JP6217120B2 - 波長変換素子および波長変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入射電磁波の波長から特定の波長を選択的に吸収し、異なる波長の電磁波に変換して放射する波長変換素子、およびそれを用いた波長変換装置に関する。
従来、入射電磁波の波長を変換して放射する波長変換素子としては、材料固有の放射スペクトルを利用した波長変換素子、あるいは分極反転などの光学非線形効果を利用した波長変換素子が用いられている。
例えば、特許文献1には、入射電磁波でヒータを熱し、熱されたヒータからヒータ材料固有の波長の電磁波を放射させることにより入射電磁波の波長を変換する波長変換素子が記載されている。また、特許文献2には、入射電磁波の波長を周期的分極反転構造に基づく擬似位相整合により変換する非線形光学素子からなる波長変換素子が記載されている。
特開平4−354378号公報 特開2010−93244号公報
しかしながら、電磁波でヒータを加熱し、ヒータ材料固有の放射スペクトルに波長変換する場合、吸収スペクトル、放射スペクトルともにヒータ材料の固有の物性値に依存するため、入射電磁波および放射電磁波の波長選択の自由度が無い。具体的には、波長λrの放射電磁波がほしい場合でも、ヒータ材料固有の放射スペクトルがλrでなければ、波長λrの電磁波を放射させることはできない。同様に吸収波長をλaとしたい場合でも、材料自体が波長λaの電磁波を吸収しない場合は、吸収が不可能になる。
また、非線形光学素子はレーザ光などの強い光を対象としているため、一般的な自然放出光に基づく赤外光などに対しては波長変換が困難である。
そこで、本発明は、所望の波長の電磁波を吸収し、波長を変換して放射する、波長選択が可能な波長変換素子、および一般的な自然放出光に対しても波長変換が可能な波長変換素子の提供を目的とする。
本発明は、表面から入射した第1波長を有する電磁波を変換して、第2波長を有する電磁波を裏面から放射する波長変換素子であって、第1面と第2面とを有する平坦な金属層と、金属層の第1面に形成された第1絶縁層と、第1絶縁層の上に周期的に形成された、それぞれが孤立した第1金属層と、平坦な金属層の第2面に形成された第2絶縁層と、第2絶縁層の上に第1金属層とは異なる大きさで周期的に形成された、それぞれが孤立した第2金属層とを含み、第1金属層の膜厚は、第1金属層の一片の長さより小さく、第1波長の1/4以下であり、第2金属層の膜厚は、第2金属層の一片の長さより小さく、第2波長の1/4以下であり、第1絶縁層の膜厚は、第1波長を有する電磁波の第1絶縁層中での波長が第1金属層の一片の長さの1/4より小さく、第2絶縁層の膜厚は、第2波長を有する電磁波の波長の第2絶縁層中での波長が第2金属層の一片の長さの1/4より小さく、第1金属層の大きさは、第1波長を有する電磁波と表面プラズモン共鳴する大きさからなり、第2金属層の大きさは、第2波長を有する電磁波と表面プラズモン共鳴する大きさからなり、第1波長を有する電磁波を吸収して第2波長を有する電磁波に変換して放射することを特徴とする波長変換素子である。



また、本発明は、上記波長変換素子が支持脚で基板上に支持された波長変換装置でもある。
本発明にかかる波長変換素子を用いることにより、非線形光学素子を用いることなく、特定波長の電磁波を吸収し、所望の波長の電磁波に波長変換して放射することが可能となる。
本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の斜視図である。 本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の断面図を含む斜視図である。 本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の断面図である。 本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の入射面の平面図である。 本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の放射面の平面図である。 本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の吸収特性を示す。 本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の放射特性を示す。 本発明の実施の形態にかかる波長変換装置の平面図である。 本発明の実施の形態にかかる波長変換装置の断面図である。
図1は、全体が100で表される、本発明の実施の形態にかかる波長変換素子の斜視図である。図2は、図1のI−I’における断面を含む斜視図であり、図3は、図1のI−I’における断面図である。また、図4は、図3をA方向(表面または入射面という。)から見た場合の平面図であり、図5は、図3をB方向(裏面または放射面という。)から見た場合の平面図である。
図1〜5、特に図3に示すように、波長変換素子100は、中間金属層3と、その両面にそれぞれ設けられた上部絶縁層2および下部絶縁層4の積層構造を含む。上部絶縁層2の上には、一辺の長さがL1の正方形からなる上部金属層1が、直交する2方向の周期が共にS1となるように、マトリックス状に配置されている。一方、下部絶縁層4の下には、一辺の長さがL2の正方形からなる下部金属層5が、直交する2方向の周期が共にS2となるように、マトリックス状に配置されている。上部金属層1、下部金属層5の数は、図1〜5に縛られるものではなく、適宜選択できる。
上部金属層1、下部金属層5および中間金属層3は、表面プラズモン共鳴を生じやすい金属から形成されることが好ましく、例えばAu、Ag、Cu、Al、Ni等から形成される。換言すれば、負の誘電率を有する材料が望ましい。また、上部絶縁層2および下部絶縁層4は酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、シリコン等の絶縁物から形成されることが好ましい。
本発明の実施の形態にかかる波長変換素子100では、上部金属層1を配置した面を電磁波の入射面、下部金属層5を配置した面を電磁波の放射面として説明するが、逆にしても構わない。
まず最初に、本発明の実施の形態にかかる波長変換素子100の動作原理について説明する。波長変換素子100に光(電磁波)が入射した場合、入射面に周期S1で形成された上部金属層1のパターンによって共鳴する共鳴波長の光が、入射した光の中から選択される。更に選択された波長の光のうち、上部絶縁層2に導かれる導波モードの光がさらに選択される。
次に、上部金属層1と中間金属層3との間に挟まれた上部絶縁層2内で共鳴が発生し、ここでも共鳴波長の光が選択される。ここで、上部絶縁層2は、入射光の波長に比べて非常に薄いため、上部絶縁層2の厚さ方向の共鳴は支配的にはならない。よって、実質的には上部金属層1の面内方向(上部絶縁層2の表面に平行な方向)の共鳴が支配的になる。ここでは上部金属層1は正方形であるため、正方形の一辺に沿った方向の共鳴が支配的になる。
波長変換素子100の入射面側では、周期的に配置した金属パターンを中心として、以上のような共鳴が生じる。これは、特に、表面プラズモン共鳴、プラズモン共鳴と呼ばれる。また、可視域から近赤外域の表面プラズモンと区別して疑似表面プラズモン、あるいはメタマテリアル、メタマテリアル効果と呼ばれることもある。明細書中では、特にこれらの共鳴の呼び方について区別はしない。入射光から所定の共鳴波長を有する光が選択されて吸収あるいは放射されることが本質である。
入射面から吸収された光は熱エネルギーに変換されて波長変換素子(フィルタ)100全体を加熱する。即ち、上部絶縁層2から中間金属層3を介して下部絶縁層4に熱エネルギーが伝えられ、最終的に下部金属層5が加熱される。そして放射面が熱平衡状態に達することで熱エネルギーの放射が生じる。
キルヒホッフの法則から、放射エネルギーと吸収能とは同一である。このため、波長変換素子100の放射面では、放射面の吸収能(放射面に電磁波が入射した場合に吸収することができる熱エネルギー)と同じ量の熱エネルギーが放射される。この結果、入射面と同様に、主に、放射面の下部金属層5の面内方向(下部金属層5の裏面に平行な方向)にプラズモン共鳴が生じ、共鳴波長を有する光が選択的に放射される。
以上で述べた原理から、波長変換素子100では、入射光のうち、入射面側の構造で規定される共鳴波長の光が選択的に吸収され、熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーは放射面側に伝えられ、放射面側の構造で規定される共鳴波長の光に変換されて放射面から放射される。入射面で吸収する光の波長および放射面から放射する光の波長は、それぞれ入射面側および放射面側の構造で決まるため、本実施の形態にかかる波長変換素子100では、入射面側の構造で規定される所定の波長の光を選択的に吸収し、これを放射面側の構造で規定される所定の波長の光に変換して放射することが可能となる。
上部金属層1および下部金属層5の膜厚:h1、h2について述べる。h1、h2が厚くなると、熱容量も増加し応答速度が遅くなる。また、厚さ方向にも共鳴が生じるため、波長選択効果が弱くなり吸収特性が劣化する。また、h1、h2が厚くなると、高さ方向にも共鳴が生じるため、入射角度依存性が大きくなる。よって垂直入射以外の光を吸収しなくなり、出力が低下する傾向にある。つまり、少なくともh1<L1、h2<L2を満たし、できるだけ薄くすることが好ましい。検出波長に対してδ=(2/μσω)1/2で表される表皮効果の厚さ(skin depth)の2倍程度の厚さ(波長によって変化するが、赤外域においては、数10nm程度から数100nm程度)以上を有すれば、一般に入射光の漏れ出しが充分に小さいといえる。ただし、μ、σはそれぞれ上部金属層1および下部金属層5の透磁率、電気伝導率であり、ωは検出波長を有する電磁波の角振動数である。以下、解析に示すように赤外波長域においては数10〜100nm程度以上であれば十分な吸収が生じ、200nm程度あれば十分である。このように上部金属層1および下部金属層5の膜厚が薄い場合、表面プラズモン共鳴は、主として、上部金属層1および下部金属層5の面内方向において生じ、吸収する入射光の波長および放射される放射光の波長は、上部金属層1および下部金属層5の大きさにより決まる。
ここで、上部金属層1および下部金属層5の大きさとは、上部金属層1および下部金属層5の、表面に平行な面内での寸法をいう。例えば、上部金属層1および下部金属層5の表面に平行な面内での形状が円形の場合はその直径を、正方形の場合は一辺の長さをいう。また、より本質的には、対称性の高い形状においては、周期を固定した場合、上部金属層1の占める面積つまり充填率によってプラズモン共鳴波長が決定されるとも言える。
これに対して、h1、h2が厚くなり、L1、L2の1/4より大きくなった場合、膜厚方向(面内方向に垂直な方向)にも共鳴が発生し、入射角度依存性が大きくなり、また共鳴方向が一か所ではないことから、吸収波長が多波長化するという問題が生じる。
上述のように上部金属層1の膜厚が非常に薄い場合、吸収波長は主として面内方向の共鳴によって決定されるため、結果的に、吸収波長の入射角依存性が小さくなる。この結果、入射角が変化しても吸収特性の変化は殆どおこらなくなる。
例えば上部金属層1の膜厚が500nmと比較的厚いが、入射光の波長の1/4以下の場合には、吸収波長の入射角依存性は生じるが、一方で、吸収光や放射光の波長には影響しない。このため、波長変換素子100に対して入射光が垂直に入射する場合は、上部金属層1の膜厚は、入射光の波長の1/4以下となる条件であれば、比較的厚くても良い。
同様に、上部絶縁層2および下部絶縁層4についても、膜厚方向(上部絶縁層2および下部絶縁層4の表面に垂直な方向)での共鳴が生じないようにするために、膜厚は、対象とする光の絶縁層中の光学長が、L1、L2の1/4より小さいことが好ましく、例えば赤外波長域では200nm程度以下であることが好ましい。但し、波長選択的効果が得られれば、膜厚は、材料、波長によって変化しても良い。光学長とは、屈折率あるいは誘電率によって決定される、物質中の光の波長である。また、上部金属層1と中間金属層3および、下部金属層5と中間金属層3の間にキャビティを形成するためには、金属のエバネッセント波長(表皮厚)から決定される値の2倍程度より大きくする必要がある。
中間金属層3の膜厚は、入射光および放射光が透過しない厚さとする必要がある。上述のように、これらの光の波長の表皮厚さの2倍程度またはそれ以上が好ましい。但し、入射光および放射光が透過しない範囲で、中間金属層3はできるだけ薄膜化することが望ましい。薄膜化した方が、中間金属層3の熱容量が小さくなり、応答速度が速くなるからである。なお、波長変換素子100のような、金属/絶縁層/金属の多層構造を用いることにより、金属表面に凹凸を設けた構造を用いた波長変換素子に比較して、素子全体の膜厚を薄くすることができる。
ここで金属層の周期パターンと平坦な金属層との間に絶縁層が挟まれた多層構造では、表面プラズモン共鳴と絶縁層における導波モードが同時に発生する。絶縁層における導波モードとは、絶縁層の内部で共振した光のモードである。よって、表面プラズモン共鳴は金属層の周期ではなく、金属層の大きさで決まるようになる。つまり、本発明の実施の形態にかかる多層構造の場合、吸収光と放射光の波長を決定するのは、金属層の大きさ(表面に平行な面内での寸法)である。金属層が正方形の場合と同様に、円形の場合も同様の効果を得ることができる。
また、金属層の膜厚を、対象とする光の波長に対して十分に小さくし、かつ薄膜の絶縁層内の導波モードを利用して、金属層の面内方向に共鳴を発生させるため、深さ方向(厚さ方向)の共鳴の影響は小さい。よって、入射角依存性が小さく、より広い入射角の入射光の波長を変換することが可能となり、放射光の強度を大きくすることができる。
図3のA、B方向から見た場合の上部金属層1、下部金属層5の形状が、円形、正方形など中心点に対して点対称の形状では吸収波、放射波に偏光依存性は無いが、楕円、長方形、三角形などの非対称な形状の場合は偏光依存性が生じる。楕円においては、長径/短径、長方形においては長辺、短辺にそれぞれ対応する偏光によって吸収が異なる。つまり、電界の方向とその共振方向における上部金属層1、下部金属層5の主要な長さによって、偏光角度によって吸収が異なる。よって、非対称形状を用いると、吸収・放射特性に偏光依存性が生じる。つまり、上部金属層1、下部金属層5を非対称形状にすることで、偏光角度を検知することができる。また、上部金属層1、下部金属層5が、1次元方向のみに配列されている場合も、吸収波、放射波に偏光依存性が生じる。
このような構造を用いることにより、入射波の偏向方向を変換することも可能である。
以上のように本発明の実施の形態にかかる波長変換素子100では、入射光のうち吸収される光の波長(吸収波長)は、上部金属層1、上部絶縁層2および中間金属層3の3層構造によって決定される。一方、吸収された光が変換された熱エネルギーが、再度変換されて放射される放射光の波長は、中間絶縁層3、下部絶縁層4、下部金属層5の3層構造によって決定される。このため、吸収光の波長を決定する入射光側の構造と、放射光の波長を決定する放射光側の構造とは、別個独立して形成できるため、入射光からの吸収波長および放射光の波長を独立して自由に設計することができる。
図6に、本発明の実施の形態にかかる波長変換素子100の吸収特性を示すグラフであり、横軸は入射光の波長、縦軸は吸収率を表す。電磁界解析に用いた波長変換素子100では、上部金属層1は、平面形状が正方形であり、厚さは50nm、中間金属層3の厚さは200nm、ともに材料はAuである。また、上部絶縁層2は厚さが100nmの酸化シリコン(SiO)である。上部金属層1の周期S1は2.0μmとし、上部金属層1の一辺の長さL1が1.0μm(実線)ならびに1.5μm(破線)の場合の吸収率を電磁界解析によって求めた。中間金属層3は入射する電磁波を透過させない厚さを有しているため、中間金属層3より下部の構成については、吸収特性に影響を及ぼさない。
図6から分かるように、吸収波長は、それぞれ約3.8μm(L1=1.0μm)、5.7μm(L1=1.5μm)である。周期S1は2.0μmで一定であるため、吸収(放射)波長は周期に依存ぜず、上部金属層1の一辺の長さにほぼ比例する。つまり、
吸収波長∝上部金属層1の一辺の長さ
の関係が成立することが分かる。
図7は、本発明の実施の形態にかかる波長変換素子100の放射特性を示すグラフであり、横軸は放射波の波長、縦軸は放射率を表す。電磁界解析に用いた波長変換素子100では、図6の構成と同じく、下部金属層5は、平面形状が正方形であり、厚さは50nm、中間金属層3の厚さは200nm、ともに材料はAuである。また、下部絶縁層4は厚さが100nmの酸化シリコン(SiO)である。下部金属層5の周期S2は3.0μmとし、下部金属層5の一辺の長さL2が1.8μm(実線)ならびに2.0μm(破線)の場合の吸収率を電磁界解析によって求めた。中間金属層3は入射する電磁波を透過させない厚さを有しているため、中間金属層3より上部の構成については、放射特性に影響を及ぼさない。
図7から分かるように、放射波の波長は、それぞれ約6.5μm(L2=1.8μm)、7.3μm(L2=2.0μm)である。周期S2は3.0μmで一定であるため、放射波の波長は周期に依存ぜず、下部金属層5の一辺の長さにほぼ比例する。つまり、
放射波長∝下部金属層5の一辺の長さ
の関係が成立することが分かる。かかる関係は、図6の吸収波の場合とほぼ同じであり、放射面においても、下部金属層5の大きさで決定される波長の光が放射されることが分かる。
このように一定周期で配置した金属層を用いる場合、吸収(放射)波長>周期となるため、十分な吸収(放射)を達するために必要となる周期数×周期の値が小さくすることができる。つまり、波長変換フィルタ100の大きさを小さくすることができる。
なお、波長変換素子100では、金属層および絶縁層の膜厚は、膜厚方向での共鳴が発生しない程度に薄くするが、上述のように、これらの膜厚を厚くした場合、表面プラズモン共鳴は、金属層の面内方向の共鳴に加えて、金属層の膜厚方向、絶縁層の膜厚方向でも発生し、3次元的な共鳴となる。この結果、共鳴波長にも変化が生じ、吸収、放射波長が変化する。一方で、金属層等の膜厚を厚くした場合、吸収波長の入射角依存性が発生する。このため、例えば、入射光の入射角が常に垂直方向である場合のように、入射角依存性が無視できる場合は、金属層や絶縁層の膜厚を厚くすることにより共鳴波長を変化させることも可能である。
このように、本発明の実施の形態にかかる波長変換素子100では、上部金属層1の大きさによって決定される波長の光を入射面で吸収し、一方、下部金属層5大きさによって決定される波長の光を放射面から放射できる。即ち、金属層等の材料の固有の物性値に依存せず、吸収・放射スペクトルを自由に決定できるようになり、任意の波長変換が可能になる。
図8は、本発明の実施の形態にかかる、波長変換素子100を含む波長変換装置の上面図であり、図9は、図8のA−A‘における断面図である。波長変換装置では、波長変換素子100が、支持脚6で基板7に支持されている。波長変換素子100の下部は中空構造となっている。
波長変換装置の製造方法では、まず、例えばSiなどからなる基板7を準備し、その波長変換素子形成領域に多層構造を形成する。
多層構造の形成は、まず、基板7上に金などの金属層をスパッタで成膜し、フォトリソグラフィ技術およびエッチング(ドライまたはウエット)技術を用いてパターニングして下部金属層5とする。リフトオフ法を用いて、直接下部金属層5を形成してもよい。
次に、レジストや樹脂で下部金属層5を覆った後、CPM等の研磨を行い下部金属層5の最上面とレジスト等の上面を同一平面にする。
次に、蒸着やスパッタにより、例えば酸化シリコンからなる下部絶縁層4を形成する。続いて、例えば金からなる中間金属層3、酸化シリコンからなる上部絶縁層2を、同じく蒸着やスパッタにより形成する。
上部絶縁層2の上に、金からなる金属層を成膜した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング(ドライまたはウエット)技術を用いてパターニングして上部金属層1とする。以上の工程で、上部金属層1/上部絶縁層2/中間金属層3/下部絶縁層4/下部金属層5の多層構造からなる波長変換素子100が基板7の上に完成する。
続いて、例えば酸化シリコンからなる絶縁層を形成し、パターニングすることで、基板7の上に支持脚6を形成する。支持脚6は、上部絶縁層2や下部絶縁層4を形成する工程で同時に形成しても良い。
最後に、基板7の裏面からドライエッチングまたはウエットエッチングを行い、波長変換素子100の下部を除去すれば中空断熱構造が完成する。基板7がSiの場合は、ICP−RIEによるドライエッチングやTMAH(tetra methyl ammonium hydroxide)を用いたウエットエッチングにより基板7をエッチングして中空断熱構造を形成する。
続いて下部金属層5の間のレジスト等を酸素アッシングなどで除去する。以上の工程で、基板7に支持脚6で支持された波長変換素子100を有する波長変換装置が完成する。
図8、9に示すような中空断熱構造の場合、波長変換素子(フィルタ)100が吸収した熱が、波長変換素子100の外部に逃げにくいため、吸収された光の熱エネルギーのうち、外部に逃げることなく放射面から放射されるエネルギーの割合が高くなるため、波長変換効率が高くなる。
図8、9では、2本の支持脚6を用いたが、2本以外でも構わない。また、フィルタを保持する部分に断熱材を用いるなども同様の効果がある。
なお、本発明の実施の形態では、主に赤外線波長域の光を例に説明したが、本発明は赤外線以外の波長域、例えば可視、近赤外、テラヘルツ(THz)、マイクロ波、電波領域の波長域の電磁波に適用しても、同様の効果を得ることができる。
1 上部金属層、2 上部絶縁層、3 中間金属層、4 下部絶縁層、5 下部金属層、6 支持脚、7 基板、100 波長変換素子。

Claims (6)

  1. 表面から入射した第1波長を有する電磁波を変換して、第2波長を有する電磁波を裏面から放射する波長変換素子であって、
    第1面と第2面とを有する平坦な金属層と、
    平坦な金属層の第1面に形成された第1絶縁層と、
    該第1絶縁層の上に周期的に形成された、それぞれが孤立した第1金属層と、
    上記平坦な金属層の第2面に形成された第2絶縁層と、
    該第2絶縁層の上に該第1金属層とは異なる大きさで周期的に形成された、それぞれが孤立した第2金属層とを含み、
    該第1金属層の膜厚は、該第1金属層の一片の長さより小さく、上記第1波長の1/4以下であり、
    上記第2金属層の膜厚は、該第2金属層の一片の長さより小さく、上記第2波長の1/4以下であり、
    上記第1絶縁層の膜厚は、上記第1波長を有する電磁波の上記第1絶縁層中での波長が上記第1金属層の一片の長さの1/4より小さく、
    上記第2絶縁層の膜厚は、上記第2波長を有する電磁波の波長の上記第2絶縁層中での波長が上記第2金属層の一片の長さの1/4より小さく、
    上記第1金属層の大きさは、上記第1波長を有する電磁波と表面プラズモン共鳴する大きさからなり、該第2金属層の大きさは、該第2波長を有する電磁波と表面プラズモン共鳴する大きさからなり、該第1波長を有する電磁波を吸収して該第2波長を有する電磁波に変換して放射することを特徴とする波長変換素子。
  2. 上記第1金属層と上記第2金属層の周期、該第1金属層と該第2金属層の膜厚、および上記第1絶縁層と上記第2絶縁層の膜厚の、少なくとも1つが異なることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  3. 上記第1金属層および上記第2金属層の、上記第1面に平行な面内での形状が、円形、正方形、楕円形、または長方形であることを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換素子。
  4. 上記第1金属層および上記第2金属層は、それぞれ上記第1絶縁層および上記第2絶縁層の上に、1次元方向または2次元方向に周期的に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長変換素子。
  5. 上記第1金属層、上記第2金属層、および上記平坦な金属層は、表面プラズモン共鳴を生じるAu、Ag、Cu、Al、Ni、CrおよびTiからなる群から選択される材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波長変換素子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の波長変換素子が、支持脚で基板上に支持された波長変換装置。
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