JP6222018B2 - スピーカダンパ及びスピーカユニット - Google Patents

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Description

本発明は、縦糸と横糸とが交錯して織られた織材に樹脂を含浸してなるダンパ基材に、複数本の波部が成形されているスピーカダンパおよびスピーカダンパを用いたスピーカユニットに関するものである。
従来のスピーカダンパは、振幅動作に余裕をもたせるために波形状が採用され、この波の形状は、平面視した場合、同心円を描く形状が一般的であった。ダンパには、縦糸と横糸とで織込んだ布状の物が使用され、伸縮ができるように、プレスによって波部が成形されている。素材となる織材には樹脂が含浸され、このようなダンパ基材は、縦糸と横糸に織込まれた糸の性質や、織材の強度を強化するために使用される樹脂溶剤の影響により、糸が直角に交錯する方向と、糸に対して斜め45度の方向と、で強度や柔軟性が異なってしまう。その結果、ダンパが伸縮動作を行う際に、前述した方向に対応して異なる伸縮動作を起こしていた。そのため、ダンパの伸縮動作を大きくさせようとすると、柔軟性のある方向では、湾曲してたわみ易いのに対して、柔軟性の少ない方向では、湾曲してたわみ難く、その結果として、歪んだ変形を起こす。このような歪んだ動きが、ダンパをスムーズに振幅動作し難くする要因になっている。
そこで、従来、このような問題を解決する技術として、特開平9−154199号公報がある。この公報に記載されたスピーカダンパは、ダンパ基材に波部をプレス成形するにあたって、糸に対して斜め45°の方向でダンパ基材の潰れ量を多くして、この方向でスピーカダンパの剛性を高めている。
特開平9−154199号公報
しかしながら、前述した従来のスピーカダンパにあっては、ダンパ基材に局所的な潰れ変形を余儀なくされ、潰す量に高い精度が要求されるので、潰す量が不均一になり易く、それによってスピーカダンパが不均一な振幅動作を起こし易くなってしまうといった問題点がある。
本発明は、簡単な構成で、不均一な振幅動作を起こし難くしたスピーカダンパおよびスピーカダンパを用いたスピーカユニットを提供することを目的とする。
本発明は、縦糸が交錯して織られた織材に樹脂を含浸してなるダンパ基材に、円形の中央開口と同心をなす複数本の波部からなる波群を有するスピーカダンパにおいて、
前記波群のうちの少なくとも1本の波部は、
前記縦糸と前記横糸が交差する点を結び前記中央開口の中心から延在する4本の中間基準線と交差して、この中間基準線に対して直交して延在する4本の直線部と、
隣接する前記直線部の端部同士を結ぶと共に、前記中央開口の前記中心から前記縦糸に沿って延在する縦糸基準線と交差して、前記縦糸基準線上に中心を有する2本の第1の円弧部と、
隣接する前記直線部の端部同士を結ぶと共に、前記中央開口の前記中心から前記横糸に沿って延在する横糸基準線上と交差して、前記横糸基準線上に中心を有する2本の第2の円弧部と、を有する矩形波部である。
本発明によれば、簡単な構成で、不均一な振幅動作を起こし難くできる。
本発明に係るスピーカダンパの第1の実施形態を示す平面図及び斜視図である。 本発明に係るスピーカダンパの第2の実施形態を示す平面図及び斜視図である。 本発明に係るスピーカダンパの第3の実施形態を示す平面図及び斜視図である。 本発明に係るスピーカダンパの第4の実施形態を示す平面図及び斜視図である。
以下、図面を参照しつつ本発明に係るスピーカダンパの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明に係るスピーカユニットは、以下に説明した各々の実施形態に基づくスピーカダンパを適用したことを特徴とするスピーカユニットである。
[第1の実施形態]
図1に示されるように、スピーカダンパ1には、縦糸2と横糸3が交錯する平織又はあや織からなる織材4aに、樹脂を含浸させてなるダンパ素材4が利用され、このダンパ素材4にプレス成形を施すことにより複数の環状な波部5が形成される。なお、符合Xは、縦糸2の延在方向を示し、符合Yは、横糸3の延在方向を示し、縦糸2と横糸3は90度の角度をもって交錯する。縦糸2と横糸3の角度は、90度に限定されないが、以下各々の実施形態は、縦糸2と横糸3の角度を90度として説明する。
円形をなすスピーカダンパ1には、ボイスコイルボビン(不図示)が挿入されかつ固定される円形の中央開口7が設けられていると共に、この中央開口7の近傍からスピーカダンパ1の外周の近傍に渡って波群8が設けられている。各波部5は、断面C字状又は断面U字状を有すると共に、スピーカダンパ1の表裏で突出する。波部5がスピーカダンパ1の径方向で連続することによって、波群8が構成されている。なお、図1(a)において、山の頂部は実線で示されている。
波群8は、矩形波部10を少なくとも1本含む。この矩形波部10の4本の直線部11は、縦糸2と横糸3が交差する点を結び、中央開口7の中心Rから延在する4本の中間基準線L1に対して直交して延在する。中間基準線L1は、本実施形態においては、中央開口7の中心から縦糸2と横糸3に対して45度の角度で延在する。
さらに、矩形波部10の2本の第1の円弧部12は、隣接する直線部11の端部11a,11b同士を結ぶと共に、中央開口7の中心Rから縦糸2に沿って延在する縦糸基準線L2と交差して、縦糸基準線L2上に中心を有する。
さらに、矩形波部10の2本の第2の円弧部13は、隣接する直線部11の端部11c,11d同士を結ぶと共に、中央開口7の中心Rから横糸3に沿って延在する横糸基準線L3と交差して、横糸基準線L3上に中心を有する。
波群8において、矩形波部10の直線部11の長さが、中央開口7から遠ざかるにつれて短くなる。また、互いに直線部11は、平行に延在している。そして、直線部11と第1の円弧部12との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ境界線S1と、直線部11と第2の円弧部13との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ境界線S2とで挟まれた部分に直線部11がそれぞれ配置されている。
図1に示されるような波群8では、中央開口7に隣接して矩形波部10Aが配置されると共に、外周に隣接して円形の波部14が配置されている。そして、波群8は、中央開口7から外周に向かって直線部11が短くなることで、波部5の形状が、矩形波部10Aから円形の波部14に徐々に変移していく。
同心円状の波部をもった一般的なスピーカダンパは、縦糸基準線L2及び横糸基準線L3上で波部が伸縮し易いのに対して、中間基準線L1上で波部が伸縮し難い。その現象に着目して、前述したスピーカダンパ1では、縦糸基準線L2及び横糸基準線L3上には、円弧部12,13を配置させ、中間基準線L1と直交するように直線部11を配置させている。このような構成を採用することで、従来の同心円状の波部に比べて、縦糸基準線及L2及び横糸基準線L3上で波部5を伸縮させ難いように調整し、中間基準線L1上で波部5を伸縮させ易いように調整することができる。
これによって、簡単な構成をもって、スピーカダンパ1を全体に渡って均一に振幅動作させることができる。特に、大型のスピーカダンパ1の場合、縦糸2と横糸3の繊維径が大きくなり、ダンパ基材4自体の剛性が高まると同時に、振幅動作が大きいので、中間基準線L1、縦糸基準線L2、横糸基準線L3上で波部5の伸縮に差が生じ易いが、前述したスピーカダンパ1のような構成を採用することで、直線部11や円弧部12,13の長さを適宜変更することにより、スピーカダンパ1の大きさやダンパ素材4の特性に容易に対応させることが可能となる。
[第2の実施形態]
図2に示されるように、スピーカダンパ1Aの波群28において、矩形波部20の直線部21の長さが、中央開口7から遠ざかるにつれて長くなる。また、互いの直線部21は、平行に延在している。そして、直線部21と第1の円弧部22との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ境界線S1と、直線部21と第2の円弧部23との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ境界線S2とで挟まれた部分に直線部21がそれぞれ配置されている。
図2に示されるような波群28では、中央開口7に隣接して円形の波部24が配置されると共に、外周に隣接して矩形波部20Aが配置されている。そして、波群8は、中央開口7から外周に向かって直線部21が長くなることで、円形の波部24が矩形波部20Aに徐々に変移していく。
[第3の実施形態]
図3に示されるように、スピーカダンパ1Bの波群38において、矩形波部30の直線部31の長さが、中央開口7から遠ざかっても同じである。また、互いの直線部31は、平行に延在している。そして、直線部31と第1の円弧部32との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ境界線S1と、直線部31と第2の円弧部33との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ境界線S2とで挟まれた部分に直線部31がそれぞれ配置されている。
図3に示されるような波群38では、中央開口7に隣接して矩形波部30Aが配置されると共に、外周に隣接して矩形波部30Bが配置されている。そして、波群38は、中央開口7から外周に向かって直線部21の長さが徐々に長くなり、矩形波部30Aが徐々に大きくなるように変移していく。
[第4の実施形態]
図4に示されるように、スピーカダンパ1Cの波群48において、矩形波部40の直線部41の長さが、中央開口7から遠ざかるにつれて長くなり、その後、さらに遠ざかるにつれて短くなる。また、互いの直線部41は、平行に延在している。そして、直線部41と第1の円弧部42との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ「く」の字状の境界線S1と、直線部41と第2の円弧部43との境界を中央開口7側から外周側へと結んだ「く」の字状の境界線S2とで挟まれた部分に直線部41がそれぞれ配置されている。
図4に示されるような波群48では、中央開口7に隣接して円形の波部44が配置されると共に、外周に隣接して円形の波部45が配置され、最も内側に位置する円形の波部44と最も外側に位置する円形の波部45との略中間に、最も長い直線部41Aが配置されている。そして、波群48において、矩形波部40の直線部41の長さは、最も内側の直線部41Bから中間に位置する最も長い直線部41Aに向かって徐々に長く変移すると共に、最も長い直線部41Aから、最も外側の直線部41Cに向かって徐々に短くなる。
その結果、波群48は、矩形波部40を介して内側に位置する小さな円形の波部44から外側に位置する大きな円形の波部45に変移していく。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、下記のような種々の変形が可能である。
例えば、前述した直線部は、実質的な直線であれば良く、多少湾曲していても良い。
1,1A,1B,1C…スピーカダンパ 2…縦糸 3…横糸 4…ダンパ基材 4a…織材 5…波部 7…中央開口 8,28,38,48…波群 10,20,20A,30,30A,30B…矩形波部 11,21,31,41,41A,41B,41C…直線部 12,22,32,42…第1の円弧部 13,23,33,43…第2の円弧部 14,24,44,45…円形の波部 R…中央開口の中心 L1…中間基準線 L2…縦糸基準線 L3…横糸基準線

Claims (5)

  1. 縦糸と横糸とが交錯して織られた織材に樹脂を含浸してなるダンパ基材に、円形の中央開口と同心をなす複数本の波部からなる波群を有するスピーカダンパにおいて、
    前記波群のうちの少なくとも1本の波部は、
    前記縦糸と前記横糸が交差する点を結び前記中央開口の中心から延在する4本の中間基準線と交差して、前記中間基準線に対して直交して延在する4本の直線部と、
    隣接する前記直線部の端部同士を結ぶと共に、前記中央開口の前記中心から前記縦糸に沿って延在する縦糸基準線と交差して、前記縦糸基準線上に中心を有する2本の第1の円弧部と、
    隣接する前記直線部の端部同士を結ぶと共に、前記中央開口の前記中心から前記横糸に沿って延在する横糸基準線と交差して、前記横糸基準線上に中心を有する2本の第2の円弧部と、を有する矩形波部である、
    スピーカダンパ。
  2. 前記波群において、前記矩形波部の前記直線部の長さが、前記中央開口から遠ざかるにつれて短くなる請求項1記載のスピーカダンパ。
  3. 前記波群において、前記矩形波部の前記直線部の長さが、前記中央開口から遠ざかるにつれて長くなる請求項1記載のスピーカダンパ。
  4. 前記波群において、前記矩形波部の前記直線部の長さが、前記中央開口から遠ざかるにつれて長くなり、その後、さらに遠ざかるにつれて短くなる請求項1記載のスピーカダンパ。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載のスピーカダンパを用いた、スピーカユニット。
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