JP6540013B2 - 電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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Description

本技術は、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。
近年、携帯電話機または携帯情報端末機器などに代表される電子機器が広く普及しており、そのさらなる小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
この二次電池は、最近では、上記した電子機器に限らず、電動ドリルなどの電動工具、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの電力貯蔵システムに代表される多様な用途への適用も検討されている。これらの電源として、高出力且つ高容量の二次電池の開発が進められている。
二次電池では、性能を向上させるために、電解液に添加剤を添加することが行われている(特許文献1参照)。
特開2013−134859号公報
電池では、電池内部における金属析出等の化学反応に起因する化学短絡に対する耐性を向上することが求められている。
したがって、本技術の目的は、化学短絡耐性を向上できる電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本技術は、正極活物質粒子を含む正極活物質層を有する正極と、負極活物質粒子を含む負極活物質層を有する負極と、正極活物質層および負極活物質層の間にあるセパレータと、電解液を含む電解質と、固体粒子とを備え、負極側の窪み含浸領域および負極側の深部領域、並びに、正極側の窪み含浸領域および正極側の深部領を有し、負極側の窪み含浸領域は、電解質および固体粒子が配置された、負極活物質層の最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みを含む領域であり、負極側の深部領域は、電解質または電解質および固体粒子が配置された、負極側の窪み含浸領域より深い側にある負極活物質層内部の領域であり、正極側の窪み含浸領域は、電解質および固体粒子が配置された、正極活物質層の最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みを含む領域であり、正極側の深部領域は、電解質または電解質および固体粒子が配置された、正極側の窪み含浸領域より深い側にある正極活物質層内部の領域であり、負極側の窪み含浸領域および正極側の窪み含浸領域の固体粒子の濃度は、30体積%以上であり、負極側の深部領域および正極側の深部領域における固体粒子の濃度は、3体積%以下であり、固体粒子は、べーマイト、タルク、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、ダイヤモンド、リン酸トリリチウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、スピネル、ハイドロタルサイト、ドロマイト、カオリナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、パイロフィライト、雲母、ゼオライト、ムライト、サポナイト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンおよびポリオレフィンからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、電解液は、下記式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含むリチウムイオン二次電池である。
Figure 0006540013
(式中、R61は2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
本技術の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の電池を備えるものである。
本技術によれば、化学短絡耐性を向上できるという効果を奏する。
図1は本技術の実施の形態によるラミネートフィルム型非水電解質電池の構成を示す分解斜視図である。 図2は図1に示す巻回電極体のI−I線に沿った断面構成を表す断面図である。 図3Aおよび図3Bは非水電解質電池の内部の構成を示す概略断面図である。 図4A〜図4Cは積層電極体を用いたラミネートフィルム型非水電解質電池の構成を示す分解斜視図である。 図5は本技術の実施の形態による円筒型非水電解質電池の構成を示す断面図である。 図6は円筒型非水電解質電池に収容される巻回電極体の一部を拡大して示す断面図である。 図7は本技術の実施の形態による角型非水電解質電池の構成を示す斜視図である。 図8は二次電池の適用例(電池パック:単電池)の構成を表す斜視図である。 図9は図8に示した電池パックの構成を表すブロック図である。 図10は本技術の実施の形態による電池パックの回路構成例を示すブロック図である。 図11は本技術の非水電解質電池を用いた住宅用の蓄電システムに適用した例を示す概略図である。 図12は本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す概略図である。
(本技術の概要)
まず本技術の理解を容易にするため、本技術の概要について説明する。スマートフォン、タブレット、電動工具、電動車両等では、内部短絡事故のない、特にコンタミ金属の析出に起因する短絡に対する耐性に優れた高容量な電池が、求められている。
万が一金属粒子が電池内部に混入した場合には、溶解を抑制するために添加剤で金属を不動態化することや、電極間距離を大きくすることで短絡を生じにくくすることが、行われてきたが、この場合、電池容量が減少してしまう。このような電池容量の減少に対して、昨今では高充電圧化により電池容量を補うことが行われているが、金属粒子や正極内の金属イオンが溶出し、大きな樹枝状析出物を形成したり、電極の膨張が大きくなったりして電極間距離が狭くなり、深刻な場合には短絡による発熱が発生してしまい、高容量化との両立は困難である。
金属イオンの析出は、セパレータの近傍で起こると、成長し始めたばかりの細い樹枝状析出物はセパレータにつきあたり、充放電時の電極間の伸縮により折れるため大きく成長することがない。一方、電極最表層の隣接活物質粒子間の谷間の窪みに析出した金属は、活物質に保護されて太く成長することができる。やがて、この太い樹枝状析出物は、成長が進んで、セパレータを突き破り、短絡を発生させてしまう。
太い樹枝状析出物は負極最表面の隣接活物質粒子間の窪みに生成されやすい。すなわち、活物質の頂点付近はセパレータと接しているため、析出物が太くはなりにくいのに対して、窪みがセパレータから離れているため、窪みでは太い析出物に成長しやすい。
本願発明者等が鋭意検討したところ、ニトリル系の添加剤を高濃度で使用すると、析出物の成長先端の活性点「キンク」と反応し不活性化し、析出物が対極方向に成長することを抑制することを見出した。濃度が高いほどこの効果は強くなるが、活物質表面に膜を生成しリチウムイオン透過の抵抗を上昇させるという問題がありサイクル性能が低下するという不具合があった。この問題を解決するには窪み部分に選択的にニトリル系の添加剤、好ましくは必要最低量のニトリル系の添加剤を配置することが効果的である。
本願発明者等は、ベーマイト等の固体粒子が強くジニトリル化合物を引き付ける性質があることを見出し、本技術では、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を添加する(好ましくは少量添加する)とともに、電極表面の隣接活物質粒子間の窪みに、固体粒子を配置する。これにより、本技術の式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を、窪みに集中させ、金属の析出を平面方向のみに制御し、窪みの内側に析出物を収容し、短絡を抑制することができる。短絡が生じやすいとされていた高充電圧の高容量電池の短絡を抑制することができ、短絡が生じにくい高充電圧の高容量電池を供給することができる。さらに、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種が窪みに留まることにより、サイクルに悪影響が出ることを抑制する効果も得ることができ、従来実現しなかったサイクル性能と金属析出による短絡耐性との両立も可能になる。
固体粒子を配置する個所としては、正極側の正極活物質粒子間の窪みも有効である。正極側の窪みは負極表面と至近距離で対向しているため、正極側の正極活物質粒子間の窪みに式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を引きつけることにより、至近距離で対向する負極側の窪みにも、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を受動的に供給できるからである。したがって、固体粒子は、正極側の窪みのみに配置してもよく、負極側の窪みのみに配置してもよく、正極側の窪みおよび負極側の窪みの両方に配置してもよい。
以下、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ラミネートフィルム型の電池の例)
2.第2の実施の形態(円筒型の電池の例)
3.第3の実施の形態(角型の電池の例)
4.第4の実施の形態(電池パックの例)
5.第5の実施の形態(電池パックの例)
6.第6の実施の形態(蓄電システム等の例))
7.他の実施の形態(変形例)
なお、以下に説明する実施の形態等は本技術の好適な具体例であり、本技術の内容がこれらの実施の形態等に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また例示した効果と異なる効果が存在することを否定するものではない。
1.第1の実施の形態
本技術の第1の実施の形態では、ラミネートフィルム型の電池の一例について説明する。この電池は、例えば、非水電解質電池であり、充電および放電が可能な二次電池であり、リチウムイオン二次電池である。
(1−1)非水電解質電池の一例の構成
図1は、第1の実施の形態による非水電解質電池の構成を表すものである。この非水電解質電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、正極リード51および負極リード52が取り付けられた巻回電極体50をフィルム状の外装部材60の内部に収容したものである。
正極リード51および負極リード52は、それぞれ、外装部材60の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード51および負極リード52は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレス等の金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材60は、例えば、金属層の両面に樹脂層が形成されたラミネートフィルムからなる。ラミネートフィルムは、金属層のうち電池外側に露出する面に外側樹脂層が形成され、巻回電極体50等の発電要素に対向する電池内側面に内側樹脂層が形成される。
金属層は、水分、酸素、光の進入を防ぎ内容物を守る最も重要な役割を担っており、軽さ、伸び性、価格、加工のしやすさからアルミニウム(Al)が最もよく使われる。外側樹脂層は、外観の美しさや強靱さ、柔軟性等を有し、ナイロンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料が用いられる。内側樹脂層は、熱や超音波で溶け、互いに融着する部分であるため、ポリオレフィン樹脂が適切であり、無延伸ポリプロピレン(CPP)が多用される。金属層と外側樹脂層および内側樹脂層との間には、必要に応じて接着剤層を設けてもよい。
外装部材60は、例えば深絞りにより内側樹脂層側から外側樹脂層の方向に向けて形成された、巻回電極体50を収容する凹部が設けられており、内側樹脂層が巻回電極体50と対向するように配設されている。外装部材60の対向する内側樹脂層同士は、凹部の外縁部において融着等により互いに密着されている。外装部材60と正極リード51および負極リード52との間には、外装部材60の内側樹脂層と、金属材料からなる正極リード51および負極リード52との接着性を向上させるための密着フィルム61が配置されている。密着フィルム61は、金属材料との接着性の高い樹脂材料からなり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンや、これら材料が変性された変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材60は、金属層がアルミニウム(Al)からなるアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレン等の高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図2は、図1に示した巻回電極体50のI−I線に沿った断面構造を表すものである。図1に示すように、巻回電極体50は、帯状の正極53と帯状の負極54とを帯状のセパレータ55および電解質層56を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は必要に応じて保護テープ57により保護されている。
(正極)
正極53は、正極集電体53Aの片面あるいは両面に正極活物質層53Bが設けられた構造を有している。
正極53は、正極活物質を含有する正極活物質層53Bが、正極集電体53Aの両面上に形成されたものである。なお、図示はしないが、正極集電体53Aの片面のみに正極活物質層53Bを設けるようにしてもよい。負極集電体54Aは、例えば、銅箔等の金属箔により構成されている。
正極集電体53Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいは、ステンレス(SUS)箔等の金属箔を用いることができる。
正極活物質層53Bは、例えば正極活物質と、導電剤と、結着剤とを含有して構成されている。正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を用いることができ、必要に応じて、結着剤、導電剤等の他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物等が挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。
正極材料は、例えば、LixM1O2あるいはLiyM2PO4で表されるリチウム含有化合物を用いることができる。式中、M1およびM2は1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LixNiO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LixNi1-zCoz2(0<z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi(1-v-w)CovMnw2(0<v+w<1、v>0、w>0))、またはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)あるいはリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2-tNit4(0<t<2))等が挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-uMnuPO4(0<u<1))等が挙げられる。
このようなリチウム複合酸化物として、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる。また、遷移金属元素の一部を他の元素に置換した固溶体も使用可能である。例えば、ニッケルコバルト複合リチウム酸化物(LiNi0.5Co0.52、LiNi0.8Co0.22等)がその例として挙げられる。これらのリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度が優れたものである。
更にまた、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、上記リチウム含有化合物のいずれかよりなる粒子の表面を、他のリチウム含有化合物のいずれかよりなる微粒子で被覆した複合粒子としてもよい。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化バナジウム(V25)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化マンガン(MnO2)等の酸化物、二硫化鉄(FeS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)等の二硫化物、二セレン化ニオブ(NbSe2)等のリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物やスピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、ならびに、硫黄、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレンあるいはポリピロール等の導電性高分子も挙げられる。もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
導電剤としては、例えばカーボンブラックあるいはグラファイト等の炭素材料等が用いられる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体等から選択される少なくとも1種が用いられる。
正極53は正極集電体53Aの一端部にスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード51を有している。この正極リード51は金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。正極リード51の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
(負極)
負極54は、負極集電体54Aの片面あるいは両面に負極活物質層54Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層54Bと正極活物質層53Bとが対向するように配置されている。
なお、図示はしないが、負極集電体54Aの片面のみに負極活物質層54Bを設けるようにしてもよい。負極集電体54Aは、例えば、銅箔等の金属箔により構成されている。
負極活物質層54Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層53Bと同様の結着剤や導電剤等の他の材料を含んで構成されていてもよい。
なお、この非水電解質電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極53の電気化学当量よりも大きくなっており、理論上、充電の途中において負極54にリチウム金属が析出しないようになっている。
また、この非水電解質電池は、完全充電状態における開回路電圧(すなわち電池電圧)が、例えば2.80V以上6.00V以下の範囲内になるように設計されている。特に、負極活物質としてLi/Li+に対して0V近くでリチウム合金となる材料またはリチウムを吸蔵する材料を用いた場合には、完全充電状態における開回路電圧が、例えば4.20V以上6.00V以下の範囲内になるように設計されている。この場合、満充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下とされることが好ましい。満充電状態における開回路電圧が4.25V以上とされる場合は、4.20Vの電池と比較して、同じ正極活物質であっても単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるため、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整される。これにより、高いエネルギー密度が得られるようになっている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭等の炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークス等がある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、かつ高容量化が可能な他の負極材料としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本技術において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、より好ましいのはケイ素(Si)およびスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものであり、特に好ましくは少なくともケイ素を含むものである。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)は、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズ(Sn)の化合物あるいはケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、この負極材料としては、コバルト(Co)と、スズ(Sn)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズ(Sn)とコバルト(Co)との合計に対するコバルト(Co)の割合が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)が好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
なお、このSnCoC含有材料は、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素(C)の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズ(Sn)等が凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素(C)が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物等も挙げられる。金属酸化物としては、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti512)等のチタンとリチウムとを含むリチウムチタン酸化物、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデン等が挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロール等が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータ55は、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の膜から構成される多孔質膜である。セパレータ55の空孔には、非水電解液が保持される。
セパレータ55は、例えば、樹脂からなる多孔質膜である。樹脂からなる多孔質膜とは、樹脂等の材料が薄く延伸されたものであり、且つ、多孔構造を有するものである。例えば、樹脂からなる多孔質膜は、樹脂等の材料を延伸開孔法、相分離法などで成形することにより得たものである。例えば、延伸開口法では、まず、溶融ポリマーをTダイやサーキュラーダイから押し出し、さらに熱処理を施し規則性の高い結晶構造を形成する。その後、低温延伸、更には高温延伸して結晶界面を剥離させてラメラ間に間隔部分を作り、多孔構造を形成する。相分離法では、ポリマーと溶剤とを高温で混合して調製した均一溶液を、Tダイ法、インフレーション法などでフィルム化した後、溶剤を別の揮発性溶剤で抽出することにより、樹脂からなる多孔質膜を得ることができる。なお、樹脂からなる多孔質膜の製造方法は、これらに限定されるものではなく、従来提案されている方法を広く用いることができる。このようなセパレータ55を構成する樹脂材料は、例えばポリプロピレンもしくはポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂またはナイロン樹脂等を用いることが好ましい。特に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン等のポリエチレン、もしくはそれらの低分子量ワックス分、またはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂は溶融温度が適当であり、入手が容易なので好適に用いられる。また、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造、もしくは、2種以上の樹脂材料を溶融混練して形成した多孔質膜としてもよい。ポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜を含むものは、正極53と負極54との分離性に優れ、内部短絡の低下をいっそう低減することができる。
セパレータ55は、不職布であってもよい。不織布は、繊維を織ったり編んだりしないで、機械的、化学的、若しくは、溶剤、またはこれらを組み合わせて、繊維間を接合若しくは絡合、または接合および絡合によって作られた構造物である。不織布の原料には繊維に加工できるほとんどの物質を使用することができ、繊維長や太さなどの形状を調整することで、目的、用途に応じた機能を持たせることができる。不織布の製造方法は、典型的には、フリースと呼ばれる繊維の集積層を形成する工程と、フリースの繊維間を結合する結合工程との2段階がある。それぞれの段階において、様々な製造方法があり、不織布の原料、目的、用途に応じて選択される。例えば、フリースを形成する工程としては、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等を用いることができる。フリースの繊維間を結合する結合工程としては、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)、ステッチボンド法、スチームジェット法等を用いることができる。
不織布としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を用いたポリエチレンテレフタレート透気性膜(ポリエチレンテレフタレート不織布)などが挙げられる。なお、透気性膜とは、透気性を有する膜のことをいう。その他、不織布としては、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ポリオレフィン繊維、または、ナイロン繊維等を用いたもの等が挙げられる。不織布は、2種以上の繊維を用いたものであってもよい。
セパレータ55の厚さは、必要な強度を保つことができる厚さ以上であれば任意に設定可能である。セパレータ55は、正極53と負極54との間の絶縁を図り、短絡等を防止するとともに、セパレータ55を介した電池反応を好適に行うためのイオン透過性を有し、かつ電池内において電池反応に寄与する活物質層の体積効率をできるだけ高くできる厚さに設定されることが好ましい。具体的に、セパレータ55の厚さは、例えば4μm以上20μm以下であることが好ましい。
(電解質層)
電解質層56は、マトリックス高分子化合物と非水電解液と固体粒子を含む。電解質層56は、例えば、非水電解液がマトリックス高分子化合物により保持されたものであり、例えば、いわゆるゲル状の電解質からなる層である。なお、固体粒子は、負極活物質層53Bの内部および/または正極活物質層54の内部に含まれていてもよい。また、詳細は後述の変形例において説明するが、電解質層56に代えて、液状の電解質である非水電解液を用いてもよい。この場合、非水電解質電池は、巻回電極体50に代えて、巻回電極体50から電解質層56を省略した構成の巻回体を備える。巻回体には、外装部材60内に充填された液状の電解質である非水電解液が、含浸される。
(マトリックス高分子化合物)
電解液を保持するマトリックス高分子化合物(樹脂)としては、溶媒に相溶可能な性質を有するもの等を用いることができる。このようなマトリックス高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体およびその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のゴム類、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド(特にアラミド)、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、アクリル酸樹脂またはポリエステル等の融点およびガラス転移温度の少なくとも一方が180℃以上の樹脂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
(非水電解液)
非水電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する非水溶媒と、添加剤とを含む。
(電解質塩)
電解質塩は、例えば、リチウム塩等の軽金属化合物の1種あるいは2種以上を含有している。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C654)、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3SO3)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2SiF6)、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)等が挙げられる。中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンあるいはε−カプロラクトン等のラクトン系溶媒、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチル等の炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランあるいは2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、またはピロリドン類等の非水溶媒が挙げられる。溶媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(添加剤)
非水電解液は、下記の式(1)で表されるジニトリル化合物のうちの少なくとも1種を含む。
Figure 0006540013
(式中、R61は2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
式(1)で表されるジニトリル化合物は、両末端にニトリル基(シアノ基とも称する:−C≡N)を有する化合物である。
R61の種類は、2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基であれば、特に限定されない。両末端にニトリル基を有することで、R61の種類に依存せずに上記した利点が得られるからである。
2価の炭化水素基は、例えば、炭素数=1〜12のアルキレン基、炭素数=2〜12のアルケニレン基、炭素数=2〜12のアルキニレン基、炭素数=6〜18のアリーレン基、炭素数=3〜18のシクロアルキレン基、それらの2つ以上が結合された基、またはそれらの少なくとも一部の水素基がハロゲン基により置換された基である。ジニトリル化合物の溶解性および相溶性などを確保しつつ、上記した利点が得られるからである。中でも、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基の炭素数は、6以下であることがより好ましい。優れた溶解性および相溶性が得られるからである。
より具体的には、アルキレン基は、例えば、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−C24−)、プロピレン基(−C36−)またはブチレン基(−C48−)などである。アルケニレン基は、例えば、ビニレン基(−CH=CH−)などである。アルキニレン基は、例えば、エチニレン基(−C≡C−)などである。アリーレン基は、例えば、フェニレン基などである。シクロアルキレン基は、例えば、シクロプロピレン基またはシクロブチレン基などである。
「2つ以上が結合された基」とは、例えば、上記したアルキレン基などのうちの2種類以上が全体として2価となるように結合された基であり、例えば、アルキレン基とアリーレン基とが結合された基などである。
「2価のハロゲン化炭化水素基」とは、上記した2価の炭化水素基がハロゲン化されたものである。より具体的には、アルキレン基などがハロゲン化された基は、例えば、ジフルオロメチレン基(−CF2−)などである。
ここで、式(1)で表されるジニトリル化合物の具体例は、下記の式(1−1)〜式(1−11)で表される化合物等などである。ただし、式(1)で表されるジニトリル化合物の具体例は、下記に列挙したものに限られない。
Figure 0006540013
(ジニトリル化合物の含有量)
式(1)で表されるジニトリル化合物の含有量は、より優れた効果が得られる点から、非水電解液に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上9質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
(固体粒子)
固体粒子としては、例えば、無機粒子および有機粒子の少なくとも何れか等を用いることができる。無機粒子としては、例えば、金属酸化物、硫酸塩化合物、炭酸塩化合物、金属水酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属フッ化物、リン酸塩化合物、鉱物等の粒子を挙げることができる。なお、粒子としては、典型的には電気絶縁性を有するものを用いるが、導電性材料の粒子(微粒子)の表面を、電気絶縁性材料で表面処理等を行うことで、電気絶縁性を持たせた粒子(微粒子)を用いてもよい。
金属酸化物としては、酸化ケイ素(SiO2、シリカ(珪石粉末、石英ガラス、ガラスビーズ、珪藻土、湿式又は乾式の合成品等、湿式合成品としてはコロイダルシリカ、乾式合成品としてはフュームドシリカが挙げられる。))、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化マグネシウム(マグネシア、MgO)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化アルミニウム(アルミナ、Al23)等を好適に用いることができる。
硫酸塩化合物としては、硫酸マグネシウム(MgSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、硫酸バリウム(BaSO4)、硫酸ストロンチウム(SrSO4)等を好適に用いることができる。炭酸塩化合物としては、炭酸マグネシウム(MgCO3、マグネサイト)、炭酸カルシウム(CaCO3、方解石)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)等を好適に用いることができる。金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2、ブルサイト)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3(バイヤーライト、ギブサイト))、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)等や、ベーマイト(Al232OまたはAlOOH、ダイアスポア)、ホワイトカーボン(SiO2・nH2O、シリカ水和物)、酸化ジルコニウム水和物(ZrO2・nH2O(n=0.5〜10))、酸化マグネシウム水和物(MgOa・mH2O(a=0.8〜1.2、m=0.5〜10))等の酸化水酸化物、水和酸化物や、水酸化マグネシウム8水和物等の水酸化水和物等を好適に用いることができる。金属炭化物としては、炭化ホウ素(B4C)等を好適に用いることができる。金属窒化物としては、窒化ケイ素(Si34)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)または窒化チタン(TiN)等を好適に用いることができる。
金属フッ化物としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化マグネシウム等を好適に用いることができる。リン酸塩化合物としては、リン酸トリリチウム(Li3PO4)、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム等を好適に用いることができる。
鉱物としては、ケイ酸塩鉱物、炭酸塩鉱物、酸化鉱物等が挙げられる。ケイ酸塩鉱物は、結晶構造を基に、ネソケイ酸塩鉱物、ソロケイ酸塩鉱物、サイクロケイ酸塩鉱物、イノケイ酸塩鉱物、層状(フィロ)ケイ酸塩鉱物、テクトケイ酸塩鉱物に分類される。なお、結晶構造とは異なる分類基準で、アスベスト類と称される繊維状ケイ酸塩鉱物に分類されるものもある。
ネソケイ酸塩鉱物は、独立のSi−O四面体([SiO44-)よりなる島状四面体型ケイ酸鉱物である。ネソケイ酸塩鉱物としては、かんらん石類、柘榴石類に該当するもの等が挙げられる。ネソケイ酸塩鉱物としては、より具体的には、オリビン(Mg2SiO4(苦土かんらん石)とFe2SiO4(鉄かんらん石)の連続固溶体)、ケイ酸マグネシウム(フォルステライト(苦土かんらん石)、Mg2SiO4)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、珪線石、紅柱石、藍晶石)、ケイ酸亜鉛(珪亜鉛鉱物、Zn2SiO4)、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン、ZrSiO4)、ムライト(3Al23・2SiO2〜2Al23・SiO2)等が挙げられる。
ソロケイ酸塩鉱物は、Si−O四面体の複結合群([Si276-、[Si51612-)よりなる群構造型ケイ酸塩鉱物である。ソロケイ酸塩鉱物としては、ベスブ石、緑簾石類に該当するもの等が挙げられる。
サイクロケイ酸塩鉱物は、Si−O四面体の有限(3−6個)結合の環状体([Si396-、[Si4128-、[Si61812-)よりなる環状体型のケイ酸塩鉱物である。サイクロケイ酸塩鉱物としては、緑柱石、電気石類等が挙げられる。
イノケイ酸塩鉱物は、Si−O四面体の連結が無限に延びて、鎖状([Si264-)および帯状([Si396-、[Si4116-、[Si51510-、[Si72114-)をなす繊維状型ケイ酸塩鉱物である。イノケイ酸塩鉱物としては、例えば、ケイ酸カルシウム(珪灰石(ワラストナイト)、CaSiO3)等の輝石類に該当するもの等、角閃石類に該当するもの等が挙げられる。
層状珪酸塩鉱物は、Si−O四面体([SiO44-)の網状結合をなす層状型ケイ酸塩鉱物である。なお、層状珪酸塩鉱物の具体例は、後述する。
テクトケイ酸塩鉱物は、Si−O四面体([SiO44-)が3次元的の網目結合をなす3次元網目構造型ケイ酸塩鉱物である。テクトケイ酸塩鉱物としては、石英、長石類、沸石類等、ゼオライト(M2/nO・Al23・xSiO2・yH2O、Mは金属元素、nはMの価数、x≧2、y≧0)=沸石等のアルミノケイ酸塩(aM2O・bAl23・cSiO2・dH2O、Mは上記と同義である。a、b、c、dは、それぞれ1以上の整数である。)等が挙げられる。
アスベスト類としては、クリソタイル、アモサイト、アンソフィナイト等が挙げられる。
炭酸塩鉱物としては、ドロマイト(苦灰石、CaMg(CO32)、ハイドロタルサイト(Mg6Al2(CO3)(OH)16・4(H2O))等が挙げられる。
酸化鉱物としては、スピネル(MgAl24)等が挙げられる。
その他の鉱物としては、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等が挙げられる。なお、鉱物は天然鉱物であっても人工鉱物であってもよい。
なお、これらの鉱物の中で、粘土鉱物に分類されるものがある。この粘土鉱物としては、結晶質の粘土鉱物、非結晶質または準結晶質の粘土鉱物等が挙げられる。結晶質の粘土鉱物としては、層状ケイ酸塩鉱物、層状ケイ酸塩に近い構造のもの、その他のケイ酸塩鉱物等のケイ酸塩鉱物、層状炭酸塩鉱物等が挙げられる。
層状ケイ酸塩鉱物は、Si−Oの四面体シートと、四面体シートと組合うAl−O、Mg−O等の八面体シートとを備えるものである。層状ケイ酸塩は、典型的には四面体シートおよび八面体シートの数、八面体の陽イオンの数、層電荷によって分類される。なお、層状ケイ酸塩鉱物は、層間の金属イオンの全部または一部を有機アンモニウムイオン等で置換したもの等であってもよい。
具体的には、層状ケイ酸塩鉱物としては、1:1型構造のカオリナイト−蛇紋石族、2:1型構造のパイロフィライト−タルク族、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ(雲母)族、ブリトルマイカ(脆雲母)族、クロライト(緑泥石族)等に該当するもの等が挙げられる。
カオリナイト−蛇紋石族に該当するものとしては、例えば、クリソタイル、アンチゴライト、リザーダイト、カオリナイト(Al2Si25(OH)4)、ディッカイト等が挙げられる。パイロフィライト−タルク族に該当するものとしては、例えば、タルク(Mg3Si410(OH)2)、ウィレムサイト、葉ろう石(パイロフィライト、Al2Si410(OH)2)等が挙げられる。スメクタイト族に該当するものとしては、例えば、サポナイト〔(Ca/2,Na)0.33(Mg,Fe2+3(Si,Al)410(OH)2・4H2O〕、ヘクトライト、ソーコナイト、モンモリロナイト{(Na,Ca)0.33(Al,Mg)2Si410(OH)2・nH2O、なお、モンモリロナイトを主成分とする粘土はベントナイトと称する}、バイデライト、ノントライト等が挙げられる。マイカ(雲母)族に該当するものとしては、例えば、モスコバイト(白雲母、KAl2(AlSi3)O10(OH)2)セリサイト(絹雲母)、フロゴパイト(金雲母)、バイオタイト、レピドライト(リチア雲母)等が挙げられる。ブリトルマイカ(脆雲母)族に該当するものとしては、例えば、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等が挙げられる。クロライト(緑泥石)族に該当するものとしては、例えば、クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等が挙げられる。
層状ケイ酸塩に近い構造のものとしては、リボン状に配列した四面体シートが頂点を逆転しながら隣のリボン状に配列した四面体シートとつながる2:1リボン構造をとる含水マグネシウムケイ酸塩等が挙げられる。含水マグネシウムケイ酸塩としては、セピオライト(海泡石:Mg9Si1230(OH)6(OH24・6H2O)、パリゴルスカイト等が挙げられる。
その他のケイ酸塩鉱物としては、ゼオライト(M2/nO・Al23・xSiO2・yH2O、Mは金属元素、nはMの価数、x≧2、y≧0)等の多孔質アルミノケイ酸塩、アタパルジャイト〔(Mg,Al)2Si410(OH)・6H2O〕等が挙げられる。
層状炭酸塩鉱物としては、ハイドロタルサイト(Mg6Al2(CO3)(OH)16・4(H2O))等が挙げられる。
非結晶質または準結晶質の粘土鉱物としては、ビンゲライト、イモゴライト(Al2SiO3(OH))、アロフェン等が挙げられる。
これらの無機粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。無機粒子は耐酸化性も備えており、電解質層56を正極53とセパレータ55との間に設ける場合には、充電時の正極近傍における酸化環境に対しても強い耐性を有する。
固体粒子としては、有機粒子であってもよい。有機粒子を構成する材料としては、メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン、架橋ポリメタクリル酸メチル(架橋PMMA)、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリアミド、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これら材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの固体粒子の中でも、より優れた効果が得られる点から、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸塩の粒子が好ましい。これらの固体粒子では、結晶構造中にシート状に配列した−O−Hによる電池の偏りが、強く添加剤を選択的にひきつけ、これにより、より効果的に活物質粒子間の窪みに添加剤を集中的に集めることができる。
(電池内部の構成)
図3Aおよび図3Bは、本技術の第1の実施の形態による非水電解質電池の内部の一部を拡大した概略断面図である。なお、活物質層に含まれる結着剤、導電剤等の図示は省略している。
図3Aに示すように、本技術の第1の実施の形態による非水電解質電池では、セパレータ55および負極活物質層54Bの間、並びに、負極活物質層54Bの内部に、上述した固体粒子である粒子10が、適切な濃度で適切な領域に配置された構成を有する。この構成では、負極側の窪み含浸領域A、負極側の上塗り領域Bおよび負極側の深部領域Cに区分された3つの領域が形成されている。
また、同様に、図3Bに示すように、本技術の第1の実施の形態による非水電解質電池では、セパレータ55および正極活物質層53Bの間、並びに、正極活物質層53Bの内部に、上述した固体粒子である粒子10が、適切な濃度で適切な領域に配置された構成を有する。この構成では、正極側の窪み含浸領域A、正極側の上塗り領域Bおよび正極側の深部領域Cに区分された3つの領域が形成されている。
(窪み含浸領域A、上塗り領域B、深部領域C)
負極側および正極側の窪み含浸領域A、負極側および正極側の上塗り領域B、並びに、負極側および正極側の深部領域Cは、例えば、以下のように形成されている。
(窪み含浸領域A)
(負極側の窪み含浸領域)
負極側の窪み含浸領域Aは、負極活物質である負極活物質粒子11を含む負極活物質層54Bの、最表面に位置する隣接負極活物質粒子11間の窪みを含む領域である。この窪み含浸領域Aには、粒子10および式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質が含浸されている。これにより、負極側の窪み含浸領域Aは、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質で満たされている。また、負極側の窪み含浸領域Aには、この電解質に含まれる固体粒子として粒子10が含まれている。なお、電解質は、ゲル状の電解質であってもよく、非水電解液からなる液状の電解質であってもよい。
図3Aに示す二本の平行線L1、L2の間の領域内の負極活物質粒子11の断面を除いた領域が、電解質および粒子10が配置された窪みを含む負極側の窪み含浸領域Aとして区分される。二本の平行線L1、L2は次のようにして引かれる。図3Aに示すような所定の視野幅(典型的には視野幅50μm)で、セパレータ55および負極活物質層54B、並びにセパレータ55および負極活物質層54Bの間の領域の断面を観察する。この観察視野において、セパレータ55の厚さ方向に対して垂直な2本の平行線L1、L2を引く。平行線L1は、負極活物質粒子11の断面像の最もセパレータ55に近接する位置を通る線である。平行線L2は、隣接負極活物質粒子11間の窪みに含まれる粒子10の断面像の最深部を通る線である。最深部とは、セパレータ55の厚さ方向において、セパレータ55から最も離れた位置のことをいう。なお、断面観察は、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)などを用いて行うことができる。
(正極側の窪み含浸領域)
正極側の窪み含浸領域Aは、正極活物質である正極活物質粒子12を含む正極活物質層53Bの、最表面に位置する隣接正極活物質粒子12間の窪みを含む領域である。この窪み含浸領域Aには、固体粒子である粒子10および式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質が含浸されている。これにより、正極側の窪み含浸領域Aは、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質で満たされている。また、正極側の窪み含浸領域Aには、この電解質に含まれる固体粒子として粒子10が含まれている。なお、電解質は、ゲル状の電解質であってもよく、非水電解液からなる液状の電解質であってもよい。
図3Bに示す二本の平行線L1、L2の間の領域内の正極活物質粒子12の断面を除いた領域が、電解質および粒子10が配置された窪みを含む正極側の窪み含浸領域Aとして区分される。二本の平行線L1、L2は次のようにして引かれる。図3Bに示すような所定の視野幅(典型的には視野幅50μm)で、セパレータ55および正極活物質層53B、並びにセパレータ55および正極活物質層53Bの間の領域の断面を観察する。この観察視野において、セパレータ55の厚さ方向に対して垂直な2本の平行線L1、L2を引く。平行線L1は、正極活物質粒子12の断面像の最もセパレータ55に近接する位置を通る線である。平行線L2は、隣接正極活物質粒子12間の窪みに含まれる粒子10の断面像の最深部を通る線である。なお、最深部とは、セパレータ55の厚さ方向において、セパレータ55から最も離れた位置のことをいう。
(上塗り領域B)
(負極側の上塗り領域)
負極側の上塗り領域Bは、負極側の窪み含浸領域Aとセパレータ55との間の領域である。この上塗り領域Bは、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質で満たされている。この上塗り領域Bには、この電解質に含まれる固体粒子である粒子10が含まれている。なお、この上塗り領域Bには、粒子10が含まれていなくてもよい。図3Aに示す同様の所定の観察視野に含まれる上述した平行線L1とセパレータ55との間の領域が、負極側の上塗り領域Bとして区分されている。
(正極側の上塗り領域)
正極側の上塗り領域Bは、正極側の窪み含浸領域Aとセパレータ55との間の領域である。この上塗り領域Bは、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質で満たされている。この上塗り領域Bには、この電解質に含まれる固体粒子である粒子10が含まれている。なお、この上塗り領域Bには、粒子10が含まれていなくてもよい。図3Bに示す同様の所定の観察視野に含まれる上述した平行線L1とセパレータ55との間の領域が、正極側の上塗り領域Bとして区分されている。
(深部領域C)
(負極側の深部領域)
負極側の深部領域Cは、負極側の窪み含浸領域Aより深い側にある負極活物質層54Bの内部の領域である。この深部領域Cの負極活物質粒子11間の空隙には、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質が満たされている。この深部領域Cには、この電解質に含まれる粒子10が含まれている。なお、この深部領域Cには、粒子10が含まれていなくてもよい。
図3Aに示す同様の所定の観察視野に含まれる窪み含浸領域Aおよび上塗り領域B以外の負極活物質層54Bの領域が、負極側の深部領域Cとして区分されている。例えば、図3Aに示す同様の所定の観察視野に含まれる上述した平行線L2と負極集電体54Aとの間の領域が、負極側の深部領域Cとして区分されている。
(正極側の深部領域)
正極側の深部領域Cは、正極側の窪み含浸領域Aより深い側にある正極活物質層53Bの内部の領域である。この正極側の深部領域Cの正極活物質粒子12間の空隙には、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電解質が満たされている。この深部領域Cには、この電解質に含まれる粒子10が含まれている。なお、この深部領域Cには、粒子10が含まれていなくてもよい。
図3Bに示す同様の所定の観察視野に含まれる窪み含浸領域Aおよび上塗り領域B以外の正極活物質層53Bの領域が、正極側の深部領域Cとして区分されている。例えば、図3Bに示す同様の所定の観察視野に含まれる上述した平行線L2と正極集電体53Aとの間の領域が、正極側の深部領域Cとして区分されている。
(固体粒子の濃度)
負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度は、30体積%以上あり、30体積%以上90体積%以下であることが好ましく、40体積%以上80体積%以下であることがより好ましい。負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度が上記範囲である場合には、負極活物質層の最表面に位置する隣接粒子間の窪みにより多くの固体粒子が配置される。これにより、この固体粒子に式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種が捕捉され、添加剤が隣接活物質粒子間の窪みに停滞しやすくなる。このため、隣接粒子間の窪み内の添加剤の存在比率を、他の部分より高くすることができる。本技術の式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を窪みに集中させ、金属の析出を平面方向のみに制御し、窪みの内側に析出物を収容し、短絡事故の起きにくい高充電圧の高容量電池を供給することができる。また、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種が窪みに留まることによりサイクルに悪影響が出ることを抑制する効果がある。従来実現しなかったサイクル性能と析出耐性の両立も可能になる。
上記と同様の理由から、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度は、30体積%以上あり、30体積%以上90体積%以下であることが好ましく、40体積%以上80体積%以下であることがより好ましい。正極側の窪みは負極表面と至近距離で対向しているため、正極側の窪みに式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を集中させることによって、式(1)で表されるニトリル化合物の少なくとも1種が、負極側の窪みに受動的に供給される。これにより、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を窪みに集中させ、金属の析出を平面方向のみに制御し、窪みの内側に析出物を収容し、短絡が生じることを抑制できる。
負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度は、負極側の深部領域Cの固体粒子濃度の10倍以上であることが好ましい。負極側の深部領域Cの粒子濃度は、3体積%以下であることが好ましい。負極側の深部領域Cの固体粒子濃度が高すぎると、活物質粒子間に固体粒子が多く存在しすぎるため、抵抗になったり、捕捉している添加剤が副反応を起こして、内部抵抗が増加してしまう。
同様の理由で、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度は、正極側の深部領域Cの固体粒子濃度の10倍以上であることが好ましい。正極側の深部領域Cの粒子濃度は、3体積%以下であることが好ましい。正極側の深部領域Cの固体粒子濃度が高すぎると、活物質粒子間に多く存在しすぎるため、抵抗になったり、捕捉している添加剤が副反応を起こして、内部抵抗が増加してしまう。
(固体粒子濃度)
上述の固体粒子濃度とは、2μm×2μmの観察視野をとった場合の粒子断面の合計面積の面積百分率((「粒子断面の合計面積」÷「観察視野の面積」)×100)(%)で規定される固体粒子の体積濃度(体積%)のことをいう。なお、窪み含浸領域Aの濃度を規定する場合には、例えば、隣接粒子間に形成される窪みの幅方向の中心近傍において、上記観察視野を取る。観察は例えば、SEMを用いて行い、撮影により取得した画像を処理することによって、上記の各面積を算出することができる。
(窪み含浸領域A、上塗り領域B、深部領域Cの厚さ)
負極側の窪み含浸領域Aの厚さは、負極活物質層54Bの厚さの10%以上40%以下であることが好ましい。負極側の窪み含浸領域Aの厚さが上記範囲である場合には、窪みに配置される必要な固体粒子量を確保し且つ深部領域Cに固体粒子および添加剤が入り込みすぎない状態を保持することができる。なお、さらに負極側の窪み含浸領域Aの厚さは、上記の範囲であり、且つ、負極側の上塗り領域Bの厚さの2倍以上であることがより好ましい。電極間距離が広がることを避けて、エネルギー密度をより向上できるからである。また、同様の理由で、正極側の窪み含浸領域Aの厚さは、正極側の上塗り領域Bの厚さの2倍以上であることがより好ましい。
(各領域の厚さの測定方法)
窪み含浸領域Aの厚さを規定する場合には、異なる4つの観察視野における窪み含浸領域Aの厚さの平均値を、窪み含浸領域Aの厚さとする。上塗り領域Bの厚さを規定する場合には、異なる4つの観察視野における上塗り領域Bの厚さの平均値を、上塗り領域Bの厚さとする。深部領域Cの厚さを規定する場合には、異なる4つの観察視野における深部領域Cの厚さの平均値を、深部領域Cの厚さとする。
(固体粒子の粒子径)
固体粒子の粒子径としては、粒子径D50が、活物質粒子の粒子径D50の「2/√3−1」倍以下であることが好ましい。また、固体粒子の粒子径としては、粒子径D50が、0.1μm以上であることがさらに好ましい。固体粒子の粒子径としては、粒子径D95が、活物質粒子の粒子径D50の「2/√3−1」倍以上であることが好ましい。粒子径が大きい方の粒子で、窪みの底部の隣接活物質粒子間の間隙を塞ぎ、深部領域Cに固体粒子が過剰に入って電池特性に悪影響を与えることを抑制できる。
(粒子径の測定)
固体粒子の粒子径D50は、例えば、固体粒子を含む電解質等から固体粒子以外の構成成分を除去した後の固体粒子を、レーザー回折法により測定した粒度分布において、小さい粒子径の粒子側から起算した体積累計50%の粒子径である。また、上記測定した粒度分布から、体積累計95%の粒子径D95の値を得ることができる。活物質の粒子径D50は、活物資粒子を含む活物質層から活物質粒子以外の構成成分を除去した後の活物質粒子を、レーザー回折法により測定した粒度分布において、小さい粒子径の粒子側から起算した体積累計50%の粒子径である。
(固体粒子の比表面積)
比表面積(m2/g)は、比表面積測定法であるBET法により測定されたBET比表面積(m2/g)である。固体粒子のBET比表面積は、1m2/g以上60m2/g以下であることが好ましい。BET比表面積が上記数値範囲である場合には、固体粒子が式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を捕捉する作用が高まるので好ましい。一方、BET比表面積が大きすぎる場合には、リチウムイオンまで捕捉してしまうため、出力特性が低下する傾向にある。なお、固体粒子の比表面積は、例えば、上記と同様に固体粒子を含む電解質等から固体粒子以外の構成成分を除去した後の固体粒子について、測定することで得ることができる。
(固体粒子の添加量)
固体粒子の添加量は、より優れた効果が得られる点から、電解質に対して、1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、2質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
(負極側または正極側のみ窪み含浸領域A、上塗り領域B、深部領域Cを有する構成)
なお、負極54の両方の主面にのみ、固体粒子を含有する電解質層56を形成してもよい。また、正極53の両方の主面には、固体粒子を含有しない電解質層56を塗布形成してもよい。同様に、正極53の両方の主面にのみ、固体粒子を含有する電解質層56を形成してもよい。また、負極54の両方の主面には、固体粒子を含有しない電解質層56を塗布形成してもよい。これらの場合などは、負極側の窪み含浸領域A、負極側の上塗り領域B、負極側の深部領域Cのみが形成され、正極側にはこれらの領域が形成されない。正極側の窪み含浸領域A、正極側の上塗り領域B、正極側の深部領域Cのみが形成され、負極側にはこれらの領域が形成されない。
(1−2)非水電解質電池の一例の製造方法
この非水電解質電池の一例は、例えば、以下のようにして、製造することができる。
(正極の製造方法)
正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体53Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより正極活物質層53Bを形成し、正極53を作製する。
(負極の製造方法)
負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体54Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機等により圧縮成型することにより負極活物質層54Bを形成し、負極54を作製する。
(非水電解液の調製)
非水電解液は、非水溶媒に対して電解質塩を溶解させ、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を添加することにより、調製する。
(溶液塗布)
正極53および負極54のそれぞれの両方の主面に、非水電解液と、マトリックス高分子化合物と、固体粒子と、希釈溶媒(ジメチルカーボネート等)とを含む塗布溶液を、加温状態で塗布した後、希釈溶媒を揮発させて電解質層56を形成する。
塗布溶液を加温状態で塗布することで、固体粒子を含む電解質を負極活物質層54Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みや負極活物質層54Bの内部の深部領域Cにしみこませることができる。この際、隣接粒子間の窪みで固体粒子がこしとられることで、負極側の窪み含浸領域Aにおける粒子濃度が増す。これにより、窪み含浸領域Aおよび深部領域Cの粒子濃度に差を設けることができる。同様に、塗布溶液を加温状態で塗布することで、固体粒子を含む電解質を正極活物質層53Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みや正極活物質層53Bの内部の深部領域Cにしみこませることができる。この際、隣接粒子間の窪みで固体粒子がこしとられることで、正極側の窪み含浸領域Aにおける粒子濃度が増す。これにより、窪み含浸領域Aおよび深部領域Cの粒子濃度に差を設けることができる。
なお、塗布溶液を塗布後、余分な塗布溶液をかきとると電極間距離が不用意に広がらないようにすることができる。また、塗布溶液の表面をかきとることにより、隣接活物質粒子間の窪みに固体粒子をさらに多く配置することでき、且つ、上塗り領域Aの固体粒子の比率を下げる。これにより、固体粒子の大部分が集中的に窪み含浸領域Aに配置され、添加剤が、窪み含浸領域Aにより多く集まるようにすることができる。
なお、次のようにしてもよい。正極53の両方の主面には、非水電解液と、マトリックス高分子化合物と、希釈溶媒(ジメチルカーボネート等)とを含む塗布溶液(粒子を除いた塗布溶液)を塗布し、固体粒子を含有しない電解質層56を形成してもよい。また、正極53の一方の主面または両方の主面には、電解質層56を形成しないで、負極54の両方の主面のみに、同様の固体粒子を含む電解質層56を形成してもよい。負極54の両方の主面には、非水電解液と、マトリックス高分子化合物と、希釈溶媒(ジメチルカーボネート等)とを含む塗布溶液(粒子を除いた塗布溶液)を塗布し、固体粒子を含有しない電解質層56を形成してもよい。また、負極54の一方の主面または両方の主面には、電解質層56を形成しないで、正極53の両方の主面のみに、同様の固体粒子を含む電解質層56を形成してもよい。
(非水電解質電池の組み立て)
次に、正極集電体53Aの端部に正極リード51を溶接により取り付けると共に、負極集電体54Aの端部に負極リード52を溶接により取り付ける。
次に、電解質層56が形成された正極53と電解質層56が形成された負極54とを、セパレータ55を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ57を接着して巻回電極体50を形成する。
最後に、例えば、外装部材60の間に巻回電極体50を挟み込み、外装部材60の外縁部同士を熱融着等により密着させて封入する。その際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間には密着フィルム61を挿入する。これにより、図1および図2に示した非水電解質電池が完成する。
[変形例1−1]
第1の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。この作製方法は、非水電解質電池の一例の製造方法の溶液塗布工程において、塗布溶液を正極53および負極54の少なくとも一方の電極の両面に塗布することに代えて、塗布溶液をセパレータ55の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面に形成し、その後、さらに加温および加圧工程を行うことを除き、上述した非水電解質電池の一例の製造方法と同様である。
〔変形例1−1の非水電解質電池の製造方法〕
(正極、負極、セパレータの作製、非水電解液の調製)
非水電解質電池の一例の製造方法と同様にして、正極53、負極54およびセパレータ55の作製、非水電解液の調製を行う。
(溶液塗布)
セパレータ55の両面のうちの少なくとも一方の面に、非水電解液と、樹脂と、固体粒子と、希釈溶媒(ジメチルカーボネート等)とを含む塗布溶液を塗布した後、希釈溶媒を揮発させて電解質層56を形成する。
(非水電解質電池の組み立て)
次に、正極集電体53Aの端部に正極リード51を溶接により取り付けると共に、負極集電体54Aの端部に負極リード52を溶接により取り付ける。
次に、正極53および負極54、並びに、電解質層56が形成されたセパレータ55を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ57を接着して巻回電極体50を形成する。
(加温および加圧工程)
次に、巻回電極体50をラテックスのチューブ等の包装材に入れて密封して静水圧下で加温プレスを行う。これにより、固体粒子を負極活物質層54Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに移動させて、負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。固体粒子を正極活物質層53Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みに移動させて、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。
最後に、ラミネートフィルムからなる外装部材60を深絞り加工することで凹部を形成し、巻回電極体50をこの凹部に挿入し、外装部材60の未加工部分を凹部上部に折り返し、凹部の外周を熱溶着する。その際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間には密着フィルム61を挿入する。以上により、目的とする非水電解質電池が得られる。
[変形例1−2]
上述の第1の実施の形態では、ゲル状の電解質を用いた構成例について説明したが、ゲル状の電解質に代えて、液系の電解質である電解液を用いてもよい。この場合、外装部材60内には非水電解液が充填されており、巻回電極体50から電解質層56を省略した構成の巻回体が、非水電解液に含浸されている。この場合、非水電解質電池は例えば次のようにして作製される。
〔変形例1−2の非水電解質電池の製造方法〕
(正極、負極、非水電解液の調製)
非水電解質電池の一例の製造方法と同様にして、正極53および負極54の作製、非水電解液の調製を行う。
(固体粒子層の塗布形成)
次に、負極54の両方の主面の少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより塗料を塗布した後、乾燥することにより溶媒を除去し、固体粒子層を形成する。塗料としては、例えば、固体粒子、バインダー高分子化合物(樹脂)および溶媒を混合したものを用いることができる。固体粒子層が塗布形成された負極活物質層54Bの最表面では、負極活物質層54Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みで固体粒子がこしとられて、負極側の窪み含浸領域Aの粒子濃度が増加する。同様に、正極53の両方の主面上に、塗布法などにより、上記と同様の塗料を塗布した後、乾燥することにより溶媒を除去し、固体粒子層を形成する。固体粒子層が塗布形成された正極活物質層53Bの最表面では、正極活物質層54Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みで固体粒子がこしとられて、正極側の窪み含浸領域Aの粒子濃度が増加する。固体粒子としては、例えば、固体粒子の粒子径D95が、活物質粒子の粒子径D50の所定の倍率以上になるように調整したものを用いることが好ましい。例えば、固体粒子としては、固体粒子の一部に活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上の固体粒子を添加し、固体粒子の粒子径D95が活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上になるように調整したものを用いることが好ましい。これにより、粒子径が大きい方の固体粒子によって、窪みの底部の粒子間の間隙を埋めて、固体粒子をこしとられやすくすることができる。
なお、固体粒子層を塗布形成の際、余分な塗料をかきとると電極間距離が不用意に広がらないようにすることができる。また、塗料の表面をかきとることにより、隣接活物質粒子間の窪みに固体粒子をさらに多く配置することでき、且つ、上塗り領域Bの固体粒子の比率を下げる。これにより、固体粒子の大部分が集中的に窪み含浸領域に配置され、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種が、窪み含浸領域Aにより多く集まるようにすることができる。
(非水電解質電池の組立て)
次に、正極集電体53Aの端部に正極リード51を溶接により取り付けると共に、負極集電体54Aの端部に負極リード52を溶接により取り付ける。
次に、正極53と負極54とをセパレータ55を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ57を接着して、巻回電極体50の前駆体である巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材60に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材60の内部に収納する。
次に、非水電解液を外装部材60の内部に注入し、巻回体に非水電解液を含浸させたのち、外装部材60の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。以上により、目的とする非電解質二次電池が得られる。
[変形例1−3]
第1の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。
〔変形例1−3の非水電解質電池の製造方法〕
(正極および負極の作製)
非水電解質電池の一例の製造方法と同様にして、正極53および負極54を作製する。
(固体粒子層の塗布形成)
次に、変形例1−2と同様にして、負極の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に固体粒子層を形成する。同様に、正極の両方の主面の少なくとも一方の主面上に固体粒子層を形成する。
(電解質用組成物の調製)
次に、非水電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製する。
(非水電解質電池の組立て)
次に、変形例1−2と同様にして、巻回電極体50の前駆体である巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材60に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材60の内部に収納する。
次に、電解質用組成物を袋状の外装部材60の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材60を密封する。続いて、モノマーを熱重合などにより重合させる。これにより、高分子化合物が形成されるため、電解質層56が形成される。以上により目的とする非水電解質電池が得られる。
[変形例1−4]
第1の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。
〔変形例1−4の非水電解質電池の製造方法〕
(正極、負極の作製、非水電解液の調製)
まず、非水電解質電池の製造方法の一例と同様にして、正極53および負極54の作製、および非水電解液の調製を行う。
(固体粒子層の形成)
次に、変形例1−2と同様にして、負極54の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に固体粒子層を形成する。同様に、正極53の両方の主面の少なくとも一方の主面上に固体粒子層を形成する。
(マトリックス樹脂層の塗布形成)
次に、セパレータ55の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面に、非水電解液と、マトリックス高分子化合物と、N−メチル−2−ピロリドン等の分散溶媒とを含む塗布溶液を塗布した後、乾燥などを行いマトリックス樹脂層を形成する。
(非水電解質電池の組立て)
次に、正極53と負極54とを、セパレータ55を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ57を接着して巻回電極体50を作製する。
次に、ラミネートフィルムからなる外装部材60を深絞り加工することで凹部を形成し、巻回電極体50をこの凹部に挿入し、外装部材60の未加工部分を凹部上部に折り返し、凹部の外周の一部(例えば一辺)を除いて熱溶着する。その際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間には密着フィルム61を挿入する。
続いて、非水電解液を外装部材60の未溶着部分から内部に注入したのち、その外装部材60の未溶着部を熱融着等で密封する。このとき真空封止することにより、非水電解液がマトリックス樹脂層に含浸され、そのマトリックス高分子化合物が膨潤して、電解質層56が形成される。これにより、目的とする非水電解質電池が得られる。
[変形例1−5]
上述の第1の実施の形態では、ゲル状の電解質を用いた構成例について説明したが、ゲル状の電解質に代えて、液系の電解質である電解液を用いてもよい。この場合、外装部材60内には非水電解液が充填されており、巻回電極体50から電解質層56を省略した構成の巻回体が、非水電解液に含浸されている。この場合、非水電解質電池は例えば次のようにして作製される。
〔変形例1−5の非水電解電池の製造方法〕
(正極、負極の作製、非水電解液の調製)
まず、非水電解質電池の製造方法の一例と同様にして、正極53および負極54の作製、並びに、非水電解液の調製を行う。
(固体粒子層の形成)
次に、セパレータ55の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより固体粒子層を形成する。
(非水電解質電池の組立て)
次に、正極53と負極54とをセパレータ55を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ57を接着して、巻回電極体50の前駆体である巻回体を形成する。
(加温および加圧工程)
次に、外装部材60内部に電解液を注入する前に、巻回体をラテックスのチューブ等の包装材に入れて密封して静水圧下で加温プレスを行う。これにより、固体粒子を負極活物質層54Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに移動させて、負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。固体粒子を正極活物質層53Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みに移動させて、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。
次に、この巻回体を外装部材60に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材60の内部に収納する。次に、非水電解液を用意し、外装部材60の内部に注入し、巻回体に非水電解液を含浸させたのち、外装部材60の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。以上により、目的とする非水電解質電池が得られる。
[変形例1−6]
第1の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。
〔変形例1−6の非水電解質電池の製造方法〕
(正極および負極の作製)
まず、非水電解質電池の製造方法の一例と同様にして、正極53および負極54を作製する。
(電解質用組成物の調製)
次に、非水電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製する。
(固体粒子層の形成)
次に、セパレータ55の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより固体粒子層を形成する。
(非水電解質電池の組立て)
次に、変形例1−2と同様にして、巻回電極体50の前駆体である巻回体を形成する。
(加温および加圧工程)
次に、外装部材60内部に非水電解液を注入する前に、巻回体をラテックスのチューブ等の包装材に入れて密封して静水圧下で加温プレスを行う。これにより、固体粒子を負極活物質層54Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに移動させて、負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。固体粒子を正極活物質層53Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みに移動させて、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。
次に、この巻回体を外装部材60に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材60の内部に収納する。
次に、電解質用組成物を袋状の外装部材60の内部に注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材60を密封する。続いて、モノマーを熱重合などにより重合させる。これにより、高分子化合物が形成されるため、電解質層56が形成される。以上により目的とする非水電解質電池が得られる。
[変形例1−7]
第1の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。
〔変形例1−7の非水電解質電池の製造方法〕
(正極および負極の作製)
まず、非水電解質電池の一例の製造方法と同様にして、正極53および負極54を作製する。次に、固体粒子およびマトリックス高分子化合物を、セパレータ55の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面に塗布し、その後乾燥することにより、マトリックス樹脂層を形成する。
(非水電解質電池の組立て)
次に、正極53と負極54とを、セパレータ55を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ57を接着して巻回電極体50を作製する。
(加温および加圧工程)
次に、巻回電極体50をラテックスのチューブ等の包装材に入れて密封して静水圧下で加温プレスを行う。これにより、固体粒子を負極活物質層54Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに移動させて、負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。固体粒子を正極活物質層53Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みに移動させて、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。
次に、ラミネートフィルムからなる外装部材60を深絞り加工することで凹部を形成し、巻回電極体50をこの凹部に挿入し、外装部材60の未加工部分を凹部上部に折り返し、凹部の外周の一部(例えば一辺)を除いて熱溶着する。その際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間には密着フィルム61を挿入する。
続いて、非水電解液を外装部材60の未溶着部分から内部に注入したのち、その外装部材60の未溶着部を熱融着等で密封する。このとき真空封止することにより、非水電解液がマトリックス樹脂層に含浸され、そのマトリックス高分子化合物が膨潤して、電解質層56が形成される。これにより、目的とする非水電解質電池が得られる。
[変形例1−8]
上述の第1の実施の形態の一例および変形例1−1〜変形例1−7では、巻回電極体50が外装部材60で外装された非水電解質電池について説明したが、図4A〜図4Cに示すように、巻回電極体50の代わりに積層電極体70を用いてもよい。図4Aは、積層電極体70を収容した非水電解質電池の外観図である。図4Bは、外装部材60に積層電極体70が収容される様子を示す分解斜視図である。図4Cは、図4Aに示す非水電解質電池の底面側からの外観を示す外観図である。
積層電極体70は、矩形状の正極73および矩形状の負極74を、矩形状のセパレータ75を介して積層し、固定部材76で固定した積層電極体70を用いる。なお、図示は省略するが、電解質層を形成する場合には、電解質層が正極73および負極74に接するように設けられている。例えば、正極73およびセパレータ75の間、並びに、負極74およびセパレータ75の間に電解質層(図示省略)が設けられている。この電解質層は、上述した電解質層56と同様である。積層電極体70からは、正極73と接続された正極リード71および負極74と接続された負極リード72とが導出されており、正極リード71および負極リード72と外装部材60との間には密着フィルム61が設けられる。
なお、非水電解質電池の製造方法は、巻回電極体70に代えて積層電極体を作製すること、巻回体に代えて積層体(積層電極体70から電解質層を省略した構成のもの)を作製すること以外は、上述の第1の実施の形態の一例および変形例1−1〜変形例1−7の非水電解質電池の製造方法と同様である。
2.第2の実施の形態
本技術の第2の実施の形態では、円筒型の非水電解質電池(電池)について説明する。この非水電解質電池は、例えば充電および放電が可能な非水電解質二次電池であり、また、例えばリチウムイオン二次電池である。
(2−1)非水電解質電池の一例の構成
図5は、第2の実施の形態による非水電解質電池の一例を示す断面図である。非水電解質電池は、例えば充電および放電が可能な非水電解質二次電池である。この非水電解質電池は、いわゆる円筒型と呼ばれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶81の内部に、図示しない液体状の非水電解質(以下、非水電解液と適宜称する)とともに帯状の正極91と負極92とがセパレータ93を介して巻回された巻回電極体90を有している。
電池缶81は、例えばニッケルめっきが施された鉄により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶81の内部には、巻回電極体90を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板82a、82bがそれぞれ配置されている。
電池缶81の材料としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)等が挙げられる。この電池缶81には、非水電解質電池の充放電に伴う電気化学的な非水電解液による腐食を防止するために、例えばニッケル等のメッキが施されていてもよい。電池缶81の開放端部には、正極リード板である電池蓋83と、この電池蓋83の内側に設けられた安全弁機構および熱感抵抗素子(PTC素子:Positive Temperature Coefficient)87が、絶縁封口のためのガスケット88を介してかしめられることにより取り付けられている。
電池蓋83は、例えば電池缶81と同様の材料により構成されており、電池内部で発生したガスを排出するための開口部が設けられている。安全弁機構は、安全弁84とディスクホルダ85と遮断ディスク86とが順に重ねられている。安全弁84の突出部84aは遮断ディスク86の中心部に設けられた孔部86aを覆うように配置されたサブディスク89を介して巻回電極体90から導出された正極リード95と接続されている。サブディスク89を介して安全弁84と正極リード95とが接続されることにより、安全弁84の反転時に正極リード95が孔部86aから引き込まれることを防止する。また、安全弁機構は、熱感抵抗素子87を介して電池蓋83と電気的に接続されている。
安全弁機構は、電池内部短絡あるいは電池外部からの加熱等により非水電解質電池の内圧が一定以上となった場合に、安全弁84が反転し、突出部84aと電池蓋83と巻回電極体90との電気的接続を切断するものである。すなわち、安全弁84が反転した際には遮断ディスク86により正極リード95が押さえられて安全弁84と正極リード95との接続が解除される。ディスクホルダ85は絶縁性材料からなり、安全弁84が反転した場合には安全弁84と遮断ディスク86とが絶縁される。
また、電池内部でさらにガスが発生し、電池内圧がさらに上昇した場合には、安全弁84の一部が裂壊してガスを電池蓋83側に排出可能としている。
また、遮断ディスク86の孔部86aの周囲には例えば複数のガス抜き孔(図示せず)が設けられており、巻回電極体90からガスが発生した場合にはガスを効果的に電池蓋83側に排出可能な構成としている。
熱感抵抗素子87は、温度が上昇した際に抵抗値が増大し、電池蓋83と巻回電極体90との電気的接続を切断することによって電流を遮断し、過大電流による異常な発熱を防止する。ガスケット88は、例えば絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
非水電解質電池内に収容される巻回電極体90は、センターピン94を中心に巻回されている。巻回電極体90は、正極91および負極92がセパレータ93を介して順に積層され、長手方向に巻回されてなる。正極91には正極リード95が接続されており、負極92には負極リード96が接続されている。正極リード95は、上述のように、安全弁84に溶接されて電池蓋83と電気的に接続されており、負極リード96は電池缶81に溶接されて電気的に接続されている。
図6は、図5に示した巻回電極体90の一部を拡大して表すものである。
以下、正極91、負極92、セパレータ93について、詳細に説明する。
[正極]
正極91は、正極活物質を含有する正極活物質層91Bが、正極集電体91Aの両面上に形成されたものである。正極集電体91Aとしては、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔あるいは、ステンレス(SUS)箔等の金属箔を用いることができる。
正極活物質層91Bは、正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて、結着剤や導電剤等の他の材料を含んでいてもよい。なお、正極活物質、導電剤および結着剤は、それぞれ第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
正極91は正極集電体91Aの一端部にスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード95を有している。この正極リード95は金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的および化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくとも問題はない。正極リード95の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
[負極]
負極92は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体92Aの両面に負極活物質層92Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体92Aの片面のみに負極活物質層92Bを設けるようにしてもよい。負極集電体92Aは、例えば、銅箔等の金属箔により構成されている。
負極活物質層92Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層91Bと同様の結着剤や導電剤等の他の材料を含んで構成されていてもよい。なお、負極活物質、導電剤および結着剤は、それぞれ第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
[セパレータ]
セパレータ93は、第1の実施の形態によるセパレータ55と同様である。
[非水電解液]
非水電解液は、第1の実施の形態と同様である。
(非水電解質電池の内部の構成)
図示は省略するが、この非水電解質電池の内部では、第1の実施の形態で説明した図3Aおよび図3Bに示す構成から電解質層56を省略した構成と同様の構成を有する。すなわち、負極側の含浸領域A、負極側の上塗り領域B、負極側の深部領域Cが形成されている。正極側の含浸領域A、正極側の上塗り領域B、正極側の深部領域Cが形成されている。なお、負極側のみ負極側の含浸領域A、負極側の上塗り領域Bおよび負極側の深部領域Cが形成されていてもよい。正極側のみ正極側の含浸領域A、正極側の上塗り領域Bおよび正極側の深部領域Cが形成されていてもよい。
(2−2)非水電解質電池の製造方法
(正極の製造方法、負極の製造方法)
第1の実施の形態と同様にして、正極91および負極92を作製する。
(固体粒子層の形成)
次に、負極92の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより塗料を塗布した後、乾燥することにより溶媒を除去し、固体粒子層を形成する。塗料としては、例えば、固体粒子、バインダー高分子化合物および溶媒を混合したものを用いることができる。固体粒子層が塗布形成された負極活物質層92Bの最表面では、負極活物質層92Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みで固体粒子がこしとられて、負極側の窪み含浸領域Aの粒子濃度が増加する。同様に、正極91の両方の主面上に、塗布法などにより固体粒子層を形成する。固体粒子層が塗布形成された正極活物質層91Bの最表面では、正極活物質層91Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みで固体粒子がこしとられて、正極側の窪み含浸領域Aの粒子濃度が増加する。固体粒子としては、固体粒子の粒子径D95が、活物質粒子の粒子径D50の所定の倍率以上になるように調整したものを用いることが好ましい。例えば、固体粒子としては、固体粒子の一部に活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上の固体粒子を添加し、固体粒子の粒子径D95が活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上になるように調整したものを用いることが好ましい。これにより、粒子径が大きい方の固体粒子によって、窪みの底部の間隙を埋めて、固体粒子をこしとられやすくすることができる。
なお、固体粒子層を塗布形成の際、余分な塗料をかきとると電極間距離が不用意に広がらないようにすることができる。また、塗料の表面をかきとることにより隣接活物質粒子間の窪みに固体粒子をさらに多く送り込み、且つ、上塗り領域Bの比率を下げる。これにより、固体粒子の大部分が集中的に窪み含浸領域に配置され、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種が、窪み含浸領域Aにより多く集まるようにすることができる。
(セパレータの製造方法)
次に、セパレータ93を用意する。
(非水電解液の調製)
非水電解液は、非水溶媒に対して電解質塩を溶解させて調製する。
(非水電解質電池の組み立て)
正極集電体91Aに正極リード95を溶接等により取り付けると共に、負極集電体92Aに負極リード96を溶接等により取り付ける。その後、正極91と負極92とを、セパレータ93を介して巻回し巻回電極体90とする。
正極リード95の先端部を安全弁機構に溶接すると共に、負極リード96の先端部を電池缶81に溶接する。この後、巻回電極体90の巻回面を一対の絶縁板82,83で挟み、電池缶81の内部に収納する。巻回電極体90を電池缶81の内部に収納したのち、非水電解液を電池缶81の内部に注入し、セパレータ93に含浸させる。そののち、電池缶81の開口端部に電池蓋83、安全弁84等からなる安全弁機構および熱感抵抗素子87をガスケット88を介してかしめることにより固定する。これにより、図5に示した本技術の非水電解質電池が形成される。
この非水電解質電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層91Bからリチウムイオンが放出され、セパレータ93に含浸された非水電解液を介して負極活物質層92Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層92Bからリチウムイオンが放出され、セパレータ93に含浸された非水電解液を介して正極活物質層91Bに吸蔵される。
[変形例2−1]
第2の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。
(正極および負極の作製)
まず、非水電解質電池の一例と同様にして、正極91および負極92を作製する。
(固体粒子層の形成)
次に、セパレータ93の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより塗料を塗布した後、乾燥することにより溶媒を除去し、固体粒子層を形成する。塗料としては、例えば、固体粒子、バインダー高分子化合物および溶媒を混合したものを用いることができる。
(非水電解質電池の組立て)
次に、非水電解質電池の一例と同様にして、巻回電極体90を形成する。
(加温および加圧工程)
巻回電極体90を電池缶81の内部に収納する前に、巻回電極体90をラテックスのチューブ等の包装材に入れて密封して静水圧下で加温プレスを行う。これにより、固体粒子を負極活物質層92Bの最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに移動させて、負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。固体粒子を正極活物質層91Bの最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みに移動させて、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。
その後の工程は、上述した一例と同様にして、目的とする非水電解電池を得ることができる。
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態では、角型の非水電解質電池について説明する。
(3−1)非水電解質電池の一例の構成
図7は、第3の実施の形態による非水電解質電池の一例の構成を表すものである。この非水電解質電池は、いわゆる角型電池といわれるものであり、巻回電極体120を角型の外装缶111内に収容したものである。
非水電解質電池は、角筒状の外装缶111と、この外装缶111内に収納される発電要素である巻回電極体120と、外装缶111の開口部を閉じる電池蓋112と、電池蓋112の略中央部に設けられた電極ピン113等によって構成されている。
外装缶111は、例えば、鉄(Fe)等の導電性を有する金属によって、中空で有底の角筒体として形成されている。この外装缶111の内面は、例えば、ニッケルめっきを施したり導電性塗料を塗布する等して、外装缶111の導電性を高める構成とすることが好ましい。また、外装缶111の外周面は、例えば、プラスチックシートや紙等によって形成される外装ラベルで覆われたり、絶縁性塗料が塗布されて保護されてもよい。電池蓋112は、外装缶111と同じく、例えば、鉄(Fe)等の導電性を有する金属により形成されている。
巻回電極体120は、正極および負極をセパレータを介して積層し、小判型に細長く巻回することによって得られる。正極、負極、セパレータおよび非水電解液は、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
このような構成を有する巻回電極体120には、正極集電体に接続された多数の正極端子121と、負極集電体に接続された多数の負極端子とが設けられている。すべての正極端子121および負極端子は、巻回電極体120の軸方向の一端に導出されている。そして、正極端子121は、電極ピン113の下端に溶接等の固着手段によって接続されている。また、負極端子は外装缶111の内面に溶接等の固着手段によって接続されている。
電極ピン113は導電性の軸部材からなり、その頭部を上端に突出させた状態で絶縁体114によって保持されている。この絶縁体114を介して電極ピン113が電池蓋112の略中央部に固定されている。絶縁体114は絶縁性の高い材料で形成されていて、電池蓋112の表面側に設けた貫通孔115に嵌合されている。また、貫通孔115には電極ピン113が貫通され、その下端面に正極端子121の先端部が固定されている。
このような電極ピン113等が設けられた電池蓋112が、外装缶111の開口部に嵌合されており、外装缶111と電池蓋112との接触面が溶接等の固着手段で接合されている。これにより、外装缶111の開口部が電池蓋112により密封されて、気密および液密に構成されている。この電池蓋112には、外装缶111内の圧力が所定値以上に上昇したときに当該電池蓋112の一部を破断させて内部圧力を外部に逃がす(放出させる)内圧開放機構116が設けられている。
内圧開放機構116は、電池蓋112の内面において長手方向に直線的に延在された2本の第1の開口溝116a(1本の第1の開口溝116aは図示せず)と、同じく電池蓋32の内面において長手方向と直交する幅方向に延在されて両端が2本の第1の開口溝116aに連通される第2の開口溝116bとから構成されている。2本の第1の開口溝116aは、電池蓋112の幅方向に対向するように位置する長辺側2辺の内側近傍において電池蓋112の長辺側外縁に沿うように互いに平行に設けられている。また、第2の開口溝116bは、電極ピン113の長手方向の一側において一方の短辺側外縁と電極ピン113との略中央部に位置するように設けられている。
第1の開口溝116aおよび第2の開口溝116bは、例えばともに断面形状が下面側に開口したV字形状とされている。なお、第1の開口溝116aおよび第2の開口溝116bの形状は、この実施の形態に示すV字形に限定されるものではない。例えば、第1の開口溝116aおよび第2の開口溝116bの形状をU字形や半円形としてもよい。
電解液注入口117は、電池蓋112を貫通するように設けられている。電解液注入口117は、電池蓋112と外装缶111とをかしめた後、非水電解液を注液するために用いるものであり、非水電解液注液後は封止部材118によって密封される。このため、予め正極および負極と、セパレータとの間にゲル電解質を形成して巻回電極体を作製する場合には、電解液注入口117および封止部材118は設けなくてもよい。
[セパレータ]
セパレータは、第1の実施の形態と同様のセパレータを用いている。
[非水電解液]
非水電解液は、第1の実施の形態と同様である。
(非水電解質電池の内部の構成)
図示は省略するが、この非水電解質電池の内部は、第1の実施の形態で説明した図3Aおよび図3Bに示す構成から電解質層56を省略した構成と同様の構成を有する。すなわち、負極側の含浸領域A、負極側の上塗り領域B、負極側の深部領域Cが形成されている。正極側の含浸領域A、正極側の上塗り領域B、正極側の深部領域Cが形成されている。なお、負極側のみ負極側の含浸領域A、上塗り領域Bおよび深部領域Cが形成されていてもよい。正極側のみ正極側の含浸領域A、正極側の上塗り領域Bおよび正極側の深部領域Cが形成されていてもよい。
(3−2)非水電解質電池の製造方法
この非水電解質電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
[正極および負極の製造方法]
正極および負極は、第3の実施の形態と同様の方法により作製することができる。
(固体粒子層の形成)
次に、負極の両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより塗料を塗布した後、乾燥することにより溶媒を除去し、固体粒子層を形成する。塗料としては、例えば、固体粒子、バインダー高分子化合物および溶媒を混合したものを用いることができる。固体粒子層が塗布形成された負極活物質層の最表面では、負極活物質層の最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みで固体粒子がこしとられて、負極側の窪み含浸領域Aの粒子濃度が増加する。同様に、正極の両方の主面上に、塗布法などにより固体粒子層を形成する。固体粒子層が塗布形成された正極活物質層の最表面では、正極活物質層の最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みで固体粒子がこしとられて、正極側の窪み含浸領域Aの粒子濃度が増加する。固体粒子としては、固体粒子の粒子径D95が、活物質粒子の粒子径D50の所定の倍率以上になるように調整したものを用いることが好ましい。例えば、固体粒子としては、固体粒子の一部に活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上の固体粒子を添加し、固体粒子の粒子径D95が活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上になるように調整したものを用いることが好ましい。これにより、粒子径が大きい方の固体粒子によって、窪みの底部の間隙を埋めて、固体粒子をこしとられやすくすることができる。なお、固体粒子層を塗布形成の際、余分な塗料をかきとると電極間距離が不用意に広がらないようにすることができる。また、塗料の表面をかきとることにより隣接活物質粒子間の窪みに固体粒子をさらに多く配置することでき、且つ、上塗り領域Bの粒子の比率を下げる。これにより、固体粒子の大部分が集中的に窪み含浸領域Aに配置され、式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種が、窪み含浸領域Aにより多く集まるようにすることができる。
(非水電解質電池の組み立て)
正極と負極と、セパレータ(基材の少なくとも一方の面に粒子含有樹脂層が形成されたもの)とを順に積層および巻回し、小判型に細長く巻回された巻回電極体120を作製する。続いて、巻回電極体120を外装缶111内に収容する。
そして、電池蓋112に設けられた電極ピン113と、巻回電極体120から導出された正極端子121とを接続する。また、図示しないが、巻回電極体120から導出された負極端子と電池缶とを接続する。この後、外装缶111と電池蓋112とを嵌合し、例えば減圧下において電解液注入口117から非水電解液を注入して封止部材118にて封止する。以上により、非水電解質電池を得ることができる。
[変形例3−1]
第3の実施の形態による非水電解質電池は、次のようにして作製してもよい。
(正極および負極の作製)
まず、非水電解質電池の一例と同様にして、正極および負極を作製する。
(固体粒子層の形成)
次に、セパレータの両方の主面のうちの少なくとも一方の主面上に、塗布法などにより塗料を塗布した後、乾燥することにより溶媒を除去し、固体粒子層を形成する。塗料としては、例えば、固体粒子、バインダー高分子化合物および溶媒を混合したものを用いることができる。
(非水電解質電池の組立て)
次に、非水電解質電池の一例と同様にして、巻回電極体120を形成する。次に、巻回電極体120を外装缶111内に収容する前に、巻回電極体120をラテックスのチューブ等の包装材に入れて密封して静水圧下で加温プレスを行う。これにより、固体粒子を負極活物質層の最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに移動させて(押し込ませて)、負極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。固体粒子を正極活物質層の最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みに移動させて、正極側の窪み含浸領域Aの固体粒子濃度を増加させる。
その後、上述した一例と同様にして、目的とする非水電解電池を得ることができる。
4.第4の実施の形態
図8は、単電池を用いた電池パックの斜視構成を表しており、図9は、図8に示した電池パックのブロック構成を表している。なお、図8では、電池パックを分解した状態を示している。
ここで説明する電池パックは、1つの二次電池を用いた簡易型の電池パック(いわゆるソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器などに内蔵される。この電池パックは、例えば、図9に示したように、第1の実施の形態と同様の構成を有するラミネートフィルム型の二次電池である電源211と、その電源211に接続される回路基板216とを備えている。
電源211の両側面には、一対の粘着テープ218,219が貼り付けられている。回路基板216には、保護回路(PCM:Protection・Circuit・Module )が形成されている。この回路基板216は、電源211の正極リード212および負極リード213に対して一対のタブ214,215を介して接続されていると共に、外部接続用のコネクタ付きリード線217に接続されている。なお、回路基板216が電源211に接続された状態において、その回路基板216は、ラベル220および絶縁シート231により上下から保護されている。このラベル220が貼り付けられることで、回路基板216および絶縁シート231などは固定されている。
また、電池パックは、例えば、図9に示しているように、電源211と、回路基板216とを備えている。回路基板216は、例えば、制御部221と、スイッチ部222と、PTC223と、温度検出部224とを備えている。電源211は、正極端子225および負極端子227を介して外部と接続可能であるため、その電源211は、正極端子225および負極端子227を介して充放電される。温度検出部224は、温度検出端子(いわゆるT端子)226を用いて温度を検出可能である。
制御部221は、電池パック全体の動作(電源211の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでいる。
この制御部221は、例えば、電池電圧が過充電検出電圧に到達すると、スイッチ部222を切断させることで、電源211の電流経路に充電電流が流れないようにする。また、制御部221は、例えば、充電時において大電流が流れると、スイッチ部222を切断させて、充電電流を遮断する。
この他、制御部221は、例えば、電池電圧が過放電検出電圧に到達すると、スイッチ部222を切断させることで、電源211の電流経路に放電電流が流れないようにする。また、制御部221は、例えば、放電時において大電流が流れると、スイッチ部222を切断させることで、放電電流を遮断する。
なお、二次電池の過充電検出電圧は、例えば、4.20V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、例えば、2.4V±0.1Vである。
スイッチ部222は、制御部221の指示に応じて、電源211の使用状態(電源211と外部機器との接続の可否)を切り換えるものである。このスイッチ部222は、例えば、充電制御スイッチおよび放電制御スイッチなどを含んでいる。充電制御スイッチおよび放電制御スイッチは、例えば、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などの半導体スイッチである。なお、充放電電流は、例えば、スイッチ部222のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部224は、電源211の温度を測定して、その測定結果を制御部221に出力するものであり、例えば、サーミスタなどの温度検出素子を含んでいる。なお、温度検出部224による測定結果は、異常発熱時において制御部221が充放電制御を行う場合や、制御部221が残容量の算出時において補正処理を行う場合などに用いられる。
なお、回路基板216は、PTC223を備えていなくてもよい。この場合には、別途、回路基板216にPTC素子が付設されていてもよい。
5.第5の実施の形態
図10は、本技術の第1の実施〜第3の実施の形態による電池(以下、二次電池と適宜称する)を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
また、電池パックは、正極端子321および負極リード322を備え、充電時には正極端子321および負極リード322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子321および負極リード322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続してなる。この二次電池301aは本技術の二次電池である。なお、図10では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n,mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
スイッチ部304は、充電制御スイッチ302aおよびダイオード302b、ならびに放電制御スイッチ303aおよびダイオード303bを備え、制御部310によって制御される。ダイオード302bは、正極端子321から組電池301の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極リード322から組電池301の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード303bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。尚、例では+側にスイッチ部304を設けているが、−側に設けても良い。
充電制御スイッチ302aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に充電電流が流れないように充放電制御部によって制御される。充電制御スイッチ302aのOFF後は、ダイオード302bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
放電制御スイッチ303aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に放電電流が流れないように制御部310によって制御される。放電制御スイッチ303aのOFF後は、ダイオード303bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
温度検出素子308は例えばサーミスタであり、組電池301の近傍に設けられ、組電池301の温度を測定して測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301およびそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
スイッチ制御部314は、電圧検出部311および電流測定部313から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部304の充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
ここで、例えば、二次電池がリチウムイオン二次電池の場合、過充電検出電圧が例えば4.20V±0.05Vと定められ、過放電検出電圧が例えば2.4V±0.1Vと定められる。
充放電スイッチは、例えばMOSFET等の半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302bおよび303bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部314は、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをON状態とする。
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをOFF状態とする。
メモリ317は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等からなる。メモリ317では、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池の内部抵抗値等が予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。(また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310とともに例えば残容量を算出することができる。
温度検出部318では、温度検出素子308を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
<6.第6の実施の形態>
上述した本技術の第1の実施の形態〜第3の実施の形態による電池および第4の実施の形態〜第5実施の形態による電池パックは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置等の機器に搭載または電力を供給するために使用することができる。
電子機器として、例えばノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機等が挙げられる。
また、電動車両としては鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)等が挙げられ、これらの駆動用電源または補助用電源として用いられる。
蓄電装置としては、住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源等が挙げられる。
以下では、上述した適用例のうち、上述した本技術の電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
(6−1)応用例としての住宅における蓄電システム
本技術の電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図11を参照して説明する。例えば住宅401用の蓄電システム400においては、火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402から電力網409、情報網412、スマートメータ407、パワーハブ408等を介し、電力が蓄電装置403に供給される。これと共に、家庭内の発電装置404等の独立電源から電力が蓄電装置403に供給される。蓄電装置403に供給された電力が蓄電される。蓄電装置403を使用して、住宅401で使用する電力が給電される。住宅401に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅401には、発電装置404、電力消費装置405、蓄電装置403、各装置を制御する制御装置410、スマートメータ407、各種情報を取得するセンサ411が設けられている。各装置は、電力網409および情報網412によって接続されている。発電装置404として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置405および/または蓄電装置403に供給される。電力消費装置405は、冷蔵庫405a、空調装置405b、テレビジョン受信機405c、風呂405d等である。さらに、電力消費装置405には、電動車両406が含まれる。電動車両406は、電気自動車406a、ハイブリッドカー406b、電気バイク406cである。
蓄電装置403に対して、本技術の電池が適用される。本技術の電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ407は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網409は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
各種のセンサ411は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種のセンサ411により取得された情報は、制御装置410に送信される。センサ411からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置405を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置410は、住宅401に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
パワーハブ408によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置410と接続される情報網412の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置410は、外部のサーバ413と接続されている。このサーバ413は、住宅401、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ413が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
各部を制御する制御装置410は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置403に格納されている。制御装置410は、蓄電装置403、家庭内の発電装置404、電力消費装置405、各種のセンサ411、サーバ413と情報網412により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
以上のように、電力が火力発電402a、原子力発電402b、水力発電402c等の集中型電力系統402のみならず、家庭内の発電装置404(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置403に蓄えることができる。したがって、家庭内の発電装置404の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置403に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置403に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置403によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置410が蓄電装置403内に格納される例を説明したが、スマートメータ407内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム400は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
(6−2)応用例としての車両における蓄電システム
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図12を参照して説明する。図12に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両500には、エンジン501、発電機502、電力駆動力変換装置503、駆動輪504a、駆動輪504b、車輪505a、車輪505b、バッテリー508、車両制御装置509、各種センサ510、充電口511が搭載されている。バッテリー508に対して、上述した本技術の電池が適用される。
ハイブリッド車両500は、電力駆動力変換装置503を動力源として走行する。電力駆動力変換装置503の一例は、モータである。バッテリー508の電力によって電力駆動力変換装置503が作動し、この電力駆動力変換装置503の回転力が駆動輪504a、504bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置503が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ510は、車両制御装置509を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ510には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサ等が含まれる。
エンジン501の回転力は発電機502に伝えられ、その回転力によって発電機502により生成された電力をバッテリー508に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両500が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置503に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置503により生成された回生電力がバッテリー508に蓄積される。
バッテリー508は、ハイブリッド車両500の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口511を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
以下、実施例により本技術を詳細に説明する。なお、本技術は、下記の実施例の構成に限定されるものではない。
<実施例1−1>
[正極の作製]
正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)粒子(粒子径D50:10μm)91質量%と、導電剤であるカーボンブラック6質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を分散媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーとした。
この正極合剤スラリーを厚さ12μmの帯状アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に、正極集電体の一部が露出するようにして塗布した。この後、塗布した正極合剤スラリーの分散媒を蒸発・乾燥させ、ロールプレスにて圧縮成型することにより、正極活物質層を形成した。最後に、正極端子を正極集電体露出部に取り付け、正極を形成した。なお、正極活物質層の面積密度は、30mg/cm2になるように調整した。
[負極の作製]
負極活物質である粒状黒鉛粒子(粒子径D50:20μm)96質量%と、結着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体のアクリル酸変性体1.5質量%と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1.5質量%とを混合して負極合剤とし、さらに適量の水を加えて攪拌することにより、負極合剤スラリーを調製した。
この負極合剤スラリーを厚さ15μmの帯状銅箔からなる負極集電体の両面に、負極集電体の一部が露出するようにして塗布した。この後、塗布した負極合剤スラリーの分散媒を蒸発・乾燥させ、ロールプレスにて圧縮成型することにより、負極活物質層を形成した。最後に、負極端子を正極集電体露出部に取り付け、負極を形成した。なお、負極活物質層の面積密度は、15mg/cm2になるように調整した。
[セパレータの作製]
セパレータとして、厚さ5μmのポリエチレン(PE)製微多孔性フィルム(ポリエチレンセパレータ)を用意した。
[電解質層の形成]
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを混合した非水溶媒に対して、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させ、ジニトリル化合物として、式(1−1)で表される化合物を添加し、これにより非水電解液を調製した。なお、非水電解液の組成は、質量比でEC/DEC/式(1−2)で表される化合物/LiPF6=20/69/1/10に調整した。この非水電解液の式(1−2)で表される化合物の含有量は、非水電解液の全体量に対する質量百分率で、1質量%である。
続いて、非水電解液を保持するマトリックス高分子化合物(樹脂)として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、非水電解液と、ポリフッ化ビニリデンと、希釈溶媒として炭酸ジメチル(DMC:ジメチルカーボネート)と、固体粒子として、ベーマイト粒子(粒子径D50:1μm)とを混合して、ゾル状の塗布溶液を調製した。なお、塗布溶液の組成は、塗布溶液の全体量に対する質量百分率で、固体粒子10質量%、樹脂5質量%、非水電解液35質量%、希釈溶媒50質量%である。
続いて、正極および負極の両面に、加温状態で塗布溶液を塗布し、乾燥させて希釈溶媒(DMC)を除去し、正極および負極の表面に面積密度が片面あたり3mg/cm2のゲル状の電解質層を形成した。塗布溶液を加温状態で塗布することで、固体粒子であるベーマイト粒子を含む電解質を負極活物質層の最表面に位置する隣接活物質粒子間の窪みや活物質層の内部にしみこませることができる。この際、隣接粒子間の窪みで固体粒子がこしとられることで、負極側の窪み領域Aにおける粒子濃度が増す。これにより、窪み領域Aおよび深部領域Cの粒子濃度に差を設けることができる。塗布溶液の一部をかきとることにより、窪み含浸領域A、上塗り領域Bの厚さを、表1に示すものに調整すると共に、固体粒子をより多く窪み含浸領域Aに送り込み、且つ、固体粒子が窪み含浸領域Aにとどまるようにした。なお、固体粒子としては、固体粒子の一部に負極活物質の粒子径D50の2/√3−1倍以上の固体粒子を添加し、固体粒子の粒子径D95が負極活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上(3.5μm)となるように調製したものを用いた。これにより、粒子径が大きい方の一部の固体粒子によって、窪みの底部の粒子間の間隙を埋めて、固体粒子をこしとられやすくすることができる。
[ラミネートフィルム型電池の組み立て]
電解質層が両面に形成された正極および負極と、セパレータとを、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層したのち、長手方向に多数回、扁平形状に巻回した。その後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回電極体を形成した。
次に、巻回電極体を、軟質アルミニウム層を有するラミネートフィルムで外装し、巻回電極体周辺の正極端子および負極端子の導出辺と、他の二辺とを減圧下で熱融着して封止し、密閉した。これにより、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mmの図1に示すラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−2>〜<実施例1−57>
実施例1−2〜実施例1−57では、下掲の表1に示すように、用いる粒子を変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−58>
実施例1−58では、負極に塗布する塗布溶液を調製する際に、固体粒子の含有量を7質量%に減らし、固体粒子の減少分DMCの量を増やしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−59>
実施例1−59では、負極に塗布する塗布溶液を調製する際に、固体粒子の含有量を18質量%に増やし、固体粒子の増加分DMCの量を減らしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−60>
実施例1−59では、負極に塗布する塗布溶液を調製する際に、固体粒子の含有量を20質量%に増やし、固体粒子の増加分DMCの量を減らしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−61>
実施例1−61では、負極にゲル電解質層を形成する際、塗布溶液を掻き取るのを弱くしたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例1−62>
実施例1−62では、固体粒子として、固体粒子の一部に負極活物質の粒子径D50の2/√3−1の固体粒子を添加し、固体粒子の粒子径D95が負極活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍(3.1μm)となるように調製したものを用いた。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−1>
非水電解液に式(1−2)で表される化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−2>
非水電解液に式(1−2)で表される化合物に代えて、ビニルエチレンカーボネート(VEC)を添加したこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−3>
塗布溶液にベーマイト粒子を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例1−4>
電極にゲル状の電解質層を形成することに代えて、セパレータの両方の主面にゲル状の電解質層を形成したこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。なお、この例では、セパレータの表面に形成された電解質層に含まれる固体粒子の大部分は、活物質層の最表面に位置する隣接活物質粒子間の窪みに入らないため、窪み含浸領域Aの固体粒子濃度は低くなっている。
<比較例1−5>
塗布溶液にベーマイト粒子を添加しなかった。非水電解液に式(1−2)で表される化合物を添加しなかった。以上のこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
(粒子の粒子径の測定、BET比表面積の測定)
上述の実施例および比較例において、粒子の粒子径、BET比表面積の測定は、以下のようにして測定または評価したものである。(後述の実施例も同様)
(粒子径の測定)
電解質層から電解質成分等を除去した後の固体粒子を、レーザー回折法により測定した粒度分布において、小さい粒子径の粒子側から起算した体積累計50%の粒子径を、粒子の粒子径D50とした。なお、必要に応じて、上記測定した粒度分布から、体積累計95%の粒子径D95の値も得た。活物質粒子も同様に、活物質層から活物質以外の成分を除去した粒子について同様に測定した。
(BET比表面積の測定)
電解質層から電解質成分等を除去した後の固体粒子について、BET比表面積測定装置を用いてBET比表面積を求めた。
(固体粒子濃度および窪み含浸領域A、上塗り領域B、深部領域Cの測定)
SEMを用いて、視野幅50μmの観察視野で4箇所観察した。それぞれの観察視野において、含浸領域A、上塗り領域B、深部領域Cの各厚さおよび各領域の粒子濃度を測定した。各領域における2μm×2μmの観察視野について、粒子断面の合計面積の面積百分率((「粒子断面の合計面積」÷「観察視野の面積」)×100%)を求めることにより、粒子濃度を得た。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各電池について、以下の金属コンタミ析出耐性試験を行った。あらかじめ正極合剤層中にΦ50μmの鉄粒子を0.1%添加したこと以外は、上述した実施例および比較例と同様の電池を作製した。その後、4.2Vまで1Aで5時間の定電流/定電圧充電を行った。短絡がなかったものについては、さらに0.05V電圧を上げて1時間ずつの追加充電をおこない、最大4.40Vまで追加充電を行った。
上述の操作において、4.25V未満までに短絡したものを不合格、4.25Vまでクリアでき(短絡しなかった)、4.30Vまでクリアできなかったものは可、4.30Vまでクリアでき、4.40Vまでクリアできなかったものは良、4.40Vまでクリアできたものは優とした。
表1に評価結果を示す。
Figure 0006540013
Figure 0006540013
Figure 0006540013
表1に示すように、実施例1−1〜実施例1−62では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
<実施例2−2>
実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例2−1、実施例2−3〜実施例2−11>
実施例2−1、実施例2−3〜実施例2−11では、電解質層の形成の際、ジニトリル化合物として、式(1−2)で表される化合物の代わりに、下掲の表2に示す化合物を添加したこと以外は、実施例2−2と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様にして、金属コンタミ析出耐性試験を行った。
表2に評価結果を示す。
Figure 0006540013
表2に示すように、実施例2−1〜実施例2−11では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
<実施例3−1〜実施例3−9>
実施例3−1〜実施例3−9では、下掲の表3に示すように式(1−2)で表される化合物の添加量を変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<比較例3−1>
塗布溶液にベーマイト粒子を添加しなかったこと以外は、実施例3−9と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様にして、金属コンタミ析出耐性試験を行った。
(電池評価:充放電サイクル試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、以下の充放電サイクル試験を行った。23℃にて充電電圧4.2V、1Aの電流で、定電流定電圧充電を充電時間の合計が5時間となるまで行った後、0.5Aの定電流で3.0Vまで定電流放電を行った。このときの放電容量を電池の初期容量とした。その後、同様の条件で充放電を500回繰り返し、[500サイクル目の放電容量/初期放電容量]×100(%)を容量維持率として求めた。
容量維持率の大きさによって、下記のように判定した。
不合格:40%未満
可:40%以上50%未満
良:50%以上60%未満
優:60%以上100%以下
表3に評価結果を示す。
Figure 0006540013
表3に示すように、実施例3−1〜実施例3−9では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
<実施例4−1〜実施例4−9>
実施例4−1〜実施例4−9では、電解質に対する固体粒子の添加量を下掲の表4に示すように変えたこと以外は、実施例1−1と同様にしてラミネートフィルム型電池を作製した。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様にして、金属コンタミ析出耐性試験を行った。
表4に評価結果を示す。
Figure 0006540013
表4に示すように、実施例4−1〜実施例4−9では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
<実施例5−1〜実施例5−11>
実施例5−1〜実施例5−11では、下掲の表5に示すように固体粒子であるベーマイト粒子の粒子径、比表面積を変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様にして、金属コンタミ析出耐性試験を行った。
表5に評価結果を示す。
Figure 0006540013
表5に示すように、実施例5−1〜実施例5−11では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
<実施例6−1>
実施例1−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−2>
まず、実施例6−1と同様にして、正極および負極の作製を行い、また、セパレータを用意した。
次に、実施例1−1と同様にして、実施例1−1と同様の塗布溶液をセパレータの両面に塗布し、乾燥させて希釈溶媒を除去し、セパレータの表面にゲル状の電解質層を形成した。
その後、正極および負極と、ゲル状の電解質層が両面に形成されたセパレータとを、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層したのち、長手方向に多数回、扁平形状に巻回した。その後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回電極体を形成した。
次に、巻回電極体を袋詰めにして静水圧プレスを行った。これにより、固体粒子が、正極活物質層の最表面の隣接正極活物質粒子間の窪みおよび負極活物質層の最表面の隣接負極活物質粒子間の窪みに押し込まれるようにした。
その後、巻回電極体を、軟質アルミニウム層を有するラミネートフィルムで外装し、巻回電極体周辺の正極端子および負極端子の導出辺と、他の二辺とを減圧下で熱融着して封止し、密閉した。これにより、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mmの図1に示すラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−3>
まず、実施例6−1と同様にして、正極および負極の作製を行い、また、セパレータを用意した。
(固体粒子層の形成)
次に、セパレータの両面に、固体粒子22質量%、バインダー高分子化合物としてPVdF3質量、溶媒としてNMP75質量%を混合して調製した塗料を塗布した後、その後、乾燥により溶媒を除去した。これにより、固形分が片面あたり0.5mg/cm2となるように固体粒子層を形成した。
次に、正極および負極と、固体粒子層が両面に形成されたセパレータとを、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層したのち、長手方向に多数回、扁平形状に巻回した。その後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回体を形成した。
次に、加温したオイルに袋詰めした巻回電体を入れて静水圧プレスを行った。これにより、固体粒子が、正極活物質層の最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みおよび負極活物質層の最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みに押し込まれるようにした。
次に、この巻回体を軟質アルミニウム層を有するラミネートフィルムに挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、ラミネートフィルムの内部に収納した。次に、非水電解液を外装部材の内部に注入し、巻回体に非水電解液を含浸させたのち、ラミネートフィルムの開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封した。これにより、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mmの図1に示すラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−4>
実施例6−1と同様にして、正極および負極を作製し、また、セパレータを用意した。
セパレータの両面に、下記の様にして、塗布溶液を塗布した後、これを乾燥し、マトリックス樹脂層を形成した。
まず、ベーマイト粒子と、マトリックス高分子化合物であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、塗布溶液を調製した。この際、ベーマイト粒子の含有量は塗料の全体量に対して10質量%とし、PVdFの含有量は塗料の全体量に対して10質量%とし、NMPの含有量は塗料の全体量に対して80質量%とした。
次に、この塗布溶液を、セパレータの両面に塗布し後、乾燥機中にくぐらせることにより、NMPを除去しこれにより、マトリックス樹脂層が形成されたセパレータを得た。
[ラミネートフィルム型電池の組み立て]
次に、正極、負極およびマトリックス樹脂層が両面に形成されたセパレータを、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層し、長手方向に多数回、扁平形状に巻回させた後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回電極体を形成した。
次に、加温したオイルに袋詰めした巻回電極体を入れて静水圧プレスを行った。これにより固体粒子が、正極活物質層の最表面の窪みおよび負極活物質層の最表面の窪みに押し込まれるようにした。
次に、巻回電極体を、外装部材の間に挟み、3辺を熱融着した。なお、外装部材には、軟質アルミニウム層を有するラミネートフィルムを用いた。
そののち、これに電解液を注入し、減圧下で残りの1辺を熱融着し、密封した。この際、電解液を粒子含有樹脂層に含浸させ、マトリックス高分子化合物を膨潤させゲル状の電解質(ゲル電解質層)を形成した。なお、電解液としては、実施例1−1と同様のものを用いた。以上により、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mmの図1に示すラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−5>
まず、実施例6−1と同様にして、正極および負極の作製を行い、また、セパレータを用意した
(固体粒子層の形成)
正極および負極のそれぞれの両面に、固体粒子22質量%、バインダー高分子化合物としてPVdF3質量%、溶媒としてNMP75質量%を混合して調製した塗料を塗布した後、表面をかきとった。これにより、正極側および負極側の各窪み含浸領域Aに固体粒子を入れるとともに、窪み含浸領域Aの厚さが上塗り領域Bの厚さに対して2倍以上の厚さとなるようにした。その後、乾燥によって、NMPを除去し、固形分が片面で0.5mg/cm2となるように、固体粒子層を形成した。
次に、固体粒子層が両面に形成された正極および負極と、セパレータとを、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層したのち、長手方向に多数回、扁平形状に巻回した。その後、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより巻回体を形成した。
次に、この巻回体を軟質アルミニウム層を有するラミネートフィルムに挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、ラミネートフィルムの内部に収納した。次に、非水電解液を外装部材の内部に注入し、巻回体に非水電解液を含浸させたのち、ラミネートフィルムの開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封した。これにより、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mmの図1に示すラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−6>
ゲル状の電解質層を正極の両面のみ形成したこと以外は、実施例6−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例6−7>
ゲル状の電解質層を負極の両面のみ形成したこと以外は、実施例6−1と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様にして、金属コンタミ析出耐性試験を行った。
表6に評価結果を示す。
Figure 0006540013
表6に示すように、実施例6−1〜実施例6−7では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
<実施例7−1>
次に、矩形状であること以外は実施例1−1と同様の構成を有する矩形状の正極および矩形状の負極と、矩形状のセパレータを作製した。
(固体粒子層の形成)
次にセパレータの両面に実施例6−3と同様にして固体粒子層を形成した。
(積層電極体の形成)
次に、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に、積層して積層電極体を形成した。
次に、加温したオイルに袋詰めした積層電極体を入れて静水圧プレスを行った。これにより固体粒子が、正極活物質層の最表面の窪みおよび負極活物質の最表面の窪みに押し込まれるようにした。
次に、積層電極体を、軟質アルミニウム層を有するラミネートフィルムで外装し、積層電極体周辺の3辺を熱融着して封止し、密閉した。そののち、これに実施例1−1と同様の電解液を注入し、減圧下で残りの1辺を熱融着し、密封した。これにより、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mmの図4A〜図4Cに示すラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例7−2>
実施例6−1と同様にして、積層電極体を形成し、加温したオイルに袋詰めした積層電極体を入れて静水圧プレスを行った。これにより、正極活物質層の最表面の窪みおよび負極活物質の最表面の窪みに押し込まれるようにした。
次に、正極端子を電池蓋と接合された安全弁に接合すると共に、負極端子を負極缶に接続した。積層電極体を一対の絶縁板で挟んで電池缶の内部に収納した。
続いて、円筒型の電池缶の内部に絶縁板の上から非水電解液を注液した。最後に、電池缶の開放部に、電池蓋を、絶縁封口ガスケットを介してかしめることにより密閉した。これにより、電池形状が直径18mm、高さ65mm(ICR18650サイズ)の円筒型電池を作製した。
<実施例7−3>
実施例7−1と同様にして、積層電極体を形成し、加温したオイルに袋詰めした積層電極体を入れて静水圧プレスを行った。これにより、正極活物質層の最表面の窪みおよび負極活物質の最表面の窪みに押し込まれるようにした。
[角型電池の組み立て]
次に、積層電極体を角型の電池缶に収容した。続いて、電池蓋に設けられた電極ピンと、積層電極体から導出された正極端子とを接続した後、電池缶を電池蓋にて封口し、電解液注入口から非水電解液を注入して封止部材にて封止し、密閉した。これにより、電池形状が厚さ4.5mm、幅30mm、高さ50mm(453050サイズ)の角型電池を作製した。
<実施例7−4〜実施例7−6>
ポリエチレンセパレータに代えて、不織布を用意し、実施例7−1と同様の塗布溶液を不織布の両面に塗布した後、乾燥により溶媒を除去し、これにより、固形分が片面あたり0.5mg/cm2となるように固体粒子層を形成した。以上のこと以外は、実施例7−1〜実施例7−3と同様にして、ラミネートフィルム型電池を作製した。
<実施例7−7>
実施例7−7では、実施例1−1と同様であるラミネートフィルム型電池を用いた、図8および図9に示す簡易型の電池パック(ソフトパック)を作製した。
(電池評価:金属コンタミ析出耐性試験)
作製した各実施例のラミネートフィルム型電池について、実施例1−1と同様にして、金属コンタミ析出耐性試験を行った。なお、実施例7−7では、電池パックに含まれる電池に対して実際にかかる電圧を想定して電圧を調整している。
表7に評価結果を示す。
Figure 0006540013
表7に示すように、実施例7−1〜実施例7−7では、電池内部の適切な領域に適切な濃度で固体粒子が配置されているため、化学短絡耐性が優れていた。
7.他の実施の形態
以上、本技術を各実施の形態および実施例によって説明したが、本技術はこれらに限定されるものではなく、本技術の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、製造プロセス等を用いてもよい。
また、上述の実施の形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。例えば、非水電解質電池は一次電池であってもよい。
また、本技術の電解質層は、コイン型またはボタン型等の他の電池構造を有する場合についても、同様に適用可能である。また、第2〜第3の実施の形態において、巻回型の電極体に代えて、積層型の電極体を用いてもよい。
なお、本技術は、以下の構成をとることもできる。
[1]
正極活物質粒子を含む正極活物質層を有する正極と、
負極活物質粒子を含む負極活物質層を有する負極と、
前記正極活物質層および前記負極活物質層の間にあるセパレータと、
電解液を含む電解質と、
固体粒子と
を備え、
負極側の窪み含浸領域および負極側の深部領域、並びに、正極側の窪み含浸領域および正極側の深部領域の少なくとも一方の窪み含浸領域および深部領域
を有し、
前記負極側の窪み含浸領域は、前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記負極活物質層の最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みを含む領域であり、
前記負極側の深部領域は、前記電解質または前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記負極側の窪み含浸領域より深い側にある前記負極活物質層内部の領域であり、
前記正極側の窪み含浸領域は、前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記正極活物質層の最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みを含む領域であり、
前記正極側の深部領域は、前記電解質または前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記正極側の窪み含浸領域より深い側にある前記正極活物質層内部の領域であり、
前記少なくとも一方の窪み含浸領域の固体粒子の濃度は、30体積%以上であり、
前記電解液は、下記式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含む電池。
Figure 0006540013
(式中、R61は2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
[2]
前記負極側の窪み含浸領域および負極側の深部領域、並びに、正極側の窪み含浸領域および正極側の深部領域を有する[1]に記載の電池。
[3]
前記負極側の窪み含浸領域および前記負極側の深部領域、または、前記正極側の窪み含浸領域および前記正極側の深部領域を有する[1]又は[2]に記載の電池。
[4]
前記少なくとも一方の深部領域の固体粒子濃度は、3体積%以下である[1]〜[3]の何れかに記載の電池。
[5]
前記少なくとも一方の窪み含浸領域の前記固体粒子濃度は、前記少なくとも一方の窪み含浸領域と同一電極側の前記深部領域の固体粒子濃度の10倍以上である[1]〜[4]の何れかに記載の電池。
[6]
前記負極側の窪み含浸領域の厚さは、前記負極活物質層の厚さの10%以上40%以下である[1]〜[5]の何れかに記載の電池。
[7]
前記少なくとも一方の窪み含浸領域に含まれる前記固体粒子の粒子径D95は、活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上である[1]〜[6]の何れかに記載の電池。
[8]
前記少なくとも一方の窪み含浸領域に含まれる前記固体粒子の粒子径D50は、活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以下である[1]〜[7]の何れかに記載の電池。
[9]
前記固体粒子のBET比表面積は、1m2/g以上60m2/g以下である[1]〜[8]の何れかに記載の電池。
[10]
前記式(1)で表されるジニトリル化合物の含有量は、0.01質量%以上10質量%以下である[1]〜[9]の何れかに記載の電池。
[11]
前記固体粒子は、無機粒子および有機粒子の少なくとも何れかである[1]〜[10]の何れかに記載の電池。
[12]
前記無機粒子は、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、ベーマイト、ホワイトカーボン、酸化ジルコニウム水和物、酸化マグネシウム水和物、水酸化マグネシウム8水和物、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、リン酸トリリチウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム、ケイ酸塩鉱物、炭酸塩鉱物、酸化鉱物からなる群から選ばれた少なくとも何れかの粒子であり、
前記有機粒子は、メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン、架橋ポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリアミド、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも何れかの粒子である[11]に記載の電池。
[13]
前記ケイ酸塩鉱物は、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、カオリナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、パイロフィライト、雲母、ゼオライト、ムライト、サポナイト、アタパルジャイト、モンモリロナイトからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記炭酸塩鉱物は、ハイドロタルサイト、ドロマイトからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記酸化鉱物は、スピネルである[12]に記載の電池。
[14]
前記電解質は、前記電解液を保持した高分子化合物をさらに含む[1]〜[13]の何れかに記載の電池
[15]
前記電解質は、ゲル状の電解質である[1]〜[14]のいずれか一に記載の電池。
16
[1]〜[15]の何れかに記載の電池と、
前記電池を制御する制御部と、
前記電池を内包する外装と
を有する電池パック。
17
[1]〜[15]の何れかに記載の電池を有し、前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
18
[1]〜[15]の何れかに記載の電池と、
前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を有する電動車両。
19
[1]〜[15]の何れかに記載の電池を有し、前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
20
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記電池の充放電制御を行う[19]に記載の蓄電装置。
21
[1]〜[15]の何れか一に記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記電池に電力が供給される電力システム。
50・・・巻回電極体、51・・・正極リード、52・・・負極リード、53・・・正極、53A・・・正極集電体、53B・・・正極活物質層、54・・・負極、54A・・・負極集電体、54B・・・負極活物質層、55・・・セパレータ、56・・・電解質層、57・・・保護テープ、60・・・外装部材、61・・・密着フィルム、70・・・積層電極体、71・・・正極リード、72・・・負極リード、73・・・正極、74・・・負極、75・・・セパレータ、76・・・固定部材、81・・・電池缶、82a,82b・・・絶縁板、83・・・電池蓋、84・・・安全弁、84a・・・凸部、85・・・ディスクホルダ、86・・・遮断ディスク、86a・・・孔部、87・・・熱感抵抗素子、88・・・ガスケット、89・・・サブディスク、90・・・巻回電極体、91・・・正極、91A・・・正極集電体、91B・・・正極活物質層、92・・・負極、92A・・・負極集電体、92B・・・負極活物質層、93・・・セパレータ、94・・・センターピン、95・・・正極リード、96・・・負極リード、111・・・外装缶、112・・・電池蓋、113・・・電極ピン、114・・・絶縁体、115・・・貫通孔、116・・・内圧開放機構、116a・・・第1の開口溝、116b・・・第2の開口溝、117・・・電解液注入口、118・・・封止部材、120・・・巻回電極体、101・・・電池セル、101a・・・テラス部、102a、102b・・・リード、103a〜103c・・・絶縁テープ、104・・・絶縁プレート、105・・・回路基板、106・・・コネクタ、211・・・電源、212・・・正極リード、213・・・負極リード、214、215・・・タブ、216・・・回路基板、217・・・コネクタ付きリード線、218、219・・・粘着テープ、220・・・ラベル、221・・・制御部、222・・・スイッチ部、224・・・温度検出部、225・・・正極端子、227・・・負極端子、231・・・絶縁シート301・・・組電池、301a・・・二次電池、302a・・・充電制御スイッチ、302b・・・ダイオード、303a・・・放電制御スイッチ、303b・・・ダイオード、304・・・スイッチ部、307・・・電流検出抵抗、308・・・温度検出素子、310・・・制御部、311・・・電圧検出部、313・・・電流測定部、314・・・スイッチ制御部、317・・・メモリ、318・・・温度検出部、321・・・正極端子、322・・・負極端子、400・・・蓄電システム、401・・・住宅、402・・・集中型電力系統、402a・・・火力発電、402b・・・原子力発電、402c・・・水力発電、403・・・蓄電装置、404・・・発電装置、405・・・電力消費装置、405a・・・冷蔵庫、405b・・・空調装置、405c・・・テレビジョン受信機、405d・・・風呂、406・・・電動車両、406a・・・電気自動車、406b・・・ハイブリッドカー、406c・・・電気バイク、407・・・スマートメータ、408・・・パワーハブ、409・・・電力網、410・・・制御装置、411・・・センサ、412・・・情報網、413・・・サーバ、500・・・ハイブリッド車両、501・・・エンジン、502・・・発電機、503・・・電力駆動力変換装置、504a・・・駆動輪、504b・・・駆動輪、505a・・・車輪、505b・・・車輪、508・・・バッテリー、509・・・車両制御装置、510・・・センサ、511・・・充電口

Claims (14)

  1. 正極活物質粒子を含む正極活物質層を有する正極と、
    負極活物質粒子を含む負極活物質層を有する負極と、
    前記正極活物質層および前記負極活物質層の間にあるセパレータと、
    電解液を含む電解質と、
    固体粒子と
    を備え、
    負極側の窪み含浸領域および負極側の深部領域、並びに、正極側の窪み含浸領域および正極側の深部領
    を有し、
    前記負極側の窪み含浸領域は、前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記負極活物質層の最表面に位置する隣接負極活物質粒子間の窪みを含む領域であり、
    前記負極側の深部領域は、前記電解質または前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記負極側の窪み含浸領域より深い側にある前記負極活物質層内部の領域であり、
    前記正極側の窪み含浸領域は、前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記正極活物質層の最表面に位置する隣接正極活物質粒子間の窪みを含む領域であり、
    前記正極側の深部領域は、前記電解質または前記電解質および前記固体粒子が配置された、前記正極側の窪み含浸領域より深い側にある前記正極活物質層内部の領域であり、
    前記負極側の窪み含浸領域および前記正極側の窪み含浸領域前記固体粒子の濃度は、30体積%以上であり、
    前記負極側の深部領域および前記正極側の深部領域における前記固体粒子の濃度は、3体積%以下であり、
    前記固体粒子は、べーマイト、タルク、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、ダイヤモンド、リン酸トリリチウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、スピネル、ハイドロタルサイト、ドロマイト、カオリナイト、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、パイロフィライト、雲母、ゼオライト、ムライト、サポナイト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンおよびポリオレフィンからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
    前記電解液は、下記式(1)で表されるジニトリル化合物の少なくとも1種を含むリチウムイオン二次電池。
    Figure 0006540013
    (式中、R61は2価の炭化水素基または2価のハロゲン化炭化水素基である。)
  2. 前記負極側の窪み含浸領域の厚さは、前記負極活物質層の厚さの10%以上40%以下である請求項に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記負極側の窪み含浸領域に含まれる前記固体粒子の粒子径D95は、前記負極活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上であり、
    前記正極側の窪み含浸領域に含まれる前記固体粒子の粒子径D95は、前記正極活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以上である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記負極側の窪み含浸領域に含まれる前記固体粒子の粒子径D50は、前記負極活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以下であり、
    前記正極側の窪み含浸領域に含まれる前記固体粒子の粒子径D50は、前記正極活物質粒子の粒子径D50の2/√3−1倍以下である請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記固体粒子のBET比表面積は、1m2/g以上60m2/g以下である請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記式(1)で表されるジニトリル化合物の含有量は、0.01質量%以上10質量%以下である請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記電解質は、前記電解液を保持した高分子化合物をさらに含む請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池
  8. 前記電解質は、ゲル状の電解質である請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池と、
    前記リチウムイオン二次電池を制御する制御部と、
    前記リチウムイオン二次電池を内包する外装と
    を有する電池パック。
  10. 請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池を有し、前記リチウムイオン二次電池から電力の供給を受ける電子機器。
  11. 請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池と、
    前記リチウムイオン二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    前記リチウムイオン二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を有する電動車両。
  12. 請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池を有し、前記リチウムイオン二次電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  13. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    前記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、前記リチウムイオン二次電池の充放電制御を行う請求項12に記載の蓄電装置。
  14. 請求項1からのいずれか一に記載のリチウムイオン二次電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から前記リチウムイオン二次電池に電力が供給される電力システム。
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