所定間隔毎(本実施形態では印刷紙面のページ毎)に繰り返し連続して実行される。また、図示は省略しているが、排紙対象となる折丁の全てが折り部8のデリバリーファンの下部を通過したタイミングで、排紙機構9に対する制御部24からの排紙信号の出力が停止されるか、又は、制御部24から排紙機構9に対して排紙停止信号が出力される。
次に、自動見当調整装置30における検出制御について、図8を用いて説明する。不良紙の検出制御が開始されると(S2−1)、自動見当調整装置30の表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bによって、連続紙Wに印刷された各色の見当マークに関する画像データが所定間隔毎(本実施形態では印刷紙面のページ毎)に取得される(S2−2)。また、自動見当調整装置30の制御部34において、表面側カメラ群32a及び裏面側カメラ群32bからリアルタイムで取得した画像データが画像処理され、各見当マークのマーク間距離が特定される(S2−3)。さらに、制御部34において、この特定したマーク間距離が報知レベル以上か否か、及び、排紙レベル以上か否かがそれぞれ判断される(S2−4)。
この判定の結果、マーク間距離が報知レベル以上であると判断された場合には、制御部34から紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40に対して報知信号(報知に関する検出信号)がリアルタイムで出力される(S2−5)。そして、自動見当調整装置30の制御部34から出力された報知信号を紙面検査装置20の制御部24が受信すると、紙面検査装置20の制御部24からタッチパネル50に対して、報知信号が適宜のタイミングで出力される(S2−6)。
また、判定の結果、マーク間距離が排紙レベル以上であると判断された場合には、制御部34から紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40に対して排紙信号(排紙に関する検出信号)がリアルタイムで出力される(S2−5´)。そして、自動見当調整装置30の制御部34から出力された排紙信号を紙面検査装置20の制御部24が受信すると、排紙対象となる一部目の折丁が搬送機構への信号受け渡し箇所(本実施形態では折り部8のデリバリーファンの下部)に到達したタイミングで、紙面検査装置20の制御部24から排紙機構9に対して排紙信号が出力される(S2−6´)。
そして、上記S2−4の判定の結果、マーク間距離が報知レベル及び排紙レベルのいずれにも満たない場合や、紙面検査装置20の制御部24から上記検知信号及び/又は排紙信号が出力された後(上記S2−6,S2−6´の後)は、印刷作業者によって検出制御の終了操作がなされるか、印刷機の運転が終了するまで、以上の検出制御が所定間隔毎(本実施形態では印刷紙面のページ毎)に繰り返し連続して実行される。また、図示は省略しているが、紙面検査装置20における検出制御と同様、排紙対象となる折丁の全てが折り部8のデリバリーファンの下部を通過したタイミングで、排紙機構9に対する制御部24からの排紙信号の出力が停止されるか、又は、制御部24から排紙機構9に対して排紙停止信号が出力される。
なお、S2−3において特定したマーク間距離が修正可能な範囲である場合(報知レベル及び排紙レベルのいずれにも満たない場合)には、複数の印刷ユニット5a〜5dのうち、見当ずれの原因となった印刷ユニットに対して自動見当調整装置30から修正信号が出力される。これにより、対象となる印刷ユニットの版胴が上下方向(連続紙の走行方向)や左右方向(連続紙の幅方向)に移動され、見当ずれが修正される。このような自動見当調整装置30によって実行される印刷ユニット5a〜5dの版胴に対する修正処理は、種々の公知の修正処理と同様の方法によって実行可能であるため、図示及び説明を省略する。
次に、カットオフコントローラー40における検出制御について、図9を用いて説明する。不良紙の検出制御が開始されると(S3−1)、カットオフコントローラー40の操作側カメラセンサー部42a及び駆動側カメラセンサー部42bによって、連続紙W(半裁連続紙)の非画線部に印刷された断裁位置マークが所定間隔毎(本実施形態では印刷紙面のページ毎)に読み取られる(S3−2)。また、カットオフコントローラー40の制御部44において、操作側カメラセンサー部42a及び駆動側カメラセンサー部42bからリアルタイムで取得した断裁位置マークの読取信号と、折り部8のカウンターの信号との比較処理が実行され、断裁位置のずれ量が検出される(S3−3)。さらに、制御部44において、この検出されたずれ量が報知レベル以上か否か、及び、排紙レベル以上か否かがそれぞれ判断される(S3−4)。
この判定の結果、断裁位置のずれ量が報知レベル以上であると判断された場合には、制御部44から紙面検査装置20及び自動見当調整装置30に対して報知信号(報知に関する検出信号)がリアルタイムで出力される(S3−5)。そして、カットオフコントローラー40の制御部44から出力された報知信号を紙面検査装置20の制御部24が受信すると、紙面検査装置20の制御部24からタッチパネル50に対して、報知信号が適宜のタイミングで出力される(S3−6)。
また、判定の結果、断裁位置のずれ量が排紙レベル以上であると判断された場合には、制御部44から紙面検査装置20及び自動見当調整装置30に対して排紙信号(排紙に関する検出信号)がリアルタイムで出力される(S3−5´)。そして、カットオフコントローラー40の制御部44から出力された排紙信号を紙面検査装置20の制御部24が受信すると、排紙対象となる一部目の折丁が搬送機構への信号受け渡し箇所(本実施形態では折り部8のデリバリーファンの下部)に到達したタイミングで、紙面検査装置20の制御部24から排紙機構9に対して排紙信号が出力される(S3−6´)。
そして、上記S3−4の判定の結果、断裁位置のずれ量が報知レベル及び排紙レベルのいずれにも満たない場合や、紙面検査装置20の制御部24から上記検知信号及び/又は排紙信号が出力された後(上記S3−6,S3−6´の後)は、印刷作業者によって検出制御の終了操作がなされるか、印刷機の運転が終了するまで、以上の検出制御が適宜の間隔毎に繰り返し連続して実行される。また、図示は省略しているが、紙面検査装置20及び自動見当調整装置30における検出制御と同様、排紙対象となる折丁の全てが折り部8のデリバリーファンの下部を通過したタイミングで、排紙機構9に対する制御部24からの排紙信号の出力が停止されるか、又は、制御部24から排紙機構9に対して排紙停止信号が出力される。
なお、S3−3において検出された断裁位置のずれ量が修正可能な範囲である場合(報知レベル及び排紙レベルのいずれにも満たない場合)には、各アジャストローラー7dの駆動手段に対してカットオフコントローラー40から修正信号が出力される。そして、修正信号を受信した駆動手段がアジャストローラー7dを動作させることで連続紙Wの経路長が調整され、これにより、予め設定された位置になるように連続紙Wの断裁位置のずれが自動で修正される。このようなカットオフコントローラー40によって実行されるアジャストローラー7dに対する修正処理(経路長調整制御)は、種々の公知の修正処理と同様の方法によって実行可能であるため、図示及び説明を省略する。
以上のとおり、本実施形態に係る印刷機1及び不良紙検出システム10は、連続紙Wの印刷紙面における印刷不良を検出する紙面検査装置20と、各印刷ユニット5a〜5dの連続紙Wに対する見当ずれを検出し、該見当ずれを修正する自動見当調整装置30と、連続紙Wの断裁位置のずれを検出し、該断裁位置のずれを修正するカットオフコントローラー40とを備え、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40の少なくとも1つにおいて、印刷不良、所定値以上の見当ずれ及び所定値以上の断裁位置のずれのいずれかが検出された際に、不良紙を排紙する排紙機構9に対して排紙信号を出力するよう構成されている。このように構成された印刷機1及び不良紙検出システム10によれば、インキ汚れや濃度不良等の印刷不良が発生した不良紙だけでなく、見当ずれ不良や断裁位置不良が発生した不良紙についても自動で排紙することが可能となるため、従来の印刷機よりも、作業負担の軽減及びノンスキル化を図ることができる。
また、本実施形態に係る印刷機1及び不良紙検出システム10は、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40が互いに通信可能に接続されており、印刷不良、所定値以上の見当ずれ及び所定値以上の断裁位置のずれのいずれかを検出した際に、互いに検出信号(報知信号及び/又は排紙信号)を出力することにより、検出状況を共有するよう構成されている。特に、本実施形態に係る印刷機1及び不良紙検出システム10では、紙面検査装置20が、自らが印刷不良を検出した際、又は、自動見当調整装置30又はカットオフコントローラー40から検出信号を受信した際に、排紙機構9に対して排紙信号を出力するよう構成されている。このように構成された印刷機1及び不良紙検出システム10によれば、排紙機構9に対して排紙信号を出力する装置を紙面検査装置20のみとすることができるため、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40のそれぞれから排紙機構9に対して排紙信号を出力する構成よりも、構成を簡略化し、設備コストを低減させることができる。
また、既存の印刷機に対して、紙面検査装置、自動見当調整装置及びカットオフコントローラーをリアルタイム専用ネットワークで通信可能に接続するというハードウェア面の改変と、自動見当調整装置及びカットオフコントローラーから排紙信号を受信した際に紙面検査装置から排紙機構に対して排紙信号を出力するというソフトウェア面の改変を行うことにより、本実施形態に係る印刷機1を製作することが可能となるため、安価に実現することが可能である。
さらに、本実施形態に係る印刷機1及び不良紙検出システム10は、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40が互いに通信可能に接続されることにより、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40のいずれか1つ(本実施形態では紙面検査装置20)のタッチパネル50を介して、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40に関する検出感度(報知レベル及び/又は排紙レベル)等を纏めて入力することが可能となるため、視認性、操作性及び作業効率を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態の説明では、紙面検査装置20が、自らが印刷不良を検出した際、又は、自動見当調整装置30又はカットオフコントローラー40から検出信号を受信した際に、タッチパネル50及び/又は排紙機構9に対して報知信号及び/又は排紙信号を出力するよう構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、紙面検査装置20ではなく、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40のいずれかが、タッチパネル50及び/又は排紙機構9に対して報知信号及び/又は排紙信号を出力するよう構成されるとしても良い。また、紙面検査装置20、自動見当調整装置30及びカットオフコントローラー40がそれぞれタッチパネル50及び排紙機構9と電気的に接続され、不良紙(印刷不良、見当ずれ不良及び断裁位置不良のいずれか)を検出した際に、不良紙を検出した装置がタッチパネル50及び/又は排紙機構9に対して報知信号及び/又は排紙信号を出力するよう構成されるとしても良い。
また、上述した実施形態の説明では、紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40が1台ずつ設置され、自動見当調整装置30が4色印刷の印刷部4a,4b毎に設置されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1台又は3台以上の自動見当調整装置30によって、複数の印刷部4a,4bを走行する連続紙Wに対する検出制御を実行する構成としても良く、また、2台以上の紙面検査装置20及びカットオフコントローラー40によって、複数の印刷部4a,4bを走行する連続紙Wに対する検出制御や複数のレールフレーム部6a,6bを走行する連続紙W(半裁連続紙)に対する検出制御を実行する構成としても良い。
さらに、上述した実施形態の説明では、報知レベル(報知しきい値)及び排紙レベル(排紙しきい値)がそれぞれ設定されるものとして説明したが、これに限定されず、報知レベルと排紙レベルとを同じ値に設定可能である場合には、報知レベル(報知しきい値)及び排紙レベル(排紙しきい値)のいずれか一方のみが入力される構成としても良く、また、報知レベル(報知しきい値)及び排紙レベル(排紙しきい値)のいずれか一方のみに基づいて不良紙(印刷不良、見当ずれ不良及び断裁位置不良)の検出が実行される構成としても良い。
またさらに、上述した実施形態の説明では、タッチパネル50において報知処理が実行される構成について説明したが、これに限定されず、タッチパネル50における報知処理に代えて、又はこれと共に、不良紙検出システム10からの報知信号に基づいて報知処理を実行する警報装置を設けても良い。この警報装置としては、例えば、ランプが点灯することにより不良紙の発生を警告表示するものや、警報音を発することにより聴覚的に報知するもの等、適宜の装置を用いることができる。
また、上述した実施形態の説明では、紙面検査装置20の制御部24が折り部8のカウンターと接続され、該カウンターの計数値に基づいて排紙信号の出力タイミング等が調整されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、紙面検査装置20の制御部24において排紙信号の出力タイミング等が調整される構成ではなく、紙面検査装置20の制御部24からリアルタイムで出力された排紙信号を印刷機1側の統括的な制御部(図示せず)が受信し、印刷機1側の制御部において排紙機構9に対する排紙信号の出力タイミング等が調整される構成としても良い。
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。