JP6210667B2 - 花粉症症状軽減作用を有するキクイモ抽出物 - Google Patents

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Description

本発明は、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を有し、顕著な花粉症の症状軽減効果を発揮するキクイモ抽出物およびその製造方法に関するものである。
また本発明は、当該抽出物を活性成分として含有する食品組成物または医薬品組成物に関するものである。
キクイモ(Helianthus tuberosus)は、キク科(Compositae) ヒマワリ属の多年草で、その主成分は多糖類のイヌリンを含む食物繊維で、通常のイモ類と異なり、デンプンをほとんど含まず、また、主成分のイヌリンが血糖低下作用を有する事などから、低カロリーの健康食品用素材として注目されている。
これまで、キクイモの抽出物については、ラジカル消去作用、エラスターゼ活性抑制作用およびB16細胞白色化作用を有する多機能型の皮膚外用剤、または抗酸化作用、ホスホリパーゼA2活性抑制作用を有する毛髪用外用剤の有効成分として有用なキクイモ抽出物(特許文献1参照)、あるいは、皮ふの抗炎症および再生用香粧組成物の活性成分として有用なキクイモ抽出物(特許文献2)などが報告されている。
上記特許文献1には、キクイモを水または、50%エタノール若しくは50%1,3−ブチレングリコールで抽出した抽出物が記載されている。この抽出物は、用いられている抽出溶媒から、キクイモの主成分のイヌリンを主体とするものである。一方、本発明のキクイモ抽出物は、イヌリン溶解度が約2%以下の抽出溶媒、例えば約60〜90%含水アルコールで抽出して得られるもので、イヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まないものであり、当該抽出物とは全く異なる物である。
また、特許文献2には、キクイモを水で抽出して得た抽出液の他に、キクイモを70%水性エタノールで4日間放置して得た抽出液をろ過し、冷却下、光および空気から保護して貯蔵した抽出液が記載されている。この抽出液は、抽出溶媒の点で、本発明の抽出物と重複している。しかしながら、本発明のキクイモ抽出物は、イヌリン溶解度が約2%以下の抽出溶媒、例えば約60〜90%含水アルコールで、抽出した抽出液をろ過、精製し、これを濃縮、乾固して得られるものであり、当該キクイモ抽出液とは、物の組成においても形状においても全く異なる物である。
さらに、本発明の抽出物は、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示すものであり、従来の抽出物とは、作用効果においても全く異なっている。
これまで、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を有し、花粉症の症状緩和効果を示すキクイモ抽出物については全く報告されておらず、示唆もされていない。
花粉症の症状、例えば、くしゃみやかゆみの軽減化に関しては、花粉症における重要な誘発因子であるIgE抗体やヒスタミンの産生を抑制することが有効と言われている。
このようなことから、本発明者は、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示す植物抽出成分を見出すべく研究を行った結果、キクイモの抽出物であって、主成分のイヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まない抽出物に所望の効果を見出すことができ、本発明を完成するに至った。
特開2007−246446 特公平5−52805
本発明の目的は、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示し、花粉症の症状軽減効果を有するキクイモ抽出物、当該抽出物を有効成分として含有する食品組成物あるいは医薬品組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、本発明を成した。すなわち、キクイモの抽出物であって、主成分のイヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まない抽出物が、高いIgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示し、花粉症の症状軽減効果を有することを見出すに至り、本発明を完成した。
キクイモの主成分のイヌリンについては血糖降下作用を示すことが知られており、また、イヌリンを主体とするキクイモ抽出物の作用効果についても、いくつか報告されている。(例えば、特許文献1および2参照)
しかしながら、本発明で目的とする、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示す成分については、全く報告も示唆もされていない。本発明者らは、キクイモの主成分のイヌリン以外の成分に注目し、主成分のイヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まない抽出物について研究を行った。
イヌリンは水溶性が極めて高いことが知られており、一方、含水アルコールでは、アルコール濃度に比例してイヌリン溶解性が低下する。例えば、含水メタノールまたは含水エタノールのイヌリン溶解度は、約60%の濃度で、イヌリン溶解度が約1.5〜1.6%と極めて低い事を確認した。このことから、主成分のイヌリンをできるだけ含まない抽出物を得るべく、キクイモを、イヌリン溶解度が約2%以下の含水アルコール、例えば、70%メタノールを用いて抽出して、当該抽出物について検討を行ったところ、驚くべきことに、顕著なIgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示し、花粉症の症状軽減効果を発揮することを見出し、本発明を成した。本発明は、このような優れた作用効果を示す、新規なキクイモ抽出物に関するものである。
より詳細には、本発明は、
[1] キクイモ( Helianthus tuberosus)の抽出物であって、主成分のイヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まない抽出物、
[2] IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示し、花粉症の症状軽減効果を有することを特徴とする、[1]に記載の抽出物、
[3] キクイモ( Helianthus tuberosus)の塊茎またはその乾燥粉末を、イヌリン溶解度が約2%以下の抽出溶媒を用いて抽出して得られることを特徴とする、[1]に記載の抽出物、
[4] 抽出溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールの中から選ばれる1種の低級アルコールと水との混合物である、 [3]に記載の抽出物、
[5] 抽出溶媒が、約60〜90%含水メタノールまたは約60〜90%含水エタノールである、[4]に記載の抽出物、または、
[6] キクイモ( Helianthus tuberosus)の塊茎またはその乾燥粉末を、1倍〜100倍の、約60〜90%含水メタノールまたは約60〜90%含水エタノールで、4〜60度(摂氏) の温度条件で、0.5〜48時間、静置または攪拌して得られる抽出液をろ過、精製し、これを濃縮、乾固して得られる、 [5]に記載の抽出物、に関する。
また、本発明は、
[7] キクイモ( Helianthus tuberosus)の塊茎またはその乾燥粉末を、イヌリン溶解度が約2%以下の抽出溶媒を用いて抽出することを特徴とする、キクイモ抽出物の製造方法、
[8] 抽出溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールの中から選ばれる1種の低級アルコールと水との混合物である、[7]に記載のキクイモ抽出物の製造方法、[9] 抽出溶媒が、約60〜90%含水メタノールまたは約60〜90%含水エタノールである、[8]に記載のキクイモ抽出物の製造方法、および、
[10] キクイモ( Helianthus tuberosus)の塊茎またはその乾燥粉末を、1倍〜100倍の、約60〜90%含水メタノールまたは約60〜90%含水エタノールで、4〜60度(摂氏) の温度条件で、0.5〜48時間、静置または攪拌して得られる抽出液をろ過、精製し、これを濃縮、乾固することを特徴とする、[9]に記載のキクイモ抽出物の製造方法、に関する。
さらに、本発明は、
[11] [1]に記載のキクイモ抽出物を活性成分として含有する、食品組成物または医薬品組成物、
[12] 花粉症症状軽減効果を有する、[11]に記載の食品組成物または医薬品組成物、および、
[13] [1]に記載のキクイモ抽出物を活性成分として含有する、花粉症症状緩和剤、に関するものである。
本発明の新規なキクイモ抽出物は、顕著なIgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を有しており、花粉症症状を軽減させる効果を有する食品組成物あるいは医薬品組成物の有効成分として、極めて有用である。
図1は、実施例1で得られたキクイモ抽出物群、ノーマル群およびコントロール群各群のひっかき回数の経時的変化を示す図である。縦軸は15分あたりのひっかき回数(回)、横軸は測定日までの摂取日数(日)であり、値は、平均値±標準偏差、グラフ中、「*」印は、Studentのt-検定によりそれぞれp < 0.05でコントロールに対して有意差があることを表す。。 図2は、実施例1で得られたキクイモ抽出物群、ノーマル群およびコントロール群各群の摂取40日後のくしゃみ回数を示す図である。縦軸は30分あたりのくしゃみ回数(回)であり、値は、平均値±標準偏差、グラフ中、「*」印は、Studentのt-検定によりそれぞれp < 0.05でコントロールに対して有意差があることを表す。 図3は、実施例1で得られたキクイモ抽出物群、ノーマル群およびコントロール群各群の摂取40日後の血清中の総IgE抗体価を示す図である。縦軸は490nmにおける吸光度を示し、値は、平均値±標準偏差、グラフ中、「*」印は、Studentのt-検定によりそれぞれp < 0.05でコントロールに対して有意差があることを表す。 図4は、実施例1で得られたキクイモ抽出物群、ノーマル群およびコントロール群各群の摂取40日後の血清中のCry j 1特異的IgE抗体価を示す図である。縦軸は490nmにおける吸光度を示し、値は、平均値±標準偏差、グラフ中、「*」印は、Studentのt-検定によりそれぞれp < 0.05でコントロールに対して有意差があることを表す。 図5は、実施例1で得られたキクイモ抽出物群、ノーマル群およびコントロール群各群の摂取40日後の血中ヒスタミン濃度を示す図である。縦軸は490nmにおける吸光度を示し、値は、平均値±標準偏差、グラフ中、「*」印は、Studentのt-検定によりそれぞれp < 0.05でコントロールに対して有意差があることを表す。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明は、キクイモの抽出物であって、主成分のイヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まない抽出物に関する。
キクイモとは、キク科ヒマワリ属の多年草で、塊茎をつくることを特徴とする植物であり、その主成分は多糖類のイヌリンを含む食物繊維で、通常のイモ類と異なり、デンプンをほとんど含まず、また、イヌリンが血糖低下作用を示す事などから、機能性食品の原料として健康維持など幅広い分野で注目されているものである。
本発明のキクイモ抽出物は、主成分のイヌリンをほとんど含まないか、あるいは極めて僅かしか含まないことを特徴とするものである。
キクイモの主成分のイヌリンは水溶性が極めて高く、一方、含水アルコールでは、アルコール濃度に比例して溶解性が低下する。
本発明者らは、イヌリンの溶解性の低い抽出溶媒を見出すべく、以下のように、含水アルコールのイヌリン溶解度測定試験を行った。
測定方法
キクイモ粉砕物に、10倍量の含水メタノールまたは含水エタノール(濃度:0−100%)を加え、室温で、2時間、攪拌して抽出液を得た。
抽出液を遠心分離(12,000rpm,15分,10℃)して上清を得た。
遠心分離前の抽出液と各上清に含まれるイヌリン量を、フェノール硫酸法によるフルクトース相当量で換算し、下式により溶解度を算出した。
溶解度={(上清のイヌリン量)/(遠心分離前の溶液のイヌリン量)}×100

結果
測定結果は表1に示すとおりである。
Figure 0006210667
本試験により、含水メタノールまたは含水エタノールのイヌリン溶解度は、約50%の濃度で約4〜5%に低下し、約60%の濃度では約1.5〜1.6%と急激に低下し、約90%で100%アルコールとほぼ同程度の約0.3〜0.4%であることを確認した。
本発明は、この知見を基に成したものであり、キクイモの塊茎またはその乾燥粉末を、イヌリン溶解度が約2%以下の抽出溶媒、例えば約60〜90%含水アルコールを用いて抽出したことを特徴とするものである。
以下に、本発明のキクイモ抽出物の製造方法の概略を述べる。
すなわち、キクイモの塊茎またはその乾燥粉末に、1倍〜100倍のイヌリン溶解度が約2%以下の抽出溶媒を加え、4〜60度(摂氏) の温度で、0.5〜48時間、静置または攪拌して粗抽出液を得る。その粗抽出液をろ過または遠心分離等の工程を経て得た精製抽出液を、エバポレーター等による減圧濃縮あるいはスプレードライ等の操作を加えることにより、本発明のキクイモ抽出物を製造する。
抽出溶媒としては、医薬品または食品組成物成分の抽出溶媒として許容される溶媒であって、イヌリンの溶解度が約2%以下であればどのような溶媒でもよいが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールの中から選ばれる1種の低級アルコールと水との混合物が好ましく、特にその中でもエタノールおよびメタノールの含水混合物がより好ましい。
また、含水アルコールの濃度は、イヌリンの溶解度が約2%以下になる濃度であればどのような濃度でもよく、例えば、含水メタノールまたは含水エタノールの場合、約60%〜90%の範囲の中で適宜選択することができるが、約70〜80%が好ましい。
温度条件は、約4〜60℃が好ましく 、約4〜25℃が最も好ましい。
また、抽出の際、成分の変化をできるだけ抑えるように、pH
を、4.0〜9.0に調整することが好ましい。
このようにして製造した本発明のキクイモ抽出物について、BALB/cマウスを用いた動物試験において、スギ花粉アレルゲンCry j 1感作によって誘導される血中抗体価およびヒスタミン濃度を測定した。
すなわち、5週令の雌性BALB/cマウス(Charles River社)を3群に分け、その内の1群をノーマル群(無処置群)とし、残る2つの群に、スギ花粉アレルゲンCry j1感作処置をして、コントロール群およびキクイモ抽出物群とした。マウスは、Alum(Thermo社)とともにCry j 1(日本生化学バイオビジネス社)溶液(15μg/150μl)を0日後と7日後と14日後の3回、腹腔内注射して感作した。さらに28日後から14日間連日、1日1回、Cry j 1溶液(7μg/70μl)をマウスの鼻腔内に注入して経鼻感作を行った。ノーマル群、コントロール群には基本飼料(MF飼料、オリエンタル酵母社)を、キクイモ抽出物群には、キクイモ抽出物添加飼料(基本飼料の内、キクイモ抽出物を0.05%添加したもの)を給餌し、40日目まで継続し、試験期間中、5日間隔で15分あたりのひっかき回数を測定した。また、40日目において、30分あたりのくしゃみ回数を測定した。さらに、試験終了後、腹部大静脈より採血し、血清中の総IgE抗体価、Cry j 1特異的IgE抗体価、およびヒスタミン濃度をELISA法で測定した。なお、飼料摂取期間中は感作を維持させるため、1週間に1回、Cry j 1溶液(1.5μg/15μl)をマウスの鼻腔内に注入した。
その結果、25日目以降において、キクイモ抽出物群のひっかき回数がコントロール群と比較して顕著に低下した。また、40日目において、キクイモ抽出物群のくしゃみ回数がコントロール群と比較して顕著に低下した。
さらに、キクイモ抽出物群の血清中の総IgE抗体価およびCry j 1特異的IgE抗体価は、コントロール群と比較して有意に低い値を示した。(p<0.05)また、キクイモ抽出物群の血清中のヒスタミン濃度は、コントロール群と比較して有意に低い値を示した(p<0.05)。
本実験結果は、本発明のキクイモ抽出物が、顕著なIgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を有し、優れた花粉症症状軽減効果を発揮することを示すものである。
本発明の抽出物は、このように、優れた花粉症症状軽減効果を発揮するものであり、各種の食品組成物あるいは医薬品組成物の活性成分として用いることができる。
食品の場合、適当な食品添加物と組み合わせて、各種の機能性健康食品として用いることができる。
また、医薬品とする場合は、適当な医薬品添加剤と組み合わせて、通常の調剤の手法に従って各種の剤形として用いることができる。このような剤形としては、例えば散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。
本発明の抽出物を医薬品組成物の活性成分として使用する場合の投与量は、患者の年齢、体重、性別、症状の程度、投与方法などの種々の要因によって異なるが、成人で、1日当たり、経口投与の場合は、概ね、1〜1000mg、非経口投与の場合は、概ね0.1〜100mgの範囲で選択することができる。また、症状改善の度合いによって、適宜増減することもできる。投与回数としては、1日1回〜数回に分けて投与することができる。
本発明の抽出物を食品として使用する場合の摂取量は、上記医薬品の経口投与の場合に準じて選択することができる。但し、飲食物の場合は医薬品とは異なり、投与用量および投与回数が特に制限されないことから、特に重篤な症状を発生しない限りにおいて、健康維持という目的、並びに、呈味性、嗜好性を考慮して、上記の範囲に限定されずに摂取量を選択してもよい。
以下に、本発明の実施の態様について、実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
70%メタノール抽出物の製造
長野県、阿智村で栽培されたキクイモの茎を採取した。これを水洗後、乾燥機により乾燥し、粉砕機により粉砕して、キクイモ粉砕物を得た。
キクイモ粉砕物50gに70%メタノール300mLを加えたのち、4℃下で一晩撹拌抽出した。これを遠心分離(7500×g、10分間)して得た上清をエバポレーターに供して溶媒を除去し、キクイモ抽出物16.1gを得た。
70%エタノール抽出物の製造
実施例1の方法に準じて、抽出溶媒として70%エタノールを用いて、以下のように、キクイモ抽出物を得た。
キクイモ粉砕物5gに70%エタノール30mLを加えたのち、4℃下で一晩撹拌抽出した。これを遠心分離(7500×g、10分間)して得た上清をエバポレーターに供して溶媒を除去し、キクイモ抽出物2.89gを得た。
スギ花粉アレルゲンCry
j 1感作誘導血中抗体価およびヒスタミン濃度測定試験
実施例1で得たキクイモ抽出物について、スギ花粉アレルゲンCry j 1感作によって誘導される血中抗体価およびヒスタミン濃度に対する、キクイモ抽出物の経口摂取の影響を測定した。
5週令の雌性BALB/cマウス(Charles River社)を3群に分け、その内の1群をノーマル群(無処置群)とし、残る2つの群に、スギ花粉アレルゲンCry j1感作処置をして、コントロール群およびキクイモ抽出物群とした。
コントロール群およびキクイモ抽出物群のマウスに、Cry j 1溶液(15μg/150μl)を0日後と7日後と14日後の3回、腹腔内注射して感作した。さらに28日後から14日間連日、1日1回、Cry j 1溶液(7μg/70μl)をマウスの鼻腔内に注入して経鼻感作を行った。
ノーマル群、コントロール群には基本飼料(MF飼料、オリエンタル酵母社)を、キクイモ抽出物群には、実施例1で得たキクイモ抽出物添加飼料(基本飼料の内、キクイモ抽出物を0.05%添加したもの)を給餌し、40日目まで継続した。なお、飼料摂取期間中は感作を維持させるため、1週間に1回、Cry j 1溶液(1.5μg/15μl)をマウスの鼻腔内に注入した。
試験期間中、5日間隔で15分あたりのひっかき回数を測定した。40日目において、30分あたりのくしゃみ回数を測定した。
試験終了後、腹部大静脈より採血し、血清中の総IgE抗体価、Cry j 1特異的IgE抗体価、およびヒスタミン濃度をELISA法で測定した。総IgEについては、アンチマウスIgE抗体でコーティングされたELISAマイクロプレートに上記血清を添加し、血清中のIgEを結合させ、ホースラディッシュのペルオキシダーゼ(HRP)を標識したアンチラビットIgG抗体で反応させ、基質о−フェニレンジアミン(OPD)による発色をマイクロプレートリーダーにて測定した。抗体価は490nmの吸光度(二次抗体の標識である、HRPの発色基質OPDの検出波長)によって評価した。Cry j 1特異的IgEについては、上記プロトコルにおいてビオチン化されたアンチマウスIgEモノクローナル抗体とホースラディッシュのペルオキシダーゼを標識したストレプトアビジンを使用した。ヒスタミンについては、ELISAキット(Abnоva社)によって濃度を測定した。ヒスタミン濃度は、濃度既知のヒスタミンの吸光度を縦軸に、濃度を横軸にとり、作成した検量線から算出した。
試験結果を図1〜図4に示した。
図1に示すように、25日目以降において、キクイモ抽出物群のひっかき回数がコントロール群と比較して顕著に低下した。
また、図2に示すように、40日目において、キクイモ抽出物群のくしゃみ回数がコントロール群と比較して顕著に低下した。
なお、図3に示すように、キクイモ抽出物群の血清中の総IgE抗体価およびCry j 1特異的IgE抗体価は、コントロール群と比較して有意に低い値を示した。(p<0.05)
また、図4に示すように、キクイモ抽出物群の血清中のヒスタミン濃度は、コントロール群と比較して有意に低い値を示した(p<0.05)。
本発明のキクイモ抽出物は、顕著なIgE抗体およびヒスタミンの産生抑制作用を示し、花粉症の症状軽減効果を有しており、これを活性成分として含有させることにより、機能性健康食品あるいは花粉症等の症状緩和・治療用医薬品を製造することができる。


Claims (4)

  1. クイモ(Helianthus tuberosus)の塊茎を60〜90%含水メタノールまたは60〜90%含水エタノールを用いて抽出し、これを乾燥したキクイモ抽出物を活性成分として含有する、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制用ならびに花粉症症状軽減用の食品組成物または医薬品組成物。
  2. キクイモ(Helianthus tuberosus)の塊茎を60〜90%含水メタノールまたは60〜90%含水エタノールを用いて抽出し、これを乾燥したキクイモ抽出物。
  3. キクイモ(Helianthus tuberosus)の塊茎を60〜90%含水メタノールまたは60〜90%含水エタノールを用いて抽出し、これを乾燥する、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制用ならびに花粉症症状軽減用の食品組成物または医薬品組成物の活性成分として用いるための、キクイモ抽出物の製造方法。
  4. 請求項2に記載のキクイモ抽出物または請求項3に記載の製造方法により製造されたキクイモ抽出物を用いる、IgE抗体およびヒスタミンの産生抑制用ならびに花粉症症状軽減用の食品組成物または医薬品組成物の製造方法。
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