JP6216605B2 - 光学部材および光源装置 - Google Patents
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Description
ところで、特に車両用前照灯または液晶プロジェクタに用いられる光源装置については、平行光の出射を必要とするものがある。ただし、単にLED素子を発光体として用いただけでは、要求を満たす程度の平行光を出射し得るとは限らない。
このことから、平行光の出射を必要とする光源装置については、発光体となるLED素子の発光面を囲うように放物面状の反射面を有した反射部材を配置し、LED素子の発光面からの非平行光を反射部材の反射面で反射して平行光に変換するものがある(例えば、特許文献1参照)。
LED素子は、面発光光源であり、原則として発光面の全域から光を出射する。これに対し、LED素子の発光面を囲う放物面状の反射面は、その放物面の焦点位置からの出射光を平行光として反射するが、他の位置からの光についてはその限りではない。そのため、面発光光源の発光面の大きさとその発光面を囲う反射面を構成する放物面の大きさとの関係によっては、必要十分な平行度の出射光が得られないおそれがある。
本発明の第一の態様は、面発光光源の発光面を囲うように配されて当該発光面からの光を当該発光面の光出射先側に向けて反射する光反射面を備えた光学部材であって、前記光反射面は、前記面発光光源に個別に対応するように形成されているとともに、当該面発光光源における前記発光面を細分化して得られる各領域別にそれぞれの領域内に設定された基準点のそれぞれを焦点位置とする複数の放物面鏡部を組み合わせて構成されていることを特徴とする光学部材である。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載の光学部材と、前記光学部材における前記光反射面に囲われるように発光面が配された面発光光源と、を備えることを特徴とする光源装置である。
本発明の第三の態様は、第二の態様に記載の発明において、前記発光面の一部領域を覆うことで当該発光面を複数の領域に細分化する遮蔽板を備えることを特徴とする。
本発明の第四の態様は、第三の態様に記載の発明において、前記遮蔽板は、前記発光面に対して間隔を空けて配されるとともに、前記発光面側の面が光反射面となっていることを特徴とする。
本発明の第五の態様は、第二から第四のいずれか一態様に記載の発明において、前記面発光光源の前記発光面に対向して配され、当該発光面からの光および前記光学部材における前記光反射面からの光を放射状に反射する反射部材を備えることを特徴とする。
本発明の第六の態様は、第二から第五のいずれか一態様に記載の発明において、前記光反射面を構成する前記放物面鏡部の回転中心軸が前記発光面の法線方向に対して傾いて配置されていることを特徴とする。
本発明の第七の態様は、第二から第六のいずれか一態様に記載の発明において、前記光反射面は、平面矩形状の前記発光面に対して、焦点位置が互いに異なる四つの前記放物面鏡部を組み合わせて構成されていることを特徴とする。
本発明の第八の態様は、第二から第七のいずれか一態様に記載の発明において、前記面発光光源としてのLED素子を備えることを特徴とする。
ここでは、以下のような項分けをして説明を行う。
1.本発明の概要
2.本発明の第一実施形態
3.本発明の第二実施形態
4.本発明の第三実施形態
5.変形例等
先ず、本発明の概要について説明する。
本明細書において、「面発光光源」とは、光を出射する発光体として用いられるもので、平坦または凸面状の発光面から光を出射する光源のことをいう。面発光光源の代表的なものとしては、パワーLEDまたはハイパワーLEDと呼ばれるLED素子が挙げられる。
また、出射光の「平行度」とは、出射光を構成する各光線について、基準となる光線方向に対する各光線の平行の度合のことをいう。例えば、各光線の平行度については、基準方向の光度を100%とした場合に、光度が50%の光線方向の角度範囲であるビーム角によって規定することが考えられる。したがって、「必要十分な平行度」とは、出射光を構成する各光線の平行度が必要十分であることをいい、具体的には各光線の平行度が予め設定された許容範囲内にあることをいう。平行度の許容範囲は、本発明の第三実施形態で説明するような車両前照灯用途であれば例えばビーム角8°以下程度とすることが考えられるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、面発光光源からの出射光の用途に応じて適宜設定されたものであればよい。
図1は、面発光光源と放物面状反射面との関係を示す模式図である。
面発光光源101の発光面の周囲に放物面状反射面102を配置しても必要十分な平行度の出射光が得られない場合があるのは、例えば図1(a)に示すように、面発光光源101からは非平行光も含め発光面全域から光が出射されるのに対して、放物面状反射面102は焦点位置Fからの出射光のみを平行光として反射することになるためと考えられる。すなわち、放物面状反射面102の焦点位置F以外にも面発光光源101の発光面が存在することになるからである。
このことから、面発光光源101からの出射光の平行度を上げるためには、例えば図1(b)に示すように面発光光源101の発光面の大きさに対して放物面状反射面102を大きくするか、または例えば図1(c)に示すように放物面状反射面102の大きさに対して面発光光源101の発光面の大きさを小さくすることが考えられる。いずれの場合も、放物面状反射面102の焦点位置F以外に存在する面発光光源101の発光面の割合を減少させ得るからである。
その一方で、面発光光源101の発光面を小さくすることについては、物理的な限界がある。また、発光面が小さくなることによって、その発光面から出射される光量が落ちてしまうことは好ましくない。
本発明は、このような本願発明者が着眼した従来にはない発想、すなわち発光面を仮想的に細分化した上で各領域のそれぞれに対して個別に放物面状の反射面を設定するという、新規で独創的な発想に基づくものである。
本発明は、このような発想に基づき、以下に述べるように構成される。
発光面を「細分化」するとは、発光面を複数領域に細かく分けることをいう。ただし、ここでいう「細分化」には、発光面を複数領域に分割する場合(複数領域を組み合わせると発光面が再現される場合)の他に、発光面から複数領域を抽出する場合(複数領域を組み合わせても発光面が再現されない場合)を含むものとする。
また、ここでいう「基準点」は、発光面を細分化して得られる各領域別に予め設定された点であれば良く、具体的には領域内の最高輝度点を基準点とするといったように当該領域内の輝度分布に基づいて設定されたものであってもよいし、あるいは領域の中心(重心)点を基準点とするといったように当該領域の形状に基づいて設定されたものであってもよい。
「放物面鏡部」は、回転放物面の一部を反射面としたものである。さらに詳しくは、回転放物面の一部によって構成された凹面鏡部分のことをいう。したがって、放物面鏡部の「焦点位置」は、当該放物面鏡部を構成する回転放物面の焦点位置と一致することになる。なお、「回転放物面」は、放物線をその対称軸の周りに回転させて得られる面である。
つまり、本発明に係る光学部材における光反射面は、複数の放物面鏡部を組み合わせて構成されており、それぞれの放物面鏡部における焦点位置が面発光光源の発光面を細分化して得られた各領域別の基準点に一致している。
ここで、「光源装置」とは、光を出射することで光源として機能し、当該光源を必要とする機器に装着されて使用される装置のことをいう。その一例としては、四輪車や二輪車等の自動車車両、鉄道車両、航空機、船舶、その他の輸送機械における前照灯にて使用されるもの(具体的には、当該前照灯に装着されるハロゲンバルブの代替品に相当するもの)が挙げられる。また、他の例としては、家庭用の照明器具にて使用されるもの(具体的には、当該照明器具に装着される白熱電球の代替品に相当するもの)が挙げられる。ただし、ここで挙げた例に限定されることはなく、例えば照明装置や露光装置等にて使用されるものであっても、光を出射することで光源として機能するものであれば、本明細書でいう「光源装置」に該当し得る。
次に、本発明の実施形態について具体的に説明する。
先ず、本発明の第一実施形態を説明する。
図2は、本発明の第一実施形態における光源装置の要部構成例を示す説明図である。
図例のように、第一実施形態で例に挙げる光源装置は、面発光光源10と、光反射面21を有する光学部材20と、を備えて構成されている。
基準点12a,12b,12c,12dは、例えば各領域11a,11b,11c,11d内の最高輝度点に設定するといったように、当各該領域11a,11b,11c,11d内の輝度分布に基づいて設定することが考えられる。ただし、必ずしもこれに限定されることはなく、例えば各領域11a,11b,11c,11dの中心(重心)点を基準点12a,12b,12c,12dとするといったように、当該各領域11a,11b,11c,11dの形状に基づいて設定されたものであってもよい。
各放物面鏡部21a,21b,21c,21dは、いずれも回転放物面の一部を反射面とする凹面鏡部分であり、発光面11からの非平行光を平行光に変換すべく、発光面11からの光を当該発光面11の光出射先側に向けて反射するものである。ただし、各放物面鏡部21a,21b,21c,21dは、それぞれが対応する領域11a,11b,11c,11dの基準点12a,12b,12c,12dを焦点位置とするように形成されている。つまり、各放物面鏡部21a,21b,21c,21dは、それぞれの焦点位置が異なっている。
このように、光反射面21は、単一の回転放物面ではなく、焦点位置を互いに異にする放物面状凹面鏡部分である四つの放物面鏡部21a,21b,21c,21dを組み合わせて構成されているのである。各放物面鏡部21a,21b,21c,21dにおける焦点位置は、発光面11を細分化した各領域11a,11b,11c,11dにおける基準点12a,12b,12c,12dに一致するので、それぞれが同一平面上の異なる位置に並ぶ。したがって、光反射面21は、平面視断面形状が円形状ではなく四つの花弁を有した花冠状に形成されることになる。
なお、各放物面鏡部21a,21b,21c,21dを構成する回転放物面の係数については、特に限定されるものではなく、単一の回転放物面で構成する場合と同様に、面発光光源10の発光面11の全体の大きさや光源装置の配置スペースの大きさ等を考慮しつつ、適宜決定すればよい。
以上のように構成された光学部材20および当該光学部材20を備える光源装置によれば、以下に述べるような作用を奏する。
図3は、本発明の第一実施形態における光源装置の作用の概念を示す説明図である。
以上のような作用を奏する第一実施形態の光学部材20および光源装置によれば、以下に述べるような効果が得られる。
次に、本発明の第二実施形態を説明する。ただし、ここでは、主として上述した第一実施形態との相違点について説明し、第一実施形態と同一内容については説明を省略する。
図4は、本発明の第二実施形態における光源装置の要部構成例を示す説明図である。
図例のように、第二実施形態で例に挙げる光源装置は、第一実施形態で説明した面発光光源10および光学部材20に加えて、遮蔽板30を備えて構成されている。
なお、各領域11a,11b,11c,11dのそれぞれに基準点12a,12b,12c,12dが設定されている点、および、光学部材20の光反射面21が各領域11a,11b,11c,11dに個別に対応する四つの放物面鏡部21a,21b,21c,21dを組み合わせて構成されている点については、上述した第一実施形態の場合と全く同様である。
遮蔽板30を構成する帯状部材の幅等については、面発光光源10の発光面11のサイズや輝度分布、細分化後の各領域11a,11b,11c,11dの大きさ等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
さらに、遮蔽板30における発光面11側の面は、例えば鏡面仕上げまたはメッキ仕上げ等が施されて、光を反射する光反射面となっている。
以上のように構成された光源装置によれば、以下に述べるような作用を奏する。
図5は、本発明の第二実施形態における光源装置の作用の概念を示す説明図である。
以上のような作用を奏する第二実施形態の光源装置によれば、第一実施形態で説明した効果に加えて、以下に述べるような効果が得られる。
図6は、本発明の第二実施形態における光源装置の効果の具体例を示す説明図である。
図例では、第二実施形態の構成で得られるビーム角の一具体例を示しているとともに、比較のため従来構成(すなわち単一の回転放物面で光を反射する構成)で得られるビーム角の一具体例についても併せて示している。
図例によれば、従来構成の場合、基準方向(180°方向)に対して光度が50%となる光線方向の角度が6.5°程度であり、ビーム角が6.5°×2=13°程度となるのに対し、第二実施形態の構成の場合には、基準方向に対して光度が50%となる光線方向の角度が1.5°程度であり、ビーム角が1.5°×2=3°程度である。つまり、第二実施形態の構成においては、従来構成の場合に比べて、非常に優れたビーム角(すなわち出射光の平行度)が得られることがわかる。
次に、本発明の第三実施形態を説明する。
第三実施形態では、本発明に係る光源装置として、四輪車や二輪車等の自動車車両における前照灯にて使用される光源装置を例に挙げる。
ただし、ここでも、主として上述した第一実施形態または第二実施形態との相違点について説明し、第一実施形態または第二実施形態と同一内容については説明を省略する。
ここで、先ず、自動車車両の前照灯、および、当該前照灯の光源装置として一般的に用いられるハロゲンバルブについて、簡単に説明する。
図7(a)に示すように、自動車車両の前照灯1は、少なくとも、ハロゲンバルブ2が装着されるソケット部3と、その周囲に配されてハロゲンバルブ2からの出射光を前方(前照灯1による光の照射先)へ向けて反射する凹状リフレクタ4と、その前方(光の照射先)側を覆うレンズ5と、を備えて構成されている。
このような前照灯1の光源装置として用いられるハロゲンバルブ2は、図7(b)に示すように、ソケット部3に着脱可能に装着される口金部2aを備えている。また、ハロゲンバルブ2は、例えばハイロー切替バルブであれば、不活性ガスにハロゲンガスを微量導入して封止されたガラス殻2bの中に、ハイビーム(走行用上向き配光パターン)用フィラメント2cとロービーム(すれ違い用下向き配光パターン)用フィラメント2dとが別個に配設されている。ただし、図例とは異なり、ガラス殻2bの中に1つのフィラメントのみが設けられたものもある。いずれのタイプも、フィラメントは、例えばタングステン(W)によって形成されており、通電によって白熱することで、点光源の如く周囲へ向けて放射状に広がるような光を発する。ハロゲンバルブ2の先端部には、シェードと呼ばれる傘のような遮光部2eが設けられており、フィラメントからの光が直接前方側に出射されないようになっている。また、ロービーム用フィラメント2dには、光の出射方向を制御するために遮蔽板2fが付設されたものがある。
ハロゲンバルブ2がハイロー切替バルブである場合、前照灯1は、ハイビーム照射時とロービーム照射時で、発光させるフィラメント2c,2dを切り替える。
具体的には、ハイビーム用フィラメント2cは、凹状リフレクタ4の焦点近傍に配されている。そして、ハイビーム用フィラメント2cを発光させると、ここから発せられる光は、凹状リフレクタ4で反射して平行光線となって遠くまで照射されることになる。
一方、ロービーム用フィラメント2dは、焦点の少し前方(光の照射先)側に設置されている。そして、ロービーム用フィラメント2dを発光させると、その位置が凹状リフレクタ4の焦点位置からずれているために、当該フィラメント2dから上方に発せられる光は、凹状リフレクタ4での反射後の光束が下向きになる。また、当該フィラメント2dから下方に発せられる光は、遮蔽板2fにより上方向に反射され、前記同様凹状リフレクタ4での反射後の光束が下向きになる。さらに、遮蔽板2fは、水平からややハロゲンバルブ2の中心軸周りに傾いて配されており、それにより照射方向右上に出射される光を遮蔽する。これらによって、ロービーム用フィラメント2dから発せられる光は、凹状リフレクタ4で反射して、照射方向の手前側とやや左の側を照らすことになる。
このように、前照灯1においては、光を発するフィラメント2c,2dの凹状リフレクタ4内での位置に応じて、照射する光の配光状態が異なるように構成されている。
続いて、上述した構成の前照灯1にて使用される、本発明の第三実施形態における光源装置として、面発光光源であるLED素子を発光体として備えて構成されたLEDバルブを例に挙げて、その構成例を説明する。このLEDバルブは、上述したハロゲンバルブ2の代替品となるものである。
図例のように、第三実施形態で例に挙げるLEDバルブは、面発光光源であるLED素子10(ただし図9には不図示)および光学部材20に加えて、これらが配設される基体部40と、基体部40に取り付けられる口金部41と、光学部材20に付設される補助光学部材50と、基体部40の側から光出射方向に突設される支柱60と、支柱60に取り付けられる反射部材70と、を備えて構成されている。
なお、LED素子10は、基体部40上に複数個を並べて配置されている。複数個のLED素子10には、詳細を後述するように、ハイビーム用LED素子である第一LED素子と、ロービーム用LED素子である第二LED素子とが含まれる。
図10は、本発明の第三実施形態における光学部材の構成例を示す説明図である。
図例に示す光学部材20は、円錐台状の外形形状を有し、その中心軸付近に第一LED素子の発光面を囲うように配される一つの第一光反射面22が形成されており、またその周囲に第二LED素子の発光面を囲うように配される四つの第二光反射面23が形成されている。各光反射面22,23は、いずれも、第一実施形態で説明したように、四つの放物面鏡部21a,21b,21c,21dを組み合わせて構成されている。
なお、光学部材20における第二光反射面23のうちの一部は、詳細を後述するように、当該第二光反射面23を構成する放物面鏡部の回転中心軸がLED素子10の発光面の法線方向に対して傾いて配置されている。
図11は、本発明の第三実施形態における補助光学部材の構成例を示す説明図である。
図例に示す補助光学部材50は、第二光反射面23から出射される光に対する配光制御のために、庇部51およびエッジ部52を有している。庇部51は、光出射方向に沿って突設されて、第二光反射面23から外周方向に回り込む迷光成分を遮蔽するものである。エッジ部52は、第二光反射面23の開口の一部を覆うように形成されて、当該第二光反射面23から出射される光のうち、光度の弱い光成分を遮蔽するものである。
図例のように、反射部材70は、前照灯1でのハイビーム照射とロービーム照射とに対応するために、凸面鏡部71が第一凸面鏡部71aと第二凸面鏡部71bに区分けされている。第一凸面鏡部71aおよび第二凸面鏡部71bは、いずれもLED素子10の発光面の側に頂部を有する回転放物面によって形成されたものであるが、互いに異なる回転放物面によって形成されており、それぞれが異なる位置に仮想点光源72を形成するものである。つまり、反射部材70は、第一凸面鏡部71aおよび第二凸面鏡部71bを備え、複数(具体的には二つ)の仮想点光源72a,72bを形成するように構成されている。
一方、第二凸面鏡部71bは、口金部41が前照灯1のソケット部3に装着された状態で、前照灯1の凹状リフレクタ4における光反射面のロービーム用焦点位置に、仮想点光源72bを形成する。つまり、第二凸面鏡部71bは、ハロゲンバルブ2のロービーム用フィラメント2dによる発光状態を再現するためのものである。
さらに、光反射抑制処理が施された表面部分は、上述したように第二凸面鏡部71bの一部に形成することが考えられるが、当該第二凸面鏡部71bに代わって第一凸面鏡部71aの一部に形成してもよいし、あるいは第一凸面鏡部71aおよび第二凸面鏡部71bのそれぞれに形成してもよい。つまり、光反射抑制処理が施された表面部分は、凸面鏡部71の反射面上の一部に形成することが考えられ、これにより当該凸面鏡部71での光反射方向を制御することが可能になる。
以上のように構成されたLEDバルブによれば、以下に述べるような作用を奏する。
図13は、本発明の第三実施形態における光源装置であるLEDバルブの作用の概念を示す説明図である。
このような発光状態の再現を実現した結果、LEDバルブから発せられる光は、ハロゲンバルブ2によるハイビーム照射時と同様に、凹状リフレクタ4で反射して平行光線となって遠くまで照射されることになる。
このような発光状態の再現を実現した結果、LEDバルブから発せられる光は、ハロゲンバルブ2によるロービーム照射時と同様に、凹状リフレクタ4での反射後の光束が下向きになるとともに、照射方向の手前側とやや左の側を照らすことになる。
また、ロービーム照射時に用いる反射部材70の第二凸面鏡部71bの一部(前照灯1への装着時における下半球側)に光反射抑制処理が施されている場合には、主として反射部材70の第二凸面鏡部71bの下方側部分での光の反射が抑制されるという配光制御がされる。そのため、第二LED素子を上方側に偏って配置した場合と同様に、凹状リフレクタ4での反射後の光束を下向きにする上では非常に好適なものとなる。
そのため、ロービーム照射時に第二LED素子が光を出射すると、特に回転中心軸が傾けられた二つの第二光反射面23からは、第二凸面鏡部71bの中心付近に向けて積極的に光が集められた状態で、当該第二凸面鏡部71bに対して光が照射されることになる。これにより、ロービーム照射時のLEDバルブでは、第二LED素子からの出射光が当該第二凸面鏡部71bの外周部を直接抜けてしまうことを抑制できる。
以上のような作用を奏する第三実施形態のLEDバルブによれば、第一実施形態で説明した効果とは別に、以下に述べるような効果が得られる。
このように、第三実施形態のLEDバルブは、従来の配光制御用途では全く用いられていない回転放物面による凸面鏡部71を反射面とすることで、面発光光源であるLED素子10を発光体として用いた場合であっても、厳密に点光源を形成することを実現可能にする。したがって、第三実施形態のLEDバルブによれば、(i)発光体の形状、(ii)発光体の発光位置、(iii)発光体の配光特性の全てについて、ハロゲンバルブ2と同様の発光状態を再現することが可能となる。
具体的には、例えば、同一の前照灯1において、第三実施形態のLEDバルブの装着時とハロゲンバルブ2の装着時とのそれぞれにつき、ロービーム照射時の25m先での照度分布を測定したところ、いずれの場合も前照灯(非対称すれ違いビーム)に関する国際規格であるECE112に定められた配光特性を満たす照度分布が得られることがわかった。つまり、第三実施形態のLEDバルブの装着時においても、ロービーム照射時に満足することが最も難しいと言われている、照射領域と非照射領域とのカットラインを、ハロゲンバルブ2の装着時と同様に、綺麗に(ボヤケ等が生じることなく)再現できていることがわかった。これは、反射部材70に対して平行度の低い光を照射すると、当該反射部材70が形成する仮想点光源がボヤけてしまい、不明瞭なカットラインになってしまうおそれがあるが、光学部材20の光反射面21を構成する四つの放物面鏡部21a,21b,21c,21dを利用することで、必要十分な平行度の光を反射部材70に対して照射することが可能となり、その結果として仮想点光源のボヤけによる不明瞭なカットラインが生じてしまうおそれを解消できるからである。
このことについては、第三実施形態で説明したように、光学部材20に補助光学部材50を付設すると、より一層確実なものとすることができる。
しかも、第三実施形態のLEDバルブは、LED素子10として第一LED素子と第二LED素子とを備え、それぞれが選択的に光を出射するように制御される。つまり、前照灯1による照射光の配光パターンのハイロー切替を行うためには、第一LED素子と第二LED素子のどちらから光を出射するかを選択すればよい。したがって、第三実施形態のLEDバルブによれば、前照灯1による照射光の配光パターンのハイロー切替を、非常に容易かつ的確に行うことができる。しかも、第一LED素子と第二LED素子が選択的に光を出射することで、反射部材70に対する光の照射位置についても変わるようになるので、前照灯1のハイビーム照射とロービーム照射とでそれぞれの特性に適した配光パターンを得ることを容易に実現することが可能となる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上記の例示的な実施形態に限定されるものではない。
その場合には、必ずしも第三実施形態で説明したような反射部材を要することはなく、第一実施形態または第二実施形態で説明したような構成の光源装置であっても構わない。
Claims (8)
- 面発光光源の発光面を囲うように配されて当該発光面からの光を当該発光面の光出射先側に向けて反射する光反射面を備えた光学部材であって、
前記光反射面は、前記面発光光源に個別に対応するように形成されているとともに、当該面発光光源における前記発光面を細分化して得られる各領域別にそれぞれの領域内に設定された基準点のそれぞれを焦点位置とする複数の放物面鏡部を組み合わせて構成されている
ことを特徴とする光学部材。 - 請求項1記載の光学部材と、
前記光学部材における前記光反射面に囲われるように発光面が配された面発光光源と、
を備えることを特徴とする光源装置。 - 前記発光面の一部領域を覆うことで当該発光面を複数の領域に細分化する遮蔽板を備える
ことを特徴とする請求項2記載の光源装置。 - 前記遮蔽板は、前記発光面に対して間隔を空けて配されるとともに、前記発光面側の面が光反射面となっている
ことを特徴とする請求項3記載の光源装置。 - 前記面発光光源の前記発光面に対向して配され、当該発光面からの光および前記光学部材における前記光反射面からの光を放射状に反射する反射部材を備える
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の光源装置。 - 前記光反射面を構成する前記放物面鏡部の回転中心軸が前記発光面の法線方向に対して傾いて配置されている
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の光源装置。 - 前記光反射面は、平面矩形状の前記発光面に対して、焦点位置が互いに異なる四つの前記放物面鏡部を組み合わせて構成されている
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の光源装置。 - 前記面発光光源としてのLED素子を備える
ことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の光源装置。
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