JP2010063080A - 動電型スピーカー - Google Patents
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Abstract
【課題】 長径方向と短径方向とを有する細長形のコイルならびにボビンを含むボイスコイルと、ボビンがその中央に固着する平面振動板を備えるものであっても、再生音圧周波数特性のピーク・ディップを抑制することができ、能率が高くて再生音圧レベルも十分高く、再生音声品質に優れる動電型スピーカーを提供する。
【解決手段】 細長形のボビンが、長径x0に沿った一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成されるトラック形であり、平面振動板の平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、平面振動板の平行四辺形を規定する他方の対角線y1とが、それぞれを二等分する中心点Oで交叉するとともに、ボビンの長径x0と、平面振動板の平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、がほぼ一致するように、平面振動板がボビンに固着されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 細長形のボビンが、長径x0に沿った一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成されるトラック形であり、平面振動板の平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、平面振動板の平行四辺形を規定する他方の対角線y1とが、それぞれを二等分する中心点Oで交叉するとともに、ボビンの長径x0と、平面振動板の平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、がほぼ一致するように、平面振動板がボビンに固着されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、細長形のコイルならびにボビンを含むボイスコイルと、その外形が平行四辺形の平面振動板と、を備える動電型スピーカーであって、音声再生能力に優れ、ディスプレイ等の機器に取り付けるのに適する動電型スピーカーに関する。
音声を再生するスピーカーを取り付けるディスプレイ等の音響機器においては、スピーカーを取り付けるのに要する空間を小型化することが要望されている。特に、細長形(矩形、長円形(楕円形、トラック形を含む))の動電型スピーカーは、短径方向に振動板面積が限られる、細長形のスピーカー振動板に特有な分割振動の影響が大きくて平坦な再生音圧周波数特性を得ることが難しい、磁気空隙の磁束密度が高いスピーカー用磁気回路を採用しようとすると、磁気回路の幅がスピーカー振動板よりも広くなり小型化できない、といった様々な理由から音声再生能力において不利な点がある。したがって、従来には、これらの問題を解決するために様々なスピーカー振動板、エッジ、スピーカー用磁気回路、および、これを用いた動電型スピーカーが提案されている。
従来の平面振動板を備えるスピーカーでは、振動板の形状を非対称図形とし、その周辺を前後方向の運動から束縛して枠に固定支持し、その振動板の中心付近を駆動して屈曲運動をさせることにより、意識的に周波数特性に山谷を発生させるようにした平板形スピーカーがある。(特許文献1)。
一方、従来の細長形のスピーカーでは、矩形平面振動板の自由振動の振動モードの内、異なる振動モードにおける2つの節に同時に接するボイスコイルボビンを有し、このボビンに設けられて磁気回路のギャップ内でピストン運動するボイスコイルによって上記矩形平面振動板を節駆動するように構成すると共に、上記矩形平面振動板の外周部を上記ボイスコイルの駆動部に近い短辺側に比して上記ボイスコイルの駆動部に遠い短辺側が幅広い非対称なエッジ部材にてフレームに支持するように構成してなる動電型スピーカーがある。(特許文献2)。
また、従来の細長形のスピーカーでは、横巾に対して長さが5倍以上ある細長い振動板の一面に可動線輪の1個または2個以上の複数個を長手方向に一体に設け、振動板の周縁に接続するロールエッジ等の周縁保持部材により細長い振動板を振動自在に保持すると共に、前記可動線輪の1個または2個以上の複数個を磁界内に夫々配置してなるものがある。(特許文献3)。
しかしながら、従来技術のスピーカーでは、いずれも充分ではない。特許文献1および2に記載のスピーカーは、ボイスコイル、ならびに、ボビンが円形であるスピーカーの場合であり、平面振動板に細長形状であるトラック形のボイスコイルのボビンを固着する細長形のスピーカーに適するとは限らない。また、平面振動板が矩形、トラック形もしくは楕円形といった細長形のスピーカーでは、細長形の振動板から突出しないようにするので、これに用いようとする円形のボイスコイル径が小さく制限されてしまう結果、磁気回路の磁気空隙中に位置するボイスコイル長が短くなり、能率並びに再生音圧レベルが低く、耐入力に乏しいスピーカーになる、という問題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、長径方向と短径方向とを有する細長形のコイルならびにボビンを含むボイスコイルと、ボビンがその中央に固着する平面振動板を備える動電型スピーカーに関し、再生音圧周波数特性のピーク・ディップを抑制することができ、能率が高くて再生音圧レベルも十分高く、再生音声品質に優れる動電型スピーカーを提供することにある。
本発明の動電型スピーカーは、長径x0と短径y0とを有する細長形のコイルならびにボビンを含むボイスコイルと、ボビンがその略中央に固着して、かつ、その外形が平行四辺形の平面振動板と、を備える動電型スピーカーであって、ボビンが、長径x0に沿った一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成されるトラック形であり、平面振動板が、平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、平行四辺形を規定する他方の対角線y1とが、それぞれを二等分する中心点Oで交叉する外形形状を有し、ボビンの長径x0と、一方の対角線x1と、が中心点Oを通ってほぼ一致するように、平面振動板がボビンに固着されている。
好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、平面振動板の一方の対角線x1が、他方の対角線y1よりも長い。
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、平面振動板を規定する対角線x1で結ばれる2つの角部が、それぞれ約45°の頂角を有する。
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、平面振動板の外周部に連結するエッジと、エッジの外周端部を固定するフレームと、フレームと連結し、細長形の磁気空隙を有する磁気回路と、をさらに備え、ボイスコイルの細長形のコイルが磁気空隙に配置される。
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、平面振動板が、フルートの両面に表ライナおよび裏ライナを貼り合わせたダンボール紙で形成され、平面振動板のフルートの山部および谷部の稜線が、長径x0と略平行になるように配置される。
また、好ましくは、本発明の動電型スピーカーは、ダンボール紙で形成されてボイスコイルのボビンに連結するダストキャップをさらに備え、ダストキャップのフルートの山部および谷部の稜線が、短径y0と略平行になるように配置される。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明の動電型スピーカーは、長径方向と短径方向とを有する細長形のコイルならびに細長形のボビンを含むボイスコイルと、ボビンがその中央に固着して、かつ、その外形が平行四辺形の平面振動板と、を備える動電型スピーカーである。ボビンは、長径x0に沿った一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成されるトラック形である。また、平面振動板は、中心点Oで交叉する一方の対角線x1と、他方の対角線y1とが、外形を平行四辺形として規定する振動板である。したがって、本発明の動電型スピーカーは、平面振動板の外周部に連結するエッジと、エッジの外周端部を固定するフレームと、フレームと連結し、細長形の磁気空隙を有する磁気回路と、をさらに備え、ボイスコイルの細長形のコイルが磁気空隙に配置される。
本発明の動電型スピーカーでは、ボビンの長径x0と、平面振動板の平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、がほぼ一致するように、平面振動板がボビンに固着されている。ボビンの長径x0と平面振動板の対角線x1とがほぼ一致するとは、それぞれの直線が中心点Oを通過してこれらが重なり合う様子をいい、中心点Oで小さな角度(〜約5°以下)で交叉する場合を含む。したがって、平面振動板は、トラック形のボビンの長径方向に一致する方向に2つの対向する角部を有する平行四辺形であり、従来の長径方向に短辺を配置する細長形の平面のスピーカー振動板で多用される矩形とは、外形が異なっている。
平面振動板を規定する対角線x1と、他方の対角線y1とは、中心点Oにおいて角度α(0°<α≦90°)で交叉する。好ましくは、平面振動板の一方の対角線x1が、他方の対角線y1よりも長い。また、平面振動板を規定する対角線x1で結ばれる2つの角部が、それぞれ約45°の頂角を有する。対角線x1およびy1が、中心点Oにおいて角度αで交叉する平行四辺形は、長方形ではない異形の四角形であり、一方の対角線x1が他方の対角線y1よりも長い場合は、その全体形状は、対角線x1の方向に長く延びたものになる。特に、対角線x1で結ばれる2つの角部がそれぞれ約45°の頂角を有するような平行四辺形では、対角線x1が対角線y1よりも長くなればなるほど、その全体形状は、細長くなる。
その結果、本発明の動電型スピーカーでは、長方形の細長形状のスピーカー振動板で生じやすい振動モードの影響が少なく、再生音声品質に優れる動電型スピーカーが実現される。中心点Oから平面振動板の外周端部までの距離が、周方向の角度によって大きく異なる異形の平行四辺形であることに加えて、ボイスコイルならびにボビンが細長形のトラック形状であるので、ボイスコイルの長径方向に一致する平面振動板のモードを抑制し、ボビンと平面振動板の外周端部までの距離がさらに分散することで、高域周波数における著しいピーク・ディップを抑制することができる。つまり、本発明の動電型スピーカーでは、細長形の平面振動板の中央に細長形のボイスコイルおよびボビンを固着していても、比較的に平坦な再生音圧周波数特性を得ることができる。
一方で、本発明の動電型スピーカーでは、トラック形のボイスコイルの中心と、平行四辺形の対角線x1およびy1が、中心点Oで一致するように固着されているので、最低共振周波数f0以下の振幅が大きくなる周波数領域であっても、バランス良く平面振動板が振動し、細長形のボイスコイルが磁気回路の磁気空隙に接触して異音を生じるような問題が発生しにくい。磁気回路の磁気空隙中に位置するボイスコイル長を確保するように細長形のボイスコイルを用いる動電型スピーカーであっても、振動板の分割振動が抑制され、能率並びに再生音圧レベルを高めて、再生音声品質と耐入力を高めることができ、ローリング等の動作不良の少ない、再生音声品質に優れる動電型スピーカーを提供することができる。
この平行四辺形の平面振動板と、ボイスコイルのボビンに連結するダストキャップとが、フルート(中芯)の両面に表ライナおよび裏ライナを貼り合わせたダンボール紙で形成される場合には、軽量な振動系が実現され、その結果、安価で再生能率が高い動電型スピーカーが実現される。ダンボール紙は、フルートの山部および谷部の稜線が延びる方向に強い剛性を有するので、平面振動板のフルートの山部および谷部の稜線が、長径x0と略平行になるように配置され、また、ダストキャップのフルートの山部および谷部の稜線が、短径y0と略平行になるように配置される。フルートの山部および谷部の稜線が延びる方向を、剛性が必要な方向に一致させることで、ピーク・ディップを抑制することができる。
本発明の動電型スピーカーは、長径方向と短径方向とを有する細長形のコイルならびにボビンを含むボイスコイルと、ボビンがその中央に固着する平面振動板を備えるものであっても、再生音圧周波数特性のピーク・ディップを抑制することができ、能率が高くて再生音圧レベルも十分高く、再生音声品質に優れる動電型スピーカーを提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカーについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1を説明する図である。図1(a)は、動電型スピーカー1を振動板側から見た正面図であり、図1(b)は、動電型スピーカー1の側面図であり、図1(c)は、動電型スピーカー1の背面図である。また、図2は、動電型スピーカー1を構成する磁気回路10を説明する斜視図である。なお、説明に不要な動電型スピーカー1の一部の構造や、内部構造等は、図示並びに説明を省略する。
本実施例の動電型スピーカー1は、平面振動板であって、外形形状が平行四辺形のスピーカー振動板2を有する細長形の動電型スピーカーである。なお、本実施例では、直線x0(ないし、後述する直線x1)が延びる方向を長径方向とし、また、直線y0が延びる方向を短径方向とする。動電型スピーカー1は、後述するスピーカー振動板2およびエッジ3の長径方向長Lxが約10.9cm、短径方向長Lyが約4.7cmの細長形であって、口径5cmの丸形のスピーカー振動板と同等の振動板面積を有するスピーカーである。
外形が平行四辺形であって、内形がトラック形を有するスピーカー振動板2は、天然繊維織布層もしくは天然繊維不織布層を含む積層体の基材に熱硬化性樹脂が含浸されていて、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル等の任意の適切な熱硬化性樹脂が採用され得る平面振動板であり、エッジ3によってその外周端部を支持されており、エッジ3の外周端部は、フレーム6に固定されている。また、スピーカー振動板2の内周端部には、ボビンならびにコイルからなるボイスコイル4(図示しない)が連結しており、その上端には外形がトラック形状のドーム状のダストキャップ5が接着されている。なお、スピーカー振動板2は、PSP、PP、発泡PP、紙、アルミ合金等をプレス成形する平面振動板であっても良く、また、それぞれ薄板状にした平面材料を打ち抜いて形成したものであってもよい。また、ダストキャップ5は、紙材、もしくは、PSP、PP、紙、アルミ合金等をプレス成形するものであってもよい。
ここで、平行四辺形とは、その長さが等しい平行な二対の辺からなる四角形であって、本実施例のスピーカー振動板2の様に、4つの角部が円弧で滑らかにつながるように面取りされている場合を含む。平行四辺形は、中心点Oで交叉する一方の対角線x1と、他方の対角線y1とによって規定される四角形であり、長方形、正方形、菱形が含まれ、台形は含まれない。また、トラック形とは、長径方向に沿った一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成される形状であり、スピーカー振動板2の内周端部およびボイスコイル4のボビンは、一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、を有している。
エッジ3は、例えば、発泡ゴムを金型内部に注入して熱プレス成型して発泡させて所定の形状を得て、内周側及び外周側を切断型で切断して、略環状であって平行四辺形のロールエッジの形状に成形したスピーカー用エッジである。エッジ3は、そのロールの幅が2.8mmであり、ほぼ厚みが約0.2mmである。なお、エッジ3は、例えば、綿およびポリエステル繊維の複数の縦糸及び横糸が概略直交する織布にゴムを含浸して基材とし、金型で加熱成型して内周および外周を切断されて形成されるロールエッジであってもよい。
また、フレーム6は、平行四辺形のスピーカー振動板2に対応した細長形の平行四辺形状であり、フレーム6に固定される磁気回路10も、スピーカー振動板2の前面側から正面視した場合にフレーム6の背面側に隠れてしまう大きさであって、幅が狭い細長形状を有している。フレーム6の背面側には、ターミナル7が取り付けられており、ターミナル7は、ボイスコイル4に導通する(図示しない)錦糸線が固定される。具体的には、フレーム6の固定部は、平行四辺形のスピーカー振動板2およびエッジ3の外形にほぼ相似形の平行四辺形状であり、外形の長径方向長が約15.0cm、短径方向長が約5.5cmである。また、磁気回路10を含めて、側面視した場合の動電型スピーカー1の全高は、約15mmである。フレーム6は、平行四辺形のそれぞれの角部に、4つの取付孔を有している。したがって、動電型スピーカー1は、薄型のディスプレイ等の機器が有する表示部の側部など、スピーカーを取り付ける幅が少ない機器に適するスピーカーである。
磁気回路10は、フレーム6に固定される細長形のトッププレート11と、断面形状がトラック形の長円筒形状であってトッププレート11の中央に形成されたトラック形孔に挿入されるセンターポール12と、センターポール12を中央に配置する細長形のアンダープレート14と、トッププレート11およびアンダープレート14に狭持されるマグネット15と、から構成される。トッププレート11およびセンターポール12は、均等な幅を有するトラック形磁気空隙13を形成する。すなわち、磁気回路10は、トラック形磁気空隙13を有する外磁型磁気回路であり、磁気回路10の長径方向x0及び短径方向y0は、平行四辺形のスピーカー振動板2の長径方向および短径方向と一致している。なお、磁気回路10の磁気空隙13は、トラック形だけに限らず、円弧部分が開放されている磁気空隙であって、長径方向x0に平行な長辺部分のみに強い磁界を発生させるものであっても良い。
(図示しない)ボイスコイル4は、断面形状がトラック形の長円筒形に形成したボビンと、その一端側に巻回されて音声電流が供給されるコイルと、から形成される。ボビンは、長径x0に沿った一組の長辺と、一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成されるトラック形である。ボビンは、コイルが巻回されない他端側に近い外側の側面が、スピーカー振動板2の内周端に接着剤により連結される。ボイスコイル4は、スピーカー振動板2を介してエッジ3によって振動可能に支持されており、トラック形状のコイルは、磁気回路10のトラック形磁気空隙13に配置される。なお、ボイスコイル4の長径方向長は約22.2mm、短径方向長は約6.0mm、そして、トラック形の円弧の半径は約3.0mmである。
したがって、スピーカー振動板2、エッジ3、ボイスコイル4、および、ダストキャップ5からなるスピーカー振動系は、フレーム6に対して振動可能に支持される。動電型スピーカー1では、ターミナル7および錦糸線を介してボイスコイル4のコイルに音声電流が供給されると、磁気空隙13に配置されたボイスコイル4に駆動力が作用し、ボイスコイル4は前後方向に振動し、連結されたスピーカー振動板2も前後方向に振動する。なお、動電型スピーカー1において前後とは、スピーカー振動板2が振動する場合に、ボイスコイル4、および、磁気回路10が取り付けられる側を後側とし、スピーカー振動板2、および、ダストキャップ5が露出する側を前側としている。
図3は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカー振動板2および(図示しない)ボイスコイル4について説明する図であり、スピーカー振動板2と、エッジ3と、ダストキャップ5とを前側から見た平面図である。スピーカー振動板2の中央には、トラック形のボイスコイル4のボビンが固着しており、その端部にはダストキャップ5が固着されて、ボビンの開口を塞いでいる。ボビンは、長径x0に沿った方向に細長いトラック形であり、直線x0および直線y0が直交する中心点Oを中心にして配置されている。また、エッジ3は、スピーカー振動板2の外周端部にその内周側が固着されている。
スピーカー振動板2は、中心点Oで交叉する一方の対角線x1と、他方の対角線y1とによって、外形を平行四辺形として規定する振動板である。この対角線x1と、ボイスコイル4の長径方向を示す直線x0とは、ほぼ一致しており、中心点Oをともに通過して、図面上で重複している。平行四辺形の4つの角部を、直線x0上に位置する2aと、それぞれ時計回り方向に位置する2b、2c、2dとすると、対角線x1は角部2aおよび角部2cを、対角線y1は角部2bおよび角部2dを結ぶ直線である。スピーカー振動板2の外形の平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、他方の対角線y1とは、それぞれ中心点Oで二等分されており、角度α(=約45.0deg)で交叉している。対角線x1の長さは、上述のスピーカー振動板2の長径方向長Lxに等しく、また、対角線y1の長さは、辺2a2dと辺2b2cとの距離Dxに等しくて約55.0mmである。なお、辺2a2bと辺2c2dとの距離Dyは、約28.0mmである。また、角部2aならびに角部2cが有する角度θは、それぞれ約45°であり、また、角部2bならびに角部2dが有する角度φは、約135°である。
このように、本実施例のスピーカー振動板2は、トラック形のボビンの長径方向を示す直線x0に一致する方向に、2つの対向する角部2aおよび2cを有する平行四辺形であり、従来の長径方向に短辺を配置する細長形の平面のスピーカー振動板で多用される矩形とは、外形が異なっている。本実施例の場合には、スピーカー振動板2の平行四辺形を規定する対角線x1およびy1が、中心点Oにおいて直交しない角度αで交叉し、対角線x1が他方の対角線y1よりも長い。加えて、対角線x1で結ばれる2つの角部2aおよび2cが、それぞれ約45°の頂角を有する。したがって、スピーカー振動板2は、長方形でもなく、正方形でもなく、菱形でもない、対角線x1の方向に長く延びた異形の四角形になっている。
図4は、本発明の好ましい実施形態による動電型スピーカー1、ならびに、比較例の動電型スピーカー101の軸上1m音圧周波数特性を表すグラフである。本実施例のスピーカー振動板2の有効振動板面積は、2260mm2になるので、同じ有効振動板面積を有する(図示しない)細長形の平面振動板の場合と比較すると、長径方向長が約140.0mmであって短径方向長が約15.8mmの長方形、に相当する。したがって、この長方形平面振動板を備える(図示しない)動電型スピーカー101を、本実施例の比較例とする。具体的には、図4(a)が本実施例の動電型スピーカー1の場合であり、図4(b)が比較例の動電型スピーカー101の場合である。なお、比較例の長方形平面振動板の材料と、磁気回路等の他のスピーカーの構成部品については、実施例の動電型スピーカー1と同様のものを使用して、比較できるように共通化している。また、図4に示す計算機シミュレーションの結果は、実測での軸上1m音圧周波数特性に良く一致している。
図4(a)に示すように、動電型スピーカー1の場合には、約300Hz〜約10kHzの広い帯域において、なだらかな音圧周波数特性を実現しており、比較例の長方形平面振動板で生じやすい振動モードの影響が少なくなっている。一方、図4(b)に示すように、比較例の長方形平面振動板を用いるスピーカーでは、約300Hz〜約10kHzの帯域において、振動モードを抑制することができず、大きなピーク・ディップが出現している。このように、動電型スピーカー1の場合の方が、音声信号を再生する場合の再生音声品質に優れるスピーカーになる。細長形のスピーカー振動板2の中央にトラック形のボイスコイル4を固着するにもかかわらず、比較的に平坦な再生音圧周波数特性を得ることができる。
トラック形のボイスコイル4を用いる動電型スピーカー1では、トラック形のボイスコイル4の中心点Oで、スピーカー振動板2の外形を規定する平行四辺形の対角線x1およびy1が交叉するように配置されて固着されているので、最低共振周波数f0以下の振幅が大きくなる周波数領域であっても、バランス良くスピーカー振動板2が振動し、ボイスコイル4が磁気回路10の磁気空隙13に接触して異音を生じるような問題が発生しにくくすることができる。磁気回路10の磁気空隙13中に位置するボイスコイル4の長さを確保することができ、さらに、スピーカー振動板2の分割振動を抑制し、能率並びに再生音圧レベルを高めて、ローリング等の動作不良の少ない、再生音声品質と耐入力を高めることができる。
図5は、本実施例の動電型スピーカー1を、複数備えるディスプレイ20を説明する正面図である。ディスプレイ20は、薄型の基体21と、基体21の中央に画面を露出するように配置される表示部22と、基体21を支持するスタンド部23と、を備え、基体21の周縁部に音声を再生する動電型スピーカー1を複数含んでいる。ディスプレイ20の基体21の左側に、動電型スピーカー1L1および1L2と、動電型スピーカー1L3および1L4と、が配置され、右側に動電型スピーカー1R1および1R2と、動電型スピーカー1R3および1R4と、が配置されている。
そして、それぞれの一対の動電型スピーカー(例えば、1R1および1R2)は、それぞれのフレーム6を隣り合わせて全体的に略L字状になるように組み合わされており、ディスプレイ20の基体21の四隅に、表示部22と干渉しないように配置されている。フレーム6は、平行四辺形のスピーカー振動板2に対応した細長形の平行四辺形状であるので、スピーカー振動板2の角部2aおよび2cの約45°の角度に対応して、約45°の角度を持つ角部を有している。したがって、略L字状になるように組み合わされている一対の動電型スピーカーは、長径x0を軸にして軸対称に形成した平行四辺形のスピーカー振動板2と、フレーム6と、により実現される。軸対称となっても、トラック形のボイスコイル4の長径x0の方向と一致する方向に、平行四辺形のスピーカー振動板2の一方の対角線x1が中心点Oを通ってほぼ一致するように、配置されているのは変わらないので、例えば、動電型スピーカー1R1および1R2は、ピーク・ディップを抑制した再生音声品質に優れるスピーカーとすることができる。
また、これらの軸対称の一対の動電型スピーカー1によれば、ディスプレイ等のスピーカーを取り付ける機器に適したスピーカーシステムを、多彩なレイアウトで構成することができる。本実施例の動電型スピーカー1のように、磁気回路10が、フレーム6の外形の背面側に収まっている限り、複数の動電型スピーカー1を、限られたスペースにレイアウトを考慮して容易に組み合わせることができる。
図6は、本発明の他の実施例の動電型スピーカー31を説明する図である。本発明の動電型スピーカーを構成するフレーム6は、上記実施例の形状の場合に限定されない。動電型スピーカー31は、フレーム36が先の実施例の場合のフレーム6と異なる他は、共通する動電型スピーカーである。フレーム36は、エッジ3の外周端側が固定される固定部が、フレーム6と同様の平行四辺形のスピーカー振動板2に対応した細長形の平行四辺形状であり、外形が、長径x0方向および短径y0方向に平行な4つの辺からなる長方形である。したがって、フレーム36は、平行四辺形のそれぞれの角部ではなく、平行四辺形の外側に形成される三角形の平板部に4つの取付孔を有している。動電型スピーカー31は、他の長方形のフレームを有する細長形の動電型スピーカーと同様に、ディスプレイ等のスピーカーを取り付ける機器に使用することができる。
図7は、本発明の他の好ましい実施形態による動電型スピーカー41を説明する図である。また、図8は、動電型スピーカー41の軸上1m音圧周波数特性を表すグラフである。動電型スピーカー41は、先の実施例1の動電型スピーカー1と、スピーカー振動板42およびダストキャップ45の構成が異なる他は、共通するスピーカーである。したがって、共通する動電型スピーカー41の構造や、内部構造等は、図示並びに説明を省略する。
本実施例の動電型スピーカー41のスピーカー振動板42は、長径方向x0と、短径方向y0とを有する平面振動板であって、外形形状が平行四辺形であり、かつ、ボイスコイル4のボビンに連結する内形がトラック形を有する。スピーカー振動板42は、フルート42aの両面に表ライナ42bおよび裏ライナ42cを貼り合わせた厚み約1.5mmのEフルートのダンボール紙で形成されている。また、図示するように、スピーカー振動板42は、そのフルート42aの山部および谷部の稜線が、長径x0と略平行になるように配置される。
また、ダストキャップ45は、同様にフルート45aの両面に表ライナ45bおよび裏ライナ45cを貼り合わせた厚み約1.5mmのEフルートのダンボール紙で形成されている。図示するように、ダストキャップ45は、フルート45aの山部および谷部の稜線が、短径y0と略平行になるように配置される。
ダンボール紙で形成されている平行四辺形のスピーカー振動板42と、ダストキャップ45とは、それぞれ先の実施例の場合に比べて、軽量(約1.20g)であり、かつ、安価である。したがって、動電型スピーカー41の振動系は、約27%軽量化されるので、その再生能率を高めることができる。
また、ダンボール紙は、フルートの山部および谷部の稜線が延びる方向に強い剛性を有するので、スピーカー振動板42は、フルート42aの山部および谷部の稜線と略平行になる長径方向x0で、強い剛性を有する。また、トラック形状のボイスコイル4のボビンに連結するダストキャップ45は、フルート45aの山部および谷部の稜線が、短径方向y0と略平行になるように配置されるので、弱くなりやすいボビンの短径方向y0の強度を高める。また、ダストキャップ45自体の強度も、高くなる。したがって、長径方向x0で発生しやすい低次の振動モード、あるいは、高い周波数でのボイスコイル4のボビン付近での分割振動モードを抑制して、ピーク・ディップの少ない平坦な音圧周波数特性を実現する。
図8は、本実施例の動電型スピーカー41の軸上1m音圧周波数特性を表すグラフである。具体的には、図8(a)が、ダンボール紙で形成されているスピーカー振動板42および先の実施例のダストキャップ5を用いた場合であり、図8(b)が、ダンボール紙で形成されているスピーカー振動板42およびダンボール紙で形成されているダストキャップ45を用いた場合である。
図8(a)に示すように、長径方向x0に強い剛性を有するダンボール紙で形成されているスピーカー振動板42を用いた動電型スピーカー41の場合には、最低共振周波数f0以上である約300Hz〜約2kHzの広い帯域において、音圧レベルが高くなり、再生能率が上昇する。一方、図8(b)に示すように、さらに、先の実施例のダストキャップ5に代えて、短径方向y0に強い剛性を有するダンボール紙で形成されているダストキャップ45を用いると、比較例の長方形平面振動板を用いるスピーカーでは、約3kHz以上の帯域において振動モードを抑制して、ピーク・ディップを少なくし、高域周波数限界を高めて再生周波数帯域を拡大している。このように、本実施例の動電型スピーカー41は、音声信号を再生する場合の再生音声品質に優れるスピーカーになる。
本発明の動電型スピーカーは、平行四辺形のスピーカー振動板、並びに、トラック形状のボイスコイルを用いたスピーカーに限られず、平行四辺形の振動板に駆動力を伝達する駆動部材が細長形状の組み合わせになる他の振動系を備えるヘッドフォン、マイクロホン等の他の電機−機械−音響変換器にも適用が可能である。
1 動電型スピーカー
2 スピーカー振動板
3 エッジ
4 ボイスコイル
5 ダストキャップ
6 フレーム
7 ターミナル
10 磁気回路
11 トッププレート
12 センターポール
13 磁気空隙
14 アンダープレート
15 マグネット
31 動電型スピーカー
36 フレーム
2 スピーカー振動板
3 エッジ
4 ボイスコイル
5 ダストキャップ
6 フレーム
7 ターミナル
10 磁気回路
11 トッププレート
12 センターポール
13 磁気空隙
14 アンダープレート
15 マグネット
31 動電型スピーカー
36 フレーム
Claims (6)
- 長径x0と短径y0とを有する細長形のコイルならびにボビンを含むボイスコイルと、該ボビンがその略中央に固着して、かつ、その外形が平行四辺形の平面振動板と、を備える動電型スピーカーであって、
該ボビンが、該長径x0に沿った一組の長辺と、該一組の長辺を連結する一組の円弧と、から形成されるトラック形であり、
該平面振動板が、該平行四辺形を規定する一方の対角線x1と、該平行四辺形を規定する他方の対角線y1とが、それぞれを二等分する中心点Oで交叉する外形形状を有し、
該ボビンの該長径x0と、該一方の対角線x1と、が中心点Oを通ってほぼ一致するように、該平面振動板が該ボビンに固着されている、動電型スピーカー。 - 前記平面振動板の一方の前記対角線x1が、他方の前記対角線y1よりも長い、
請求項1に記載の動電型スピーカー。 - 前記平面振動板を規定する前記対角線x1で結ばれる2つの角部が、それぞれ約45°の頂角を有する、
請求項1または2に記載の動電型スピーカー。 - 前記平面振動板の外周部に連結するエッジと、該エッジの外周端部を固定するフレームと、該フレームと連結し、細長形の磁気空隙を有する磁気回路と、をさらに備え、前記ボイスコイルの細長形の前記コイルが該磁気空隙に配置される、請求項1から3のいずれかに記載の動電型スピーカー。
- 前記平面振動板が、フルートの両面に表ライナおよび裏ライナを貼り合わせたダンボール紙で形成され、該平面振動板の該フルートの山部および谷部の稜線が、前記長径x0と略平行になるように配置される、
請求項1から4のいずれかに記載の動電型スピーカー。 - 前記ダンボール紙で形成されて前記ボイスコイルの前記ボビンに連結するダストキャップをさらに備え、該ダストキャップの該フルートの山部および谷部の稜線が、前記短径y0と略平行になるように配置される、
請求項5に記載の動電型スピーカー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009041606A JP2010063080A (ja) | 2008-08-07 | 2009-02-25 | 動電型スピーカー |
Applications Claiming Priority (2)
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---|---|---|---|
JP2008203708 | 2008-08-07 | ||
JP2009041606A JP2010063080A (ja) | 2008-08-07 | 2009-02-25 | 動電型スピーカー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010063080A true JP2010063080A (ja) | 2010-03-18 |
Family
ID=42189348
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2009041606A Pending JP2010063080A (ja) | 2008-08-07 | 2009-02-25 | 動電型スピーカー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010063080A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108307281A (zh) * | 2018-02-28 | 2018-07-20 | 广东欧珀移动通信有限公司 | 电子设备 |
US11350216B2 (en) | 2017-02-06 | 2022-05-31 | Sony Corporation | Speaker diaphragm and speaker apparatus |
-
2009
- 2009-02-25 JP JP2009041606A patent/JP2010063080A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11350216B2 (en) | 2017-02-06 | 2022-05-31 | Sony Corporation | Speaker diaphragm and speaker apparatus |
CN108307281A (zh) * | 2018-02-28 | 2018-07-20 | 广东欧珀移动通信有限公司 | 电子设备 |
CN108307281B (zh) * | 2018-02-28 | 2020-08-18 | Oppo广东移动通信有限公司 | 电子设备 |
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A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20101227 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |