JP2018182251A - 圧電積層体の製造方法および圧電積層体 - Google Patents
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Abstract
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特許文献2には、多孔質フッ素樹脂フィルムの片面または両面に非多孔質フッ素樹脂薄膜が接合された積層フィルムが開示されている。
本発明は、該課題に鑑みてなされたものであり、電荷保持性に優れ、圧電率の高い圧電積層体を製造する方法および該圧電積層体を提供することを目的とする。
本発明の構成例は以下の通りである。
繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートまたは前記粗密化工程1で得られたシートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を配置して積層物を形成する積層工程2と、
を含む圧電積層体の製造方法。
前記多孔質樹脂シートを凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1'、または、
前記多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物を凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1''
を含む、圧電積層体の製造方法。
前記多孔質樹脂シートまたは積層物とプレス機との間に、多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成部材を配置して、圧力をかける工程1A、または、
前記多孔質樹脂シートまたは積層物に接する側のプレス面の形状が、多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な表面形状であるプレス機を用いて圧力をかける工程1B
である、[1]に記載の製造方法。
[6] 前記圧電積層体の原料として用いる多孔質樹脂シートの平均細孔径が0.1〜5.0μmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
前記工程1'または1''のうち、前記工程1''を採用する、
[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
前記積層物とプレス機との間に、多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成部材を配置して、圧力をかける工程1A、
前記積層物に接する側のプレス面の形状が、前記多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な表面形状であるプレス機を用いて圧力をかける工程1B、または、
前記圧電積層体における多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成要素を含む表面被覆層を用い、前記積層物に圧力をかける工程1C
である、[8]に記載の製造方法。
[14] 前記多孔質樹脂シートがフッ素樹脂製シートである、[1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
前記多孔質樹脂シートは、該シートの厚さ方向とは略垂直な方向に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在するような粗密化処理シートである、
圧電積層体。
本発明に係る圧電積層体の製造方法(以下「本方法」ともいう。)は、繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートと該シートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を有する圧電積層体の製造方法であって、
方法A:繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートに、該シートの厚さ方向とは略垂直な方向(シートの面方向)に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在する粗密構造を有するように処理する粗密化工程1と、
繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートまたは前記粗密化工程1で得られたシートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を配置して積層物を形成する積層工程2と、
を含む方法、
方法B:前記多孔質樹脂シートを凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1'を含む方法、または、
方法C:前記多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物を凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1''を含む方法。
繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートと、該シートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を有し、
前記多孔質樹脂シートは、該シートの厚さ方向とは略垂直な方向に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在するような粗密化処理シートである。
この圧電積層体および前記本方法で得られる圧電積層体を併せて、以下「本積層体」ともいう。
高い圧電性を有する圧電積層体を容易に得ることができる多孔質樹脂シートの裏表面の少なくとも一方に表面被覆層を用いることで、該多孔質樹脂シートの繊維状樹脂表面等に保持された電荷の減衰が抑制され、電荷の保持に有効に寄与し、さらに、前記粗密化工程1、方法B、方法Cまたは本積層体における粗密化処理により、多孔質樹脂シートを密度が密の部分で小領域に仕切ることで、多孔質樹脂シートに帯電された電荷がより圧電積層体表面から逃げにくい構造となり、また、多孔質樹脂シートがマクロ的に不均一化(粗部と密部)されることで、圧電積層体を使用する際の応力のかかり方が不均一となり、同等の応力量でもより電荷を引き出しやすくなっていると考えられる。
前記粗密化工程1および本積層体における粗密化処理は、特に制限しない限り、多孔質樹脂シートを用い、該シートが前記粗密構造を有するように処理してもよく、多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物(これら以外の他の層を含んでいてもよい)を用い、多孔質樹脂シート部分が前記粗密構造を有するように処理してもよいが、前記効果を奏する圧電積層体を効率的に容易に得ることができる等の点から、後者が好ましい。
以下では、前記粗密化工程1および本積層体における粗密化処理を併せて、単に「工程1」ともいう。
多孔質樹脂シート部分表面の粗密構造の存在個数は、高い圧電率を示し、高い電荷保持性を有する圧電積層体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは0.04〜400個/mm2、より好ましくは0.25〜100個/mm2、さらに好ましくは1〜25個/mm2である。
測定対象となるシートの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察(倍率:500倍)し、得られたSEM画像から表面に形成された略周期的または略規則的に形成された粗密構造の最小の構造単位(以下「粗密構造単位」ともいう。例えば格子状粗密構造において観察される最小の四角形(図2の3)や、ハニカム状粗密構造において観察される最小の六角形)を特定し、その粗密構造単位の各辺の長さをSEM画像上で測定することで算出した粗密構造単位の面積から、単位面積当たりの粗密構造単位の存在個数を算出する。
前記処理方法としては特に限定されないが、多孔質樹脂シートまたは積層物に圧力をかける方法であることが好ましく、特に、得られる圧電積層体における多孔質樹脂シート部分が、該シートの厚さ方向とは略垂直な方向に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在する粗密構造を有するように、積層物に圧力をかける工程であることが好ましい。
工程1A:前記多孔質樹脂シートまたは積層物とプレス機との間に、前記多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成部材を配置して、圧力をかける工程
工程1B:前記多孔質樹脂シートまたは積層物に接する側のプレス面の形状が、前記多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な表面形状であるプレス機を用いて圧力をかける工程
工程1C:前記圧電積層体における多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成要素を含む表面被覆層を用い、前記積層物に圧力をかける工程
該加熱環境下とは、用いる多孔質樹脂シートや表面被覆層に応じて適宜選択すればよいが、加熱温度は、好ましくは50〜400℃、より好ましくは100〜300℃であり、加熱時間は、前記圧力をかける時間と同程度である。
このような部材としては、凹凸構造を有する部材が挙げられ、該凹凸構造は、周期的または規則的であってもよく、不規則であってもよいが、得られる圧電積層体の圧電性等の特性の均一性などを考慮すると、前者であることが好ましい。
このような部材を用いることで、高い圧電率を示し、高い電荷保持性を有する圧電積層体を容易に得ることができる。
なお、前記凹凸構造単位の存在個数は、前記多孔質樹脂シート部分表面の粗密構造単位の存在個数と同様にして測定することができる。
前記粗密構造形成部材として具体的には、織布、不織布、網、表面凹凸膜、直径の異なるリング材等が挙げられる。
このような部材を用いると、粗密構造を効率的に形成でき、高い圧電率を示し、高い電荷保持性を有する圧電積層体を容易に得ることができるとともに、薄膜の表面被覆層を用いても該層がプレスの際に破れにくいため好ましい。また、前記工程1において、多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物を用いる場合には、層間接着性の高い圧電積層体が得られるため好ましい。
本発明における表面粗さは、JIS B 0651に準拠し、触針式表面粗さ測定機で測定される算術平均粗さRaである。
また、該プレス面の形状としては、格子状、ライン状、リング状(例:大きなリングの内側に小さなリングが存在している形状)、ドット状等が挙げられる。
前記多孔質樹脂シートは、繊維状樹脂を含めば特に制限されないが、好ましくは繊維状樹脂からなる多孔質樹脂シートであり、より好ましくは、実質的に繊維状樹脂のみからなる多孔質樹脂シートである。
該多孔質樹脂シートは、繊維状樹脂を含むため、耐久性に優れ、長期に亘り変形性能が維持でき、空孔率が高く、かつ高比表面積であることにより、電荷保持に有利となる樹脂と空孔との界面を多く有するシートを容易に得ることができ、該シートを用いることで、電荷保持性に優れ、特に電荷保持量が高い、高い圧電性を有する圧電積層体を容易に得ることができる。
多孔質樹脂シートに含まれる繊維状樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよいが、好ましくは1種である。
空孔率=(樹脂の真密度−見掛けの密度)×100/樹脂の真密度
平均細孔径が前記範囲にある多孔質樹脂シートまたは該シートを含む積層物に前記工程1を行うと、該工程1を行う効果がより発揮され、より長期に亘って多孔質構造中に分極した電荷を保持し、より高い圧電率を保持する圧電積層体を容易に得ることができる。
前記多孔質樹脂シートの厚さは、通常1μm〜1mm、好ましくは10μm〜500μmである。
目付または厚さが前記範囲にあると、圧電率の高い圧電積層体を容易に得ることができ、本積層体の使用時に、電荷を容易に取り出すことができる傾向にある。
これらの特性を有する樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂が好ましく、フッ素系樹脂がより好ましく、PTFEが特に好ましい。
前記多孔質樹脂シートには、樹脂の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、従来公知の添加剤が含まれていてもよい。
前記繊維径変動係数は、以下の式より算出する。
繊維径変動係数=標準偏差/平均繊維径
(なお、「標準偏差」とは、前記20本の繊維状樹脂の繊維径の標準偏差である。)
前記電界紡糸は、樹脂および溶媒、必要により無機フィラーを含む紡糸液を用いて行われる。
前記樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記無機フィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記溶媒は、紡糸液中に例えば0〜90重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%含まれる。
前記界面活性剤を配合する場合には、その使用量は、紡糸液中に例えば0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
前記繊維形成剤を使用する場合の使用量は、溶媒の粘度、溶媒への溶解度にもよるが、紡糸液中に例えば0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。
前記紡糸液の好ましい例としては、以下の紡糸液(1)が挙げられる。
紡糸液(1):PTFEを30〜70重量%、好ましくは35〜60重量%含み、繊維形成剤を0.1〜10重量%、好ましくは1〜7重量%含み、合計が100重量%となるよう溶媒を含む紡糸液
紡糸ノズルの先端径(外径)は、好ましくは0.1〜2.0mm、より好ましくは0.2〜1.6mm、さらに好ましくは0.30〜1.6mmである。
より具体的には、例えば前記紡糸液(1)を用いる場合であれば、前記印加電圧は、好ましくは10〜50kV、より好ましくは10〜40kVであり、前記の紡糸ノズルの先端径(外径)は、好ましくは0.2〜1.6mmである。
また、電極間距離は通常50〜800mm、好ましくは100〜350mm程度である。
PTFE、繊維形成剤および溶媒を含み、少なくとも50,000cPの粘度を有する紡糸液を提供するステップと;
紡糸液をノズルより紡糸し、静電的牽引力により繊維化するステップと;
前記ファイバーをコレクター(例:巻き取りスプール)の上に集め、前駆体を形成するステップと;
前記前駆体を焼成して前記溶媒および前記繊維形成剤を除去することによってPTFE繊維を形成するステップとを含む方法
この方法において、紡糸液に無機フィラーを配合することで、無機フィラーを含有するPTFE繊維を得ることができる。
例えば、前記繊維状樹脂を用いて不織布を成形するには、繊維状樹脂を製造する工程、および該繊維状樹脂をシート状に集積して不織布を成形する工程を、別途独立に行ってもよく、同時に行ってもよい。
前記工程2は、多孔質樹脂シートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を配置して積層物を形成する工程であってもよいし、前記工程1で得られたシートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を配置して積層物を形成する工程でもよい。
前者の場合、この工程2の後に、前記工程1を経ることで、本積層体が得られ、後者の場合、この工程2により、本積層体が得られる。
前記効果を奏する圧電積層体を効率的に容易に得ることができる等の点から、前者が好ましい。
本積層体は、特定の多孔質樹脂シート上に表面被覆層を有することを特徴とする。
このような表面被覆層は、多孔質樹脂シートに保持された電荷が外部環境と電気的に接続して減衰するのを防止するように働くため、該層を用いることで、長期に亘って電荷を保持し、高い圧電率を保持する圧電積層体を容易に得ることができる。
体積抵抗率は、測定したい表面被覆層単体(フィルム)を用いて二重リング電極法に基づいて測定される。
比誘電率がこの範囲内にある場合であって、積層体(積層物)にコロナ放電による電荷印加を行う場合、該電荷印加の際に、誘電率が高い表面被覆層の内部に電荷が集中し、また、表面被覆層と多孔質樹脂シートとの界面にも電荷が保持されやすい傾向にある。さらに、保持された電荷は前記多孔質樹脂シート中の中空構造に移動するために、圧電層全体としての電荷保持量が増大して、圧電率の初期値が向上すると考えられる。
また、光硬化性樹脂を塗布し、光硬化させることにより形成することもできる。
また、表面被覆層が、多孔質樹脂シート表面の2面以上に設けられる場合、これらの表面被覆層は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、表面被覆層が、粗密構造を形成可能な粗密構造形成要素を含む場合も同様に、単層であってもよく、複数の層からなる層でもよく、多孔質樹脂シート表面の2面以上に設けられる場合、これらの表面被覆層は、同一であってもよく、異なっていてもよく、少なくとも1つが、粗密構造形成要素を含まない表面被覆層であってもよい。
前記方法Bでは、前記多孔質樹脂シートを凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1'を含めばよく、前記方法Cでは、前記多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物を凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1''を含めばよい。
これらのうちでは、前記と同様の理由から、方法Cが好ましい。
本積層体は、例えば、前記工程1や2の後に、分極処理されたものであることが好ましい。
前記分極処理の方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に制限されないが、例えば、直流電圧印加処理や交流電圧印加処理等の電圧印加処理、およびコロナ放電処理が挙げられる。
放電条件は、用いる多孔質樹脂体に応じて適宜選択すればよいが、好ましい条件として、高電圧電源の電圧が−0.1〜−100kV、より好ましくは−1〜−20kV、電流が0.1〜100mA、より好ましくは1〜80mA、電極間距離が0.1〜100cm、より好ましくは1〜10cm、印加電圧が0.01〜10.0MV/m、より好ましくは0.5〜2.0MV/mである条件が挙げられる。
本積層体は、多孔質樹脂シートと表面被覆層とを有すれば特に制限されず、多孔質樹脂シートと表面被覆層との間や最外層に圧電積層体において従来用いられてきた層を有していてもよい。
該従来用いられてきた層は、本積層体中に、1層含まれていてもよく、層を構成する成分や厚みなどが異なる2層以上が含まれていてもよい。
特表2012−515850号公報に記載の電界紡糸法により、PTFEファイバーをシート状に集積することで、PTFE繊維からなる多孔質樹脂シート(不織布、厚さ:0.06mm、空孔率:85%、平均繊維径:900nm、平均細孔径:1.8μm)を得た。
多孔質樹脂シートを4cm角(縦4cm、横4cm)に切り出した試験片の重量と、マイクロメーター(LITEMATIC VL−50、(株)ミツトヨ製)により測定した厚さを用いて算出された見掛けの密度を用いて、下記式により算出した。
{(PTFEの真密度)−見掛けの密度}×100/(PTFEの真密度)
単繊維径が5〜8μmのガラス繊維を束ね、繊維束長径が192μmである繊維束を形成し、得られた繊維束を平織りすることで作成した厚さ59μmの織布を、PTFE分散液に浸漬することでPTFE粒子を織布に含浸させ、PTFE含浸ガラスファブリック1を得た。
PTFE含浸ガラスファブリック1は、PTFE含量が30重量%であり、表面粗さRaが4.5μmであり、表面の凹凸構造単位の存在個数が6.25個/mm2であった。
その後、室温まで冷却した後圧力を開放し、PTFE含浸ガラスファブリック1を除去することで圧電積層体を製造した。
図3に示すように、PTFE含浸ガラスファブリック1の形状が、PFAシートに転写されている状態となり、PFAシートおよび多孔質樹脂シートに(該シートの厚さ方向とは略垂直な方向に)略周期的な圧力がかけられたことが推察される。
該粗密構造単位の存在個数は、以下のようにして測定した。
得られた圧電積層体からPFAシートを無理やり剥離し、多孔質樹脂シート部分の表面(剥離面)を走査型電子顕微鏡(SEM)観察(倍率:500倍)し、得られたSEM画像から表面に形成された粗密構造単位を特定し、その粗密構造単位の各辺の長さをSEM画像上で測定することで算出した粗密構造単位の面積から、単位面積当たりの粗密構造単位の存在個数を算出した。
PTFE含浸ガラスファブリック1の代わりに、以下のようにして作製したPTFE含浸ガラスファブリック2を用いた以外は、実施例1と同様にして、圧電積層体を製造した。
単繊維径が5〜8μmのガラス繊維を束ね、繊維束長径が330μmである繊維束を形成し、得られた繊維束を平織りすることで作成した厚さ110μmの織布を、PTFE分散液に浸漬することでPTFE粒子を織布に含浸させた、PTFE含浸ガラスファブリック2を得た。
PTFE含浸ガラスファブリック2は、PTFE含量が35重量%であり、表面粗さRaが7.0μmであり、実施例1と同様にして測定した表面の凹凸構造単位の存在個数が4個/mm2であった。
得られた圧電積層体からPFAシートを無理やり剥離した時の、多孔質樹脂シート部分のPFAシート剥離面のSEM画像を図4に示す。
図4に示すように、PTFE含浸ガラスファブリック2の形状が、多孔質樹脂シート部分に転写されている状態となり、多孔質樹脂シートの厚さ方向とは略垂直な方向に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在していることが推察される。
PTFE含浸ガラスファブリック1を用いない以外は、実施例1と同様にして、圧電積層体を製造した。
実施例1と同様にして測定した圧電積層体の圧電率d33は、203pC/Nであった。
2:密度が密な部分
3:粗密構造単位
10:多孔質樹脂シート
Claims (15)
- 繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートに、該シートの厚さ方向とは略垂直な方向に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在する粗密構造を有するように処理する粗密化工程1と、
繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートまたは前記粗密化工程1で得られたシートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を配置して積層物を形成する積層工程2と、
を含む圧電積層体の製造方法。 - 繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートと該シートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を有する圧電積層体の製造方法であって、
前記多孔質樹脂シートを凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1'、または、
前記多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物を凹凸構造を有する部材を用いてプレスする工程1''
を含む、圧電積層体の製造方法。 - 前記粗密化工程1が、
前記多孔質樹脂シートまたは積層物とプレス機との間に、多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成部材を配置して、圧力をかける工程1A、または、
前記多孔質樹脂シートまたは積層物に接する側のプレス面の形状が、多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な表面形状であるプレス機を用いて圧力をかける工程1B
である、請求項1に記載の製造方法。 - 前記多孔質樹脂シートが、不織布または2軸延伸多孔質膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記圧電積層体の原料として用いる多孔質樹脂シートの空孔率が60%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記圧電積層体の原料として用いる多孔質樹脂シートの平均細孔径が0.1〜5.0μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記工程1、1'および1''が、10〜1000kgf/cm2の圧力をかける工程である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記工程1が、前記多孔質樹脂シートと表面被覆層との積層物に圧力をかける工程であり、
前記工程1'または1''のうち、前記工程1''を採用する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記工程1が、
前記積層物とプレス機との間に、多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成部材を配置して、圧力をかける工程1A、
前記積層物に接する側のプレス面の形状が、前記多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な表面形状であるプレス機を用いて圧力をかける工程1B、または、
前記圧電積層体における多孔質樹脂シート部分に前記粗密構造を形成可能な粗密構造形成要素を含む表面被覆層を用い、前記積層物に圧力をかける工程1C
である、請求項8に記載の製造方法。 - 前記工程1が前記工程1Aであり、前記粗密構造形成部材が、凹凸構造を有する部材である、請求項2または9に記載の製造方法。
- 前記凹凸構造を有する部材表面の凹凸構造単位の存在個数が0.04〜400個/mm2である、請求項2または10に記載の製造方法。
- 前記工程1、1'および1''が、加熱環境下で行われる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記表面被覆層が溶融樹脂製シートである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記多孔質樹脂シートがフッ素樹脂製シートである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
- 繊維状樹脂を含む多孔質樹脂シートと、該シートの表裏面の一方または両方に表面被覆層を有し、
前記多孔質樹脂シートは、該シートの厚さ方向とは略垂直な方向に、密度が粗の部分と密な部分とが交互に存在するような粗密化処理シートである、
圧電積層体。
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