JP6212197B1 - 建設機械の安全装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】始動された建設機械の周囲に作業者が立ち入らないように、安全性を高めた建設機械の安全装置を提供する。【解決手段】油圧ショベル1の旋回体3の外表面に設置された警報器17と、ゲートロックレバー12の状態を検知するゲートロックレバースイッチ25と、ゲートロックレバー12がゲートロック・オン状態に操作されたことを検知すると、これに応答して無線送受信機20に無線信号を送出させるコントローラ21と、無線信号を受信すると誘導員を呼出し、誘導員が応答をすると許可通知を返信する携帯子機14とを有する。コントローラ21は、許可通知を受信すると警報器17により油圧ショベル1が運転中であることを警報する。【選択図】 図1

Description

本発明は、建設機械の安全装置に係り、更に詳しくは、建設機械とその周囲の安全を図る誘導員との連携を強化する安全装置に関する。
建設機械の使用時に、周囲の作業者に注意を促す方策が検討されており、例えば、特許文献1によると、建設機械の後方への移動、旋回等の開始動作をセンサで検知し、このセンサの検知信号を制御手段が取り込み、制御手段は建設機械における旋回体の旋回、建設機械の後方への移動等の開始動作に先立って、建設機械における旋回体の後部に設けた発光シ−トの発光態様を制御し、建設機械の周辺に注意を促している。
また、特許文献2では、油圧ショベルの旋回体の旋回操作レバーや走行用の操作レバーの動きをセンサで検出し、旋回方向や走行方向等を示す表示パターンを外部警報表示部に表示して、建設機械の動く方向を知らせている。
特許文献3では、ゲートロックレバーの上げ下げに連動して、建設機械における旋回体の外周面の後方部分に設置された発光ダイオードパネルによる表示を制御して、建設機械の近傍にいる作業者に対して建設機械が動作可能な状態であるかを知らせる。
特開2006−298358号公報 特開平7−102596号公報 特開2012−67478号公報
上記従来技術のいずれも、建設機械の状況を周囲の作業者に知らせるものであり、建設機械の状況を見た作業者が各自で、自己の安全を図るという域を出ていない。一方、労働の安全衛生についての基準を定めた、労働安全衛生規則第158条(以下、「安衛規158条」)によれば、「車両系建設機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導員を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。」と定めている。
従来技術を適用した建設機械の運用では、建設機械の周囲に立入禁止のバリケードを設置する、若しくは、バリケードを設置できないような場合は、建設機械が「運転中」状態であることを知らせる発光に気がついた誘導者が、一般作業員の立入を監視することになる。
建設機械が使用される現場、例えば解体現場では、建設機械がアタッチメント(フォーク、掴み機等)で建物等から掴んだ廃材を地上に降ろす作業が一旦終了すると、数人の作業員が廃材を分別、回収する作業を行う。誘導者は、その中の作業者であることが多く、常に建設機械を監視し続けているわけではないのが実情である。従って、建設機械の外部に表示装置を付けて警告を発しても誘導者の責を負った作業者が認知できない場合も想定し得る。
本発明の目的は、「運転中」状態の建設機械の周囲に作業者が立ち入らないように、安全性を高めた建設機械の安全装置を提供するものである。
上記の目的を達成するために、本発明は、建設機械の旋回体の外表面に設置された警報器と、
前記建設機械のゲートロックレバーの状態を検知するゲートロックレバースイッチと、
前記ゲートロックレバーがゲートロック・オン状態に操作されたことをゲートロックレバースイッチが検知すると、これに応答して無線送受信機に無線信号を送出させるコントローラと、
前記無線信号を受信すると誘導員を呼出し、誘導員が応答をすると前記無線送受信機に許可通知を返信する携帯子機とを有し、
前記コントローラは、前記許可通知を受信すると前記警報器により前記建設機械が運転中であることを警報することを特徴とする。
本発明により、誘導員が建設機械の運転を実質指示誘導することになり、「運転中の建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入りさせない」ということを実現し、より積極的な安全対策を講じることができるようになる。
実施例1による建設機械と携帯子機を示す図である。 建設機械の制御回路図である。 動作を示すフローチャートである。 適用例を示す図である。 実施例2を示す図である。
誘導者の責を負った作業者が、建設機械の外部表示装置に気付かない場合を想定して、外部に設置された表示装置による警報に代えて、若しくは付加して拡声器を装着して音により認知させることを検討したが、近隣への影響に配慮して、現場では作業音以外の音を出すことに対して極めて慎重であり、忌避している。よって、騒音の追加となる音による安易な認知は適用できない。
また、安衛規158条によれば、単に「運転中」状態の建設機械の周辺で作業している作業者に知らせるだけでは足りず、建設機械を「誘導員が誘導」すると規定している。そこで、本発明では、従来技術に見られたような「建設機械の状況を見た作業者が各自で、自己の安全を図る」というような、建設機械を主とし作業者を従とする関係を変革すべく検討を行った。
建設機械の運転状態を誘導員に知らせることは、直接的には「誘導員が建設機械を誘導」することには結びつかないが、本発明では「安全対策」を向上させるために、これを結び付けることにした。本発明では、建設機械を主とし作業者を従とする関係を逆転させ、作業者である誘導員を主とし建設機械を従とする発想の転換を行った。
建設機械には、特許文献3にも示されるように、ゲートロックレバーが設置されている。ゲートロックレバーは、乗降口を遮ってオペレータの乗降を規制するように設置され、ゲートロック・オン状態においてはレバーがほぼ水平になり乗降が規制され、引き上げ若しくは下げることによってゲートロック・オフ状態となり乗降口を開放する。ゲートロック・オン状態では、操作油による動作による操作が可能であり、この状態において建設機械が「運転中」状態である。一方、ゲートロック・オフ状態では操作が不能となるとされている。
ゲートロックレバーにより建設機械の動作が開始させるが、ゲートロック・オン状態になったときに、誘導員に対して知らせる手段として無線を利用することにした。無線を利用することにより、誘導員個人に対して廻りに影響することなく知らせることとした。また、誘導員を主とし建設機械を従とするため、誘導員の許可がなければ操作レバーを用いて建設機械を運転できないようにした。そのために、誘導員の許可を取得するための設備を建設機械に設置した。また、誘導員の許可については、オペレータが誘導員の許可を確認して建設機械を動作させるソフト的な対応や、誘導員の許可がなければ建設機械の動作が不能となるハード的な対応が採用できるようにした。以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1Aにおいて、建設機械の油圧ショベル1は、走行体2と、走行体2上に旋回可能に搭載された旋回体3と、旋回体3の前側で、左、右の中間位置に俯仰動可能に設けられた多関節形式の作業装置4を有している。また、走行体2は、駆動輪2aと遊動輪2bとの間に履帯2cを巻回している。旋回体3の前部側にはオペレータが居住するキャビン8が設けられ、後部側には機関室6が設けられている。キャビン8には、オペレータが着座する運転席7が設けられている。キャビン8は、進行方向(排土板11の側)に向かって左側の一方にのみ扉が設けられており、図1ではその扉を取り除いた状態を示している。
また、運転席7の前側には、各種の操作レバー9が設けられている。操作レバー9としては、走行用レバー、走行用レバーの左右に作業装置4を動作させ、旋回体3を旋回させる作業用レバー等がある。また、運転席7の横には、電源のオンオフ、及びエンジンの始動用の電源キースイッチ22(図2)等が設置されているが、図2において説明する。キャビン8の搭乗口には、ゲートロックレバー12が設置されている(図では、運転席7の側面から前に水平になり乗降を規制している状態)。
旋回体3の外表面には、赤、青で発光する警報器17が設けられている。警報器17内には、発光ダイオード等の発光手段が設けられ、赤/青での発光が可能である。また、旋回体3の前側コーナ、後側コーナの目に付きやすい位置にそれぞれ設けられている。また、キャビン8の内部には、オペレータの見える位置に表示装置18が設けられている。
アンテナ5は、ゲートロックレバー12の動作に従って無線信号を発信する。図1Bにおいて、誘導員用の携帯子機14は、油圧ショベル1との間で受信/返信するアンテナ15と、誘導員への呼出しを行う通知器13と、通知を認識した誘導員が返信する応答器16とを有し、誘導員のヘルメットに装着されている。
図2は油圧ショベル1の電気系統、油圧系統の制御回路を示している。油圧ショベル1は、エンジン29により駆動されるパイロットポンプ30及びメインの油圧ポンプ31と、油圧ポンプ31から吐出される圧油によって駆動される油圧モータ35(旋回体3を旋回させる)及び油圧シリンダ36、37を含む複数の油圧アクチュエータ(作動装置4を作動する)と、油圧ポンプ31から油圧モータ35及び油圧シリンダ36、37に供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御するパイロット操作式の流量制御弁群33とを有している。
パイロットポンプ30から吐出される圧油は、電磁切換形式の電磁切替弁34によってオンオフ制御される。電磁切替弁34の下流側には、流量制御弁群33を操作するための制御パイロット圧を生成するリモコン弁群32を備えている。リモコン弁群32は運転席7の左右に夫々位置する操作レバー9に連動している。
エンジン29には、コントローラ21の制御信号に基づいてエンジン29に供給される燃料噴射量を制御し、エンジン29の回転数が目標回転数に維持されるように制御する。コントローラ21には、電源のオンオフ、及びエンジン29の始動、停止を制御する電源キースイッチ22と、無線送受信機20と、エンジン29の目標回転数を設定するエンジンコントロールダイヤル23と、ゲートロックレバー12の状態を検知するゲートロックレバースイッチ25と、警報器17、表示器18を制御する制御器27及びモード選択をするスイッチ24が接続されている。
図3は、コントローラ21と携帯子機14の動作を示したフローチャートである。
油圧ショベル1は、エンジン29が起動しただけでは、作業装置4の操作はできない。ゲートロックレバー12の状態によるのである。ゲートロックレバー12が乗降を開放している状態であると、ゲートロックレバースイッチ25はゲートロック・オフ状態に操作されていると検知したままである。コントローラ21は電磁切替弁34により、パイロットポンプ30とリモコン弁群32の連通を遮断し、これによりリモコン弁群32による制御パイロット圧32a〜32cの生成を不能とし、その制御パイロット圧32a〜32cによる流量制御弁群33の操作を不能としている。
ゲートロックレバー12がゲートロック・オン状態に操作されたことをゲートロックレバースイッチ25が検知すると、これに応答してコントローラ21は無線送受信機20を介して携帯子機14に対して「許可申請」を表す無線信号を発呼する(S11)。この際、運転許可申請中であることを油圧ショベル1の周囲の作業員に知らせるため、警報器17が赤色点滅するように制御器27を指示する。この赤色点滅を「運転申請警報」と呼ぶことにする。
携帯子機14は、「許可申請」を受け取ると(S21)、通知器13を用いて誘導者に対して呼出を行う。通知器13の呼出しは、呼び出し音や点滅発光等を用いて行われる(S22)。誘導者がこれに応答して、応答器16を操作すると(S23)、「許可通知」が返信される(S24)。
コントローラ21は、「許可通知」を受信すると(S12)、警報器17の点灯を常時点灯の状態にして周囲に運転中であることを警報する。この常時赤色点灯を「運転中警報」とよぶことにする。また、表示装置18に許可が降りたことを表示(例えば点灯による許可表示)してオペレータに操作可能であることを通知する。さらに、電磁切替弁34を作動させ、パイロットポンプ30の圧力をリモコン弁群32に導き、これによりリモコン弁群32による制御パイロット圧32a〜32cの生成を可能とし、その制御パイロット圧32a〜32cによる流量制御弁群33の操作を可能とする(S13)。
従って、油圧ショベル1は、ゲートロックレバー12がゲートロック・オン状態に操作されたことをゲートロックレバースイッチ25で検知したとしても、コントローラ21の制御により「許可通知」を受信するまで流量制御弁群33の操作を不能となる。
モード選択をするスイッチ24は、電磁切替弁34の作動をゲートロックレバー12がゲートロック・オン状態になったら誘導者の許可通知が有無に拘わらずに動作させて、パイロットポンプ30の圧力をリモコン弁群32に導くモードを選択できるようにするものである。
次に、図4を用いて本発明の安全装置の適用例について説明する。
解体作業現場において、オペレータが運転席7に乗車して油圧ショベル1の電源キースイッチ22により電源をオンし、エンジン29を起動する。ゲートロックレバー12がゲートロック・オフ状態のままであると、一般に油圧ショベル1は前進/後退及び排土板11の操作は可能であるが、作業装置4を用いた作業はできない。この状態において、コントローラ21は、警報器17を青色発光させてエンジン29が起動された状態であることを周囲に知らせる。この青色発光を「エンジン起動警報」と呼ぶことにする。
一方、誘導者Y、作業者Sらは、廃材の回収作業をしているものとする。
オペレータがゲートロックレバー12を操作して、ゲートロック・オン状態にすると、警報器17は赤色点滅して「運転申請警報」を周囲に知らせる。この状態では、油圧ショベル1の誘導指示を待っている状態である。一方、携帯子機14は、誘導者Yに対して呼出を行う。呼出に気がついた誘導者Yは、油圧ショベル1が誘導可能なポジションに着くと応答器16を操作して、許可通知を油圧ショベル1に送る。これに応答して、表示装置18が点灯することによりオペレータは、誘導者Yの誘導下に入ったことが確認できる。また、警報器17が赤色常時点灯の「運転中警報」が発せられ、周囲の作業員に対して立入り制限中であることを知らせる。
オペレータがゲートロックレバー12を操作しても、誘導者Yが応答できない場合には、誘導者Yを探すために、乗降口から降車する。降車の際には、オペレータはゲートロックレバー12を操作しなければ乗降口が開かないので、ゲートロックレバー12はゲートロック・オフ状態となる。ゲートロック・オフ状態では、エンジン29が運転状態であれば、警報器17を青色発光に変更して「エンジン起動警報」とする。電源キースイッチ22により電源がオフされれば、完全に停止状態となる。
油圧ショベル1による解体作業が一時的に終了し、オペレータがゲートロックレバー12を操作して、ゲートロック・オフ状態にすると、エンジン29が運転状態であれば、警報器17を青色発光に変更して「エンジン起動警報」とする。この状態では、誘導者Yは油圧ショベル1が廃屋から取り出した廃材を他の作業者Sと共に処理する等の他の作業に戻る。
本実施例によれば、誘導者Yによる許可通知がなければ、電磁切替弁34が作動せずに油圧ショベル1のハード的に作業装置の運転ができないため、誘導者Yが油圧ショベル1に対して主たる立場として、誘導が可能となる。
上記実施例においては、誘導者の許可通知の有無により油圧ショベル1のハード的に作業装置の運転不可能とする形態であったが、実施例2では電磁切替弁34の制御については行わずに、単に表示装置18により誘導者の許可通知をオペレータに知らせるだけとし、油圧ショベル1の操作レバー9を操作するか否かはオペレータの判断に任せるソフト的な形態とする。
オペレータは、表示装置18による許可通知がなければ、操作レバー9を用いた作業装置4の操作ができないことを現場のルールとしておく。実施例2では、携帯子機14の動作は実施例1と同じである。
図5において、ゲートロックレバー12がゲートロック・オン状態に操作されると、ゲートロックレバースイッチ25がこれを検知する。コントローラ40は無線送受信機20を介して携帯子機14に対して「許可申請」を表す無線信号を発呼する。コントローラ40は、許可申請中であることを油圧ショベル1の周囲の作業員に知らせるため、警報器17が赤色点滅するように制御器27を指示する(運転申請警報)。
コントローラ40は、携帯子機14から「許可通知」を受信すると、警報器17の点灯を常時点灯の状態にして周囲に運転状態であることを警報し(運転中警報)、かつ表示装置18を点灯してオペレータに操作可能であることを通知する。
本実施例においては、電気系統/油圧系統を制御するコントローラ21に実装されるもので無いため、ゲートロックレバー12の状態を検知するスイッチを取り付けることにより、既存の油圧ショベルに装着することができる。
1 油圧ショベル
2 走行体
3 旋回体
4 作業装置
5 アンテナ
7 運転席
8 キャビン
9 操作レバー
11 排土板
12 ゲートロックレバー
17 警報器
18 表示装置
20 無線送受信機
21、40 コントローラ
25 ゲートロックレバースイッチ
29 エンジン
34 電磁切替弁

Claims (3)

  1. 建設機械の旋回体の外表面に設置された警報器と、
    前記建設機械のゲートロックレバーの状態を検知するゲートロックレバースイッチと、
    前記ゲートロックレバーがゲートロック・オン状態に操作されたことをゲートロックレバースイッチが検知すると、これに応答して無線送受信機に無線信号を送出させるコントローラと、
    前記無線信号を受信すると誘導員を呼出し、誘導員が応答をすると前記無線送受信機に許可通知を返信する携帯子機とを有し、
    前記コントローラは、前記許可通知を受信すると前記警報器により前記建設機械が運転中であることを警報することを特徴とする建設機械の安全装置。
  2. 請求項1に記載の建設機械の安全装置において、
    前記建設機械は、流量制御弁群に与えられる操作油により作業装置が操作されており、
    前記コントローラは、前記ゲートロックレバーがゲートロック・オン状態に操作されたことをゲートロックレバースイッチが検知しても、前記許可通知を受信するまで前記流量制御弁群の操作を不能とすることを特徴とする建設機械の安全装置。
  3. 請求項1に記載の建設機械の安全装置において、
    オペレータに前記許可通知を通知する表示装置を有することを特徴とする建設機械の安全装置。
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