JP6217312B2 - 陽極酸化処理装置及び陽極酸化処理方法 - Google Patents

陽極酸化処理装置及び陽極酸化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属製の被処理体を陽極酸化処理する技術に関する。
従来、例えば下記特許文献1から3にはいずれも、金属製の被処理体を陽極酸化処理する技術が種々開示されている。特許文献1には、陽極酸化処理時の被処理体の熱焼けを防止するべく、複数の噴出ノズルから被処理体に噴出する電解液の流速を管理する技術が開示されている。また、特許文献2,3にはいずれも、陽極酸化処理時の被処理体の熱焼けを防止するべく、円筒状の被処理体を回転させつつ、当該被処理体の外周に向けて電解液を噴射する技術が開示されている。
特開平11−236696号公報 特開2008−291302号公報 特開2006−336050号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献2に開示の技術は、陽極酸化処理時に被処理体を回転させることにより、特許文献1に開示の技術に比べて被処理体の表面温度を抑制して熱焼け防止の強化を図る可能性を有するが、特に表面に凸部を備えた金属製の被処理体において陽極酸化処理を行う場合には、被処理体表面の部分的な温度上昇を抑えることによって陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図る更なる技術が要請される。
そこで本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、表面に凸部を備えた金属製の被処理体の陽極酸化処理において、陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図るのに有効な技術を提供することである。
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するため、本発明に係る陽極酸化処理装置は、表面に凸部を備えた金属製の被処理体を陽極酸化処理する装置であって、電解槽、第1電極部、第2電極部、電極装置、保持装置及び第1噴射装置を含む。
電解槽は、陽極酸化処理のための電解液を貯留する機能を果たす。第1電極部は、電解槽の電解液に浸漬された浸漬状態の被処理体に電気的に接続される金属製の部位として構成される。第2電極部は、浸漬状態の被処理体に対向する金属製の部位として構成される。電極装置は、第1電極部と第2電極部との間に所定電圧を印加する機能を果たす。この電極装置が作動することによって、被処理体の陽極酸化処理が開始される。保持装置は、浸漬状態の被処理体を保持しつつ回転させる機能を果たす。陽極酸化処理時にこの保持装置によって被処理体を回転させることで、陽極酸化処理時に被処理体において発生した熱を除去して被処理体の全表面に均一な陽極酸化被膜を形成させる助けになる。
第1噴射装置は、陽極酸化処理のための電解液を電解槽内の貯留空間のうち被処理体から外れた所定領域に向けて噴射方向線上から被処理体が外れるように噴射する。この場合、第1噴射装置から噴射した電解液が被処理体に直接的に向かう可能性が低くなる。従って、回転時の被処理体に電解液が直接的に作用することで生じる乱流によって陽極酸化処理の際に被処理体の表面温度にばらつきが生じるのを抑制することができる。その結果、被処理体の表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が不均一になるのを抑制することができる。
本発明に係る上記の陽極酸化処理装置では、所定領域は、電解槽の電解液の液面と浸漬状態の被処理体の上面との間の上方領域である。この場合、第1噴射装置は、被処理体の上面に沿った方向について上方領域に向けて電解液を噴射する。第1噴射装置によって噴射された電解液は、上方領域に滞留している電解液を拡散させ、これにより被処理体の冷却を促進することができる。特に、陽極酸化処理時の電解液の温度上昇で生じる対流によって上方領域に高温の電解液が滞留し易くなり、これにより被処理体の上面の温度が相対的に上昇し易くなるが、この上方領域に電解液を積極的に噴射することによって、上方領域の高温の電解液を拡散させて被処理体の上面と他の部位との温度差を解消することができる。その結果、被処理体の上面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が他の部位に比べて厚くなるのを抑制することができる。
本発明に係る上記の陽極酸化処理装置では、第1噴射装置は、上方領域のうち、被処理体の回転中心軸に向けて電解液を噴射する機能を果たすのが好ましい。この場合、上方領域に滞留している電解液を拡散させる効果に加えて、被処理体の回転中心軸に向けて噴射された電解液によって被処理体の上面の冷却効果を向上させることができる。
本発明に係る上記の陽極酸化処理装置では、第1噴射装置は、上方領域のうち、電解槽の電解液の液面よりも被処理体の上面に近い領域に向けて電解液を噴射する機能を果たすのが好ましい。これにより、上方領域に滞留している電解液を拡散させる効果が高まり、被処理体の上面の冷却効果を向上させることができる。
本発明に係る上記の陽極酸化処理装置は、更に第2噴射装置を含むのが好ましい。この第2噴射装置は、陽極酸化処理のための電解液を電解槽の底面と浸漬状態の被処理体の下面との間の下方領域に向けて噴射する。第2噴射装置によって噴射された電解液は、被処理体の下面に直接的に作用することによって、当該下面を積極的に冷却することができる。また、この第2噴射装置によって噴射された電解液は、下方領域での電解液の拡散作用によって当該電解液の局所的な滞留を抑え、これにより被処理体の冷却を促進することができる。第1噴射装置及び第2噴射装置を組み合わせることで、被処理体の上面及び下面の部分的な温度上昇を抑えることが可能になる。その結果、陽極酸化処理時に被処理体の全表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図ることができる。
本発明に係る上記の陽極酸化処理装置は、更に第3噴射装置を含むのが好ましい。この第3噴射装置は、陽極酸化処理のための電解液を浸漬状態の被処理体の凸部に向けて噴射する。第3噴射装置によって噴射された電解液は、被処理体の凸部に直接的に作用する。被処理体の凸部には電力集中によって温度上昇が生じ易くなり、その結果、凸部に形成される陽極酸化被膜の膜厚が相対的に厚くなる傾向があるが、凸部を積極的に冷却することで、凸部の表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が他の部位に比べて厚くなるのを抑制することができる。第1噴射装置及び第3噴射装置を組み合わせることで、被処理体の上面及び凸部の部分的な温度上昇を抑えることが可能になる。その結果、陽極酸化処理時に被処理体の全表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図ることができる。
本発明に係る陽極酸化処理方法は、表面に凸部を備えた金属製の被処理体を陽極酸化処理する方法であり1又は複数のステップを含む。このステップでは、陽極酸化処理のための電解液が貯留された電解槽に被処理体を浸漬して回転させるとともに、浸漬状態の被処理体に電気的に接続された第1電極部と、電解槽のうち浸漬状態の被処理体との対向位置に設けられた第2電極部との間に所定電圧を印加する。このステップでは、更に陽極酸化処理のための電解液を電解槽内の貯留空間のうち被処理体から外れた所定領域に向けて噴射方向線上から被処理体が外れるように噴射する。この場合、噴射した電解液が被処理体に直接的に向かう可能性が低くなる。従って、回転時の被処理体に電解液が直接的に作用することで生じる乱流によって陽極酸化処理の際に被処理体の表面温度にばらつきが生じるのを抑制することができる。その結果、被処理体の表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が不均一になるのを抑制することができる。
前記の陽極酸化処理方法では、所定領域は、電解槽の電解液の液面と浸漬状態の被処理体の上面との間の上方領域である。この場合、前記のステップでは、上方領域に向けて、被処理体の上面に沿った方向に電解液を噴射する。これにより、上方領域に滞留している電解液を拡散させ、被処理体の冷却を促進することができる。その結果、被処理体の上面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が他の部位に比べて厚くなるのを抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、表面に凸部を備えた金属製の被処理体の陽極酸化処理において、陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図ることが可能になった。
本発明の第1実施形態の陽極酸化処理装置10の概略構成を示す図である。 図1中の被処理体100の平面図である。 図1中の電解槽20の概略構成を示す図である。 図3中の電解槽20のA−A線に関する断面構造を示す図である。 図3中の電解槽20のB−B線に関する断面構造を示す図である。 図2中の被処理体100の表面に設定された温度測定点を示す図である。 本発明の第2実施形態の陽極酸化処理装置210の概略構成を示す図である。 図7中の電解槽220の概略構成を示す図である。 図8中の電解槽220のC−C線に関する断面構造を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1には、本発明の「陽極酸化処理装置」の第1実施形態の陽極酸化処理装置10の概略構成が示されている。この陽極酸化処理装置10は、金属製の被処理体(「ワーク」ともいう)100の陽極酸化処理を行うための装置である。この陽極酸化処理装置10は、その構成要素として収容容器11に収容される電解槽20、電解槽20に取り付けられる保持装置30、電極装置40、電解液タンク50、電解液移送装置60を含む。陽極酸化処理の典型例として、アルミニウム材料からなる被処理体を陽極とし、この被処理体を硫酸やクロム酸等の酸性の電解液を用いて電気化学的に酸化させることによって、その表面に酸化アルミニウムの被膜(陽極酸化被膜)を生成させる処理が挙げられる。
電解槽20は、陽極酸化処理のための電解液を貯留する機能を果たす。この電解槽20は、側壁を形成する断面円形の筒部21と、筒部21の一方の開口部(上部開口)を閉鎖する底部22とを備えている。底部22は樹脂製であり、筒部21は金属製である。この筒部21は、円筒状の電極としての機能を果たす。これら筒部21及び底部22によって区画される空間は、電解液を貯留するための貯留空間20aとして構成される。即ち、筒部21の内周面と底部22の内面とによって貯留空間20aが規定される。保持装置30によって保持された状態の被処理体100は、貯留空間20aに貯留された電解液にその全体が浸漬される。これにより、被処理体100の全表面に陽極酸化処理を施すことが可能となる。この電解槽20が本発明の「電解槽」に相当する。収容容器11は、電解槽20からオーバーフローした電解液を貯留可能な貯留空間11aを備えている。
保持装置30は、電解槽20の電解液に浸漬された浸漬状態の被処理体100を回転保持するための金属製の2つの保持部材31と、これら2つの保持部材31によって保持された被処理体100を回転させるためのモータ34を備えている。この場合、電解槽20の電解液の液面と交差する方向に長尺状に延在する1又は複数の保持部材31を用いることができる。この保持装置30は、電解槽20の電解液に浸漬された浸漬状態の被処理体100を保持しつつ回転させる機能を果たすものであり本発明の「保持装置」に相当する。
電極装置40は、電解槽20及び保持装置30の保持部材31のそれぞれを電源に電気的に接続するための装置であり、電流計41、電圧計42及び整流器(図示省略)を含む。この電極装置40では、陽極(プラス)が保持装置30の保持部材31に電気的に接続される一方で、陰極(マイナス)が電解槽20の筒部(円筒状の電極)21に電気的に接続されている。従って、保持部材31を介して電極装置40の陽極に接続された被処理体100が陽極酸化処理のための陽極としての機能を果たし、電極装置40の陰極に接続された電解槽20の筒部(円筒状の電極)21が陽極酸化処理のための陰極としての機能を果たす。この電極装置40は、電解槽20と保持装置30の保持部材31との間に所定電圧を印加する機能を果たすものであり本発明の「電極装置」に相当する。
電解液タンク50は、電解液(「処理液」ともいう)を貯留するためのタンクである。この電解液は、被処理体100の陽極酸化処理に際し電解液タンク50から電解槽20に供給され、また電解槽20から電解液タンク50に回収される。電解液の温度は陽極酸化処理時に上昇するため、電解液タンク50又はその周辺に電解液を冷却するための装置を設けるのが好ましい。
電解液移送装置60は、供給配管61、吐出ポンプ64及び回収配管65を備えている。供給配管61は、電解液タンク50に貯留した電解液を電解槽20内の貯留空間20aに供給するためのものである。この供給配管61は、第1分岐配管62及び第2分岐配管63に分岐して電解槽20に接続されている。吐出ポンプ64は、供給配管61に接続されており、電解液タンク50に貯留した電解液を高圧化して吐出する機能を果たす。回収配管65は、電解槽20からオーバーフローして収容容器11の貯留空間11aに貯留された電解液を電解液タンク50に戻すためのものである。この場合、構造を簡素化するためには、電解液タンク50を収容容器11の貯留空間11aよりも低所に配置し、高低差を利用して回収配管65を通じて電解液タンク50に電解液を戻す構造を採用するのが好ましい。一方で、ポンプ等の移動手段を用いて収容容器11の貯留空間11aから電解液タンク50に電解液を戻す構造を採用することもできる。
被処理体100は、平板状の金属材料(アルミニウム合金)によって構成される。図2に示すように、この被処理体100は、電解槽20の電解液の液面に沿って延在する円板状の本体部101と、本体部101から中心部101aを中心に電解槽20の電解液の液面に沿って放射状に突出する4つの凸部(「突出片」ともいう)103を備えている。この被処理体100の外郭(外形)は、例えばこれら4つの凸部103の先端部を通る仮想円C(直径をD1とする円)によって規定される。本体部101は、2つの保持部材31が挿設される貫通穴102をもつ。この貫通穴102に2つの保持部材31が挿設された状態で、本体部101及び2つの保持部材31が連結手段(図示省略)によって互いに連結されることによって、被処理体100が保持装置30に保持される。即ち、被処理体100のうちの本体部101が保持装置30による実質的な保持部分になる。被処理体100が保持装置30に保持された状態では、この被処理体100の4つの凸部103はいずれも保持部材31の延在方向と直交する方向に延在する。
上記の電解槽20及び保持装置30のそれぞれの詳細な構造については図3〜図5が参照される。
図3に示すように、保持装置30では、モータ34に接続された回転軸33の回転が、通電部32を介して電極装置40の陽極に電気的に接続された長軸状の2つの保持部材31に伝達される。従って、モータ34が駆動されることによって2つの保持部材31は被処理体100とともに回転軸33まわりに回転動作する。モータ34は、長軸状の保持部材31を軸周りに回転駆動させる駆動装置として構成される。保持装置30の典型的な構造として、保持部材31と被処理体100との間の接触面積(陽極面積)を例えば16[mm]に設定することができる。通電部32及び保持部材31は、電解槽20の電解液に浸漬された浸漬状態の被処理体100に電気的に接続される電極部であり、本発明の「第1電極部」を構成する。
図3に示すように、電解槽20の筒部21には、電解液移送装置60の第1分岐配管62に連通する噴射口23及び噴射口24が設けられている。即ち、第1分岐配管62は、電解槽20内に貫通状に形成された貫通路21aを通じて噴射口23及び噴射口24に連通している。また、電解槽20の底部22には、電解液移送装置60の第2分岐配管63に連通する噴射口25が設けられている。即ち、第2分岐配管63は、電解槽20内に貫通状に形成された貫通路22aを通じて噴射口25に連通している。これらの噴射口23,24,25はいずれも、電解槽20の貯留空間20aに電解液を噴射するためのものであり、典型的にはそれぞれの噴射口の個数を4〜8、口径を4〜8[mm]に設定することができる。この場合、電解槽20内に噴射口23〜25のそれぞれに通じる貫通路を設けることで、電解液を噴射するための噴射配管等を別途設ける必要がなく、噴射装置の構造を簡素化することができる。電解槽20の筒部21は、電解槽20のうち電解液の浸漬された浸漬状態の被処理体100との対向位置に設けられる電極部であり、本発明の「第2電極部」を構成する。この場合、金属製の電解槽20は、電解液を貯留する貯留機能と第2電極部の電極機能とを兼務している。即ち、第2電極部が電解槽20の全部によって構成されている。これにより第2電極部の構造を簡素化することができる。
噴射口23は、電解槽20の筒部21の内壁面のうち電解槽20内の底面から第1の高さH1の位置に開口形成されている。この噴射口23は、図4が参照されるように、貯留空間20aのうち被処理体100の4つの凸部103のそれぞれに対応する凸部領域110に向けて電解液を噴射可能となるように複数(図4では4つ)設けられるのが好ましい。1つの凸部領域110に対して1又は複数の噴射口23を割り当てることができる。この場合、凸部領域110は、電解槽20の貯留空間20aのうち被処理体100の各凸部103とその周辺領域を含む領域として規定される。この噴射口23は、電解液移送装置60、及び第1分岐配管62に連通する電解槽20内の貫通路21aとともに、被処理体100の凸部103(貯留空間20aの凸部領域110)に向けて電解液を噴射するための噴射装置(本発明の「第3噴射装置」に相当する)を構成する。
噴射口24は、電解槽20の筒部21の内壁面のうち電解槽20内の底面から第2の高さH2(>H1)の位置に開口形成されている。この噴射口24は、図5が参照されるように、貯留空間20aのうち被処理体100の上方に位置する上方領域120に向けて被処理体100の側方から電解液を噴射可能となるように複数(図5では4つ)設けられるのが好ましい。この場合、上方領域120は、電解槽20の貯留空間20aのうち電解液の液面L、被処理体100の上面100a及び筒部21の内壁面によって規定される。各噴射口24からの電解液は電解槽20内の貯留空間20aのうち被処理体100から外れた上方領域120に向けて噴射方向線上から被処理体100が外れるように噴射される。要するに、各噴射口24の噴射軸線を延長した場合に、被処理体100は各噴射口24の噴射軸線と交わらない。この上方領域120が本発明の「所定領域」及び「上方領域」に相当する。この噴射口24は、電解液移送装置60、及び第1分岐配管62に連通する電解槽20内の貫通路21aとともに、貯留空間20aの上方領域120に向けて電解液を噴射するための噴射装置(本発明の「第1噴射装置」に相当する)を構成する。
この噴射口24は、上方領域120のうち、被処理体100の中心部(回転中心軸)101aに向けて電解液を噴射する機能を果たすのが好ましい。この場合、上方領域120に滞留している電解液を拡散させる効果に加えて、被処理体100の回転中心軸101aに向けて噴射された電解液によって被処理体100の上面100aの冷却効果を向上させることができる。また、この噴射口24は、上方領域120のうち、電解槽20の電解液の液面Lよりも被処理体100の上面100aに近い領域に向けて電解液を噴射する機能を果たすのが好ましい。この場合、電解槽20の上下方向(深さ方向)に関し被処理体100の上面100aに近接した領域に電解液が噴射される。これにより、上方領域120に滞留している電解液を拡散させる効果が高まり、被処理体100の上面100aの冷却効果を向上させることができる。
噴射口25は、電解槽20の底部22の内壁面(底面)のうち保持装置30によって保持された被処理体100の下方の位置に開口形成されている。この噴射口25は、貯留空間20aのうち被処理体100の下方に位置する下方領域130に向けて電解液を噴射可能となるように複数設けられるのが好ましい。この場合、下方領域130は、電解槽20の貯留空間20aのうち底部22の内壁面、被処理体100の下面及び筒部21の内壁面によって規定される。この下方領域130が本発明の「下方領域」に相当する。この噴射口25は、電解液移送装置60、及び第2分岐配管63に連通する電解槽20内の貫通路22aとともに、貯留空間20aの下方領域130に向けて電解液を噴射するための噴射装置(本発明の「第2噴射装置」に相当する)を構成する。
上記構成の陽極酸化処理装置10を用いて、被処理体100の陽極酸化処理を行う方法(陽極酸化処理方法)では、例えば下記のステップを採用することができる。一方で、この陽極酸化処理は、下記のステップに限定されるものではなく、手順の入れ替えや追加等、必要に応じて適宜の変更が可能である。
まず、保持装置30によって保持された状態の被処理体100を電解槽20内の貯留空間20aにセットする。その後、モータ34を駆動するとともに吐出ポンプ64を起動することによって、電解液タンク50と電解槽20との間における電解液の循環を確立する。即ち、電解液タンク50の電解液は吐出ポンプ64によって高圧化されて吐出され、供給配管61の第1分岐配管62及び第2分岐配管63を通じて電解槽20内へ供給される。電解槽20内の電解液は、筒部21の上縁を越えてオーバーフローすることにより収容容器11の貯留空間11aに一旦貯留された後、回収配管65を通じて電解液タンク50に回収される。モータ34が駆動されると、回転が、回転軸33および保持部材31を介して被処理体100に伝達される。これにより、被処理体100は、中心部(回転中心軸)101aを中心として回転する。その際、被処理体100が電解槽の電解液の液面に沿って突出する(回転軸33上の軸線と交差する方向に突出する)凸部103(突出片)を備えるため、この凸部103が電解液に強い撹拌作用を付与する。この撹拌作用によって遠心力を受けた電解液の液面Lは、被処理体100の回転中心側が陥没し、被処理体100の回転外方側(筒部21の内壁面側)が上がり易く、その結果、電解槽20から電解液がオーバーフローし易くなる。なお、本実施形態において、被処理体100の回転中心軸101aは、回転軸33、保持部材31、および円筒状の電極となる筒部21と同軸に配置されている。
電解槽20では、噴射口23,24,25のそれぞれから電解液が噴射されることによって、貯留空間20aに電解液流れが形成される。この場合、吐出ポンプ64の下流、特には各噴射口の上流に、電解液の噴射流量を制御するための流量制御手段を設けるのが好ましい。
噴射口23から噴射された電解液は、被処理体100の側方から貯留空間20aのうち対応する凸部領域110に向けて供給されて、被処理体100の凸部103に直接的に作用する。被処理体100の各部位のうち凸部には電力集中によって温度上昇が生じ易くなり、その結果、凸部に形成される陽極酸化被膜の膜厚が相対的に厚くなる傾向がある。そこで、噴射口23から噴射された電解液によって被処理体100の凸部103を積極的に冷却することで、凸部103の表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が他の部位に比べて厚くなるのを抑制することができる。
噴射口24から噴射された電解液は、被処理体100の側方から貯留空間20aのうち被処理体100の上方に位置する上方領域120に向けて供給される。この電解液が、上方領域120に滞留している電解液を拡散させ、これにより被処理体100の冷却を促進することができる。特に、陽極酸化処理時の電解液の温度上昇で生じる対流によって上方領域120に高温の電解液が滞留し易くなり、これにより被処理体100の上面100aの温度が相対的に上昇し易くなるが、この上方領域120に低温の電解液を積極的に噴射することによって、上方領域120の高温の電解液を拡散させて被処理体100の上面100aと他の部位との温度差を解消することができる。その結果、被処理体100の上面100aに形成される陽極酸化被膜の膜厚が他の部位に比べて厚くなるのを抑制することができる。また、前述のような液面Lの陥没時に噴射口24から噴射された電解液は、凸部103の撹拌作用によって遠心力を受けた電解液を被処理体100の回転中心側に押し戻す機能を果たす。これにより、電解槽20の電解液が過剰なオーバーフローによって電解槽20外へ飛散するのを抑えることができる。
噴射口25から噴射された電解液は、被処理体100の下方から貯留空間20aのうち被処理体100の下方に位置する下方領域130に向けて供給される。この電解液が被処理体100の下面に直接的に作用することによって、当該下面を積極的に冷却することができる。また、この噴射口25から噴射された電解液は、下方領域130での電解液の拡散作用によって当該電解液の局所的な滞留を抑え、これにより被処理体100の冷却を促進することができる。
本実施の形態では、電解槽20を断面円形の筒部21によって構成しているため、噴射口23,24,25のそれぞれから電解液が噴射されたときに貯留空間20aに形成される電解液流れを均一にすることができ、また電極間距離(陽極としての被処理体100と陰極としての筒部21との間の離間距離)を均等にすることができる。電解槽20の筒部21の典型的な構造として、筒部21の内径D2を被処理体100の外径D1の2〜3倍の範囲に設定することができる(図3参照)。この場合、電解槽20内に、被処理体100を均一に冷却するために必要な電解液の量を確保しつつ、電解液の局所的な滞留を抑制するのに好適である。また、筒部21の断面形状を円形以外の形状、例えば楕円や多角形にしてもよい。
次に、被処理体100との間に所定電圧を印加するべく電極装置40を作動させる。これにより、貯留空間20aの電解液に全体的に浸漬されている被処理体100の実質的な陽極酸化処理が実行される。この陽極酸化処理時に被処理体100の表面に陽極酸化被膜が形成されつつ当該被処理体100において熱が発生する。このとき、被処理体100の全体を電解液に浸漬した状態で当該被処理体100に回転を加えることで、陽極酸化処理時に被処理体100において発生した熱を除去して被処理体100の全表面に均一な陽極酸化被膜を形成させる助けになる。モータ34の回転速度を100[rpm]から400[rpm]までの範囲に設定することで特に効率的に熱除去を行うことができる。
ここで、上記構成の陽極酸化処理装置10を用いて下記の処理条件で陽極酸化処理を行った場合の実施結果について説明する。
(実施結果)
上記の処理条件で陽極酸化処理を行ったときの、被処理体100の表面の温度上昇を測定した。この場合、被処理体100の表面の複数の温度測定点について、陽極酸化処理時の温度を所定の温度計測手段(例えば、熱電対)を用いて測定した。具体的には、図6が参照されるように、被処理体100のうち電解槽20の液面(図3中の液面L)に対向する上面100aに温度測定点S1〜S10を設定し、上面100aとは反対側の下面100bに温度測定点S1a〜S10aを設定した。特に、温度測定点S3,S3a,S5,S5a,S8,S8a,S10,S10aが被処理体100の本体部101に設定され、温度測定点S1,S1a,S2,S2a,S4,S4a,S6,S6a,S7,S7a,S9,S9aが被処理体100の凸部103に設定されている。その結果、被処理体100の表面の温度上昇を2〜5[℃]に抑えることができた。例えば、被処理体100の4つの温度測定点S9,S10,S8a,S9aに着目した場合、被処理体100の表面の温度上昇を3[℃]以下に抑えることが可能になった。
また、この陽極酸化処理後に、被処理体100の表面に形成された陽極酸化被膜の膜厚を既知の膜厚測定方法にしたがって計測した。その結果、温度測定点S1〜S10,S1a〜S10aのいずれにおいても、陽極酸化被膜の膜厚が例えば10[μm]から15[μm]までの範囲であり、その膜厚のばらつきが例えば2.1[μm]から3.1[μm]までの範囲であった。従って、陽極酸化処理装置10を用いることによって、被処理体100の全表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚のばらつきを5[μm]を下回るレベルに抑えることができ、当該膜厚の均一化を図るのに有効であることが確認された。
上記構成の陽極酸化処理装置10によれば、特に噴射口24からの電解液の噴射によって、被処理体100の上面100aに形成される陽極酸化被膜の膜厚が他の部位に比べて厚くなるのを抑制することができる。また、この噴射口24に噴射口25を組み合わせることで、被処理体100の上面100a及び下面100bの部分的な温度上昇を抑えることが可能になる。また、この噴射口24に噴射口23を組み合わせることで、被処理体100の上面100a及び凸部103の部分的な温度上昇を抑えることが可能になる。その結果、陽極酸化処理時に被処理体100の全表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図ることができる。
(第2実施形態)
図7には、第2実施形態の陽極酸化処理装置210の概略構成が示されている。この陽極酸化処理装置210は、前述の電解槽20と同様の機能を果たす電解槽220を備える一方で、この電解槽220における電解液の噴射構造のみが電解槽20と相違している。電解液の噴射構造以外の構成については電解槽20と同様であるため、以下の説明では、この噴射構造についてのみ説明し、その他の説明は省略する。
電解槽220の筒部(円筒状の電極)221には、電解液移送装置60の一系統のみの供給配管61に連通する噴射口223が設けられている。即ち、電解槽220では、電解槽20の噴射口23,24,25に代えて噴射口223のみを用いている。供給配管61は、電解槽220の底部222に貫通状に形成された貫通路222aを通じて噴射口223に連通している。噴射口223は、電解槽220の底部222の内壁面(底面)222aのうち保持装置30によって保持された被処理体100の下方に開口形成されている。
噴射口223は、図8及び図9が参照されるように、貯留空間220aのうち被処理体100が回転する際に形成される回転外周面104(図9中の仮想円Cで示す回転外周軌道(旋回外周軌道))に沿った一方向(上向き)のみについて回転外周面104よりも径方向外側の側方領域140に向けて電解液を噴射可能に構成されている。側方領域140は、図9が参照されるようにドーナツ状の領域として構成される。噴射口223は、電解槽220の底部222の外周円D上に複数(図9では8つ)設けられるのが好ましい。この場合、外周円Dは、筒部221の内壁面221aによって形成される内壁円と中心を共有する同心円であって、且つこの内壁円の径を若干下回る径を備える。各噴射口223からの電解液は電解槽220内の貯留空間220aのうち被処理体100から外れた側方領域140に向けて噴射方向線上から被処理体100が外れるように噴射される。要するに、各噴射口223の噴射軸線を延長した場合に、被処理体100は各噴射口223の噴射軸線と交わらない。これにより、各噴射口223から噴射した電解液が被処理体100に直接的に向かう可能性が低くなる。従って、回転時の被処理体100に電解液が直接的に作用することで生じる乱流によって陽極酸化処理の際に被処理体100の表面温度にばらつきが生じるのを抑制することができる。その結果、被処理体100の表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が不均一になるのを抑制することができる。特に、電解液の噴射方向が被処理体100の回転外周面104に沿った一方向のみであるため、例えば互いに対向する電解液の流れの干渉によって乱流が発生するのを抑制することができる。従って、陽極酸化処理の際に被処理体100の表面温度にばらつきが生じるのをより確実に抑えることができ、被処理体100の表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚が不均一になるのをより確実に抑制することができる。ここでいう側方領域140が、本発明の「所定領域」及び「側方領域」に相当する。噴射口223は、電解液移送装置60とともに、貯留空間220aの側方領域140に向けて電解液を噴射するための噴射装置(本発明の「第1噴射装置」に相当する)を構成する。
図9に示すように、複数の噴射口223は、電解槽220の底部222の外周円D上に等間隔で配置されるのが好ましい。これにより、各噴射口223から側方領域140に向の電解液をバランス良く噴射することができる。また、各噴射口223は、外周円D上に長尺状に延在する長孔として構成されるのが好ましい。これにより、筒部221の内壁面221aに沿って上方に向かう電解液の流れを内壁面221aの周方向について均一化させる構造を、少ない数の噴射口によって実現することができる。
噴射口223の設定位置は、電解槽220の底部222の内壁面(底面)222aのうち図9中の被処理体100の回転外周面104と筒部221の内壁面221aとによって区間される領域(ドーナツ状の領域)の範囲内において適宜に変更が可能である。これにより、噴射口223から噴射された電解液の流れが、回転時の被処理体100に近い位置に形成される乱流によって乱れる可能性が低くなる。より具体的には、被処理体100の径方向について筒部221の内壁面221aと被処理体100の回転外周面104との中間位置Mよりも筒部221の内壁面221a側に噴射口223の位置を設定するのが好ましい。或いは、被処理体100の径方向について被処理体100の回転外周面104から被処理体100の外径D1の4分の1以上、筒部221の内壁面221a側に離間した位置に噴射口223の位置を設定するのが好ましい。これにより、噴射口223から噴射され被処理体100の下方から上向きに流れる電解液を、筒部221の内壁面221aに沿って側方領域140まで円滑に誘導することが可能になる。この場合、1又は複数の噴射口223の開口面積は合計で500[mm]以上の範囲に設定されるのが好ましい。これにより、噴射口223から側方領域140に向かう電解液の流速を所望のレベルに抑えることが可能になる。
上記の電解槽220では、底部222の内壁面(底面)222aが平坦面或いは湾曲面として構成され得る。特に、この内壁面(底面)222aが下に凸の湾曲面である場合、被処理体100の下方領域から下向きに流れる電解液はこの湾曲面に作用することによって、筒部221の内壁面221a付近の噴射口223に向けて外方へ誘導され易い。その結果、被処理体100の下方領域の電解液を噴射口223に誘導した後、更に噴射口223から噴射される電解液とともに側方領域140まで円滑に誘導する流れを形成させることが可能になる。
上記構成の陽極酸化処理装置210を用いて、被処理体100の陽極酸化処理を行う方法(陽極酸化処理方法)では、陽極酸化処理装置10について前述したステップと同様のステップを採用することができる。即ち、電解槽220では、噴射口223のみから電解液が噴射されることによって、貯留空間220aに電解液流れが形成される。
(実施結果)
上記構成の陽極酸化処理装置210を用いて、陽極酸化処理装置10と同様の陽極酸化処理を行った場合の実験結果によれば、被処理体100の表面の温度上昇を低く抑え得ることが確認された。例えば、被処理体100の4つの温度測定点S9,S10,S8a,S9a(図6参照)に着目した場合、被処理体100の表面の温度上昇を1[℃]以下に抑えることが可能になった。
また、陽極酸化処理後の陽極酸化被膜の膜厚を計測した結果、温度測定点S1〜S10,S1a〜S10a(図6参照)のいずれにおいても、陽極酸化被膜の膜厚が例えば10[μm]から15[μm]までの範囲であり、その膜厚のばらつきが例えば1.9[μm]から2.8[μm]までの範囲であった。従って、陽極酸化処理装置210を用いることによって、被処理体100の全表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚のばらつきを5[μm]を下回るレベルに抑えることができ、当該膜厚の均一化を図るのに有効であることが確認された。
上記構成の陽極酸化処理装置210によれば、陽極酸化処理装置10を用いる場合と同様に、陽極酸化処理時に被処理体100の全表面に形成される陽極酸化被膜の膜厚の均一化を図ることができる。また、電解液移送装置60の一系統のみの供給配管61に連通する噴射口223を採用することによって、設備コストや管理コストの低減を図ることができる。設備コストについて具体的には、噴射口からの電解液の噴射流量に係る流量計の設置数や、噴射口に繋がる貫通路の加工費を抑えるのに有効である。管理コストについて具体的には、噴射口からの電解液の噴射流量の流量管理工数を減らすのに有効である。
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施の形態の陽極酸化処理装置10では、貯留空間20aの凸部領域110、上方領域120及び下方領域130のそれぞれに向けて電解液を噴射する噴射構造(噴射口23,24,25を含む構造)を採用したが、本発明では、少なくとも噴射口24から貯留空間20aの上方領域120に向けて電解液を噴射する噴射構造や噴射ステップを採用すれば目的を達成することができる。従って、本発明では、設計仕様等に応じて噴射口23及び噴射口25の少なくとも一方を省略することもできる。
上記実施の形態の陽極酸化処理装置210では、側方領域140に向けて上向きに電解液を噴射する噴射構造(噴射口223を含む構造)を採用したが、本発明では、これに代えて、側方領域140に向けて下向きに電解液を噴射する噴射構造を採用することもできる。また、本発明では、被処理体100から外れた所定領域に向けて噴射方向線上から被処理体100が外れるように噴射可能な種々の噴射口を採用することができる。
上記実施の形態では、電解槽20の筒部21又は底部22に開口形成された噴射口23、噴射口24及び噴射口25を通じて、或いは電解槽220の底部222に開口形成された噴射口223を通じて、電解槽20,220内へ電解液を噴射する噴射する噴射構造について記載したが、本発明では別の噴射構造を採用することもできる。例えば、電解槽20,220とは別体の配管が電解槽20,220内に開口するように構成された噴射構造を採用することができる。
上記実施の形態では、金属製の電解槽20が陰極としての電極機能を果たす場合について記載したが、本発明では金属以外の材料からなる槽体に陰極としての電極機能を果たす金属製の電極部が設けられた電解槽を用いることもできる。
上記実施の形態では、電解槽20,220の電解液の液面に沿って延在する円板状の本体部101と、本体部101から電解槽20,220の電解液の液面に沿って突出する複数の凸部(突出片)103とを備える被処理体100の陽極酸化処理について記載したが、種々の方向に突出する1又は複数の凸部を備えた被処理体100の陽極酸化処理に本発明を適用することができる。
本発明では、電解槽20の噴射口23,24,25の数や大きさ、電解槽220の噴射口223の数や大きさについては、当該電解槽の寸法や電解液の循環量等、各種の設計パラメータに応じて適宜に選択することが可能である。
10,210…陽極酸化処理装置、11…収容容器、11a…貯留空間、20,220…電解槽、20a,220a…貯留空間、21,221…筒部、21a…貫通路、221a,222a…内壁面、22,222…底部、22a,222a…貫通路、23,24,25,223…噴射口、30…保持装置、31…保持部材、32…通電部、33…回転軸、34…モータ、40…電極装置、41…電流計、42…電圧計、50…電解液タンク、60…電解液移送装置、61…供給配管、62…第1分岐配管、63…第2分岐配管、64…吐出ポンプ、65…回収配管、100…被処理体、100a…上面、100b…下面、101…本体部、101a…中心部(回転中心軸)、102…貫通穴、103…凸部、104…回転外周面、110…凸部領域、120…上方領域、130…下方領域、140…側方領域

Claims (6)

  1. 表面に凸部を備えた金属製の被処理体を陽極酸化処理する陽極酸化処理装置であって、
    前記陽極酸化処理のための電解液を貯留する電解槽と、
    前記電解槽の電解液に浸漬された浸漬状態の前記被処理体に電気的に接続される金属製の第1電極部と、
    前記浸漬状態の前記被処理体に対向する金属製の第2電極部と、
    前記第1電極部と前記第2電極部との間に所定電圧を印加する電極装置と、
    前記浸漬状態の前記被処理体を保持しつつ回転させる保持装置と、
    前記陽極酸化処理のための電解液を前記電解槽内の貯留空間のうち前記被処理体から外れた所定領域に向けて噴射方向線上から前記被処理体が外れるように噴射する第1噴射装置と、
    を含み、
    前記所定領域は、前記電解槽の電解液の液面と前記浸漬状態の前記被処理体の上面との間の上方領域であり、
    前記第1噴射装置は、前記被処理体の前記上面に沿った方向について前記上方領域に向けて電解液を噴射する、陽極酸化処理装置。
  2. 請求項に記載の陽極酸化処理装置であって、
    前記第1噴射装置は、前記上方領域のうち、前記被処理体の回転中心軸に向けて電解液を噴射する、陽極酸化処理装置。
  3. 請求項に記載の陽極酸化処理装置であって、
    前記第1噴射装置は、前記上方領域のうち、前記電解槽の電解液の液面よりも前記被処理体の上面に近い領域に向けて電解液を噴射する、陽極酸化処理装置。
  4. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の陽極酸化処理装置であって、
    更に、前記陽極酸化処理のための電解液を前記電解槽の底面と前記浸漬状態の前記被処理体の下面との間の下方領域に向けて噴射する第2噴射装置を含む、陽極酸化処理装置。
  5. 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の陽極酸化処理装置であって、
    更に、前記陽極酸化処理のための電解液を浸漬状態の前記被処理体の前記凸部に向けて噴射する第3噴射装置を含む、陽極酸化処理装置。
  6. 表面に凸部を備えた金属製の被処理体を陽極酸化処理する陽極酸化処理方法であって、
    前記陽極酸化処理のための電解液が貯留された電解槽に前記被処理体を浸漬して回転させるとともに、前記浸漬状態の前記被処理体に電気的に接続された第1電極部と前記電解槽のうち前記浸漬状態の前記被処理体との対向位置に設けられた第2電極部との間に所定電圧を印加するステップを含み、
    前記ステップでは、更に前記陽極酸化処理のための電解液を前記電解槽内の貯留空間のうち前記被処理体から外れた所定領域であって前記電解槽の電解液の液面と前記浸漬状態の前記被処理体の上面との間の上方領域に向けて噴射方向線上から前記被処理体が外れるように、前記被処理体の前記上面に沿った方向に噴射する、陽極酸化処理方法。
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