(第一実施形態の自動変速機の構造)
以下に、図1を用いて、本実施形態(第一実施形態)に係る自動変速機100について説明する。自動変速機100は、制御部10、入力軸11、出力軸12、ハウジング13、第一複列遊星歯車機構21、第二複列遊星歯車機構22、第一クラッチCl1、第二クラッチCl2、第三クラッチCl3、第一ブレーキB1、第二ブレーキB2、第三ブレーキB3を有している。第一複列遊星歯車機構21は、ラビニョタイプであり、第一遊星歯車機構25及び第二遊星歯車機構26から構成されている。第二複列遊星歯車機構22は、第三遊星歯車機構27及び第四遊星歯車機構28から構成されている。
入力軸11は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。入力軸11は、トルクコンバータ(不図示)を介してエンジン(不図示)に連結され、エンジンからの駆動力が入力される。出力軸12は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。出力軸12は、デファレンシャル(不図示)を介して、駆動輪(不図示)が連結されている。
入力軸11側から出力軸12側に向かって、ハウジング13に回転軸線15回りに、第一遊星歯車機構25、第二遊星歯車機構26、第三遊星歯車機構27、第四遊星歯車機構28が回転可能に支承されている。第一遊星歯車機構25は、ダブルピニオン型であり、第一サンギヤS1、第一ピニオンP1、第二ピニオンP2(中間ピニオン)、第一キャリヤC1、第一リングギヤR1から構成されている。
第一サンギヤS1は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第一ピニオンP1は、第一サンギヤS1の外周側に複数設けられ、第一サンギヤS1と噛合している。なお、以下の説明において、外周側とは、回転軸線15の半径方向外側を指すものとする。第二ピニオンP2は、各第一ピニオンP1の外周側にそれぞれ設けられ、各第一ピニオンP1とそれぞれ噛合する。なお、第二ピニオンP2は、ロングピニオンであり、第二遊星歯車機構26を構成するピニオンでもある。
第一キャリヤC1(共通キャリヤ)は、第一ピニオンP1及び第二ピニオンP2を回転可能に支承している。第一リングギヤR1(共通リングギヤ)は、第二ピニオンP2の外周側に設けられ、第二ピニオンP2と噛合している。
第二遊星歯車機構26は、シングルピニオン型であり、第二サンギヤS2、第二ピニオンP2、第二キャリヤC2、第二リングギヤR2から構成されている。第二サンギヤS2は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承され、第二ピニオンP2と噛合している。第二キャリヤC2は、第一キャリヤC1と同一部材である。言い換えると、第一キャリヤC1は、第二遊星歯車機構26の第二キャリヤC2を兼ねている。第二リングギヤR2は、第一リングギヤR1と同一部材である。言い換えると、第一リングギヤR1は、第二遊星歯車機構26の第二リングギヤR2を兼ねている。
第三遊星歯車機構27は、シングルピニオン型であり、第三サンギヤS3、第三ピニオンP3、第三キャリヤC3、第三リングギヤR3から構成されている。第三サンギヤS3は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第三ピニオンP3は、第三サンギヤS3の外周側に複数設けられ、第三サンギヤS3と噛合している。第三キャリヤC3は、第三ピニオンP3を回転可能に支承している。第三リングギヤR3は、第三ピニオンP3の外周側に設けられ、第三ピニオンP3と噛合している。
第四遊星歯車機構28は、シングルピニオン型であり、第四サンギヤS4、第四ピニオンP4、第四キャリヤC4、第四リングギヤR4から構成されている。第四サンギヤS4は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第四ピニオンP4は、第四サンギヤS4の外周側に複数設けられ、第四サンギヤS4と噛合している。第四キャリヤC4は、第四ピニオンP4を回転可能に支承している。第四キャリヤC4は、出力軸12に連結されている。第四リングギヤR4は、第四ピニオンP4の外周側に設けられ、第四ピニオンP4と噛合している。
第一リングギヤR1(第二リングギヤR2)と第三リングギヤR3は、第一連結部材31によって連結されていて、一体回転する。第三キャリヤC3と第四リングギヤR4は、第二連結部材32によって連結されていて、一体回転する。第三サンギヤS3と第四サンギヤS4は、第三連結部材33によって連結されていて、一体回転する。
第一クラッチCl1は、入力軸11と、互いに連結された第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4を係脱可能に連結する。第二クラッチCl2は、入力軸11と、互いに連結された第三キャリヤC3及び第四リングギヤR4を係脱可能に連結する。第三クラッチCl3は、入力軸11と第二サンギヤS2を係脱可能に連結する。なお、本実施形態では、第一クラッチCl1、第二クラッチCl2、第三クラッチCl3は、隣接して設けられている。
第一ブレーキB1は、第一キャリヤC1(第二キャリヤC2)をハウジング13に係脱可能に固定する。第二ブレーキB2は、第一サンギヤS1をハウジング13に係脱可能に固定する。第三ブレーキB3は、互いに連結された第四リングギヤR4及び第三キャリヤC3をハウジング13に係脱可能に固定する。
制御部10は、自動変速機100を統括制御するものであり、第一クラッチCl1、第二クラッチCl2、第三クラッチCl3、第一ブレーキB1、第二ブレーキB2、第三ブレーキB3を作動させるアクチュエータをそれぞれ制御する。
(第一実施形態の自動変速機の動作)
自動変速機100は、各クラッチCl1〜Cl3及び各ブレーキB1〜B3を、図3に示す作動表のとおりに作動させることにより、前進9段、後進1段のギヤ比を構成することができる。図3において、各変速段に対応する各クラッチCl1〜C3及び各ブレーキB1〜B3の欄に白丸が付されている場合、クラッチCl1〜Cl3であれば連結状態、ブレーキB1〜B3であれば固定状態(回転不能状態)にあることを示す。また、図3において、各変速段に対応する第三クラッチCl3の欄に黒丸が付されている場合には、連結状態であるものの、駆動力伝達には関与していないことを示している。
ダブルピニオン型の第一遊星歯車機構25においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、下式(1)で示される。また、シングルピニオン型の第二遊星歯車機構26、第三遊星歯車機構27、第四遊星歯車機構28においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、下式(2)で示される。各変速段におけるギヤ比は、式(1)、(2)に基づいて算出される。サンギヤS1,S2,S3,S4の歯数をZs1,Zs2,Zs3,Zs4、リングギヤR1,R2,R3,R4の歯数をZr1,Zr2,Zr3,Zr4とすると、遊星歯車機構25,26,27,28のギヤ比はλ1=Zs1/Zr1,λ2=Zs2/Zr2,λ3=Zs3/Zr3,λ4=Zs4/Zr4である。
Nr=(1−λ)Nc+λNs・・・(1)
Nr=(1+λ)Nc−λNs・・・(2)
第一〜第三ブレーキB1〜B3を選択的に作動させ、第一〜第三クラッチCl1〜Cl3を選択的に作動させた際、第一〜第四遊星歯車機構25〜28の各要素の速度比は、図2に示す速度線図のようになる。速度線図は、各遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、リングギヤからなる各要素を横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比を取ったものである。
第一キャリヤC1と第二キャリヤC2は同一の部材であるので、1本の縦軸上に第一キャリヤC1と第二キャリヤC2の速度比を表す。また、第一リングギヤR1と第二リングギヤR2は同一の部材であるので、1本の縦軸上に第一リングギヤR1と第二リングギヤR2の速度比を表す。
ダブルピニオン型の第一遊星歯車機構25については、第一キャリヤC1の縦軸と第一サンギヤS1の縦軸との間隔を1とし、第一リングギヤR1の縦軸を第一キャリヤC1の縦軸から第一サンギヤS1の縦軸と同じ側に間隔λ1だけ離して配置する。シングルピニオン型の第二遊星歯車機構26については、第二キャリヤC2の縦軸と第二サンギヤS2の縦軸との間隔を1とし、第二リングギヤR2の縦軸を第二キャリヤC2の縦軸から第二サンギヤS2の縦軸の反対側に間隔λ2だけ離して配置する。
第三キャリヤC3と第四リングギヤR4は連結されているので、1本の縦軸上に第三キャリヤC3と第四リングギヤR4の速度比を表す。また、第三サンギヤS3と第四サンギヤS4は連結されているので、1本の縦軸上に第三サンギヤS3と第四サンギヤS4の速度比を表す。
シングルピニオン型の第三遊星歯車機構27については、第三キャリヤC3の縦軸と第三サンギヤS3の縦軸との間隔を1とし、第三リングギヤR3の縦軸を第三キャリヤC3の縦軸から第三サンギヤS3の縦軸の反対側に間隔λ3だけ離して配置する。シングルピニオン型の第四遊星歯車機構28については、第四キャリヤC4の縦軸と第四サンギヤS4の縦軸との間隔を1とし、第四リングギヤR4の縦軸を第四キャリヤC4の縦軸から第四サンギヤS4の縦軸の反対側に間隔λ4だけ離して配置する。
速度線図には、第一〜第三ブレーキB1〜B3、第一〜第三クラッチCl1〜Cl3が選択的に作動された点にB1〜B3、Cl1〜Cl3が記入されている。
以下、各変速段の作動について説明する。第1変速段の場合には、第三クラッチCl3によって、入力軸11と第二サンギヤS2が連結され、第一ブレーキB1によって、第二キャリヤC2の回転が規制される。すると、入力軸11から伝達された駆動力によって、第二サンギヤS2が正転駆動され、第二ピニオンP2が逆転駆動され、第二リングギヤR2及び第三リングギヤR3が逆転駆動される。そして、第三ブレーキB3によって、第三キャリヤC3及び第四リングギヤR4の回転が規制される。すると、逆転駆動された第三リングギヤR3によって、第三ピニオンP3が逆転駆動され、第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4が正転駆動され、第四キャリヤC4及び出力軸12が正転駆動される。
第2変速段の場合には、第一クラッチCl1によって、入力軸11と第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4が連結され、入力軸11によって第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4が正転駆動される。そして、第三ブレーキB3によって、第四リングギヤR4の回転が規制される。すると、第四サンギヤS4から伝達された駆動力によって、第四ピニオンP4が逆転駆動され、第四キャリヤC4及び出力軸12が正転駆動される。なお、第三クラッチCl3は、駆動力の伝達に関与しないが、連結状態にされる。これにより、第三クラッチCl3における引きずりによる損失が防止される。
第3変速段〜前進9変速段、及び後進の場合には、それぞれ、図3に示す作動表に示すように、第一〜第三クラッチCl1〜Cl3及び第一〜第三ブレーキB1〜B3が作動される。そして、第1変速段及び第2変速段における説明と同様な駆動力伝達によって、入力軸11から出力軸12に駆動力が伝達される。
第4変速段の場合には、第一クラッチCl1によって、入力軸11と第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4が連結され、第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4が正転駆動される。そして、第二ブレーキB2によって、第一サンギヤS1の回転が規制され、第一ブレーキB1によって、第一キャリヤC1(第二キャリヤC2)の回転が規制される。これにより、第一遊星歯車機構25及び第二遊星歯車機構26がロック状態となり、第三リングギヤR3の回転が規制される。すると、正転駆動される第三サンギヤS3によって、第三キャリヤC3が正転駆動され、第四リングギヤR4が正転駆動される。そして、正転駆動される第四リングギヤR4及び正転駆動される第四サンギヤS4によって、第四キャリヤC4及び出力軸12が正転駆動される。
なお、第6変速段が形成されている場合に、第三クラッチCl3は、駆動力の伝達に関与しないが、連結状態にされる。これにより、第三クラッチCl3における引きずりによる損失が防止される。
第8変速段の場合には、第二クラッチCl2によって、入力軸11と第三キャリヤC3が連結され、第三キャリヤC3が正転駆動される。そして、第二ブレーキB2によって、第一サンギヤS1の回転が規制され、第一ブレーキB1によって、第一キャリヤC1(第二キャリヤC2)回転が規制される。これにより、第一遊星歯車機構25及び第二遊星歯車機構26がロック状態となり、第三リングギヤR3の回転が規制される。すると、正転駆動される第三キャリヤC3によって、第四リングギヤR4が正転駆動され、第三サンギヤS3及び第四サンギヤS4が正転駆動される。正転駆動される第四リングギヤR4及び第四サンギヤS4によって、第四キャリヤC4及び出力軸12が正転駆動される。
(第二実施形態の自動変速機)
以下に、図4に示すスケルトン図を用いて、第二実施形態の自動変速機200について、第一実施形態の自動変速機100と異なる点について説明する。第二実施形態の自動変速機200は、制御部10、入力軸11、出力軸12、ハウジング13、第一複列遊星歯車機構21−2、第二複列遊星歯車機構22−2、第一クラッチCl1−2、第二クラッチCl2−2、第三クラッチCl3−2、第一ブレーキB1−2、第二ブレーキB2−2、第三ブレーキB3−2を有している。第一複列遊星歯車機構21−2は、第一遊星歯車機構25−2及び第二遊星歯車機構26−2から構成されている。第二複列遊星歯車機構22−2は、第三遊星歯車機構27−2及び第四遊星歯車機構28−2から構成されている。
入力軸11側から出力軸12側に向かって、ハウジング13に回転軸線15回りに、第一遊星歯車機構25−2、第二遊星歯車機構26−2、第三遊星歯車機構27−2、第四遊星歯車機構28−2が回転可能に支承されている。第一遊星歯車機構25−2は、シングルピニオン型であり、第一サンギヤS1−2、第一ピニオンP1−2、第一キャリヤC1−2、第一リングギヤR1−2から構成されている。
第一サンギヤS1−2は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第一ピニオンP1−2は、第一サンギヤS1−2の外周側に複数設けられ、第一サンギヤS1−2と噛合している。第一キャリヤC1−2は、第一ピニオンP1−2を回転可能に支承している。第一リングギヤR1−2は、第一ピニオンP1−2の外周側に設けられ、第一ピニオンP1−2と噛合している。
第二遊星歯車機構26−2は、シングルピニオン型であり、第二サンギヤS2−2、第二ピニオンP2−2、第二キャリヤC2−2、第二リングギヤR2−2から構成されている。第二サンギヤS2−2は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承され、第二ピニオンP2−2と噛合している。第二キャリヤC2−2は、第二ピニオンP2−2を回転可能に支承している。第二リングギヤR2−2は、第二ピニオンP2−2の外周側に設けられ、第二ピニオンP2−2と噛合している。
第三遊星歯車機構27−2は、シングルピニオン型であり、第三サンギヤS3−2、第三ピニオンP3−2、第三キャリヤC3−2、第三リングギヤR3−2から構成されている。第三サンギヤS3−2は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第三ピニオンP3−2は、第三サンギヤS3−2の外周側に複数設けられ、第三サンギヤS3−2と噛合している。第三キャリヤC3−2は、第三ピニオンP3−2を回転可能に支承している。第三リングギヤR3−2は、第三ピニオンP3−2の外周側に設けられ、第三ピニオンP3−2と噛合している。
第四遊星歯車機構28−2は、シングルピニオン型であり、第四サンギヤS4−2、第四ピニオンP4−2、第四キャリヤC4−2、第四リングギヤR4−2から構成されている。第四サンギヤS4−2は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第四ピニオンP4−2は、第四サンギヤS4−2の外周側に複数設けられ、第四サンギヤS4−2と噛合している。第四キャリヤC4−2は、第四ピニオンP4−2を回転可能に支承している。第四キャリヤC4−2は、出力軸12に連結されている。第四リングギヤR4−2は、第四ピニオンP4−2の外周側に設けられ、第四ピニオンP4−2と噛合している。
第一キャリヤC1−2と第二リングギヤR2−2は、第四連結部材34によって連結されていて、一体回転する。第一リングギヤR1−2と第二キャリヤC2−2は、第五連結部材35によって連結されていて、一体回転する。第二キャリヤC2−2と第三リングギヤR3−2は、第六連結部材36によって連結されている。第三キャリヤC3−2と第四リングギヤR4−2は、第七連結部材37によって連結されていて、一体回転する。第三サンギヤS3−2と第四サンギヤS4−2は、第八連結部材38によって連結されていて、一体回転する。
第一クラッチCl1−2は、入力軸11と、互いに連結された第三サンギヤS3−2及び第四サンギヤS4−2を係脱可能に連結する。第二クラッチCl2−2は、入力軸11と、互いに連結された第三キャリヤC3−2及び第四リングギヤR4−2を係脱可能に連結する。第三クラッチCl3−2は、入力軸11と第一サンギヤS1−2を係脱可能に連結する。なお、本実施形態では、第一クラッチCl1−2、第二クラッチCl2−2、第三クラッチCl3−2は、隣接して設けられている。
第一ブレーキB1−2は、互いに連結された第一キャリヤC1−2及び第二リングギヤR2−2をハウジング13に係脱可能に固定する。第二ブレーキB2−2は、第二サンギヤS2−2をハウジング13に係脱可能に固定する。第三ブレーキB3−2は、互いに連結された第三キャリヤC3−2及び第四リングギヤR4−2をハウジング13に係脱可能に固定する。
(第二実施形態の自動変速機の動作)
第二実施形態の自動変速機200は、各クラッチCl1−2〜Cl3−2及び各ブレーキB1−2〜B3−2を、図3に示す作動表のとおりに作動させることにより、前進9段、後進1段のギヤ比を構成することができる。
シングルピニオン型の第一〜第四遊星歯車機構25−2〜28−2においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、上式(2)で示される。各変速段におけるギヤ比は、上式(2)に基づいて算出される。サンギヤS1−2,S2−2,S3−2,S4−2の歯数をZs12,Zs22,Zs32,Zs42、リングギヤR1−2,R2−2,R3−2,R4−2の歯数をZr12,Zr22,Zr32,Zr42とすると、遊星歯車機構25−2,26−2,27−2,28−2のギヤ比はλ12=Zs12/Zr12,λ22=Zs22/Zr22,λ32=Zs32/Zr32,λ42=Zs42/Zr42である。
第一〜第三ブレーキB1−2〜B3−2を選択的に作動させ、第一〜第三クラッチCl1−2〜Cl3−2を選択的に作動させた際、第一〜第四遊星歯車機構25−2〜28−2の各要素の速度比は、図5に示す速度線図のようになる。速度線図は、各遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、リングギヤからなる各要素を横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比を取ったものである。
第一キャリヤC1−2と第二リングギヤR2−2は連結されているので、1本の縦軸上に第一キャリヤC1−2と第二リングギヤR2−2の速度比を表す。また、第一リングギヤR1−2と第二キャリヤC2−2は連結されているので、1本の縦軸上に第一リングギヤR1−2と第二キャリヤC2−2の速度比を表す。
シングルピニオン型の第一遊星歯車機構25−2については、第一キャリヤC1−2の縦軸と第一サンギヤS1−2の縦軸との間隔を1とし、第一リングギヤR1−2の縦軸を第一キャリヤC1−2の縦軸から第一サンギヤS1−2の縦軸の反対側に間隔λ12だけ離して配置する。シングルピニオン型の第二遊星歯車機構26−2については、第二キャリヤC2−2の縦軸と第二サンギヤS2−2の縦軸との間隔を1とし、第二リングギヤR2−2の縦軸を第二キャリヤC2−2の縦軸から第二サンギヤS2−2の縦軸の反対側に間隔λ22だけ離して配置する。
第三キャリヤC3−2と第四リングギヤR4−2は連結されているので、1本の縦軸上に第三キャリヤC3−2と第四リングギヤR4−2の速度比を表す。また、第三サンギヤS3−2と第四サンギヤS4−2は連結されているので、1本の縦軸上に第三サンギヤS3−2と第四サンギヤS4−2の速度比を表す。
シングルピニオン型の第三遊星歯車機構27−2については、第三キャリヤC3−2の縦軸と第三サンギヤS3−2の縦軸との間隔を1とし、第三リングギヤR3−2縦軸を第三キャリヤC3−2の縦軸から第三サンギヤS3−2の縦軸の反対側に間隔λ32だけ離して配置する。シングルピニオン型の第四遊星歯車機構28−2については、第四キャリヤC4−2の縦軸と第四サンギヤS4−2の縦軸との間隔を1とし、第四リングギヤR4−2の縦軸を第四キャリヤC4−2の縦軸から第四サンギヤS4−2の縦軸の反対側に間隔λ4−2だけ離して配置する。
速度線図には、第一〜第三ブレーキB1−2〜B3−2、第一〜第三クラッチCl1−2〜Cl3−2が選択的に作動された点にB1−2〜B3−2、Cl1−2〜Cl3−2が記入されている。
以下、各変速段の作動について説明する。第1変速段の場合には、第三クラッチCl3−2によって、入力軸11と第一サンギヤS1−2が連結され、第一ブレーキB1−2によって、第一キャリヤC1−2の回転が規制される。すると、入力軸11から伝達された駆動力によって、第一サンギヤS1−2が正転駆動され、第一ピニオンP1−2が逆転駆動され、第一リングギヤR1−2、第二キャリヤC2−2及び第三リングギヤR3−2が逆転駆動される。そして、第三ブレーキB3−2によって、第三キャリヤC3−2及び第四リングギヤR4−2の回転が規制される。すると、逆転駆動された第三リングギヤR3−2によって、第三ピニオンP3−2が逆転駆動され、第三サンギヤS3−2及び第四サンギヤS4−2が正転駆動され、第四キャリヤC4−2及び出力軸12が正転駆動される。
第2変速段〜前進9変速段、及び後進の場合には、それぞれ、図3に示す作動表に示すように、第一〜第三クラッチCl1−2〜Cl3−2及び第一〜第三ブレーキB1−2〜B3−2が作動される。そして、第1変速段における説明と同様な駆動力伝達によって、入力軸11から出力軸12に駆動力が伝達される。
なお、第2変速段の場合には、第三クラッチCl3−2は、駆動力の伝達に関与しないが、連結状態にされる。これにより、第三クラッチCl3−2における引きずりによる損失が防止される。
第4変速段の場合には、第一クラッチCl1−2によって、入力軸11と第三サンギヤS3−2及び第四サンギヤS4−2が連結され、第三サンギヤS3−2及び第四サンギヤS4−2が正転駆動される。そして、第一ブレーキB1−2によって、第一キャリヤC1−2及び第二リングギヤR2−2の回転が規制され、第二ブレーキB2−2によって、第二サンギヤS2−2の回転が規制される。これにより、第一遊星歯車機構25−2及び第二遊星歯車機構26−2がロック状態となり、第三リングギヤR3−2の回転が規制される。すると、正転駆動される第三サンギヤS3−2によって、第三キャリヤC3−2及び第四リングギヤR4−2が正転駆動される。そして、正転駆動される第四リングギヤR4−2及び正転駆動される第四サンギヤS4−2によって、第四キャリヤC4−2及び出力軸12が正転駆動される。
なお、第6変速段が形成されている場合に、第三クラッチCl3−2は、駆動力の伝達に関与しないが、連結状態にされる。これにより、第三クラッチCl3−2における引きずりによる損失が防止される。
第8変速段の場合には、第二クラッチCl2−2によって、入力軸11と第三キャリヤC3−2が連結され、第三キャリヤC3−2が正転駆動される。そして、第一ブレーキB1−2によって、第一キャリヤC1−2及び第二リングギヤR2−2の回転が規制され、第二ブレーキB2−2によって、第二サンギヤS2−2の回転が規制される。これにより、第一遊星歯車機構25−2及び第二遊星歯車機構26−2がロック状態となり、第三リングギヤR3−2の回転が規制される。すると、正転駆動される第三キャリヤC3−2によって、第四リングギヤR4−2が正転駆動され、第三サンギヤS3−2及び第四サンギヤS4−2が正転駆動される。正転駆動される第四リングギヤR4−2及び第四サンギヤS4−2によって、第四キャリヤC4−2及び出力軸12が正転駆動される。
(第三実施形態の自動変速機)
以下に、図6に示すスケルトン図を用いて、第三実施形態の自動変速機300について、第一実施形態の自動変速機100と異なる点について説明する。第三実施形態の自動変速機300は、制御部10、入力軸11、出力軸12、ハウジング13、第一複列遊星歯車機構21−3、第二複列遊星歯車機構22−3、第一クラッチCl1−3、第二クラッチCl2−3、第三クラッチCl3−3、第一ブレーキB1−3、第二ブレーキB2−3、第三ブレーキB3−3を有している。第一複列遊星歯車機構21−3は、第一遊星歯車機構25−3及び第二遊星歯車機構26−3から構成されている。第二複列遊星歯車機構22−3は、第三遊星歯車機構27−3及び第四遊星歯車機構28−3から構成されている。
入力軸11側から出力軸12側に向かって、ハウジング13に回転軸線15回りに、第一遊星歯車機構25−3、第二遊星歯車機構26−3、第三遊星歯車機構27−3、第四遊星歯車機構28−3が回転可能に支承されている。第一遊星歯車機構25−3は、シングルピニオン型であり、第一サンギヤS1−3、第一ピニオンP1−3、第一キャリヤC1−3、第一リングギヤR1−3から構成されている。
第一サンギヤS1−3は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第一ピニオンP1−3は、第一サンギヤS1−3の外周側に複数設けられ、第一サンギヤS1−3と噛合している。第一キャリヤC1−3は、第一ピニオンP1−3を回転可能に支承している。第一リングギヤR1−3は、第一ピニオンP1−3の外周側に設けられ、第一ピニオンP1−3と噛合している。
第二遊星歯車機構26−3は、ダブルピニオン型であり、第二サンギヤS2−3、第二ピニオンP2−31、第二中間ピニオンP2−32、第二キャリヤC2−3、第二リングギヤR2−3から構成されている。第二サンギヤS2−3は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承され、第二ピニオンP2−31と噛合している。第二中間ピニオンP2−32は、各第二ピニオンP2−31の外周側にそれぞれ設けられ、各第二ピニオンP2−31とそれぞれ噛合している。第二キャリヤC2−3は、第二ピニオンP2−31及び第二中間ピニオンP2−32を回転可能に支承している。第二リングギヤR2−3は、第二中間ピニオンP2−32の外周側に設けられ、第二中間ピニオンP2−32と噛合している。
第三遊星歯車機構27−3は、シングルピニオン型であり、第三サンギヤS3−3、第三ピニオンP3−3、第三キャリヤC3−3、第三リングギヤR3−3から構成されている。第三サンギヤS3−3は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第三ピニオンP3−3は、第三サンギヤS3−3の外周側に複数設けられ、第三サンギヤS3−3と噛合している。第三キャリヤC3−3は、第三ピニオンP3−3を回転可能に支承している。第三リングギヤR3−3は、第三ピニオンP3−3の外周側に設けられ、第三ピニオンP3−3と噛合している。
第四遊星歯車機構28−3は、シングルピニオン型であり、第四サンギヤS4−3、第四ピニオンP4−3、第四キャリヤC4−3、第四リングギヤR4−3から構成されている。第四サンギヤS4−3は、ハウジング13に回転軸線15回りに回転可能に支承されている。第四ピニオンP4−3は、第四サンギヤS4−3の外周側に複数設けられ、第四サンギヤS4−3と噛合している。第四キャリヤC4−3は、第四ピニオンP4−3を回転可能に支承している。第四キャリヤC4−3は、出力軸12に連結されている。第四リングギヤR4−3は、第四ピニオンP4−3の外周側に設けられ、第四ピニオンP4−3と噛合している。
第一サンギヤS1−3と第二サンギヤS2−3は、第九連結部材39によって連結されていて、一体回転する。第一リングギヤR1−3と第二キャリヤC2−3は、第十連結部材40によって連結されていて、一体回転する。第二リングギヤR2−3と第三リングギヤR3−3は、第十一連結部材41によって連結されていて、一体回転する。第三キャリヤC3−3と第四リングギヤR4−3は、第一二連結部材42によって連結されていて、一体回転する。第三サンギヤS3−3と第四サンギヤS4−3は、第一三連結部材43によって連結されていて、一体回転する。
第一クラッチCl1−3は、入力軸11と、互いに連結された第三サンギヤS3−3及び第四サンギヤS4−3を係脱可能に連結する。第二クラッチCl2−3は、入力軸11と、互いに連結された第三キャリヤC3−3及び第四リングギヤR4−3を係脱可能に連結する。第三クラッチCl3−3は、入力軸11と、互いに連結された第一サンギヤS1−3及び第二サンギヤS2−3を係脱可能に連結する。なお、本実施形態では、第一クラッチCl1−3、第二クラッチCl2−3、第三クラッチCl3−3は、隣接して設けられている。
第一ブレーキB1−3は、第一キャリヤC1−3をハウジング13に係脱可能に固定する。第二ブレーキB2−3は、互いに連結された第一リングギヤR1−3及び第二キャリヤC2−3をハウジング13に係脱可能に固定する。第三ブレーキB3−3は、互いに連結された第三キャリヤC3−2及び第四リングギヤR4−2をハウジング13に係脱可能に固定する。
(第三実施形態の自動変速機の動作)
第三実施形態の自動変速機300は、各クラッチCl1−3〜Cl3−3及び各ブレーキB1−3〜B3−3を、図3に示す作動表のとおりに作動させることにより、前進9段、後進1段のギヤ比を構成することができる。
シングルピニオン型の第一遊星歯車機構25−3、第三遊星歯車機構27−3、第四遊星歯車機構28−3においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、上式(2)で示される。ダブルピニオン型の第二遊星歯車機構26−3においては、サンギヤの回転数Ns、キャリヤの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、上式(1)で示される。各変速段におけるギヤ比は、上式(1)、(2)に基づいて算出される。
サンギヤS1−3,S2−3,S3−3,S4−3の歯数をZs13,Zs23,Zs33,Zs43、リングギヤR1−3,R2−3,R3−3,R4−3の歯数をZr13,Zr23,Zr33,Zr43とすると、遊星歯車機構25−3,26−3,27−3,28−3のギヤ比はλ13=Zs13/Zr13,λ23=Zs23/Zr23,λ33=Zs33/Zr33,λ43=Zs43/Zr43である。
第一〜第三ブレーキB1−3〜B3−3を選択的に作動させ、第一〜第三クラッチCl1−3〜Cl3−3を選択的に作動させた際、第一〜第四遊星歯車機構25−3〜28−3の各要素の速度比は、図7に示す速度線図のようになる。速度線図は、各遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、リングギヤからなる各要素を横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比を取ったものである。
第一サンギヤS1−3と第二サンギヤS2−3は連結されているので、1本の縦軸上に第一サンギヤS1−3と第二サンギヤS2−3の速度比を表す。また、第一リングギヤR1−3と第二キャリヤC2−3は連結されているので、1本の縦軸上に第一リングギヤR1−3と第二キャリヤC2−3の速度比を表す。
シングルピニオン型の第一遊星歯車機構25−3については、第一キャリヤC1−3の縦軸と第一サンギヤS1−3の縦軸との間隔を1とし、第一リングギヤR1−3の縦軸を第一キャリヤC1−3の縦軸から第一サンギヤS1−2の縦軸の反対側に間隔λ13だけ離して配置する。ダブルピニオン型の第二遊星歯車機構26−3については、第二キャリヤC2−3の縦軸と第二サンギヤS2−3の縦軸との間隔を1とし、第二リングギヤR2−3の縦軸を第二キャリヤC2−3の縦軸から第二サンギヤS2−3の縦軸と同じ側に間隔λ23だけ離して配置する。
第三キャリヤC3−3と第四リングギヤR4−3は連結されているので、1本の縦軸上に第三キャリヤC3−3と第四リングギヤR4−3の速度比を表す。また、第三サンギヤS3−3と第四サンギヤS4−3は連結されているので、1本の縦軸上に第三サンギヤS3−3と第四サンギヤS4−3の速度比を表す。
シングルピニオン型の第三遊星歯車機構27−3については、第三キャリヤC3−3の縦軸と第三サンギヤS3−3の縦軸との間隔を1とし、第三リングギヤR3−3縦軸を第三キャリヤC3−3の縦軸から第三サンギヤS3−3の縦軸の反対側に間隔λ33だけ離して配置する。シングルピニオン型の第四遊星歯車機構28−3については、第四キャリヤC4−3の縦軸と第四サンギヤS4−3の縦軸との間隔を1とし、第四リングギヤR4−3の縦軸を第四キャリヤC4−3の縦軸から第四サンギヤS4−3の縦軸の反対側に間隔λ4−3だけ離して配置する。
速度線図には、第一〜第三ブレーキB1−3〜B3−3、第一〜第三クラッチCl1−3〜C3−3が選択的に作動された点にB1−3〜B3−3、Cl1−3〜Cl3−3が記入されている。
以下、各変速段の作動について説明する。第1変速段の場合には、第三クラッチCl3−3によって、入力軸11と、相互に連結された第一サンギヤS1−3及び第二サンギヤS2−3が連結され、第一ブレーキB1−3によって、第一キャリヤC1−3の回転が規制される。すると、入力軸11から伝達された駆動力によって、第一サンギヤS1−3及び第二サンギヤS2−3が正転駆動され、第一ピニオンP1−3が逆転駆動され、第一リングギヤR1−3及び第二キャリヤC2−3が逆転駆動される。正転駆動された第二サンギヤS2−3及び逆転駆動された第二キャリヤC2−3によって、第二リングギヤR2−3及び第三リングギヤR3−3が逆転駆動される。
そして、第三ブレーキB3−3によって、第三キャリヤC3−3及び第四リングギヤR4−3の回転が規制される。すると、逆転駆動された第三リングギヤR3−3によって、第三ピニオンP3−3が逆転駆動され、第三サンギヤS3−3及び第四サンギヤS4−3が正転駆動される。そして、正転駆動された第四サンギヤS4−3によって、第四キャリヤC4−3及び出力軸12が正転駆動される。
第2変速段〜前進9変速段、及び後進の場合には、それぞれ、図3に示す作動表に示すように、第一〜第三クラッチCl1−3〜Cl3−3及び第一〜第三ブレーキB1−3〜B3−3が作動される。そして、第1変速段における説明と同様な駆動力伝達によって、入力軸11から出力軸12に駆動力が伝達される。
なお、第2変速段の場合には、第三クラッチCl3−3は、駆動力の伝達に関与しないが、連結状態にされる。これにより、第三クラッチCl3−3における引きずりによる損失が防止される。
第4変速段の場合には、第一クラッチCl1−3によって、入力軸11と第三サンギヤS3−3及び第四サンギヤS4−3が連結され、第三サンギヤS3−3及び第四サンギヤS4−3が正転駆動される。そして、第一ブレーキB1−3によって、第一キャリヤC1−3の回転が規制され、第二ブレーキB2−3によって、第一リングギヤR1−3及び第二キャリヤC2−3の回転が規制される。これにより、第一遊星歯車機構25−3及び第二遊星歯車機構26−3がロック状態となり、第三リングギヤR3−3の回転が規制される。すると、正転駆動される第三サンギヤS3−3によって、第三キャリヤC3−3が正転駆動され、第四リングギヤR4−3が正転駆動される。そして、正転駆動される第四リングギヤR4−3及び正転駆動される第四サンギヤS4−3によって、第四キャリヤC4−3及び出力軸12が正転駆動される。
なお、第6変速段が形成されている場合に、第三クラッチCl3−3は、駆動力の伝達に関与しないが、連結状態にされる。これにより、第三クラッチCl3−3における引きずりによる損失が防止される。
第8変速段の場合には、第二クラッチCl2−3によって、入力軸11と第三キャリヤC3−3が連結され、第三キャリヤC3−3が正転駆動される。そして、第一ブレーキB1−3によって、第一キャリヤC1−3の回転が規制され、第二ブレーキB2−3によって、第一リングギヤR1−3及び第二キャリヤC2−3の回転が規制される。これにより、第一遊星歯車機構25−3及び第二遊星歯車機構26−3がロック状態となり、第三リングギヤR3−3の回転が規制される。すると、正転駆動される第三キャリヤC3−3によって、第四リングギヤR4−3が正転駆動され、第三サンギヤS3−3及び第四サンギヤS4−3が正転駆動される。正転駆動される第四リングギヤR4−3及び第四サンギヤS4−3によって、第四キャリヤC4−3及び出力軸12が正転駆動される。
(本実施形態の効果)
以上の説明から明らかなように、図3に示すように、本実施形態の自動変速機100、200、300は、第一〜第三クラッチCl1〜Cl3及び第一〜第三ブレーキB1〜B3の6つの係合要素のうち3つの係合要素を係合させることにより、変速段を形成する。このため、6つの係合要素のうち開放されている係合要素が3つであり、従来の自動変速機に比べて開放されている係合要素の数が少ないので、係合要素における引きずり損失を低減させることができる。
第一ブレーキB1及び第二ブレーキB2を係合させることにより、第一遊星歯車機構25及び第二遊星歯車機構26をロック状態として、第三リングギヤR3をハウジング13に対して回転不能にしている。このように、第三リングギヤR3をハウジング13に対して回転不能にするブレーキを設けて当該ブレーキを係合させるのでは無く、2つのブレーキを係合させて、第三リングギヤR3をハウジング13に対して回転不能にしているので、開放している係合要素を減少させることができる。
また、図1、図4、図6に示すように、第一〜第三クラッチCl1〜Cl3は、軸線方向に並列して設けられている。このため、自動変速機100、200、300の組み付け性及びメンテナンス性が良好となる。また、第一〜第三クラッチCl1〜Cl3を回転軸線15の変形方向に重ねて配置すると、自動変速機100、200、300の回転軸線15方向の寸法を低減することができる。