第1の発明は、湯水を貯留する貯湯槽と、前記貯湯槽に貯留された湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯槽からの湯水と前記貯湯槽からの湯水よりも低い温度の水とを混合して給湯端末へと流す混合弁と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記混合弁における混合比を変更して、前記給湯端末へと流れる湯水の給湯温度を、上限温度と下限温度との間で繰り返し変動させる運転モードを有し、前記制御装置は、前記運転モードにおいて、前記給湯温度を最初に低下させる場合、前記給湯温度が前記下限温度に到達する前に、それ以降の温度変動における所定時間当たりの温度低下幅と比較して、所定時間当たりの温度低下幅の少ない慣らし期間を設けるとともに、前記慣らし期間において、前記給湯温度を最初に低下させる直前の温度と前記下限温度との間に設定された慣らし温度を所定時間継続する構成としたことを特徴とする給湯装置である。
これにより、温度が下限温度に到達する前に、それ以降の温度変動よりも所定時間当たりの給湯温度の低下幅が少ない慣らし期間が設けられるので、使用者が温度変動に慣れた状態で温冷シャワーが実行され、使用者の快適性を向上させることができる。
また、これにより、使用者が、温度低下前の温度よりも低い慣らし温度を継続する慣らし期間によって、温冷シャワーにおける給湯温度の温度低下に慣れた状態で温冷シャワーが実行されるので、使用者の快適性を向上させることができる。
第2の発明は、特に第1の発明において、前記給湯温度を最初に低下させる直前の温度と前記慣らし温度との温度差は、前記慣らし温度と前記下限温度との温度差よりも小さいことを特徴とするものである。
これにより、給湯温度が低下して使用者が冷感によって不快感を持つ前に慣らし期間が設けられるので、使用者の快適性が向上する。
第3の発明は、特に第1または第2のいずれかの発明において、前記給湯温度を設定する給湯温度設定手段を備え、前記上限温度は、前記給湯温度設定手段で設定された設定温度よりも低い温度であることを特徴とするものである。
これにより、湯の使用量が低減し、快適性と省エネルギー性を両立した給湯装置とすることができる。
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれかの発明において、前記加熱手段をヒートポンプ装置とし、前記貯湯槽下部の水を前記ヒートポンプ装置にて加熱した後、前記貯湯槽上部に戻す構成としたことを特徴とするものである。
これにより、エネルギー変換効率の高いヒートポンプ装置にて加熱された所定温度にて貯湯されている貯湯槽内の湯を利用して温冷シャワーを行うことで、安定した温度変動の温冷シャワーを実現できるとともに、省エネルギーに優れた給湯装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における給湯装置を示す構成図である。
図1において、本発明の給湯装置は、貯湯槽11と、貯湯槽11内の水を加熱する加熱手段1であるヒートポンプ装置と、貯湯槽11の下部へ減圧弁14を介して給水する給水管3と、貯湯槽11の上部に配設された出湯管2と、出湯管2から送られる高温湯と減圧
弁14の下流側の給水管3から分岐した給水分岐管15からの水とを混合する電動式の混合弁4とを備えている。
また、混合弁4の下流側で、前記混合弁4とシャワーヘッドである給湯端末7や台所や洗面所のカランである第2の給湯端末8との間に配設され、前記混合弁4にて混合された湯水の湯温を検知する給湯温度検出手段5と、前記混合弁4にて混合された湯水の流量を検知する流量検出手段6とを備えている。
また、シャワーヘッドである給湯端末7とカランである第2の給湯端末8からの給湯流量を調整する流量調整弁12と、制御装置9と、浴室内および台所等に配設されるリモコン10とを備えている。
以上のように構成された貯等式給湯装置について、以下、その動作、作用を説明する。
まず、本実施の形態の貯等式給湯装置の基本動作である加熱動作と給湯動作について述べる。
貯湯槽11の湯水を加熱する加熱動作は、貯湯槽11の下部から、湯水を循環回路16に配設された循環ポンプ(図示せず)にて取り出し、加熱手段1で加熱を行う。加熱手段1で加熱された高温湯は、貯湯槽11の上部から貯湯槽11に流入する。この動作を繰り返し行うことで、貯湯槽11の上部から高温湯が貯湯されていく。これにより、貯湯槽11の内部には上方から下方に向かって湯水の温度が低下する温度積層が生成される。このように、貯湯槽11内の水を加熱手段1によって所定の温度まで加熱して、生成された高温湯を、貯湯槽11内に貯湯する。
加熱動作は主に夜間に行われるが、湯が使用されて貯湯槽11内の残りの湯(残湯)が少なくなったことを、貯湯槽11の外周の高さ方向に複数配設された貯湯温度検出手段13a〜13eを用いて判断した場合、昼間にも追加で加熱動作を行い、湯切れを防止する。
給湯動作は、シャワーヘッドである給湯端末7、もしくは、カランである第2の給湯端末8が開栓された場合に行われる。給湯動作において、制御装置9は、貯湯槽11の上部(天面)に接続された出湯管2と、給水管3から分岐した給水分岐管15とが接続された混合弁4において、出湯管2を流れる高温湯と給水分岐管15を流れる水とを混合する。このとき、制御装置9は、混合弁4によって貯湯槽11の上部からの高温水と給水管3からの低温水との混合の割合を決定して、給湯温度を、浴室内および台所等に設置されたリモコン10に設けられている給湯温度設定手段108(図2参照)にて使用者が所望の給湯温度に設定した設定温度に温度調整することにより、シャワーヘッドである給湯端末7やカランである第2の給湯端末8から給湯する構成となっている。
なお、本実施の形態においては、貯湯槽11の上部に配設された出湯管2と給水管3から分岐した給水分岐管15とが接続された混合弁4について述べているが、例えば、混合弁4の上流側の出湯管2に第2の混合弁(図示せず)を配置し、貯湯槽11の高さ方向の略中央部に第2の出湯管(図示せず)を設け、第2の混合弁にて、出湯管2からの湯と第2の出湯管からの湯とを混合した後、混合弁4にて給水分岐管15からの水を混合する構成にしてもよい。また、前記第2の混合弁にて、第2の出湯管からの湯と給水分岐管15からの水とを混合した後、混合弁4にて出湯管2からの湯を混合する構成にしてもよい。
すなわち、貯湯槽11の上部に配設された出湯管2からの湯と給水管3から分岐した給水分岐管15からの水を用いて最終的に混合弁4にて温度調整すればよい。
なお、給湯動作を行うと、貯湯槽11上部から給湯された高温湯の分の水が、給水管3および減圧弁14を介して、貯湯槽11内へと給水される。よって、給湯動作が実行されると、貯湯槽11の下部から上方に向かって低温水が増加していく。
また、本実施の形態では、加熱手段1としてヒートポンプ装置を用い、ヒートポンプ装置において生成された湯を貯湯槽11に貯留する構成としているが、他の加熱手段を用いてもよく、さらに貯湯槽11を設けない構成としても良い。
この場合、給水管3を例えばガスボイラなどで構成された加熱手段1に接続し、加熱手段1よりも上流側から分岐した給水分岐管15の他端と、加熱手段1に一端が接続されて、加熱手段1で生成された高温湯が流れる出湯管2の他端とを混合弁4に接続する。これにより、出湯管2を流れる湯(加熱水)と給水分岐管15を流れる水(非加熱水)とを混合して所定温度の湯水を生成することができる。
次に、制御装置9が、混合弁4を低温側と高温側とに順次繰り返し駆動させる運転モードである温冷シャワーの動作について説明する。
図2に、浴室内に設置されたリモコン10(風呂リモコン)の外観図を示す。使用者が温冷シャワーを浴びる時は、リモコン10に設けられ、少なくとも温冷シャワーの開始指示機能を有する操作手段101を押すことによって、リモコン10から制御装置9へ温度変動の開始指令が送信され、温冷シャワーが実行される。
ここで、操作手段101が押されると、リモコン10の表示部の104の部分には、例えば、波型を表示して温度が変動することを使用者に知らせることも可能である。
さらに、リモコン10(風呂リモコン)には、優先ボタン102を設け、優先ボタン102が押されていれば、制御装置9は、例えば、台所といった別の場所に設置されているリモコンよりも優先してリモコン10の設定で制御を行う。よって、優先ボタン102が押されている場合のみ、温冷シャワーを有効にしてもよい。
また、リモコン10には赤外線検出手段が人検出手段103として備えられ、人が浴室内に存在しているのを検知することができる。人検出手段103により人の在室が確認できる場合のみ、温冷シャワーを有効にしてもよい。
制御装置9は、温冷シャワーにおいて、混合弁4の混合比を予め決められた混合比の変更パターンに従って変更を行う。本実施の形態では、混合弁4における高温湯と水との混合比を変動させることにより、温冷シャワーの実行中に給湯端末7、8から供給される熱量が異なる、2種類の運転モードを有している。なお、運転モードの数は2種類に限定されず、複数あっても構わない。また、本実施の形態における貯等式給湯装置は、温冷シャワーの実行中に、混合弁4による給湯温度の温度変動と、流量調整弁12による流量変動との双方を行う。
2種類の運転モードのうちの第1モード(強モード)は、通常の給湯動作と比較して、実行時間中に給湯端末7、8に供給される湯水の熱量が小さいモードである。また、2種類の運転モードのうちの第2モード(弱モード)は、第1モードと比較して、実行時間中に給湯端末7、8に供給される湯水の熱量が大きいモードである。
なお、第2モード運転実行中に給湯端末7、8から供給される湯水の熱量は、先に述べた通常の給湯動作と比較して小さいほうが、省エネルギー性を向上させることができる点
で好ましい。
図3は、温冷シャワーの第1モード実行時の混合弁4の制御フローチャート、図4は、第1モード実行時の給湯温度の時間変化を示す図である。
第1モードにおいては、リモコン10で使用者が設定した設定温度Tsetよりも低い上限温度Thiと上限温度よりも温度の低い下限温度Tlowとを用いる。上限温度と下限温度とを混合弁4における混合比を制御することで所定時間ずつ繰り返し、給湯端末7、8から供給する湯の温度を変動させる。これにより、湯水の温度変動によって身体の血行促進を促し、使用者の快適性を向上させるとともに、貯湯槽11内に貯留した湯水の使用量を低減させ、省エネルギー性を向上させることができる。
図3に示すように、操作手段101が押されると(START)、制御装置9は、混合弁4よる混合比の変更処理を開始する。操作手段101が押され、第1モードの処理が開始されると、給湯温度検出手段5で検出される温度(給湯温度Ttar)と、使用者がリモコン10で設定した給湯端末7、8から供給する温度(設定温度Tset)との比較を行う(S301)。給湯温度Ttarが設定温度Tsetよりも低い場合は、給湯温度Ttarが設定温度Tsetに上昇するまで待機する。一方、給湯温度Ttarが設定温度Tsetよりも高い場合は、次のステップに進む。
なお、後述のように、貯湯槽11に予め貯留した高温湯を用いて給湯を行う給湯装置の場合、給湯温度の立ち上がりが早く、給湯温度はすぐに設定温度に達する。よって、給湯温度が設定温度よりも低い場合でも、操作手段101が押されてから実際に温冷シャワーの温度変動が生じるまでの時間は、ガス給湯機などと比較して短い。このように、給湯温度の立ち上がりが早い給湯装置の特徴を活かして、給湯温度が設定温度まで達した後に給湯される湯温の変動を実行するので、使用者の快適性を向上させることができる。
次に、制御装置9は、混合弁4の混合比を、低温側の水の流量が多くなるように調整して、給湯温度Ttarを慣らし温度Twaitまで低下させる(S302)。ここで、慣らし温度Twaitは、温冷シャワーにおける温度変動の下限温度Tlowよりも高く、温冷シャワーにおいて最初に温度を低下させる直前の温度よりも低い温度に設定されている。本実施の形態では、慣らし温度Twaitを設定温度Tsetよりも1deg低い温度に設定している。
制御装置9は、給湯温度Ttarが慣らし温度Twaitと略等しい温度まで低下すると(S303)、その状態を所定時間(慣らし時間Δtwait)の間継続して(S304)、慣らし期間を設ける。慣らし期間は、温冷シャワーにおいて給湯端末7、8から供給する湯の温度を下限温度Tlowまで低下させる前に、使用者に対して温度変動の慣れをもたらす。これにより温冷シャワーにおける使用者の快適性が向上する。
制御装置9は、慣らし時間Δtwait経過後、混合弁4の混合比を、低温側の水の流量が多くなるように調整して給湯温度Ttarを下限温度Tlowまで低下させる(S305)。本実施の形態では下限温度Tlowは、慣らし温度Twaitよりも2deg低い温度に設定している。
制御装置9は、給湯温度Ttarが下限温度Tlowと略等しい温度まで低下すると(S306)、その状態を所定時間(下限温度時間Δtlow)の間継続する(S307)。下限温度時間Δtlowの経過後、制御装置9は、混合弁4の混合比を、高温側の湯の流量が多くなるように調整して給湯温度を上限温度Thiまで上昇させる(S308)。本実施の形態では、上限温度と下限温度の温度差を2degに設定している。よって、本実施の形態では、上限温度と慣らし温度とは同一となる。
制御装置9は、給湯温度Ttarが上限温度Thiと略等しい温度まで上昇すると(S309)、その状態を所定時間(上限温度時間Δthi)の間継続する(S310)。ここで、上限温度時間Δthiは下限温度時間Δtlowよりも長くなるように設定している。これにより、よりも設定温度Tsetに近く、温度の高い湯水が流れる上限温度時間Δthiが相対的に長くなるので、使用者の快適性を向上させることができる。
制御装置9は、上限温度時間Δthiの経過後、S305に戻り、再度、給湯温度Ttarを下限温度Δtlowまで低下させる。S305からS310のステップを繰り返し行うことにより、給湯温度Ttarを上限温度Thiと下限温度Tlowとの間で周期的に変動させる。
図4は、第1モード実行中における給湯温度Ttarの温度変動を示したグラフである。まず、給湯端末7、8からの通常の給湯動作が開始されると、給湯温度が設定温度Tsetになるように混合弁4の混合比が調整される。次に、使用者がリモコン10の操作手段101を押すと、温冷シャワーが開始される。
図4に示すように、操作手段101が押される(温冷シャワーON)と、制御装置9は、慣らし温度Twaitまで低下させる。慣らし時間Δtwait経過後、さらに低温水の比率が多くなるように混合弁4の混合比を調整して給湯温度Ttarを下限温度Tlowまで低下させる。下限温度時間Δtlow経過後、制御装置9は、混合弁4における混合比を高温湯の比率が多くなるように調整して給湯温度Ttarを上限温度Thiまで上昇させる。上限温度時間Δthi経過後、再度、下限温度Tlowまで低下させる。以上の動作を繰り返して、給湯端末7、8から供給させる湯水の温度を変動させる。
図4に示すように、第1モードにおいては、設定温度Tsetよりも低い温度に上限温度Thiと下限温度Tlowとを設定し、これらの温度の間で給湯温度Ttarを変動させている。また、上限温度時間Δthiを下限温度時間Δtlowよりも長く設定している。これは、設定温度Tsetよりも低い温度で温冷シャワーを行った場合でも、上限温度時間Δthiを下限温度時間Δtlowより長くすれば、使用者が冷感を感じにくく、温冷シャワーによる快適性を享受することができるためである。
これにより、加熱手段1の使用、すなわち、高温水の使用を低減させて省エネルギー性を向上させながら、使用者の快適性を向上させることができ、省エネルギー性と快適性との両立を実現した給湯装置とすることができる。
また、図4に示すように第1モードにおいては、慣らし時間Δtwaitを上限温度時間Δthiおよび下限温度時間Δtlowよりも長く設定している。これにより、使用者が給湯端末7、8から供給される湯水の温度変動に十分になれた後に温冷シャワーによる周期的な温度変動が実行されるので、使用者の快適性が向上する。
なお、慣らし時間を十分に確保することで、後述する流量調整弁12による流量変動の準備時間Δtfwait(図7参照)を確保することができ、使用者の快適性を向上させることができる。
さらに、最初に温度を低下させる直前の温度(設定温度Tset)と慣らし温度Twaitとの温度差を、上限温度Thiと下限温度Tlowとの温度差よりも小さくしている。これにより、給湯温度Ttarが低下して使用者が冷感によって不快感を持つ前に、慣らし期間が設けられることとなり、使用者の快適性が向上する。
なお、本実施の形態においては、第1モードにおいて、慣らし温度Twaitを慣らし時間Δtwait継続することにより慣らし期間を構成したが、これ以外の方法で慣らし期間を構成しても良い。例えば、慣らし期間中の給湯温度Ttarの温度変動幅(単位時間に低下する温度幅)を、温冷シャワー実行中の他の温度変動幅よりも緩やかにすることで構成しても良い。
次に、第2モード(弱モード)について、第2モード実行時の給湯温度の温度変化を示す図5を基に以下説明する。なお、第2モードにおける制御フローについては、第1モードと同一のため、その詳細な説明は省略する。
第1モードと第2モードとの切換えは、リモコン10に搭載された操作手段101によって行う。例えば、図2に示す操作手段101を複数回押すことによって、第1モードと第2モードとを切換えるように構成することができる。なお、リモコン10に、操作手段101とは別に、第1モードと第2モードとを選択する他の操作手段(図示せず)を備えていてもよい。
図5に示すように、第2モードにおいては、操作手段101が押されると(温冷シャワーON)、慣らし温度T´waitを所定時間(慣らし時間Δt´wait)継続する慣らし期間を設ける。なお、第2モードにおいては、慣らし温度T´waitと設定温度Tsetとを同一温度としている。
また、図5に示すように、第2モードにおいては、設定温度Tsetと上限温度T´hiとを同一温度に設定し、この上限温度T´hiと、上限温度T´hiよりも低い下限温度T´lowとの間で給湯温度Ttarを変動させている。よって、第2モードの上限温度T´hiは第1モードの上限温度Thiより高い温度に設定されている。これにより、使用者は、第1モードよりも第2モードの方がより強い温感を持つこととなる。このように、使用者が抱く温感が異なる複数の運転モードを備え、使用者の好みに応じて運転モードを適宜選択することで、快適性を向上させることができる。
また、第2モードにおいては、上限温度時間Δt´hiを下限温度時間Δt´lowよりも長く設定している。これにより、温冷シャワーによる快適性を享受することができる。なお、第2モードにおいては、慣らし時間Δt´waitを上限温度時間Δt´hiおよび下限温度時間Δt´lowよりも短く設定している。これは、第2モードにおける上限温度T´hiが設定温度Tsetと同一温度であり、慣らし時間Δt´waitが短くても使用者が冷感を感じにくいためである。
次に、第1モードと第2モードとの比較を行う。第2モードにおける上限温度時間Δt´hiは、第1モードにおける上限温度時間Δthiよりも短く設定されている。これは、第2モードの上限温度T´hiが、設定温度Tsetと同一温度に設定されており、上限温度時間Δthiを短く設定しても、使用者が冷感を持ちにくいためである。これにより、使用者の快適性を向上させながら、湯の使用量を低減させることができるので、省エネルギー性を向上させることができる。
同様の観点から、第2モードにおける上限温度時間Δt´hiと下限温度時間Δt´lowとの比(Δt´hi/Δt´low)は、第1モードにおける上限温度時間Δthiと下限温度時間Δtlowとの比(Δthi/Δtlow)よりも値を小さくしている。これにより、使用者の快適性を向上させながら、湯の使用量を低減させることができるので、省エネルギー性を向上させることができる。
このような温冷シャワーによって、給湯温度Ttarを上限温度(ThiまたはT´hi)と下限温度(TlowまたはT´low)との間で繰り返し変動させる温冷シャワー実行中の平均給湯温度TAは、設定温度Tsetよりも低くなる。また、混合弁4からシャワーヘッドである給湯端末7に流れる湯水が、混合弁4にて設定温度Tsetとなるように制御されている通常の給湯動作運転から、温冷シャワーに移行されたとき、温冷シャワー実行中に混合弁4からシャワーヘッドである給湯端末7に流れる湯水の単位時間あたりの熱量は、通常の給湯動作の実行中に、混合弁4からシャワーヘッドである給湯端末7に流れる湯水の単位時間あたりの熱量よりも小さくなる。よって、省エネルギー性が向上する。
次に、温冷シャワー実行中において、流量調整弁12によって行われる流量変動について説明する。本実施の形態では、操作手段101が押されると、給湯温度の変動と共に、給湯流量に、流量の変動を与えている。流量変動は、制御装置9が、流量調整弁12に搭載された弁をステッピングモータ等により駆動させることで行う。
制御装置9は、操作手段101が押されると、まず、流量検出手段6の検知した給湯流量を取得する。
図6は流量調整弁12の流路面積と給湯流量の関係を示す図であり、横軸に流路面積を縦軸に給湯流量とする。流路面積が小さい場合は、流路面積の変化に対して流量の変化は大きいが、流路面積が大きければ流路面積の変化に対する流量の変化は小さいことを図5は示している。
そのため、同じFL/minの流量変動を与える場合は、変動させる流路面積は、変動を与える前の流量によって流路面積を変更する必要がある。流量がaの場合はPaの変化量で、bの場合はPbの変化量で変化させる。
制御装置9は、給湯流量を流量検出手段6にて検出後、検出した給湯流量に従って変化させる流路面積を決定し流量調整弁12を駆動させる。
図7は、温冷シャワー実行中における給湯流量の時間変化を示すグラフである。温令シャワーと同じ操作手段101が押される(温冷シャワーON)と、制御装置9は、流量調整弁12によって流量を調整して、準備時間Δtfwait秒の間に通常の給湯動作における給湯流量Fsよりも小さい下限流量FIの探索を行う。下限流量FIは、温冷シャワーにおいて流量を変動させた際の平均流量Fcが、流量Fsよりも少なくなるように設定される。すなわち、下限流量FIは、流量Fsに対して所定の節水率を実現するため値である。
準備時間Δtwait経過後、流量変動周期ΔtFで、流量Fsと下限流量Flの間、すなわち、通常の給湯動作における流量Fs以下の範囲で流量を周期的に変動させる。
流量変動周期ΔtFは、温度変動の周期(Δthi+ΔtlowまたはΔt´hi+Δt´low)よりも短い値に設定されている。さらに好ましくは、流量変動の周期ΔtFは、下限温度時間(Δtlow、Δt´low)よりも短い値に設定されている。これにより、上限温度時間中または下限温度時間中に流量の変動を確実に生じさせることができ、使用者の快適性を向上させることができる。
流量を変動させている時間は、図2のリモコン10の表示部の105へ流量が変化する表示をすることによって、使用者に流量が変動していることを知らせる。また、例えば、106と107の絵をアニメーション的に交互に表示して表示しても分かりやすい。
このように、温冷シャワー時に、温度の変動に加えて、流量の変動を与えることにより、マッサージ効果が得られると共に、肌に対する連続的な圧力の刺激が発生して皮膚温の上昇が促進されるため、より快適感を向上させることができるとともに、流量を変動させることにより、節水と省エネルギーの効果をも得ることができる。
以上のように使用者の好みにより、浴室のシャワーヘッドである給湯端末7にて温冷シャワーが給湯されている時に、台所や洗面所のカランである第2の給湯端末8にて給湯が発生する場合でも、本実施の形態では、カランである第2の給湯端末8からも給湯が発生して給湯流量が急激に増加したとしても、十分に高温湯を貯湯している貯湯槽11から出湯しているため、温令シャワーにおける混合弁4の混合比は変更しなくてよい。
貯湯槽11の上部の高温水はほぼ一定の温度であり、給水の水の温度もほぼ一定であるため、流量全体が変化したとしても、混合比を変更する必要がないためである。
また、減圧弁14を設けているため、温冷シャワーが給湯されている時に、同時給湯が発生したとしても、出湯源である貯湯槽11や給水分岐管15内の圧力は常時一定の圧力に保たれているため、圧力の変化が発生せず、給湯流量の変動が起こることもないため、温令シャワーにおける混合弁4の混合比は変更しなくてよいのである。
このように、本実施の形態では、本実施の形態では、貯湯槽11を備え、貯湯槽11の上部には常に高温水が蓄えられていることと、減圧弁14にて減圧した後に貯湯槽11や混合弁4に入水させていることから、給湯温度の安定性を向上させることができる。
特に、短時間で高い温度と低い温度の湯を交互に給湯する温冷シャワーにおいては、給湯温度の安定性を向上させるために有効である。
ここで、加熱手段1としてヒートポンプ装置を用いて貯湯槽11内の湯水の加熱を行う場合、例えば、電気温水器等のように、貯湯槽11の内部にヒータを内蔵して加熱を行う場合と比較して得られる温度安定性について述べる。
図8に、ヒータを内蔵した場合に、貯湯槽11内の湯水の加熱を行う時の温度分布を示し、図9に、ヒートポンプ装置の場合の温度分布を示す。図8、図9共に、横軸を貯湯槽11内の温度、縦軸に貯湯槽11の高さとしている。
例えば、貯湯槽11の湯水の加熱にヒータを用いる場合は、貯湯槽11内の下部にヒータが設けられるため、ヒータで高温となった湯水が貯湯槽11の上部方向へ上昇し、上部の温度は序々に高温となっていく。
図8に示すように、初期温度の温度分布711から、温度分布712、温度分布713と温度が変化し、貯湯槽11の頂部の温度が加熱とともに変化することがわかる。このため、加熱時に給湯が発生する場合には、混合弁4の混合比の変更が必要となる。
一方、ヒートポンプ装置で貯湯槽11の湯水を高温に加熱る場合は、貯湯槽11の下部から低温の湯水を取り出し、例えば80℃といった設定温度に加熱した後、貯湯槽11の上部に戻す動作を繰り返す。
図9に示すように、加熱開始(温度分布811)直後から、加熱中の温度分布812に示すように貯湯槽11上部には、加熱直後から例えば80℃の湯が貯湯され、加熱終了(温度分布813)時まで安定して80℃の湯が蓄えられる。
このため、貯湯槽11の上部には常に80℃の一定した高温の湯水が蓄えられ、給湯が発生したとしても、混合弁4の混合比を変更する必要がないため、安定した温度制御を行うことができる。
このように、以上のように、本発明の実施の形態によれば、貯湯槽11内に貯湯されている高温湯を利用して温冷シャワーを行うことで、複数の給湯端末から同時に給湯が発生しても安定した温度変動の温冷シャワーを実現できるとともに、減圧弁14により、出湯源である貯湯槽11や給水分岐管15内の圧力は常時一定の圧力に保たれているため、圧力の変化が発生しないことで、給湯流量の変動が起こることはなく、安定した温度変動の温冷シャワーを実現することができる。
また、使用者の快適性を向上させるとともに、省エネルギー性が向上した給湯装置を実現することができる。