JP2016072355A - 圧電素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工程の容易性の観点から単層構造を有し、高温に加熱されても圧電性能を維持することができる耐熱性に優れた圧電素子及びその製造方法の提供する。【解決手段】圧電素子1は、シート状で耐熱性を有する多孔質基材2で構成されており、多孔質基材2の表面に多孔質基材2を構成する材料からなる表面層2a、2bを有し、多孔質基材2の内部に閉じ込められており、かつ、帯電した空孔4を有する。多孔質基材が、不織布又は一軸延伸又は二軸延伸フィルムであること、が好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱不織布・延伸フィルムを用いて高温時でも高い電荷保持を有する圧電素子の製造方法に関する。
従来からの圧電素子としては、無機物では例えばセラミックス等が挙げられ、有機物では例えばPVDF(ポリビニリデンフルオライド)フィルムや多孔PP(ポリプロピレン)フィルム等が挙げられる。
これらのうち、セラミックス製の圧電素子には、加工性に劣り、大面積化してしまうといった問題があり、PVDF製の圧電素子には、圧電性能が十分ではなく、耐熱性に劣るという問題がある。また、多孔PP製の圧電素子にあっては、耐熱性に劣るという問題がある。
そこで、近年、さまざまな耐熱材料を基材としてこれを多孔化させることで、上記のような圧電素子の問題を改善した圧電材料の開発が進められている。
具体的には、例えば、特許文献1(特開2013−162051号公報)においては、フッ素樹脂フィルム製圧電素子及びその製造方法が提案されており、延伸PTFEフィルムを使用し、これを100℃以上で加熱圧縮処理することで内部の多孔構造を変化させ、圧電性能を向上させることが記載されている。なお、内部空孔の構造が特定の構成を有している。融点以上での圧縮処理ではない。
また、例えば、特許文献2(国際公開第WO2014/069477 A1号パンフレット)においては、多孔質樹脂シートと、前記多孔質樹脂シートの外表面のうちで、少なくとも前記多孔質樹脂シートの表裏面の何れか1方面に積層された表面被覆層とを有し、前記表面被覆層の体積抵抗率が1×1013Ω・cm以上であり、前記多孔質樹脂シートと表面被覆層との弾性率が異なる、圧電積層体が提案されている。
特開2013−162051号公報 国際公開第WO2014/069477A1号パンフレット
上記のような従来の圧電素子(又は圧電積層体)は、多孔エレクトレットの原理を使用している。多孔エレクトレットの原理では、理想的な構造は独立気泡であり、この構造により高い圧電性能と圧電性の維持が付与できるとされている。
しかしながら、従来の圧電素子に使用されている耐熱不織布や上記特許文献1の圧電素子に使用されている多孔延伸PTFEは、空孔が内部から表面まで重なった状態の連孔構造を有しているため、空孔に帯電させるためにコロナ放電を行なっても、帯電させた電荷が空気に触れて放電し、圧電性能は低くなってしまうという問題がある。
これに対しては、上記特許文献2の圧電積層体のように、放電による圧電性能の低下を回避するために、連孔状態とならないように積層構造とすること等が考えられているが、メルト系樹脂フィルム等を積層することを考慮すると、製造工程が煩雑になることに加え、耐熱時の電荷の保持が困難になると考えられる。
そこで、本発明の目的は、製造工程の容易性の観点から単層構造を有し、高温に加熱されても圧電性能を維持することができる耐熱性に優れた圧電素子及びその製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決すべく、本発明は、耐熱性を有する多孔質基材で構成されており、前記多孔質基材の表面に前記多孔質基材を構成する材料からなる表面層を有し、前記多孔質基材の内部に閉じ込められておりかつ帯電した空孔を有すること、を特徴とする圧電素子、を提供する。
このような構成を有する本発明の圧電素子は、単一の多孔質基材で構成されており、また、多孔質基材の表面部に当該多孔質基材の一部で構成されたフィルムに近い状態の表面層を有し、内部に空孔が閉じ込めた構造を有しているため、当該空孔から電荷が放電せず、ブランクの状態よりも格段に向上した圧電性能を発揮する。また、本発明の圧電素子は、シート状で耐熱性を有する多孔質基材で構成されていることから、高温に加熱されても電荷を保持することができ、柔軟性と耐熱性を兼ね備えるものである。
上記本発明の圧電素子においては、前記多孔質基材が、不織布又は延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムであること、が好ましい。
このような構成を有する本発明の圧電素子は、高温に加熱されても電荷を保持することができ、柔軟性と耐熱性を兼ね備える圧電素子を確実に実現するものである。
また、上記の本発明の圧電素子においては、前記多孔質基材の両側の表面に前記表面層を有すること、が好ましい。
このような構成を有する本発明の圧電素子は、多孔質基材の両側の表面部に当該多孔質基材の一部で構成されたフィルムに近い状態の表面層を有することから、全空孔に対して、内部に閉じ込められた空孔の比率が高くなるため、より多くの電荷を放電せず、確実に向上した圧電性能を発揮することができる。
更に、上記の本発明の圧電素子は、内部に閉じ込められた空孔のみを有する構造を有すること、が好ましく、また、上記の本発明の圧電素子は、前記空孔が互いに連通していない独立気泡状態を有すること、が好ましい。
このような構成を有する本発明の圧電素子は、空孔に帯電させた電荷が放電せず、より確実に向上した圧電性能を発揮・維持することができ、また、空孔が互いに連通していない独立気泡状態を有するため、電荷がより確実に閉じ込めておくことができ、圧電性能を発揮・維持することができる。
更に本発明は、上記の本発明の圧電素子の製造方法にも関し、当該製造方法は、
耐熱性を有する多孔質基材を、前記多孔質基材の融点以上の温度に加熱しながら圧縮及び圧延することにより、前記多孔質基材の表面に前記多孔質基材を構成する材料からなる表面層を形成し、内部に空孔を閉じ込める封口工程と、
前記閉じ込められた空孔に圧電処理を施して電荷を帯電させる圧電工程と、
を有すること、を特徴とするものである。
このような構成を有する本発明の圧電素子の製造方法によれば、高温に加熱されても電荷を保持することができ、柔軟性と耐熱性を兼ね備える圧電素子を、確実に得ることができる。
上記の本発明の圧電素子の製造方法においては、前記多孔質基材が、不織布又は延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムであること、が好ましい。また、上記の本発明の圧電素子の製造方法においては、前記多孔質基材の両側の表面に前記フッ素系樹脂製の表面層を形成すること、が好ましい。
上記のように、本発明によれば、製造工程の容易性の観点から単層構造を有し、加熱されても圧電性能を維持することができる耐熱性に優れた圧電素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の圧電素子は、耐熱性を生かしたセンサ用途(医療分野・自動車分野)、更には発電用途にも最適であると考えられる。例えば、近年ウェアラブルデバイスの進歩・発展が著しいなか、被服等にセンサを内蔵してセンシングする技術等が開発されているところ、本発明の圧電素子はこのような分野への応用も期待される。
本発明の実施形態に係る圧電素子1の構造を示す概略縦断面図である。 図1に示す圧電素子の製造工程(封口工程)を説明するための概略縦断面図である。 本実施形態の圧電素子1の製造方法のうちの第一工程(封口工程)の一例を説明するための模式図である。 本実施形態の圧電素子1の製造方法のうちの第二工程(圧電処理工程)の一例を説明するための模式図である。 実施例における封口処理前のPTFE不織布の表面の電子顕微鏡写真である(1kV、×150)。 実施例における封口処理後のPTFE不織布の表面の電子顕微鏡写真である(1kV、×100)。
以下、本発明の圧電素子及びその製造方法についての代表的な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限られないことはいうまでもない。また、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
<圧電素子>
図1は、本実施形態の圧電素子の構造を概略的に示す縦断面図である。図1に示すように、本実施形態の圧電素子1は、シート状で耐熱性を有する多孔質基材2で構成されており、多孔質基材2の両方の表面部分にそれぞれ表面層2a、2bを有している。即ち、これらの表面層2a、2bは、多孔質基材2の一部に含まれており多孔質基材2と同じ材質である。そして、多孔質基材2の内部には、閉じ込められておりかつ帯電した空孔4が内在している。これらの空孔4は、上記の表面層2a、2bによって物理的に多孔質基材2に閉じ込められている構成を有している。したがって、表面層2a、2bは、多孔質基材2の表面全体において連続しているのが好ましいが、一部が不連続であってもよい。また、全ての空孔4を内部に閉じ込めているのが好ましいが、一部の空孔4が外部に開放していてもよい。
本実施形態の圧電素子1は、単一の多孔質基材2で構成されており、また、多孔質基材2の表面部に当該多孔質基材2の一部で構成されたフィルムに近い状態の表面層2a、2bを有し、帯電した空孔4が内部に閉じ込めた構造を有しているため、空孔4から電荷が放電せず、ブランクの状態よりも格段に向上した圧電性能を発揮する。また、シート状乃至はフィルム状で耐熱性を有する多孔質基材2で構成されていることから、高温に加熱されても電荷を保持することができ、柔軟性と耐熱性を兼ね備える。
多孔質基材2は、シート状乃至はフィルム状で耐熱性を有するものであれば用いることができ、例えば不織布又は一軸延伸フィルム若しくは二軸延伸フィルムの形態の材料を好適に用いることができる。
多孔質基材2を構成する材料としては、有機材料と無機材料のいずれでも用いることができ、また、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を含んでいてもよい。
有機材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(EPA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロ・テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、及びこれらの1種又は2種以上とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との混合物等のフッ素樹脂材料が挙げられる。エレクトレットの観点から、PTFE、PFA又はFEPが好ましい。
また、その他の有機材料として、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド及びアラミド等も挙げられる。
無機材料としては、ガラス繊維や炭素繊維等を挙げることができる。
ここで、本実施形態において用いる多孔質基材2は、不織布又は一軸延伸フィルム若しくは二軸延伸フィルムの形態を有しており、帯電した空孔を内部に用いるものである。したがって、帯電させることのできる空孔を形成することができれば、後述するように種々の方法によって製造することができる。
多孔質基材2は、種々の気孔形状及び気孔率を有しているが、不織布の場合は、フィラメント繊維状部分が折り重なってかつ結合したような網状構造を有している。また、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムの場合は、粒子状部分が、フィブリルと称される繊維状部分で結合したような網状構造を有している。これらのような網状構造では、結合部分をノードといい、フィブリル間、フィブリル・ノード間、フィラメント間、フィラメント・ノード間の間隙が空孔4に該当する。
図1に示す本実施形態の圧電素子1(即ち製造後の圧電素子1)の厚みは、本発明の作用効果を損なわない範囲であればよく、特に制限されるものではない。
また、表面層2a及び表面層2bの厚みは、同一であっても異なっていてもよく、帯電した空孔4を閉じ込めて放電を抑制できる範囲であればよい。
製造後の圧電素子1における空孔4のサイズは、本発明の作用効果を損なわない範囲であればよく、特に制限されるものではない。
また、製造後の圧電素子1における空孔4は、互いに連通していてもよいが、電荷がより確実に閉じ込めておくことができ、圧電性能を発揮・維持することができるという観点から、空孔4が互いに連通していない独立気泡状態を形成していてもよい。圧電素子1は、この独立気泡状態を部分的に有していてもよいが、全体的に有しているのが好ましい。
多孔質基材2における空孔4の割合(即ち、気孔率)は、本発明の作用効果を損なわない範囲であればよく、特に制限されるものではない。
なお、気孔率とは、本実施形態の圧電素子1の製造前の多孔質基材2の見かけ体積(V)に占める空孔4の体積(V)の割合をいい、下記式1より求められる。ただし、本実施形態の圧電素子の製造工程のうちの圧電処理工程によっては、空孔4のサイズは原則として変動しない。
気孔率(%)=(V/V)×100 ・・・(式1)
式1中、多孔質基材2の見かけの体積Vは、多孔質基材2の面積と厚みにより算出される。空孔体積(V)は、多孔質基材2の乾燥重量を樹脂の真比重(PTFEなら2.17g/cm)で除することにより算出される多孔質基材部分体積(R)を、多孔質基材の見かけの体積から差し引くことにより算出される(V=V−R)。
<圧電素子の製造方法>
次に、図1に示す本実施形態の圧電素子1の製造方法は、図2に示すように、多孔質基材2の両方の表面に、多孔質基材2を構成する材料からなる表面層2a、2bを形成し、内部に空孔を閉じ込める封口工程((a)→(b))と、閉じ込められた空孔に圧電処理を施して電荷を帯電させる圧電工程を有するものである。
(1)封口工程(第一工程)
多孔質基材2を、多孔質基材2の融点以上の温度に加熱しながら圧縮及び圧延することにより、多孔質基材2の両方の表面に、多孔質基材2を構成する材料からなる表面層2a、2bを形成し、内部に空孔を閉じ込める。
ここで、多孔質基材2としては、上述した種々のものを用いることができるが、市販のものとしては、例えば(株)巴川製紙所製のトミーファイレックPA−5L、PA−10L、R−125、R−250、R−350(いずれもPTFE不織布)、及び、中興化成工業(株)製の多孔質PTFEシート(PTFE一軸延伸フィルム)等を好適に用いることができる。
多孔質基材2を圧縮及び圧延する方法としては、加圧ローラで圧縮しながら圧延する方法を用いることができる。ここで、図3は、本実施形態の圧電素子1の製造方法のうちの第一工程(封口工程)の一例を説明するための模式図である。
図3に示す装置構成は、多孔質基材2の巻回体(ロール)6を引き出し、支持基材8上に保持して積層(ラミネート)し、支持基材8とともに加圧ローラ10と加熱ローラ12との間を通すことによって、加熱しながら圧縮及び圧延するものである。
図3における上側に設置された加圧ローラ10と下側に設置された加熱ローラ12との間において、加熱されながら圧縮及び圧延されることで、多孔質基材2の表面のうちの加圧ローラ10側の表面において、多孔質基材2を構成する材料が溶融し、表面層2a(又は2b)が形成され、続いて巻回体(ロール)14として巻き取られる(いわゆるRoll to Roll方式)。
この時点で、本実施形態では、多孔質基材2の両方の表面に表面層を設けているため、巻き取られた巻回体(ロール)14から再び多孔質基材2を引き出し、反対側の表面にも表面層2b(又は2a)を形成する。
支持基材8としては、加圧ローラ10と加熱ローラ12との間に多孔質基材2とともに通過するに際し、耐熱性を有するとともに熱伝達が良く、薄く腰のある材料というものであれば用いることができ、例えばステンレス鋼(SUS)、洋白、アルミニウム等の金属、又は、ポリイミド等の樹脂等を用いることができる。なお、支持基材8は生産性の観点から省略することもできる。
この封口工程では、まず多孔質基材2を多孔質基材2の融点以上、樹脂表層を熱と圧力で押し固める封孔処理という観点からは、好ましくは多孔基材の融点以上分解温度以下の温度に加熱する。融点以上に加熱して溶融させることにより、多孔質基材2の両方の表面に表面層2a、2bを形成するためである。多孔質基材2を構成する材料によってこの融点は異なるが、以下にその材料と融点とを例示しておく。
・PTFE 327℃
・PFA 310℃
・FEP 260℃
本実施形態において巻回体(ロール)6から多孔質基材2を引き出して支持基材8とラミネートさせて加圧ローラ10と加熱ローラ12との間に搬送させる速度としては、加熱ローラ12による加熱温度と相俟って、所望の表面層2a、2bを形成させることのできる速度であり、例えば、低熱付加という観点からは、1〜3m/minであればよい。多孔質基材2がPTFE製の場合は0.15〜0.6m/minであるのが好ましい。
また、加圧ローラ10と加熱ローラ12との間で多孔質基材2にかかる圧力としては、本発明の作用効果を損なわない範囲であればよく、特に制限はない。例えば、多孔質基材2がPTFE製の場合は0.3〜0.5MPaであるのが好ましい。
(2)圧電処理工程(第二工程)
表面層2a、2bを有する多孔質基材2を、ついで、圧電処理工程に供する。この圧電処理工程は、多孔質基材2中の空孔に帯電させること(エレクトレット化)ができる方法であれば種々の方法を採用することができる。
例えば、多孔質基材2の両面に電極を設けた後、両電極間に、高電圧を印加する方法、(軟X線)電子線を照射する方法、図4に示すように、金属板上に多孔質基材2を載置し、多孔質基材2から所定間隔をあけて、コロナ放電により荷電させる方法などが挙げられる。
コロナ放電は、図4に示すように、金属板(例えばSUS製)20上に、両面に表面層2a、2bを有する多孔質基材2を所定の長さに切り取ったもの(圧電素子1の前駆体)2Aを設置し、高圧電源(1〜10kV)22に接続されておりかつ前駆体2Aから所定の高さhに設置したワイヤー又は針電極24から高電圧を印加することで分極させる。
前駆体2Aのサイズ、印加電圧、ワイヤー又は針電極24の高さh及び印加時間は、多孔質基材2の空孔4に帯電させることができるように適宜調整すればよく、例えば、多孔質基材2の厚さ、材質及び気孔率、表面層2a、2bの厚さ等を勘案して設定することができる。
以上のようにして作製される本実施形態の圧電素子1は、空孔4のサイズや多孔質基材2の気孔率に基づき、高い圧電定数(d33:pC/N)を有する。圧電定数(d33:pC/N)とは、厚さ方向に加えた応力と電極に発生する電荷の関係を示す係数であり、圧電性の指標である。更に、本実施形態の圧電素子1は、表面層2a、2bを有しており、空孔4に帯電した電荷が放電しにくいため、圧電性もその維持率も高い。
続いて、本発明の圧電素子及びその製造方法を以下において実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<実施例及び比較例>
(1)圧電素子の作製
耐熱性を有する多孔質基材2として、(株)巴川製紙所製のトミーファイレックPA−5L(PTFE不織布、厚さ:500μm、気孔率:72%)を用意し、図3に示す装置構成を使用して、両面に封口処理を施した。各種条件は以下のとおりとした。なお、封口処理後の多孔質基材2全体の厚さは200μmで、気孔率は38%であった。
・加熱温度:380℃
・搬送速度:0.2m/min
・圧力:0.5MPa
・支持基材:アルミニウム製(0.2mm)
次に、図4に示す装置構成を用いて、表面層2a、2bを有する多孔質基材2に圧電処理を施した。このとき、表面層2a、2bを有する多孔質基材2を30mm×38mmの寸法に切断して前駆体2Aとし、前駆体2Aからワイヤー又は針電極24までの高さhを10mmとし、金属板20としてSUS製金属板を用い、放電時間を3分間とした。このような圧電処理を施すことにより、PTFE不織布を用いた本発明の圧電素子(実施例)を3個ずつ作製した。
また、多孔質基材2として、Emfit社製の多孔質ポリプロピレン(PP)フィルム(PP二軸延伸フィルム、厚さ:40μm)を用いた以外は、上記実施例と同様に圧電処理を施し、PP二軸延伸フィルムを用いた比較用圧電素子(比較例)を3個ずつ作製した。
(2)評価
(2−1)圧電性
上記のようにして得た本発明の圧電素子(実施例)又は比較用圧電素子(比較例)の両面を、電極を設けたアクリル板で挟み込み、その片面からガラス製球体をのせて一定加重をかけ、その時に発生した電荷応答をオシロスコープ(テクトロニクス社製((株)TFF製))にて測定した。結果を表1に示した。
(2−2)耐熱性
上記のようにして得た本発明の圧電素子(実施例)又は比較用圧電素子(比較例)を金属板(Al製)で挟み込み、電気乾燥炉にて温度を変化させて24時間毎に圧電性を測定し(具体的には、加熱前(0℃)から24時間かけて100℃まで昇温させて測定し、更にそこから24時間かけて120℃まで昇温させて測定し)、初期値に対してどれだけ電荷が残っているのか(残存率)を%で評価した。結果を表1に示した。
表1に示す結果から、本発明の圧電素子は、耐熱電荷保持を有する素材としてPTFEを使用し、上述した本発明の圧電素子の製造方法により圧電性を付与することにより、常温時はもとより加熱されても電荷を保持することができ、耐熱性に優れることがわかった。また、実施例で用いたPTFE不織布と、封口処理を施したPTFE不織布を用いた本発明の圧電素子(実施例)の前駆体の表面を、キーエンス(株)製の電子顕微鏡(SEM)VE−9800で観察したところ(1kV、×100〜150)、表面層が形成されて空孔が閉じ込められている様子を確認することができた。封口処理前後のSEM写真を図5及び図6に示した。
なお、実施例で用いた(株)巴川製紙所製のトミーファイレックPA−5L(PTFE不織布、厚さ:500μm、気孔率:72%)について、封孔処理をせず、上記実施例と同様にして圧電処理を施して得られた圧電素子は、上記(2−1)と同様にして圧電性を測定したところ、10Vであった。
本発明の圧電素子は、両面に、金属箔を貼付、又は金属を蒸着等することにより電極を取り付けることで、高圧電率を有する圧電素子として用いることができる。圧電素子はその表面に耐湿性の向上や衝撃防止等のために、PETフィルム等の保護フィルムを設けることが好ましい。また、具体的には、例えば超音波センサ、接触センサ及び感圧センサ等のセンサとして適用することができる。

Claims (8)

  1. 耐熱性を有する多孔質基材で構成されており、
    前記多孔質基材の表面に前記多孔質基材を構成する材料で構成された表面層を有し、
    前記多孔質基材の内部に閉じ込められておりかつ帯電した空孔を有すること、
    を特徴とする圧電素子。
  2. 前記多孔質基材が、耐熱樹脂素材を用いた不織布又は延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムであること、
    を特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記多孔質基材の両側の表面に前記表面層を有すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子。
  4. 内部に閉じ込められた空孔のみを有する構造を有すること、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の圧電素子。
  5. 前記空孔が互いに連通していない独立気泡状態を有すること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の圧電素子。
  6. 耐熱性を有する多孔質基材を、前記多孔質基材の融点以上の温度に加熱しながら圧縮及び圧延することにより、前記多孔質基材の表面に前記多孔質基材を構成する材料からなる表面層を形成し、内部に空孔を閉じ込める封口工程と、
    前記閉じ込められた空孔に圧電処理を施して電荷を帯電させる圧電工程と、
    を有すること、
    を特徴とする圧電素子の製造方法。
  7. 前記多孔質基材が、不織布又は延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムであること、
    を特徴とする請求項6に記載の圧電素子の製造方法。
  8. 前記多孔質基材の両側の表面に前記表面層を形成すること、
    を特徴とする請求項6又は7に記載の圧電素子の製造方法。



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