JP6218329B2 - 布状圧力センサ - Google Patents
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Description
然るに、感圧導電ゴムからなる圧力センサは強度が低くて耐久性に劣り、高圧力領域(例えば0.5〜10.0MPa)においてへたりを生じて使用できなくなる。
そこで、強度および耐久性の向上を図るために、基布(補強布)を導電ゴムに内包してなるシート状のもの(以下、「布補強導電ゴムシート」という)が紹介されている。
布補強導電ゴムシートを圧縮変形させることにより、基布の内部に僅かに存在する(導電ゴムが充填されていない)空隙が潰され、導電率が上昇して抵抗値が低下する。
前記基布を構成する繊維の体積比率(V1)が70〜85%、
前記導電ゴムの体積比率(V2)が5〜10%、
前記導電ゴムが充填されていない空隙の体積比率(V3)が10〜20%、
表面粗さ(Rz)が5.0μm以上であることを特徴とする。
この結果、高圧力領域(例えば0.5〜10.0MPa)における圧力変化を、抵抗値の変化として確実に検知することができる。
前記基布の内部に含有されている前記導電ゴムの体積比率(V2a)が1〜4%であることが好ましい。
10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値を(R2)とするとき、(R1)/(R2)が10以上であることが好ましい。
10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗率を(ρ2)とするとき、(ρ1)/(ρ2)が10以上であることが好ましい。
本発明の布状センサは、基布の内部(繊維間空隙)に導電ゴムが含有されてなる。
基布の厚さは、通常0.05〜1.0mmとされ、好ましくは0.07〜0.2mmとされる。
導電ゴムの体積抵抗率としては109 Ω・cm以下であることが好ましい。
導電ゴムの体積抵抗率は、低圧力領域(例えば0.1MPa以下)において圧力に依存して変化するものの、高圧力領域(例えば0.5〜10.0MPa)において略一定の値を示すものである。
これにより、基布を主体とするシートの形態を確保することができるとともに、センサとしての強度や耐久性を確保することができる。
他方、繊維の体積比率(V1)が85%を超えると、後述する導電ゴムの体積比率(V2)および空隙の体積比率(V3)を十分に確保することができなくなる。
また、導電ゴムの体積比率(V2)が10%以下であることにより、高圧力領域に到達する前に抵抗値が大きく低下することがなく、例えば0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R1)を十分に高くすることができる。
この結果、高圧力領域(例えば0.5〜10.0MPa)における圧力変化を、抵抗値の変化として確実に検知することができる(後述する実施例1〜3参照)。
他方、導電ゴムの体積比率(V2)が10%を超えると、高圧力領域に到達する前に抵抗値が大きく低下し、例えば0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R1)を十分に高くすることができない(後述する比較例1参照)。
ここに、高圧力領域における圧力変化を確実に検知する観点から、基布の内部に含有されている導電ゴムの体積比率(V2a)は1〜4%であることが好ましい。
このように、空隙の体積比率(V3)が従来のものと比較して高いことが、本発明の布状センサの特徴とする点である。
また、空隙の体積比率(V3)が20%以下であることにより、高圧力領域における感圧導電性を確保することができ、例えば10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R2)を十分に低くすることができる。
この結果、高圧力領域(例えば0.5〜10.0MPa)における圧力変化を、抵抗値の変化として確実に検知することができる(後述する実施例1〜3参照)。
このため、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R2)に対する、0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R1)の比〔(R1)/(R2)〕の値は10以上であることが好ましく、更に好ましくは10〜150とされる。
また、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R2)は、ある程度低いことが好ましく、具体的には、10Ω〜104 Ωであることが好ましい。
また、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗率(ρ2)は、ある程度低いことが好ましく、具体的には、104 Ω・cm〜107 Ω・cmであることが好ましい。
そして、基布に塗布する溶液中に含まれる導電ゴムの量を調整することにより、最終的に得られる布状センサにおける繊維の体積比率(V1)、導電ゴムの体積比率(V2)、空隙の体積比率(V3)、表面粗さ(Rz)を制御することができる。
基布の表面および/または裏面に導電ゴムの溶液を塗布する方法としては、スプレー、刷毛、ローラなどを使用する方法、浸漬法などを挙げることができ、これらのうち、スプレーによる塗布方法が好ましい。
(1)布状圧力センサの作製:
クロロプレンゴムからなる導電ゴム(体積抵抗率=107 〜108 Ω・cm)8gをトルエン(有機溶剤)48gに溶解して導電ゴムの溶液を調製した。
得られた導電ゴムの溶液の半量を基布(1000mm×1000mm×0.09mm)の一面にスプレーを使用して塗布し、室温下で30秒間乾燥後、更に、残り半量を他面に塗布して同条件で乾燥後、160℃×20分間の条件でプレス加硫を行うことにより、厚さ0.09mmの本発明の布状圧力センサを得た。
上記(1)により得られた布状圧力センサの断面を観察し、下記の方法に従って、基布を構成する繊維の体積比率(V1)、導電ゴムの体積比率(V2)〔基布の内部に含有されている導電ゴムの体積比率(V2a)・基布の表裏面に形成されている導電ゴム層の体積比率(V2b)〕、空隙の体積比率(V3)を測定した。
結果を下記表1に示す。
走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL日本電子製)を用い、観察倍率650倍にて基布1繰り返し単位中の断面図を測定し、面積比率を求めた。
上記(1)により得られた布状圧力センサの表面粗さ(Rz)を、表面粗さ計「バートスキャン(型番:3300GL−Lite)」(株式会社菱化システム製)を用いて測定した。結果を併せて下記表1に示す。
上記(1)により得られた布状圧力センサを裁断して直径30mmの円板状の試験片を作製した。
テスター「PC5000a」(三和電気計器株式会社製)に接続された2枚の金メッキされた銅電極(直径12mm)の間に得られた試験片を挟み、加圧用計測スタンド(MX−1000、IMADA製)を使用し、圧縮荷重を付加して、圧力変化に伴う抵抗値の変化および抵抗率の変化を測定した。
結果を図1(圧力変化に伴う抵抗値の変化)および図2(圧力変化に伴う抵抗率の変化)に示す。
また、0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R1)、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R2)、(R1)/(R2)の値、0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗率(ρ1)、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗率(ρ2)、(ρ1)/(ρ2)の値を下記表1に示す。
(1)圧力センサの作製:
導電ゴム20gをトルエン20gに溶解して導電ゴムの溶液を調製した。
得られた導電ゴムの溶液の半量を基布(1000mm×1000mm×0.09mm)の一面にスプレッターを使用して塗布し、130℃で10秒間乾燥後、更に、残り半量を他面に塗布して同条件にて乾燥後、150℃×120分間の条件で加硫缶による加硫を行うことにより、厚さ0.12mmの布補強導電ゴムシートからなる圧力センサを得た。
上記(1)によって得られた圧力センサについて、実施例1(2)と同様にして、繊維の体積比率(V1)、導電ゴムの体積比率(V2)〔体積比率(V2a)および体積比率(V2b)〕、空隙の体積比率(V3)を測定した。
結果を下記表1に示す。
上記(1)によって得られた圧力センサについて、実施例1(3)と同様にして、表面粗さ(Rz)を測定した。結果を併せて下記表1に示す。
上記(1)によって得られた圧力センサについて、実施例1(4)と同様にして、圧力変化に伴う抵抗値の変化および抵抗率の変化を測定した。
結果を図1(圧力変化に伴う抵抗値の変化)および図2(圧力変化に伴う抵抗率の変化)に示す。
また、0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R1)、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R2)、(R1)/(R2)の値、0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗率(ρ1)、10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗率(ρ2)、(ρ1)/(ρ2)の値を下記表1に示す。
導電ゴム6gをトルエン36gに溶解して導電ゴムの溶液を調製したこと以外は実施例1(1)と同様にして厚さ0.09mの本発明の布状圧力センサを得た。
このようにして得られた布状圧力センサについて、実施例1(2)と同様にして、繊維の体積比率(V1)、導電ゴムの体積比率(V2)、空隙の体積比率(V3)を測定し、実施例1(3)と同様にして、表面粗さ(Rz)を測定し、実施例1(4)と同様にして、圧力変化に伴う抵抗値の変化および抵抗率の変化を測定した。結果を併せて表1に示す。
導電ゴム10gをトルエン60gに溶解して導電ゴムの溶液を調製したこと以外は実施例1(1)と同様にして厚さ0.09mの本発明の布状圧力センサを得た。
このようにして得られた布状圧力センサについて、実施例1(2)と同様にして、繊維の体積比率(V1)、導電ゴムの体積比率(V2)、空隙の体積比率(V3)を測定し、実施例1(3)と同様にして、表面粗さ(Rz)を測定し、実施例1(4)と同様にして、圧圧力変化伴う抵抗値の変化および抵抗率の変化を測定した。結果を併せて表1に示す。
導電ゴム3gをトルエン18gに溶解して導電ゴムの溶液を調製したこと以外は実施例1(1)と同様にして厚さ0.09mの布状圧力センサを得た。
このようにして得られた布状圧力センサについて、実施例1(2)と同様にして、繊維の体積比率(V1)、導電ゴムの体積比率(V2)、空隙の体積比率(V3)を測定し、実施例1(3)と同様にして、表面粗さ(Rz)を測定し、実施例1(4)と同様にして、圧力変化に伴う抵抗値の変化および抵抗率の変化を測定した。結果を併せて表1に示す。
この比較例2は、導電ゴムの体積比率(V2)が5%未満であるとともに、空隙の体積比率(V3)が20%を超える布状圧力センサの比較例である。
Claims (5)
- 基布の内部に導電ゴムが含有されてなる厚さ0.05〜1.0mmの布状圧力センサであって、
前記基布を構成する繊維の体積比率(V1)が70〜85%、
前記導電ゴムの体積比率(V2)が5〜10%、
前記導電ゴムが充填されていない空隙の体積比率(V3)が10〜20%、
表面粗さ(Rz)が5.0μm以上であることを特徴とする布状圧力センサ。 - 前記導電ゴムの一部が前記基布の内部に含有され、当該導電ゴムの残部によって前記基布の表面および裏面に導電ゴム層が形成されてなり、
前記基布の内部に含有されている前記導電ゴムの体積比率(V2a)が1〜4%であることを特徴とする請求項1に記載の布状圧力センサ。 - 前記空隙の体積比率(V3)が10〜15%、
表面粗さ(Rz)が5.0〜15.0μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の布状圧力センサ。 - 0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗値(R1)が103 Ω〜106 Ωであり、
10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗値を(R2)とするとき、(R1)/(R2)が10以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の布状圧力センサ。 - 0.5MPaの圧力を掛けたときの抵抗率(ρ1)が106 Ω・cm〜109 Ω・cmであり、
10.0MPaの圧力を掛けたときの抵抗率を(ρ2)とするとき、(ρ1)/(ρ2)が10以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の布状圧力センサ。
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