JP6211770B2 - 木質ボード - Google Patents

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Description

本発明は、潜熱蓄熱材を利用した木質ボードに関する。
最近の住宅では、スマートハウスに代表されるように、「省エネ」、「創エネ」、「蓄エネ」をキーワードとして、快適で二酸化炭素を排出させない住宅造りを目指している。一方で、パッシブハウスという考え方があり、高性能な断熱性能を備えることで、高い省エネルギー性と快適性を実現した住宅造りが注目されている。いずれの住宅においても、住宅の断熱性能と熱環境に対する性能の向上が必要不可欠とされている。他方では、二酸化炭素排出削減のために、「木材利用促進法」の制定に見られるように、できるだけ木材を利用して住宅を建てようという傾向が高まってきている。そういった背景から、木質材との組み合わせを考え、住宅の床、壁で蓄熱し、省エネで快適な住空間を提供できる蓄熱性を有した建材の研究・開発が盛んとなってきている。
たとえば、太陽光等の自然エネルギー、冷暖房装置等により発生する熱エネルギー、または、生活において発生する熱エネルギー等を潜熱蓄熱材に蓄熱し、外気温の変動に対して吸熱・放熱を行うことで室内の温度変化を極力少なくしようという提案や試みがなされてきた。
このような点を鑑みて、たとえば、潜熱蓄熱材を金属やプラスチック等の容器に封入した蓄熱ボード(たとえば、特許文献1参照)や、潜熱蓄熱材を内包するマイクロカプセルと木質繊維、および接着剤からなる組成物を、熱圧着成形した蓄熱性繊維ボードが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、別の技術として、潜熱蓄熱材を含浸した木材チップに、セメントなどの無機質硬化体をマトリクスとして成形した蓄熱性無機硬化体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平3−160298号公報 特開2003−260705号公報 特開2006−248834号公報
しかしながら、特許文献1の如く、容器に潜熱蓄熱材を封入した蓄熱ボードは、潜熱蓄熱材が蓄熱ボードから滲み出すことを抑えることができるが、容器とこれを収容したボードの凹部壁面との間に隙間が生じるため、熱伝導性が良いものとはいえない。
このような点を鑑みると、特許文献2の如く、蓄熱性繊維ボードの内部に、マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材を混入させることが考えられるが、この場合には、製造上マイクロカプセルを混入できる量が限られて、単位重量あたりの蓄熱量も減少する。マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材同士は、蓄熱性繊維ボード内において分散して配置されることになるので、潜熱蓄熱材同士の直接的な熱伝導を期待することができず、潜熱蓄熱材による蓄熱の応答性は高いものであるとはいえない。さらに、特に、パラフィン系の潜熱蓄熱材を用いた場合には、成形時にマイクロカプセルがパンクするおそれがある。
そこで、特許文献3の如く、木質系材料を潜熱蓄熱材に含浸されたものを、ボード状に加圧成形することも考えられるが、木質系材料同士の接着性を確保するためには、マトリクスとなるセメントなどの無機質硬化体を介在させねばならない。この結果、潜熱蓄熱材の蓄熱量は十分なものであるといえず、蓄熱の応答性を高めることができないことがある。この点を鑑みて、木質系材料同士を接するように成形した場合には、木質系材料同士はほとんど接合しないため、木質ボードの強度が低下してしまうことがあった。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、木質ボードの強度低下を招くことなく、これまでのものに比べて蓄熱性を高めることができる木質ボードおよびその製造方法を提供することにある。
このような点を鑑みて、発明者らが鋭意検討を重ねた結果、木質成形体に、直接的に潜熱蓄熱材を含浸させることにより、より多くの潜熱蓄熱材を木質ボード内に含有させることができ、この結果、木質ボードの表面からの入熱された熱を効率的に蓄熱し、木質ボードの強度自体も高めることができるとの新たな知見を得た。
本発明は発明者らのこの新たな知見に基づくものであり、本発明に係る木質ボードの製造方法は、木質系材料を集積してボード状に加圧成形された木質成形体に対して、前記木質系材料の表面に潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が形成されるとともに、前記蓄熱層が形成された木質系材料の内部に潜熱蓄熱材が浸透するように、前記潜熱蓄熱材を含浸することを特徴とする。
本発明によれば、マイクロカプセル等を用いずに、予め木質系材料を集積してボード状に加圧成形された木質成形体に対して、潜熱蓄熱材を含浸させるので、強度低下を招くことなく、木質ボードに対して単位重量あたりの潜熱蓄熱材の含有量をこれまでのものに比べて高めた木質ボードを得ることができる。さらに、含浸後の潜熱蓄熱材は、放冷などにより冷却されるので、木質ボード内に潜熱蓄熱材を保持することができる。
さらに、得られた木質ボードを構成する木質系材料の表面には、潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が形成されるとともに、蓄熱層が形成された木質系材料の内部には、潜熱蓄熱材が浸透することになる。この結果、蓄熱層から木質系材料の内部に浸透された潜熱蓄熱材まで、木質ボードの表面からの入熱された熱を効率良く蓄熱することができる。
上述した蓄熱層は、木質成形体の例えば表面および裏面の表層のみに形成されていてもよいが、より好ましい態様としては、前記蓄熱層が、前記木質ボード内においてネットワーク状に形成されるように、前記木質成形体への潜熱蓄熱材の含浸を行なう。この態様によれば、木質成形体(木質ボード)内には、ネットワーク状(網目状)に、蓄熱層が配置されるので、上述した熱伝導性を高めるとともに、木質ボードの機械的強度をも高めることができる。
さらに好ましい態様としては、前記木質系材料に、木質片を用いる。この態様によれば、木質片から木質成形体が加圧成形されているので、木質成形体の空隙率は、その他の材料を集積してボード状に加圧成形されたものに比べて高く、木質成形体内に、潜熱蓄熱材をより多く含浸させることができる。
本発明として、上述した課題を解決するための木質ボードをも開示する。本発明に係る木質ボードは、木質系材料を集積してボード状に加圧成形した木質成形体と、潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質ボードであって、前記木質系材料の表面には、前記潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が連続して形成されているとともに、前記蓄熱層が形成された木質系材料の内部に潜熱蓄熱材が浸透していることを特徴とする。
本発明によれば、前記木質系材料の表面には、前記潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が連続して形成されているとともに、該蓄熱層が形成された木質系材料の内部には潜熱蓄熱材が浸透しているので、これまでのものに比べてより多くの潜熱蓄熱材を木質ボードに含有させることができる。また、本発明に係る木質ボードは、潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が連続して形成されているので、蓄熱層から木質系材料の内部に浸透された潜熱蓄熱材まで、木質ボードの表面からの入熱された熱を効率良く蓄熱することができる。
上述した蓄熱層は、木質成形体の例えば表面および裏面の表層のみに連続して形成されていてもよいが、より好ましい態様としては、前記木質系材料の表面に覆われた潜熱蓄熱材の蓄熱層が、前記木質ボード内においてネットワーク状に形成されている。この態様によれば、木質成形体(木質ボード)内には、ネットワーク状(網目状)に蓄熱層が連続して形成されているので、上述した熱伝導性を高めるとともに、木質ボードの機械的強度をも高めることができる。
さらに好ましい態様としては、前記木質系材料は、木質片からなる。この態様によれば、木質片から木質成形体が加圧成形されているので、木質成形体の空隙率は、その他の材料を集積してボード状に加圧成形されたものに比べて高く、木質成形体内に、潜熱蓄熱材をより多く含有させることができる。
本発明によれば、木質ボードの強度低下を招くことなく、これまでのものに比べて蓄熱性を高めることができる。
本発明の実施形態に係る木質ボードの製造方法を説明する模式的概念図。 図1に示す製造方法で製造された木質ボードの模式的部分断面図。 木質ボードの蓄熱量を測定する方法を説明するための図。 実施例3〜7および比較例6に係る木質ボードの含浸時間と、パラフィンの含有量との関係を示した図。 実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードのパラフィンの含有量と曲げ強さとの関係を示した図。 実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードのパラフィンの含有量と吸水率との関係を示した図。 実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードのパラフィンの含有量と厚さ膨張率との関係を示した図。 実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードのパラフィンの含有量と吸湿率との関係を示した図。 実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードのパラフィンの含有量と吸湿厚さ変化率との関係を示した図。 実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードのパラフィンの含有量と吸湿厚さ蓄熱量との関係を示した図。
以下、図面を参照して、本実施形態に基づき本発明を説明する。
図1は、本発明の実施系形態に係る木質ボードの製造方法を説明する模式的概念図であり、図2は、図1に示す製造方法で製造された木質ボードの模式的部分断面図である。
本実施形態に係る木質ボード1を製造する際に、まず、図1に示すように、木質系材料を集積してボード状に加圧成形された木質成形体1aを準備する。木質成形体としては、パーティクルボード、MDF、インシュレーションボード、OSB等を挙げることができる。木質系材料としては、南洋材であるラワンや針葉樹のマツやスギ等から得られるチップ状の木質片または木質繊維などを挙げることができる。
本実施形態では、より好ましい態様として、木質系材料に木質片を用い、木質成形体として木質片を集積させたパーティクルボードを準備する。木質系材料に木質片から得られるパーティクルボードは、木質繊維で成形したものに比べて、木質成形体の空隙率は高くなるため、後述するように、木質成形体内に潜熱蓄熱材をより多く含浸させることができる。
木質成形体は、これらの木質系材料を必要に応じてイソシアネート接着剤、フェノールホルムアルデヒド系接着剤、尿素ホルムアルデヒド系接着剤、メラミンホルムアルデヒド系接着剤と混合し、集積してボード状に加圧成形することにより得られる。木質成形体を成形する際には、加圧加熱成形を行ってもよい。
ここで、木質成形体の密度は、0.2〜0.6g/cm(望ましくは0.3〜0.5g/cm)の範囲にあることが好ましく、一般的に用いられる木質成形体に比べて比較的に軽量の木質成形体を用いることが好ましい。
このようにして得られたボード状の木質成形体1aに、溶融状態の潜熱蓄熱材5aを含浸させる。潜熱蓄熱材5aは、加熱装置の設置されたバット9内において融点以上(通常は融点+20〜30℃程度)に加熱されており、溶融した状態となっている。このバット9内の潜熱蓄熱材5aに木質成形体1aを浸漬し、所定時間放置することにより、木質片の表面に潜熱蓄熱材5aからなる蓄熱層5が形成されるとともに、木質片の内部に潜熱蓄熱材が浸透するように、溶融状態の潜熱蓄熱材5aを木質ボード内に含浸させる。
バット9内に含浸される潜熱蓄熱材は、日射光により付与される日射熱、または、室内の暖房による熱などで固体から液体に相変化する潜熱蓄熱材であり、好ましくは、住宅用蓄熱建材を考慮すると、潜熱蓄熱材の相変化温度(融点)は5℃〜60℃の範囲にあり、より好ましくは、20℃〜60℃の範囲にある。室内の壁用に用いる場合には、融点が20℃〜30℃の範囲にあることが望ましく、室内の床用に用いる場合には、30℃〜60℃の範囲にあることが望ましい。
潜熱蓄熱材としては、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ナノデカン等及びこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等の脂肪族炭化水素、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等及びこれらの混合物で構成される長鎖脂肪酸、または、上記脂肪酸のエステルやポリエチレングリコール等のポリエーテル化合物等を挙げることができる。たとえば28℃で融解するものであれば、n−オクタデカンを選択し、18℃で融解するものであれば、n−ヘキサデカンを選択する。さらに、上述した融点の異なる潜熱蓄熱材を混合して用いてもよい。
ここで、本実施形態では、バット9内の潜熱蓄熱材5aに木質成形体1aを浸漬させることにより、潜熱蓄熱材を木質成形体に含浸させたが、たとえば、木質成形体1aの表面に潜熱蓄熱材を流すまたは塗布することにより、潜熱蓄熱材を木質成形体1aに含浸させてもよい。
そして、図1に示すように、潜熱蓄熱材5aが含浸された木質ボード1を立て、表面に付着した潜熱蓄熱材5aおよび内部に含浸された溶融した潜熱蓄熱材5aの一部の液きりを行い、その後、放冷などにより冷却して、潜熱蓄熱材5aを固化させる。
このようにして得られた木質ボード1は、図2に示すように、木質片3の表面に、潜熱蓄熱材からなる蓄熱層5が、木質ボード内の全体に(木質ボードの表面から裏面まで)ネットワーク状(網目状)に形成されるとともに、蓄熱層5が形成された木質片の内部には潜熱蓄熱材が浸透している。さらに、木質ボード1の内部には、空隙が形成されることになる。
このような結果、木質片3の表面には、潜熱蓄熱材からなる蓄熱層5が連続して形成されているとともに、蓄熱層5が形成された木質片3の内部には潜熱蓄熱材が浸透しているので、これまでのものに比べてより多くの潜熱蓄熱材を木質ボード1に含有させることができる。
また、木質ボード1は、潜熱蓄熱材からなる蓄熱層5がボード表面から裏面まで、その内部においてネットワーク状に連続して形成されているので、木質ボード1の機械的強度も高めつつも、蓄熱層5から入熱された熱を潜熱蓄熱材を介して木質ボードの内部に迅速に伝えることができる。さらに、蓄熱層5が形成された木質片3の内部にも潜熱蓄熱材が浸透されているので、この浸透された潜熱蓄熱材により木質ボード1の表面からの入熱された熱を効率良く蓄熱することができる。
また、木質片3の表面には、連続して蓄熱層5が形成されているので、木質ボード1の吸湿性および吸水性を抑えることができ、さらには、接着剤のホルムアルデヒドの放散をも抑制することができる。
また、図2に示すように、木質ボード1の内部には、空隙8が形成されているので、蓄熱時において溶融した蓄熱材の滲み出しを抑制することができるとともに、木質ボード1の断熱効果を高めることもできる。
以下に本発明を実施例により説明する。
<実施例1>
スギチップからなる木質片に、尿素メラミンホルムアルデヒド接着剤を10質量%添加して、プレス温度180℃、プレス時間6分、350mm×350mm×厚さ12mmのパーティクルボード(ボード状の木質成形体)を密度0.5g/cmとなるように加圧加熱成形した。得られたパーティクルボードを200mm×200mmにカットして、n−オクタデカン(JX日鉱日石エネルギー(株)TS8:融点28℃、融解蓄熱量240kJ/kg)からなる潜熱蓄熱材を60℃まで加熱してバット内で溶融させ、融解した潜熱蓄熱材にカットしたパーティクルボードを5分間浸漬し、パーティクルボード内に潜熱蓄熱材を含浸させ、潜熱蓄熱材を液きり後放冷し、木質ボードを作製した。
<実施例2>
実施例1と同じように、木質ボードを作製した。実施例1と相違する点は、潜熱蓄熱材に、パラフィンワックス(日本精蝋(株)製PW−115:融点48℃、融解蓄熱量200kJ/kg)を用いて、バット内で80℃まで加熱して融解させた点である。
<比較例1>
実施例1と同じように、木質ボードを製作した。実施例1と相違する点は、スギチップからなる木質片に、潜熱蓄熱材としてマイクロカプセル化したn−オクタデカン(ノルマルパラフィン)を、20質量%添加した点である。マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材としては、三菱製紙(株)製の「サーモメモリFP25」(融点:25℃、融解蓄熱量188kJ/kg)を用いた。なお、接着剤および加圧加熱成形条件は、実施例1と同じである。
<比較例2>
実施例1と同じように、木質ボードを製作した。実施例1と相違する点は、スギチップからなる木質片に、潜熱蓄熱材としてマイクロカプセル化したn−オクタデカン(ノルマルパラフィン)を、30質量%添加した点である。マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材として、三菱製紙(株)製の「サーモメモリFP25」(融点:25℃、融解蓄熱量188kJ/kg)を用いた。なお、接着剤および加圧加熱成形条件は、実施例1と同じである。しかしながら、この場合には、成形時に、ボードがパンクし、成形不能となった。
<比較例3〜5>
実施例1と同じように、木質ボードを製作した。実施例1と相違する点は、スギチップからなる木質片に、潜熱蓄熱材としてn−オクタデカン(ノルマルパラフィン)をそれぞれ、含有率30質量%(比較例3:含有量0.21g/cm)、含有率45質量%(比較例4:含有量0.31g/cm)、含有率56質量%(比較例5:含有量0.39g/cm)含浸させ、潜熱蓄熱材が含浸した木質片を、実施例1と同じ接着剤および加圧加熱成形条件で、木質ボードの密度が0.70g/cmとなるように木質ボードに成形しようとした点である。しかしながら、比較例3〜5のいずれの場合にも、成形時(解圧時)に、木質ボードがパンクし成形不能となった。
[木質ボードの密度の測定]
実施例1、2および比較例1の木質ボードに係る木質ボードの密度、および、木質ボードに含浸された潜熱蓄熱材の含有量を測定した。具体的には、木質ボードの寸法から木質ボードの体積を算出し、この体積と木質ボードの重量とから木質ボードの密度を算出した。含浸前の木質ボード(木質成形体)の重量と、含浸後の木質ボードの重量から、潜熱蓄熱材の含有量を算出した。この結果を表1に示す。
[木質ボードの蓄熱量の測定]
実施例1、2および比較例1の木質ボードの蓄熱量を測定した。具体的には、図3に示すように、各木質ボード1を加熱板1に載置し、木質ボードの側面を断熱材で囲い、側面からボード表面およびボード裏面に、熱流計14、16、熱電対15、17を配置した。加熱板を実施例1の場合には35℃(環境試験室温20℃)、実施例2の場合には55℃(環境試験室温40℃)、比較例1の場合には、32℃(環境試験室温17℃)となるように加熱板を加熱し、加熱板から木質ボードに流入した熱量Q1から流出した熱量Q2を差し引いた熱量から算出した。
具体的には、加熱板により上述した温度に5時間加熱を行い、流量計により木質ボードの蓄熱量を測定した。この結果を表1に示す。なお、実施例1、実施例2、比較例1の加熱温度が相違するのは、加熱板の加熱温度と雰囲気温度となる環境試験室温は使用する潜熱蓄熱材の融点に応じて変更する必要があるからである。
[ホルムアルデヒド放散量の測定]
JIS A 5908に準拠して、実施例1、2および比較例1の木質ボードのホルムアルデヒドの放散量を測定した。この結果を表1に示す。
[潜熱蓄熱材の溶出評価]
実施例1、2および比較例1の木質ボードを100℃のドライヤーで3時間加熱し、20℃65%R.H.の試験環境下に移し、試験体から潜熱蓄熱材の溶出状況を確認した。この結果を表1に示す。評価は、下記に示すとおりである。
◎:溶出は見られなかった
○:溶出はほとんど見られなかった
×:溶出が見られた
Figure 0006211770
〔結果1〕
実施例1および2に係る木質ボードは、比較例1の木質ボードに比べて、より多くの潜熱蓄熱材を含有している。これにより、実施例1および2に係る木質ボードの単位面積あたりの蓄熱量は大きくなっていると考えられる。これは、実施例1および2に係る木質ボードの場合には、木質片の表面に潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が連続して形成されるとともに、蓄熱層が形成された木質片の内部にも潜熱蓄熱材が浸透していたからであると考えられる。
また、比較例2の如く、マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材を用いて、比較例1よりも潜熱蓄熱材の含有率をより高めようとした場合には、マイクロカプセルの破壊により木質ボードがパンクして成形できないことがわかった。
実施例1および2に係る木質ボードのホルムアルデヒド放散量は、比較例1のものに比べて少なくなった。これは、実施例1および2の場合には、接着剤により接着された接着部分にも、潜熱蓄熱材がコーティングされていることによると考えられる。
なお、実施例1および2に係る木質ボードは、比較例1のものよりも潜熱蓄熱材の含有量が多いにもかかわらず、比較例1と同様に溶出はみられなかった。
<実施例3〜7>
実施例1と同じように、木質ボードを作製した。実施例1と相違する点は、潜熱蓄熱材(以下パラフィンと呼ぶ)の含浸時間を、表2に示すように変更した点である。なお、実施例6は、実施例1と同じ条件である。
<比較例6>
実施例1と同じように、木質ボードを作製した。実施例1と相違する点は、潜熱蓄熱材の含浸を行っていない点である。
Figure 0006211770
[木質ボードのパラフィン含有量の測定]
実施例3〜7および比較例6に係る木質ボードのパラフィン含有量を実施例1と同じ方法で測定した。この結果を図4に示す。
[木質ボードの曲げ強さの測定]
実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードの曲げ強さをJIS A 5908に準じて測定した。この結果を図5に示す。
[木質ボードの吸水率および厚さ膨張率の測定]
実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードの吸水率をJIS A 5908に準拠して測定した。この結果を図6に示す。さらに、このときの各木質ボードの厚さ膨張率を測定した。この結果を図7に示す。
[木質ボードの吸湿率の測定]
実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードの吸湿率を、40℃、90%R.H.7日後の条件で測定した。この結果を図8に示す。
[木質ボードの吸湿厚さ変化率の測定]
実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードの吸湿厚さ変化率を、40℃、90%R.H.7日後の条件で、測定した。この結果を図9に示す。
[木質ボードの蓄熱量の測定]
実施例3、4、6および比較例6に係る木質ボードの蓄熱量を、実施例1と同様の方法で測定したこの結果を図10に示す。
〔結果2〕
図4に示すように、浸漬時間の増加に伴いパラフィンの含有量が増加した。実施例5の如く、2分以上浸漬した場合には、木質ボード全体に、パラフィンが含浸され、木質片の表面に覆われた蓄熱層が、木質ボード内においてネットワーク状に配置されていることが確認できた。そして、このような状態の木質ボードでは、図5に示すように、木質ボードの曲げ強さが高まるといえる。
図6に示すように、実施例3、4、6に係る木質ボードの吸水量は比較例6のものに比べて少なく、図7に示すように、実施例3、4、6に係る木質ボードの厚さ膨張率は比較例6のものに比べて低い。このことから、実施例6の如く木質ボードの内部までパラフィンが含浸されている場合には、木質ボードを構成する木質片の表面にパラフィンからなる蓄熱層が被覆されているため、木質ボードの吸水性を抑制し、吸水による木質ボードの厚さ変化を抑えることができると考えられる。
図8に示すように、実施例3、4、6に係る木質ボードの吸湿率は比較例6のものに比べて少なく、図9に示すように、実施例3、4、6に係る木質ボードの吸湿厚さ変化率は比較例6のものに比べて低い。このことから、潜熱蓄熱材であるパラフィンを用いることにより、木質ボードの吸湿性を抑制し、吸湿による木質ボードの厚さ変化を抑えることができると考えられる。
図10に示すように、実施例3、4、6の順に木質ボードの蓄熱量は高くなった。このことから、木質ボードの蓄熱量は、木質ボードに含有するパラフィンの含有量に依存しているといえる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
本実施形態の木質ボードに化粧材を設けてもよい。また、木質ボード自体に切削、穴あけ等の加工をさらに施してもよい。これにより、高い防音性を発揮することができる。さらに木質ボードを断熱材と組み合わせることにより、高い蓄熱性と断熱性の効果を期待することができる。
1a:木質成形体、1:木質ボード、3:木質片、5a:潜熱蓄熱材、5:蓄熱層、8:空隙、9:バット

Claims (3)

  1. 木質系材料を集積してボード状に加圧成形した木質成形体と、潜熱蓄熱材とを少なくとも備えた木質ボードであって、
    前記木質ボードの内部の前記潜熱蓄熱材が含浸された部分に空隙が形成され、かつ前記木質系材料の表面を覆うように、前記表面に前記潜熱蓄熱材からなる蓄熱層が連続して形成されているとともに、前記蓄熱層が形成された木質系材料の内部に潜熱蓄熱材が浸透していることを特徴とする木質ボード。
  2. 前記木質系材料の表面に覆われた蓄熱層が、前記木質ボード内においてネットワーク状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木質ボード。
  3. 前記木質系材料は、木質片からなることを特徴とする請求項1または2に記載の木質ボード。
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