以下、本発明の種々の実施形態に係る鍵盤装置について説明する。
a.第1実施形態
第1実施形態に係る鍵盤装置は、図1乃至図3に示されている。図1は鍵盤装置の2オクターブを示す概略斜視図であり、図2は図1の鍵盤装置の上カバーを外した状態を示す平面図であり、図3は図2の鍵盤装置の側面図である。なお、本明細書においては、演奏者側(図1の左下側及び図2の下側)を鍵盤装置の前方とし、演奏者と反対側(図1の右上側及び図2の上側)を鍵盤装置の後方とする。そして、演奏者の左右方向(図1の左上から右下方向及び図2の左右方向)を鍵盤装置の左右方向とする。
鍵盤装置は、鍵盤の下方にて、鍵盤楽器内に固定された鍵フレーム10を有する。鍵フレーム10は、金属、樹脂などにより一体的に形成されて、左右及び前後方向に水平に延設された平板状部材である。鍵フレーム10の前後方向の中間部及び後端部には、左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向に沿った6箇所)にて、複数の支持部11,12がそれぞれ設けられている。支持部11,12は、円筒状に鍵フレーム10と一体的に形成されて、鍵フレーム10の上面から上方に突出している。支持部11,12には、その上面から下方に延設されたねじ孔が設けられている。支持部11の上面には、電気回路基板20が図示しない雄ねじにより固定されている。支持部12の上面には、電気回路基板20に加えて、詳しくは後述する樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aも、図示しない雄ねじにより固定されている。電気回路基板20の前端部及び後端部における支持部11,12にそれぞれ対応する左右方向の位置には、雄ねじを貫通させる図示しない貫通孔がそれぞれ設けられている。
電気回路基板20は樹脂などにより一体的に平板状に形成され、その上面には、ラバードームスイッチで構成した鍵スイッチ21が配置されるとともに、図示しない電気回路部品及び電気配線パターンが設けられている。なお、電気回路部品及び電気配線パターンに関しては、電気回路基板20の下面に設けてもよい。電気回路基板20の前端部であって支持部11の前方位置の下面には、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71との衝突緩和のために、左右方向に延設された長尺状のフェルト等の緩衝材22が張り付けられている。電気回路基板20及び緩衝材22は、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の離鍵時に、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の前端部の上方への変位を規制する。
鍵フレーム10における支持部11よりも若干前方に位置する部分には、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の押鍵時に白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の前端部の下方への変位を規制する下限ストッパ部13が設けられている。下限ストッパ部13は、前端が後端より若干低くなるように上方にコ字状に突出するとともに、左右方向に延設されて鍵フレーム10と一体的に形成されている。下限ストッパ部13の上面には、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71との衝突緩和のために、左右方向に延設された長尺状のフェルト等の緩衝材14が張り付けられている。また、鍵フレーム10の後端部の上方には、左右方向に延設された上カバー15が設けられている。上カバー15は、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aの後端部(白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の後端よりも若干後方位置から後方の部分)を覆って、外観を良好に保つための部材である。
次に、第1鍵ユニット30Aについて、図4の平面図及び図5の側面図を用いて説明する。第1鍵ユニット30Aは、音名C,E,G,B,D,F,Aにそれぞれ対応して互いに隣接していない7つの白鍵31を有する。白鍵31は、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。上壁及び左右側壁には、黒鍵61,71のスペースを確保するための段部が設けられている。
白鍵31の下面における前後方向の中間位置には、下方に延設されて後方を開放させた横断面コ字状の係合片31aが、白鍵31と一体的に形成されている。係合片31aの下面は、白鍵31の押鍵時に緩衝材14に当接して白鍵31の前端部の下方への変位を規制する。係合片31aの下端部には、その左右両端の後端面から後方に突出した一対の突出部31a1が設けられている。この突出部31a1は、その上面を白鍵31の離鍵時に緩衝材22に当接させて、白鍵31の前端部の上方への変位を規制する。また、白鍵31の下面における前後方向の中間位置であって、電気回路基板20に設けた鍵スイッチ21と対向する位置には、白鍵31の押鍵時に鍵スイッチ21を押圧する押圧部31bが設けられている。
これらの7つの白鍵31の後壁は、ヒンジ部32を介して共通取付け部(レール部)33にそれぞれ接続されている。ヒンジ部32及び共通取付け部33は、白鍵31と一体成型されている。ヒンジ部32は、ヒンジ厚肉部32a及び一対のヒンジ薄肉部32b,32cからなる。ヒンジ厚肉部32aは、上下方向に比較的厚肉であって左右方向に長尺の略方形状かつ平板状に形成されて、上下方向の弾性変形量が少なくなるように構成され、前端にて白鍵31の後壁の後面における下端部に接続されている。ヒンジ厚肉部32aの左右方向の中心位置は、白鍵31の前端部の左右方向の中心位置と同じである。ヒンジ厚肉部32aの左右方向の幅は白鍵31の前端部の左右方向の幅にほぼ等しく、ヒンジ厚肉部32aの左右方向の両端を白鍵31の前端部の左右方向の両端とほぼ同じに位置させている。また、各ヒンジ厚肉部32aの上面であって、白鍵31の後端部における左右方向のほぼ中央位置には、第1鍵ユニット30Aを一体成型する際に樹脂を注入するためのゲート位置であるゲート対応部32a1が設けられている。
ヒンジ薄肉部32b,32cは、上下方向にヒンジ厚肉部32aに比べて薄く、長方形状かつ平板状に形成されて、上下方向の弾性変形量が大きくなるように構成され、前端にてヒンジ厚肉部32aの左右方向の外端部における後面の下端部にそれぞれ接続されている。ヒンジ薄肉部32b,32cは、白鍵31の前端部の左右方向の中心に対して対称位置に所定の間隔を空けて設けられている。ヒンジ薄肉部32bの左端は白鍵31の前端部の左端とほぼ同じ位置(ヒンジ厚肉部32aの左端と同じ位置)であり、ヒンジ薄肉部32cの右端は白鍵31の前端部の右端とほぼ同じ位置(ヒンジ厚肉部32aの右端と同じ位置)である。
共通取付け部33は、前後方向の縦断面を略方形状とする左右方向に長尺状の部材であり、前面の上部にヒンジ薄肉部32b,32cの後端を接続させている。共通取付け部33は、下面に左右方向に延設された凹部33aを有するとともに、上面に左右方向に延設された凸部33bを有する。共通取付け部33の下面には、左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の両端部と中間部の3箇所)にて、下方に突出した突起33cが設けられている。突起33cは、下端を面取りした円柱状に形成されており、共通取付け部33を電気回路基板20の後端部に組付ける際に電気回路基板20に設けた図示しない貫通孔に圧入される。共通取付け部33における左側部分及び右側部分の適宜箇所には、貫通孔33d1,33d2がそれぞれ設けられている。貫通孔33d1,33d2は、円形に形成されており、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aを第1鍵ユニット30Aに組付ける際に、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aに設けた後述する突起43c,53cを圧入させる。また、共通取付け部33における鍵フレーム10の支持部12と対応する左右方向の位置には、貫通孔33eも設けられている。貫通孔33eは、貫通孔33d1,33d2よりも若干大径の円形に形成されており、電気回路基板20及び第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10に組付ける際に、図示しない雄ねじを貫通させる。さらに、共通取付け部33の下面の左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の3箇所)には、下方に突出した突出片33fも設けられている。この突出片33fは、共通取付け部33を電気回路基板20の後端部に組付ける際に電気回路基板20に設けた図示しない貫通孔に多少の隙間をもって挿入されてガイド機能を果たす。
次に、第2鍵ユニット40Aについて、図6の平面図及び図7の側面図を用いて説明する。第2鍵ユニット40Aは、音名D,F,Aにそれぞれ対応して互いに隣接していない3つの白鍵41を有する。白鍵41も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。白鍵41の前後方向の長さ及び高さは白鍵31の場合と同じであり、上壁及び左右側壁に設けた黒鍵61のスペースを確保するための段部は第1鍵ユニット40Aの音名D,F,Aに対応した白鍵31の段部と同じである。また、白鍵41の下面における前後方向の中間位置には、白鍵31の係合片31a及び押圧部31bと同様な突出部41a1を有する係合片41a及び押圧部41bが設けられている。
これらの3つの白鍵41の後壁は、ヒンジ部42を介して共通取付け部43にそれぞれ接続されている。ヒンジ部42及び共通取付け部43は、白鍵41と一体成型されている。ヒンジ部42は、第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32a及び一対のヒンジ薄肉部32b,32cと同様に構成したヒンジ厚肉部42a及び一対のヒンジ薄肉部42b,42cからなる。また、各ヒンジ厚肉部42aの上面であって、白鍵41の左右方向のほぼ中央位置には、第1鍵ユニット30Aのゲート対応部32a1と同様なゲート対応部42a1が設けられている。共通取付け部43も、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33とほぼ同様に構成されており、前述した凹部33a、凸部33b、突起33c、貫通孔33d1,33d2及び貫通孔33eと同様な凹部43a、凸部43b、突起43c、貫通孔43d及び貫通孔43eを有する。ただし、共通取付け部43の左右方向の長さは、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33の左右方向の長さの2分の1よりも若干短い。
また、この第2鍵ユニット40Aにおいては、ヒンジ厚肉部42aの前端は白鍵41の後壁の後面における下端部に接続されているが、ヒンジ薄肉部42b,42cの前端はヒンジ厚肉部42aの後面の上端部にそれぞれ接続され、ヒンジ薄肉部42b,42cの後端は共通取付け部43の前面の下部に接続されている。そして、第1及び第2鍵ユニット30A,40Aを鍵フレーム10及び電気回路基板20に組付けた状態では、ヒンジ厚肉部42aは第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32aと同じ高さに位置し、共通取付け部43及びヒンジ薄肉部42b,42cは第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33及びヒンジ薄肉部32b,32cよりも上方に位置する。また、ヒンジ厚肉部42aは、第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32aとの間に、左右方向に僅かな隙間を隔てて位置する。
凹部43aの前後方向の幅は第1鍵ユニット30Aの凸部33bの前後方向の幅とほぼ同じであり、第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43を第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33上に組付けた状態で、第1鍵ユニット30Aの凸部33bを凹部43a内に勘合させる。突起43cは、第1鍵ユニット30Aの貫通孔33d1と左右方向の対向する位置に設けられ、貫通孔33d1の内径とほぼ同じ外径を有し、第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43を第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33上に組付けた状態で、貫通孔33d1に圧入される。貫通孔43dは、共通取付け部43における左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の1箇所)に設けられている。貫通孔43dは、円形に形成されており、第4鍵ユニット60Aを第2鍵ユニット30Aに組付ける際に、第4鍵ユニット60Aに設けた後述する突起63cを圧入させる。貫通孔43eは、共通取付け部43における鍵フレーム10の支持部12及び第1鍵ユニット30Aの貫通孔33eと対応する左右方向の位置に設けられている。貫通孔43eは、電気回路基板20及び第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10に組付ける際に、図示しない雄ねじを貫通させる。
次に、第3鍵ユニット50Aについて、図8の平面図及び図9の側面図を用いて説明する。第3鍵ユニット50Aは、音名C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない4つの白鍵51を有する。白鍵51も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。白鍵51の前後方向の長さ及び高さは白鍵31,41の場合と同じであり、上壁及び左右側壁に設けた黒鍵71のスペースを確保するための段部は第1鍵ユニット30Aの音名C,E,G,Bに対応した白鍵31の段部と同じである。また、白鍵51の下面における前後方向の中間位置には、白鍵31の係合片31a及び押圧部31bと同様な突出部51a1を有する係合片51a及び押圧部51bが設けられている。
これらの4つの白鍵51の後壁は、ヒンジ部52を介して共通取付け部53にそれぞれ接続されている。ヒンジ部52及び共通取付け部53は、白鍵51と一体成型されている。ヒンジ部52は、第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32a及び一対のヒンジ薄肉部32b,32cと同様に構成したヒンジ厚肉部52a及び一対のヒンジ薄肉部52b,52cからなる。また、各ヒンジ厚肉部52aの上面であって、白鍵51の左右方向のほぼ中央位置には、第1鍵ユニット30Aのゲート対応部32a1と同様なゲート対応部52a1が設けられている。共通取付け部53も、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33とほぼ同様に構成されており、前述した凹部33a、凸部33b、突起33c、貫通孔33d1,33d2及び貫通孔33eと同様な凹部53a、凸部53b、突起53c、貫通孔53d及び貫通孔53eを有する。ただし、共通取付け部53の左右方向の長さは、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33の左右方向の長さの2分の1よりも若干短く、第2鍵ユニット40Aの共通取付け部33の左右方向の長さに等しい。
また、この第3鍵ユニット50Aにおいては、第2鍵ユニット40Aと同様に、ヒンジ厚肉部52aの前端は白鍵51の後壁の後面における下端部に接続されているが、ヒンジ薄肉部52b,52cの前端はヒンジ厚肉部52aの後面の上端部にそれぞれ接続され、ヒンジ薄肉部52b,52cの後端は共通取付け部53の前面の下部に接続されている。そして、第1及び第3鍵ユニット30A,50Aを鍵フレーム10及び電気回路基板20に組付けた状態では、ヒンジ厚肉部52aは第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32aと同じ高さに位置し、共通取付け部53及びヒンジ薄肉部52b,52cは第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33及びヒンジ薄肉部32b,32cよりも上方に位置する。なお、共通取付け部53及びヒンジ薄肉部52b,52cの高さは、第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43及びヒンジ薄肉部42b,42cの高さと同じである。また、ヒンジ厚肉部42aは、第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32aとの間に、左右方向に僅かな隙間を隔てて位置する。
凹部43aの前後方向の幅は第1鍵ユニット30Aの凸部33bの前後方向の幅とほぼ同じであり、第3鍵ユニット50Aの共通取付け部53を第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33上に組付けた状態で、第1鍵ユニット30Aの凸部33bを凹部53a内に勘合させる。突起53cは、第1鍵ユニット30Aの貫通孔33d2と左右方向の対向する位置に設けられ、貫通孔33d2の内径とほぼ同じ外径を有し、第3鍵ユニット50Aの共通取付け部53を第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33上に組付けた状態で、貫通孔33d2に圧入される。貫通孔53dは、共通取付け部53における左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の1箇所)に設けられている。貫通孔53dは、円形に形成されており、第5鍵ユニット70Aを第3鍵ユニット30Aに組付ける際に、第5鍵ユニット70Aに設けた後述する突起73cを圧入させる。貫通孔53eは、共通取付け部53における鍵フレーム10の支持部12及び第1鍵ユニット30Aの貫通孔33eと対応する左右方向の位置に設けられている。貫通孔53eは、電気回路基板20及び第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10に組付ける際に、図示しない雄ねじを貫通させる。
次に、第4鍵ユニット60Aについて、図10の平面図及び図11の側面図を用いて説明する。第4鍵ユニット60Aは、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応して互いに隣接していない5つの黒鍵61を有する。黒鍵61も、上壁、前壁、左右側壁及び後壁からなり、内部を下方に開口させた方形状の空間を形成している。ただし、黒鍵61の前後方向の長さは白鍵31,41,51の前後方向の長さよりも短く、黒鍵61の高さは白鍵31,41,51の高さよりも高い。黒鍵61の前壁の上部は、下方に向かって前方に位置するように傾斜している。黒鍵61の下面における前端位置には、白鍵31の係合片31aと同様な突出部61a1を有する係合片61aが設けられている。黒鍵61の下面における中間位置には、白鍵31の押圧部31bと同様な押圧部61bが設けられている。また、係合片61aの前面における下部(非外観部)には、第1鍵ユニット30Aのゲート対応部32a1と同様なゲート対応部61a2が設けられている。
さらに、黒鍵61の後端部の下面には、平板状かつ方形状に形成されるとともに左右方向の長さを黒鍵61の左右方向の幅とほぼ同じにして、下方に突出した突出片61cが設けられている。突出片61cは、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10及び電気回路基板20に組付けた状態では、E音及びF音に対応した白鍵31,41,51の間を除く他の隣接した白鍵31,41,51の間にて、第1乃至第3鍵ユニット30A,40A,50Aのヒンジ厚肉部32a,42a,52aの前方に上方から侵入している。
これらの5つの黒鍵61の後壁は、ヒンジ部62を介して共通取付け部63にそれぞれ接続されている。ヒンジ部62及び共通取付け部63は、黒鍵61と一体成型されている。ヒンジ部62は、第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32a及び一対のヒンジ薄肉部32b,32cと同様に構成したヒンジ厚肉部62a及び一対のヒンジ薄肉部62b,62cからなる。共通取付け部63も、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33とほぼ同様に構成されており、前述した凹部33a、凸部33b、突起33c及び貫通孔33eと同様な凹部63a、凸部63b、突起63c及び貫通孔63eを有する。ただし、共通取付け部63の左右方向の長さは、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33の左右方向の長さの2分の1よりも若干短く、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aの共通取付け部43,53の長さに等しい。
また、この第4鍵ユニット60Aにおいては、ヒンジ厚肉部62aの前端は黒鍵61の後壁の後面における下端部に接続されているが、ヒンジ薄肉部62b,62cの前端はヒンジ厚肉部62aの後面の下端部にそれぞれ接続され、ヒンジ薄肉部62b,62cの後端は共通取付け部63の前面の下部に接続されている。そして、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10及び電気回路基板20に組付けた状態では、第4鍵ユニット60Aの共通取付け部63、ヒンジ厚肉部62a及びヒンジ薄肉部62b,62cは、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aの共通取付け部43,53、ヒンジ厚肉部42a,52a及びヒンジ薄肉部42b,42c,52b,52cよりもそれぞれ上方に位置するようになっている。
ヒンジ厚肉部62aの形状及び上下方向の厚さは第1鍵ユニット30Aのヒンジ厚肉部32aの形状及び上下方向の厚さとほぼ同じである。しかし、ヒンジ厚肉部62aの前後方向の長さはヒンジ厚肉部32aの前後方向の長さよりも極僅かに短く、かつヒンジ厚肉部62aの左右方向の長さはヒンジ厚肉部32aの左右方向の長さよりも僅かに長い。ヒンジ厚肉部62aの左右方向の中心位置は、黒鍵61の左右方向の中心位置と同じである。ヒンジ薄肉部62b,62cの形状、上下方向の厚さ及び前後方向の長さは、第1鍵ユニット30Aのヒンジ薄肉部32b,32cの形状、上下方向の厚さ及び前後方向の長さとほぼ同じである。しかし、ヒンジ薄肉部62b,62cの左右方向の長さはヒンジ薄肉部32b,32cの左右方向の長さよりも僅かに短い。そして、ヒンジ薄肉部62b,62cも、黒鍵61の左右方向の中心に対して対称に配置されているが、ヒンジ薄肉部62b,62cの間の隙間は、ヒンジ薄肉部32b,32cの間の隙間よりも大きい。
また、ヒンジ厚肉部62aの左右両端には、第1及び第2鍵ユニット30A,40Aのヒンジ部32,42を上方から目立たないようにするために、左右方向にそれぞれ突出した突出部(タブ)62d,62eが設けられている。突出部62d,62eは、上下方向の厚さをヒンジ厚肉部62aの上下方向の厚さと同じにし、かつ前後方向の長さをヒンジ厚肉部62aの前後方向の長さによりも短くして、外側端に面取りをそれぞれ設けた方形状に形成されている。これらの突出部62d,62eは、前面をヒンジ厚肉部62aの前面と同一にして、ヒンジ厚肉部62aの前部に設けられている。これにより、突出部62d,62eの後面は、ヒンジ厚肉部62aの後面よりも前方に位置する。また、突出部62d,62eの後面は下方に向かって前側に傾斜している。複数の黒鍵61に対応した突出部62d,62eの左右方向の長さはそれぞれ異なり、隣接した2つの黒鍵61に対応した突出部62dと突出部62eの間には僅かな隙間が設けられている。
このように突出部62d,62eを構成することにより、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10及び電気回路基板20に組付けた状態では、第1及び第2鍵ユニット30A,40Aのヒンジ厚肉部32a,42aの後部上面上の一部に、隣接した黒鍵61の一対のヒンジ厚肉部62a,62a間において空間が形成される。そして、この空間に対応したヒンジ厚肉部32a,42aの上面上に、前述したゲート対応部32a1,42a1が設けられている。これは、ゲート対応部32a1,42a1に樹脂を注入して第1及び第2鍵ユニット30A,40Aを一体成型した際に、ゲート対応部32a1,42a1に残る小さなゲート跡(突起)に、突出部52d,52eの下面が接触しないようにするためである。
凹部63aの前後方向の幅は第2鍵ユニット40Aの凸部43bの前後方向の幅とほぼ同じであり、第4鍵ユニット60Aの共通取付け部63を第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43上に組付けた状態で、第2鍵ユニット40Aの凸部43bを凹部63a内に勘合させる。突起63cは、第2鍵ユニット40Aの貫通孔43dと左右方向の対向する位置に設けられ、貫通孔43dの内径とほぼ同じ外径を有し、第4鍵ユニット60Aの共通取付け部63を第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43上に組付けた状態で、貫通孔43dに圧入される。貫通孔63eは、共通取付け部63における鍵フレーム10の支持部12及び第1及び第2鍵ユニット30A,40Aの貫通孔33e,43eと対応する左右方向の位置に設けられている。貫通孔63eは、電気回路基板20及び第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを鍵フレーム10に組付ける際に、図示しない雄ねじを貫通させる。
共通取付け部63の後端面における左右方向の適宜箇所(本実施形態では左右方向の中間部の2箇所)には、フック部63fが下方に延設されている。フック部63fの下端部には、前方に突出され、上面を平面にして縦断面形状を3角形状とする係止用爪が設けられている。第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを電気回路基板20に組付ける際に、このフック部63fの係止用爪が電気回路基板20の下面後端部に係合する。ただし、図示しない雄ねじにより第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70A及び電気回路基板20を鍵フレーム10に固定した状態では、フック部63の係止用爪は電気回路基板20の下面後端部に係合(すなわち接触)していない。また、共通取付け部63には、フック部63fに対応した位置にて、係止用爪の上面に対向するとともに共通取付け部63を上下方向に貫通する方形状の貫通孔63gが形成されている。これは、第4鍵ユニット60Aを樹脂で一体成型する際に、フック部63fの係止用爪を上下の金型を用いて簡単に成型するためである。
次に、第5鍵ユニット70Aについて説明する。第5鍵ユニット70Aも、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応して互いに隣接していない5つの黒鍵71を有し、第4鍵ユニット60Aと全く同一の構成であるので、説明を省略する。異なる点は、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを電気回路基板20上に組付けた状態では、第3鍵ユニット50A上に組み付けられて固定される点である。なお、第5鍵ユニット70Aの各部の符号は、図10及び図11において括弧内に示されている。上記第1実施形態において、第1鍵ユニット30Aが本発明の長尺白鍵ユニットに対応し、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aが本発明の短尺白鍵ユニットに対応する。
次に、前記のように構成した電気回路基板20及び第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aの鍵フレーム10への組付けについて、図12を含めて説明する。なお、図12及び後述する図13乃至図19における鍵ユニットは、細部を省略して概略的に示されている。まず、図12に示すように、樹脂により一体成型した第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aを用意する。そして、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33の左側上面に第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43を載置して、第2鍵ユニット40Aを第1鍵ユニット30Aに組付ける。この場合、共通取付け部33の凸部33bを共通取付け部43の凹部43aに勘合させるとともに、共通取付け部43の突起43cを共通取付け部33の貫通孔33d1に圧入する。また、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33の右側上面に第3鍵ユニット50Aの共通取付け部53を載置して、第3鍵ユニット50Aを第1鍵ユニット30Aに組付ける。この場合、共通取付け部33の凸部33bを共通取付け部53の凹部53aに勘合させるとともに、共通取付け部53の突起53cを共通取付け部33の貫通孔33d2に圧入する。
次に、第1鍵ユニット30Aに組付けられた第2鍵ユニット40Aの共通取付け部43上に第4鍵ユニット60Aの共通取付け部63を載置して、第4鍵ユニット60Aを第2鍵ユニット40Aに組付ける。この場合、共通取付け部43の凸部43bを共通取付け部63の凹部63aに勘合させるとともに、共通取付け部63の突起63cを共通取付け部43の貫通孔43dに圧入する。また、第1鍵ユニット30A上に組付けられた第3鍵ユニット50Aの共通取付け部53上に第5鍵ユニット70Aの共通取付け部73を載置して、第5鍵ユニット70Aを第3鍵ユニット50Aに組付ける。この場合、共通取付け部53の凸部53bを共通取付け部73の凹部73aに勘合させるとともに、共通取付け部73の突起73cを共通取付け部53の貫通孔53dに圧入する。これにより、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A、60A,70Aからなる鍵盤ユニットが完成する(図12の最下部参照)。
次に、鍵フレーム10の支持部11に電気回路基板20の前端部に設けた貫通孔を合わせて、電気回路基板20を支持部11,12上に載置する。そして、図示しない雄ねじを、電気回路基板20の上面から支持部11に設けたねじ孔に侵入させるとともに螺合させて、電気回路基板20を鍵フレーム10に組付ける。なお、緩衝材14,22に関しては、鍵フレーム10の下限ストッパ部13及び電気回路基板20の前端部の下面に事前にそれぞれ固着されている。
次に、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aからなる鍵盤ユニットを、電気回路基板20に組付ける。この場合、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の係合片31a,41a,51a,61a,71aの突出部31a1,41a1,51a1,61a1,71a1を電気回路基板20の前端部の下面にそれぞれ係合させながら、第1鍵ユニット30Aの突出片33fを電気回路基板20に設けた図示しない貫通孔に貫通させるとともに、第1鍵ユニット30Aの共通取付け部33を電気回路基板20の後端部上に載置し、第4及び第5鍵ユニット60Aのフック部63f,73fの係止用爪を電気回路基板20の後端部の下面に係合させる。また、これと同時に、共通取付け部33の突起33cを電気回路基板20に設けた図示しない貫通孔に圧入する。この状態では、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aの共通取付け部33,43,53,63,73に設けた貫通孔33e,43e,53e,63e,73e及び電気回路基板20に設けた図示しない貫通孔は、鍵フレーム10の支持部12に設けたねじ孔にほぼ対向している。そして、図示しない雄ねじを、貫通孔33e,43e,53e,63e,73e及び電気回路基板20の貫通孔に上方から貫通させて、支持部12に設けたねじ孔に侵入させるとともに螺合させる。
次に、上カバー15を鍵フレーム10の図示しない接合部に接続して、第4及び第5鍵ユニット60A,70Aの後部を覆う。これにより、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aからなる鍵盤ユニットは、鍵フレーム10及び電気回路基板20上に組み付けられ、鍵盤装置が完成する。この状態では、上カバー15の前面は、第4及び第5鍵ユニット60A,70Aのヒンジ厚肉部52aの前部分及び突出部62d,62e,72d,72eの上方に位置し、上カバー15の前面と白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の後端面との間には僅かな隙間が設けられる。
このようにして完成された鍵盤装置においては、演奏者が白鍵31,41,51及び黒鍵61,71を押鍵操作すると、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71はヒンジ薄肉部32b,32c,42b,42c,52b,52c,62b,62c,72b,72cの弾性変形により、共通取付け部33,43,53,63,73を中心として揺動して、それらの前端を下方へ変位させる。そして、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の係合片31a,41a,51a,61a,71aの下面が緩衝材14の上面に当接すると、白鍵31,41,51及び黒鍵61、71の揺動は停止される。一方、前記押鍵された白鍵31,41,51及び黒鍵61,71が離鍵されると、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71は、ヒンジ薄肉部32b,32c,42b,42c,52b,52c,62b,62c,72b,72c及び鍵スイッチ21の復元力により、それらの前端を上方へ変位させる。そして、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71の係合片31a,41a,51a,61a,71aの突出部31a1,41a1,51a1,61a1,71a1の上面が緩衝材22の下面に当接すると、白鍵31,41,51及び黒鍵61,71は元の位置(離鍵状態)に復帰する。
このような白鍵31,41,51及び黒鍵61の押離鍵操作により、押圧部31b,41b,51b,61b,71bが電気回路基板20上に設けた鍵スイッチ21をオン・オフさせる。この鍵スイッチ21のオン・オフにより、押離鍵操作された白鍵31,41,51及び黒鍵61,71に対応した楽音信号の発生が制御される。
上記のように構成されるとともに動作する第1実施形態に係る鍵盤装置においては、長尺白鍵ユニットである第1鍵ユニット30Aと、短尺白鍵ユニットである第2及び第3鍵ユニット40A,50A及び黒鍵ユニットである第4及び第5鍵ユニット60A,70Aは、樹脂材料で一体成型されている。したがって、組付け誤差及び温度変化による第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70A間の隙間の差は小さい。そして、第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70Aは第1鍵ユニット30Aとの組み付けにより位置決めされるので、第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70A間の隙間を小さく保つことができる。また、2オクターブに渡る7つの白鍵31を有する第1鍵ユニット30Aは長く、かつ1オクターブに渡る3つ及び4つの白鍵41,51をそれぞれ有する短尺の第2及び第3鍵ユニット40A,50A、並びに1オクターブに渡る5つの黒鍵61,71をそれぞれ有する短尺の第4及び第5鍵ユニット60A,70Aは、長い第1鍵ユニット30Aで連結されている。したがって、第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70Aは支持部材である電気回路基板20の反りの影響を受け難く、第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70A間の隙間の横幅は前後位置で大きく異なることはない。その結果、上記第1実施形態によれば、鍵盤装置の外観が良好となる。
また、第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70Aの位置決め部である突起43c,53c,63c,73c及び第1乃至第3鍵ユニット30A,40A,50Aの貫通孔33d1,33d2,43d,53dと、共通取付け部33,43,53,63,73の左右端までの公差を小さくすることができるので、全ての鍵ユニットを上記第1実施形態の第1鍵ユニット30Aと同じ幅に構成した場合と比較すると、積層された第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aの左右両端の位置も合わせ易くなる。さらには、複数の短尺の鍵ユニットである第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70Aを用いることにより、第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aの組み付け作業が簡単になる。
また、上記第1実施形態においては、第1鍵ユニット30Aが、C音、E音、G音、B音、D音、F音及びA音に対応した白鍵31をこの順に含み、第2鍵ユニット40Aが、D音、F音及びA音に対応した白鍵41をこの順に含み、かつ第3鍵ユニット50Aが、C音、E音、G音及びB音に対応した白鍵51をこの順に含む。したがって、第1乃至第3鍵ユニット30A,40A,50Aは、隣合う2つの白鍵を含むことなく、隣合う2つの白鍵のうちの一方のみを含むので、全ての白鍵31,41,51間における金型の壁を厚くできて、第1乃至第3鍵ユニット30A,40A,50Aを成型するための金型の耐久性を向上させることができる。また、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aに含まれる白鍵41,51の音高はそれぞれ異なり、第1乃至第3鍵ユニット30A,40A,50Aは全ての音名の白鍵を含むので、全ての白鍵を上下2層で構成できる。さらに、黒鍵ユニットである第4及び第5鍵ユニット60A,70Aを加えて、鍵盤装置を3層の鍵ユニットで構成できる。また、第4及び第5鍵ユニット60A,70Aは同一の構成であるので、1種類の金型を用いて、第4及び第5鍵ユニット60A,70Aを成型できる。したがって、金型の数を減らすことができるとともに、鍵盤装置の組み立ても簡単になり、鍵盤装置の生産性が向上する。
a1.第1変形例
次に、上記第1実施形態の第1変形例に係る鍵盤装置について図面を用いて説明する。図13は、この第1変形例に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第1変形例に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第5鍵ユニット30B,40B,50B,60B,70Bを備えている。第1鍵ユニット30Bは、音名D,F,A,C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない7つの白鍵31を有する。第2鍵ユニット40Bは、音名C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない4つの白鍵41を有する。第3鍵ユニット50Bは、音名D,F,Aにそれぞれ対応して互いに隣接していない3つの白鍵51を有する。第4及び第5鍵ユニット60B,70Bは、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応して互いに隣接していない5つの黒鍵61,71をそれぞれ有する。
なお、第1乃至第5鍵ユニット30B,40B,50B,60B,70Bの他の構成に関しては、上記第1実施形態の第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aと同じであり、鍵盤ユニットの組み立ても上記第1実施形態と同じである。また、鍵盤装置の他の構成、組み立て及び動作に関しても、上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態と同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
上記のように構成された第1変形例に係る鍵盤装置においては、第1乃至第3鍵ユニット30B,40B,50Bに属する白鍵の音名が上記第1実施形態の場合とは異なるのみで、他の構成は上記第1実施形態と同じである。そして、この第1変形例においても、第1乃至第3鍵ユニット30B,40B,50Bは、隣合う2つの白鍵を含むことなく、隣合う2つの白鍵のうちの一方のみを含む。したがって、この第1変形例に係る鍵盤装置においても、上記第1実施形態と同様な効果が期待される。
a2.第2変形例
次に、上記第1実施形態の第2変形例に係る鍵盤装置について図面を用いて説明する。図14は、この第2変形例に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第2変形例に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第5鍵ユニット30C,40C,50C,60C,70Cを備えている。第1鍵ユニット30Cは、音名D,F,A,D,F,Aにそれぞれ対応して互いに隣接していない6つの白鍵31を有する。第2鍵ユニット40Cは、音名C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない4つの白鍵41を有する。第3鍵ユニット50Cも、音名C,E,G,Bにそれぞれ対応して互いに隣接していない4つの白鍵51を有する。第4及び第5鍵ユニット60C,70Cは、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応して互いに隣接していない5つの黒鍵61,71をそれぞれ有する。
なお、第1乃至第5鍵ユニット30C,40C,50C,60C,70Cの他の構成に関しては、上記第1実施形態の第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aと同じであり、鍵盤ユニットの組み立ても上記第1実施形態と同じである。また、鍵盤装置の他の構成、組み立て及び動作に関しても、上記第1実施形態と同じである。したがって、上記第1実施形態と同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
上記のように構成された第2変形例に係る鍵盤装置においては、第1乃至第3鍵ユニット30C,40C,50Cに属する白鍵の音名が上記第1実施形態の場合とは異なるのみで、他の構成は上記第1実施形態と同じである。そして、この第2変形例においても、第1乃至第3鍵ユニット30C,40C,50Cは、隣合う2つの白鍵を含むことなく、隣合う2つの白鍵のうちの一方のみを含む。したがって、この第2変形例に係る鍵盤装置においても、上記第1実施形態と同様な効果が期待される。
また、この第2変形例においては、第2及び第3鍵ユニット40C,50Cは、共に同じ音名C,E,G,Bの白鍵41,51を含み、同一の構成である。したがって、この第2変形例によれば、1種類の金型を用いて第2及び第3鍵ユニット40C,50Cを成型することができ、上記第1実施形態及び第1変形例の場合よりも生産効率を向上させることができる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態では、第1鍵ユニット30Aを下層とし、第2及び第3鍵ユニット40A,50Aを中間層とし、かつ第4及び第5鍵ユニット60A,70Aを上層として、鍵盤ユニットを3層で構成した。しかし、これに代えて、前記中間層をさらに2層に分けて、鍵盤ユニットを4層の積層構造にしてもよい。本発明の第2実施形態に係る鍵盤装置はこの4層の積層構造を採用しており、図15はこの第2実施形態に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第2実施形態に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第7鍵ユニット30D,40D,50D,60D,70D,40D’,50D’を備えている。第1鍵ユニット30Dは最下層(第1層)であり、第4及び第5ユニット60D,70Dは最上層(第4層)である。そして、最下層と最上層との間に、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dが第2層として設けられているとともに、第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’が第3層として設けられている。
第1鍵ユニット30Dは、音名C,F,B,C,F,Bにそれぞれ対応した6つの白鍵31を有する。第2及び第3鍵ユニット40D,50Dは、同一に構成され、音名D,Gにそれぞれ対応した2つの白鍵41,51をそれぞれ有する。第4及び第5鍵ユニット60D,70Dも、同一に構成され、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応した5つの黒鍵61,71をそれぞれ有する。第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’も、同一に構成され、音名E,Aにそれぞれ対応した2つの白鍵41’,51’をそれぞれ有する。第1乃至第5鍵ユニット30D,40D,50D,60D,70Dは、それらに属する白鍵の音名が異なるだけで、他の構成は上記第1実施形態の第1乃至第5鍵ユニット30A,40A,50A,60A,70Aと同様であるので、上記第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略する。ただし、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dの共通取付け部43,53に設けた貫通孔43d,53dの位置は、後述する第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’の突起43c’,53c’に対向した位置である。
第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’も、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dとほぼ同様に構成された鍵41’,51’、ヒンジ部42’,52’及び共通取付け部43’,53’を備えている。ただし、共通取付け部43’,53’は、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dの共通取付け部43,53と第4及び第5鍵ユニット60D,70Dの共通取付け部63,73の間に位置する高さに設定されている。また、共通取付け部43’,53’には、突起43c,53cと同様な突起43c’,53c’がそれぞれ設けられており、突起43c’,53c’は第2及び第3鍵ユニット40D,50Dの貫通孔43d,53dに対向して位置する。また、共通取付け部43’,53’には、貫通孔43d,53dと同様な貫通孔43d’,53d’が設けられており、貫通孔43d’,53d’は第4及び第5鍵ユニット40D,50Dの突起63c,73cに対向して位置する。
次に、この第2実施形態に係る鍵盤ユニットの組立てについて説明する。まず、上記第1実施形態と同様に、第1鍵ユニット30Dの共通取付け部33の左側上面及び右側上面に第2及び第3鍵ユニット40D,50Dの共通取付け部43,53をそれぞれ載置して、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dを第1鍵ユニット30Dにそれぞれ組付ける。この場合も、共通取付け部33の図示省略した凸部33bを共通取付け部43,53の図示省略した凹部43a,53aにそれぞれ勘合させるとともに、共通取付け部43,53の突起43c,53cを共通取付け部33の貫通孔33d1,33d2にそれぞれ圧入する。次に、第1鍵ユニット30Dに組付けられた第2及び第3鍵ユニット40D,50Dの共通取付け部43,53上に第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’の共通取付け部43’,53’をそれぞれ載置して、第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’を第2及び第3鍵ユニット40D,50Dにそれぞれ組付ける。この場合、共通取付け部43,53の図示省略した凸部43b,53bを共通取付け部43’,53’の図示省略した凹部43a’,53a’にそれぞれ勘合させるとともに、共通取付け部43’,53’の突起43c’,53c’を共通取付け部43,53の貫通孔43d,53dにそれぞれ圧入する。
次に、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dに組付けられた第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’の共通取付け部43’,53’上に第4及び第5鍵ユニット60D,70Dの共通取付け部63,73をそれぞれ載置して、第4及び第5鍵ユニット60D,70Dを第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’にそれぞれ組付ける。この場合、共通取付け部43’,53’の図示省略した凸部43b’,53b’を共通取付け部63,73の図示省略した凹部63a,73aにそれぞれ勘合させるとともに、共通取付け部63,73の突起63c,73cを共通取付け部43’,53’の貫通孔43d’,53d’にそれぞれ圧入する。これにより、第1乃至第7鍵ユニット30D,40D,50D、60D,70D,40D’,50D’からなる鍵盤ユニットが完成する(図15の最下部参照)。鍵盤装置の他の組立て作業及び動作は、上記第1実施形態と同じであるので、それらの説明を省略する。
このように構成された第2実施形態に係る鍵盤装置においても、長尺白鍵ユニットである第1鍵ユニット30Dと、短尺白鍵ユニットである第2、第3、第6及び第7鍵ユニット40D,50D,40D’,50D’、並びに黒鍵ユニットである第4及び第5鍵ユニット60D,70Dは、樹脂材料で一体成型されている。したがって、組付け誤差及び温度変化による第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’間の隙間の差は小さい。そして、第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’は第1鍵ユニット30Dとの組み付けにより位置決めされるので、第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’間の隙間を小さく保つことができる。また、2オクターブに渡る6つの白鍵31を有する第1鍵ユニット30Dは長く、かつ1オクターブに渡る2つの白鍵41,51,41’,51’をそれぞれ有する短尺の第2、第3、第6及び第7鍵ユニット40D,50D,40D’,50D’、並びに1オクターブに渡る5つの黒鍵61,71をそれぞれ有する短尺の第4乃至第5鍵ユニット60D,70Dは、長い第1鍵ユニット30Dで連結されている。したがって、第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’は支持部材である電気回路基板20の反りの影響を受け難く、第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’間の隙間の横幅は前後位置で大きく異なることはない。その結果、この第2実施形態によれば、上記第1実施形態の場合と同様に、鍵盤装置の外観が良好となる。
また、第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’の位置決め部である突起43c,53c,63c,73c,43c’,53c’及び第1、第2、第3、第6及び第7鍵ユニット30D,40D,50D,40D’,50D’の貫通孔33d1,33d2,43d,53d,43d’,53d’と、共通取付け部33,43,53,63,73,43’,53’の左右端までの公差を小さくすることができるので、全ての鍵ユニットを第1鍵ユニット30Dと同じ幅に構成した場合と比較すると、上記第1実施形態の場合と同様に、積層された第1乃至第7鍵ユニット30D,40D,50D,60D,70D,40D’,50D’の左右両端の位置も合わせ易くなる。さらには、複数の短尺の鍵ユニットである第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’を用いることにより、第1乃至第7鍵ユニット30D,40D,50D,60D,70D,40D’,50D’の組み付け作業が簡単になる。
また、この第2実施形態においても、第4及び第5鍵ユニット60D,70Dの構成は、上記第1実施形態の場合と同じである。さらに、この第2実施形態においては、第2及び第3鍵ユニット40D,50Dも、共に音名D,G音に対応した白鍵41,51を含み、同一の構成である。また、第6及び第7鍵ユニット40D’,50D’も、共に音名E,Aに対応した白鍵41’,51’を含み、同一の構成である。したがって、この第2実施形態によれば、3種類の金型を用いて、第2乃至第7鍵ユニット40D,50D,60D,70D,40D’,50D’を成型でき、生産効率を向上させることができる。
b1.第1変形例
次に、上記第2実施形態の第1変形例に係る鍵盤装置について図面を用いて説明する。図16は、この第1変形例に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第1変形例に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第7鍵ユニット30E,40E,50E,60E,70E,40E’,50E’を備えている。第1鍵ユニット30Eは、音名C,F,B,E,Aにそれぞれ対応した5つの白鍵31を有する。第2鍵ユニット40Eは、音名D,Gにそれぞれ対応した2つの白鍵41を有する。第3鍵ユニット50Eは、音名C,F,Bにそれぞれ対応した3つの白鍵51を有する。第4及び第5鍵ユニット60E,70Eは、音名C#,D#,F#,G#,A#にそれぞれ対応した5つの黒鍵61,71をそれぞれ有する。第6鍵ユニット40E’は、音名E,Aに対応した2つの白鍵41’を有する。第7鍵ユニット50E’は、音名D,Gにそれぞれ対応した2つの白鍵51’をそれぞれ有する。
なお、第1乃至第7鍵ユニット30E,40E,50E,60E,70E,40E’,50E’の他の構成に関しては、上記第2実施形態の第1乃至第7鍵ユニット30D,40D,50D,60D,70D,40D’,50D’と同じであり、鍵盤ユニットの組立ても上記第2実施形態の場合と同じである。また、鍵盤装置の他の構成、組み立て及び動作に関しても、上記第2実施形態と同じである。したがって、上記第2実施形態と同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
このように構成された第1変形例に係る鍵盤装置においては、第1、第2、第3、第6及び第7鍵ユニット30E,40E,50E,40E’,50E’に属する白鍵の音名が異なるのみで、他の構成は上記第2実施形態と同じである。したがって、この第1変形例に係る鍵盤装置においても、上記第2実施形態と同様な効果が期待される。
また、この第1変形例においては、第1、第2、第3、第6及び第7鍵ユニット30E,40E,50E,40E’,50E’は、上記第2実施形態における第1鍵ユニット30Dの音名B,Cに対応した隣合う2つの白鍵を含むことなく、隣合う2つの白鍵のうちの一方のみを含む。したがって、この第1変形例によれば、第1、第2、第3、第6及び第7鍵ユニット30E,40E,50E,40E’,50E’の全ての白鍵31,41,51,41’,51’間における金型の壁を厚くできて、上記第2実施形態に比べて、第1鍵ユニット30Eを成型するための金型の耐久性を向上させることができる。
c.第3実施形態
次に、最高音であるC音に対応した白鍵を第1鍵ユニットに含めるようにした第3実施形態に係る鍵盤装置について説明する。図17は、この第3実施形態に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第3実施形態に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第7鍵ユニット30F,40F,50F,60F,70F,40F’,60F’を備えている。第1鍵ユニット30Fは、上記第1実施形態(図12参照)における第1鍵ユニット30Aと同じ音名C,E,G,B,D,F,Aにそれぞれ対応した7つの白鍵31に加えて、さらに高音側に音名C,E,G,B,Cにそれぞれ対応した5つの白鍵31を有する。第1鍵ユニット30Fの共通取付け部33は、上記第1実施形態の共通取付け部33を右側に延長して長く構成されている。そして、この延長された共通取付け部33に、突起33cと同様な突起33cが設けられているとともに、貫通孔33d1,33d2と同様な貫通孔33d3が設けられている。この貫通孔33d3の位置は、後述する第6鍵ユニット40Fの突起43c’に対向した位置に設けられている。
第2乃至第5鍵ユニット40F,50F,60F,70Fは、上記第1実施形態(図12参照)の第2乃至第5鍵ユニット40A,50A,60A,70Aと同じである。第6鍵ユニット40F’は、第2鍵ユニット40Fと同じに構成された鍵41’,ヒンジ部42’及び共通取付け部43’を備えている。共通取付け部43’には、第2鍵ユニット40Fの突起43c及び貫通孔43dと同様な突起43c’及び貫通孔43d’が設けられている。第7鍵ユニット60F’は、第4鍵ユニット60Fと同じに構成された鍵61’,ヒンジ部62’及び共通取付け部63’を備えている。共通取付け部63’には、第4鍵ユニット60Fの突起63cと同様な突起63c’が設けられている。そして、第6及び第7鍵ユニット40F’,60F’は、第3及び第5鍵ユニット50F,70Fの高音側にそれぞれ設けられている。他の構成は、上記第1実施形態と同じであるので、上記第1実施形態と同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
次に、この第3実施形態に係る鍵盤ユニットの組立てについて説明する。まず、上記第1実施形態と同様に、第1鍵ユニット30Fの共通取付け部33の左側上面、中央上面及び右側上面に、第2、第3及び第6鍵ユニット40F,50F,40F’の共通取付け部43,53,43’をそれぞれ載置して、第2、第3及び第6鍵ユニット40F,50F,40F’を第1鍵ユニット30Fにそれぞれ組付ける。この場合も、共通取付け部33の図示省略した凸部33bを共通取付け部43,53,43’の図示省略した凹部43a,53a,43a’にそれぞれ勘合させるとともに、共通取付け部43,53,43’の突起43c,53c,43c’を共通取付け部33の貫通孔33d1,33d2,33d3にそれぞれ圧入する。
そして、第1鍵ユニット30Fに組付けられた第2、第3及び第6鍵ユニット40F,50F,40F’の共通取付け部43,53,43’に上面に、第4、第5及び第7鍵ユニット60F,70F,60F’の共通取付け部63,73,63’をそれぞれ載置して、第4、第5及び第7鍵ユニット60F,70F,60F’を第2、第3及び第6鍵ユニット40F,50F,40F’にそれぞれ組付ける。この場合も、共通取付け部43,53,43’の図示省略した凸部43b,53b,43b’を共通取付け部63,73,63’の図示省略した凹部63a,73a,63a’にそれぞれ勘合させるとともに、共通取付け部63,73,63’の突起63c,73c,63c’を共通取付け部43,53,43’の貫通孔43d,53d,43d’にそれぞれ圧入する。これにより、第1乃至第7鍵ユニット30F,40F,50F、60F,70F,40F’,60F’からなる鍵盤ユニットが完成する(図17の最下部参照)。鍵盤装置の他の構成、組立て作業及び動作は、上記第1実施形態と同じであるので、それらの説明を省略する。
このように構成された第3実施形態に係る鍵盤装置においても、長尺白鍵ユニットである第1鍵ユニット30Fと、短尺白鍵ユニットである第2、第3及び第6鍵ユニット40F,50F,40F’、並びに黒鍵ユニットである第4、第5及び第7鍵ユニット60F,70F,60F’は、樹脂材料で一体成型されている。したがって、組付け誤差及び温度変化による第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’間の隙間の差は小さい。そして、第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’は第1鍵ユニット30Fとの組み付けにより位置決めされるので、第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’間の隙間を小さく保つことができる。また、3オクターブを超える12個の白鍵31を有する第1鍵ユニット30Fは長く、かつ1オクターブに渡る3つの白鍵41,41’をそれぞれ有する短尺の第2及び第6鍵ユニット40F,40F’、1オクターブに渡る4つの白鍵51を有する短尺の第3鍵ユニット50F、並びに1オクターブに渡る5つの黒鍵61,71,61’をそれぞれ有する短尺の第4、第5及び第7鍵ユニット60F,70F,60F’は、長い第1鍵ユニット30Fで連結されている。したがって、第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’は支持部材である電気回路基板20の反りの影響を受け難く、第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’間の隙間の横幅は前後位置で大きく異なることはない。その結果、この第3実施形態によっても、上記第1実施形態の場合と同様に、鍵盤装置の外観が良好となる。
また、第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’の位置決め部である突起43c,53c,63c,73c,43c’,63c’、及び第1、第2、第3及び第6鍵ユニット30F,40F,50F,40F’の貫通孔33d1,33d2,33d3,43d,53d,43d’と、共通取付け部33,43,53,63,73,43’,63’の左右端までの公差を小さくすることができるので、全ての鍵ユニットを第1鍵ユニット30Fと同じ幅に構成した場合と比較すると、上記第1実施形態の場合と同様に、積層された第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’の左右両端の位置も合わせ易くなる。さらには、複数の短尺の鍵ユニットである第2乃至第7鍵ユニット40F,50F,60F,70F,40F’,60F’を用いることにより、第1乃至第7鍵ユニット30F,40F,50F,60F,70F,40F’,60F’の組み付け作業が簡単になる。
さらに、76鍵及び88鍵以外の61鍵、49鍵、37鍵などのピアノ系の鍵盤装置では、通常、最低音及び最高音はC音であることが多い。この場合、最高音のC音は、その上のC#音が無いために、他のC音の鍵とは異なっていて、黒鍵分の切欠きがなく、かつオクターブの繰り返しからはみ出している。したがって、第2、第3及び第6鍵ユニット40F,50F,40F’すなわちオクターブ単位である短尺白鍵ユニットにこの最高音を含めると、最高音であるC音を含む短尺白鍵ユニットだけを他のオクターブと作り分ける必要が生じてしまい、生産効率が悪化する。しかし、この第3実施形態のように、長尺白鍵ユニット側に最高音(C音)の鍵が含まれるようにすると、鍵ユニットの種類を減らすことが可能となり、鍵盤装置の生産効率を向上させることができる。
なお、この第3実施形態においては、金型の種類を減らすために、第6鍵ユニット40F’を第2鍵ユニット40Fと同一に構成にするとともに、第7鍵ユニット60F’を第4及び第5鍵ユニット60F,70Fと同一に構成した。したがって、第1鍵ユニット30Fの右端部が上方から見えるようになるので、前記右端部上に共通取付け部63,73と前後方向幅を同じにした目隠し部材を設けるようにするとよい。この点に関しては、後述する第1及び第2変形例においても同様である。
c1.第1変形例
次に、上記第3実施形態の第1変形例に係る鍵盤装置について図面を用いて説明する。図18は、この第1変形例に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第1変形例に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第7鍵ユニット30G,40G,50G,60G,70G,40G’,60G’を備えている。第1鍵ユニット30Bは、上記第1実施形態の第1変形例(図13参照)における第1鍵ユニット30Bと同じ音名D,F,A,C,E,G,Bにそれぞれ対応した7つの白鍵31に加えて、さらに高音側に音名D,F,A,Cにそれぞれ対応した4つの白鍵31を有する。第2乃至第5鍵ユニット40G,50G,60G,70Gは、上記第1実施形態の第1変形例の第2乃至第5鍵ユニット40B,50B,60B,70Bと同じである。第6鍵ユニット40G’は第2鍵ユニット40Gと同じに構成され、第7鍵ユニット60G’は第4鍵ユニット60Gと同じに構成されている。
なお、第1乃至第7鍵ユニット30G,40G,50G,60G,70G,40G’,60G’の他の構成に関しては、上記第3実施形態の第1乃至第7鍵ユニット30F,40F,50F,60F,70F,40F’,60F’と同じであり、鍵盤ユニットの組み立ても上記第3実施形態の場合と同じである。また、鍵盤装置の他の構成、組み立て及び動作に関しても、上記第3実施形態と同じである。したがって、上記第3実施形態と同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
上記のように構成された第1変形例に係る鍵盤装置においては、第1、第2、第3及び第6鍵ユニット30G,40G,50G,40G’に属する白鍵の音名が上記第3実施形態の場合とは異なるのみで、他の構成は上記第3実施形態と同じである。したがって、この第1変形例に係る鍵盤装置においても、上記第3実施形態と同様な効果が期待される。また、この第1変形例においては、第1、第2、第3及び第6鍵ユニット30G,40G,50G,40G’は、隣合う2つの白鍵を含むことなく、隣合う2つの白鍵のうちの一方のみを含むので、上記第1実施形態、並びにその第1及び第2変形例の場合と同様に、金型の耐久性を向上させることができる。
c2.第2変形例
次に、上記第3実施形態の第2変形例に係る鍵盤装置について図面を用いて説明する。図19は、この第2変形例に係る鍵盤装置の鍵ユニットの概略平面図である。
この第2変形例に係る鍵盤装置は、樹脂でそれぞれ一体成型した第1乃至第7鍵ユニット30H,40H,50H,60H,70H,40H’,60H’を備えている。第1鍵ユニット30Hは、上記第1実施形態の第2変形例(図14参照)における第1鍵ユニット30Cと同じ音名D,F,A,D,F,Aにそれぞれ対応した6つの白鍵31に加えて、さらに高音側に音名D,F,A,Cにそれぞれ対応した4つの白鍵31を有する。第2乃至第5鍵ユニット40H,50H,60H,70Hは、上記第1実施形態の第2変形例の第2乃至第5鍵ユニット40C,50C,60C,70Cと同じである。第6鍵ユニット40H’は第2鍵ユニット40Hと同じに構成され、第7鍵ユニット60H’は第4鍵ユニット60Hと同じに構成されている。
なお、第1乃至第7鍵ユニット30H,40H,50H,60H,70H,40H’,60H’の他の構成に関しては、上記第3実施形態の第1乃至第7鍵ユニット30F,40F,50F,60F,70F,40F’,60F’と同じであり、鍵盤ユニットの組立ても上記第3実施形態の場合と同じである。また、鍵盤装置の他の構成、組み立て及び動作に関しても、上記第3実施形態と同じである。したがって、上記第3実施形態と同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
上記のように構成された第1変形例に係る鍵盤装置においても、第1、第2、第3及び第6鍵ユニット30H,40H,50H,50H’に属する白鍵の音名が上記第3実施形態の場合とは異なるのみで、他の構成は上記第3実施形態と同じである。したがって、この第2変形例に係る鍵盤装置においても、上記第3実施形態と同様な効果が期待される。また、この第2変形例においても、上記第1変形例と同様に、第1、第2、第3及び第6鍵ユニット30H,40H,50H,50H’は、隣合う2つの白鍵を含むことなく、隣合う2つの白鍵のうちの一方のみを含むので、上記第1実施形態、並びにその第1及び第2変形例の場合と同様に、金型の耐久性を向上させることができる。
d.その他の変形例
なお、本発明に係る鍵盤装置は、上記第1乃至第3実施形態及びそれらの変形例に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能である。
上記第3実施形態及びその変形例では、3オクターブに渡る第1鍵ユニット30F,30G,30Hに最高音の白鍵31を追加する例について説明した。しかし、この最高音の白鍵31の追加は、上述した第1及び第2実施形態並びにそれらの変形例にも適用される。ずなわち、図12乃至図16に示す2オクターブに渡る第1鍵ユニット30A〜30Dに前記最高音であるC音に対応した白鍵31を設けるようにしてもよい。
また、上記第1乃至第3実施形態及びそれらの各種変形例では、前記下層、中層及び上層の鍵ユニットを突起43c,53c,63c,73c,43c’,53c’,63c’と、貫通孔33d1,33d2,33d3,43d,53d,43d’,53d’との係合により、複数の鍵ユニットからなる鍵盤ユニットを構成するようにした。しかし、先行技術の項で説明したように、鍵ユニット間を、一方の幅方向の端部に設けた凹部に、他方の対向する端部に設けた突起を勘合させて、複数の鍵ユニット間を連結して、複数の鍵ユニットからなる鍵盤ユニットを構成するようにしてもよい。