JP6216277B2 - 漏洩検知装置 - Google Patents

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Description

この発明は、漏洩検知装置に関し、特に、振動センサを使用して水道管などの埋設管路における漏洩を検知する漏洩検知装置に関する。
従来より、埋設された管路網の一部に振動センサを設置し、漏洩によって起こる管路の振動から漏洩の有無を判定する方法が存在する。
例えば、特許文献1においては、消火栓内に水中マイクを配置して水中の音圧レベルを収集し、その大きさから漏洩有無を判定する方法が開示されている。
特許第3032185公報
上記従来の方法においては、検知される振動には、管自体を伝わる振動および水中を伝わる圧力波の両方が関わっていると考えられ、そのため、的確な判断がしづらいという問題がある。したがって、管自体の振動による雑音を取り除き、水中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことが課題となっている。
本発明では、管自体の振動による雑音を取り除き、水中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことが可能な漏洩検知装置を提供する。
第1の発明による漏洩検知装置は、管路における漏洩状況を、漏洩に伴って流体中に伝搬される漏洩音を検知して判断する漏洩検知装置であって、前記管路に接続する加圧された流体を保持する剛構造の構造体と、前記構造体と一体もしくは別体のものとして形成され、管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁と、前記隔壁に取り付けられた第1の振動センサとを備えており、前記隔壁は薄く加工された金属もしくは合成樹脂よりなる膜構造であり、前記第1の振動センサの信号から前記管路自体を伝搬する漏洩音の情報を得ることを特徴とするものである。
また、第2の発明による漏洩検知装置は、管路における漏洩状況を、漏洩に伴って流体中に伝搬される漏洩音を検知して判断する漏洩検知装置であって、前記管路に接続する加圧された流体を保持する剛構造の構造体と、前記構造体と一体もしくは別体のものとして形成され、前記管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁と、第1および第2の2つの振動センサとを備えており、前記第1および第2の振動センサは、いずれも、圧が高くなった時に振動センサが移動する向きであると同時に、振動センサの出力の電圧が一定の向きに振れる向きである最大感度の向きを有しており、前記最大感度の向きが同方向になるように、前記第1の振動センサが前記隔壁に、前記第2の振動センサが前記構造体にそれぞれ取り付けられていることを特徴とするものである。
また、第3の発明による漏洩検知装置は、管路における漏洩状況を、漏洩に伴って流体中に伝搬される漏洩音を検知して判断する漏洩検知装置であって、前記管路に接続する加圧された流体を保持する剛構造の構造体と、前記構造体と一体もしくは別体のものとして形成され、前記管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁と、前記隔壁に取り付けられた第1および第2の2つの振動センサを備えており、前記隔壁として、第1の隔壁と、前記第1の隔壁に対向する第2の隔壁とを有し、第1および第2の振動センサは、いずれも、圧が高くなった時に振動センサが移動する向きであると同時に、振動センサの出力の電圧が一定の向きに振れる向きである最大感度の向きを有しており、前記最大感度の向きが逆方向になるように、前記第1の振動センサが前記第1の隔壁に、前記第2の振動センサが前記第2の隔壁にそれぞれ取り付けられていることを特徴とするものである
構造体は、合成樹脂製または金属製とされる。構造体は、管路の適宜な配管部材の内部に取付け可能な形状とされる。例えば、構造体に消防ホースと同規格のメスの接続部が設けられているようにすることで、地下式等の消火栓に容易に構造体を接続できるものとされる。構造体を管路の配管部材の内部に設置することで、管路に接続する加圧された流体が構造体に保持され、管路内の流体圧に応じた負荷が構造体に作用する。ここで、剛構造の構造体は、管路内の流体圧によってはほとんど振動しないが、管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能とされた隔壁に振動センサが取り付けられる構成とすることで、管路自体を伝搬する漏洩音を振動センサの信号から得ることができる。
隔壁は、構造体と一体として形成されてもよく、構造体と別体として形成されてもよい。前者(一体)の例としては、構造体を構成している壁の一部を薄肉にして、この薄肉部分を弾性変形可能な膜構造の隔壁とすることが挙げられる。後者(別体)の例としては、構造体に貫通孔を形成して、この貫通孔を閉鎖する部材を弾性変形ないし移動可能な板状体の隔壁とすることが挙げられる。別体の場合、隔壁自体が弾性変形する材料で形成されてもよく、隔壁自体は剛構造で、隔壁が弾性部材(ゴム、金属バネ、ベローズなど)を介して剛構造の構造体に支持されることで、弾性変形ないし移動可能な隔壁を得るようにしてもよい。いずれにしろ、管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁に振動センサが取り付けられていることで、振動センサの信号から音の情報を得た場合に、管自体の振動による雑音が取り除かれて、流体中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことが可能となる。
具体的には、前記隔壁は、薄く加工された金属もしくは合成樹脂よりなる膜構造とされることがあり、また、前記隔壁は、金属もしくは合成樹脂よりなる板状体であって、流体の封止も兼ねた弾性体(例えばOリング)によって支えられたものとされることがあり、さらにまた、前記隔壁は、金属もしくは合成樹脂よりなる板状体であって、前記構造体と前記隔壁との間からの流体漏れが柔軟な封止部材によって塞がれており、前記隔壁が付勢部材(ゴム製弾性体、金属製ばねなど)によって付勢されていることがある。
「振動センサ」とは、変位、速度、加速度等、振動に関わる量の内の一つ以上のものに密接した量を計測し得るもの一般を意味する。こうしたセンサは、それぞれの用途に即して精度が保証される振動数範囲が示されていることが多いが、その範囲から外れていても利用可能な場合はある。
振動センサの主要な例は加速度センサであり、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)等の技術によって構成される市販のものがある。また、圧電ブザーにも用いられる膜状ピエゾ素子(piezoelectric diaphragm)は、周辺部等、部分のみを固定することによって、それを支える台の振動を検知できるので、これを振動センサとして使用することもできる。
水の漏洩から発生される漏洩音は、数百ヘルツないし、数キロヘルツの範囲にあることが多い。これは可聴音の範囲なので、以上のようにして得られる電気的信号は、あるいはそのまま増幅し、あるいは電気的やディジタル的なイコライザーによって周波数成分をも調整し、レシーバ等で耳で聞いたり、機械によって判定を行うことができる。
各振動センサから信号を取り込む電気系には特別の工夫は必要ではない。MEMSの加速度センサで例えば 1V/Gといった感度の高いものを用いれば、その出力はそのまま A/D変換可能であるし、代わりにバッファアンプを用いるならヘッドホンなどで聞くことができる。また、膜状ピエゾ素子の場合には信号はより微弱であるとは言え、FET入力の演算増幅器を使って十分に増幅するならば、A/D 変換に耐える信号を得たり、音にすることは難しいことではない。ただしこちらは電磁ノイズを拾いやすいので、周囲のシールドなどは入念に行う必要がある。
振動センサは、1つであってもよいが、2つとすることで、より精度を向上させることができる。
漏洩検知装置は、適宜な処理手段を備えているものとされる。処理手段は、振動センサからの波形を記録するデータロガー、振動センサからの波形を解析するための判別回路などからなるものとされる。処理手段は、振動センサからの波形を解析できるものであれば、種々変更可能である。
例えば、上記の漏洩検知装置において、第1の振動センサと同方向となるように剛構造の構造体に取り付けられた第2の振動センサをさらに備えており、前記第1の振動センサからの信号Pおよび前記第2の振動センサからの信号Qから、管路の外界からの振動情報が取り除かれた管路自体を伝搬する漏洩音の情報Xを、X=P−Qによって得ることがある。
また、上記の漏洩検知装置において、隔壁として、第1の振動センサが取り付けられた第1の隔壁と、これに対向する第2の隔壁とを有し、第2の振動センサが、第1の振動センサと逆方向となるように第2の隔壁に取り付けられており、第1振動センサからの信号Rおよび第2の振動センサからの信号Sから、管路の外界からの振動情報が取り除かれた、管路自体を伝搬する漏洩音の情報Xを、X=R+Sによって得ることがある。
X=P−QおよびX=R+Sなどの信号の演算(減算および加算)は、回路においてアナログ的に行ってもよく、また、A/D変換した後、ディジタル的に行ってもよい。
漏洩音の情報XをX=R+Sによって得る構成としては、前記第1および第2の振動センサは、その中に管路に接続する加圧水を保持する管状の弾性体の互いに反対側の外面に取り付けられたものとしてもよく、前記第1および第2の振動センサは、その外面のみに管路に接続する加圧水を保持する管状の弾性体の内面に互いに背中合わせに取り付けられたものとしてもよい。
上記の漏洩検知装置において、少なくとも前記各振動センサが取り付けられた位置より高いところに、構造体内の空気を排除する弁が設けられていることが好ましい。
すなわち、隔壁の位置より下に空気を介在させると流体圧の変化に伴う振動を正しく検知できなくなることから、空気を排除する弁を設け、管内の水を隔壁に直接に接触させられるようにすることが好ましい。
上記の漏洩検知装置において、構造体は、消防ホースと同規格のメスの接続部を有し、地下式等の消火栓に容易に接続できることが好ましい。
漏洩検知装置の構造体に設けられる接続部は、配管部材の継手や仕切弁に取付け容易な形状とされてももちろんよいが、消火栓は、所定のピッチで水道管路に設けられて、その形状も規格化されて、消防ホースとの接続部も既知であるので、接続部を消防ホースと同規格のメスの接続部と同じ形状とすることで、既存の消火栓を利用することが可能となり、漏洩検知装置を簡素化することができる。
上記の漏洩検知装置は、単に漏洩の有無の判定を行う場合だけでなく、これを使用して2か所以上で圧力波を計測して相関法を通じて漏水の位置を知る場合においても応用でき、これにより、より遠距離からの検出が可能となる。こうして、漏水の有無が従来より感度良く判定できるとともに、相関法を使用することで、漏洩個所を従来より感度良く判定することができる。
この発明の漏洩検知装置によると、管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁に振動センサが取り付けられているので、振動センサの信号から音の情報を得た場合に、管自体の振動による雑音が取り除かれて、流体中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことが可能となる。したがって、漏洩音以外の音によって漏洩と判定する誤判定をなくすことができ、漏洩検知精度を大幅に向上させることができる。
図1は、この発明による漏洩検知装置の第1実施形態の要部を模式的に示す図である。 図2は、この発明による漏洩検知装置の第2実施形態の要部を模式的に示す図である。 図3は、この発明による漏洩検知装置の第3実施形態の要部を模式的に示す図である。 図4は、この発明による漏洩検知装置の第4実施形態の要部を模式的に示す図である。 図5は、この発明による漏洩検知装置の第5実施形態の要部を模式的に示す図である。 図6は、この発明による漏洩検知装置の第6実施形態の要部を模式的に示す図である。 図7は、この発明による漏洩検知装置の第7実施形態の要部を模式的に示す図である。 図8は、この発明による漏洩検知装置の第1から第7実施形態に共通の接続部の1例を模式的に示す図である。 図9は、この発明による漏洩検知装置が設置される対象の1例である水道管路および消火栓を模式的に示す図である。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
図9は、この発明による漏洩検知装置が設置される対象の1例である水道管路および消火栓を示している。
漏洩検知装置(1)は、管(3)、消火栓(4)などの配管部材から構成されて地中に埋設された水道管の埋設管路(2)における水(流体)の漏洩を検出するもので、埋設管路(2)の所定箇所(この実施形態では、消火栓ボックス(4a)内に収納された消火栓(4))に設置された振動センサユニット(5)と、振動センサユニット(5)から送られてくる情報を受け取って処理する処理手段(6)とを備えている。
振動センサユニット(5)の実施形態を図1から図7までに示す。なお、第2から第7までの実施形態の説明においては、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
図1に示す第1実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(11)と、構造体(11)と一体のものとして形成された隔壁(12)と、隔壁(12)に取り付けられた振動センサ(第1の振動センサ)(13)とを備えている。
構造体(11)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(11a)および頂壁(11b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(11)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
頂壁(11b)は、中央部分が外周縁部分よりも低く形成されており、隔壁(12)は、頂壁(11b)の低く形成されている部分の中央部が薄肉の膜構造とされることで形成されている。隔壁(12)は、薄肉とされることで、小さな振動に対しても大きく弾性変形するものとなっている。
振動センサ(13)は、加速度センサであり、隔壁(12)の上面(水に接していない部分)に配置されている。振動センサ(13)に付されている矢印は、圧が高くなった時に振動センサ(13)が移動する向きであると同時に、振動センサ(13)の出力の電圧が一定の(例えば正の側の)向きに振れる向きを示している。
構造体(11)の頂壁(11b)には、空気抜きのための弁(14)が設けられており、構造体(11)内の空気は、頂壁(11b)の下面に至り、弁(14)によって抜き出される。これにより、振動センサ(13)が取り付けられた位置より高いところに空気が滞留することが防止されている。
第1実施形態の振動センサユニット(5)によると、振動センサ(13)の信号から管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報を得ることができる。ここで、隔壁(12)は、管路(2)内の水圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形可能であるので、隔壁(12)に取り付けられた振動センサ(13)は、水中を伝わる圧力波に対して大きな信号を出力し、これ以外の音が相対的に小さくなることから、管自体の振動による雑音が取り除かれる。したがって、振動センサ(13)の信号からは水中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことができる。
図2に示す第2実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(21)と、構造体(21)と別体のものとして形成された隔壁(22)と、隔壁(22)の上面に取り付けられた振動センサ(13)と、空気抜きのための弁(14)とを備えている。
構造体(21)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(21a)および頂壁(21b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(21)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
頂壁(21b)は、中央部分が外周縁部分よりも低く形成されており、頂壁(21b)の低く形成されている部分に、貫通孔(21c)が形成されている。隔壁(22)は、底壁(22a)および周壁(22b)からなる板状体で、貫通孔(21c)を塞ぐように配されている。隔壁(22)の周壁(22b)の外周と貫通孔(21c)との間には、Oリング(23)が配されている。Oリング(23)は、貫通孔(21c)と隔壁(22)との間を封止するとともに、弾性変形容易とされて、隔壁(22)が上下方向に振動し易くする機能を有している。これにより、隔壁(22)は、小さな振動に対しても大きく上下移動するものとなっている。
第2実施形態の振動センサユニット(5)によると、振動センサ(13)の信号から管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報を得ることができる。ここで、隔壁(22)は、Oリング(23)が弾性変形することで、管路(2)内の水圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に移動可能であるので、隔壁(22)に取り付けられた振動センサ(13)は、水中を伝わる圧力波に対して大きな信号を出力し、これ以外の音が相対的に小さくなることから、管自体の振動による雑音が取り除かれる。したがって、振動センサ(13)の信号からは水中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことができる。
図3に示す第3実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(31)と、構造体(31)と別体のものとして形成された隔壁(32)と、隔壁(32)上面に取り付けられた振動センサ(13)と、空気抜きのための弁(14)とを備えている。
構造体(31)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(31a)および頂壁(31b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(31)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
頂壁(31b)は、中央部分が外周縁部分よりも低く形成されており、頂壁(31b)の低く形成されている部分に、貫通孔(31c)が形成されている。隔壁(32)は、底壁(32a)および周壁(32b)からなる板状体で、円筒状の弾性変形可能なチューブ(33)を介して、貫通孔(31c)を塞ぐように配されている。
チューブ(33)は、上端部が貫通孔(31c)の縁部に固定され、下端部が隔壁(32)の周壁(32b)の外周上端部に固定されている。チューブ(33)は、第2実施形態のOリング(23)と同様、貫通孔(31c)と隔壁(32)との間を封止するとともに、隔壁(32)が上下方向に振動し易くする機能を有している。これにより、隔壁(32)は、小さな振動に対しても大きく上下移動するものとなっている。
第3実施形態の振動センサユニット(5)によると、振動センサ(13)の信号から管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報を得ることができる。ここで、隔壁(32)は、チューブ(33)が弾性変形することで、管路(2)内の水圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に移動可能であるので、隔壁(32)に取り付けられた振動センサ(13)は、水中を伝わる圧力波に対して大きな信号を出力し、これ以外の音が相対的に小さくなることから、管自体の振動による雑音が取り除かれる。したがって、振動センサ(13)の信号からは水中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことができる。
図4に示す第4実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(41)と、構造体(41)と別体のものとして形成された隔壁(42)と、隔壁(42)上面に取り付けられた振動センサ(13)と、空気抜きのための弁(14)とを備えている。
構造体(41)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(41a)および頂壁(41b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(41)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
頂壁(41b)は、中央部分が外周縁部分よりも低く形成されており、頂壁(41b)の低く形成されている部分に、貫通孔(41c)が形成されている。隔壁(42)は、底壁(42a)および周壁(42b)からなる板状体で、貫通孔(41c)を塞ぐように配されている。隔壁(42)の周壁(42b)の外周と貫通孔(41c)との間には、上下2つのOリング(43)(44)が配されている。
Oリング(43)(44)は、弾性変形容易とされて、隔壁(42)が上下方向に振動し易くする機能を有している。
Oリング(43)(44)は、貫通孔(41c)と隔壁(42)との間を封止する機能も有しているが、この実施形態では、隔壁(42)の下側から貫通孔(41c)の縁部を塞ぐように、板状で柔軟な材料で形成された封止部材(45)が配置されて、貫通孔(41c)と隔壁(42)との間が封止されている。
Oリング(43)(44)が弾性変形容易とされていることにより、隔壁(42)は、小さな振動に対しても大きく上下移動するものとなっている。この実施形態では、封止部材(45)が配置されていることで、Oリング(43)(44)には、封止機能が不要であり、弾性変形容易な部材として、Oリング(43)(44)に代えて金属製のばねなどの付勢部材を使用することもできる。
第4実施形態の振動センサユニット(5)によると、振動センサ(13)の信号から管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報を得ることができる。ここで、隔壁(42)は、Oリング(43)(44)が弾性変形することで、管路(2)内の水圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に移動可能であるので、隔壁(42)に取り付けられた振動センサ(13)は、水中を伝わる圧力波に対して大きな信号を出力し、これ以外の音が相対的に小さくなることから、管自体の振動による雑音が取り除かれる。したがって、振動センサ(13)の信号からは水中を伝わる圧力波のみを純粋に取り出すことができる。
図5に示す第5実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(51)と、構造体(51)と一体のものとして形成された隔壁(52)と、隔壁(52)に取り付けられた第1の振動センサ(13)と、第2の振動センサ(53)と、空気抜きのための弁(14)とを備えている。
構造体(51)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(51a)および頂壁(51b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(51)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
頂壁(51b)は、中央部分が外周縁部分よりも低く形成されており、隔壁(52)は、頂壁(51b)の低く形成されている部分の中央部が薄肉とされることで形成されている。隔壁(52)は、薄肉とされることで、小さな振動に対しても大きく弾性変形するものとなっている。頂壁(51b)の中央部分には、第2の振動センサ(53)を配置するための平坦部(51c)が形成されている。
この実施形態は、図1に示す第1実施形態の振動センサユニット(5)に第2の振動センサ(53)が付加されたものとなっている。
第1の振動センサ(13)は、第1実施形態の振動センサ(13)と同様に、隔壁(12)の上面(水に接していない部分)に配置されている。これに対し、第2の振動センサ(53)は、構造体(51)の頂壁(51b)の平坦部(51c)上面(水に接していない部分)に配置されている。
第2の振動センサ(53)に付されている矢印は、圧が高くなった時に振動センサ(53)が移動する向きであると同時に、振動センサ(53)の出力の電圧が一定の(例えば正の側の)向きに振れる向き(感度が最大となる方向および向き)を示している。すなわち、第1の振動センサ(13)および第2の振動センサ(53)は、漏洩音に対して、感度が最大となる向きが同方向になるように取り付けられている。構造体(51)には、漏洩音以外の音(管路の外界からの振動情報)も作用し、振動センサ(13)(53)の信号には、この漏洩音以外の音も含まれている。漏洩音の計測に際してノイズであるところの漏洩音以外の音は、感度が最大となる向きが同方向の場合、引き算を行うことによって、消し去ることができる。
そこで、第5実施形態の振動センサユニット(5)において、第1の振動センサ(13)からの信号をP、第2の振動センサからの信号をQとして、管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報XをX=P−Qによって得るようにすると、管路(2)の外界からの振動情報が取り除かれ、第1実施形態のものに比べて、漏洩音の検知精度が向上する。
図6に示す第6実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(61)と、構造体(61)と一体のものとして形成された1対の隔壁(62)(63)と、各隔壁(62)(63)にそれぞれ取り付けられた振動センサ(64)(65)と、空気抜きのための弁(14)とを備えている。
構造体(61)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(61a)および頂壁(61b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(61)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
周壁(61a)の一部が薄肉とされることにより、径方向に対向する部分に1対の薄肉部を有する管状の弾性体が形成されており、この1対の薄肉部のそれぞれが第1の隔壁(62)および第2の隔壁(63)とされている。各隔壁(62)(63)は、薄肉とされることで、小さな振動に対しても大きく弾性変形するものとなっている。
この実施形態では、振動センサ(64)(65)が2つ使用されており、それぞれ各隔壁(62)(63)の外面(水に接していない部分)に配置されている。各振動センサ(64)(65)に付されている矢印は、圧が高くなった時に振動センサ(64)(65)が移動する向きであると同時に、振動センサ(64)(65)の出力の電圧が一定の(例えば正の側の)向きに振れる向き(感度が最大となる方向および向き)を示している。すなわち、第1の振動センサ(64)および第2の振動センサ(65)は、漏洩音に対して、感度が最大となる向きが逆方向になるように取り付けられている。隔壁(62)(63)には、漏洩音以外の音(管路の外界からの振動情報)も作用し、各振動センサ(64)(65)の信号には、この漏洩音以外の音も含まれている。漏洩音の計測に際してノイズであるところの漏洩音以外の音は、感度が最大となる向きが逆方向の場合、足し算を行うことによって、消し去ることができる。
そこで、第6実施形態の振動センサユニット(5)において、第1の振動センサ(64)からの信号をR、第2の振動センサ(65)からの信号をSとして、管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報XをX=R+Sによって得るようにすると、管路(2)の外界からの振動情報が取り除かれるとともに、出力が2倍になり、第1実施形態のものに比べて、漏洩音の検知精度が向上する。
図7に示す第7実施形態の振動センサユニット(5)は、管路(2)に接続する加圧された水を保持する剛構造の構造体(71)と、構造体(71)と一体のものとして形成された1対の隔壁(72)(73)と、各隔壁(72)(73)に取り付けられた振動センサ(74)(75)と、空気抜きのための弁(14)とを備えている。
構造体(71)は、金属製または合成樹脂製で、周壁(71a)および頂壁(71b)を有し、底壁側が開口している円筒状とされている。構造体(71)は、白抜き矢印で示す底壁側において管路(2)に接続されることで、管路(2)に接続する加圧された流体を保持することができる。
第1実施形態における隔壁(12)が平板状であるのに対し、第7実施形態では、平板状に代えて、有底筒状とされている。これにより、径方向に対向する部分に1対の薄肉部を有する管状の弾性体が形成されており、この1対の薄肉部のそれぞれが第1の隔壁(72)および第2の隔壁(73)とされている。各隔壁(72)(73)は、薄肉とされることで、小さな振動に対しても大きく弾性変形するものとなっている。
この実施形態では、第6実施形態と同様に、振動センサ(74)(75)が2つ使用されており、それぞれ各隔壁(72)(73)の内面(水に接していない部分)に背中合わせに配置されている。各振動センサ(74)(75)に付されている矢印は、圧が高くなった時に振動センサ(74)(75)が移動する向きであると同時に、振動センサ(74)(75)の出力の電圧が一定の(例えば正の側の)向きに振れる向き(感度が最大となる方向および向き)を示している。すなわち、第1の振動センサ(74)および第2の振動センサ(75)は、漏洩音に対して、感度が最大となる向きが逆方向になるように取り付けられている。隔壁(72)(73)には、漏洩音以外の音(管路の外界からの振動情報)も作用し、各振動センサ(74)(75)の信号には、この漏洩音以外の音も含まれている。漏洩音の計測に際してノイズであるところの漏洩音以外の音は、感度が最大となる向きが逆方向の場合、足し算を行うことによって、消し去ることができる。
そこで、第7実施形態の振動センサユニット(5)において、第1の振動センサ(74)からの信号をR、第2の振動センサ(75)からの信号をSとして、管路(2)自体を伝搬する漏洩音の情報XをX=R+Sによって得るようにすると、管路(2)の外界からの振動情報が取り除かれるとともに、出力が2倍になり、第1実施形態のものに比べて、漏洩音の検知精度が向上する。
上記の各実施形態においては、構造体(11)(21)(31)(41)(51)(61)(71)の下側部分が図示省略されているが、構造体(11)(21)(31)(41)(51)(61)(71)の下側部分は、振動センサユニット(5)が取り付けられる部分に応じて適宜な形状とされる。
例えば図9に示す消火栓(4)に取付け可能とするには、第1実施形態の構造体(11)の下端部に、消火栓(4)への接続部として、図8に示すように、消防ホースと同規格のメスの爪(15a)付き接続部(15)が設けられる。地下式等の消火栓(4)では、その開口部からキャップを外して、開口部に消防ホースを接続するようになっているので、消防ホースと同一の接続部(15)を構造体(11)(21)(31)(41)(51)(61)(71)に一体に形成することで、消火栓(4)に容易に設置することができる。
上記において、図9には、1つの振動センサユニット(5)だけが示されているが、振動センサユニット(5)を2つ使用して、所定距離離れた消火栓(4)にそれぞれ振動センサユニット(5)を設置し、各振動センサユニット(5)により振動を検知して、各振動センサユニット(5)で得られた波形の相互相関を求めることにより、伝達時間差を求め、漏洩位置を特定することもできる。
上記振動センサユニット(5)および漏洩検知装置(1)は、水道の配管からの漏水を検出する他、水道以外の各種配管内の漏水を検出する用途や、例えば工場内の薬液等の配管における薬液等の流体の漏洩を検出する用途などでも使用される。
(2) :埋設管路
(5) :振動センサユニット
(11)(21)(31)(41)(51)(61)(71):構造体
(12)(22)(32)(42)(52)(62)(63)(72)(73):隔壁
(13):振動センサ(第1の振動センサ)
(14):弁
(15):接続部
(23):Oリング(弾性体)
(43)(44):Oリング(付勢部材)
(45):封止部材
(53):第2の振動センサ
(64):第1の振動センサ
(65):第2の振動センサ
(74):第1の振動センサ
(75):第2の振動センサ

Claims (9)

  1. 管路における漏洩状況を、漏洩に伴って流体中に伝搬される漏洩音を検知して判断する漏洩検知装置であって、
    前記管路に接続する加圧された流体を保持する剛構造の構造体と、前記構造体と一体もしくは別体のものとして形成され、管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁と、前記隔壁に取り付けられた第1の振動センサとを備えており、前記隔壁は薄く加工された金属もしくは合成樹脂よりなる膜構造であり、前記第1の振動センサの信号から前記管路自体を伝搬する漏洩音の情報を得ることを特徴とする漏洩検知装置。
  2. 管路における漏洩状況を、漏洩に伴って流体中に伝搬される漏洩音を検知して判断する漏洩検知装置であって、
    前記管路に接続する加圧された流体を保持する剛構造の構造体と、前記構造体と一体もしくは別体のものとして形成され、前記管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁と、第1および第2の2つの振動センサとを備えており、
    前記第1および第2の振動センサは、いずれも、圧が高くなった時に振動センサが移動する向きであると同時に、振動センサの出力の電圧が一定の向きに振れる向きである最大感度の向きを有しており、前記最大感度の向きが同方向になるように、前記第1の振動センサが前記隔壁に、前記第2の振動センサが前記構造体にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする漏洩検知装置。
  3. 管路における漏洩状況を、漏洩に伴って流体中に伝搬される漏洩音を検知して判断する漏洩検知装置であって、
    前記管路に接続する加圧された流体を保持する剛構造の構造体と、前記構造体と一体もしくは別体のものとして形成され、前記管路内の流体圧に応じてそれ自体の面に垂直の方向に弾性変形ないし移動可能な隔壁と、前記隔壁に取り付けられた第1および第2の2つの振動センサを備えており、
    前記隔壁として、第1の隔壁と、前記第1の隔壁に対向する第2の隔壁とを有し、第1および第2の振動センサは、いずれも、圧が高くなった時に振動センサが移動する向きであると同時に、振動センサの出力の電圧が一定の向きに振れる向きである最大感度の向きを有しており、前記最大感度の向きが逆方向になるように、前記第1の振動センサが前記第1の隔壁に、前記第2の振動センサが前記第2の隔壁にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする漏洩検知装置。
  4. 請求項1または請求項2記載の漏洩検知装置であって、前記隔壁は金属もしくは合成樹脂よりなる板状体であって、流体の封止も兼ねた弾性体によって支えられたものであることを特徴とする漏洩検知装置。
  5. 請求項1または請求項2記載の漏洩検知装置であって、前記隔壁は金属もしくは合成樹脂よりなる板状体であって、前記構造体と前記隔壁との間からの流体漏れが柔軟な封止部材によって塞がれており、前記隔壁が付勢部材によって付勢されていることを特徴とする漏洩検知装置。
  6. 請求項3記載の漏洩検知装置であって、前記第1および第2の振動センサは、その中に管路に接続する加圧流体を保持する管状の弾性体の互いに反対側の外面に取り付けられたものであることを特徴とする漏洩検知装置。
  7. 請求項3記載の漏洩検知装置であって、前記第1および第2の振動センサは、その外面のみに管路に接続する加圧流体を保持する管状の弾性体の内面に互いに背中合わせに取り付けられたものであることを特徴とする漏洩検知装置。
  8. 請求項1〜記載の漏洩検知装置であって、少なくとも前記各振動センサが取り付けられた位置より高いところに、構造体内の空気を排除する弁が設けられていることを特徴とする漏洩検知装置。
  9. 請求項1〜記載の漏洩検知装置であって、構造体は、消防ホースと同規格のメスの接続部を有し、地下式等の消火栓に容易に接続できることを特徴とする漏洩検知装置。
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