JP2009049719A - ダンパー及びこれを用いたスピーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】 長径方向と短径方向とを有するトラック形もしくは楕円形のダンパー及びこれを用いたスピーカーに関し、小入力信号に対する振幅変位の直線性確保、および、大入力信号に対する振幅制限という、相反する性能を両立させることができ、さらに、さらに上下振幅の対称性がよく、ローリングを抑制して、歪や異音の発生が少ないダンパーおよびスピーカーを提供する。
【解決手段】 本発明のダンパーは、内周部と外周部とを連結する支持可動部が、複数の山部と谷部とを有し、隣接する山部および谷部の離間距離(ロール間ピッチ)が、周方向における長径方向で大きく、短径方向で小さくなるコルゲーションを含み、基準平面からのコルゲーションの山部および谷部の高さ(ロール高)が、長径方向で最も高く、短径方向に至るにつれて低くなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、音響再生のためのスピーカーに用いるダンパー、およびこれを用いたスピーカーに関する。
スピーカー用のダンパーは、振動板及びボイスコイルボビンを含む振動系を所定位置に支持し、かつ、良好に振動可能にするために、その内周部がボイスコイルボビンに接合し、その外周部がフレーム又は磁気回路等に接合し、支持可動部が内周部と外周部とを連結する。従来のダンパーでは、支持可動部を波形のコルゲーションとしたコルゲーションダンパーが多く使用され、綿糸、アラミド繊維糸等の織布にフェノール樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を含浸したプリプレグを基材として、金型で加熱成型することにより製造される。スピーカーが長円形(トラック形、もしくは、楕円形)等の、長径方向と短径方向とを有する振動板を備える場合には、ダンパーの内周部および外周部と、支持可動部のコルゲーションとは、トラック形もしくは楕円形に形成されることが多い。
コルゲーションダンパーの形状および材料などについては、小入力信号に対する振幅変位の直線性確保、および、大入力信号に対する振幅制限という、相反する性能が求められるので、従来から様々な検討がなされている。また、トラック形もしくは楕円形のダンパーでは、短径方向で十分な振幅変位が確保できず、歪音が発生する、あるいは、ボイスコイルがローリングして異音を生じる、等の問題が発生しやすい。そこで、例えば、長径方向のコルゲーションの数が短径方向のコルゲーションの数より多いダンパーを備えるスピーカーがある(特許文献1)。また、コルゲーション間隔を放射方向により異なるように形成するとともに一部に切欠部を設けたダンパー(特許文献2)や、ダンパーの短径方向にフレームとの接着部を無くして、振幅が大きくとれるようにしたダンパーがある(特許文献3)。
特開平1−269396号公報 (第1図〜第3図) 特開昭61−114699号公報 (第1図、第2図) 特開平8−51695号公報 (第1図〜第3図)
しかしながら、従来技術のダンパーでは、いずれも充分ではない。特に、トラック形もしくは楕円形のダンパーでは、長径方向と短径方向でスティフネスが異なるので、振幅変位の直線性を確保するのは容易でない。さらに、短径方向で十分な振幅変位を確保するために、ダンパーの支持可動部の短径方向に小孔または切欠部を設ける場合には、短径方向、もしくは、長径方向のローリングを抑制できずに異音を生じる、等の問題が生じることがある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、長径方向と短径方向とを有するトラック形もしくは楕円形のダンパー及びこれを用いたスピーカーに関し、小入力信号に対する振幅変位の直線性確保、および、大入力信号に対する振幅制限という、相反する性能を両立させることができ、さらに、さらに上下振幅の対称性がよく、ローリングを抑制して、歪や異音の発生が少ないダンパーおよびスピーカーを提供することにある。
本発明のダンパーは、外形が長径方向と短径方向とを有する長円形(トラック形もしくは楕円形)のダンパーであって、ボイスコイルボビンと接合する内周部と、フレームと接合する外周部と、内周部と外周部とを連結する支持可動部とを備え、支持可動部が、複数の山部と谷部とを有し、隣接する山部および谷部の離間距離(ロール間ピッチ)が、周方向における長径方向で大きく、短径方向で小さくなるコルゲーションを含み、基準平面からのコルゲーションの山部および谷部の高さ(ロール高)が、長径方向で最も高く、短径方向に至るにつれて低くなる。
好ましくは、本発明のダンパーは、支持可動部のコルゲーションの隣接する2つの山部、および、それらの中間に位置する谷部が規定するV字型溝の角度が、周方向における長径方向で90°以上であり、短径方向に至るにつれてもほぼ一定である。
好ましくは、本発明のダンパーは、支持可動部のコルゲーションにおいて、周方向における短径方向から±30°〜60°の範囲が、切除されている。
好ましくは、本発明のダンパーは、内周部が、長径方向と同一方向に長径方向を有し、短径方向と同一方向に短径方向を有する長円形である。
また、好ましくは、本発明のスピーカーは、本発明のいずれかのダンパーを備える。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のダンパーは、支持可動部が円周状のコルゲーションで構成されるダンパーであって、フレームと接合する外周部は、外形が長径方向と短径方向とを有する長円形(トラック形もしくは楕円形)であり、好ましくは、ボイスコイルボビンと接合する内周部は、円形もしくは長径方向と同一方向に長径方向を有し短径方向と同一方向に短径方向を有する長円形である。したがって、本発明のダンパーは、トラック形、もしくは、楕円形、等の長径方向と短径方向とを有する長円形の振動板を備えるスピーカー、ならびに、長円形のボイスコイルボビンを備えるスピーカーに適している。
本発明のダンパーの支持可動部のコルゲーションは、複数の山部と谷部とを有し、隣接する山部および谷部の離間距離(ロール間ピッチ)は、周方向における長径方向で大きく、短径方向で小さくなる。加えて、基準平面からのコルゲーションの山部および谷部の高さ(ロール高)は、長径方向で最も高く、短径方向に至るにつれて低くなる。好ましくは、支持可動部のコルゲーションの隣接する2つの山部、および、それらの中間に位置する谷部が規定するV字型溝の角度は、長径方向で90°以上であり、短径方向に至るにつれてもほぼ一定である。なお、コルゲーションの山部および谷部を形成するロールは、全周で連続して滑らかにそのロール形状が変化するように形成され、後述する他の実施形態では、支持可動部のコルゲーション(外周部を含む場合がある)が切除される場合がある。また、基準平面とは、コルゲーションの山部および谷部の高さを規定する平面であり、内周部または外周部がこの基準平面上にあってもよい。
すなわち、コルゲーションの山部および谷部の形状(ロール間ピッチ、および、ロール高)は、長径方向から短径方向に至るにつれて変化するものの、コルゲーションのV字型溝の角度は全周に渡ってほぼ一定であり、ダンパーの外形または内形が長円形であっても、全周方向に渡ってほぼ一定のスティフネス(もしくはコンプライアンス)を得ることができる。さらに、V字型溝の角度が90°以上で全周に渡ってほぼ一定であれば、長径方向と短径方向を有する長円形のダンパーであっても、振幅変位の直線性を確保することができ、また、大入力信号に対する振幅制限および上下振幅の対称性を改善することができる。
また、支持可動部のコルゲーションを、周方向における短径方向から±30°〜60°の範囲で切除するときには、長径方向の支持可動部のコルゲーションがいわば支持アームを構成し、小入力信号に対する振幅変位の直線性確保、および、大入力信号に対する振幅制限を実現できる。切除する範囲が短径方向から±30°〜60°であれば、短径方向の支持をフリーにしても、長径方向の支持可動部のコルゲーションが連続して滑らかに変化するロール形状を有するので、短径方向へのローリングを抑制して、歪もしくは異音の発生等の不具合が生じることがない。なお、支持可動部のコルゲーションを±30°〜60°の範囲で切除する場合には、外周部も同じ範囲で切除しても良い。ダンパーの短径方向の外形寸法を更に小さくすることができる。
本発明のダンパーは、長径方向と短径方向とを有するトラック形もしくは楕円形であっても、小入力信号に対する振幅変位の直線性確保、および、大入力信号に対する振幅制限という、相反する性能を両立させることができ、さらに上下振幅の対称性がよく、ローリングを抑制して、歪や異音の発生が少ないダンパー、およびこれを用いたスピーカーを提供できる。
本発明のダンパー及びこれを用いたスピーカーは、本発明の目的を、外形が長径方向と短径方向とを有する長円形(トラック形もしくは楕円形)のダンパーであって、ボイスコイルボビンと接合する内周部と、フレームと接合する外周部と、内周部と外周部とを連結する支持可動部とを備え、支持可動部が、複数の山部と谷部とを有し、隣接する山部および谷部の離間距離(ロール間ピッチ)が、長径方向で大きく、短径方向で小さくなるコルゲーションを含み、基準平面からのコルゲーションの山部および谷部の高さ(ロール高)が、長径方向で最も高く、短径方向に至るにつれて低くなるようにしたことにより、実現した。
以下、本発明の好ましい実施形態によるダンパー及びこれを用いたスピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。図1(a)は、動電型スピーカー1を前面側斜め上方から見た斜視図であり、図1(b)は、動電型スピーカー1を構成する磁気回路10を前面側斜め上方から見た拡大斜視図である。本実施例の動電型スピーカー1は、長径方向長が約15cm、短径方向長が約4cmのトラック形のスピーカー振動板2を有する細長形の動電型スピーカーである。なお、後述するように、動電型スピーカー1の一部の構造や、内部構造等は、省略している。
外形及び内形がトラック形でコーン形状を有するスピーカー振動板2は、エッジ3によってその外周端を支持されており、エッジ3の外周端は、フレーム6に固定されている。また、スピーカー振動板2の内周端には、ボビンならびにコイルから成るボイスコイル4が連結しており、その上端には外形がトラック形状のドーム状のダストキャップ5が接着されている。また、フレーム6は、トラック形のスピーカー振動板2に対応した細長形状であり、フレーム6に固定される磁気回路10も、短径方向長以下の幅が狭い細長形状を有している。図1(a)において、フレーム6の窓からは、ボイスコイル4と、後述するダンパー7bが露出している。したがって、動電型スピーカー1は、ディスプレイ等の機器が有する表示部の側面など、スピーカーを取り付ける幅が少ない機器に適するスピーカーである。
磁気回路10は、フレーム6に固定される細長形のトッププレート11と、断面形状がトラック形の長円筒形状であってトッププレート11の中央に形成されたトラック形孔に挿入されるセンターポール12と、センターポール12を中央に配置する細長形のアンダープレート14と、トッププレート11およびアンダープレート14に狭持されるマグネット15と、から構成される。トッププレート11およびセンターポール12は、均等な幅を有するトラック形磁気空隙13を形成する。すなわち、磁気回路10は、トラック形磁気空隙13を有する外磁型磁気回路であり、磁気回路10の長径方向及び短径方向は、トラック形のスピーカー振動板2の長径方向および短径方向と一致している。なお、点A−A’を結ぶ直線が延びる方向が長径方向であり、また、点B−B’を結ぶ直線が延びる方向が短径方向である。
ボイスコイル4は、断面形状がトラック形の長円筒形に形成したボビンと、その一端側に巻回されて音声電流が供給されるコイルと、から形成される。ボビンは、コイルが巻回されない他端側に近い外側の側面が、スピーカー振動板2の内周端に接着剤により連結される。ボイスコイル4は、後述する本実施例のダンパーにより、振動可能に支持されており、コイルは、後述する磁気回路10のトラック形磁気空隙13に配置される。したがって、スピーカー振動板2、エッジ3、ボイスコイル4、および、後述する本実施例のダンパーからなるスピーカー振動系は、フレーム6に対して振動可能に支持される。動電型スピーカー1では、ボイスコイル4のコイルに音声電流が供給されると、磁気空隙13に配置されたボイスコイル4に駆動力が作用し、ボイスコイル4は前後方向に振動し、連結されたスピーカー振動板2も前後方向に振動する。なお、動電型スピーカー1において前後とは、スピーカー振動板2が振動する場合に、ボイスコイル4、ダンパー7、および、磁気回路10が取り付けられる側を後側とし、スピーカー振動板2が露出する側を前側としている。
図2は、本発明の好ましい実施形態によるダンパー7aについて説明する図であり、図2(a)は、ダンパー7aの平面図および断面図であり、図2(b)は、ダンパー7aの1/2部分を前面側斜め上方から見た拡大斜視図である。ダンパー7aは、綿およびポリエステル繊維の複数の縦糸及び横糸が概略直交する織布に、フェノール樹脂を含浸したプリプレグを基材とし、金型で加熱成型されて、内周および外周を切断されて形成されるトラック形のダンパーである。ダンパー7aの外周の長径方向長は約60mm、短径方向長は約36mm、そして、トラック形の円弧の半径は約18mmである。また、ダンパー7aの内周の長径方向長は約20mm、短径方向長は約10mm、そして、トラック形の円弧の半径は約5mmである。
ダンパー7aは、ボイスコイル4のボビンと接合するトラック形の内周部71と、フレーム6と接合する平面を備えるトラック形の外周部72と、内周部71と外周部72とを連結する半径方向の断面が波形であり、周方向の形状がトラック形状のコルゲーションから構成される支持可動部73と、を備える。図2(a)のA−A’断面図およびB−B’断面図に示すように、ダンパー7aの内周部71および外周部72は、図2(b)に示す同一のx−y平面の上に位置するので、このx−y平面(z=0)をダンパー7aの基準平面とする。
ダンパー7aの支持可動部73のコルゲーションは、具体的には、3つの山部74と2つの谷部75とを有する。図2(a)に示す平面図では、山部74を実線で記載し、谷部75を点線で記載している。支持可動部73のコルゲーションの隣接する2つの山部74、および、それらの中間に位置する谷部75は、所定の角度を有するV字型溝を形成する。なお、山部とは、スピーカー振動板2が取り付けられる前側から見た場合に凸状のロールを形成する稜線を含む部分を指し、谷部とは、前側から見た場合に凹状のロールを形成する谷線を含む部分を指す。支持可動部73のコルゲーションは、半径方向の断面形状が波形になるので、前側から見る場合と後側から見る場合とでは、山部と谷部が入れ替わることになる。支持可動部73のコルゲーションは、内周部71および外周部72の寸法と、複数の山部74および谷部75の数と、それぞれの山部74および谷部75の離間距離(ロール間ピッチ)と、それぞれの山部74および谷部75の基準平面からの高さ(ロール高)と、から規定される。
ダンパー7aはトラック形の支持可動部73を有するので、その半径方向の断面形状は、コルゲーションを形成する波形であって、周方向の角度によって変化する。例えば、長径方向(O−A方向、O−A’方向。もしくは、長円形の短辺方向。)におけるコルゲーション76aは、周方向に円弧状であり、短径方向(O−B方向、O−B’方向。もしくは、長円形の長辺方向。)のコルゲーション76bは、直線状である。例えば、山部74上において、円弧状のコルゲーション76aと直線状のコルゲーション76bが連結する点qは、トラック形の変曲点であり、点qを規定する角度は、トラック形の長径と短径の比によって異なるものの、多くの場合には、周方向における短径方向からの角度(例えば、点B−点O−点qで規定される角度)が、±30°〜60°の範囲に出現する。したがって、トラック形であるダンパー7aの場合には、支持可動部73のコルゲーションを規定する山部74および谷部75の離間距離(ロール間ピッチ)、基準平面からの高さ(ロール高)、ならびに、山部74および谷部75で形成されるV字型溝の角度は、長径方向と短径方向とで相互に変化する関係にある。
ここで、本実施例のダンパー7aでは、隣接する山部74および谷部75の離間距離(ロール間ピッチ)が、長径(0−A)方向で図2(a)のA−A’断面図に示す値Pa(約3.2mm)であり、短径(0−B)方向で図2(a)のB−B’断面図に示す値Pb(約1.8mm)である。このように長径方向のロール間ピッチ値Paの方が、短径方向のロール間ピッチ値Pbよりも大きくなっている。したがって、トラック形のダンパー7aでは、山部74および谷部75のロール間ピッチ値は、周方向の角度において変化し、長径方向で最も大きく、短径方向に至るにつれて小さくなる。なお、コルゲーションの山部74および谷部75を形成するロールは、全周で連続して滑らかにそのロール形状が変化するように形成され、ロール間ピッチは、長径方向から短径方向に至るにつれて小さくなり、先述のトラック形の変曲点である点qから短径方向までの間は、変化しない。
また、本実施例のダンパー7aでは、基準平面からの山部74および谷部75の高さ(ロール高)が、長径(0−A)方向で図2(a)のA−A’断面図に示す値Ha(約1.19mm)であり、短径(0−B)方向で図2(a)のB−B’断面図に示す値Hb(約0.61mm)である。このように長径方向のロール高値Haの方が、短径方向のロール高Hbよりも大きくなっている。したがって、トラック形のダンパー7aでは、山部74および谷部75のロール高の値は、周方向の角度において変化し、長径方向で最も高く、短径方向に至るにつれて低くなる。なお、ロール高は、長径方向から短径方向に至るにつれて小さくなり、先述のトラック形の変曲点である点qから短径方向までの間は、変化しない。また、本実施例のダンパー7aでは、周方向の所定の角度における、複数の山部74および谷部75の高さ(ロール高)は、それぞれ等しくされている。
次に、本実施例のダンパー7aでは、山部74および谷部75で形成されるV字型溝の角度δ0は約90°であり、コルゲーションの周方向でほぼ一定である。つまり、支持可動部のコルゲーションの山部74および谷部75の形状(ロール間ピッチ、および、ロール高)は、長径方向から短径方向に至るにつれてそれぞれ変化するものの、隣接する2つの山部74、および、それらの中間に位置する谷部75が規定するV字型溝の角度δ0は、長径方向で90°以上であり、短径方向に至るにつれてもほぼ一定である。このV字型溝の角度δ0が全周に渡ってほぼ一定であるので、後述するように、ダンパー7aがトラック形であっても、全周方向に渡ってほぼ一定のスティフネス(もしくはコンプライアンス)を得て、振幅変位の直線性を確保することができ、また、大入力信号に対する振幅制限および上下振幅の対称性を改善することができる。
本実施例のダンパー7aでは、ボイスコイル4のボビンと接合する内周部71は、トラック形の内周端を有している。ただし、ボイスコイル4が、断面形状が円形の円筒形状のボビン、ならびに、円筒状に巻回されたコイルを備え、かつ、動電型スピーカー1を構成する磁気回路10が、ボイスコイル4に対応する円形磁気空隙を有する場合には、ダンパー7は、断面形状が円形のボイスコイル4に対応する円形の内周部71を有していても良い。また、支持可動部のコルゲーションを構成する複数の山部74の数は、少なくとも2つ以上であれば良く、谷部75は隣接する2つの山部74の間に位置するものが一つ以上であれば良い。もちろん、内周部71は、円形、もしくは、トラック形だけでなく、長円形、矩形、楕円形、等の様々な形状に対応可能である。
図3は、本発明の他の好ましい実施形態によるダンパー7bについて説明する図であり、図3(a)は、ダンパー7bの平面図であり、図3(b)は、ダンパー7bの1/2部分を前面側斜め上方から見た拡大斜視図である。ダンパー7bは、先の実施例のダンパー7aの支持可動部73のコルゲーションにおいて、周方向における短径方向の一部を切除して短径方向の支持をフリーにしたダンパーである。つまり、ダンパー7bは、支持可動部73の長径方向のコルゲーション76aが略扇形状にされて、ボイスコイル4を長径方向において支持するアームを形成するダンパーである。なお、ダンパー7bの説明において、ダンパー7aと共通する部分については、説明を省略する。また、図3(b)では、外周部72も、支持可動部73と同じ角度の範囲で切除されて図示されている。
実施例のダンパー7bでは、短径方向(O−B方向、O−B’方向)のコルゲーション76bが短径方向からの角度α(約±37°)の範囲で切除されている。その結果、支持可動部73のコルゲーションは、複数の山部74および谷部75が波形の断面形状として露出する直線状の端面76cを有する。ただし、トラック形の内周部71、および、フレーム6と接合する平面を備えるトラック形の外周部72は、それぞれ切除されていないので、ダンパー7bの支持可動部73のコルゲーションは、先の実施例のダンパー7aの短径方向に台形状の孔が空けられたものになる。したがって、ダンパー7bは、先の実施例のダンパー7aを成形した後に、支持可動部73のコルゲーションの短径方向の所定の範囲を金型等で切除して形成すれば良い。
ダンパー7bにおいては、短径方向の支持がフリーになるので、小入力信号に対する振幅変位の直線性を確保しやすくなる。また、支持可動部73のコルゲーションを切除する範囲が短径方向から±30°〜60°であれば、残される長径方向のコルゲーション76aが連続して滑らかに変化するロール形状を有するので、短径方向にも剛性を発揮する。その結果、ダンパー7bでは、短径方向の支持をフリーにしても、短径方向へのローリングの発生を抑制することができ、歪もしくは異音の発生等の不具合の発生頻度を低くすることができる。
なお、支持可動部73のコルゲーションを±30°〜60°の範囲で切除する場合には、図3(b)で示すように、外周部72も同じ範囲で切除しても良い。ダンパーの短径方向の外形寸法を更に小さくすることができる。また、切除する部分を規定する端面76cを規定する線は、曲線であっても良く、直線に限定されない。
図4は、比較例のダンパー8aについて説明する図であり、図4(a)は、ダンパー8aの平面図であり、図4(b)は、ダンパー8aの1/2部分を前面側斜め上方から見た拡大斜視図である。比較例のダンパー8aは、先の実施例のダンパー7aの支持可動部73のコルゲーションの形状において相違する。つまり、ダンパー7aのトラック形の内周部71および外周部72の形状寸法と、ダンパー8aのトラック形の内周部81および外周部82の形状寸法と、は、ほぼ等しいので、共通する部分については説明を省略する。
比較例のダンパー8aの支持可動部83のコルゲーションは、3つの山部84と2つの谷部85とを有する点、ならびに、長径方向のロール間ピッチ値Paの方が短径方向のロール間ピッチ値Pbよりも大きくなっている点、では、実施例のダンパー7aの支持可動部73のコルゲーションと一致する。ダンパー7aとダンパー8aとの相違は、支持可動部のコルゲーションの設計の基準として、コルゲーションのV字型溝の角度を全周に渡ってほぼ一定にする場合と、基準平面からの高さ(ロール高)を全周に渡ってほぼ一定にする場合と、の違いである。ダンパー8aの支持可動部83のコルゲーションは、それぞれの山部84および谷部85の基準平面からの高さ(ロール高)の値H0が一定(約2.4mm)であり、その結果、山部84および谷部85で形成されるV字型溝の角度は、長径方向のδa(約90°)から短径方向のδb(約52°)まで、緩やかに変化する。
すなわち、ダンパー8aの支持可動部83のコルゲーションは、従来の通りロール高を一定にしているだけであり、長径方向から短径方向に至るにつれて、コルゲーションのV字型溝の角度が変化するので、トラック形状の全周方向に渡ってほぼ一定のスティフネス(もしくはコンプライアンス)を得るのは難しい形状である。V字型溝の角度が変化する割合が大きければ、長径方向と短径方向でのスティフネスの差は、大きくなる。
図5は、実施例のダンパー7a、7b、および、比較例のダンパー8aの荷重に対するz方向の変位特性を表すグラフである。グラフの横軸は、約10Nの荷重を加えた場合を100%としたときに、ダンパーの内周部に加える荷重を割合で表示したものである。縦軸は、動電型スピーカーのスピーカー振動板およびボイスコイルを含む振動系が振動するz方向の変位であり、それぞれのダンパーが直線性を良く振動可能に支持する方向の変位量である。図5(a)は実施例のダンパー7aの場合であり、図5(b)は実施例のダンパー7bの場合であり、一方で、図5(c)は比較例のダンパー8aの場合である。このように、実施例のダンパー7aは、比較例のダンパー8aに比べて直線性に優れている。また、コルゲーションの短径方向の一部を切除した実施例のダンパー7bでも、比較例のダンパー8aと同等以上の直線性を発揮する。
図6および図7は、実施例のダンパー7a、7b、および、比較例のダンパー8aの荷重に対するx方向およびy方向の変位特性を表すグラフである。つまり、グラフの横軸は、約10Nの荷重を加えた場合を100%としたときに、ダンパーの内周部に加える荷重を割合で表示したもので、図5の場合と共通である。ただし、縦軸は、動電型スピーカーのスピーカー振動板およびボイスコイルを含む振動系が振動するべきでないそれぞれx方向(長径方向)またはy方向(短径方向)の変位である。したがって、図6および図7のグラフは、ローリングの発生を予測するのに目安となる変位量を表すグラフであり、縦軸が値0に近いほど、長径方向と短径方向とを有する細長形のスピーカーで発生しやすいローリングが抑制されることを表す。
図6は、x方向(長径方向)の変位であって、図6(a)は実施例のダンパー7aの場合であり、図6(b)は実施例のダンパー7bの場合であり、一方で、図6(c)は比較例のダンパー8aの場合である。このように、実施例のダンパー7aは、比較例のダンパー8aに比べて長径方向のローリングを抑制することができる形状になっていることが分かる。また、コルゲーションの短径方向の一部を切除した実施例のダンパー7bは、実施例のダンパー7a、ならびに、比較例のダンパー8aと比較しても、長径方向のローリングを抑制する効果は、劣っている。
図7は、y方向(短径方向)の変位であって、図7(a)は実施例のダンパー7aの場合であり、図7(b)は実施例のダンパー7bの場合であり、一方で、図7(c)は比較例のダンパー8aの場合である。このように、実施例のダンパー7aは、比較例のダンパー8aに比べて短径方向のローリングを抑制することができる形状になっていることが分かる。また、コルゲーションの短径方向の一部を切除した実施例のダンパー7bであっても、実施例のダンパー7aとほぼ同等な特性を示しており、比較例のダンパー8aと比較しても、短径方向のローリングを抑制する効果は、優れたものになっている。
本発明のダンパーは、本実施例のダンパー7aまたは7bのような、内周部71および外周部72が同一の基準平面上にある平ダンパーであれば良い。ただし、その外周部72が立ち上がりダンパーの立ち上がり部、もしくは、立ち下がりダンパーの立ち下がり部を有していても良い。外周部72が立ち上がり部、もしくは、立ち下がり部を有する場合には、振幅変位が大きなスピーカーを設計する場合であっても、磁気回路もしくはフレームとダンパーとの距離を大きく設計でき、磁気回路もしくはフレームとダンパーとが接触して異音を生じる等の問題が改善される。
なお、本発明のスピーカー用ダンパーの基材は、綿およびポリエステル繊維、もしくはアラミド繊維の織布もしくは不織布でもよく、含浸する樹脂も、フェノール樹脂、もしくは、メラミン樹脂でもよい。本発明は、コルゲーションを備えた硬化する樹脂を含むダンパーであれば、基材の材料、樹脂の材料に制限されない。
本発明のダンパーは、これを用いたスピーカーに限られず、ダンパーと、ボイスコイル等の振動系を備える他の加振器や、センサー等の動電型の電機−機械変換器にも適用が可能である。ダンパーの内周部に接合するのは、磁気回路であってもよく、磁気回路が振動する加振器に適する。
本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるダンパー7aについて説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるダンパー7bについて説明する図である。(実施例2) 比較例のダンパー8aについて説明する図である。(比較例1) ダンパーの荷重に対するz方向の変位特性を表すグラフである。(実施例1、実施例2、比較例1) ダンパーの荷重に対するx方向の変位特性を表すグラフである。(実施例1、実施例2、比較例1) ダンパーの荷重に対するy方向の変位特性を表すグラフである。(実施例1、実施例2、比較例1)
符号の説明
1 動電型スピーカー
2 スピーカー振動板
3 エッジ
4 ボイスコイル
5 ダストキャップ
6 フレーム
7a、7b ダンパー
8a ダンパー
71、81 内周部
72、82 外周部
73、83 支持可動部
74、84 山部
75、85 谷部
10 磁気回路
11 トッププレート
12 センターポール
13 磁気空隙
14 アンダープレート
15 マグネット

Claims (5)

  1. 外形が長径方向と短径方向とを有する長円形のダンパーであって、
    ボイスコイルボビンと接合する内周部と、フレームと接合する外周部と、該内周部と該外周部とを連結する支持可動部とを備え、
    該支持可動部が、複数の山部と谷部とを有し、隣接する該山部および該谷部の離間距離が、該長径方向で大きく、該短径方向で小さくなるコルゲーションを含み、
    基準平面からの該コルゲーションの該山部および該谷部の高さが、該長径方向で最も高く、該短径方向に至るにつれて低くなる、
    ダンパー。
  2. 前記支持可動部の前記コルゲーションの隣接する2つの前記山部、および、それらの中間に位置する前記谷部が規定するV字型溝の角度が、前記長径方向で90°以上であり、前記短径方向に至るにつれてもほぼ一定である、
    請求項1に記載のダンパー。
  3. 前記支持可動部の前記コルゲーションにおいて、周方向における前記短径方向から±30°〜60°の範囲が、切除されている、
    請求項1または2に記載のダンパー。
  4. 前記内周部が、前記長径方向と同一方向に長径方向を有し、前記短径方向と同一方向に短径方向を有する長円形である、
    請求項1から3のいずれかに記載のダンパー。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のダンパーを備えたスピーカー。
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