JP6295939B2 - エネルギー吸収部材 - Google Patents

エネルギー吸収部材 Download PDF

Info

Publication number
JP6295939B2
JP6295939B2 JP2014251099A JP2014251099A JP6295939B2 JP 6295939 B2 JP6295939 B2 JP 6295939B2 JP 2014251099 A JP2014251099 A JP 2014251099A JP 2014251099 A JP2014251099 A JP 2014251099A JP 6295939 B2 JP6295939 B2 JP 6295939B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
load
yarn
crimp angle
fiber
load direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014251099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016114094A (ja
Inventor
元基 吉川
元基 吉川
俊 久野
俊 久野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Industries Corp filed Critical Toyota Industries Corp
Priority to JP2014251099A priority Critical patent/JP6295939B2/ja
Publication of JP2016114094A publication Critical patent/JP2016114094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6295939B2 publication Critical patent/JP6295939B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Vibration Dampers (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

本発明は、繊維構造体に樹脂を含浸させて構成され、衝撃荷重を受けた際の衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材に関する。
例えば、バンパーと車体フレームの間には、エネルギー吸収部材が配置されており、このエネルギー吸収部材は、過大な衝撃荷重を受けた場合に、破壊することにより衝撃エネルギーを吸収する。エネルギー吸収部材としては、繊維構造体に樹脂を含浸させて構成された繊維強化複合材料が知られている。また、エネルギー吸収部材は、過大な衝撃荷重を受けた際の破壊の起点となるトリガ部を有している。
例えば、特許文献1では、トリガ部は、円筒状に形成されたFRP部材の先端部を、肉厚に関して先細り形状となるようにテーパ状に肩落としして形成されている。しかし、エネルギー吸収部材の製造においては、破壊の起点となり得るような形状の設計、そのような形状にするための加工等が面倒であることから、繊維構造体の繊維構造の変更によってトリガ部を製造することが提案されている。
例えば、図8に示すように、特許文献2に開示の衝撃吸収複合材構造80は、補強繊維の層84aを複数積層した繊維積層体84(繊維構造体)に樹脂を含浸させて構成されている。衝撃吸収複合材構造80は、荷重が加わる方向(以下、荷重方向と記載する)における先端部から、荷重方向に沿って所定位置に至るまでの範囲では、繊維積層体84の層間強度を向上させないようにしてトリガ部82を設けている。一方、荷重方向に沿った所定位置から先はニードリング83によって層間強度を向上させた層間補強領域81(一般部)としている。すなわち、ニードリング83による繊維構造の変更によってトリガ部82と層間補強領域81とを製造している。このような衝撃吸収複合材構造80では、過大な衝撃荷重を受けた場合、層間補強領域81に先立ってトリガ部82に局部破壊を生じさせてエネルギーを吸収し、層間補強領域81で破壊の進行を抑制する。
特開平7−224874号公報 特開2004−324814号公報
ところが、特許文献2の衝撃吸収複合材構造80において、層間強度を向上させるため、荷重方向に直交する方向から補強繊維の層84aに対し、ニードリング83を行っている。このため、補強繊維の層84aそれぞれにおいて、荷重方向に延びる糸(荷重方向糸)と、その糸に交差する方向に延びるニードリング83との交錯部で、荷重方向糸にクリンプ(屈曲)が生じ、クリンプが生じた箇所では、補強繊維が本来発現すべき突っ張り強度を十分に発揮できなくなっている。そして、衝撃吸収複合材構造80では、層間補強領域81においてトリガ部82から離れるほど、すなわち層間補強領域81の基端に近付くほど、ニードリング83を行う間隔が狭くなっている。このため、トリガ部82以上の強度を必要とし、しかも破壊の進行を抑制するための強度を必要とする層間補強領域81においては、その基端ほど強度が低下してしまっている。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、繊維構造の変更によってトリガ部及び一般部を形成可能でありながら、一般部の強度低下を抑制することができるエネルギー吸収部材を提供することにある。
上記問題点を解決するためのエネルギー吸収部材は、繊維構造体に樹脂を含浸させて構成され、衝撃荷重を受けた際の衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材であって、前記繊維構造体は、荷重が加わる方向に延びる荷重方向糸と、該荷重方向糸に交差する方向に延びる交差糸とを交錯させて形成された織物製の繊維層を複数有するとともに、複数の繊維層は前記荷重が加わる方向に平行となるように積層されており、前記繊維構造体は、前記荷重が加わる方向の一端側に位置し、衝撃荷重を受けた際に破壊の起点となるトリガ部と、荷重が加わる方向において、前記トリガ部よりも他端側に連続し、かつ前記トリガ部よりも荷重方向への強度が高く破壊の進行を抑制する一般部と、を有し、前記繊維層において、前記荷重が加わる方向に対する前記荷重方向糸の角度をクリンプ角度とすると、複数の繊維層のうちの少なくとも一つは、前記一般部よりも前記トリガ部側となる位置に前記クリンプ角度を前記一般部より大きくしたクリンプ角度増大部を備えることを要旨とする。
これによれば、繊維構造体を構成する繊維層において、クリンプ角度が大きいほど、荷重が加わる方向への荷重方向糸の突っ張り強度が低くなる。逆に、クリンプ角度が小さいほど、荷重方向糸において、荷重が加わる方向への荷重方向糸の突っ張り強度が高くなる。したがって、繊維層のクリンプ角度を調整するだけ、すなわち繊維構造を変更するだけで、トリガ部と一般部を有するエネルギー吸収部材を形成可能でありながら、一般部の強度低下を抑制でき、しかも、トリガ部の製造が容易となる。
また、繊維構造体は、繊維層の層間を結合しておらず、層間結合を原因として荷重方向糸にクリンプが生じることがなく、一般部の強度低下も招くことがない。
また、エネルギー吸収部材について、前記繊維層において、前記一般部を構成する部位での前記クリンプ角度を、前記荷重が加わる方向に沿って異ならせてもよい。
これによれば、荷重が加わる方向に沿って、一般部の突っ張り強度を異ならせることができる。例えば、荷重が加わる方向に沿ってトリガ部から離れるに従い一般部のクリンプ角度を小さくしていくと、トリガ部から離れるに従い、荷重が加わる方向への突っ張り強度を高くすることができる。その結果として、一般部の基端(根本)に近付くほど、破壊の進行を抑制しやすくなる。
また、エネルギー吸収部材について、前記一般部をブレーディングで製造してもよい。
これによれば、一般部でのクリンプ角度を異ならせる構造であっても、ブレーディング装置によって簡単に製造することができる。なお、ブレーディング装置で製造された繊維層は、芯糸に相当する荷重方向糸と、この荷重方向糸に交差する斜行糸とを有しており、本発明では、ブレーディング装置によって製造され、荷重方向糸と斜行糸を交錯させて形成された繊維層も織物に含まれる。
また、エネルギー吸収部材について、前記繊維層において、前記トリガ部を構成する部位と前記一般部を構成する部位とに亘って前記荷重方向糸が連続していてもよい。
これによれば、繊維構造体において、トリガ部と一般部とを一繋ぎとすることができ、トリガ部から一般部へ荷重を好適に伝え、破壊の進行を好適に抑制することができる。
本発明によれば、繊維構造の変更によってトリガ部及び一般部を形成可能でありながら、一般部の強度低下を抑制することができる。
第1の実施形態のエネルギー吸収部材を示す斜視図。 (a)はクリンプ角度増大部の繊維構造を拡大して示す図、(b)はクリンプ角度減少部の繊維構造を拡大して示す図。 (a)は第1の実施形態のエネルギー吸収部材の繊維構造を模式的に示す断面図、(b)はクリンプ角度増大部を模式的に示す部分拡大断面図、(c)はクリンプ角度減少部を模式的に示す部分拡大断面図。 (a)は第2の実施形態のエネルギー吸収部材におけるトリガ部の繊維構造を拡大して示す図、(b)は一般部の繊維構造を拡大して示す図。 (a)は第3の実施形態のエネルギー吸収部材におけるクリンプ角度増大部の繊維構造を拡大して示す図、(b)はクリンプ角度減少部の繊維構造を拡大して示す図。 第3の実施形態のエネルギー吸収部材の繊維構造を模式的に示す断面図。 クリンプ角度を変更した別例を示す部分拡大断面図。 背景技術を示す図。
以下、エネルギー吸収部材を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、エネルギー吸収部材10は繊維強化複合材料であり、筒状の繊維構造体11にマトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂(図示せず)を含浸させて構成されたものである。エネルギー吸収部材10は、筒体の軸方向に沿って過大な衝撃荷重を受けた場合に、破壊することによりエネルギーを吸収する。以下、エネルギー吸収部材10に対し荷重が加わる方向(筒体の軸方向)を荷重方向Zとする。なお、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が使用される。
図3(a)に示すように、エネルギー吸収部材10において、繊維構造体11は、織物として繊維層13を複数有し、それら複数の繊維層13は互いに平行となるように積層されている。また、図1に示すように、エネルギー吸収部材10において、複数の繊維層13は、荷重方向Zに延びる中心軸を中心とした同心円状に積層されており、外周側の繊維層13ほど、円周が長い。なお、繊維構造体11において、繊維層13が積層された方向であり、繊維構造体11の径方向に平行な方向を積層方向Xとする。
図2(a)及び図2(b)に示すように、繊維層13は、複数の経糸14と、複数の緯糸15とを組み合わせた織物である。荷重方向糸としての経糸14は、繊維構造体11の周方向に複数配列され、荷重方向Zに延びている。経糸14に交差する交差糸としての緯糸15は、経糸14に対し所定の角度(本実施形態では90度)で交差する状態で、荷重方向Zに複数配列されている。なお、経糸14及び緯糸15は全て同種の材質製の無撚りの繊維束で構成されている。この実施形態では経糸14及び緯糸15には炭素繊維からなる無撚りの繊維束が使用されている。炭素繊維束は細い炭素繊維が数百〜数万本束ねられて1本の繊維束が構成されており、要求性能に適した繊維の本数の繊維束が選択される。
図1に示すように、エネルギー吸収部材10において、繊維構造体11は、荷重方向Zの両端部のうち、荷重が最初に加わる端面である先端面に第1端面11aを有し、もう一方の端面である基端面に第2端面11bを有する。また、繊維構造体11は、荷重方向Zの第1端面11aを含んだ先端部にトリガ部23を有する。また、繊維構造体11は、トリガ部23よりも第2端面11b側の全てに一般部24を有する。荷重方向Zに沿った長さでは、一般部24がトリガ部23よりも長い。そして、繊維構造体11において、トリガ部23は、衝撃荷重を受けた際に破壊の起点となる部位である。また、一般部24は、荷重方向Zにおいて、トリガ部23よりも基端側(第2端面11b側)に連続し、かつトリガ部23よりも荷重方向への強度が高く破壊の進行を抑制する部位である。
トリガ部23は、繊維構造体11を構成する全ての繊維層13が備えるクリンプ角度増大部13aによって形成され、一般部24は、繊維構造体11を構成する全ての繊維層13が備えるクリンプ角度減少部13bによって形成されている。すなわち、繊維層13は、一般部24よりもトリガ部23側となる位置にクリンプ角度を大きくしたクリンプ角度増大部13aを備える。
図2(a)及び図3に示すように、繊維層13において、荷重方向Zに沿って経糸14が第1端面11aから第2端面11bに向けて延びる過程で、トリガ部23を構成する部分では、経糸14は緯糸15の1本1本の外面に沿って折り返されている。
より詳細には、経糸14は、1本の緯糸15の外面に沿って積層方向Xの内側に向けて折り返された次は、荷重方向Zにおける隣りの緯糸15の外面に沿って積層方向Xの外側に向けて折り返されている。このように、経糸14は、緯糸15と交錯する毎に、荷重方向Zに隣り合う緯糸15とは相反する方向に屈曲しており、その屈曲によって経糸14にはクリンプが生じている。
図3(a)又は図3(b)に示すように、繊維層13において、経糸14と緯糸15の表面が存在する面を表面13cとし、両方の表面13c同士を最短距離で繋ぐ方向であり、積層方向Xに沿う方向を、繊維層13の厚み方向とする。なお、繊維層13の表面13cは、荷重方向Zに平行である。繊維層13では、経糸14の荷重方向Zへの張力によって、荷重方向Zに隣り合う緯糸15同士が厚み方向に位置ずれした状態で配置されている。この緯糸15同士の厚み方向への位置ずれにより、経糸14にはクリンプが生じている。ここで、経糸14が緯糸15に向かって延びていく状態で、その経糸14の軸線Mと、繊維層13の表面13c(荷重方向Z)との間に形成された鋭角θ1を、クリンプ角度とする。
図3(b)に示すように、トリガ部23を構成する部分では、クリンプ角度が、クリンプ角度減少部13bより大きくなっている。クリンプ角度増大部13aでは、経糸14は、緯糸15の1本毎に相反する方向へ屈曲するように蛇行しており、クリンプ角度がその他の部分より大きい。このため、クリンプ角度増大部13aによって構成されたトリガ部23では、強度が充分に発揮されない。
また、図2(a)に示すように、トリガ部23を構成するクリンプ角度増大部13aでは、繊維構造体11の周方向に延びる緯糸15は、周方向に配列された経糸14の1本1本の外面に沿って交互に折り返され、各経糸14に交錯している。このため、各緯糸15は、各経糸14と交錯する場所で屈曲している。よって、緯糸15において、経糸14との交錯部20には、経糸14に沿って屈曲するクリンプが生じている。
図2(b)及び図3(a)に示すように、繊維層13において、クリンプ角度増大部13aから第2端面11bに向けて経糸14が延びる過程で、一般部24を構成する部分、すなわちクリンプ角度減少部13bでは、経糸14は4本の緯糸15を跨ぐ度に緯糸15の外面に沿って折り返されている。このため、経糸14が、緯糸15を1本ずつ跨いだ場合と比べると、経糸14の軸線Mと、繊維層13の表面13cとの間に形成された鋭角θ1であるクリンプ角度は小さくなる。
経糸14が折り返された部分である交錯部20では、経糸14は、クリンプ角度増大部13aほど屈曲してはいないが、若干のクリンプが生じている。そして、クリンプ角度減少部13bでは、経糸14は、荷重方向Zにおいて、経糸14を折り返した交錯部20同士に挟まれた部分に直線部14aを有し、この直線部14aのクリンプ角度はクリンプ角度増大部13aよりも小さい。一般部24では、荷重方向Zに沿って直線部14aが複数設けられ、全ての直線部14aは同じ長さである。
また、図3(c)に示すように、クリンプ角度減少部13bでは、繊維構造体11の周方向に延びる緯糸15は、周方向に配列された経糸14の1本1本の外面に沿って交互に折り返されている。直線部14aでは、その直線部14aに跨がれた全ての緯糸15は、直線部14aに対し積層方向Xの外側又は内側に纏まって配列している。このため、直線部14aには、クリンプが生じていない。
なお、繊維層13では、経糸14は荷重方向Z全体に亘って延びており、経糸14は、クリンプ角度増大部13aとクリンプ角度減少部13bとに亘って連続している。よって、繊維構造体11では、トリガ部23と一般部24は、荷重方向Zに一繋ぎとなっている。
そして、エネルギー吸収部材10は、クリンプ角度増大部13aを積層して構成されたトリガ部23、及びクリンプ角度減少部13bを積層して構成された一般部24を有する繊維構造体11に熱硬化性樹脂を含浸硬化させることで製造される。なお、樹脂の含浸硬化はRTM(レジン・トランスファー・モールディング)法で行われる。
次に、エネルギー吸収部材10の作用を記載する。
トリガ部23、及び一般部24を有する繊維構造体11を強化繊維としたエネルギー吸収部材10においては、荷重方向Zに沿って第1端面11aに過大な衝撃荷重を受けた場合、トリガ部23に局部破壊を生じさせて衝撃エネルギーを吸収する。その後、一般部24で破壊の進行を抑制する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)繊維構造体11において、各繊維層13にクリンプ角度増大部13aをクリンプ角度減少部13bに連続して設け、これらクリンプ角度増大部13aとクリンプ角度減少部13bにより、経糸14のクリンプ角度を、一般部24よりトリガ部23の方を大きくした。経糸14のクリンプ角度が大きいほど、荷重方向Zへの経糸14の突っ張り強度が低下する。よって、経糸14のクリンプ角度を調整するだけで、すなわち、繊維構造を変更するたけで、繊維構造体11にトリガ部23と一般部24を形成することができ、トリガ部23の形成を簡単に行うことができる。
(2)経糸14のクリンプ角度を、一般部24よりトリガ部23の方を大きくした。経糸14のクリンプ角度が小さいほど、荷重方向Zへの経糸14の突っ張り強度が高くなる。よって、経糸14のクリンプ角度を調整するだけ、すなわち繊維構造を変更するだけで、繊維構造体11にトリガ部23と一般部24を形成することができる。
(3)繊維構造体11は、繊維層13の層間を結合しておらず、層間結合を原因としたクリンプが生じることがないため、一般部24の強度低下も招くことがない。
(4)繊維構造体11では、一般部24において、荷重方向Zに沿ってトリガ部23から離れて基端(根本)に近付いても、クリンプ角度の大きさは同じである。このため、荷重方向Zに沿った一般部24の全体で同じ強度とすることができる。
(5)繊維層13では、経糸14と緯糸15を織り込んでクリンプ角度増大部13aとクリンプ角度減少部13bを形成している。そして、経糸14は、クリンプ角度増大部13aとクリンプ角度減少部13bに亘って連続し、クリンプ角度増大部13aとクリンプ角度減少部13bとは一繋ぎである。このため、例えば、クリンプ角度増大部13aとクリンプ角度減少部13bとを別々に製造し、繋ぎ合わせて繊維層13とする場合と比べると、トリガ部23と一般部24との境界付近での強度を向上させることができる。
(第2の実施形態)
次に、エネルギー吸収部材を具体化した第2の実施形態を図4にしたがって説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第2の実施形態のエネルギー吸収部材30は、第1の実施形態のエネルギー吸収部材10と同様に、筒状の繊維構造体31を有し、その繊維構造体31は織物としての繊維層32を複数積層した積層体である。そして、繊維層32は、クリンプ角度増大部32aと、クリンプ角度減少部32bを備え、繊維構造体31は、クリンプ角度増大部32aの積層体であるトリガ部33と、クリンプ角度減少部32bの積層体である一般部34とを有する。第2の実施形態の繊維構造体31は、ブレーディング装置を使用して製造された組紐組織である。また、繊維構造体31は、荷重方向Zの一端面に第1端面(図示せず)を有し、他端面に第2端面(図示せず)を有する。
繊維構造体31の繊維層32は、複数の第1の斜行糸35と、複数の第2の斜行糸36と、芯糸である複数の荷重方向糸37とから形成されている。第1の斜行糸35及び第2の斜行糸36は、荷重方向糸37に対して交差する方向に延びる交差糸に相当する。繊維層32において、第1の斜行糸35は、荷重方向糸37の軸方向と角度θで交差する方向に配列され、第2の斜行糸36は、荷重方向糸37の軸方向に対して交差する角度が、第1の斜行糸35が荷重方向糸37の軸方向に対して交差する角度θと反対の角度−θで配列されている。この実施形態では、角度θは45°である。また、荷重方向糸37は、荷重方向Zに平行に配列されている。荷重方向糸37は、第1の斜行糸35と第2の斜行糸36との全ての交錯部38と対応するように配列されている。
図4(a)に示すように、トリガ部33を構成するクリンプ角度増大部32aでは、荷重方向糸37は、荷重方向Zに沿って配列された第1の斜行糸35と第2の斜行糸36の交錯部38に対し、1つおきに積層方向Xの外側又は内側に向けて折り返されている。より詳細には、荷重方向糸37が第1端面から第2端面に向けて延びる過程で、荷重方向糸37は、1つの交錯部38の外面に沿って積層方向Xの内側に向けて折り返された次は、荷重方向Zの隣りの交錯部38の外面に沿って積層方向Xの外側に向けて折り返されている。このように、荷重方向糸37は、交錯部38と交錯する毎に、荷重方向Zに隣り合う交錯部38とは相反する方向に屈曲し、その屈曲によって荷重方向糸37にクリンプが生じている。すなわち、クリンプ角度増大部32aでは、各荷重方向糸37は、交錯部38毎に相反する方向へ屈曲するように蛇行している。このため、クリンプ角度増大部32aを積層したトリガ部33では、強度が充分に発揮されない。
また、クリンプ角度増大部32aでは、第1の斜行糸35及び第2の斜行糸36は、周方向に配列された荷重方向糸37の1本1本の外面に沿って折り返され、各荷重方向糸37に交錯している。このため、第1の斜行糸35及び第2の斜行糸36は、各荷重方向糸37と交錯する場所で屈曲している。よって、第1の斜行糸35及び第2の斜行糸36において、荷重方向糸37との交錯部38にはクリンプが生じている。
図4(b)に示すように、繊維層32において、一般部34を構成するクリンプ角度減少部32bでは、クリンプ角度増大部32aから第2端面に向けて荷重方向糸37が延びる過程で、荷重方向糸37は、4つの交錯部38を跨ぐ度に交錯部38の外面に沿って折り返されている。荷重方向糸37は、折り返された後は、先に跨いだ交錯部38とは反対側で次の4つの交錯部38を跨いでいる。
荷重方向糸37が折り返された交錯部38では、荷重方向糸37は、クリンプ角度増大部32aのように屈曲してはいないが、クリンプが生じている。そして、クリンプ角度減少部32bでは、隣り合う交錯部38の間に延びる部分で形成するクリンプ角度は、クリンプ角度増大部32aよりも小さくなる。
また、クリンプ角度減少部32bでは、荷重方向糸37に交差する第1の斜行糸35及び第2の斜行糸36は、繊維構造体31の周方向に配列された荷重方向糸37の1本1本の外面に沿って折り返されている。
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第2の実施形態のエネルギー吸収部材30は、繊維構造体31をブレーディング装置を使用して製造でき、筒状のエネルギー吸収部材30を容易に製造することができる。
(第3の実施形態)
次に、エネルギー吸収部材を具体化した第3の実施形態を図5及び図6にしたがって説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
第3の実施形態のエネルギー吸収部材40は、第1の実施形態のエネルギー吸収部材10と同様に、筒状の繊維構造体41を有し、その繊維構造体41は複数の繊維層42の積層体である。そして、繊維層42は、クリンプ角度増大部42aと、クリンプ角度減少部42bを備え、繊維構造体41は、クリンプ角度増大部42aの積層体であるトリガ部43と、クリンプ角度減少部42bの積層体である一般部44とを有する。また、繊維構造体41は、荷重方向Zの一端面に第1端面41aを有し、他端面に第2端面41bを有する。また、繊維構造体41は、複数の繊維層42の積層体である。
繊維層42は、複数の荷重方向糸としての経糸45と、複数の緯糸46とを組み合わせた織物によって形成されている。図5(a)に示すように、トリガ部43を構成するクリンプ角度増大部42aは、第1の実施形態のクリンプ角度増大部13aと同様の構成であり、経糸45は、荷重方向Zにおいて、緯糸46の1本毎に相反する方向へ屈曲するように蛇行している。
一方、図5(b)及び図6に示すように、一般部44を構成するクリンプ角度減少部42bでは、2本の緯糸46を跨ぐ直線部45aが、荷重方向Zに連続して複数箇所存在し、それに連続して3本の緯糸46を跨ぐ直線部45bが、荷重方向Zに連続して複数箇所存在している。さらに、クリンプ角度減少部42bでは、3本の緯糸46を跨ぐ直線部45bに連続して4本の緯糸46を跨ぐ直線部45cが、荷重方向Zに連続して複数箇所存在している。各直線部45a,45b,45cは、それぞれ経糸45が折り返された交錯部48の間に位置している。よって、クリンプ角度減少部42bでは、直線部が跨ぐ緯糸46の本数が、2本、3本、4本と連続的に徐々に増えている。したがって、経糸45のクリンプ角度は、荷重方向Zに沿って繊維構造体41の基端(根本)に向かうに従い徐々に小さくなっている。
従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)第3の実施形態のエネルギー吸収部材40は、荷重方向Zに沿って繊維構造体41の基端(根本)に向かうに従い、クリンプ角度が徐々に小さくなっている。すなわち、一般部44における強度は、一般部44の根本に向かう程、徐々に上がっている。このため、一般部44によって衝撃荷重を好適に吸収することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第3の実施形態において、同じ長さを有する直線部の数は、適宜変更してもよい。
○ 第2の実施形態において、クリンプ角度減少部32b(一般部34)にて荷重方向糸37が折り返す間隔を適宜変更してもよい。
○ 第2の実施形態において、クリンプ角度減少部32b(一般部34)では、荷重方向糸37を折り返す間隔を、荷重方向Zに沿って繊維構造体31の根本に向かうに従い、徐々に長くしていき、クリンプ角度を徐々に小さくしていってもよい。このように構成した場合、第2の実施形態の繊維層32(繊維構造体31)はブレーディング装置を使用して製造できることから、クリンプ角度を連続的に異ならせる繊維層32であっても容易に製造することができる。
○ 第1及び第3の実施形態において、緯糸15,46を、周方向に配列された複数の経糸14,45に対し1本ずつ交互に折り返すようにしたが、緯糸15,46を折り返す経糸14,45の本数は適宜変更してもよい。
○ 各実施形態において、繊維構造体11,31,41を構成する複数の繊維層13,32,42のうち、1枚だけにクリンプ角度増大部を設けてもよいし、全てではない複数枚の繊維層13,32,42だけにクリンプ角度増大部を設けてもよい。
○ 各実施形態において、クリンプ角度増大部13a,32a,42aのクリンプ角度がクリンプ角度減少部13b,32b,42bのクリンプ角度より大きれば、クリンプ角度増大部13a,32a,42aでのクリンプ角度を、荷重方向Zに沿って異ならせてもよい。
○ 各実施形態において、クリンプ角度増大部13a,32a,42aのクリンプ角度がクリンプ角度減少部13b,32b,42bのクリンプ角度より大きれば、クリンプ角度増大部13a,32a,42aと、クリンプ角度減少部13b,32b,42bとで繊維構造が異なっていてもよい。
○ 第1及び第2の実施形態において、直線部14a,37aが跨ぐ緯糸15,46の本数は適宜変更してもよい。
○ 各実施形態において、クリンプ角度増大部13a,32a,42aのクリンプ角度がクリンプ角度減少部13b,32b,42bのクリンプ角度より大きれば、繊維層13,32,42は、別体で形成したクリンプ角度増大部13a,32a,42aと、クリンプ角度減少部13b,32b,42bとを繋ぎ合わせて一体化したものでもよい。
○ 各実施形態において、クリンプ角度増大部13a,32a,42aや、クリンプ角度減少部13b,32b,42bのクリンプ角度は、図7に示すように、緯糸15,46や各斜行糸35,36の太さを太くして変更してもよい。
○ 各実施形態において、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いたが、その他の種類の樹脂を用いてもよい。
○ 各実施形態において、積層する繊維層13,32,42の数は任意に変更してもよい。
○ 経糸14,45、緯糸15,46、第1の斜行糸35、第2の斜行糸36、及び荷重方向糸37は、炭素繊維に限らない。例えば、各糸は、エネルギー吸収部材10,30,40に要求される物性に対応して適宜変更してもよい。糸の具体例としては、アラミド繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等が挙げられる。
○ 繊維構造体11,31,41の形状は筒状でなくてもよく、荷重方向Zに荷重方向糸が延びる柱状や板状であってもよい。
Z…荷重方向、10,30,40…エネルギー吸収部材、11,31,41…繊維構造体、13,32,42…繊維層、13a,32a,42a…クリンプ角度増大部、14,45…荷重方向糸としての経糸、15,46…交差糸としての緯糸、23,33,43…トリガ部、24,34,44…一般部、35…交差糸としての第1の斜行糸、36…交差糸としての第2の斜行糸、37…荷重方向糸。

Claims (4)

  1. 繊維構造体に樹脂を含浸させて構成され、衝撃荷重を受けた際の衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材であって、
    前記繊維構造体は、荷重が加わる方向に延びる荷重方向糸と、該荷重方向糸に交差する方向に延びる交差糸とを交錯させて形成された織物製の繊維層を複数有するとともに、複数の繊維層は前記荷重が加わる方向に平行となるように積層されており、
    前記繊維構造体は、前記荷重が加わる方向の一端側に位置し、衝撃荷重を受けた際に破壊の起点となるトリガ部と、
    荷重が加わる方向において、前記トリガ部よりも他端側に連続し、かつ前記トリガ部よりも荷重方向への強度が高く破壊の進行を抑制する一般部と、を有し、
    前記繊維層において、前記荷重が加わる方向に対する前記荷重方向糸の角度をクリンプ角度とすると、
    複数の繊維層のうちの少なくとも一つは、前記一般部よりも前記トリガ部側となる位置に前記クリンプ角度を前記一般部より大きくしたクリンプ角度増大部を備えることを特徴とするエネルギー吸収部材。
  2. 前記繊維層において、前記一般部を構成する部位での前記クリンプ角度を、前記荷重が加わる方向に沿って異ならせた請求項1に記載のエネルギー吸収部材。
  3. 前記一般部をブレーディングで製造した請求項2に記載のエネルギー吸収部材。
  4. 前記繊維層において、前記トリガ部を構成する部位と前記一般部を構成する部位とに亘って前記荷重方向糸が連続している請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のエネルギー吸収部材。
JP2014251099A 2014-12-11 2014-12-11 エネルギー吸収部材 Expired - Fee Related JP6295939B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014251099A JP6295939B2 (ja) 2014-12-11 2014-12-11 エネルギー吸収部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014251099A JP6295939B2 (ja) 2014-12-11 2014-12-11 エネルギー吸収部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016114094A JP2016114094A (ja) 2016-06-23
JP6295939B2 true JP6295939B2 (ja) 2018-03-20

Family

ID=56141352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014251099A Expired - Fee Related JP6295939B2 (ja) 2014-12-11 2014-12-11 エネルギー吸収部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6295939B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08177922A (ja) * 1994-12-26 1996-07-12 Isuzu Motors Ltd ハイブリッド化繊維強化複合材料のエネルギ吸収体
JP4247038B2 (ja) * 2003-04-25 2009-04-02 三菱重工業株式会社 衝撃吸収複合材構造及びその製造方法並びにそれを用いた走行体又は航行体
JP2011069033A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd 一方向性補強強化繊維織物とその製造方法
JP5783067B2 (ja) * 2011-01-28 2015-09-24 新日鐵住金株式会社 金網
JP2015175430A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 帝人株式会社 樹脂製衝撃吸収部材
JP2015160551A (ja) * 2014-02-28 2015-09-07 富士重工業株式会社 ステアリングシャフト

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016114094A (ja) 2016-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5598528B2 (ja) 筒状繊維構造体
JP5962724B2 (ja) エネルギー吸収部材
JP5880671B1 (ja) 衝撃吸収材、及び衝撃吸収材の製造方法
JP4790848B2 (ja) ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブ
WO2018179878A1 (ja) 繊維構造体及び繊維強化複合材
JP6493094B2 (ja) 繊維構造体及び繊維強化複合材
JP6295939B2 (ja) エネルギー吸収部材
JP6083383B2 (ja) エネルギー吸収部材およびその製造方法
KR102200951B1 (ko) 섬유 강화 플라스틱 시트와 이를 포함하는 적층체
JP2021025164A (ja) 繊維構造体及び繊維強化複合材
WO2021014851A1 (ja) 繊維構造体及び繊維強化複合材
JP5248661B2 (ja) ゴルフクラブシャフト及びこれを用いたゴルフクラブ
WO2014030633A1 (ja) 三次元繊維強化複合材
JP2020085234A (ja) 衝撃吸収構造体
JP7056394B2 (ja) 繊維強化複合材及び織物基材
JP5381493B2 (ja) 三次元ブレイディング、繊維強化複合材料及び繊維強化複合材料の製造方法
WO2012014605A1 (ja) 繊維基材及び繊維強化複合材料
WO2020105531A1 (ja) 衝撃吸収構造体
JP6060724B2 (ja) 繊維強化プラスチック製シャフト
WO2020218039A1 (ja) 衝撃吸収構造体
JP2015033819A (ja) 三次元繊維強化複合材
JP2015098156A (ja) 三次元繊維強化複合材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180205

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6295939

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees