JP3619337B2 - スピーカ - Google Patents
スピーカ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3619337B2 JP3619337B2 JP26828096A JP26828096A JP3619337B2 JP 3619337 B2 JP3619337 B2 JP 3619337B2 JP 26828096 A JP26828096 A JP 26828096A JP 26828096 A JP26828096 A JP 26828096A JP 3619337 B2 JP3619337 B2 JP 3619337B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- voice coil
- roll
- speaker
- damper
- coil bobbin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Audible-Bandwidth Dynamoelectric Transducers Other Than Pickups (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大入力の音響信号を再生する小型のスピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型で場所をとらない音響再生装置が用いられており、このような用途の音響再生装置に使用されるスピーカは小口径のものが多い。図13は従来の小口径のスピーカの構造例を示す断面図である。このような構造のスピーカについて以下に説明する。
【0003】
図13に示すスピーカ1において、環状のフレーム2の下端部には、センターポール3、磁石4、トッププレート5を含む環状磁気回路6が形成されている。センターポール3の上方外周部とトッププレート5の内周部とで形成される環状の空隙7には、高密度の磁束が生じ、ボイスコイルボビン8が上下動自在に振動するよう保持されている。ボイスコイルボビン8は一般的には薄紙を円筒状に成形した部材で、その下端部外周にはボイスコイル9が回巻されている。
【0004】
ボイスコイル9は音響の駆動電流が印加されると、電磁力を発生してボイスコイルボビン8をピストン振動させるもので、例えばアルミニウムや銅等の線材で形成される。ボイスコイルボビン8の下端部を除く外周部には補強紙10が巻かれ、ボイスコイルボビン8の剛性を確保している。このようなボイスコイルボビン8に振動板11とダンパー(サスペンションともいう)12が固着される。振動板11は、エッジ13を介してフレーム2に取り付けられ、ダンパー12はフレーム2に直接取り付けられ、振動自在に保持されている。
【0005】
このように構成されたスピーカ1において、ボイスコイル9に音声信号に比例した駆動電流が印加されると、この駆動電流と空隙7中の磁束により駆動力が発生し、ダンパー12とエッジ13に保持された振動板11が上下に振動し、音を出力する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示す従来の小型のスピーカ1では、振動板の口径が小さいので、所定の音圧を得るには、振動板11の振動振幅は振動板面積に反比例して大きくしなければならず、また周波数の二乗に反比例して振動振幅を大きくしなければならない。このため小型のスピーカでは特に低周波領域で非常に大きな振幅を確保することが困難であった。
【0007】
振動板を支える従来のダンパー12の構造を図14に示す。このダンパー12は樹脂含浸繊維からなり、中央のプロフィール線で示すように波形断面が同心円状に多数形成される。
【0008】
このダンパー12は図15に示すように、上下に振動するボイスコイルボビン8を支持する。振動板11の振幅が大きい場合には、破線で示す波形が実線のように引き延ばされる。引き延ばされる際に波形の頂点aがa’に移動する。波形の頂点aがa’に移動するためには、波形を構成する中心部の円の半径r1がr2へと増加しなければならない。1つの波形の頂点は同心円上にあるため、半径が大きくなる機構を元来持たない。従って半径r1がr2に変化するためには、材料自体が円周方向に対する伸縮性を有することが必要となる。
【0009】
しかしながらダンパー12の材料は樹脂含浸繊維であるため、材料自身の弾性は小さい。一方、振幅が大きくなるほど同心円の半径の変化も増加しなければならないが、材料自身の伸びが小さいため半径の変化が困難になり、その結果振幅を大きくすることに制限を受ける。
【0010】
図16はダンパー12に加える力と振幅の関係を示す。図示のように3N以上の力から振幅特性が非線形となり、振幅値が飽和する。このように従来の小型のスピーカでは、ダンパーが大振幅で変形しにくい構造であるため、大電力の音を再生することができず、特に低音再生特性が悪く、歪みが多くなるという欠点があった。
【0011】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、大振幅の変形が可能な構造のダンパーを実現することにより、低音特性に優れ歪みの少ないスピーカを提供することを目的する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本願の請求項1記載の発明は、空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、前記ダンパーは、ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着され、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着され、前記平坦部は前記貫通孔の周辺部に3角錐状の突起を設けたものであることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、ダンパーの貫通孔の周辺部に3角錐状の突起を設けているため、ボイスコイルボビンとの接合面を振動方向に拡大することができ、ローリングに対し強度が高くなる。
【0020】
また本願の請求項2記載の発明は、空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、前記ダンパーは、ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着されるとともに、ロールの中心軸方向に対し円弧の半径を変化させたものであり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたことを特徴とするものである。
【0021】
このような構成によれば、ロール状構造体の円弧の半径をロールの中心軸方向に対して変化させたことにより、剛性が一様でなくなり、ダンパー共振が生じにくくなる。
【0022】
また本願の請求項3記載の発明は、空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、前記ダンパーは、ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着されるとともに、ロール断面が楕円状であり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたことを特徴とするものである。
【0023】
このような構成によれば、ロール状構造体のロール断面として、半円弧状に直線の立ち上がりを設けてロール部の変形長さを大きくとることにより、振動振幅を大きくすることができる。
【0024】
また本願の請求項4記載の発明は、空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、前記ダンパーは、ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着されるとともに、ロール断面が楕円状であり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたことを特徴とするものである。
【0025】
このような構成によれば、ロール状構造体のロール断面を楕円状としたことにより、振動振幅を大きくすることができる。
【0026】
また本願の請求項5記載の発明は、空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、前記ダンパーは、ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体は断面半径の異なるものが交互に配置され、その対向辺がスピーカフレームに固着されたものであり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたことを特徴とするものである。
【0027】
このような構成によれば、断面半径の異なるロール状構造体を交互に配置してるため、フレーム取り付け部分を短くすることができる。従って、楕円型振動板のスピーカの支持系に最適となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。なお各実施の形態の図において、従来例と同一の部分は同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。図1は本実施の形態のスピーカに用いるダンパー20の構造を示す斜視図である。本図に示すように、ダンパー20は、4方にロール状構造体21a〜21dと、平板状の取り付け片21a〜21dとを、中央の平坦部24と一体に形成した略四角形状の部材である。そして平坦部24の中央にボイスコイルボビン8を貫通させるための円形の貫通孔23が形成されている。
【0029】
ボイスコイルボビン8の振動方向をZ軸とし、スピーカの前方を+、後方を−とすると、4つのロール状構造体21a〜21dは断面形状が夫々同一で、−Z方向に凸となる半円状の断面を有する弾性部である。4つの取り付け片21a〜21dは平坦部24と同一高さを有し、フレーム2の取り付け面で接合される。また平坦部24の貫通孔23の周辺は、接着剤によりボイスコイルボビン8の外周面に固着される。
【0030】
このような構造のダンパー20を持つスピーカ26の半断面図を図2に示し、その動作について説明する。図2のボイスコイル9に駆動電流が流れると、電磁力によりボイスコイルボビン8の駆動力が発生し、振動板11が振動して音を発生する。ダンパー20とエッジ13は振動板11の往復運動に際し、これを弾性的に支持する。図3は振動板11が+Z方向に振動したときのダンパー20の状態を示している。ダンパー20の平坦部24はボイスコイルボビン8の外周面に固着されているため、ボイスコイルボビン8と一体となって振動する。一方、取り付け辺22は図2に示すフレーム2に固着しているため変位しない。図3において、ロール状構造体21は振動に際しA1からA2へ変位し、振動板11の振動変位を支える。ロール状構造体21は直線状に構成され、且つ夫々のロール状構造体21a〜21dは弾性的に互いに独立しているため、ロールの変形に際して従来の波形ダンパーのように円周方向の材料の収縮や伸張を伴わない。このため力対変位特性の直線性に優れたものとなり、平坦部24の最大振幅も大きくすることができる。
【0031】
図4は本実施の形態のダンパー20の力対変位特性の一例を示している。ここでは5Nの外力まで変位の直線性と、5mmまでの変位が確保される。このように図16の特性と比べると、直線性及び最大振幅ともに優れた特性を示すことが判る。なお平坦部24の形状は正方形の場合を示したが、貫通孔23が確保される限り、三角形以上の多角形であれば良い。
【0032】
(実施の形態2)
次に本発明の第2の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図5は本実施の形態のスピーカに用いられるダンパー30の構造を示す斜視図であり、第1の実施の形態と同一部分は同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。ダンパー30の外形形状は図1に示すものと同一であり、ロール状構造体31の構成のみが異なる。
【0033】
4つのロール状構造体31a〜31dは断面形状が夫々同一で、−Z方向に凸となる半円状の断面を有する弾性体である。ロール状構造体31は樹脂を含浸した天然繊維や合成繊維で構成される。しかし樹脂を含浸させる濃度の異なる2つの領域が設けられ、図5のB1の部分とB2の部分は樹脂の含浸濃度が異なり、中心部に近いB2の方が含浸濃度が低い。
【0034】
図1の場合と同様に、4つの取り付け片21a〜21dは平坦部24と同一高さを有し、フレーム2の取り付け面で接合される。また平坦部24の貫通孔23周辺は、接着剤によりボイスコイルボビン8の外周面に固着される。
【0035】
このような構造のダンパー30の特性について説明する。ロール状構造体31は含浸濃度の異なるB1部分とB2部分で構成されているので、含浸濃度の低いB2の部分はB1の部分に比べ柔らかくなっている。可聴帯域の信号が印加されると、振動板11やエッジ13、ダンパー30等が共振を起こすことがある。これらの共振は、形状と材料ならびに部品相互の結合状態によりその周波数や振幅が決まる。本実施の形態のダンパー30は、ロール状構造体31の剛性が2つの領域で異なるなるために、共振周波数が2つに分散される。このためダンパー30の共振の振幅が小さく、振動板11の振動に対する悪影響を及ぼしにくなる。
【0036】
(実施の形態3)
次に本発明の第3の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図6は本実施の形態のスピーカに用いられるダンパー40の構造を示す斜視図であり、第1の実施の形態と同一の部分は同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。ダンパー40の外形形状は一部のロール状構造体41の湾曲方向を除いて図1に示すものと同一である。
【0037】
4つのロール状構造体41a〜41dのうち、ロール状構造体41b,41dは−Z方向に凸となる半円状の断面を有する弾性部であり、ロール状構造体41a,41cは+Z方向に凸となる半円状となる断面を有する弾性部である。このように平坦部24の正方形の外周辺に沿って弾性部が凸、凹、凸、凹となるよう配置されている。しかし断面形状そのものは4つとも同一である。図1の場合と同様に、4つの取り付け片21a〜21dは平坦部24と同一高さを有し、フレーム2の取り付け面で接合される。また平坦部24の貫通孔23周辺は、接着剤によりボイスコイルボビン8の外周面に固着される。
【0038】
このような構造のダンパー40の特性について説明する。ロール状構造体41はその湾曲方向が振動板11の振動方向に対して交互に異なるよう配置されているため、振動に対してロール状構造体41b,41dとロール状構造体41a,41cとは対称に変形する。このため材料の不均一や形状の不均一から生ずる振動特性のアンバランスが相殺され、大振幅時のスピーカの歪みをより少なくすることができる。
【0039】
(実施の形態4)
次に本発明の第4の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図7は本実施の形態のスピーカに用いられるダンパー50の構造を示す斜視図であり、第1の実施の形態と同一部分は同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。ダンパー50の外形形状は平坦部51の構造を除いて図1に示すものと同一である。
【0040】
平坦部51は貫通孔23の周辺部に3角錐状の突起52a〜52dを設けたものである。その他の構造は図1の場合と同様であり、4方にロール状構造体21a〜21dと、平板状の取り付け片21a〜21dとが中央の平坦部51と一体に形成されている。4つの取り付け片21a〜21dは平坦部51と同一高さを有し、フレーム2の取り付け面で接合される。特に突起52a〜52dの端面がボイスコイルボビン8の外周面を保持するので、ダンパー50とボイスコイルボビン8との真直度が確保され易い。尚突起52a〜52dの突出方向は交互に逆方向となるようにすると、ボイスコイルボビン8との接着強度が高くなる。
【0041】
このような構造のダンパー50の特性について説明する。このダンパー50は、ボイスコイルボビン8と平坦部51の接合面を振動方向に拡大した構造を有するため、ボイスコイルボビン8がローリングにより傾くことを防止でき、ローリング強度を高くすることができる。
【0042】
(実施の形態5、6)
次に本発明の第5の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図8は本実施の形態のスピーカに用いられるダンパー60の構造を示す斜視図である。貫通孔63が形成された4角形の平坦部64の周辺に、断面が平坦部64の周方向に沿って変化する半円状のロール状構造体61が一体に形成されている。夫々のロール状構造体61a〜61dの形状は同一で、各ロール状構造体61の中央部の湾曲の曲率半径は大きく、両端部の湾曲の曲率半径は小さくなっている。
【0043】
図1と同様に、ロール状構造体61a〜61dの平坦部側と反対側にはスピーカフレーム2に固着する取り付け片62a〜62dがある。各取り付け片62a〜62dの形状は図1のものと異なり、円弧状である。従ってフレーム2に対して取り付け片62a〜62dが環状に取り付けられる。取り付け片62と平坦部64は同一平面上にある。
【0044】
次に本発明の第6の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図9は第6の実施の形態のスピーカに用いられるダンパー90の構造を示す斜視図である。本図に示すようにダンパー90は、貫通孔93を有する平坦部94、断面が半円状のロール状構造体91、スピーカフレーム2に固着するための取り付け片92が一体形成されたものである。
【0045】
ロール状構造体92a、92cは同一断面形状を有し、中心部から両端部にかけて曲率半径が大きくなるよう構成されている。またロール状構造体92b、92dは同一断面形状を有し、その平均曲率半径はロール状構造体92a、92cより小さい。そして各ロール状構造体92の中心部から両端部にかけて曲率半径が大きくなるよう構成されている。夫々のロール状構造体92a〜92dに取り付け片92a〜92dが一体に形成されている。
【0046】
平坦部94は4つの円弧で囲まれる外形形状を有し、夫々のロール状構造体92のエッジと曲率半径が整合するようになっている。従ってロール状構造体92a,92cに比べ、ロール状構造体92b,92dの溝幅は狭くなっている。
【0047】
ダンパー60とダンパー90の特性はほぼ同一であるので、ここではダンパー60の特性について説明する。本実施の形態ではロールの巻き長さが夫々の場所で異なっている。このためロールの形状で決まる特定の周波数でのダンパー60の共振が、1つの共振周波数でなく複数に分散される。従ってダンパー60の共振の振幅が小さくなり、振動板11の振動に悪影響を及ぼさない。
【0048】
(実施の形態7、8)
次に本発明の第7の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図10は本実施の形態のスピーカに用いられるダンパー70の構造を示す部分断面図である。このダンパー70もボイスコイルボビン8の貫通孔73が形成された平坦部74を有し、その周辺にはロール状構造体71が一体に形成されている。またロール状構造体71の平坦部側と反対側にはスピーカフレーム2に固着する取り付け片72が形成されている。
【0049】
これまでの湾曲構造と異なり、ロール状構造体71は半円部C1と、直線状に立ち上がった直線部C2を有する。尚、これまでのものと同様に、取り付け片72と平坦部74は同一平面上にある。
【0050】
次に第8の実施の形態のスピーカにおけるダンパーについて図11を参照しながら説明する。図11に示すダンパー80は図10のものと同様に、貫通孔73が形成された平坦部74を有し、その周辺にはロール状構造体81が一体に形成されている。またロール状構造体81の平坦部側と反対側にはスピーカフレーム2に固着する取り付け片72が形成されている。
【0051】
このダンパー80のロール状構造体81は、その断面が半楕円弧状としたことが特徴である。ここでは楕円の短径が平坦部74と取り付け片72側にあり、長径が振動方向にある。
【0052】
第7、第8の実施の形態のダンパーの特性について説明する。ダンパー70では振動板11の振動に伴い、ロール状構造体71が上下に伸縮する。ダンパー70の最大振幅の限界はロール状構造体71が直線状に伸ばされたときである。ロール状構造体71の断面は半円部分C1に加え、直線部C2が構成されているので、直線部C2が加わった分、半円のみの場合に比べ最大振幅は大きくなる。
【0053】
一方、ダンパー80の場合も楕円の長径部が振動方向に設けられているため、半円のみの場合に比べ最大振幅は大きくなる。一方、平坦部74の周辺とフレーム2の取付部との距離は、半円部の直径又は楕円部の短径で決まるため、フレーム2のダンパー取付部は大きくならない。
【0054】
(実施の形態9)
次に本発明の第9の実施の形態におけるスピーカについて、ダンパーの構造を中心として図面を参照しながら説明する。図12は第9の実施の形態のスピーカに用いられるダンパー100の構造を示す平面図である。本図に示すように、ダンパー100は、貫通孔103を有する平坦部104、断面が半円状のロール状構造体101、スピーカフレーム2に固着するための取り付け片102が夫々一体形成されたものである。
【0055】
ロール状構造体102a、102cは同一断面形状を有し、その曲率半径は平坦部104の外周に沿って一定である。またロール状構造体102b、102dは同一断面形状を有し、その曲率半径はロール状構造体102a、102cより小さく、その値は平坦部104の外周に沿って一定である。従って図11に示すものと同様に、ロール状構造体102a,102cに比べ、ロール状構造体102b,102dの溝幅は狭くなっている。
【0056】
このような構成のダンパー100の特性について説明する。振動板11の振動に伴い、ロール状構造体102a〜102dが上下に伸縮する。ダンパー100の振幅限界はロール状構造体102a〜102dが直線状に伸されたときである。ロール状構造体102a〜102dの断面は最大振幅が等しくなるように構成されている。このため最大振幅が幅の狭いロール状構造体102b,102dで制限されることはない。一方、平坦部104の周辺部とフレームの距離はロール状構造体102a,102c側で大きく、ロール状構造体102b,102d側で小さい。このためスピーカフレームのロール状構造体102b,102d側のダンパー取り付け部は大きくならない。従って楕円振動板を使ったスピーカのように、短径方向にフレームが小さくなる場合でも、最大振幅を大きくすることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように請求項1記載の発明によれば、振動板の上下振動に際し、ロール状構造体はボイスコイルボビンの円周方向に独立して変形できる。このため、ダンパーは容易に変形し、力対変位の直線性が優れたものとなる。このため振動板の振動振幅を大きくすることができ、大入力でも歪みの少ない小型のスピーカを実現することができる。さらに平坦部の貫通孔の周辺部に3角錐状の突起を設けているため、ボイスコイルボビンと接合面を振動方向に拡大することができ、ローリングに対し強度を高くすることができる。
【0061】
また請求項2記載の発明によれば、ダンパーは、ロール状構造体のロールの中心軸方向に対し、ロール断面の円弧の半径を変化させたことにより、剛性が一様でなくなる。このためダンパーの共振を生じにくくすることができる。
【0062】
また請求項3記載の発明によれば、ロール状構造体のロール断面として、半円弧部に直線部を付加したことにより、振動の振幅を大きくすることができる。
【0063】
また請求項4記載の発明によれば、ロール状構造体のロール断面を楕円状としたことにより、振動の振幅を大きくすることができる。
【0064】
また請求項5記載の発明によれば、断面半径の異なるロール状構造体を交互に配置しているため、ダンパーの形状を細長くすることができる。このため楕円振動板のようにフレーム幅が制限されるスピーカにも適応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるスピーカの構造を示す半断面図である。
【図3】第1の実施の形態におけるダンパーの変位状態を示す半断面図である。
【図4】第1の実施の形態におけるダンパーの力対変位の特性図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す斜視図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す部分断面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す部分断面図である。
【図12】本発明の第9の実施の形態のスピーカに用いられるダンパーの構造を示す平面図である。
【図13】従来の小型スピーカの構造例を示す半断面図である。
【図14】従来のスピーカのダンパーの構造を示す斜視図である。
【図15】従来のスピーカのダンパーの変形状態を示す半断面図である。
【図16】従来のスピーカのダンパーの力対変位の特性図である。
【符号の説明】
2 フレーム
3 センターポール
4 磁石
5 トッププレート
6 環状磁気回路
7 空隙
8 ボイスコイルボビン
9 ボイスコイル
11 振動板
12,20,30,40,50,60,70,80,90,100 ダンパー
13 エッジ
14 スピーカ
21,21a〜21d,31,31a〜31d,61,61a〜61d,71,81,91,91a〜91d,101,101a〜101d ロール状構造体
22,22a〜22d,62,62a〜62d,72,92,92a〜92d,102,102a〜102d 取り付け片
23,63,73,93,103 貫通孔
24,51,64,74,94,104 平坦部
25 周辺
52a〜52d 突起
75 立ち上がり
Claims (5)
- 空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、
前記ダンパーは、
ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着され、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着され、前記平坦部は前記貫通孔の周辺部に3角錐状の突起を設けたものであることを特徴とするスピーカ。 - 空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、
前記ダンパーは、
ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着されるとともに、ロールの中心軸方向に対し円弧の半径を変化させたものであり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたものであることを特徴とするスピーカ。 - 空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、
前記ダンパーは、
ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着されるとともに、ロール断面が半円弧部の終端に直線部を付加した形状であり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたものであることを特徴とするスピーカ。 - 空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、
前記ダンパーは、
ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ多角形の平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体はその対向辺がスピーカフレームに固着されるとともに、ロール断面が楕円状であり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたものであることを特徴とするスピーカ。 - 空気振動を与える振動板、前記振動板に接合された円筒状のボイスコイルボビン、前記ボイスコイルボビンの外周部に固着されたボイスコイルを環状のトッププレートとセンターポールで構成される磁気空隙中に支持するダンパーを有するスピーカにおいて、
前記ダンパーは、
ボイスコイルボビンの貫通穴をもつ平坦部と、前記平坦部の各辺に接続された断面が半円弧状のロール状構造体とで構成され、前記ロール状構造体は断面半径の異なるものが交互に配置され、その対向辺がスピーカフレームに固着されたものであり、前記貫通孔は前記ボイスコイルボビンの外周に固着されたものであることを特徴とするスピーカ。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26828096A JP3619337B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | スピーカ |
US08/946,401 US6069965A (en) | 1996-10-09 | 1997-10-07 | Loudspeaker |
DE69738387T DE69738387T2 (de) | 1996-10-09 | 1997-10-09 | Lautsprecher |
EP97117471A EP0836362B1 (en) | 1996-10-09 | 1997-10-09 | Loudspeaker |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26828096A JP3619337B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | スピーカ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10117396A JPH10117396A (ja) | 1998-05-06 |
JP3619337B2 true JP3619337B2 (ja) | 2005-02-09 |
Family
ID=17456359
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26828096A Expired - Lifetime JP3619337B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | スピーカ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3619337B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6611604B1 (en) | 1999-10-22 | 2003-08-26 | Stillwater Designs & Audio, Inc. | Ultra low frequency transducer and loud speaker comprising same |
EP1560102A3 (de) * | 2004-02-02 | 2007-02-21 | Volkswagen Aktiengesellschaft | Berührungsempfindlicher Bildschirm mit haptischer Rückkopplung die mittels Federn gesteuert wird |
EP1694094A1 (en) * | 2005-02-18 | 2006-08-23 | AKG Acoustics GmbH | Membrane for a dynamic converter |
JP4626462B2 (ja) * | 2005-09-21 | 2011-02-09 | パナソニック株式会社 | スピーカ |
JP2007243868A (ja) * | 2006-03-13 | 2007-09-20 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スピーカ |
KR100663175B1 (ko) | 2006-04-19 | 2007-01-05 | 주식회사 한국토프톤 | 장방형 슬림 스피커의 댐퍼 |
KR100781085B1 (ko) | 2006-08-03 | 2007-11-30 | 주식회사 한국토프톤 | 장방형 슬림 스피커의 댐퍼 |
JP5049883B2 (ja) * | 2008-06-02 | 2012-10-17 | ホシデン株式会社 | スピーカ |
-
1996
- 1996-10-09 JP JP26828096A patent/JP3619337B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10117396A (ja) | 1998-05-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6069965A (en) | Loudspeaker | |
JP4604900B2 (ja) | スピーカ用ダンパー及びスピーカ用ダンパー組み付け方法 | |
EP2869595B1 (en) | Electroacoustic transducer | |
EP2866467B1 (en) | Electroacoustic transducer | |
JP3619337B2 (ja) | スピーカ | |
JP3139915B2 (ja) | スピーカ | |
JP3356046B2 (ja) | スピーカ用ダンパーおよびこれを用いたスピーカ | |
JP3838742B2 (ja) | スピーカ | |
US4353432A (en) | Electro-dynamic speaker | |
JP3132323B2 (ja) | スピーカとその製造方法 | |
JP4134419B2 (ja) | スピーカ | |
JP4054707B2 (ja) | スピーカ用エッジ | |
JP4765131B2 (ja) | ダンパーおよびこれを用いたスピーカー | |
JPH05103395A (ja) | スピーカ用ダンパー | |
JP3601176B2 (ja) | スピーカ | |
JPH06315194A (ja) | スピーカ | |
JP3456131B2 (ja) | スピーカ | |
JPS6311826Y2 (ja) | ||
JP2016072752A (ja) | 電気音響変換器 | |
JPS5943876B2 (ja) | 動電型スピ−カ | |
JP3247619B2 (ja) | スピーカエッジ | |
JP4154347B2 (ja) | スピーカの磁気回路 | |
JPS63275298A (ja) | スピ−カ装置 | |
JPS6348240B2 (ja) | ||
JPS5986996A (ja) | 動電形スピ−カ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040820 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040901 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041018 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041112 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071119 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101119 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111119 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121119 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121119 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119 Year of fee payment: 9 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |