JP6213411B2 - 蓄電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電装置に関する。
パソコン、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラ、衛星、車両等に用いられる蓄電装置として、超薄型化、小型化の可能なリチウムイオン二次電池が盛んに開発されている。このような蓄電装置に用いられる蓄電装置用外装材は、容器として用いられる従来の金属製の缶とは異なり、軽量で、放熱性が高く、形状を自由に選択できるという点から、多層フィルムからなるラミネート型外装材(例えば基材層/第1接着層/アルミニウム箔層/第2接着層/シーラント層のような構成)が注目されている。特に、より高い製品の信頼性が求められる衛星、電気自動車等の電池外装材は、最外層の基材層として延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルム等を、アルミニウム箔層としてアルミニウム合金等を、最内層のシーラント層として酸変性又は未変性ポリオレフィン樹脂等を用いることが望まれている。また、第1及び2接着層として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等のポリオールを主剤とし、芳香族系や脂肪族系のイソシアネートを硬化剤とした二液硬化型のポリウレタン系接着剤等、又はポリオレフィン樹脂を用いることが望まれている。
ラミネート型外装材を用いる蓄電装置は、正極、セパレータ、負極、電解液を含む蓄電装置用内容物をラミネート型外装材を構成する2枚のラミネートフィルムにより挟み込み、ラミネートフィルムの縁端部をヒートシールして蓄電装置用内容物を密封することにより製造される。また、電極端子である外部リードタブは、ヒートシール界面よりその一部をラミネート型外装材の外部に導出させて製造される。
ヒートシールは、温度、圧力、時間で制御される。一般に、高温でヒートシールするとシール時間は短縮されるが、高温による樹脂の劣化等の不具合を生じさせることが想定される。また、ヒートシールにおける圧力が低すぎると、溶着される樹脂の絡み合いが少なくなって界面剥離を生じやすくなる。一方、ヒートシールにおける圧力が高すぎると、ヒートシール部周辺に歪みが発生しその部分に局所的な荷重がかかりやすくなり、この場合もまた界面剥離が生じやすくなる。さらに、短時間でのヒートシールは作業性、コスト面で有利であるが、充分な密封性を考慮すると一定時間以上のヒートシールが必要である。
このように、ヒートシールには適切な温度、圧力、時間が必要となるが、適切な条件を逸脱した場合、外装材を構成する樹脂が流動しアルミニウム箔層が露出してしまうことがある。しかる場合には、外部リードタブと露出したアルミニウム箔層が接触し短絡を起こすことが懸念される。そこで、この短絡を防ぐためにラミネート型外装材と外部リードタブの間にはタブフィルムを介在させることが従来から行われている。
タブフィルムとして、特許文献1では内層、中間層及び外層から成るラミネート構造を有し、中間層が高融点の酸変性ポリプロピレンを含有するとともに、内層及び外層が低融点の酸変性ポリプロピレンを含有するタブフィルムを採用している。特許文献1に開示されているタブフィルムは、中間層が絶縁性を有し、内層及び外層が熱融着性を有するものであり、すなわち接着剤を使用せずとも信頼性の高い封止性と耐短絡性を実現している。
特開2008−192451号公報
ところで近年では、例えば車載用の電池において使用電流量の増加に伴い、使用するリードタブの膜厚は150μm以上に増加してきている。そのため、リードタブとタブフィルムをヒートシールで作製する際、リードタブの膜厚が上昇したことによりリードタブ側面とタブフィルムを密着させることが困難となり、リードタブ側面とタブフィルムとの間に空間が生じやすくなってきている。そこで、ヒートシール温度を上げてタブフィルム樹脂を融解させ、タブフィルム樹脂の流動性を確保することによりリードタブ側面の空間を埋めようとする場合、タブフィルムの膜厚が薄くなってしまうため電池の絶縁性が保てなくなる。あるいは、ヒートシールに所定以上の時間をかけてタブフィルム樹脂を融解させ、タブフィルム樹脂の流動性を確保することによりリードタブ側面の空間を埋めようとする場合、タブフィルムの結晶化が進んでしまい、この結晶化した部分にクラックが発生しやすくなってしまう。
また、樹脂層からなるタブフィルムは、タブフィルムを作製する時、タブフィルムとリードタブを熱融着する時、そしてタブフィルムと外装材を熱融着する時と少なくとも3回に亘って熱履歴を被る。一般に、樹脂層からなるタブフィルムは熱履歴が大きいほど、樹脂層の部分的な融解により結晶構造の不均一化が起こりやすい。そしてこの不均一化した結晶構造を有する部分に振動等の応力が発生すると、クラックが発生してしまう。特に、リードタブに沿ってタブフィルムが折れ曲がる部分にクラックが発生することが多い。そして、この発生したクラックより露出した外装材のアルミニウム箔とリードタブが接触し短絡を起こす可能性がある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リードタブの膜厚上昇に伴い生じるリードタブ側面とタブフィルムとの空間を無くして密着性を向上させること、併せてタブフィルムにかかる熱履歴を小さくしてタブフィルムに生じ得るクラックを抑制することにより、外装材のアルミニウム箔とリードタブとの短絡を防止することにある。
上記課題を解決するために本発明の蓄電装置は、正極、負極、及び正極と負極の間に介在されたセパレータ若しくは固体電解質層とを含む電極体と、電極体を収容する外装部材と、正極及び負極のそれぞれと電気的に接続し前記外装部材の外部に導出される外部リードタブと、を備える蓄電装置であって、外部リードタブはタブフィルムを介して外装部材と熱融着され、タブフィルムと外部リードタブとの間には作製時に流動性が高く応力を緩和する応力緩和層が介在し、応力緩和層はメタロセン触媒を用いて作成されたプロピレンと1−ブテンの共重合体よりなる酸変性ポリオレフィンであり、タブフィルムと応力緩和層の融解熱比{タブフィルムの融解熱(J/g)/応力緩和層の融解熱(J/g)}が、2以上であることを特徴とする。
また、本発明の蓄電装置は、正極、負極、及び正極と負極の間に介在されたセパレータ若しくは固体電解質層とを含む電極体と、電極体を収容する外装部材と、正極及び負極のそれぞれと電気的に接続し外装部材の外部に導出される外部リードタブと、を備える蓄電装置であって、外部リードタブはタブフィルムを介して外装部材と熱融着され、タブフィルムと外部リードタブとの間には作製時に流動性が高く応力を緩和する応力緩和層が介在し、タブフィルムと応力緩和層の融解熱比{タブフィルムの融解熱(J/g)/応力緩和層の融解熱(J/g)}が、2以上であり、タブフィルムを押出成形により形成する押出成形工程と、タブフィルムと接着する外部リードタブの接着面に、及び/又は外部リードタブと接着する側のタブフィルムの面に、液体の応力緩和層前駆体を塗工する塗工工程と、タブフィルムと外部リードタブを応力緩和層前駆体により熱融着する熱融着工程とを有する製造工程により製造され、応力緩和層前駆体は、酸変性ポリオレフィンからなる主剤と、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物からなる硬化剤とを含むことを特徴とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、リードタブとタブフィルムの間に作製時に流動性が高い応力緩和層を設けることにより、タブフィルムに発生するクラックを抑制できかつタブフィルムとリードタブ側面に空間を作らないことを見い出した。特に、タブフィルムと応力緩和層の融解熱比{タブフィルムの融解熱(J/g)/応力緩和層の融解熱(J/g)}が2以上であるとき、より効果的にタブフィルムのクラック発生を抑制でき、かつタブフィルムとリードタブ側面との間に空隙を作らないことを証明した。
すなわち、本発明の応力緩和層をリードタブとタブフィルムの間に設けることにより、リードタブの膜厚がたとえ大きくなったとしても、作製時に流動性の高い応力緩和層が効果的にリードタブ側面とタブフィルムの間を埋めることができる。従って、ヒートシール時の圧着によるリードタブとタブフィルムにかかる応力や、外部からの振動等により生じ得る応力を本発明の応力緩和層によって緩和することができる。また、リードタブとタブフィルムの間を隙間なく本発明の応力緩和層で埋めることができるため、リードタブとタブフィルムの密着性を向上させることができる。
さらに本発明によれば、応力緩和層の融解熱がタブフィルムの融解熱よりも小さいため、ヒートシールを低温かつ短時間で行うことができる。よって、高温によるタブフィルムの融解を防ぎ、タブフィルムが薄くなってしまうことを抑制できる。従って、本発明は、信頼性の高い絶縁性を確保することができる。また、本発明はタブフィルムにかかる熱履歴を小さくすることができるため、タブフィルムにクラックが発生することを抑制できる。
このように、本発明はリードタブとタブフィルムの密着性を高めることができ、かつ、クラックの発生を抑制することができる。よって、タブフィルムが電解液で膨潤することやタブフィルムに発生し得るクラックによる外装材のアルミニウム箔とリードタブとの短絡を効果的に抑制することができる。
本発明の一実施態様であるラミネート型リチウム二次電池の概略斜視図である。 図1のI‐I断面における概略図である。 図2のII‐II断面における概略図のうち、外装部材を除いた図である。 タブフィルムを有する正極リードタブの断面における概略図である。 タブフィルムを有する負極リードタブの断面における概略図である。
以下、図1〜5を参照しながら本発明の蓄電装置の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
また、本明細書等において、蓄電装置とは蓄電機能を有する素子および装置全般を指す。例えば、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタ、および電気二重層キャパシタ等を含む。以下、本発明の蓄電装置についてラミネート型リチウム二次電池を例に挙げ説明する。
まず、リチウム二次電池の一般的構成について概説する。本明細書において「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池(もしくはリチウムイオン二次電池)、リチウムポリマー電池、リチウム−空気電池、リチウム−硫黄電池等と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含され得る。また、本明細書において「活物質」とは、正極側又は負極側において蓄電に関与する物質(化合物)をいう。すなわち、電池の充放電時において電子の吸蔵及び放出に関与する物質をいう。なお、本発明におけるリチウム二次電池は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できる。
図1及び2に示すように、本発明のラミネート型リチウム二次電池1は、正極30、負極31、正極30と負極31の間に介在されたセパレータ10若しくは固体電解質層を含む電極体32と、電極体32を収容する外装部材20と、正極30及び負極31のそれぞれと電気的に接続し外装部材20の外部に導出される外部リードタブ7と、外装部材20と熱融着されるタブフィルム5と、タブフィルム5と外部リードタブ7との間に介在する応力緩和層6を有する。
(正極)
正極30は、正極集電体9と、正極活物質、導電助剤、及びバインダ等を含有する正極合剤からなる層(正極合剤層)8を正極集電体9の片面または両面に形成した構造を有する。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出できる活物質からなる。このような正極活物質は、例えば、Li1+xMO2(−0.1<x<0.1、M:Co,Ni,Mn,Al,Mg等)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMn24又はLiMn24の元素の一部を他の元素で置き換えたスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、およびLiMPO4(M:Co,Ni,Mn,Fe等)で表されるオリビン型化合物等のいずれかからなることが望ましい。
上記の層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、LiCoO2、LiNi1-xCox-yAly2(0.1≦x≦0.3,0.01≦y≦0.2)、および少なくともCo,NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/32,LiMn5/12Ni5/12Co1/62,LiNi3/5Mn1/5Co1/52,LiNi0.5Co0.2Mn0.3)のいずれかからなることが好ましい。
正極集電体9は、例えば、アルミニウム箔、およびアルミニウム合金箔のいずれかからなることが好ましい。正極集電体9の厚みは、電池の大きさおよび容量によって異なるが、例えば1〜20μmであることが望ましい。
正極30は、上述した正極活物質と、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、および繊維状炭素等の導電助剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のバインダとを含む正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤を用いて均一に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を調整する(バインダは、溶剤に溶解していてもよい)。この組成物を帯状の正極集電体9上に間欠的に塗布して乾燥する。必要に応じてプレス処理により正極合剤層8の厚みを調整してもよい。このようにして得た長尺の正極基材を所定形状に切断して正極30が得られる。
正極30における正極合剤層8の厚みは、片面当たり、30〜100μmであることが好ましい。また、正極合剤層8における各構成成分の含有量は、正極活物質:90〜98質量部、導電助剤:1〜5質量部、バインダ:1〜5質量部であることが望ましい。
(負極)
負極31は、負極集電体12と、リチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含有する層(負極合剤層)11を負極集電体12の片面または両面に形成した構造を有する。
負極活物質は、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、および炭素繊維等のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物からなることが望ましい。あるいは、負極活物質は、Si,Sn,Ge,Bi,Sb,In等の元素、Si,Sn,Ge,Bi,Sb,Inの合金、リチウム含有窒化物、およびリチウム酸化物等のリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物(LiTi312等)、リチウム金属、およびリチウム/アルミニウム合金のいずれかからなることが好ましい。
負極集電体12は、銅箔が好適である。銅箔は、その製造方法の違いによって電解銅箔と圧延銅箔とに大別される。電解銅箔は、相対的に安価である。負極集電体52nの厚みは、電池の大きさまたは容量によって異なるが、例えば、1〜20μmであることが好ましい。
負極31は、上述した負極活物質と、バインダ(PVDF、スチレンブタジエンゴム(SBR)のようなゴム系バインダとカルボキシメチルセルロース(CMC)との混合バインダ等)と、必要に応じて黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック等の導電助剤等とを含む負極合剤を、NMPや水等の溶剤を用いて均一に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を調製する(バインダは、溶剤に溶解していてもよい)。この組成物を帯状の負極集電体12上に間欠的に塗布して乾燥する。必要に応じてプレス処理により負極合剤層11の厚み又は密度を調整してもよい。このようにして得た長尺の負極基材を所定形状に切断して負極31が得られる。
負極31における負極合剤層11の厚みは、片面当たり、30〜100μmであることが好ましい。また、負極合剤層11における各構成成分の含有量は、負極活物質:90〜98質量部、バインダ:1〜5質量部であることが好ましい。また、導電助剤を用いる場合には、負極合剤層11中の導電助剤の含有量は、1〜5質量部であることが好ましい。
(セパレータ)
セパレータ10は、正極30と負極31との間に介在しリチウムイオンを透過させる多孔質フィルムを含む。多孔質フィルムは、融点が80〜140℃程度の熱可塑性樹脂からなることが望ましく、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマーからなることが好ましい。多孔質フィルムの厚みは、特に制限はないが、10〜50μmであることが望ましい。
セパレータ10は、上記の多孔質フィルム上に板状の無機微粒子層をコーティングにより形成したものであってもよい。これにより、異常発熱時のセパレータ10の熱収縮を抑制して安全性を向上させることができる。あるいは、セパレータ10は、上記の多孔質フィルムと耐熱性多孔質基体との積層構造を有していてもよい。耐熱性多孔質基体として、例えば耐熱温度が150℃以上の繊維状物を用いることができる。繊維状物として、セルロース及びその変成体、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が挙げられる。具体的には上記材料からなる不織布からなることが好ましい。
(電解液)
電解液として、例えば、高誘電率溶媒または有機溶媒にLiPF6,LiBF4等の溶質を溶解した溶液(非水電解液)を用いることができる。高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびγ−ブチロラクトン(BL)のいずれかを用いることができる。有機溶媒としては、直鎖状のジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)等の低粘度溶媒を用いることができる。
電解液の溶媒としては、上述した高誘電率溶媒と低粘度溶媒との混合溶媒を使用することが好ましい。また、上述した溶液に、PVDF、ゴム系の材料、脂環エポキシ、およびオキセタン系の三次元架橋構造を有する材料等を混合して固化し、ポリマー電解質層としてもよい。あるいは、セパレータ及び電解液に代えて無機材料からなる無機固体電解質層を採用してもよい。無機固体電解質としては、例えばぺロブスカイト型、NASICON型、LISICON型、チオ‐LISICON型、γ−LiPO型、ガーネット型、及びLIPON型の群から選ばれる結晶構造を持つ少なくとも1以上の無機固体電解質材料を含むものが望ましい。
(外装部材)
外装する外装部材20はラミネートフィルを用いる。ラミネートフィルムは外側樹脂層2と、金属箔層3と、内側樹脂層4とが積層されて構成されている。外側樹脂層2と金属箔層3との間、及び内側樹脂層4と金属箔層3との間には、接着層が介在されていることが望ましい。
外装部材20を構成する外側樹脂層2は、外部からの衝撃に耐えるべく剛性を備え、かつ、成形性を確保するために柔軟性に優れた樹脂層が望まれる。そこで、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂といった耐熱性樹脂フィルムの延伸フイルムが好ましく用いられる。例えば、二軸延伸ナイロン(ONy)や二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)である。そして、外側樹脂層2は少なくとも1または2以上のこれら耐熱性樹脂フィルムを含んで構成されている。2以上の耐熱性樹脂フィルムから構成される場合の外側樹脂層2は、耐熱性樹脂フィルム同士が接着層を介して積層されていることが好ましい。また、外側樹脂層2を構成する耐熱性樹脂フイルムの融点は、内側樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂フィルムの融点より高いことが好ましい。これにより、電池を製造する際の開口部のヒートシールを確実に行うことが可能になる。
外側樹脂層2の厚さは10〜50μm程度が好ましく、15〜30μm程度がより好ましい。厚さが10μm以上であれば、外装部材20の成形を行なうときに延伸フイルムの伸びが不足することがなく、金属箔層3にネッキングが生じることがなく、ゆえに外装部材20の成形不良は起きない。また、厚さが50μm以下であれば、成形性の効果を十分発揮できる。
外装部材20を構成する金属箔層3は、外装部材20のバリア性確保の役割を担うものである。この金属箔層3としては、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔等が好ましく使用されるが、成形性、軽量であること、並びにコスト面を考慮し、アルミニウム箔を使用することが好ましい。アルミニウム箔の材質としては、純アルミニウム系またはアルミニウム−鉄系合金のO材(軟質材)が好ましく用いられる。
金属箔層3の厚さは、加工性の確保及び酸素や水分の電池内への侵入を防止するバリア性確保のために20〜80μmが望ましい。厚さが20μm以上であれば、外装部材20の成形時において金属箔の破断が生じることがなく、ピンホールが発生することもなく、酸素や水分の侵入を防止できる。厚さが80μm以下であれば、成形時の破断の改善効果やピンホール発生防止効果が維持され、また、外装部材20の総厚が過剰に厚くならず、電池自体の重量増を防止できる。
また、金属箔層3には、外側樹脂層2及び内側樹脂層3との接着性を向上させたり、耐食性を向上させるために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等によるアンダーコート処理や、クロメート処理等による化成処理が施されているとよい。
次に、外装部材20を構成する内側樹脂層4は、熱可塑性樹脂フィルムを含んで構成されていることが望ましい。内側樹脂層4に使用される熱可塑性樹脂フィルムとしては、ヒートシール性を有し、腐食性の強い電解質等に対する耐薬品性を向上させる役割を果たすものがよく、例えば、ポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の未延伸ポリオレフィンフィルムや、エチレン−アクリレート共重合体またはアイオノマー樹脂などの未延伸フィルムが好ましく用いられる。
内側樹脂層4の厚さとしては、0.1〜200μmの範囲が好ましく、50〜100μmの範囲がより好ましい。厚さが0.1μm以上、好ましくは50μm以上であれば、ヒートシール強度が充分になり、また電解液等に対する耐食性が向上する。また、厚さが200μm以下、好ましくは100μm以下であれば、ヒートシール性及び耐薬品性に支障が無く、また、電池自体の重量増を防止できる。
内側樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂フィルムは、単一の熱可塑性樹脂層で構成されていてもよいが、複数の熱可塑性樹脂層が積層されたもので構成されていても良い。さらに、内側樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂フィルムの融点は130℃〜170℃の範囲が好ましい。融点がこの範囲内であれば、内側樹脂層4の耐熱性が向上する。従って、高温によって内側樹脂層4が融け出すことを抑制でき、内側樹脂層4の厚さが低下することを抑制できるため、内側樹脂層4の絶縁性が向上する。特に、160〜165℃の範囲がより好ましい。
接着層は、外側樹脂層2と金属箔層3、及び内側樹脂層4と金属箔層3とを接着するために、外側樹脂層2と金属箔層3との間、及び内側樹脂層4と金属箔層3との間に配置される。接着層は、ドライラミネート用接着層が好ましく、例えば、ウレタン系、酸変性ポリオレフィン、スチレンエラストマー、アクリル系、シリコーン系、エーテル系、エチレン−酢酸ビニル系から選ばれる少なくとも1種を用いることが望ましい。
接着層の厚さは、0.1〜10μmの範囲が好ましく、1〜5μmの範囲がより好ましい。接着層の厚さが1μm以上であれば、接着強度が低下することがなく、絶縁性をより高めることができる。また、接着層の厚みが5μm以下であれば、接着強度の低下を防止できる。
特に、外側樹脂層2側の接着層と内側樹脂層4側の接着層は、相互に異なる材質からなる接着層を用いることが好ましい。接着層の材質の組み合わせとして好ましくは、外側樹脂層2側がOPETまたはONyで構成される場合に外側樹脂層2の接着剤としてウレタン系接着剤を用い、内側樹脂層4がPPから構成される場合に内側樹脂層4の接着剤としてアクリル系接着剤または酸変性オレフィン系接着剤が望ましい。外側樹脂層2側の接着層と内側樹脂層4側の接着層として、相互に異なる材質からなる接着層を用いることで、各材質間の接着強度および耐電解液性能を付与できる。
(外部リードタブ)
外部リードタブ7は、電極体32を構成する正極集電体9と電気的に接続する正極端子、及び負極集電体12と電気的に接続する負極端子からなる。外部リードタブ7の材質は、各集電体の材質に依存する。例えば図4及び5に示すように、正極集電体9にアルミニウムが用いられ、負極集電体12に銅が用いられることから、正極端子の正極リードタブ14はアルミニウムを用い、負極端子の負極リードタブ15は銅を用いることが望ましい。銅を用いた負極リードタブ15の場合、銅が触媒となって接触する樹脂である応力緩和層6を腐食させてしまうおそれがある。そこで耐食性の面から、負極リードタブ15に銅を用いる場合には、ニッケルめっきをしためっき層16を設けた銅を用いることが望ましい。
外部リードタブ7の形状、大きさは特に限定されるものではない。例えば、外部リードタブ7は長方形状であり、厚さが50μm以上であることが望ましい。特に、車載用電池のように使用電流が大きい場合には外部リードタブ7の厚さは150μm以上が望ましい。
外部リードタブ7はその表面を化成処理したものを用いることが望ましい。外部リードタブ表面に化成処理した化成処理層13を設けることにより、耐食性を向上させるだけではなく、後述する応力緩和層6との接着性を向上させることが期待できる。化成処理層13は、外部リードタブ7の全ての面に設けられることが望ましい。すなわち、化成処理層13は外部リードタブ側面を含む応力緩和層6と接する全ての面に設けられることが好ましい。
化成処理層13としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらを組み合わせた処理により形成される層が挙げられる。また、これらの化成処理層13は、湿式型の処理により形成される層に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合し、塗布する方法を適用した処理により形成される層でもよい。また、化成処理層の上に樹脂成分をオーバーコートして、多層構造としてもよい。
(応力緩和層)
応力緩和層6は、外部リードタブ7とタブフィルム5との間に介在し、外部リードタブ7の表面を被覆するように設けられる。応力緩和層6はタブフィルム5と外部リードタブ7との接着性を向上させる役割を担う。また、応力緩和層6は外部リードタブ7とタブフィルム5との間に生じ得る空間、特に外部リードタブ側面に生じ得る空間を埋める役割を担う。応力緩和層6が外部リードタブ7とタブフィルム5との間に生じ得る空間を隙間なく埋めることにより、ヒートシール時の圧着による外部リードタブ7とタブフィルム5にかかる応力をこの応力緩和層6によって緩和することができる。
応力緩和層6は、後述するように作製時には液体の応力緩和層前駆体の形態を採る。すなわち、電池作製時において応力緩和層前駆体は流動性を確保することができる。流動性を有する応力緩和層前駆体は、ヒートシール時に外部リードタブ7とタブフィルム5との間に効果的に広がることができる。従って、ヒートシール後に熱硬化作用によって作製された応力緩和層6は外部リードタブ7とタブフィルム5との間を隙間なく埋めることができる。
応力緩和層前駆体の流動性としては、JIS−K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したメルトフローレート(MFR)が1〜500g/10分であることが望ましい。上記範囲内のMFRであれば、応力緩和層前駆体のより効果的な流動性を確保でき、かつ、より効果的な層間密着性を得ることができる。特に、5〜200g/10分であることが望ましい。
応力緩和層6は、化学構造中にカルボキシル基を有するポリオレフィンと、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物とを含有してなる組成物により構成される。そして、応力緩和層6は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂と、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物と、有機溶媒とを含有してなる混合液を応力緩和層前駆体とする。そしてこの液体である応力緩和層前駆体をタブフィルム又は/及び外部リードタブに塗布し、タブフィルムと外部リードタブとのヒートシールによって応力緩和層前駆体は熱硬化され、応力緩和層6を形成する。
カルボキシル基を有するポリオレフィン(以下、「カルボキシル基含有ポリオレフィン」とも称す)は特に限定されるものではない。例えば、ポリオレフィンにエチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合させた酸変性ポリオレフィン、オレフィンモノマーとエチレン性不飽和カルボン酸との共重合体等が挙げられる。また、ポリオレフィンとしては特に限定されるものではない。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンモノマーの単独重合体又はこれらオレフィンモノマーの共重合体等が挙げられる。また、エチレン性不飽和カルボン酸としては特に限定されるものではない。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられる。これらエチレン性不飽和カルボン酸は、1種又は2種以上用いることができる。また、前記カルボキシル基含有ポリオレフィンとしては、有機溶媒に溶解するものが好ましく用いられる。
中でも、カルボキシル基含有ポリオレフィンとしては、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、又はプロピレンと1−ブテンとの共重合体に、エチレン性不飽和カルボン酸又はその酸無水物をグラフト重合させた酸変性ポリオレフィンを用いるのが好ましい。具体的には、プロピレンと1−ブテンとの共重合体に、無水マレイン酸をグラフト重合させたものが好ましい。プロピレンと1−ブテンの共重合体由来の主鎖部分と無水マレイン酸由来の側鎖部分の質量比は、プロピレンと1−ブテンの共重合体由来の主鎖部分が全体の0.01〜20%であることが望ましい。
カルボキシル基含有ポリオレフィンは各種公知の触媒、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒を使用して製造できる。触媒活性点の均一性の観点から、メタロセン触媒を使用して得られるカルボキシル基含有ポリオレフィンの使用が好ましい。
ここでいうメタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)アルミニウムオキシ化合物、上記遷移金属化合物と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸、固体酸微粒子、およびイオン交換性層状珪酸塩から成る化合物群の中から選ばれる少なくとも一種の助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒でありることが望ましい。
メタロセン化合物は、プロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能なメタロセン化合物である。更に、具体的には、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン[1−(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)][1−(2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(2−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。また、上記においてジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。
イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物は、カルボキシル基含有ポリオレフィンと反応して、応力緩和層前駆体を硬化させる硬化剤として作用するものである。このうち、特に2官能以上の多官能イソシアネート化合物であることが好ましい。
多官能イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではない。例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はこれらジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性物、ビュレット変性物、或いは前記ジイソシアネート化合物をトリメチロールプロパン等の多価アルコールでアダクト変性した変性物等が挙げられる。多官能イソシアネート化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。また、前記多官能イソシアネート化合物としては、有機溶媒に溶解する多官能イソシアネート化合物が好ましく用いられる。
有機溶媒としては、カルボキシル基含有ポリオレフィンを溶解させる又は分散させることができるものであれば特に限定されない。特に、カルボキシル基含有ポリオレフィンを溶解させることができる有機溶媒が好ましく用いられる。また、有機溶媒としては、応力緩和層前駆体から該有機溶媒を加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶媒が好ましく用いられる。カルボキシル基含有ポリオレフィンを溶解させることができ且つ加熱等により揮発させて除去することが容易な有機溶媒としては、特に限定されるものではない。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒、n−ヘキサン等の脂肪族系有機溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン(MCH)等の脂環族系有機溶媒、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系有機溶媒等が挙げられる。これら有機溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
応力緩和層前駆体や応力緩和層組成物において、カルボキシル基含有ポリオレフィンのカルボキシル基を構成するヒドロキシル基に対する、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比[NCO]/[OH]は1.0〜10.0に設定されるのが好ましい。上記範囲内であれば、応力緩和層6はイソシアネート基の架橋作用によってより適度な硬さを獲得することができる。ここで適度な硬さとは、応力緩和層6が硬すぎることにより割れやすくなることなく、また、応力緩和層6が柔らかすぎることにより剥がれやすくなることのない硬さを意味する。
適度な硬さを有する応力緩和層6は、ヒートシール時におけるタブフィルムにかかる応力を緩和することに優れる。また、適度な硬さを有する応力緩和層6は、例えば電池作動時における内圧上昇等によっても、タブフィルム5及び外部リードタブ7から剥がれやすくなることも無い。従って、上記範囲内の応力緩和層6は、タブフィルム5と外部リードタブ7を効果的に接着させる接着性能に優れると共に、タブフィルムに起こり得るクラック等による外装部材20の金属箔層3と外部リードタブ7との短絡を、より長期にわたって十分に抑制することができる。さらに、この当量比[NCO]/[OH]は1.5〜9.0に設定されるのがより好ましく、中でも1.5〜6.0に設定されるのが特に好ましい。
応力緩和層前駆体に、必要に応じて、反応促進剤、粘着付与剤、可塑剤等の添加剤を含有せしめても良い。
反応促進剤は、カルボキシル基含有ポリオレフィンと、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する化合物との反応を促進させるための物質であり、特に限定されるものではないが、例えば、有機スズ化合物、第3級アミン等が挙げられる。この反応促進剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
粘着付与剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、天然系では、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられ、石油系では、ナフサの分解油留分より得られる脂肪族(C5)系樹脂、芳香族(C9)系樹脂、共重合(C5/C9)系樹脂、脂環族系樹脂等が挙げられる。また、これら樹脂の二重結合部分を水素化した水添樹脂が挙げられる。この粘着付与剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソプレン、ポリブテン等の液状ゴム、プロセスオイル等が挙げられる。
また、この発明の効果を阻害しない範囲であれば、応力緩和層前駆体に、ポリオレフィン以外の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)や、カルボキシル基を有しないポリオレフィン(カルボキシル基を有しないオレフィン系熱可塑性エラストマーを含む)を含有せしめても良い。カルボキシル基を有しないオレフィン系熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、ワックス等が挙げられる。カルボキシル基を有しないオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン)等が挙げられる。
応力緩和層6の融点は、20〜110℃であることが望ましい。ヒートシール時において、応力緩和層6の融点を上記範囲内にすることで後述するタブフィルムと応力緩和層6の融点差を大きくすることができる。タブフィルム5と応力緩和層6の融点差を大きくすることができれば、応力緩和層6を融解する熱によるタブフィルム5に与える影響は小さくなる。すなわち、タブフィルム5の熱履歴を小さくすることができるため、タブフィルム5の結晶化を抑制でき、タブフィルム5に発生し得るクラックを防止することができる。特に、応力緩和層6とタブフィルム5との融点差は、30℃以上であることが好ましい。
応力緩和層6の厚さは、0.1〜100μmであることが望ましい。応力緩和層6の厚さが0.1μm以上であれば、外部リードタブ7とタブフィルム5との接着性を確保することができる。また、応力緩和層6の厚さが100μm以下であれば、ヒートシール性及び耐食性に影響を与えることも無く、電池自体の重量増を抑制することができる。特に応力緩和層6の厚さは1〜50μmであることが好ましい。
また、図3に示すように、外部リードタブ7の幅方向に形成する応力緩和層6の膜厚aは、外部リードタブ7の厚み方向に形成する応力緩和層6の膜厚bよりも小さいことが望ましい。膜厚aは、外部リードタブ上面71又は下面72側とタブフィルム5との間に形成される応力緩和層6の厚さを示す。膜厚bは、外部リードタブ側面73側とタブフィルム同士の接着面51までの厚さを示す。なお、図3はタブフィルム同士の接着面51間に応力緩和層6を介在させているが、タブフィルム接着面51間には応力緩和層6を介在させずにタブフィルム接着面51同士で接着している状態でもよい。このように応力緩和層6の膜厚a、bが形成されることにより、外部リードタブ側面73とタブフィルム5との間の空間を効果的に埋めることができ、外部リードタブ7とタブフィルム5との接着性を向上させることができる。さらに、上述したタブフィルム5よりも低い融点の応力緩和層6を設けることにより、タブフィルム5が被る熱履歴を小さくすることができる。そのため、タブフィルム5に起こり得るクラックを抑制することができる。また、タブフィルム5の融点よりも低い温度でヒートシールすることができるため、タブフィルム5が溶けて薄くなるおそれもなくなる。よって、本発明は効果的な絶縁性を確保することができる。この膜厚bと膜厚aの比である膜厚b/膜厚aは1.01〜100に設定されることが好ましい。
(タブフィルム)
タブフィルム5は、装部材20と外部リードタブ7との間に介在し、外装部材20を構成する金属箔層3と外部リードタブ7との短絡を防止し絶縁性を確保するものである。タブフィルム5の材質としては、外装部材20の内側樹脂層4との融着性、及び、応力緩和層6との融着性に優れる樹脂が望ましく、例えば、ポリオレフィンであることが望ましい。また、ポリオレフィンのうち特にPPであることがより好ましい。
タブフィルム5は、単層であってもよく、あるいは2層以上の多層フィルムであってもよい。タブフィルム5が多層フィルムである場合、少なくとも応力緩和層6と接する層は、未変性ポリオレフィンであることが望ましい。これは、応力緩和層6とタブフィルム5とが共に主鎖部分の構造がポリオレフィンを有するものであり、相溶性による接着性の向上を期待できるからである。さらに未変性ポリオレフィンであれば、酸変性ポリオレフィンに比べコストを抑えることができるからである。特に、未変性ポリプロピレンであることがより好ましい。
タブフィルム5の厚さは、10〜100μmであることが望ましい。タブフィルム5の厚さが10μm以上であれば、絶縁性を効果的に確保することができる。また、タブフィルム5の厚さが100μm以下であれば、ヒートシール性に影響を与えることも無く、電池自体の重量増を抑制することができる。
タブフィルム5の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えばポリオレフィン樹脂をドライブレンド、あるいは溶融混練した後、先端にT型ダイスを有する押出成形機、射出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてフィルム状成形体に成形加工することが可能である。特に、タブフィルム5の製造工程では押出成形機による押出成形工程を有することが望ましい。
タブフィルム5が2層以上の多層フィルムである場合の積層方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン樹脂を押出機に入れ、押出機先端に設けたT型ダイスからフィルム状に成形した溶融樹脂に対して熱可塑性樹脂フィルムを積層する方法や、熱接着性を有するフィルム状成形体と熱可塑性樹脂フィルムをロール成形機にて熱圧着する方法、ポリオレフィン樹脂と他の熱可塑性樹脂を共に溶融させ、共押出しすることにより積層する方法等が挙げられる。
(電池の製造)
次に、本発明の蓄電装置の製造方法の一例を以下に説明する。なお、各構成要素は上記したものを用いる。
電極体32は、正極30と負極31をセパレータ10を介在させて交互に積層して作成される。電極体32の作成方法は、特に限定されるものではない。例えば、帯状のセパレータ10を一定間隔で山折りと谷折りとを交互に繰り返すことでジグザグ状に折り曲げ、セパレータ10の一方の面側から各谷折り部分に正極30を挟み込み、他方の面側から各谷折り部分に負極31を挟み込んで電極体32は作成される。あるいは、セパレータ10で矩形の複数の袋を形成し、各セパレータ10からなる袋内に正極30を挿入したものを、負極31と交互に積層して電極体32を作成してもよい。または、積層した正極30と負極31とセパレータ10を捲回して電極体32を作成してもよい。
かくして得られた電極体32において外部リードタブ7を設ける。外部リードタブ7の正極端子は、複数の正極集電体9を束ねたものと溶接等の方法により電気的に接続される。外部リードタブ7の負極端子は、複数の負極集電体12を束ねたものと溶接等の方法により電気的に接続される。外部リードタブ7を備える電極体32は、電解液と共に外装部材20内に封止工程により封止され、本発明の蓄電装置の一例であるラミネート型リチウム二次電池1は製造される。
ここで、封止工程は、電極体32と電解液を外装部材20によって被覆し、重なり合う外装部材20の周縁部をヒートシールする工程である。電極体32と電解液を外装部材20で被覆する方法は特に限定されるものではないが、例えば、1枚の外装部材20を2つに折り、折り曲げられ重なり合わされた外装部材20の周縁部のうち2辺を、まずヒートシールする。次に、周縁部のうち1辺が開口した袋状の外装部材20に電極体32と電解液を導入する。この際、外部リードタブ7は、開口した1辺の外装部材20から外側に導出されるように電極体32を配設する。そして、袋状の外装部材20の開口した1辺をヒートシールし、外部リードタブ7を外装部材20の外側に導出した状態で電極体と電解液を外装部材20で封止する。
外装部材20を構成する金属箔層3と外部リードタブ7との接触による短絡を防止するため、外部リードタブ7のヒートシール部位にタブフィルム5を設ける被覆工程が、封止工程前に行われることが望ましい。
被覆工程では、さらに外部リードタブ7とタブフィルム5との間に応力緩和層6を設ける応力緩和層形成工程を有する。応力緩和層形成工程は、液体の応力緩和層前駆体を外部リードタブ7及び/又はタブフィルム5に塗工する塗工工程と、塗工工程後に外部リードタブ7とタブフィルム5を応力緩和層前駆体によってヒートシールする熱融着工程とを備える。
塗工工程において、液体の応力緩和層前駆体は外部リードタブ7表面に塗工されてもよく、また、タブフィルムの外部リードタブ7と接着する面に塗工されてもよい。あるいは、これら両方に塗工されてもよい。塗工手段は特に限定されず、公知の手段を用いることができる。例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用される。
熱融着工程において、液体の応力緩和層前駆体を間に介在させたタブフィルム5と外部リードタブ7はヒートシールによって熱融着する。ヒートシールによって作製された応力緩和層7がタブフィルム5と外部リードタブ7とを接着する役割を担う。
応力緩和層前駆体は、酸変性ポリオレフィンからなる主剤と、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物からなる硬化剤とを含むことが望ましい。この場合、応力緩和層前駆体とタブフィルム5は共にポリオレフィン系の樹脂であるため、相溶性の性質により互いの接着性は優れる。また、応力緩和層前駆体と外部リードタブ7は応力緩和層前駆体が有する熱硬化性の性質により互いの接着性は優れる。さらに、応力緩和層前駆体は所定の温度までは液体であり、熱可塑性の性質を有する。従って、ヒートシール時の初期に応力緩和層前駆体は十分な流動性を有するため、タブフィルム5と外部リードタブ7との間、特にタブフィルム5と外部リードタブ側面73の間に応力緩和層前駆体が効果的に流れ込む。すなわち、たとえ外部リードタブの膜厚が厚くなったとしても、タブフィルム5と外部リードタブ7との間に空隙を作ることなく、十分な流動性を有する応力緩和層前駆体によって空隙を埋めることができる。そして、応力緩和層前駆体は、所定の温度に達すると熱硬化性の性質により硬化して応力緩和層6になる。熱硬化性の性質を有する応力緩和層6は、例えば電池が高温環境下に曝される状況であったとしても、再度融解して液体となることを防止できる。よって、応力緩和層6が融け出してタブフィルム5と外部リードタブ7との密着性が失われることがないため、絶縁性に優れる。
熱融着工程における熱融着温度は、応力緩和層(応力緩和層前駆体)6の融点以上であってタブフィルム5の融点以下であることが望ましい。タブフィルム5の融点以下とすることにより、タブフィルム5が被る熱履歴を小さくすることができ、タブフィルム5に発生し得るクラック等を防止でき、ひいてはタブフィルム5の耐久性を向上させることができる。また、タブフィルム5が融けることを抑制できるため、タブフィルム5の厚さを確保することができ、タブフィルム5の絶縁性を確保できる。具体的には、応力緩和層6の融点が50℃〜110℃の範囲内であって、タブフィルム5の融点が130℃〜170℃の範囲内が望ましい。
応力緩和層(応力緩和層前駆体)6とタブフィルム5との融点差は30℃以上であることが望ましい。応力緩和層(応力緩和層前駆体)6とタブフィルム5との融点差が30℃以上であることにより、タブフィルム5が融けることなくヒートシールを行うことができる。従って、タブフィルム5のクラック発生を抑制でき、かつ、タブフィルム5の厚さを確保できるため、タブフィルム5の絶縁性を確保できる。
また、タブフィルム5と応力緩和層6の融解熱比{タブフィルムの融解熱(J/g)/応力緩和層の融解熱(J/g)}は、2以上であることが望ましい。タブフィルム5と応力緩和層6の融解熱比が2以上であることにより、ヒートシール時にタブフィルム5が熱により融けだすことを抑制でき、かつ、応力緩和層前駆体が液体として外部リードタブ表面7を効果的に被覆することができる。すなわち、タブフィルム5と外部リードタブ7との隙間を効果的に埋めることができ、かつタブフィルム5が薄くなることを抑制できる。従って、作製された応力緩和層6はタブフィルム5と外部リードタブ7との接着性を向上させ、クラックがタブフィルム5に発生することを抑制する。結果として、本発明の蓄電装置は、優れた絶縁性を確保することができる。
[試験例1]
(応力緩和層前駆体の製造)
融解温度80℃、融解熱0.5J/gのポリプロピレン共重合体(プロピレンと1−ブテンの共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させた酸変性ポリプロピレン樹脂)10gを、トルエン90gに溶解させた溶液に対して、3官能基ポリイソシアネートを、[NCO]/[OH]の当量比が2.5になるように混合し、応力緩和層前駆体を得た。
(タブフィルムの製造)
融解温度140℃、融解熱60J/gの未変性のポリプロピレン共重合体(プロピレンとエチレンの共重合体)を溶融混練した後、230℃で単層押出成形を行い、70μmの厚みの単層タブフィルムを得た。
(外部リードタブの製造と表面化成処理)
幅40mm、長さ50mm、厚み200μmのA1050−O材の正極リードタブを用意した。正極リードタブの表面化成処理として、フッ化クロムと、架橋材を含むポリカルボン酸と、リン酸を水に溶解した溶液を、正極リードタブ上に処理後に膜厚が50nmとなるように塗布し、その後150℃で焼き付け、正極リードタブ上に耐食性を有する化成処理層を得た。
(タブフィルムを有する正極リードタブの作製)
上記タブフィルムの片面に、上記応力緩和層前駆体を処理後の厚さが30μmとなるようにグラビアコート法により塗工した。その後、応力緩和層前駆体の溶剤を乾燥させ、タブフィルムに応力緩和層を設けた。次に、化成処理層を備えた正極リードタブに、応力緩和層を備えたタブフィルムを、応力緩和層を正極リードタブに接するように巻き付けて挟み込んだ。こうしてできたタブフィルムを備えた正極リードタブを、タブフィルムの位置でヒートシールバーにより110℃、0.3MPaの条件で10秒間熱圧着させた。その後、応力緩和層の主剤と硬化剤を架橋させるため、40℃で1週間エージングを行った。
[試験例2]
応力緩和層前駆体に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂に代えて、分子量等を変えることにより融解熱5J/gとしたポリプロピレン共重合体(プロピレンと1−ブテンの共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させた酸変性ポリプロピレン樹脂)を用いた以外は、試験例1と同様にしてタブフィルムを有する正極リードタブを得た。
[試験例3]
応力緩和層前駆体に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂に代えて、分子量等を変えることにより融解熱10J/gとしたポリプロピレン共重合体(プロピレンと1−ブテンの共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させた酸変性ポリプロピレン樹脂)を用いた以外は、試験例1と同様にしてタブフィルムを有する正極リードタブを得た。
[試験例4]
応力緩和層前駆体に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂に代えて、分子量等を変えることにより融解熱30J/gとしたポリプロピレン共重合体(プロピレンと1−ブテンの共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させた酸変性ポリプロピレン樹脂)を用いた以外は、試験例1と同様にしてタブフィルムを有する正極リードタブを得た。
[試験例5]
応力緩和層前駆体に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂に代えて、分子量等を変えることにより融解熱40J/gとしたポリプロピレン共重合体(プロピレンと1−ブテンの共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させた酸変性ポリプロピレン樹脂)を用いた以外は、試験例1と同様にしてタブフィルムを有する正極リードタブを得た。しかしながら、試験例5では応力緩和層前駆体の製造時に溶液化することができなかった。
[試験例6]
試験例6では、タブフィルムと正極リードタブの間に応力緩和層を介在させなかった。その他については、試験例1と同様にしてタブフィルムを有する正極リードタブを得た。
[試験例7]
試験例7では、試験例6のヒートシール条件を変更した。すなわち、タブフィルムを備えた正極リードタブを、タブフィルムの位置でヒートシールバーにより150℃、0.3MPaの条件で60秒間熱圧着させた。その他については、試験例6と同様にしてタブフィルムを有する正極リードタブを得た。
(評価)
試験例1〜7によって得られたタブフィルムを有する正極リードタブの断面を光学顕微鏡で観察し、タブフィルムにクラックが発生していないものをAとし、クラックが発生しているものをB、Cとした。ここでBとCとはクラックの大きさが異なり、CはBよりも大きなクラックを発生させていることを意味する。また、タブフィルムと正極リードタブ側面との間に空隙を形成しないものをAとし、空隙が認められるものをB、Cとした。ここでBとCとは空隙の大きさが異なり、CはBよりも大きな空隙を形成していることを意味する。結果を表1に示す。
Figure 0006213411
表1から明らかなように、試験例1〜4はタブフィルムにクラックを発生させず、かつ、タブフィルムと正極リードタブ側面の間に空隙を作らなかった。また、試験例6及び7はタブフィルムにクラックを発生させ、かつ、タブフィルムと正極リードタブ側面の間に空隙が認められた。試験例6と試験例7はヒートシール条件が異なるものであるが、タブフィルムのクラックの大きさは試験例7の方が大きく、正極リードタブ側面の空隙の大きさは試験例6の方が大きかった。試験例5は、応力緩和層前駆体を準備したものの作製時に溶液化することができなかったため、応力緩和層を形成しなかった。従って、タブフィルムのクラックや正極リードタブ側面の空隙の評価を「評価不可」とした。
これらの結果から、以下のことが考えられる。試験例1〜4では、タブフィルムと正極リードタブの間に液体の応力緩和層前駆体が十分に行きわたり、ヒートシール後の応力緩和層がタブフィルムと正極リードタブの間を隙間なく埋めることができた。そのため、タブフィルムにクラックを発生させず、絶縁性に優れたタブフィルムを有する正極リードタブを得ることができた。また、応力緩和層の融解熱がタブフィルムの融解熱よりも充分に小さいため、タブフィルムにかかる熱履歴を小さくすることができ、タブフィルムの熱による結晶化を抑制することができた。すなわち、タブフィルムの結晶化促進によるクラック発生を抑制することができた。また、試験例1〜4の断面観察では、図3で示す応力緩和層の膜厚において、膜厚aよりも膜厚bの方が大きいことが確認できた。
一方、試験例6及び7では、応力緩和層を備えないため、ヒートシール時に生じるタブフィルムと正極リードタブの間の応力を緩和することができずにタブフィルムにクラックを発生させた。さらに、応力緩和層を備えなかったため、十分な接着性を得ることができないためにタブフィルムと正極リードタブ側面の間に空隙を形成した。
また、試験例6と試験例7を比較するところ、試験例7ではヒートシール温度を高くしヒートシール時間を長くしたために、タブフィルムと正極リードタブ側面の間の空隙を融解されたタブフィルムによってある程度埋めることができた。よって、試験例7は試験例6よりも空隙を小さくすることができた。しかしながら、試験例7ではタブフィルムが被る熱履歴が大きかったために、タブフィルムの結晶化が不均一に起こり、結果として試験例6よりも大きなクラックを発生させた。
1:ラミネート型リチウム二次電池 2:外側樹脂層 3:金属箔層 4:内側樹脂層
5:タブフィルム 6:応力緩和層 7、14:正極リードタブ(外部リードタブ)
8:正極合剤層 9:正極集電体 10:セパレータ 11:負極合剤層
12:負極集電体 13:化成処理層 15:負極リードタブ 16:めっき層
20:外装部材 30:正極 31:負極 32:電極体 51:タブフィルム接着面
71:外部リードタブ上面 72:外部リードタブ下面 73:外部リードタブ側面

Claims (9)

  1. 正極(30)、負極(31)、及び前記正極と前記負極の間に介在されたセパレータ(10)若しくは固体電解質層とを含む電極体(32)と、
    前記電極体を収容する外装部材(20)と、
    前記正極及び前記負極のそれぞれと電気的に接続し前記外装部材の外部に導出される外部リードタブ(7)と、を備える蓄電装置(1)であって、
    前記外部リードタブはタブフィルム(5)を介して前記外装部材と熱融着され、
    前記タブフィルムと前記外部リードタブとの間には作製時に流動性が高く応力を緩和する応力緩和層(6)が介在し、
    前記応力緩和層はメタロセン触媒を用いて作成されたプロピレンと1−ブテンの共重合体よりなる酸変性ポリオレフィンであり、
    前記タブフィルムと前記応力緩和層の融解熱比{タブフィルムの融解熱(J/g)/応力緩和層の融解熱(J/g)}が、2以上である蓄電装置。
  2. 前記応力緩和層は前記外部リードタブを被覆するように前記タブフィルムと前記外部リードタブの間に介在する請求項1に記載の蓄電装置。
  3. 前記タブフィルムは単層又は2層以上の多層からなり、かつ、少なくとも前記応力緩和層と接する層が未変性ポリプロピレンである請求項1に記載の蓄電装置。
  4. 前記タブフィルムを押出成形により形成する押出成形工程と、
    前記タブフィルムと接着する前記外部リードタブの接着面に、及び/又は前記外部リードタブと接着する側の前記タブフィルムの面に、液体の応力緩和層前駆体を塗工する塗工工程と、
    前記タブフィルムと前記外部リードタブを前記応力緩和層前駆体により熱融着する熱融着工程とを有する製造工程により製造され得る蓄電装置であって、
    前記応力緩和層前駆体は、酸変性ポリオレフィンからなる主剤と、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物からなる硬化剤とを含む請求項1〜3の何れか一項に記載の蓄電装置。
  5. 正極(30)、負極(31)、及び前記正極と前記負極の間に介在されたセパレータ(10)若しくは固体電解質層とを含む電極体(32)と、
    前記電極体を収容する外装部材(20)と、
    前記正極及び前記負極のそれぞれと電気的に接続し前記外装部材の外部に導出される外部リードタブ(7)と、を備える蓄電装置(1)であって、
    前記外部リードタブはタブフィルム(5)を介して前記外装部材と熱融着され、
    前記タブフィルムと前記外部リードタブとの間には作製時に流動性が高く応力を緩和する応力緩和層(6)が介在し、
    前記タブフィルムと前記応力緩和層の融解熱比{タブフィルムの融解熱(J/g)/応力緩和層の融解熱(J/g)}が、2以上であり、
    前記タブフィルムを押出成形により形成する押出成形工程と、
    前記タブフィルムと接着する前記外部リードタブの接着面に、及び/又は前記外部リードタブと接着する側の前記タブフィルムの面に、液体の応力緩和層前駆体を塗工する塗工工程と、
    前記タブフィルムと前記外部リードタブを前記応力緩和層前駆体により熱融着する熱融着工程とを有する製造工程により製造され、
    前記応力緩和層前駆体は、酸変性ポリオレフィンからなる主剤と、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基、オキサゾリン基、及びグリシジル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する化合物からなる硬化剤とを含む蓄電装置。
  6. 前記熱融着工程において熱融着温度は、前記応力緩和層の融点以上であって前記タブフィルムの融点以下である請求項4〜5の何れか1項に記載の蓄電装置。
  7. 前記応力緩和層と前記タブフィルムの融点差が30℃以上である請求項6に記載の蓄電装置。
  8. 外部リードタブ上面(71)又は下面(72)側に形成する応力緩和層の膜厚aは、外部リードタブ側面(73)側に形成する応力緩和層の膜厚bよりも小さい請求項1〜7の何れか一項に記載の蓄電装置。
  9. 前記外部リードタブの厚さは、150μm以上である請求項1〜8の何れか一項に記載の蓄電装置。
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