JP6219293B2 - フレグランス組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、フレグランス組成物にミューゲ様フローラル感を付与することができる(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含有するフレグランス組成物及び該フレグランス組成物を含有する香粧品に関し、さらには、(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの使用に関する。
香粧品の香りはフローラル、フルーティに大別され、フローラルは、(1)ミューゲ(スズラン)、(2)ローズ、(3)ジャスミンの3大フローラルに分けられる。この中でミューゲ様フローラル感の香気は古くから好まれてきた香りの1つであり、現在多くの製品に天然らしさやフレッシュ感を付与するために使われている成分である。しかし、天然のミューゲからは精油分を産業的にほとんど得ることができず、そのため、現在ではミューゲの香りを作る際に、合成香料が使用されている。
これらミューゲ様フローラル感の香気としては、Lilial(Givaudan S.A.)、Suzaral(Takasago International Corporation)、Bourgeonal(Givaudan S.A./Quest)、Mayol(Firmenich S.A.)、Cyclamen aldehyde(Givaudan S.A.)、2,3−Dihydrofarnesal、2,3−Dihydrofarnesolといった合成香料が利用されていた。
これら合成香料のうち、2,3−ジヒドロファルネサールのラセミ体については、官能評価が行われていて、(E)−体と(Z)−体の混合物は、花(フローラル)香調ノートを有しており、ラセミの(E)−体は、新鮮な花香調、アルデヒド性フレグランスを示し、スズランその他の花を思い起こさせ、フレッシュウォーターノート、オゾンノート、マリンノートなどと容易に調和する香りである。一方ラセミの(Z)−体は、香りの強さが(E)−体に比べて幾分か低く、更に全体を通じての匂いはやや新鮮さに乏しいが、同様な嗅覚的特性を示す香りであることが知られている(特許文献1)。
また、2,3−ジヒドロファルネサールは、自然界において動植物中に存在することが知られている。例えば、Orchids(Aerides jarckanum)の抽出物やCitrus limonの花の香り成分(非特許文献1)、BumblebeesやCuckoo Bumblebeesのフェロモンの成分(非特許文献2)等に存在することが知られている。
この2,3−ジヒドロファルネサールの光学活性体を合成した例としては、(2E,6E)−ファルネサールを不斉水素化することによって(3R)−2,3−ジヒドロファルネサールを合成した報告(非特許文献3)が知られている。
日本国特開平8−3092号公報
Phytochemical Analysis(1997),8(4),pp159−166 Chirality(2004),16(4),pp228−233 Angewandte Chemie,International Edition(2006),45(25),pp4193−4195
しかしながら、上記先行技術文献ではいずれも、2,3−ジヒドロファルネサールの光学異性体である(S)−体と(R)−体の違いと香気との関係についての知見は得られておらず、何ら開示も示唆もされていない。
そこで本発明の課題は、2,3−ジヒドロファルネサールを用いた嗜好性のより高いミューゲ様フローラル香料であって、香質に優れた新しい香料材料の開発に関するものであり、特に香粧品類に添加したときに、フローラル感が強く、かつ持続性(残香性)に優れ、パフォーマンスの高い、優れたミューゲ様の香質を発現させることができるフレグランス組成物を提供することを第一の課題とする。
また、本発明の第二の課題は該フレグランス組成物を含有する香粧品を提供することである。
さらに、本発明の第三の課題は、該フレグランス組成物を用いて、残香性に優れ、パフォーマンス性の高い、優れたミューゲ様の香気を付与することができる香気改善方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光学活性2,3−ジヒドロファルネサールの(S)−体と(R)−体を特定比率で混合することにより得られる香料は、驚くべきことにシクラメン様フローラル感が強く、残香性にも優れた、パフォーマンス性の高い、優れたミューゲ様の香気を有することを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]に関するものである。
[1] 化学純度が90質量%以上かつ光学純度が50%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含有するフレグランス組成物。
[2] 前記(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの光学純度が70%e.e.以上である、[1]に記載のフレグランス組成物。
[3] 前記(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの含有量が0.001〜40質量%である[1]又は[2]に記載のフレグランス組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれか1に記載のフレグランス組成物を含有する香粧品。
[5] 化学純度が90質量%以上かつ光学純度が50%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含有するフレグランス組成物を用いた香気改善方法。
[6] 化学純度が90質量%以上かつ光学純度が50%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを使用することにより、香粧品にフローラル様香気を付与する方法。
本発明に係るフレグランス組成物に含まれる(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの光学純度が50%e.e.以上であることにより、当該フレグランス組成物はパフォーマンスの高い優れた香気を有し、従来知られているミューゲ香料よりも優れた特性を有する。また、本発明で用いる光学純度が50%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールは、少量でも効果を発揮するため、香料の賦香を必要とする香粧品類に対して匂い付けを可能にすることができる。さらに残香性に優れたミューゲ特有の香質のため、調合香料に広がりやまとまりを付与し、嗜好性や匂い強度を高めることもでき、全体的にポジティブな効果を与え、ナチュラルなミューゲ感を与えることが可能となる。
したがって、本発明ではフレグランス組成物に一定以上の光学純度を有する(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含むことにより、従来のミューゲ様香料よりも格段に優れ、極めて実用的なフレグランス組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”とは同義であり、“質量部”と“重量部”とは同義である。
本発明に係るフレグランス組成物は、光学純度が50%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含むが、まず光学活性2,3−ジヒドロファルネサール(以下、「光学活性DH−ファルネサール」と称することもある。)について詳しく説明する。
2,3−ジヒドロファルネサールは、分子内に1個の不斉炭素を有しているために(3S)−体と(3R)−体があり、さらには二重結合への置換によるシス−トランスがあるために(6E)−体と(6Z)−体の2個の幾何異性体があることから、下記式(1)〜(4)に示すような、4個の光学異性体が存在する。
Figure 0006219293
先述したように、従来香料として用いられてきたのは、ファルネサールの幾何学異性体の混合物を水素化することによって得られる式(1)〜(4)で表される4種の光学異性体の混合物や、(6E)−ファルネサール又は(6Z)−ファルネサールを水素化したラセミ体の(6E)−ジヒドロファルネサール又は(6Z)―ジヒドロファルネサールである。
本発明に係るフレグランス組成物には、(E)−体である2種類の光学活性2,3−ジヒドロファルネサールのうち、上記式(1)で表される(−)−(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール(以下、「(S)−DH−ファルネサール」又は「(S)−体」と称することがある。)が特定量含まれる。本発明に係るフレグランス組成物は、他方の光学活性2,3−ジヒドロファルネサールである上記式(2)で表される(+)−(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール(以下、「(R)−DH−ファルネサール」又は「(R)−体」と称することがある)を含んでいてもよく、所望の香りに合わせて、適宜(S)−体と(R)−体との混合比を調節することができる。
光学活性DH−ファルネサールの(S)−体と(R)−体の混合比(質量比)は、(S)−体が75%以上、(R)−体が25%以下にすることが好ましい。かかる範囲であれば、当該光学活性DH−ファルネサールを含むフレグランス組成物の香質が従来から多用されているミューゲ香料の香質よりも優れた香質を有するようになる。とくに、光学活性DH−ファルネサールの(S)−体と(R)−体の混合比(質量比)は、(S)−体が85%以上(R)−体が15%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは(S)−体が90%以上(R)−体が10%以下である。
かかる範囲であれば、当該光学活性DH−ファルネサールを含むフレグランス組成物は、従来知られているミューゲ香料の香質よりも格段に優れた香質を有するようになる。
また本発明に係るフレグランス組成物に含まれる(S)−DH−ファルネサールの光学純度は50%e.e.以上であり、より好ましくは70%e.e.以上であり、さらに好ましくは80%e.e.以上であり、特に好ましくは90%e.e.以上である。
(S)−DH−ファルネサールの光学純度が100%e.e.でない限りは、本発明に係るフレグランス組成物に含まれる光学活性DH−ファルネサールは(S)−体と(R)−体の混合物となる。
(S)−DH−ファルネサールと(R)−DH−ファルネサールとを、(S)−DH−ファルネサールの光学純度が50%e.e.以上((S)−体が75質量%以上)となるように混合して得られる混合物をフレグランス組成物に含むと、当該フレグランス組成物は従来多用されているミューゲ香料の香質よりも、とくにミューゲ様香質と残香性に優れ、全体としてポジティブな効果を与えることができる、極めて優れたフレグランス組成物となる。
また、本発明における(S)−DH−ファルネサールの化学純度は香質の点から90質量%以上であればよく、95質量%以上がより好ましい。
ここで、化学純度とは通常のガスクロマトグラフ測定により求めることができる。
同様に、本発明に係るフレグランス組成物が(R)−DH−ファルネサールを含む場合、(R)−DH−ファルネサールの化学純度は90質量%以上であればよく、95質量%以上がより好ましい。
次に、光学純度が50%e.e.以上である(S)−DH−ファルネサールの製造方法について説明する。
光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物を調製するための出発原料は、天然物からの抽出物を利用することもできるし、化学的合成方法により得たものを利用することもできる。
天然物から抽出した場合、得られる当該抽出物は微量なため、前記出発原料を多量に取得するためには化学的合成方法を用いて得たものを利用することが好ましい。
化学的合成方法の場合、例えば、光学活性DH−ファルネサールの(S)−体と(R)−体の等モル混合物であるラセミ体を公知の方法で調製し、次いで光学分割することにより、光学活性DH−ファルネサールの(S)−体と(R)−体とを分離して得ることができる。
また、別の化学的合成方法としては、化学的に純粋な(6E)−ファルネソール又は(6Z)−ファルネソールを(R)−体または(S)−体のルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化することにより、DH−ファルネソールの(S)−体又は(R)−体を調製(日本国特開平8−245979号公報参照)し、次いで、該DH−ファルネソールのアルコール部位をアルデヒドへと酸化することにより合成する方法が挙げられる。
具体的には、光学活性な(−)−(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールは、(2E,6E)−ファルネソールを光学活性なルテニウム−BINAP触媒、例えば、RuCl((R)−T−BINAP)NEt((R)−T−BINAPは(R)−2,2’−ビス[ジ(p−トリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチルを示し、Etはエチル基を示す)等の触媒の存在下、不斉水素化することにより合成される。
一方、光学活性な(+)−(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールは、(2E,6E)−ファルネソールを光学活性なルテニウム−BINAP触媒、例えば、RuCl((S)−T−BINAP)NEt((S)−T−BINAPは(S)−2,2’−ビス[ジ(p−トリル)ホスフィノ]−1,1’−ビナフチルを示し、Etはエチル基を示す)等の触媒の存在下、不斉水素化することにより合成される。
上記方法で得られた(S)−DH−ファルネソールまたは(R)−DH−ファルネソールを、例えば、テトラプロピルアンモニウムペルルテナート/4−メチルモルホリンN−オキシド系やN−クロロスクシンイミド/N−t−ブチルベンゼンスルフェンアミド系などを用いた酸化法により、光学活性DH−ファルネソールのアルコール部位をアルデヒドへ酸化することで、(S)−DH−ファルネサールまたは(R)−DH−ファルネサールは合成される。
(S)−DH−ファルネサールまたは(R)−DH−ファルネサールの化学純度は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましいが、合成した(S)−DH−ファルネサールまたは(R)−DH−ファルネサールの化学純度が低い場合には、純度を高めてから使用することもできる。
高純度化の方法としては通常の蒸留やカラムクロマトグラフ分離法などが挙げられる。
このようにして得られる(S)−DH−ファルネサール及び(R)−DH−ファルネサールを原料とし、目的とする比率に合わせて適宜両者を混合することにより、本発明に用いる所望の光学純度の(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを得ることができる。
なお、前記(S)−DH−ファルネサールにラセミ体のDH−ファルネサールを添加・混合し、目的とする光学純度の(S)−DH−ファルネサールを得ることもできる。
さらに、上述した光学分割法や不斉合成法の反応条件等を適宜調節することで、(S)−DH−ファルネサールと(R)−DH−ファルネサールとが目的とする比率になった混合物を調製することもできる。
後述の実施例に示すように、(S)−体は(R)−体よりも匂いの閾値(嗅覚を起こすために必要な最小濃度)が小さい。したがって(S)−体を一定以上含む光学活性DH−ファルネサールは、香気パフォーマンスおよび匂い強度において極めて良好なものである。さらに、(S)−体を一定以上含む光学活性DH−ファルネサールは嗜好性の高い優れたミューゲ様特有の強い香気特性を有し、また顕著な香気持続特性を有する。これをフレグランス組成物に配合することにより嗜好性の高いフレグランス組成物を提供することができる。さらに、(S)−体を一定以上含む光学活性DH−ファルネサールを配合することにより、フレグランス組成物の所望の芳香持続性、残香性の作用効果は特に高められる。
(S)−体を一定以上含む光学活性DH−ファルネサール、すなわち、(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物の、フレグランス組成物への配合量は、そのフレグランス組成物の種類や目的により異なる。一般的には、フレグランス組成物を基準にして、(S)−DH−ファルネサールの含有量は好ましくは0.001〜40質量%、より好ましくは0.01〜20質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%となる配合量が適当である。
本発明に係るフレグランス組成物が(R)−DH−ファルネサールも含む場合、(S)−体と(R)−体の混合物の含有量はフレグランス組成物に対して0.001〜40質量%であることが好ましく、0.01〜20質量%であることがより好ましい。
本発明の光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物はそれ自体ミューゲ様香質を有するので、当該光学活性DH−ファルネサールをフレグランス組成物に含有し、該フレグランス組成物を用いて香気を改善することもできる。
本発明の光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物を添加・配合するフレグランス組成物の組成は、とくに限定されず、前記光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物に、通常使用されている香料成分をさらに添加してフレグランス組成物を調製することができる。
添加・使用することができる通常の香料成分としては、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料などが挙げられ、広い範囲の香料成分を使用することができる。
それら香料成分の中での代表的なものとしては、α−ピネン、リモネン、cis−3−ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ロ−ズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、ジヒドロジヤスモン酸メチル、テサロン(高砂香料工業株式会社)などがある。また、Arctander S.“Perfume and Flavor Chemicals”published By the author,Montclair,N.J.(U.S.A.)(1969)に記載されている香料成分を使用することもできる。
前記光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物を、例えば、ベルガモット油、ガルバナム油、レモン油、ゼラニウム油、ラベンダー油、マンダリン油等の天然精油中に添加すると、天然精油が本来有する香気香味に、マイルドでこくがあり、新鮮で嗜好性が高く、且つ拡散性、保留性を高め、持続性のある新規のフレグランス組成物を調製することができる。
本発明においては、前記光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物である化合物や、当該化合物を含むフレグランス組成物、あるいは香粧品用の当該フレグランス組成物に、通常使用される他の香料保留剤の1種又は2種以上を配合しても良い。
他の香料保留剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、べンジルべンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン(アビエチン酸メチル)、中鎖脂肪酸トリグリセライド等と併用することも可能である。
本発明の光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物あるいは該化合物を含むフレグランス組成物を用いて賦香させることができる香粧品は、とくに限定されないが、例えば、フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアーケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、雑貨などが挙げられる。
前記フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、など;
前記基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし、など;
前記仕上げ化粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドゥ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバー、など;
前記頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットロ−ション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤、など;
前記日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品、など;
前記薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローションおよびジェル、パーマネン卜ウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料、など;
前記ヘアーケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメン卜、ヘアーパック、など;
前記石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸、など;
前記身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディーシャンプー、ハンドソープ、フェースクリーム、など;前記浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド、等)、フォームバス(バブルバス、等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル、等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブ、など;
前記洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸、など;
前記柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチァケアーなど;
前記洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤、など;
前記台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤、など;
前記漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤、等)、光学的漂白剤、など;
前記エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレー、など;
前記消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプ(水性、油性)、など;
前記雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、などの種々の形態を挙げることができる。
前記光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体と(R)−体の混合物の剤形は、化合物又は混合物自体の形状をとることができる。
その他の剤形としては、例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、ジエチルフタレートなどのエステル類に溶解した液体状;アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤で乳化した乳化状;アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜させた粉末状;非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤を用いて可溶化若しくは分散化した可溶化状又は分散化状;あるいはカプセル化剤で処理して得られるマイクロカプセルなど;が挙げられ、その目的に応じて任意の形状を選択して用いることができる。
さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、上記フレグランス組成物に安定性と徐放性を付与して用いることもある。これらは、最終製品の形態、例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミス卜状、エアゾール状などに適したものを適宜選択して用いられる。
なお、最終製品であるフレグランス製品等への前記光学活性DH−ファルネサールの(S)−体又は(S)−体/(R)−体の混合物である化合物、あるいは該化合物を含むフレグランス組成物の添加量は、それぞれが使用される対象、状況、期待される効果・作用などに応じて任意に加減されるので、規定することができないが、一般的には約0.00001〜20質量%程度である。
本発明における(S)−DH−ファルネサールを含むフレグランス組成物の利用・応用法はとくに限定されず、従来知られている香料の利用・応用法の全てに適用でき、様々な香粧品に優れた香質を賦与することができる。また、本発明における(S)−DH−ファルネサールを含むフレグランス組成物を用いて香気を改善できることも本発明の特徴の一つである。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらより何ら限定されるものではなく、また、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えてもよい。なお、下記に記載する処方の単位は特に言及しない限り、“%”は“質量%”を意味し、組成比は質量比を表すものとする。
以下に示す合成例で得られた生成物の各種分析は、次の機器装置類を用いて行われた。
化合物同定:核磁気共鳴装置(NMR):AVANCE III 500型(500MHz;Bruker社製)
組成分析:ガスクロマトグラフ質量分析計:GCMS−QP2010(島津製作所社製)
カラム:BC−WAX(50m×0.25mmID)
光学純度測定:ガスクロマトグラフ:GC−2010(島津製作所社製)
カラム:BGB−174(30m×0.25mmID)
光学純度測定:旋光度計:P−1020(日本分光社製)
[合成例1](6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの合成
ファルネソール((2E,6E)−体、(2E,6Z)−体、(2Z,6E)−体、(2Z,6Z)−体の比が1:1:1:1、高砂香料工業社製)6.66g(30mmol)及びRu−カーボン(5%担持品)0.3gを窒素雰囲気下で100mlのオートクレーブに入れ、充分窒素置換した。これにメタノール33mlを窒素雰囲気下で加えて水素置換をした後、水素圧40atmとし、120℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応混合物の一部を取り、ガスクロマトグラフィーにて転化率を測定したところ100%であり、水素化が100%進行したことが確認された。
先で得られた反応液を減圧濃縮して5.2gの留分を得た。ガスクロマトグラフィーで組成を分析したところ(6E)−体が52%、(6Z)−体が48%であった。この留分のうち3gを、硝酸銀を担持したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで処理し、シス体(Z体)リッチな留分を0.6g((6Z)−2,3−ジヒドロファルネソール85%、(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール15%)得た。
[合成例2](6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの合成
トランスファルネソール((2E,6E)−体/(2Z,6E)−体=99/1、高砂香料工業社製)6.66g(30mmol)及びRu−カーボン(5%担持品)0.3gを窒素雰囲気下で100mlのオートクレーブに入れ、さらに充分に窒素置換した。これにメタノール33mlを窒素雰囲気下で加えて水素置換をした後、水素圧40atmとし、120℃で16時間攪拌した。反応終了後、反応混合物の一部を取り、ガスクロマトグラフィーにて転化率を測定したところ、100%であった。
得られた反応液を減圧濃縮して留分を得た。ガスクロマトグラフィーで組成を分析したところ(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールが99%以上であった。
[合成例3](3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの合成
ファルネソール((2E,6E)−体/(2Z,6E)−体=98/2、高砂香料工業社製)10.0g(224.9mmol)及びRuCl((R)−T−BINAP)NEt((R)−T−BINAPは(R)−2,2’−ビス〔ジ(p−トリル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチルを示し、Etはエチル基を示す。高砂香料工業社製)81.1mg(0.09mmol)を窒素雰囲気下で200mlのオートクレーブに入れ、さらに充分窒素置換した。これにメタノール50mlを窒素雰囲気下で加えて水素置換をした後、水素圧40atmとし、室温で16時間攪拌した。反応終了後、反応混合物の一部を取り、ガスクロマトグラフィーにて転化率を測定したところ、100%であった。
得られた反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物を減圧蒸留して、化学純度96%の(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール8.3g(収率82%)を得た。
合成例3で得られた化合物の旋光度は−4.00度であった(〔α〕 23−4.00°(C=20、クロロホルム))。このことから光学純度は91%e.e.であることがわかった。(文献値:Acta.Chem.Scand.1971 Vol.25 p1685−1694より算出)。また、トランス(E体)、シス(Z体)に関しては原料のトランス体(6位)がそのまま維持され、(6E)−体が100%であった。
[合成例4](3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの合成
RuCl((R)−T−BINAP)NEtの代わりにRuCl((S)−T−BINAP)NEt(高砂香料工業社製)を用いた以外は合成例3と同様の手順で反応を行い、ガスクロマトグラフィーでの分析によって、化学純度96%の(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール8.5g(収率84%)を得た。この化合物の旋光度は+3.78度であった(〔α〕 23+3.78°(C=20、クロロホルム))。このことから光学純度は86%e.e.であることがわかった。
[合成例5](3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの合成
モレキュラーシーブス4Aを13.4g(0.5g/mmol)、合成例3で得られた(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール6.0g(26.7mmol)、4−メチルモルホリン−N−オキシド6.3g(53.5mmol)をジクロロメタン(150ml)及びアセトニトリル(18ml)中で混合し、室温で30分攪拌した。テトラプロピルアンモニウムペルルテナート0.5g(1.3mmol)を加え室温で2時間攪拌した。混合液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=97/3)にて精製し、化学純度96%、光学純度91%e.e.の(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール2.7g(収率45%)を無色油状物質として得た。
[合成例6](3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの合成
(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの代わりに合成例4で得られた(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールを用いた以外は合成例5と同様の手順で反応を行い、ガスクロマトグラフィーでの分析の結果、化学純度98%、光学純度86%e.e.の(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール5.7g(収率49%)を無色油状物質として得た。
[合成例7](6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの合成
(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの代わりに合成例2で得られた(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールを用いた以外は合成例5と同様の手順で反応を行い、ガスクロマトグラフィーでの分析の結果、化学純度98%の(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール5.7g(収率49%)を無色油状物質として得た。
<匂い閾値の測定>
合成例5で得た(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール((S)−体)と、合成例6で得た(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサール((R)−体)の匂い閾値を、常法(田村啓敏:AROMA RESEARCH,Vol.1,No.3,pp.28−36(2000)参照)に従って測定した結果、以下の通りとなった。
((S)−体): 2.7ppm
((R)−体):14.9ppm
その結果、(S)−体の閾値が、対応する(R)−体の1/5倍以下であることから、(S)−体の方が(R)―体に比べ、匂い強度の点で遥かに優れていることが分かった。
[製造例1〜7]化合物1〜7の調製と香気質の評価
合成例5、6で得た光学活性2,3−ジヒドロファルネサールを表1に記載の比率で混合し、化合物1〜7を得た(製造例1〜7)。当該化合物1〜7を瓶口及び濾紙に付着したものを、経験を10年以上有する調香師4名により官能評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1中、Sは(S)−DH−ファルネサールを意味し、Rは(R)−DH−ファルネサールを意味する。
Figure 0006219293
[実施例1A及び比較例1A]香水用フレグランス組成物の製造
下記表2の処方に基づき、常法により香水用フレグランス組成物を調製した。
Figure 0006219293
実施例1Aの処方において、光学活性DH−ファルネサールは化合物2である(S)−体/(R)−体=90/10の混合物を用いて香水用フレグランス組成物を調製した。
比較例1Aの処方において、光学活性DH−ファルネサールは化合物6である(S)−体/(R)−体=50/50のラセミ体のDH−ファルネサールを用いて香水用フレグランス組成物を調製した。
実施例1A及び比較例1Aの官能評価は5年以上経験した9人の専門パネラーが行った。比較例1Aの香水用フレグランス組成物のラセミ体処方に比べ、実施例1Aの香水用フレグランス組成物の光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=90/10の混合物処方は、匂い強度、ナチュラル感およびフレッシュ感いずれにおいてもパネラー全員の評価が上回った。また比較例1Aの香水用フレグランス組成物は香りがややもったりとしている、人工的などと評価したのに対し、実施例1Aの香水用フレグランス組成物は9人全員がナチュラル感がある、瑞々しい、立体感がある、シクラメン様のホワイトフローラル感が強い、などの非常に優れた評価であった。
[実施例1B及び比較例1B]化粧クリームの製造
実施例1A又は比較例1Aで得られた香水用香料用フレグランス組成物を用い、各々化粧クリームを調製した(実施例1B、比較例1B)。化粧クリームの成分を以下表3に示す。
Figure 0006219293
[実施例1Bと比較例1Bの評価方法]
左手の甲に比較例1Bの化粧クリームを塗布し、右手の甲に実施例1Bの化粧クリームを同量塗布した。塗布した直後と、塗布から3時間後に手に残る香気について、実施例1Aと同様の官能評価を行った。
化合物2である光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=90/10の混合物を含む実施例1Bの化粧クリームには、塗布直後および3時間後共に9人の専門パネラー全員が、強度の有る特有の匂いシクラメンの香りを想起させるフレッシュなフローラル感が有り、軽い拡散性を持ち香りが立ち上がってくる非常に良い印象のミューゲ感を付与する事ができたと答えた。
一方、化合物6であるラセミ体処方に基づく比較例1Bの化粧クリームには、Stickyな印象でフレッシュ感が弱いミューゲ感を付与するにとどまった。
参考例2A及び比較例2A]シャンプー用フレグランス組成物の製造
下記表4の処方に基づき、常法によりシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
Figure 0006219293
参考例2Aでの処方において、光学活性DH−ファルネサールには化合物3である(S)−体/(R)−体=85/15の混合物を用いてシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
比較例2Aでの処方において、光学活性DH−ファルネサールには化合物6である(S)−体/(R)−体=50/50のラセミ体を用いてシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
参考例2B及び比較例2B]シャンプーの製造
参考例2A又は比較例2Aで調製したシャンプー用フレグランス組成物を用い、下記表
5に示す成分を80℃にて均一になるまで加熱撹拌し、その後35℃まで冷却し、シャン
プーを調製した(参考例2B、比較例2B)。
Figure 0006219293
参考例2Bおよび比較例2Bとの評価方法]
参考例2B又は比較例2Bのシャンプーを使用して、均質な人毛の束(20g)を40℃の温水50mlに浸して髪を温水に20分間なじませた後に、シャンプー(1g)で洗浄した。人毛の束を取り出し、脱水し、次いで温水100mlですすぎ、脱水した。乾燥してから1時間後の毛髪から発する香気について実施例1Aと同様に官能評価を行った。
参考例2A、2B及び比較例2A、2Bの官能評価結果]
化合物3(光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=85/15の混合物)を含む参考例2Aのフレグランス組成物および参考例2Bのシャンプーには、9人の専門パネラー中8人が、ボリューム感とフレッシュな拡散とがバランスして、華やかなフローラル感として感じられるミューゲ感を付与する事ができたと答えた。
一方、化合物6(ラセミ体)処方に基づく比較例2Aのフレグランス組成物および比較例2Bのシャンプーには、Stickyな印象でフレッシュ感が弱いミューゲ感を付与するにとどまった。
参考例3A及び比較例3A]ボディーシャンプー用フレグランス組成物の製造
下記表6の処方に基づき、常法によりボディーシャンプー用フレグランス組成物を調製
した。
Figure 0006219293
参考例3Aの処方において、光学活性DH−ファルネサールには化合物4((S)−体/(R)−体=75/25の混合物)を用いてボディーシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
比較例3Aの処方において、光学活性DH−ファルネサールには化合物6((S)−体/(R)−体=50/50であるラセミ体)を用いてボディーシャンプー用フレグランス組成物を調製した。
参考例3B及び比較例3B]ボディーシャンンプ−の製造
参考例3A又は比較例3Aで調製したボディーシャンプー用フレグランス組成物を用い、それぞれボディーシャンプーを調製した(参考例3B、比較例3B)。ボディーシャンプーの成分を以下表7に示す。
Figure 0006219293
参考例3Bと比較例3Bとの評価方法]
40℃の温水50mlで手のひらを洗い流した後に、参考例3B又は比較例3Bのボディーシャンプー(1g)で洗浄した。次いで温水100mlで手のひらをすすぎ、乾燥タオルで水分をふき取った。その際に手のひらから発する香気について実施例1Aと同様に官能評価を行った。
参考例3A、3B及び比較例3A、3Bの官能評価結果]
化合物4である光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=75/25の混合物を含む参考例3Aのフレグランス組成物および参考例3Bのボディーシャンプーには、9人の専門パネラー中7人が、ナチュラルなシクラメン調のキャラクターで質とパフォーマンスを併せ持ったミューゲ感を付与する事ができたと答えた。
一方化合物6であるラセミ体処方に基づく比較例3Aのフレグランス組成物および比較例3Bのボディーシャンプーには、Stickyな印象でフレッシュ感が弱いミューゲ感を付与するにとどまった。
[実施例4A及び比較例4A]洗剤用フレグランス組成物の製造
下記表8の処方に基づき、常法により洗剤用フレグランス組成物を調製した。
Figure 0006219293
実施例4Aの処方において、化合物1(光学活性DH−ファルネサールの(S)−体)を用いて洗剤用フレグランス組成物を調製した。
比較例4Aの処方において、化合物5(光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=70/30の混合物)を用いて洗剤用フレグランス組成物を調製した。
[実施例4B及び比較例4B]粉末洗剤の調製
実施例4A又は比較例4Aで調製した洗剤用フレグランス組成物を用い、各々粉末洗剤を調製した(実施例4B、比較例4B)。粉末洗剤の成分を以下表9に示す。
Figure 0006219293
[実施例4Bと比較例4Bとの評価方法]
実施例4B又は比較例4Bの粉末洗剤を使用して、タオルを洗濯し、脱水処理した。その際、タオルから発する香気について実施例1Aと同様に官能評価を行った。
[実施例4A、4B及び比較例4A、4Bの官能評価結果]
化合物1(光学活性DH−ファルネサールの(S)−体)を含む実施例4Aのフレグランス組成物および実施例4Bの粉末洗剤には、9人の専門パネラー全員が、匂いシクラメンの香りを想起させるフレッシュなフローラル感と、軽い拡散性を持ち香りが立ち上がってくる印象で、強度も有り非常に良いミューゲ感を付与することができたと答えた。
一方、化合物5である光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=70/30の混合物を含む比較例4Aのフレグランス組成物及び比較例4Bの粉末洗剤には、R体単体で感じられた下のほうで停滞しているような感じがあり、香質的にはS体のキャラクターの影響が感じられるが、香質的な印象はRacemicを踏襲してややStickyな印象のミューゲ感を付与するにとどまった。
参考例5A及び比較例5A]柔軟剤用フレグランス組成物の製造
下記表10の処方に基づき、常法により柔軟剤用フレグランス組成物を調製した。
Figure 0006219293
参考例5Aの処方において、光学活性DH−ファルネサールには化合物4((S)−体/(R)−体=75/25の混合物)を用いて柔軟剤用フレグランス組成物を調製した。
比較例5Aの処方において、光学活性DH−ファルネサールには化合物6((S)−体/(R)−体=50/50のラセミ体)を用いて柔軟用フレグランス組成物を調製した。
参考例5B及び比較例5B]衣料用柔軟剤の製造
参考例5A又は比較例5Aで調製した柔軟剤用フレグランス組成物を用い、衣料用柔軟剤を調製した(参考例5B、比較例5B)。衣料用柔軟剤の成分を以下表11に示す。
Figure 0006219293
参考例5Bと比較例5Bの評価方法]
参考例5B又は比較例5Bの衣料用柔軟剤を使用して、無香料の洗剤で洗濯したタオル
に10分間浸し、脱水処理した。その後、タオルから発する香気について実施例1Aと同
様に官能評価を行った。
参考例5A、5B及び比較例5A、5Bの官能評価結果]
化合物4(光学活性DH−ファルネサールの(S)−体/(R)−体=75/25の混
合物)を含む参考例5Aのフレグランス組成物および参考例5Bの衣料用柔軟剤には、9
人の専門パネラー中7人が、ナチュラルなシクラメン調のキャラクターで質とパフォーマ
ンスを併せ持っているミューゲ感を付与することができたと答えた。
一方、化合物6であるラセミ体処方に基づく比較例5Aのフレグランス組成物および比
較例5Bの衣料用柔軟剤には、Stickyな印象でフレッシュ感が弱いミューゲ感を付
与するにとどまった。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2012年10月1日出願の日本特許出願(特願2012−219613)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (5)

  1. 化学純度が90質量%以上かつ光学純度が80%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含有するフレグランス組成物。
  2. 前記(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールの含有量が0.001〜40質量%である請求項1に記載のフレグランス組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のフレグランス組成物を含有する香粧品。
  4. 化学純度が90質量%以上かつ光学純度が80%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを含有するフレグランス組成物を用いた香気改善方法。
  5. 化学純度が90質量%以上かつ光学純度が80%e.e.以上である(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネサールを使用することにより、香粧品にフローラル様香気を付与する方法。
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